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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063829
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/26 20060101AFI20240507BHJP
   G04C 3/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G04B19/26 A
G04C3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171940
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】原口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 和貴
【テーマコード(参考)】
2F101
【Fターム(参考)】
2F101AA01
2F101AB00
2F101AC07
2F101AD01
(57)【要約】
【課題】月相表示部の半球表示モードの切替動作における制御回路の演算負荷を抑制することができる電子時計を提供すること。
【解決手段】
電子時計1の制御回路72は、第3アクチュエータ72cにより月齢板42の回転方向である月齢板回転方向Rおよび月齢板42の回転位置である月齢板回転位置(月齢板ステップ位置S)を制御するものである。制御回路72は、操作部により北半球表示モードDNおよび南半球表示モードDSの切り替え操作が行われたと判断すると、基準月齢MBに対する現在月齢板回転位置(現在月齢板ステップ位置SR)に基づいた現在月齢MRの月齢差を基準月齢差分MDとした場合に、前記基準月齢MBから現在月齢MR側と反対側に基準月齢差分MD離れた切替後月齢板回転位置(切替後月齢板ステップ位置SC)まで、月齢板42を前記現在月齢板回転位置(現在月齢板ステップ位置SR)からステップ回転駆動させるものである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部時刻に基づいて時刻表示を行う時刻表示部と、
少なくとも回転自在に支持された月齢板を有し、前記月齢板が回転することで月齢に対応する月相表示を行う月相表示部と、
前記月齢板を回転駆動する月齢板用アクチュエータと、
前記月齢板用アクチュエータにより前記月齢板の回転方向である月齢板回転方向および前記月齢板の回転位置である月齢板回転位置を制御する制御回路と、
少なくとも北半球における月相を表示する北半球表示モードおよび南半球における月相を表示する南半球表示モードのいずれか一方に月相表示部の表示モードを切り替える操作部と、
を備え、
前記制御回路は、
前記操作部により前記表示モードの切り替え操作が行われたと判断すると、
基準月齢に対する現在月齢板回転位置に基づいた現在月齢の月齢差を基準月齢差分とした場合に、前記基準月齢から現在月齢側と反対側に前記基準月齢差分離れた切替後月齢板回転位置まで、前記月齢板を前記月齢板用アクチュエータにより前記現在月齢板回転位置から回転駆動させ、前記月齢板回転方向を現在月齢板回転方向と反対方向である切替後月齢板回転方向とする、
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記月齢板を前記現在月齢板回転位置から前記切替後月齢板回転位置まで前記現在月齢板回転方向に回転させた場合における前記月齢板の回転角度である現在方向回転角度が所定回転角度以上であると、前記切替後月齢板回転方向に前記月齢板を回転させて、
前記月齢板を前記現在月齢板回転位置から前記切替後月齢板回転位置まで回転させる、
請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記所定回転角度は、
前記現在方向回転角度と、前記月齢板を前記現在月齢板回転位置から前記切替後月齢板回転位置まで前記切替後月齢板回転方向に回転させた場合における前記月齢板の回転角度である切替後回転角度との差分、および、前記月齢板回転方向による消費電力差の少なくとも一方に基づいて設定される、
請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記月齢板を前記現在月齢板回転位置から前記切替後月齢板回転位置まで前記月齢板用アクチュエータの正転方向に回転させた場合における前記月齢板の回転角度である正転方向回転角度が所定回転角度以上であると、前記正転方向と反対方向である逆転方向に前記月齢板を回転させて、
前記月齢板を前記現在月齢板回転位置から前記切替後月齢板回転位置まで回転させる、
請求項1に記載の電子時計。
【請求項5】
前記所定回転角度は、
前記正転方向回転角度と、前記月齢板を前記現在月齢板回転位置から前記切替後月齢板回転位置まで前記逆転方向に回転させた場合における前記月齢板の回転角度である逆転方向回転角度との差分、および、前記月齢板回転方向による消費電力の差の少なくとも一方に基づいて設定される、
請求項4に記載の電子時計。
【請求項6】
前記月相表示部は、前記月齢板の1回転で2朔望周期以上の朔望周期分の月齢に対応する月相表示を行うものであり、
前記切替後月齢板回転位置は、前記現在月齢板回転位置に対して、前記現在月齢板回転方向における前記切替後月齢板回転位置である第1切替後月齢板回転位置と、前記現在月齢板回転位置に対して、前記切替後月齢板回転方向における前記切替後月齢板回転位置である第2切替後月齢板回転位置とである、
請求項1~5のいずれか1つに記載の電子時計。
【請求項7】
前記月齢板用アクチュエータは、前記月齢板をステップ回転駆動させるものであり、
前記月相表示部は、前記月齢板の1回転で2朔望周期の朔望周期分の月齢に対応する月相表示を行うものであり、
前記月齢板は、60ステップで1回転であり、
前記制御回路は、
前記月齢板を1日1ステップで前記月齢板用アクチュエータにより回転駆動させるものであり、
59日に1回若しくは2ヶ月に1回、1日2ステップで前記月齢板用アクチュエータによりステップ回転駆動させる、
請求項6に記載の電子時計。
【請求項8】
前記月相表示部は、前記月齢板の1回転で2朔望周期の朔望周期分の月齢に対応する月相表示を行うものであり、かつ、前記月齢板に形成される2つの月マークが互いに異なるものであり、
前記切替後月齢板回転位置は、前記現在月齢板回転位置に対して、前記現在月齢板回転方向における前記切替後月齢板回転位置である第1切替後月齢板回転位置と、前記現在月齢板回転位置に対して、前記切替後月齢板回転方向における前記切替後月齢板回転位置である第2切替後月齢板回転位置とであり、
前記制御回路は、
前記操作部により前記表示モードの切り替え操作が行われたと判断すると、
2つの前記切替後月齢板回転位置のうち、前記現在月齢における朔望周期の前記月相表示を行う前記月マークに対応する前記切替後月齢板回転位置まで、前記月齢板を前記月齢板用アクチュエータにより前記現在月齢板回転位置から回転駆動させる、
請求項1に記載の電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
時計には、時刻表示部を有するとともに、月の満ち欠け、すなわち月相を表示する月相表示部を有し、ユーザーに対して現在日時における月齢に対応する月相表示を提供するものがある。月相表示部は、文字板に形成された月齢板用開口と、月(満月)が表示され、かつ回転駆動する月齢板とを有し、月齢板用開口に対して月齢板が一方向に相対回転することで、月齢に対応する月相表示を行う。
【0003】
