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特開2024-63834定量キャップ、及び定量キャップ付き容器
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  • 特開-定量キャップ、及び定量キャップ付き容器 図1
  • 特開-定量キャップ、及び定量キャップ付き容器 図2
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  • 特開-定量キャップ、及び定量キャップ付き容器 図4
  • 特開-定量キャップ、及び定量キャップ付き容器 図5
  • 特開-定量キャップ、及び定量キャップ付き容器 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063834
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】定量キャップ、及び定量キャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/04 20060101AFI20240507BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20240507BHJP
   B65D 47/04 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B65D83/04 Z
B65D47/20 200
B65D47/04 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171945
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB07
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB13
3E084EA02
3E084EB02
3E084FA09
3E084FC04
3E084LA12
3E084LA24
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC02
3E084LE06
(57)【要約】
【課題】粒状物が取り出せる状態まで操作できていることを使用者に伝えることが可能な定量キャップ、及び定量キャップ付き容器を提案する。
【解決手段】本発明の定量キャップ2は、排出筒部4dを口部1cに向けて移動させると排出筒部4dによって弾かれる弾き部3kを備え、容器1を倒立させて排出筒部4dを対象物Tに押し当てると、閉塞壁部3cが初期姿勢から傾動姿勢に変位して内部空間Nの粒状物Rは第一通過口H1を通過して第二通過口H2と第一通過口H1との間に所定の数量で貯留され、且つ、弾き部3kは排出筒部4dによって弾かれ、排出筒部4dを対象物Tから離反させると、閉塞壁部3cが傾動姿勢から初期姿勢に変位して貯留された粒状物Rが第二通過口H2を通過して排出口4eから排出される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着され該容器の内部空間に収容した粒状物を所定の数量で排出する定量キャップであって、
筒状をなし先端側に前記粒状物を排出する排出口を有する排出筒部と、
前記排出筒部の中心軸に沿う向きに弾性変形可能であって該排出筒部を前記口部に向けて移動させると該排出筒部を該口部から離れる向きに付勢する弾性部と、
前記中心軸周りに複数配置され、該中心軸に近い位置にある先端部と該中心軸から遠い位置にある根元部とを有し、前記排出筒部を前記口部に向けて移動させると該排出筒部によって押し込まれて弾性変形して該根元部周りに傾いた傾動姿勢に変位する一方、該排出筒部が該口部から離れる向きに移動すると初期姿勢に変位する閉塞壁部と、
複数の前記閉塞壁部における複数の中間部によって区画され、前記内部空間と前記排出口との間に位置し、前記閉塞壁部が前記初期姿勢に変位した状態で前記粒状物の外径よりも小さくなり、且つ、該閉塞壁部が前記傾動姿勢に変位した状態で該粒状物の外径よりも大きくなる第一通過口と、
複数の前記閉塞壁部における複数の前記先端部によって区画され、前記第一通過口と前記排出口との間に位置し、前記閉塞壁部が前記初期姿勢に変位した状態で前記粒状物の外径よりも大きくなり、且つ、該閉塞壁部が前記傾動姿勢に変位した状態で該粒状物の外径よりも小さくなる第二通過口と、
