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  • 特開-茹麺個食分け玉取り方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063830
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】茹麺個食分け玉取り方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20240507BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A23L7/109 Z
A23L7/109 J
A47J27/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171941
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】399131677
【氏名又は名称】トーキョーメンキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】松橋 英隆
(72)【発明者】
【氏名】築地 和彦
【テーマコード(参考)】
4B046
4B054
【Fターム(参考)】
4B046LA01
4B046LB04
4B046LC20
4B046LE05
4B046LE13
4B046LP61
4B054AB02
4B054AC13
4B054CC04
4B054CC12
4B054CE02
4B054CE13
4B054CG09
(57)【要約】
【課題】1食毎の区切りをすり切り方式によらない新規な方法で行うことで短麺の発生を抑止することができる茹麺個食分け玉取り方法及び装置を提供することを課題とする。
【解決手段】麺供給タンク1の底に、麺線取出し用エゼクターノズル2を介して計量カゴ3に向かって伸びるピンチ用チューブ4を配し、エゼクターノズル2は、麺供給タンク1底面の麺供出口からの麺線引き出しを補助する機能を有し、ピンチ用チューブ4はその中途に、ピンチ用チューブ4を間欠的に挟圧するピンチバルブ5を備えていて、ピンチバルブ5によるピンチ用チューブ4の挟圧時にピンチ用チューブ4内における麺線の落下が一時的に停止するようにした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺供給タンク底面の麺供出口と計量カゴとの間に配置されるピンチ用チューブの中間部を微圧で狭圧することにより、前記ピンチ用チューブ内を落下する麺線の落下を間欠的に停止させることで、麺線の前記計量カゴ内への落下量を規制することを特徴とする茹麺個食分け玉取り方法。
【請求項2】
麺供給タンクの底に、麺線取出し用エゼクターノズルを介して計量カゴに向かって伸びるピンチ用チューブを配し、
前記エゼクターノズルは、前記麺供給タンク底面の麺供出口からの麺線引き出しを補助する機能を有し、前記ピンチ用チューブはその中途に、前記ピンチ用チューブを間欠的に挟圧するピンチバルブを備えていて、前記ピンチバルブによる前記ピンチ用チューブの挟圧時に前記ピンチ用チューブ内における麺線の落下が一時的に停止するようにしたことを特徴とする茹麺個食分け玉取り装置。
【請求項3】
前記エゼクターノズルは、前記麺供給タンク底面の麺供出口からの麺線引き出しを補助するよう作用する下降水流を噴出する下降流ノズルを備えている、請求項2に記載の茹麺個食分け玉取り装置。
【請求項4】
前記エゼクターノズルは、前記麺供給タンク底面の麺供出口付近の麺線を翻転させて麺詰まりを防止するよう作用する上昇水流を噴出する上昇流ノズルを備える、請求項2又は3に記載の茹麺個食分け玉取り装置。
【請求項5】
前記下降流ノズルと前記上昇流ノズルは、交互に高圧水を噴出するように制御される、請求項4に記載の茹麺個食分け玉取り装置。
【請求項6】
前記ピンチバルブは、前記ピンチ用チューブを狭圧する一対のチューブエレメントを備え、前記一対のチューブエレメントは、挟圧終了後に真空操作により凹み動作して前記ピンチ用チューブの復元を補助する、請求項2に記載の茹麺個食分け玉取り装置。