ここで、現在のユーザーがいる緯度によって月の満ち欠けの変化の様子が異なるため、対応する時計の月相表示も異ならせることとなる。具体的には、同一日時、同経度(所定の月齢)において、日時の経過に伴う月相表示の変化の方向が異なる。したがって、時計を所持するユーザーが北半球および南半球のいずれかに位置するのかで、月齢板用開口に対する月齢板の位置及び回転方向を異ならせることとなる。例えば、時計が北半球から南半球に移動した場合、月齢板の回転方向を北半球用回転方向から南半球用回転方向に変更し、月齢板を現在日時における北半球用月齢に対応する回転位置から南半球用月齢に対応する回転位置に回転させることとなる。従来の時計では、月齢板の回転方向をユーザーが手動で変更する時計が提供されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-155747号公報
【特許文献2】特開2009-216547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、時計が北半球および南半球のうちいずれか一方から他方に移動した場合に、北半球用月相および南半球用月相のうちいずれか一方から他方の月相に対応する回転位置に月齢板を回転駆動させる方法としては、時計をユーザーが手動操作することで行うことが考えられる。しかしながら、ユーザーは、移動した半球における月相、すなわち移動後半球用月相を把握し、時計を手動操作し、月齢板を移動後半球用月相に対応する回転位置、すなわち移動後回転位置まで回転させることとなるため、ユーザーにとって煩わしく、自動で月齢板を移動後回転位置まで回転することが好ましいため、電子時計により自動で行うことが望まれる。電子時計は、月相表示部の北半球表示モードと南半球表示モードとを切り替える際に、制御回路が月齢板の回転方向を変更するとともに、移動後回転位置まで月齢板を回転駆動することとなる。電子時計においては、低消費電力での駆動が望まれているところ、特許文献1のように制御回路が現在日時に基づいて移動後半球用月齢を算出し、算出された移動後半球用月齢に対応した移動後回転位置まで月齢板を回転駆動させる場合、移動後半球月齢の算出が複雑であり、制御回路の演算負荷が高いため、表示モードの切り替えの度に高負荷な処理を行うと消費電力が大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、月相表示部の表示モードの切替動作における制御回路の演算負荷を抑制することができる電子時計を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本実施形態における電子時計は、内部時刻に基づいて時刻表示を行う時刻表示部と、少なくとも回転自在に支持された月齢板を有し、前記月齢板が回転することで月齢に対応する月相表示を行う月相表示部と、前記月齢板を回転駆動する月齢板用アクチュエータと、前記月齢板用アクチュエータにより前記月齢板の回転方向である月齢板回転方向および前記月齢板の回転位置である月齢板回転位置を制御する制御回路と、少なくとも北半球における月相を表示する北半球表示モードおよび南半球における月相を表示する南半球表示モードのいずれか一方に月相表示部の表示モードを切り替える操作部と、を備え、前記制御回路は、前記操作部により前記表示モードの切り替え操作が行われたと判断すると、基準月齢に対する現在月齢板回転位置に基づいた現在月齢の月齢差を基準月齢差分とした場合に、基準月齢から現在月齢側と反対側に前記基準月齢差分離れた切替後月齢板回転位置まで、前記月齢板を前記月齢板用アクチュエータにより前記現在月齢板回転位置から回転駆動させ、前記月齢板回転方向を現在月齢板回転方向と反対方向である切替後月齢板回転方向とする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明における電子時計は、月相表示部の表示モードの切替動作における制御回路の演算負荷を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態における電子時計の全体構成図である。
図2図2は、実施形態における電子時計の月相表示部の動作説明図(北半球表示モード)である。
図3図3は、実施形態における電子時計の月相表示部の動作説明図(南半球表示モード)である。
図4図4は、実施形態における電子時計のムーブメントのブロック図である。
図5図5は、表示モード切替動作時における機能表示部の動作説明図である。
図6図6は、表示モード切替動作時における機能表示部の動作説明図である。
図7図7は、表示モード切替動作時における月相表示部の動作説明の一例を示す図である。
図8図8は、表示モード切替動作時における月相表示部の動作説明の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態における電子時計の表示モード切替動作のフロー図である。
図10図10は、変形例における表示モード切替動作時における月相表示部の動作説明の一例を示す図である。
図11図11は、変形例における表示モード切替動作時における月相表示部の動作説明の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
〔実施形態〕
図1は、実施形態における電子時計の全体構成図である。図2は、実施形態における電子時計の月相表示部の動作説明図(北半球表示モード)である。図3は、実施形態における電子時計の月相表示部の動作説明図(南半球表示モード)である。図4は、実施形態における電子時計のムーブメントのブロック図である。図5は、表示モード切替動作時における機能表示部の動作説明図である。図6は、表示モード切替動作時における機能表示部の動作説明図である。図7は、表示モード切替動作時における月相表示部の動作説明の一例を示す図である。図8は、表示モード切替動作時における月相表示部の動作説明の一例を示す図である。また、図1図3及び図5図8図10図11を含む)におけるX方向は電子時計の12時6時方向であり、Y方向は電子時計の3時9時方向であり、X方向とY方向と直交する方向は電子時計の上下方向(厚さ方向)である。O1は、電子時計1の中心であり、指針の回転軸と一致する。また、O1を中心としたXY平面における方向を径方向と呼ぶ。
【0012】
実施形態における電子時計1は、水晶発振器の出力に基づいて内部時刻を計時し、計時した時刻を指針31で示す電子時計である。電子時計1は、計時以外にもアラーム機能やクロノグラフなどの機能を有する多機能型電子時計であってもよい。さらに、通信部により外部の端末機器と無線あるいは有線の少なくともいずれか一方により接続され、端末機器において設定された要求に基づいて、特定の機能(例えば、アラーム機能、端末機器の内部時刻情報に基づいた時刻補正機能、メール受信時などに報知する報知機能など)を実現する端末機器連動型時計であってもよい。
【0013】
電子時計1は、図1に示すように、外装ケース2と、時刻表示部3と、月相表示部4と、機能表示部5と、操作部6と、ムーブメント7とを備える。本実施形態における電子時計1は、時刻表示部3がアナログ表示式のアナログ電子腕時計であり、月相表示部4が月の満ち欠け、すなわち月相を表示するムーンフェイズウオッチである。電子時計1は、腕時計式として説明するが、ムーンフェイズウオッチとしての機能を有すれば他の時計式、例えば、懐中時計式であってもよい。
【0014】
外装ケース2は、電子時計1の最外郭を構成するものであり、胴21とベゼル22と風防23と図示しない裏蓋とで構成される。胴21は、開口を有し、開口内部の空間にあたる内部空間部S1に時刻表示部3、月相表示部4、機能表示部5およびムーブメント7が保持される。本実施形態においては、胴21は円環状であり、開口は電子時計1の時計中心O1を中心とする円形形状である。開口の形状は、電子時計1の外装ケース2の外形形状や、デザインに合わせて任意の形状とすることができる。胴21は、外周側面の12時方向及び6時方向からそれぞれ突出して形成された先かん24を備える。12時側の先かん24にはベルト8の一端が連結され、6時側の先かん24にはベルト8の他端が連結される。
【0015】