前記排出筒部を前記口部に向けて移動させると該排出筒部によって弾かれる弾き部と、を備え、
前記容器を倒立させて前記排出筒部を対象物に押し当てると、前記弾き部は該排出筒部によって弾かれ、且つ、前記閉塞壁部が前記初期姿勢から前記傾動姿勢に変位して前記内部空間の前記粒状物は前記第一通過口を通過して前記第二通過口と該第一通過口との間に所定の数量で貯留され、
前記排出筒部を前記対象物から離反させると、前記閉塞壁部が前記傾動姿勢から前記初期姿勢に変位して貯留された前記粒状物が前記第二通過口を通過して前記排出口から排出される、定量キャップ。
【請求項2】
前記定量キャップは、ヘッドを含んで構成され、
前記ヘッドは、前記排出筒部、前記弾性部、及び前記口部に装着される装着部を有し、
前記弾性部は、弾性変形可能な湾曲板状であって前記排出筒部と前記装着部とを連結するものである、請求項1に記載の定量キャップ。
【請求項3】
前記定量キャップは、中栓を含んで構成され、
前記中栓は、複数の前記閉塞壁部、前記第一通過口、前記第二通過口、前記弾き部、及び前記中心軸を中心とする円環状の基部を有し、
複数の前記閉塞壁部は、前記中心軸周りに間隔をあけて該基部に前記根元部を連結させたものであり、
前記弾き部は、周方向に間隔をあけた前記閉塞壁部の間で前記基部に連結させたものである、請求項1に記載の定量キャップ。
【請求項4】
前記中栓は、前記弾き部を複数有し、
複数の前記弾き部は、前記中心軸を中心として非点対称であって、且つ、隣り合う該弾き部の間に前記閉塞壁部が複数設けられる配置で前記基部に設けられる、請求項3に記載の定量キャップ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の定量キャップと前記容器とを備える定量キャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容した粒状物を定量で取り出すことができる定量キャップ、及び定量キャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子や薬剤等の粒状物を収容する容器から所定の数量の粒状物を取り出すことができる定量キャップ、及び定量キャップ付き容器が知られている(例えば特許文献1参照)。このような定量キャップ付き容器は、ヘッドを手のひら等に押し当てると、容器本体の内側に向かって移動するスライド筒によって規制片が径方向外側へ向かって変位し、これにより規制片によって進行が阻止されていた容器内の粒状物が計量空間へ移動する。そしてヘッドが対象物から離れると、スライド筒が元の位置へ移動して規制片が復帰し、計量空間への新たな粒状物の進行が遮られるため、ヘッドを対象物に押し当てていた際に計量空間へ移動していた所定数の粒状物のみが手のひらの上に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6636824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上記の定量キャップ付き容器は、粒状物を取り出すにあたってヘッドを手のひら等へ押し当てる際、押し当て具合が不十分であると、スライド筒が意図した位置まで移動せず、粒状物は規制片によって進行が阻止されたままで計量空間へ移動できないおそれがある。このため、使用者に対し、スライド筒を移動させているのに粒状物が取り出せないと感じさせてしまう懸念がある。
【0005】
このような点に鑑み、本発明は、粒状物が取り出せる状態まで操作できていることを使用者に伝えることが可能な定量キャップ、及び定量キャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器の口部に装着され該容器の内部空間に収容した粒状物を所定の数量で排出する定量キャップであって、
筒状をなし先端側に前記粒状物を排出する排出口を有する排出筒部と、
前記排出筒部の中心軸に沿う向きに弾性変形可能であって該排出筒部を前記口部に向けて移動させると該排出筒部を該口部から離れる向きに付勢する弾性部と、