【請求項7】
前記ピンチ用チューブの下端と前記計量カゴの間に計量延長管が配設される、請求項2に記載の茹麺個食分け玉取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大釜で茹で上がった麺を個食に取り分ける茹麺個食分け玉取り方法及び装置に関するものであり、より詳細には、麺線を切断することなく、定量取り出しを可能にする茹麺個食分け玉取り方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に大釜で茹でられた麺は、冷却されて個食分け玉取り装置にて1食分ずつ取り分けられて後段のバケットに入れられ、包装工程に送られる。その場合の玉取り装置の機構としては、一般に容積計量方式が用いられ、満杯になった計量カゴの上面をすり切る操作で一定容積(重量)を確保する構成となっている。このすり切り計量方式の場合は、計量カゴからはみ出ている麺を切断するために、その切断により生ずる短麺が製品内に存在することが不可避となる。特に日本そばのような固い麺線は、切断され易いために短麺の発生率が高く、その分商品価値が下がってしまうので、現状では、ほとんど玉取り装置ラインでの製造は行われていない。
【0003】
上記すり切り計量に伴う短麺の発生を抑制するためには、麺供給タンクからの麺線の供給を小出しにする必要があるとの知見の下に創案された、茹で麺の自動計量方法の開示がある(特開2012-50425号)。その方法は、水流と回転ドラムを協調させて上下に回転する流れを生じさせることで、麺供給タンク内の水中にストックされた茹麺が、沈降による密集や、往復軌道の攪拌等でのかき集めによる密集を防ぎ、麺の小出し供給を可能にするものである。
【0004】
しかし、その構成の場合、切断麺の発生を抑えられるものの、ゼロにはできない点で未だ問題が残り、また、麺の小出し供給は麺供給タンク底部の供出口における麺の詰まりを防ぐ効果があるものの、許容重量に満たないものが生ずる可能性があり、その場合の手直しのための計量に手間がかかるという問題がある。この問題を解決するものとして、玉取り機ですり切り計量する場合に切断麺の発生を抑え、単に標準偏差を低下させるような計量精度の向上を目指すのではなく、重量許容範囲内に分布する確率(正量通過率)を高め、0.5食で計量したものを合算して1食にする場合の正量通過率を高め、更に0.5食で計量したものを合算して1食にする場合に玉取り機の処理効率を落とさずに正量通過率を高めることを指向したすり切り計量方法が提案されている(特開2021-32874号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-50425号公報
【特許文献2】特開2021-32874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、特許文献1の発明の場合には、すり切りに伴う短麺の発生を十分に抑えられないという問題があり、特許文献2の発明の場合は、0.5食ずつの計量のために手間がかかり、また、その分システムが複雑になるという問題がある。そこで本発明は、同じく容積計量方式を用いるが、1食毎の区切りをすり切り方式によらない新規な方法で行うことで短麺の発生を抑止することができる茹麺個食分け玉取り方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題解決のために鋭意研究を進めた結果、同じ容積計量方式を用いるが、1食毎の区切りをすり切り方式ではなく、計量カゴ上部に極微圧のピンチバルブを配置し、麺線を途中で切断することがない微圧にてツマミ止めして区切りを作ることにより計量することが可能であることに思い至り、本発明をなしたものである。
【0008】