胴21の開口の一方の側である上方向開口を風防23が覆い、他方の側である下方向開口を裏蓋が覆い、それぞれ固定することによって、内部空間部S1が閉塞空間となるため、時刻表示部3、月相表示部4、機能表示部5およびムーブメント7を保護することができる。風防23や裏蓋を胴21に固定するのに際して、それぞれゴムパッキンなどの図示しない防水部材を介することにより、保持力を高め、電子時計1の防塵性や防水性を高めることができる。胴21は、例えば、樹脂材料や金属材料、セラミック材料などにより形成されている。ベゼル22は、風防23を胴21に固定するものであり、環状に形成されて、胴21のうち、内部空間部S1を構成する環状部に固定されている。ベゼル22は、時刻表示部3の径方向外側に位置するものである。ベゼル22は、例えば、樹脂材料や金属材料、セラミック材料などにより形成されている。なお、ベゼル22は、胴21に対して、電子時計1の時計中心O1を中心として回転自在に支持されていてもよい。風防23は、ベゼル22を介して、上方向側開口を覆う形状であり、上方向側から挿入しベゼル22に固定し、ベゼル22を介して胴21に固定することで内部空間部S1を閉塞する。本実施形態では風防23の平面視における外形形状は、円形状をしている。風防23は、例えば、ガラスや透過性の樹脂材料などにより形成されている。裏蓋は、下方向開口部と略同形状の係合部を有し、下方向側から挿入し胴21に固定することで内部空間部S1を閉塞する。本実施形態では裏蓋の外形形状は円形状である。裏蓋は、例えば、胴21と同様に樹脂材料や金属材料、セラミック材料などにより形成されている。なお、ベゼル22は、回転するものでなければ胴21と一体に形成されていてもよい。
【0016】
時刻表示部3は、内部時刻に基づいて時刻表示を行う。時刻表示部3は、指針31と、文字板32と、見返しリング33と、日板34とを有する。本実施形態における時刻表示部3は、ムーブメント7の後述する制御回路72によって計時された内部時刻(少なくとも日情報、時情報、分情報、秒情報)の表示、すなわち時刻表示を行う。
【0017】
指針31は、電子時計1の時計中心O1を回転軸として回動自在にムーブメント7に支持され、ムーブメント7により回転駆動するものである。指針31は棒状であり、金属材料や樹脂材料などにより形成される。本実施形態において、指針31は、秒針31a、分針31b、時針31cであり、文字板32よりも上方向側(風防23側)に配置される。指針31は、ユーザーによる操作部6の操作により回転するものでもある。指針31は、指し示す位置に応じて内部時刻に基づいた時刻表示を行うことができる。
【0018】
文字板32は、指針31とムーブメント7との間に配置され、ムーブメント7を保護するものである。文字板32は、ユーザーに対して電子時計1の美観を与える機能を有する。文字板32の表面上(風防23と対向する側)には、時字321,322が設けられている。つまり、時字321,322は、上下方向において風防23と対向するように配置され、風防23を介してユーザーが視認することができる。ユーザーは、指針31(秒針31a、分針31bおよび時針31c)と時字321,322との相対位置により、時刻表示に基づいた現在時刻を認識することができる。文字板32は、風防23を介して日板34をユーザーに視認させる日板用開口323が形成されている。日板用開口323は、文字板32の上下方向において日板34と対向する位置に形成されており、文字板32を上下に貫通するものである。本実施形態における日板用開口323は、矩形形状であり、文字板32において「4時」の位置に形成されている。
【0019】
見返しリング33は、文字板32の径方向外側に配置されている。見返しリング33は、環状に形成され、かつ指針31の先端よりも径方向外側に配置されている。なお、時刻表示部3は、時刻表示機能と異なる機能に応じた設定情報などの情報表示を行うことができる。情報表示としては、アラーム機能のON・OFFの設定や、アラームの設定時刻、クロノグラフ表示、タイムゾーン表示、受信動作に関する表示、サマータイムの設定表示などが挙げられる。この場合、文字板32および見返しリング33には、図示しない機能マークが設けられており、指針31(秒針31a、分針31b、時針31c)と機能マークとの相対位置により、情報表示に基づいた各機能の設定情報等を認識することができる。
【0020】
日板34は、回転することで、日表示を行うものである。日板34は、上下方向から見た場合に円形状に形成されており、上下方向において文字板32とムーブメント7との間に配置されている。日板34は、時計中心O1を回転軸として、回動自在にムーブメント7に対して支持され、ムーブメント7により回転駆動するものである。日板34は、日マーク341が複数形成されている。日マーク341は、日板用開口323および風防23を介してユーザーに視認されることで内部時刻に基づいて現在日を日表示するものである。本実施形態における日マーク341としては、日に対応した数字の「1」~「31」であり、日板34のうち、周方向において1周の領域に時計回りに形成されている。
【0021】
月相表示部4は、図1図3に示すように、月齢板42が回転することで月齢に対応する月相表示を行うものである。月相表示部4は、月齢板用開口41と、月齢板42と、月齢板回転方向マーク43,44とを有する。
【0022】
月齢板用開口41は、風防23を介して月齢板42をユーザーに視認させるものである。本実施形態における月齢板用開口41は、文字板32に形成されている。月齢板用開口41は、上下方向において月齢板42と対向し、文字板32が月齢板42と対向する領域のうち、12時方向に略扇形状に形成されている。月齢板用開口41は、月齢板回転方向Rにおいて両端部に凹部411,412が形成されている。凹部411,412は、月齢板42の後述する月マーク421,422と上下方向において重なった場合に、月の満ち欠けを表示するものである。ここで、月齢板回転方向Rは、月齢板42の月齢板中心O2周りの方向であり、現在月齢板回転方向RRと、現在月齢板回転方向RRと反対周りである切替後月齢板回転方向RCとの2つ回転方向を有する。なお、図2及び図3においては、図示された月マーク421,422の動作を分かりやすくするために、月齢板用開口41(凹部411,412を含む)が点線で図示されている。
【0023】
月齢板42は、回転することで、月齢に対応する月相表示を行うものである。月齢板42は、上下方向から見た場合に円形状に形成されており、上下方向において文字板32とムーブメント7との間に配置されている。月齢板42は、月齢板42の月齢板中心O2を回転軸として、回動自在にムーブメント7に対して支持され、ムーブメント7により回転駆動するものである。ここで、月齢板42は、時計回りの回転が正回転、反時計回りの回転が逆回転であり、時計回り方向が正転方向RY、反時計回り方向が逆転方向RNである。月齢板42は、上下方向における両面のうち、文字板32と対向する対向面に2つの月マーク421,422が形成されている。月マーク421,422は、月齢板中心O2を挟んで対向、すなわち月齢板回転方向Rにおいて180度離れて形成されている。つまり、本実施形態における月相表示部4は、1回転で2朔望周期の朔望周期分の月齢に対応する月相表示を行うものである。本実施形態における月マーク421,422は、同一(形状、色などが同じ)のものであり、月マーク421,422をユーザーが視認しても区別をすることはできない。例えば、電子時計1が後述する北半球表示モードDNであると、月齢板42の正転方向RYが現在月齢板回転方向RRとなる。月齢板42は、現在月齢板回転方向RRが正転方向RYであると、図2に示すように、1回転することで、月マーク421に対応する第1朔望周期における新月(月齢=0)の月相表示(同図左上の月齢板42)、月マーク421に対応する第1朔望周期における満月(月齢=15)の月相表示(同図右上の月齢板42)、月マーク422に対応する第2朔望周期における新月(月齢=0)の月相表示(同図右下の月齢板42。第1朔望周期における新月の月相表示である月マーク421の位置に対応する)、月マーク422に対応する第2朔望周期における満月(月齢=15)の月相表示(同図左下の月齢板42)、月マーク421に対応する第1朔望周期における新月の月相表示(第2朔望周期における新月の月相表示である月マーク422の位置に対応する)を順に行う。一方、電子時計1が後述する南半球表示モードDSであると、月齢板42の逆転方向RNが現在月齢板回転方向RRとなる。月齢板42は、現在月齢板回転方向RRが逆転方向RNであると、図3に示すように、1回転することで、月マーク422に対応する第2朔望周期における新月(月齢=0)の月相表示(同図左上の月齢板42)、月マーク422に対応する第2朔望周期における満月(月齢=15)の月相表示(同図左下の月齢板42)、月マーク421に対応する第1朔望周期における新月(月齢=0)の月相表示(同図右下の月齢板42、第2朔望周期における新月の月相表示である月マーク422の位置に対応する)、月マーク421に対応する第1朔望周期における満月(月齢=15)の月相表示(同図右上の月齢板42)、月マーク422に対応する第2朔望周期における新月の月相表示(第1朔望周期における新月の月相表示である月マーク421の位置に対応する)を順に行う。
