(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063841
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240507BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240507BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/68 A
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171964
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】二木 哲也
【テーマコード(参考)】
3C100
5F131
【Fターム(参考)】
3C100AA16
3C100AA18
3C100AA70
3C100BB12
3C100EE06
5F131AA02
5F131BA00
5F131CA32
5F131CA34
5F131CA35
5F131DA22
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA34
5F131DA36
5F131DA42
5F131DD03
5F131DD12
5F131DD13
5F131DD23
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD46
5F131DD73
5F131DD74
5F131DD82
5F131DD83
5F131DD84
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減させることができる技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、複数の処理ユニット10と、複数の搬送ユニット20と、制御部90とを備える。複数の搬送ユニット20は複数の処理ユニット10に対してワークを搬送する。制御部90は、複数の処理ユニット10および複数の搬送ユニット20の動作タイミングを規定し、かつ、複数のワークを処理対象としたスケジュールを生成し、スケジュールに従って複数の処理ユニット10および複数の搬送ユニット20を制御する。制御部90は、所定条件を満たした仮スケジュールのうち、複数の搬送ユニット20の稼働台数が最も少ない仮スケジュールをスケジュールとして生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対する処理を行う複数の処理ユニットと、
前記複数の処理ユニットに対してワークを搬送する複数の搬送ユニットと、
前記複数の処理ユニットおよび前記複数の搬送ユニットの動作タイミングを規定し、かつ、複数のワークを処理対象としたスケジュールを生成し、前記スケジュールに従って前記複数の処理ユニットおよび前記複数の搬送ユニットを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、所定条件を満たした仮スケジュールのうち、前記複数の搬送ユニットの稼働台数が最も少ない仮スケジュールを前記スケジュールとして生成する、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記所定条件は、前記複数のワークに対するスループットが所定値よりも高いという条件を含む、基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記複数の処理ユニットの各々について、ワークを処理する処理時間、および、前記処理時間が経過してからの遅延許容時間が設定されており、
前記制御部は、前記複数の処理ユニットの各々について、前記処理時間の経過後かつ前記遅延許容時間の経過前に前記複数の処理ユニットの各々からワークを搬出した前記スケジュールを作成する、基板処理装置。
【請求項4】
ワークに対する処理を行う複数の処理ユニットの動作タイミング、および、前記複数の処理ユニットに対してワークを搬送する複数の搬送ユニットの動作タイミングを規定し、かつ、複数のワークを処理対象としたスケジュールを生成する第1工程と、
前記スケジュールに従って前記複数の処理ユニットおよび前記複数の搬送ユニットを制御する第2工程と
を備え、
前記第1工程において、所定条件を満たした仮スケジュールのうち、前記複数の搬送ユニットの稼働台数が最も少ない仮スケジュールを前記スケジュールとして生成する、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板を処理する基板処理装置が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1では、基板処理装置は、基板を搬送するための複数の基板搬送装置と、基板を処理する複数の処理槽とを含んでいる。また、基板処理装置にはスケジューラが設けられる。スケジューラは、基板搬送装置を含めたスケジューリングを行う。すなわち、スケジューラは、基板搬送装置の動作タイミングを規定したスケジューリングデータを作成し、該スケジューリングデータに従って複数の基板搬送装置が動作する。これにより、基板処理装置は基板に対する処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の基板処理装置では、複数の基板搬送装置の全てが動作している。このため、基板処理装置の消費電力が高くなる、という問題がある。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、消費電力を低減させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、基板処理装置であって、ワークに対する処理を行う複数の処理ユニットと、前記複数の処理ユニットに対してワークを搬送する複数の搬送ユニットと、前記複数の処理ユニットおよび前記複数の搬送ユニットの動作タイミングを規定し、かつ、複数のワークを処理対象としたスケジュールを生成し、前記スケジュールに従って前記複数の処理ユニットおよび前記複数の搬送ユニットを制御する制御部とを備え、前記制御部は、所定条件を満たした仮スケジュールのうち、前記複数の搬送ユニットの稼働台数が最も少ない仮スケジュールを前記スケジュールとして生成する。