なお、その研究開発過程において、ピンチバルブで止める筒の太さによって止められる麺線の数と長さに違いが生じ、下部にある計量カゴに入る麺線の容積の変化量が大きくなって、1食毎に重量誤差が生じることが判明した。そこで、その変化量を少なくするために通過筒径を細くすることを試みたが、麺線の詰りや、計量投入時間が長くなり、処理量が低減する結果となった。その結果を受けて更に研究を進めた結果、その問題を解決するためには、最小限の取出し筒径と取出し時間の短縮を図る方式として、水エゼクターの併用方式を採用することが有効であるとの結論に達し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0009】
即ち、上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、麺供給タンク底面の麺供出口と計量カゴとの間に配置されるピンチ用チューブの中間部を微圧で狭圧することにより、前記ピンチ用チューブ内を落下する麺線の落下を間欠的に停止させることで、麺線の前記計量カゴ内への落下量を規制することを特徴とする茹麺個食分け玉取り方法である。
【0010】
また、上記課題を解決するための請求項2に記載の発明は、麺供給タンクの底に、麺線取出し用エゼクターノズルを介して計量カゴに向かって伸びるピンチ用チューブを配し、
前記エゼクターノズルは、前記麺供給タンク底面の麺供出口からの麺線引き出しを補助する機能を有し、前記ピンチ用チューブはその中途に、前記ピンチ用チューブを間欠的に挟圧するピンチバルブを備えていて、前記ピンチバルブによる前記ピンチ用チューブの挟圧時に前記ピンチ用チューブ内における麺線の落下が一時的に停止するようにしたことを特徴とする茹麺個食分け玉取り装置である。
【0011】
一実施形態においては、前記エゼクターノズルは、前記麺供給タンク底面の麺供出口からの麺線引き出しを補助するよう作用する下降水流を噴出する下降流ノズルを備え、更に、前記エゼクターノズルは、前記麺供給タンク底面の麺供出口付近の麺線を翻転させて麺詰まりを防止するよう作用する上昇水流を噴出する上昇流ノズルを備える。
【0012】
一実施形態においては、前記下降流ノズルと前記上昇流ノズルは、交互に高圧水を噴出するように制御される。
【0013】
一実施形態においては、前記ピンチバルブは、前記ピンチ用チューブを狭圧する一対のチューブエレメントを備え、前記一対のチューブエレメントは、挟圧終了後に真空操作により凹み動作して前記ピンチ用チューブの復元を補助する。また、一実施形態においては、前記ピンチ用チューブの下端と前記計量カゴの間に計量延長管が配設される。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記のとおりであって、容積計量方式を用いるが、1食毎の区切りをすり切り方式によらず、麺供給タンク底面の麺供出口と計量カゴとの間に配置されるピンチ用チューブの中間部を微圧で狭圧する方法により、ピンチ用チューブ内を落下する麺線の落下を間欠的に停止させることで、短麺の発生を抑止しつつ、麺線の計量カゴ内への落下量を規制して計量し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る茹麺個食分け玉取り装置の概略構成図である。
図2】本発明に係る茹麺個食分け玉取り装置におけるエゼクターノズルの部分断面図及びA-A線断面図である。
図3】本発明に係る茹麺個食分け玉取り装置におけるピンチバルブ及びピンチ用チューブ部分の正面図及びB-B線断面図である。
図4】本発明に係る茹麺個食分け玉取り装置におけるピンチバルブ及びピンチ用チューブ部分の分解斜視図である。
図5】本発明に係る茹麺個食分け玉取り装置におけるピンチバルブ及びピンチ用チューブ部分の縦断面図である。
図6】本発明に係る茹麺個食分け玉取り装置におけるピンチバルブ及びピンチ用チューブ部分の動作を示す横断面図である。