【0024】
月齢板回転方向マーク43,44は、各表示モードDにおける月齢板回転方向Rを表示するものである。月齢板回転方向マーク43,44は、文字板32の表面上に設けられている。月齢板回転方向マーク43は、北半球表示モードDNに対応するものであり、時計回りの矢印図形および北に対応した省略英字の「N」とで構成されている。月齢板回転方向マーク44は、南半球表示モードDSに対応するものであり、反時計回りの矢印図形および南に対応した省略英字の「S」とで構成されている。
【0025】
機能表示部5は、電子時計1の時刻表示機能と異なる機能に基づいた電子時計1の状態の表示、すなわち機能表示を行う。機能表示部5は、機能針51と、機能マーク板52とを有する。本実施形態における機能表示部5は、制御回路72によって計時された内部時刻に基づいた現在曜日の表示、すなわち曜日表示、制御回路72によって計測されている二次電池76の残量の表示、すなわち残量表示、制御回路72に記憶されている北半球表示モードDNおよび南半球表示モードDSのいずれか一方である月相表示部4の表示モードDの表示、すなわち表示モード表示を行う。
【0026】
機能針51は、機能マーク板52の機能マーク中心O3を回転軸として回動自在にムーブメント7に支持され、ムーブメント7により回転駆動するものである。機能針51は棒状であり、金属材料や樹脂材料などにより形成される。本実施形態において、機能針51は、機能マーク板52よりも上方向側(風防23側)に配置される。機能針51は、ユーザーによる操作部6の操作により回転、すなわち上記機能表示のうちいずれかを指示するものである。機能針51は、指し示す位置に応じて、各機能に対応する基づいた機能表示を行うことができる。
【0027】
機能マーク板52は、機能針51とムーブメント7との間に配置されている。本実施形態における機能マーク板52は、文字板32の一部として形成されている。機能マーク板52の表面上(風防23と対向する側)には、曜日マーク、残量マーク522、北半球表示モードマーク523および南半球表示モードマーク524が設けられている。つまり、機能マーク521~524は、上下方向において風防23と対向するように配置され、風防23を介してユーザーが視認することができる。ユーザーは、機能針51と機能マーク521~524との相対位置により、機能表示に基づいた電子時計1の状態を認識することができる。曜日マーク521は、機能針51の位置に基づいて現在曜日を曜日表示するものである。本実施形態における曜日マーク521としては、各曜日(日曜日から土曜日まで)にそれぞれ対応した省略英字の「S」、「M」、「T」、「W」、「T」、「F」、「S」であり、機能マーク板52のうち、2時方向から5時方向までの領域に時計回りに形成されている。残量マーク522としては、機能針51の位置に基づいて二次電池76の残量を残量表示するものである。本実施形態における残量マーク522としては、残量に対応した図形の第1残量図形、第1残量図形よりも径方向において幅が狭い第2残量図形、第2残量図形よりも径方向において幅が狭い第3残量図形、第3残量図形よりも径方向において幅が狭い第4残量図形であり、機能マーク板52のうち、10時方向から6時方向までの領域に反時計回りに形成されている。表示モードマーク523,524は、表示モードDに対応するものであり、機能針51の位置に基づいて現在表示モードDRを表示モード表示するものである。本実施形態における北半球表示モードマーク523としては、北に対応した省略英字の「N」であり、機能マーク板52のうち、1時方向の領域に形成されている。本実施形態における南半球表示モードマーク524としては、南に対応した省略英字の「S」であり、機能マーク板52のうち、11時方向の領域に形成されている。なお、機能マーク板52は、文字板32の一部として形成されているが、これに限定されるものではなく、文字板32と異なる板材に構成されていてもよい。この場合、文字板32に図示しない機能マーク板用開口を形成し、機能マーク板52を上下方向において、上下方向において文字板32とムーブメント7との間に配置することとなる。
【0028】
操作部6は、ユーザーが操作することで、ムーブメント7に対して、操作に基づいた機能動作を実現するものである。本実施形態における操作部6は、制御回路72における北半球表示モードDNおよび南半球表示モードDSのいずれか一方から他方に月相表示部4の表示モードDを切り替える操作である、すなわち表示モード切替操作を行うものである。具体的には、電子時計1は、ユーザーによる操作部6の操作、すなわち表示モード切替操作により、表示モードDを切替え、月相表示部4の月齢板42の回転位置、本実施形態ではステップ位置を変更し、以後の月齢板回転方向Rを現在月齢板回転方向RRから反対方向である切替後月齢板回転方向RCとし、機能表示部5の機能針51が切り替えられた表示モードDに対応する表示モードマーク523,524を指し示す表示モード切替動作が行われる。操作部6は、リューズ61と、プッシュボタン62と、プッシュボタン63とを有する。リューズ61は、胴21の側面から突出して形成されており、ユーザーの操作により、突出方向に1段又は複数段引き出すことができ、軸心周りに回転することができる。リューズ61は、突出方向に引き出されていない0段とは異なる段、例えば2段にした状態で、回転することで、時刻表示状態の指針31を強制的に回転させることができ、時刻表示を補正することができる。プッシュボタン62,63は、胴21の側面から突出して形成されており、ユーザーの操作により突出方向と反対方向に押圧することができる。プッシュボタン62,63は、外力が作用していない状態では、突出方向に突出した状態を維持する。プッシュボタン62,63は、例えば、いずれか一方または両方を押圧することで、機能表示部5における曜日表示または残量表示を切り替えることができる。操作部6は、ムーブメント7の制御回路72と接続されており、ユーザーによる操作状態を操作信号として、制御回路72に出力する。
【0029】
ムーブメント7は、図3に示すように、アンテナ71、制御回路72、アクチュエータ73、輪列機構74、発電機構75、二次電池76などを備え、電子時計1の計時機能やその他の機能動作などを行う。
【0030】
アンテナ71は、標準電波を受信するものである。つまり、電子時計1は、電波時計でもある。アンテナ71は、制御回路72と電気的に接続されており、標準電波の信号が制御回路72に出力される。なお、アンテナ71は衛星が出力するGPS(GLOBAL POSITIONING SYSTEM)信号を受信するものであってもよい。
【0031】