前記中心軸周りに複数配置され、該中心軸に近い位置にある先端部と該中心軸から遠い位置にある根元部とを有し、前記排出筒部を前記口部に向けて移動させると該排出筒部によって押し込まれて弾性変形して該根元部周りに傾いた傾動姿勢に変位する一方、該排出筒部が該口部から離れる向きに移動すると初期姿勢に変位する閉塞壁部と、
複数の前記閉塞壁部における複数の中間部によって区画され、前記内部空間と前記排出口との間に位置し、前記閉塞壁部が前記初期姿勢に変位した状態で前記粒状物の外径よりも小さくなり、且つ、該閉塞壁部が前記傾動姿勢に変位した状態で該粒状物の外径よりも大きくなる第一通過口と、
複数の前記閉塞壁部における複数の前記先端部によって区画され、前記第一通過口と前記排出口との間に位置し、前記閉塞壁部が前記初期姿勢に変位した状態で前記粒状物の外径よりも大きくなり、且つ、該閉塞壁部が前記傾動姿勢に変位した状態で該粒状物の外径よりも小さくなる第二通過口と、
前記排出筒部を前記口部に向けて移動させると該排出筒部によって弾かれる弾き部と、を備え、
前記容器を倒立させて前記排出筒部を対象物に押し当てると、前記弾き部は該排出筒部によって弾かれ、且つ、前記閉塞壁部が前記初期姿勢から前記傾動姿勢に変位して前記内部空間の前記粒状物は前記第一通過口を通過して前記第二通過口と該第一通過口との間に所定の数量で貯留され、
前記排出筒部を前記対象物から離反させると、前記閉塞壁部が前記傾動姿勢から前記初期姿勢に変位して貯留された前記粒状物が前記第二通過口を通過して前記排出口から排出される、定量キャップである。
【0007】
前記定量キャップは、ヘッドを含んで構成され、
前記ヘッドは、前記排出筒部、前記弾性部、及び前記口部に装着される装着部を有し、
前記弾性部は、弾性変形可能な湾曲板状であって前記排出筒部と前記装着部とを連結するものであることが好ましい。
【0008】
前記定量キャップは、中栓を含んで構成され、
前記中栓は、複数の前記閉塞壁部、前記第一通過口、前記第二通過口、前記弾き部、及び前記中心軸を中心とする円環状の基部を有し、
複数の前記閉塞壁部は、前記中心軸周りに間隔をあけて該基部に前記根元部を連結させたものであり、
前記弾き部は、周方向に間隔をあけた前記閉塞壁部の間で前記基部に連結させたものであることが好ましい。
【0009】
前記中栓は、前記弾き部を複数有し、
複数の前記弾き部は、前記中心軸を中心として非点対称であって、且つ、隣り合う該弾き部の間に前記閉塞壁部が複数設けられる配置で前記基部に設けられることが好ましい。
【0010】
また本発明は、上述した何れかの定量キャップと前記容器とを備える定量キャップ付き容器でもある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の定量キャップ、及び定量キャップ付き容器によれば、排出筒部を対象物に押し当てると、容器の内部空間に収容した粒状物は第二通過口と第一通過口との間に所定の数量で貯留され、排出筒部を対象物から離反させると、貯留した粒状物のみが排出口から排出される。また排出筒部を対象物に押し当てた際、弾き部は排出筒部によって弾かれて音や振動を発生させるため、使用者は生じた音や振動によって粒状物が取り出せる状態まで操作できていることを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る定量キャップ付き容器の一実施形態に関し、容器を正立させた状態での側面視での断面図である。
図2図1に示した中栓に関し、(a)は平面図であり、(b)はA-Aに沿う断面図であり、(c)は底面図である。
図3】容器を倒立させて排出筒部を対象物に接触させた状態を示す図である。
図4図3の状態の後、容器を対象物に対して押し込んだ状態を示す図である。
図5図4の状態の後、対象物に向けて押し付けていた容器への力を緩めた状態を示す図である。
図6】排出筒部と弾き部との関係を示した図であって、(a)は排出筒部が口部に向けて移動する前の状態を示し、(b)は排出筒部が口部に向けて移動し始めた状態を示し、(c)は排出筒部が更に口部に向けて移動した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明に係る定量キャップ、及び定量キャップ付き容器の一実施形態について説明する。なお、本明細書等において上下方向とは、図示した中心軸O(後述する排出筒部4dの中心軸)に沿う向きである。また径方向とは、中心軸Oに対して垂直な面内で中心軸Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で中心軸Oを中心として周回する方向である。