図7】本発明に係る茹麺個食分け玉取り装置におけるピンチバルブ及びピンチ用チューブ部分の動作を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明に係る茹麺個食分け玉取り方法は、麺供給タンク底部の麺供出口と計量カゴとの間の麺落下通路であるピンチ用チューブの中間部を微圧で狭圧して、麺線の落下を間欠的に停止させることで、麺線の前記計量カゴ内への落下量を規制することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明に係る茹麺個食分け玉取り装置は、上記方法を実施するためのもので、機枠(図示してない)の上部に配設される麺供給タンク1の底に、複数(通例、2~6)並置されるものである。玉取り装置はそれぞれ、麺供給タンク1の底に固定設置される麺線取出し用エゼクターノズル2と、エゼクターノズル2に取り付けられる計量部と、計量部の下に配置される計量カゴ3とから成り、計量部は、ピンチ用チューブ4と、ピンチ用チューブ4の中途に配置されて、ピンチ用チューブ4を間欠的に挟圧するピンチバルブ5により構成される(図1)。
【0018】
エゼクターノズル2は、麺供給タンク1底部の麺供出口1aからの麺線引き出しを補助する機能を果たすと共に、該麺供出口1aの麺詰まりを防止する機能を果たすものである。後述するように、それらの機能を果たすためにエゼクターノズル2には、麺線引き込み用下降水流を噴出する下降流ノズル14と、麺線翻転用上昇水流を噴出する上昇流ノズル15が、それぞれ求心的に複数(例えば、6個)形成される(図2)。
【0019】
エゼクターノズル2は、樹脂製のノズル本体11と、ノズル本体11を包囲する金属製カバー12とから成り、ノズル本体11に上下に貫通する麺通路13が形成される。麺通路13の内径は、上端から下端まで均一である。エゼクターノズル2の下半部及び上半部にそれぞれ、メネジを切ったネジ筒16,17が横向きに突設される。
【0020】
ノズル本体11の下半部は細径化されて周面に環状水路18が形成され、ネジ筒16は環状水路18に向けて開口するように設置される。そして、環状水路18から麺通路13に向けて、斜め下向きに下降流ノズル14が複数穿設される。また、ノズル本体11の上半部の周面に環状水路19が形成され、ネジ筒17は環状水路19に向けて開口するように設置される。そして、環状水路19から麺通路13に向けて、若干斜め上向きに上昇流ノズル15が複数穿設される。
【0021】
ネジ筒16には、麺線引出しのための高圧水供給用ホースジョイント21がネジ付けられ、ネジ筒17には、麺線翻転のための高圧水供給用ホースジョイント22がネジ付けられる。ホースジョイント21,22には、間欠的に交互に高圧水を供給する高圧水供給機構が接続される。
【0022】
図1に示されるように高圧水供給機構は、圧力貯蔵タンクから供給される高圧水を受ける水用三方電磁弁23と、三方電磁弁23に連結される流量調整弁24,25を含む。一方の流量調整弁24は、高圧水供給ホース27を介してホースジョイント22に接続され、他方の流量調整弁25は、高圧水供給ホース28を介してホースジョイント21に接続される。上記三方電磁弁23と流量調整弁24,25は、各玉取り装置ごとに配設される。
【0023】
特に図3~5に示されるように、エゼクターノズル2の下側に連設される計量部は、ピンチ用チューブ4と、ピンチ用チューブ4の中途に配置されて、ピンチ用チューブ4を間欠的に挟圧するピンチバルブ5により構成される。ピンチ用チューブ4は、上部がエゼクターノズル2の下底に連結される入口配管ヘルール31に嵌め付けられてホースバンドで固定され、あるいは、後述するように、連結ブロック6,6aを入口配管ヘルール31に取り付ける際に、ゴム輪を挟み入れることにより固定される。
【0024】
図4に示されるように、ピンチバルブ5は、一対の連結ブロック6,6aと、連結ブロック6,6a間に支持される一対のバルブ本体36,36aとから成り、連結ブロック6,6aは、バルブ本体36,36aを支持しつつピンチ用チューブ4を挟んだ状態で、上下をネジ7で締着することにより連結される。その際連結ブロック6,6aの上部において、ピンチ用チューブ4が被装されている入口配管ヘルール31の下部を強圧することにより、ピンチバルブ5が入口配管ヘルール31に固定される。また、連結ブロック6,6aの下部において、ピンチ用チューブ4が装入されている出口配管ヘルール32の上部を強圧することにより、出口配管ヘルール32がピンチバルブ5に固定される。
【0025】