【0007】
第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理装置であって、前記所定条件は、前記複数のワークに対するスループットが所定値よりも高いという条件を含む。
【0008】
第3の態様は、第1または第2の態様にかかる基板処理装置であって、前記複数の処理ユニットの各々について、ワークを処理する処理時間、および、前記処理時間が経過してからの遅延許容時間が設定されており、前記制御部は、前記複数の処理ユニットの各々について、前記処理時間の経過後かつ前記遅延許容時間の経過前に前記複数の処理ユニットの各々からワークを搬出した前記スケジュールを作成する。
【0009】
第4の態様は、基板処理方法であって、ワークに対する処理を行う複数の処理ユニットの動作タイミング、および、前記複数の処理ユニットに対してワークを搬送する複数の搬送ユニットの動作タイミングを規定し、かつ、複数のワークを処理対象としたスケジュールを生成する第1工程と、前記スケジュールに従って前記複数の処理ユニットおよび前記複数の搬送ユニットを制御する第2工程とを備え、前記第1工程において、所定条件を満たした仮スケジュールのうち、前記複数の搬送ユニットの稼働台数が最も少ない仮スケジュールを前記スケジュールとして生成する。
【発明の効果】
【0010】
第1の態様によれば、稼働台数の少ない仮スケジュールをスケジュールとするので、基板処理装置の消費電力を低減させることができる。
【0011】
第3の態様によれば、基板群に対する過剰な処理を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
【
図2】制御部の内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図3】各基板群が受ける一連の処理に相当するフローレシピの一例を示す図である。
【
図4】スケジュールの一例を概略的に示す図である。
【
図5】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、図面に示される構成の大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、
図1において、XYZ直交座標系が適宜に示されている。ここでは、Z軸は、鉛直方向に沿った軸である。また、以下では、X軸に平行な一方向を+X方向と呼び、その反対方向を-X方向とも呼ぶ。また、X軸の一方側を+X側とも呼び、他方側を-X側と呼ぶことがある。Y軸およびZ軸についても同様である。
【0014】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0015】
また、以下に記載される説明において、「第1」または「第2」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0016】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)が用いられる場合、該表現は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現が用いられる場合、該表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現が用いられる場合、該表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
【0017】
<1.基板処理装置の構成>
図1は、基板処理装置100の構成の一例を概略的に示す平面図である。基板処理装置100は、複数の基板Wを一括して処理するバッチ式の処理装置である。基板Wは例えば平板状の形状を有している。基板Wの材質は特に制限されず、例えば、半導体基板、ガラス基板および樹脂基板などの種々の基板が基板Wに適用され得る。基板Wは、例えば平面視において矩形状の形状を有するパネルであってもよい。基板Wの縦方向の長さおよび横方向の長さは、例えば数百mm程度であってもよく、より具体的な一例として500mm程度であってもよい。なお、基板Wの形状は矩形状に限らず、例えば円形状であってもよい。
【0018】
基板処理装置100は、少なくとも、複数の処理ユニット10と、複数の搬送ユニット20とを含む。
図1の例では、基板処理装置100は、搬入出ブロック110、中継ブロック120および処理ブロック130を含んでおり、複数の処理ユニット10および複数の搬送ユニット20は処理ブロック130に設けられている。
【0019】
搬入出ブロック110、中継ブロック120および処理ブロック130はX方向に沿ってこの順で配列されている。つまり、搬入出ブロック110が-X方向の端に設けられ、処理ブロック130が+X方向の端に設けられ、中継ブロック120が搬入出ブロック110と処理ブロック130との間に設けられている。
【0020】
図1の例では、搬入出ブロック110に対して中継ブロック120と反対側には、ロードポートLPが設けられている。ロードポートLPには、未処理の複数の基板Wを収納した収納器(以下、フープFと呼ぶ)が、基板処理装置100の外部の搬送部(不図示)から搬入される。フープFには、複数の基板Wが、例えば、水平姿勢で鉛直方向において並んだ状態で収納される。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢である。ロードポートLPは、フープFを載置する載置台を含んでいる。ロードポートLPに搬入されたフープFは、後述のように搬入出ブロック110内に搬送される。フープF内の未処理の基板Wは搬入出ブロック110内において取り出され、中継ブロック120および処理ブロック130を往復し、再び搬入出ブロック110に搬送される。後述のように、複数の基板Wは処理ブロック130において処理されるので、処理済みの複数の基板Wが搬入出ブロック110に搬送されることになる。処理済みの基板Wは搬入出ブロック110において再びフープFに収納される。該フープFはロードポートLPに搬送され、ロードポートLPから外部の搬送部によって搬出される。なお、