【0014】
図1に示すように本実施形態の定量キャップ付き容器100は、容器1と、定量キャップ2と、オーバーキャップ5で構成されている。定量キャップ2は、中栓3とヘッド4で構成されている。図示したようにこれらの部材は、何れも中心軸Oを中心とする形状で形作られている。
【0015】
容器1は、円板状の底部1aと、底部1aの外縁部に連結する円筒状の胴部1bと、胴部1bよりも小径の円筒状であって胴部1bの上端部に連結する口部1cを備えている。口部1cの外周面には、雄ねじ部1dと外向き爪部1eが設けられている。容器1の内側には、内部空間Nが区画されていて、内部空間Nには粒状物R(図3参照)が収容される。本実施形態の粒状物Rは、図示は省略するが正面視で円形状をなしていて、且つ側面視では図3に示すように楕円状になるように形作られている。
【0016】
中栓3は、図2に示すように中心軸Oを中心とする円環状の基部3aを備えている。本実施形態の基部3aは、図2(b)に示すように水平方向に延在する円環板状部分と、円環板状部分の内縁部から上方に向けて延在する円筒状部分を備えていて、円環板状部分の下面には、下方に向けて延在する円筒状のシール壁3bが設けられている。シール壁3bは、図1に示すように中栓3を容器1に取り付けた際、口部1cの内周面に接触する部位である。
【0017】
基部3aの径方向内側には、複数の閉塞壁部3cが設けられている。閉塞壁部3cは、図2(a)に示すように平面視で扇形状になるように形作られている。なお、一部の閉塞壁部3cは、図示したように平面視での幅が狭くなるように形作られている。本実施形態における中栓3は、閉塞壁部3cを合計6個備えていて、これらは中心軸O周りに等間隔で(本実施形態では中心軸Oを中心とする角度が60°になる間隔で)配置されている。なお、幅が狭くなった閉塞壁部3c同士の間には、比較的大きな隙間が設けられていて、この隙間には後述する弾き部3kが配置されている。
【0018】
また閉塞壁部3cは、側面視において、図2(b)に示すように、径方向内側において上下方向に延在する内側縦板壁3dと、内側縦板壁3dの下端部から径方向外側に向かうにつれて下方へ湾曲しながら傾く傾斜壁3eと、傾斜壁3eの外縁部から上方に向けて延在する外側縦板壁3fと、外側縦板壁3fの上端部から径方向外側に向けて延在する横板壁3gを備える形状で形作られている。そして内側縦板壁3dと傾斜壁3eが連結する部位には、径方向内側に向けて突出する凸部3hが設けられ、傾斜壁3eの上面には、内側縦板壁3d、傾斜壁3e、及び外側縦板壁3fを連結するリブ3jが設けられている。なお、閉塞壁部3cにおける内側縦板壁3dが設けられている部位は、本明細書等における「先端部」に相当し、横板壁3gが設けられている部位は、本明細書等における「根元部」に相当し、凸部3hが設けられている部位は、本明細書等における「中間部」に相当する。閉塞壁部3cは、横板壁3gを基部3aの円筒状部分に連結させて基部3aに片持ち保持されている。
【0019】
閉塞壁部3cは、通常は図2(b)に示した初期姿勢にあるが、リブ3jを押圧すると、横板壁3gが基部3aに連結する部位が弾性変形し、この連結する部位を中心として揺動するように傾いて傾動姿勢に変位する(図4参照)。ここで、複数の閉塞壁部3cにおける複数の凸部3hによって区画され、平面視で円形状になる開口を第一通過口H1と称し、複数の閉塞壁部3cにおける複数の内側縦板壁3dの先端によって区画され、平面視で円形状になる開口を第二通過口H2と称する。閉塞壁部3cが初期姿勢にある場合、第一通過口H1の直径は粒状物Rの直径(平面視での円形状の直径)よりも小さく、第二通過口H2の直径は粒状物Rの直径よりも大きくなっている。また閉塞壁部3cが傾動姿勢にある場合、第一通過口H1の直径は粒状物Rの直径よりも大きく、第二通過口H2の直径は粒状物Rの直径よりも小さくなっている。
【0020】
また中栓3は、弾き部3kを備えている。弾き部3kは、図2(a)に示すように平面視で矩形状になるように形作られている。また弾き部3kは、本実施形態では合計2個設けられていて、それぞれは幅が狭くなった閉塞壁部3c同士の間に設けられた隙間に配置されている。すなわち、2個の弾き部3kは、中心軸Oを中心とする角度が120°になるように配置されている。換言すると、本実施形態における2個の弾き部3kは、中心軸Oを中心として非点対称に配置されている。また2個の弾き部3kの間には、閉塞壁部3cが複数(本実施形態では2個)配置されている。