制御回路72は、指針31、日板34、月齢板42および機能針51の回転位置、回転方向を制御するものである。制御回路72は、電子時計1の制御を行う回路であり、図示しない発振器から出力されたクロック信号に基づき、電子時計1の内部時刻を計時したり、各機能に応じた制御信号を出力する。制御回路72は、受信IC721と、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)といった記憶部を含む制御IC722とを有する。受信IC721は、アンテナ71により受信された標準電波を信号処理するものであり、制御IC722に標準電波に基づいた時刻情報(日情報、時情報、分情報、秒情報を含む)を出力する。制御IC722は、計時している内部時刻に基づいて、指針31に時刻表示を行わせるための制御信号をアクチュエータ73に出力する。制御IC722は、受信IC721から出力された時刻情報に基づいて内部時刻を補正するものでもある。なお、発振器は、電子時計1の表示時刻の計時やその他の機能動作に関する基準周波数を生成するための源振であり、例えば水晶振動子を用いることができる。水晶振動子は外部温度により発振特性が変動しやすいため、温度補償型水晶振動器(TCXO)を用いてもよい。
【0032】
制御回路72は、北半球表示モードDNおよび南半球表示モードDSのうちいずれか一方である現在表示モードDRに基づいて、月齢板用アクチュエータである後述する第3アクチュエータ73cにより月齢板42の回転方向である月齢板回転方向Rおよび月齢板42の回転位置である月齢板回転位置を制御するものでもある。ここで、北半球表示モードDNは、月相表示部4を北半球用月齢に対応する月相表示となるように制御するモードであり、月齢板42を月齢板回転方向Rのうち一方、本実施形態では正転方向RYに回転駆動させるものである。南半球表示モードDSは、月相表示部4を南半球用月齢に対応する月相表示となるように制御するモードであり、月齢板42を月齢板回転方向Rのうち他方、本実施形態では逆転方向RNに回転駆動させるものである。なお、同一日時、同経度における北半球用月齢および南半球用月齢は、同一月齢となる一方、北半球用月相に対応する月相表示および南半球用月相に対応する月相表示が異なる。本実施形態における制御回路72は、月齢板42を回転駆動させる際に、ステップ回転駆動させるものであるので、月齢板回転位置は月齢板ステップ位置Sである。つまり、月齢板42は、第3アクチュエータ73cにより、複数回ステップ回転駆動することで1回転することとなる。本実施形態における月齢板42は、60ステップで1回転するものであり、2朔望周期の朔望周期分の月齢に対応する月相表示を行うものであるので、1朔望周期は30ステップとなる。例えば、月齢板42は、図2および図3に示すように、12時の方向におけるステップ位置を現在月齢板ステップ位置SRとし、月マーク421に対応する第1朔望周期における新月(月齢M=0)の月相表示における現在月齢板ステップ位置SRを0(SR=0)とすると、月マーク421に対応する第1朔望周期における満月(M=15)の月相表示における現在月齢板ステップ位置Sを15(SR=15)とし、月マーク422に対応する第2朔望周期における新月(M=0)の月相表示における現在月齢板ステップ位置SRを30(SR=30)とし、月マーク422に対応する第2朔望周期における満月(M=15)の月相表示における現在月齢板ステップ位置SRを45(SR=45)とする。
【0033】
制御回路72は、内部時刻に基づいて日が変更されると、月齢板42を第3アクチュエータ73cにより1ステップ分回転駆動させる、すなわち1日1ステップ回転駆動させるものであり、1ステップが1日あたりに、月齢板42が動作する量である。また、制御回路72は、59日に1回、月齢板42を1日1ステップ分ではなく、2ステップ分第3アクチュエータ73cによりステップ回転駆動させるものである。
【0034】
制御回路72は、操作部6により表示モードDの切り替え操作であるモード切替操作が行われたか否かを判断するものである。本実施形態における制御回路72は、リューズ61が1段の位置にある状態で、プッシュボタン63が押圧されたか否かを判断することで、モード切替操作が行われたか否かを判断する。制御回路72は、リューズ61が1段の位置であると、現在表示モードDRに対応する表示モードマーク523,524と径方向において対向する位置まで機能針51を第4アクチュエータ73dにより回転駆動する。例えば、制御回路72は、現在表示モードDRが北半球表示モードDNであると、図5に示すように、径方向において北半球表示モードマーク523と対向する位置まで機能針51をステップ回転駆動する。制御回路72は、モード切替操作が行われると、現在表示モードDRから切替後表示モードDCを変更する。例えば、制御回路72は、現在表示モードDRが北半球表示モードDNの状態で、モード切替操作が行われると、切替後表示モードDCが南半球表示モードDSとなるので、図6に示すように、径方向において南半球表示モードマーク524と対向する位置まで機能針51をステップ回転駆動する。
【0035】
制御回路72は、モード切替操作が行われると、基準月齢MBに対する現在月齢板回転位置に対応する現在月齢板ステップ位置SRに基づいた現在月齢MRの月齢差を基準月齢差分MDとした場合に、基準月齢MBから現在月齢MR側と反対側に基準月齢差分MD離れた切替後月齢MCに対応する切替後月齢板回転位置に対応する切替後月齢板ステップ位置SCまで、月齢板42を第3アクチュエータ73cによりステップ回転駆動させるものである。また、制御回路72は、モード切替操作が行われると、月齢板回転方向Rを現在月齢板回転方向RRと反対方向である切替後月齢板回転方向RCとする。ここで、基準月齢MBは、満月の月相表示に対応するものであり、1朔望周期の中央、すなわち1朔望周期の月齢数の半分である。また、基準月齢MBは、月相表示部4が月齢板42の1回転で2朔望周期期分の月齢に対応する月相表示を行う場合、現在月齢MRにおける朔望周期に対応する基準月齢をいう。本実施形態における1朔望周期の全月齢数は、月齢=0~月齢=29の30であるので、基準月齢MBは15に設定されている。例えば、図7に示すように、月齢板42の現在月齢板ステップ位置SRが6(SR=6)であり、対応する現在月齢MRが6(MR=6)である際に、モード切替操作が行われると、基準月齢MBに対する現在月齢MRの月齢差である基準月齢差分MDB(=|MB-MR|)が9(MD=9)となる。この場合、基準月齢MBから現在月齢MR側(同図では点線の月表示よりも左側)と反対側(同図では右側)に基準月齢差分MDBである9月齢分離れた切替後月齢MCが24(MC=24)となる。なお、切替後月齢MCは、1朔望周期の月齢数をMAとすると、MA-MRで求めることができる。ここで、本実施形態における月齢板42は、切替後月齢MCに対応する切替後月齢板ステップ位置SCが朔望周期の数分、すなわち2つある。これは、月齢板42が2朔望周期の朔望周期分の月相表示が可能なためである。具体的には、図7に示すように、現在月齢板ステップ位置SRに対して、現在月齢板回転方向RRにおける切替後月齢板ステップ位置SCである第1切替後月齢板ステップ位置SC1と、図8に示すように、現在月齢板ステップ位置SRに対して、切替後月齢板回転方向RCにおける切替後月齢板ステップ位置SCである第2切替後月齢板ステップ位置SC2とである。例えば、現在月齢板ステップ位置SR(=6、月マーク421による月相表示を行う)に対応する現在月齢MR(=6)に対して切替後月齢MC(=24)に対応する切替後月齢板ステップ位置SCは、図7に示すように、第1切替後月齢板ステップ位置SC1(=24、月マーク421による月相表示を行う)と、図8に示すように、第2切替後月齢板ステップ位置SC2(=54、月マーク422による月相表示を行う)がある。なお、第1切替後月齢板ステップ位置SC1は、1朔望周期の月齢数に対応する月齢板42のステップ数SA1とすると、SA1-SRで求めることができる。また、第2切替後月齢板ステップ位置SC2は、2朔望周期の月齢数に対応する月齢板42のステップ数SA2とすると、SA2-SRで求めることができる。また、現在月齢板回転方向RRに回転させた場合における現在月齢板ステップ位置SRと第1切替後月齢板ステップ位置SC1との現在方向ステップ差分SDRが18となり、切替後月齢板回転方向RCに回転させた場合における現在月齢板ステップ位置SRと第2切替後月齢板ステップ位置SC2との切替後方向ステップ差分SDCが12となり、月齢板42のステップ回転駆動としては、現在方向ステップ差分SDRよりも、切替後方向ステップ差分SDCのほうが少なくなる。