連結ブロック6,6aには、それぞれ、バルブ本体36,36aの端部を挿入して支持するための支持孔8,8aが並設される。そして、一方の連結ブロック6aに、微圧エア供給孔9が形成される。
【0026】
ピンチバルブ5のバルブ本体36,36aは、半円形のケース37と、ケース37内に収められる断面半円形状のコア38と、コア38に気密状態に被装される薄肉ゴムのチューブエレメント39とから成り、コア38に、連結ブロック6aの微圧エア供給孔9に連通する、奥が閉塞されたエア出入孔40が形成される(特に図6参照)。エア出入孔40には、ピンチバルブ用真空バキューム機構から、極微圧化された動作用圧縮空気が供給され、また、エア引きされる。チューブエレメント39の両端部は、押さえフェルール39aによりコア38に押し付けられて気密保持され、押さえフェルール39aの外側に、与圧用クッションゴムパッキン39bが配置される(図6参照)。
【0027】
ピンチバルブ用真空バキューム機構は、図1に示されるように、フィルター41を通した高圧エア(0.5MPa)を減圧するレギュレータ42、更に減圧する微圧レギュレータ43、真空エゼクター44、及び、低圧エア用3ポート直動電磁弁45により構成される。3ポート直動電磁弁45は各玉取装置ごとに配備され、真空エゼクター44は各玉取り装置に共通のものとされる。なお、3ポート直動電磁弁45及び上記三方電磁弁23の動作タイミングは、タイマー24を介して制御される。ピンチバルブ5は、ピンチ用チューブ4内を落下してくる麺線M群を、切断することなく挟圧し、計量の区切りを作るためのものである。ここで、柔かい麺線を切断させないためには、管径にもよるが、ピンチの圧力を極微圧、即ち、0.01~0.05MPa程度で作動させる必要がある。
【0028】
本発明に係る個食取りの玉取り装置の場合、バッチで茹で上がった麺が5~10Kg単位で麺供給タンク1に投入される。麺線Mの塊から少量ずつ小分けするには、ある程度麺線がバラけて水との濃度が一定になるようにする必要がある。そうでなければ、計量に必要な時間が安定しない。そこで本発明においては、麺供給タンク1内に、その底面の麺供出口1a付近の麺線Mを翻転させて麺詰まりを防止するためのほぐし機構が配備される。ほぐし機構は、一般に用いられている種々の構成のほぐし機構のうち任意のものを採用することができる。このほぐし機構と上記麺線翻転用上昇水流を噴出する上昇流ノズル15との協働により、麺供出口1aの麺詰まりが防止される。
【0029】
出口配管ヘルール32には、計量カゴ3まで伸びる計量延長管33が連結される。計量延長管33は、計量カゴ3上面からの麺線Mのはみ出しを防止するために設置されるものである。即ち、本発明においては容積式計量を行うが、計量カゴ3が麺で一杯になって、出口配管ヘルール32まで麺が充満すると、下降流ノズル14からの補助水流も出口が塞がった状態となって流速が衰えることにより、麺供出口1aからの麺線Mの流下が止まってしまう。計量延長管33は、かかる状況を回避するために配置されるもので、例えば、100mm程の長さとされる。
【0030】
計量カゴ3は、周面にパンチング孔が穿設され、下面が開口されたもので、下面開口はその下側に配置される開閉板47の動作に伴って開閉する。開閉板47は水平状態から下方へ回動可能に軸支されていて、水平状態時に計量カゴ3の下面開口を閉塞して麺線Mを溜め入れ、下方回動時に下面開口を開いて溜まっていた麺塊を自重で落下させ、その下に巡回するバケット内に落ちて収容され、次工程の包装工程に送られる。開閉板47は、上記タイマー24と連係するタイマー48に制御されて間欠的に動作するエアシリンダ49に駆動されて開閉動作する。なお、計量カゴ3は、本体に対して上下に摺動する摺動筒3aを本体下部に被装し、それを上下動させることで容量可変にすることが好ましい。
【0031】
上記構成の本発明に係る茹麺個食分け玉取り装置においては、水が貯められた麺供給タンク1に、バッチで茹で上がった麺塊が、5~10Kg単位で投入される。投入された麺塊は、麺供給タンク1に配備されているほぐし機構の作用で翻転してほぐされ、更に上昇流ノズル15からの上昇水流を受けてほぐされるため、麺線Mが麺供出口1a付近に溜まって麺詰まりを起こすことはない。