【0021】
弾き部3kは、図2(b)に示すように側面視でも矩形状をなしている。なお、弾き部3kにおける厚みは平面視での幅よりも薄くなっていて、上下方向に弾性変形可能である。また基部3aの径方向内側端部における下面には、傾斜面3mが設けられている(図1参照)。弾き部3kは、径方向外側端部が基部3aの円筒状部分に連結していて、基部3aに片持ち保持されている。
【0022】
ヘッド4は、図1に示すように口部1cの上部を取り囲む筒状壁4aと、筒状壁4aの上端部から径方向内側に向けて延在する円環状の上部壁4bを備えている。筒状壁4aの内周面には、内向き爪部4cが設けられていて、内向き爪部4cを外向き爪部1eに係合させることにより、ヘッド4を口部1cに装着することができる。なお、筒状壁4a、上部壁4b、及び内向き爪部4cは、本明細書等における「装着部」に相当する。ヘッド4を口部1cに装着した状態において、基部3aの円環板状部分は口部1cと上部壁4bで挟み込まれるため、中栓3を口部1cに保持することができる。
【0023】
またヘッド4は、内側縦板壁3dの径方向外側に位置する円筒状の排出筒部4dを備えている。排出筒部4dの上部には、粒状物Rを排出する排出口4eが設けられている。また排出筒部4dの下部には、径方向外側に向けて突出する突起4fが設けられている。
【0024】
更にヘッド4は、図1に示すように上部壁4bの径方向内側端部と排出筒部4dの上下方向中間部とを連結する弾性部4gを備えている。本実施形態の弾性部4gは、図示したようにドーム状になるように膨出させた湾曲板状であって、中心軸Oに沿う向きに弾性変形可能である。このため弾性部4gに連結する排出筒部4dは、中心軸Oに沿って移動することが可能である。また排出筒部4dを口部1cに近づく向きに移動させると、排出筒部4dは、弾性部4gによって口部1cから離れる向きへ付勢される。
【0025】
オーバーキャップ5は、有蓋筒状をなすとともに下端部を径方向外側に向けて延在させた天壁5aと、天壁5aの下端部における外縁部から下方に向けて延在して筒状壁4aと口部1cを取り囲む外周壁5bを備えている。外周壁5bの内周面には、雌ねじ部5cが設けられていて、雌ねじ部5cを雄ねじ部1dに螺合させることにより、オーバーキャップ5は口部1cに装着される。またオーバーキャップ5は、天壁5aの下面から下方に向けて延在する棒状部5dを備えている。
【0026】
このような形態になる定量キャップ付き容器100から粒状物Rを排出させるにあたっては、図1に示したオーバーキャップ5を口部1cから取り外す。そして図3に示すように容器1を倒立させて粒状物Rを取り出したい対象物T(例えば手の平)に排出筒部4dを接触させる。なお図3に示した閉塞壁部3cは、初期姿勢の状態にある。すなわち第一通過口H1の直径は、粒状物Rの直径よりも小さいため、内部空間Nに収容された粒状物Rは、閉塞壁部3cによって第一通過口H1を通過できない状態にある。
【0027】
そして図4に示すように容器1を対象物Tに押し付けると、対象物Tによって排出筒部4dは口部1cに向けて移動する。このとき排出筒部4dにおける突起4fを設けた端部は、リブ3jに接触してこのリブ3jを押圧するため、初期姿勢の閉塞壁部3cは、傾動姿勢に変位する。閉塞壁部3cが傾動姿勢に変位すると、第一通過口H1の直径は粒状物Rの直径よりも大きくなるため、内部空間Nに収容された粒状物Rは第一通過口H1を通過する。一方、閉塞壁部3cが傾動姿勢に変位した状態において、第二通過口H2の直径は粒状物Rの直径よりも小さくなるため、第二通過口H2と第一通過口H1との間に粒状物Rが所定の数量で(本実施形態では1個)貯留される。なお、この状態において弾性部4gは、図示したように弾性変形している。
【0028】