【0036】
制御回路72は、月齢板42を現在月齢板回転位置に対応する現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板回転位置に対応する切替後月齢板ステップ位置SCまで現在月齢板回転方向RRに回転させた場合における月齢板42の回転角度である現在方向ステップ差分SDRが所定回転角度に対応する所定ステップ数SDT未満であると、現在月齢板回転方向RRに月齢板42を回転させることで、月齢板42を現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板ステップ位置SCまでステップ回転駆動させ、現在方向ステップ差分SDRが所定ステップ数SDT以上であると、切替後月齢板回転方向RCに月齢板42を回転させることで、月齢板42を現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板ステップ位置SCまでステップ回転駆動させるものである。ここで、所定回転角度に対応する所定ステップ数SDTは、現在方向回転角度に対応する現在方向ステップ差分SDRと、月齢板42を現在月齢板回転位置に対応する現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板回転位置に対応する切替後月齢板ステップ位置SCまで切替後月齢板回転方向RCに回転させた場合における月齢板42の回転角度である切替後回転角度に対応する切替後方向ステップ差分SDCとの差分(|SDR-SDC|)、および、月齢板回転方向Rを切り替える際における電子時計1の消費電力の少なくとも一方に基づいて設定されるものである。本実施形態における所定ステップ数SDTは、現在方向ステップ差分SDRと、切替後方向ステップ差分SDCとの差分(|SDR-SDC|)、および、月齢板回転方向Rを切り替える際における電子時計1の消費電力の両方に基づいて設定されており、22に設定されている。電子時計1の消費電力は、月齢板回転方向Rを同一方向に月齢板42を複数ステップ、ステップ回転駆動させる場合は、ステップ数が少ない方が小さくなる。また、電子時計1の消費電力は、月齢板42を現在月齢板回転方向RRに1ステップ回転駆動させる場合の消費電力よりも、切替後月齢板回転方向RCに1ステップ回転駆動させる場合の消費電力が大きくなる場合がある。そのため、現在方向ステップ差分SDRよりも、切替後方向ステップ差分SDCが少ない場合であっても、月齢板回転方向Rによる消費電力の差を考慮すると、表示モード切替動作における消費電力は、月齢板回転方向Rを切替え、月齢板42を切替後方向ステップ差分SDCステップ回転駆動させた方が大きくなることがある。そこで、本実施形態の電子時計1は、所定ステップ数SDTを現在方向ステップ差分SDRと、切替後方向ステップ差分SDCとの差分(|SDR-SDC|)、および、月齢板回転方向Rによる電子時計1の消費電力の差の両方に基づいて設定されているので、消費電力を抑制することができる。
【0037】
アクチュエータ73は、指針31、日板34、月齢板42および機能針51を回転駆動するものである。アクチュエータ73は、駆動回路や駆動部等を含み、制御回路72からの制御信号が駆動回路に入力され、入力された制御信号に基づいた駆動信号を駆動部に出力し、入力された駆動信号に基づいて駆動部が駆動する。本実施形態におけるアクチュエータ73は、ステッピングモータやエレクトリックモータ等のステップ回転駆動を行うことができるモータであり、秒針31aを回転駆動する第1アクチュエータ73aと、分針31b、時針31cを回転駆動する第2アクチュエータ73bと、月齢板42を回転駆動する月齢板用アクチュエータである第3アクチュエータ73cと、機能針51および日板34を回転駆動する第4アクチュエータ73dで構成されている。
【0038】
輪列機構74は、アクチュエータ73が出力する駆動力を指針31、日板34、月齢板42および機能針51に伝達するものである。輪列機構74は、輪列歯車等を含み、一端がアクチュエータ73に連結され、他端が指針31、日板34、月齢板42および機能針51に連結されている。本実施形態における輪列機構74は、第1アクチュエータ73と秒針31aとを連結する第1輪列機構74aと、第2アクチュエータ73bと、分針31b、時針31cとを連結する第2輪列機構74bと、第3アクチュエータ73cと月齢板42とを連結する第3輪列機構74cと、第4アクチュエータ73cと機能針51および日板34とを連結する第4輪列機構74dで構成されている。
【0039】
発電機構75は、外部エネルギーによって発電し、発電した電力を二次電池76や制御回路72などの電子部品に供給する。発電機構75には、光エネルギーを変換する光電変換素子や、熱エネルギーを変換する熱電変換素子、振動エネルギー等の機械運動から発電する機械電気変換素子などを用いることができる。
【0040】
二次電池76は、発電機構75によって発電した電力を蓄電することができるとともに、制御回路72やアクチュエータ73、その他の電子部品等に供給する電力源である。二次電池76には例えば、リチウムイオン電池や全固体電池等を用いることができる。
【0041】
次に、電子時計1による表示モード切替動作について説明する。図9は、実施形態における電子時計の表示モード切替動作のフロー図である。なお、本実施形態における電子時計1の表示モード切替動作は、月齢板42のステップ回転駆動動作も含んで説明する。まず、制御回路72は、リューズ61が1段の位置にあるか否かを判定する(ステップST1)。ここでは、制御回路72は、ユーザーが表示モード切替動作または表示モードDの確認を行うために、操作部6を操作する意思があるか否かを判定する。
【0042】
次に、制御回路72は、リューズ61が1段の位置にないと判定する(ステップST1:NO)と、日が変更されているか否かを判定する(ステップST2)。ここでは、制御回路72は、内部時刻に基づいて日情報が1カウント分カウントアップしたかないかを判定することで、月齢板42のステップ回転駆動を行うか否かを判定する。
【0043】
次に、制御回路72は、日が変更されると判定する(ステップST2:Yes)と、月齢板42のカウントNが58であるか否かを判定する(ステップST3)。ここでは、制御回路72は、月齢板42が1周60ステップ(60日)の2ステップ前、すなわち58ステップ分ステップ回転駆動したか否かを判定する。なお、制御回路72は、日が変更されていないと判定する(ステップST2:No)と、本制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
【0044】
次に、制御回路72は、月齢板42のカウントNが58でないと判定する(ステップST3:No)と、月齢板42を1ステップ分回転駆動させる(ステップST4)。
【0045】
次に、制御回路72は、月齢板42のカウントNを1カウント分カウントアップし(ステップST5)、本制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。
【0046】
また、制御回路72は、月齢板42のカウントNが58であると判定する(ステップST3:Yes)と、月齢板42を2ステップ分回転駆動させる(ステップST4)。
【0047】
次に、制御回路72は、月齢板42のカウントNを0、すなわちリセットし(ステップST6)、本制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。つまり、制御回路72は、月齢板42が1回転する間に、1回2ステップ分回転駆動させる。