【0032】
上昇流ノズル15と下降流ノズル14には、三方電磁弁23の作用で間欠的に交互に高圧水が供給され、上昇流ノズル15から上昇流が噴き上げられている間、麺線Mのエゼクターノズル2内への落下が止まり、下降流ノズル14から下降流が噴出している間、麺線Mがエゼクターノズル2内に引き込まれる。即ち、エゼクターノズル2内に落下した麺線Mは、麺線引き込み用下降水流を噴出する下降流ノズル14の作用で下方に助勢されつつ麺通路13からピンチ用チューブ4内に落下し、更に、計量延長管33を通過して計量カゴ3内に貯まっていく。
【0033】
所定時間経過後に連結ブロック6aの微圧エア供給孔9に所定の微圧エアが送られると、微圧エアは、ピンチ用チューブ4を挟んで対向するバルブ本体36,36aのエア出入孔40内に導入され、エア出入孔40部分のチューブエレメント39を水平方向に膨出させるように作用する。その結果、ピンチ用チューブ4が狭圧されて潰され、落下中の麺線M群が押さえ止められ(図7)、それより先に落下した麺線M群と区分けされる。即ち、1食分の計量が行われる。
【0034】
そして、所定時間経過後にエア出入孔40内の微圧エアが吸い出されてピンチバルブ5が開動作すると、潰されていたピンチ用チューブ4がその弾性により元の断面円形状態に復元し、挟持されていた麺線M群が解放されて自重で落下する。但し、ピンチ用チューブ4が短時間のうちに復元し切れない場合もあり得るので、本発明においては、ピンチバルブ5の開動作時に、完全に復元して麺通路が確保され、以て麺線M群がスムーズに落下し得るようにするために、ピンチ用チューブ4を真空操作により復元させる機能を備える。即ち、エア出入孔40内を負圧状態にして、チューブエレメント39がエア出入孔40に沿って凹陥するようにする(図6,7参照)。
【0035】
本発明においては、計量精度を出すために、麺線Mの通路であるピンチ用チューブ4を狭めて通過する麺線の本数を少なくしているが、そのために計量速度が遅れないように、下降流ノズル14から補助水流を流し(エゼクター水流)、計量する麺線Mの落下速度を上げている。
【0036】
そして、計量動作が終了した時点からは、麺供給タンク1底部の麺供出口1aが麺塊で詰まることがないように、上昇流ノズル15から麺供出口1aに逆流(上昇流)を流すようにしている。また、計量動作の終了時には、ピンチバルブ5が閉動作してピンチ用チューブ4内に麺線M群が挟持されていてその部分が閉塞状態となるため、上昇流ノズル15は若干上向きに形成すれば、上昇流ノズル15からの噴出水は、確実に麺供出口1aに向かうことになる。
【0037】
上記のようにして計量されて計量カゴ3内に貯まった1食分の麺塊は、計量カゴ3の下面開口の下側に設置されている開閉板47がエアシリンダ49に駆動されて開くに伴い、自重でその下に巡回するバケット内に落ちて収容され、次工程の包装工程に送られる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は上記のとおりであって、容積計量方式を用いるが、1食毎の区切りをすり切り方式によらず、麺供給タンク底面の麺供出口と計量カゴとの間に配置されるピンチ用チューブの中間部を微圧で狭圧する方法により、ピンチ用チューブ内を落下する麺線の落下を間欠的に停止させることで、短麺の発生を抑止しつつ、麺線の計量カゴ内への落下量を規制して計量することができる効果のあるものであり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0039】
1 麺供給タンク
2 エゼクターノズル
3 計量カゴ
4 ピンチ用チューブ
5 ピンチバルブ
14 下降流ノズル
15 上昇流ノズル
31 入口配管ヘルール
32 出口配管ヘルール
33 計量延長管
36,36a バルブ本体
39 チューブエレメント
40 エア出入孔
47 開閉板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7