上述した弾き部3kは、容器1を対象物Tに押し付ける前の状態において、図6(a)に示すように排出筒部4dにおける突起4fを設けた端部に対して離隔している。そして容器1を対象物Tに押し付けて排出筒部4dが口部1cに向けて移動すると、図6(b)に示すように突起4fが弾き部3kの径方向内側端部に接触して弾き部3kを撓ませ、更に排出筒部4dが移動すると、図6(c)に示すように撓んだ弾き部3kが復元する。すなわち弾き部3kは、排出筒部4dが口部1cに向けて移動して初期姿勢の閉塞壁部3cが傾動姿勢に変位する際、突起4fによって弾かれるため、その際に音や振動が発生する。このため定量キャップ付き容器100を使用する使用者は、生じた音や振動によって粒状物Rが取り出せる状態まで操作できていることを知ることができる。また本実施形態では弾き部3kを複数設けているため、使用者に伝わる音や振動をより大きくすることができる。
【0029】
その後、対象物Tに向けて押し付けていた容器1への力を緩めると、図5に示すように排出筒部4dは、弾性部4gの復元力によって口部1cから離れる向きに移動する。これにより、弾性変形していた閉塞壁部3cが傾動姿勢から初期姿勢に変位するため、内部空間Nに収容された粒状物Rが再び第一通過口H1を通過できない状態になる。従って容器1を対象物Tから持ち上げると、第二通過口H2と第一通過口H1との間に貯留されていた1個の粒状物Rだけが排出口4eから排出される。
【0030】
ところで、排出筒部4dが口部1cから離れる向きに移動する際、突起4fが弾き部3kに接触する。ここで弾性部4gの復元力がそれ程大きくない場合は、突起4fが弾き部3kに引っ掛かって排出筒部4dが途中で止まるおそれがあるが、本実施形態の弾き部3kには傾斜面3mが設けられていて、排出筒部4dが口部1cから離れる向きに移動する際に突起4fは傾斜面3mに接触するため、このような不具合の発生を抑えることができる。
【0031】
なお、本発明者が検討を重ねたところ、本実施形態のように弾き部3kを複数設けるにあたって、弾き部3kを、中心軸Oを中心として点対称に設ける場合(例えば図2(a)に示す状態において、2個の弾き部3kを、中心軸Oを中心とする角度が180°になるように配置する場合)は、突起4fが弾き部3kに接触した際、弾き部3kが排出筒部4dを均等に支持するために排出筒部4dが途中で止まりやすくなる傾向が認められた。また、弾き部3k同士の位置が近く、隣り合う弾き部3kの間に閉塞壁部3cが1個しか配置されていない場合は、近づけて配置した弾き部3kが排出筒部4dを強く支持し、排出筒部4dが途中で止まりやすくなる傾向が認められた。一方、本実施形態の弾き部3kのように、中心軸Oを中心として非点対称であって、且つ、隣り合う弾き部3kの間に閉塞壁部3cが複数設けられる配置にすると、排出筒部4dが途中で止まりやすくなる不具合を解消することが可能であった。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0033】
例えば排出筒部4dや弾き部3kの個数は一例であって、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0034】
また弾性部4gによる排出筒部4dを初期位置に復帰させる機能は、ヘッド4とは別異に設けたもの(例えば金属製のコイルスプリング)によって得られるようにしてもよい。コイルスプリングを用いる場合は、一般に大きな弾性力が得られるため、例えば弾き部3kの個数を更に増やしても、押し込んだ排出筒部4dを確実に初期位置に復帰させることができる。
【0035】
そして排出させる粒状物Rの数量は、1個に限られず2個以上に設定することも可能である。粒状物Rの数量を増やすにあたっては、例えば閉塞壁部3cにおける内側縦板壁3dの長さを延長し、第二通過口H2と第一通過口H1との距離を長くすればよい。
【符号の説明】
【0036】
1:容器
1a:底部
1b:胴部
1c:口部
1d:雄ねじ部
1e:外向き爪部
2:定量キャップ
3:中栓
3a:基部
3b:シール壁
3c:閉塞壁部
3d:内側縦板壁
3e:傾斜壁
3f:外側縦板壁
3g:横板壁
3h:凸部
3j:リブ
3k:弾き部
3m:傾斜面
4:ヘッド
4a:筒状壁
4b:上部壁
4c:内向き爪部
4d:排出筒部
4e:排出口
4f:突起
4g:弾性部
5:オーバーキャップ
5a:天壁
5b:外周壁
5c:雌ねじ部
5d:棒状部
100:定量キャップ付き容器
H1:第一通過口
H2:第二通過口
N:内部空間
O:中心軸
R:粒状物
T:対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6