【0048】
また、制御回路72は、リューズ61が1段の位置にあると判定する(ステップST1:Yes)と、現在表示モードDRに基づいて機能針51をステップ回転駆動する(ステップST8)。
【0049】
次に、制御回路72は、プッシュボダン63が押圧されたか否かを判定する(ステップST9)。ここでは、制御回路72は、ユーザーが表示モード切替動作の意思があるか否かを判定する。
【0050】
次に、制御回路72は、プッシュボダン63が押圧されたと判定する(ステップST9:Yes)と、現在表示モードDRが北半球表示モードDNであるか否かを判定する(ステップST10)。なお、制御回路72は、プッシュボダン63が押圧されていないと判定する(ステップST9:No)と、リューズ61が1段の位置にあるか否かの判定、すなわちステップST1を繰り返す。
【0051】
次に、制御回路72は、現在表示モードDRが北半球表示モードDNであると判定する(ステップST10:Yes)と、表示モードDを北半球表示モードDNから南半球表示モードDSに変更し、切替後表示モードDCを南半球表示モードDSとする(ステップST11)。
【0052】
また、制御回路72は、現在表示モードDRが北半球表示モードDNでないと判定する(ステップST10:No)と、表示モードDを南半球表示モードDNから北半球表示モードDNに変更し、切替後表示モードDCを北半球表示モードDNとする(ステップST12)。
【0053】
次に、制御回路72は、現在月齢板ステップ位置SRを取得する(ステップST13)。
【0054】
次に、制御回路72は、現在月齢板ステップ位置SRに基づいて切替後月齢板ステップ位置SCを算出する(ステップST14)。ここでは、制御回路72は、現在月齢板ステップ位置SRに対して、現在月齢板回転方向RRにおける第1切替後月齢板ステップ位置SC1を算出する。
【0055】
次に、制御回路72は、現在月齢板ステップ位置SRと、第1切替後月齢板ステップ位置SC1とに基づいて、現在方向ステップ差分SDRを算出する(ステップST15)。
【0056】
次に、制御回路72は、現在方向ステップ差分SDRが所定ステップ数SDT未満であるか否かを判定する(ステップST16)。ここでは、制御回路72は、切替後月齢板ステップ位置SCまで、月齢板42を現在月齢板回転方向RRおよび切替後月齢板回転方向RCのうちいずれかでステップ回転駆動させる方が電子時計1の消費電力を抑制できるか否かを判定する。
【0057】
次に、制御回路72は、現在方向ステップ差分SDRが所定ステップ数SDT未満であると判定する(ステップST16:Yes)と、月齢板42を切替後月齢板ステップ位置SC、すなわち第1切替後月齢板ステップ位置SC1まで、現在月齢板回転方向RRにステップ回転駆動する(ステップST17)。例えば、表示モードの切替動作前の表示モードが北半球モードDNであり、SDT=22(所定回転角度132度)とした場合は、現在月齢MR=10において、切替動作が行われると、現在方向ステップ差分SDR=10となり、所定ステップ数SDT=22未満となるので、第1切替後月齢板ステップ位置SC1まで、現在月齢板回転方向RRにステップ回転駆動する。
【0058】
また、制御回路72は、現在方向ステップ差分SDRが所定ステップ数SDT以上であると判定する(ステップST16:No)と、月齢板42を切替後月齢板ステップ位置SC、すなわち第2切替後月齢板ステップ位置SC2まで、切替後月齢板回転方向RCにステップ回転駆動する(ステップST20)。例えば、表示モードの切替動作前の表示モードが北半球モードDNであり、SDT=22(所定回転角度132度)とした場合は、現在月齢MR=3において、切替動作が行われると、現在方向ステップ差分SDR=24となり、所定ステップ数SDT=22以上となるので、第2切替後月齢板ステップ位置SC2まで、切替後月齢板回転方向RCにステップ回転駆動する。
【0059】
次に、制御回路72は、月齢板回転方向Rを切替後月齢板回転方向RCに変更する(ステップST18)。ここでは、制御回路72は、現在表示モードDRから切替後表示モードDCを変更する。
【0060】
次に、制御回路72は、切替後表示モードDCに基づいて機能針51をステップ回転駆動させ(ステップST19)、本制御周期を終了し、次の制御周期に移行する。なお、本実施形態における切替後表示モードDCに基づいた機能針51のステップ回転駆動(ステップST19)は、月齢板回転方向Rを切替後月齢板回転方向RCに変更した(ステップST18)後に行うが、これに限定されるものではなく、プッシュボダン63が押圧されたと判定した(ステップST9:Yes)後から、現在月齢板ステップ位置SRを取得する(ステップST13)まで、すなわち表示モードDの切替直後であってもよい。
【0061】
以上のように、本実施形態における電子時計1は、基準月齢MBから現在月齢側と反対側に基準月齢差分MD離れた切替後月齢MCに対応する切替後月齢板回転位置に対応する切替後月齢板ステップ位置SCまで、月齢板42を第3アクチュエータ73cによりステップ回転駆動させるので、内部時刻に基づいて切替後半球用月齢を算出し、算出された切替後半球用月齢に対応した切替後月齢板回転位置まで月齢板を回転駆動する場合と比較して、月相表示部4の表示モードの切替動作における制御回路72の演算負荷を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態における電子時計1は、月齢板42が60ステップで1回転し、制御回路72が月齢板42を1日1ステップで回転駆動させ、59日に1回、1日2ステップで月齢板42をステップ回転駆動させるので、月齢板42が2朔望周期を59日で実施することになり、1朔望周期が29.5日となり、1朔望周期が30日の場合と比較して実際の月の平均朔望周期29.530589に近づくことになる。したがって、月齢板42における1朔望周期を30日としても、平均朔望周期29.530589に近づけることができ、月相表示が実際の月の月相との誤差を小さくすることができる。
【0063】
なお、本実施形態における制御回路72は、現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板回転位置に対応する切替後月齢板ステップ位置SCまで現在月齢板回転方向RRに回転させた場合における月齢板42の回転角度である現在方向ステップ差分SDRが所定回転角度に対応する所定ステップ数SDT未満であると、現在月齢板回転方向RRに月齢板42を回転させ、現在方向ステップ差分SDRが所定ステップ数SDT以上であると、切替後月齢板回転方向RCに月齢板42を回転させるが、これに限定されるものではない。制御回路72は、現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板回転位置に対応する切替後月齢板ステップ位置SCまで正転方向RYに回転させた場合における月齢板42の回転角度である正転方向ステップ差分SDYが所定回転角度に対応する所定ステップ数SDT未満であると、正転方向RYに月齢板42を回転させ、正転方向ステップ差分SDYが所定ステップ数SDT以上であると、逆転方向RNに月齢板42を回転させてもよい。この場合、所定回転角度である所定ステップ数SDTは、正転方向回転角度である正転方向ステップ差分SDYと、月齢板42を現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板ステップ位置SCまで逆転方向RNに回転させた場合における月齢板の回転角度である正転方向ステップ差分SDNとの差分、および、月齢板回転方向Rによる消費電力の差に基づいて設定されてもよい。通常、電子時計1の消費電力は、月齢板42正転方向RNに1ステップ回転駆動させる場合の消費電力よりも、逆転方向RNに1ステップ回転駆動させる場合の消費電力が大きくなるため、所定ステップ数SDTを正転方向ステップ差分SDYと、逆転方向ステップ差分SDNとの差分(|SDY-SDN|)、および、月齢板回転方向R(正転方向RY、逆転方向RN)による電子時計1の消費電力の差の両方に基づいて設定されているので、消費電力を抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態における所定ステップ数SDTは、一定の値であるがこれに限定されるものではなく、現在表示モードDRに基づいて異ならせてもよい。例えば、所定ステップ数SDTは、現在表示モードDRが北半球表示モードDNである場合の値と、現在表示モードDRが南半球表示モードDNである場合の値とを異ならせてもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、月マーク421,422が同一であるが、これに限定されているものではなく、月マーク421,422が互いに異なるものであってもよい。図10は、変形例における表示モード切替動作時における月相表示部の動作説明の一例を示す図であり、現在月齢板回転位置と切替後月齢板回転位置とを同一の月マークで表示する例である。図11は、変形例における表示モード切替動作時における月相表示部の動作説明の一例を示す図であり、現在月齢板回転位置と切替後月齢板回転位置とを異なる月マークで表示する例である。
図10および図11に示すように、例えば、月マーク421,422の色を互いに異ならせることで、ユーザーが視認すると区別をすることができるようにしてもよい。この場合、例えば、現在月齢板ステップ位置SR(=6、月マーク421による月相表示を行う)に対応する現在月齢MR(=6)に対して切替後月齢MC(=24)に対応する切替後月齢板ステップ位置SCは、図10に示すように、第1切替後月齢板ステップ位置SC1(=24、月マーク421による月相表示を行う)と、図11に示すように、第2切替後月齢板ステップ位置SC2(=54、月マーク422による月相表示を行う)がある。月マーク421,422が互いに異なる場合は、現在月齢板ステップ位置SR(=6)から第1切替後月齢板ステップ位置SC1(=24)まで月齢板42を回転駆動しても、月相表示に用いられる月マークは、同じ朔望周期に用いられる月マーク421となるため、月相表示部4を視認するユーザーにとって違和感が生じない。一方で、現在月齢板ステップ位置SR(=6)から第2切替後月齢板ステップ位置SC2(=54)まで月齢板42を回転駆動すると、月相表示に用いられる月マークは、月マーク421から切替動作前の朔望周期と異なる朔望周期に用いられる月マーク422となるため、月相表示部4を視認するユーザーにとって違和感が生じる。
制御回路72は、操作部6により表示モードの切り替え操作が行われたと判断すると、第1切替後月齢板ステップ位置SC1および第2切替後月齢板ステップ位置SC2のうち、現在月齢MRにおける朔望周期の月相表示を行う月マーク421,422に対応する切替後月齢板回転位置である切替後月齢板ステップ位置SC1,SC2まで、月齢板42を現在月齢板回転位置SRから回転駆動させることで、月相表示部4を視認するユーザーにとって違和感が生じることを抑制することができる。
具体的には、制御回路72は、表示モードが北半球モードDNであり、現在月齢板ステップ位置SRに基づいた現在月齢MRが基準月齢MB未満(MR<MB)の場合は、現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板ステップ位置SCまで、正転方向RYに回転駆動させる。また、制御回路72は、表示モードが北半球モードDNであり、現在月齢板ステップ位置SRに基づいた現在月齢MRが基準月齢MBを超える(MR>MB)場合は、現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板ステップ位置SCまで、逆転方向RNに回転駆動させる。
また、制御回路72は、表示モードが南半球モードDSであり、現在月齢板ステップ位置SRに基づいた現在月齢MRが基準月齢MB未満(MR<MB)の場合は、現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板ステップ位置SCまで、逆転方向RNに回転駆動させる。また、制御回路72は、表示モードが南半球モードDSであり、現在月齢板ステップ位置SRに基づいた現在月齢MRが基準月齢MBを超える(MR>MB)場合は、現在月齢板ステップ位置SRから切替後月齢板ステップ位置SCまで、正転方向RYに回転駆動させる。
【0066】
また、本実施形態においては、月齢板42は1日で1ステップ分ステップ回転駆動するが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、月齢板42は1日でnステップ分ステップ回転駆動してもよい(n>1)。この場合、月齢板42は、1日で1ステップ分ステップ回転駆動を行うことにより60ステップで1回転する場合、1日でnステップ分ステップ回転駆動を行うことにより60×nステップで1回転することとなる。
【0067】
また、本実施形態においては、月齢板42の1回転で2朔望周期の朔望周期分の月齢に対応する月相表示を行うものであるがこれに限定されるものではなく、月齢板42の1回転で1朔望周期の朔望周期分の月齢に対応する月相表示を行うものであってもよい。この場合、切替後月齢板ステップ位置SCは、朔望周期の数、すなわち1つとなる。
【0068】
また、本実施形態においては、制御回路72が月齢板42を1日1ステップで回転駆動させ、59日に1回、1日2ステップで月齢板42をステップ回転駆動させるものであるが、これに限定されるものではなく、内部時刻に基づいて2ヶ月に1回、1日2ステップで月齢板42をステップ回転駆動させてもよい。また、本実施形態においては、月齢板42が60ステップで1回転するものであるが、これに限定されるものではなく、偶数ステップで1回転するものであればよく、例えば、月齢板42が58ステップで1回転するものであってもよい。この場合、制御回路72は、月齢板42のカウントNが58であると判定すると、1ステップ分回転駆動させ、月齢板42のカウントNを0とせず、さらに日が変更されると判定されると、1ステップ分回転駆動せず、月齢板42のカウントNを0とする。また、月齢板42が奇数ステップで1回転するものであってもよく、例えば、月齢板42が59ステップで1回転するものであってもよい。この場合、基準月齢MBが14.5に設定されることとなる。
【0069】
また、本実施形態において月齢板42の現在月齢板ステップ位置SRは、ユーザーにより手動で設定されるがこれに限定されるものではなく、受信した時刻情報(西暦情報、月情報、日情報を含む)に基づいて制御回路72が現在月齢板ステップ位置SRの補正を行ってもよい。具体的には、制御回路72は、(基準日からの日数X+基準日の月齢Y)%29.53=補正月齢Wにより求める。例えば、Xが1593、Y14.7であると、Wは13となる。
【符号の説明】
【0070】
1 電子時計
2 外装ケース
21 胴
22 ベゼル
23 風防
24 先かん
3 時刻表示部
31 指針
32 文字板
321,322 時字
323 日板用開口
33 見返しリング
34 日板
341 日マーク
4 月相表示部
41 月齢板用開口
421,422 凹部
42 月齢板
421,422 月マーク
43,44 月齢板回転方向マーク
5 機能表示部
51 機能針
52 機能マーク板
6 操作部
61 リューズ
62,63 プッシュボタン
7 ムーブメント
71 アンテナ
72 制御回路
73 アクチュエータ
73a 第1アクチュエータ
73b 第2アクチュエータ
73c 第3アクチュエータ(月齢板用アクチュエータ)
73d 第4アクチュエータ
74 輪列機構
74a 第1輪列機構
74b 第2輪列機構
74c 第3輪列機構
74d 第4輪列機構
75 発電機構
76 二次電池
8 ベルト
O1 時計中心
O2 月齢板中心
O3 機能マーク中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11