図1の例では、2つのロードポートLPがY方向において配列されているものの、ロードポートLPの個数はこれに限らず、適宜に変更され得る。
【0021】
<1-1.搬入出ブロック>
図1の例では、搬入出ブロック110は、複数の棚111、フープ搬送ユニット112,113,116、オープナ114,117および基板受渡ユニット115,118を含んでいる。
【0022】
複数の棚111は、例えば、YZ平面においてマトリックス状に配列される。各棚111にはフープFが搬送され、フープFが載置される。フープ搬送ユニット112はX方向においてロードポートLPと棚111との間に設けられている。
図1の例では、2つのフープ搬送ユニット112がY方向において配列されている。各フープ搬送ユニット112は各ロードポートLPと各棚111との間でフープFを搬送する。
【0023】
フープ搬送ユニット113はX方向において棚111とオープナ114との間に設けられている。フープ搬送ユニット113は各棚111からオープナ114にフープFを搬送する。オープナ114はフープFを載置可能であり、かつ、載置されたフープFの蓋を開閉可能である。基板受渡ユニット115はオープナ114と中継ブロック120との間に設けられており、オープナ114がフープFの蓋を開いた状態で、基板WをフープFから取り出し、該基板Wを中継ブロック120に渡す。フープ搬送ユニット113、オープナ114および基板受渡ユニット115はX方向において配列されている。
【0024】
フープ搬送ユニット116はフープ搬送ユニット113とY方向において並んでおり、フープ搬送ユニット113に対して-Y側に設けられている。オープナ117はオープナ114とY方向において並んでおり、オープナ114に対して-Y側に設けられている。オープナ117はフープFを載置可能であり、かつ、載置されたフープFの蓋を開閉可能である。基板受渡ユニット118は基板受渡ユニット115とY方向において並んでおり、基板受渡ユニット115に対して-Y側に設けられている。基板受渡ユニット118は中継ブロック120から処理済みの基板Wを受け取り、オープナ117によって蓋が開いた状態のフープFに該基板Wを収納する。フープ搬送ユニット116はオープナ117からフープFを搬出し、該フープFを棚111に搬送する。フープ搬送ユニット116、オープナ117および基板受渡ユニット118はX方向において配列されている。
【0025】
<1-2.中継ブロック>
中継ブロック120は、キャリア支持部121,123と、待機部122,124とを含む。基板受渡ユニット115、キャリア支持部121および待機部122はX方向においてこの順で配列されている。つまり、キャリア支持部121は基板受渡ユニット115と待機部122との間に設けられている。キャリア支持部121は、例えばフープFよりも収納枚数が多い装置内収容器(以下、キャリアCと呼ぶ)を支持することが可能である。キャリア支持部121によって支持されたキャリアCには、基板受渡ユニット115によって基板Wが搬入される。以下では、キャリアCに収納された複数の基板Wを基板群Gとも呼ぶ。ここでは、キャリアCに収納された基板Wの枚数は、フープFに収納された基板Wの枚数よりも多い。
【0026】
キャリア支持部121はキャリアCの姿勢を変更可能に構成されている。例えば、キャリア支持部121は、キャリアC内の各基板Wの姿勢が水平姿勢から起立姿勢に変化するように、キャリアCの姿勢を変更する。ここでいう起立姿勢とは、基板Wの厚み方向が水平方向(例えばX方向)に沿う姿勢である。待機部122は、キャリア支持部121から受け取ったキャリアCを支持する。待機部122によって支持されたキャリアCは適宜に処理ブロック130に渡される。
【0027】
基板受渡ユニット118、キャリア支持部123および待機部124はX方向においてこの順に配列されている。つまり、キャリア支持部123は基板受渡ユニット118と待機部124との間に設けられている。待機部124は、処理ブロック130から受け取った、処理済みの基板群Gを収納したキャリアCを支持する。待機部124によって支持されたキャリアCは適宜にキャリア支持部123に渡される。キャリア支持部123はキャリアCを支持する。また、キャリア支持部123はキャリアCの姿勢を変更可能に構成されている。例えば、キャリア支持部123は基板Wの姿勢が起立姿勢から水平姿勢に変化するように、キャリアCの姿勢を変更する。キャリア支持部123によって支持されたキャリアCの内部の基板Wは基板受渡ユニット118によって取り出される。
【0028】
<1-3.処理ブロック>
図1の例では、処理ブロック130は、複数の処理ユニット10と、複数の搬送ユニット20と、キャリア搬送ユニット30,31とを含んでいる。キャリア搬送ユニット30は待機部122とX方向において並んでいる。キャリア搬送ユニット30は、待機部122から受け取ったキャリアCを+X方向に沿って搬送し、該キャリアCをキャリア搬送ユニット31に渡す。キャリア搬送ユニット31は、キャリア搬送ユニット30から受け取ったキャリアCを-Y方向に沿って搬送し、該キャリアCを複数の搬送ユニット20のいずれかに渡す。
【0029】
複数の搬送ユニット20の各々はキャリア搬送ユニット31からキャリアCを受け取ることができる。各搬送ユニット20は後述のようにキャリアCを複数の処理ユニット10に搬送する。
【0030】
複数の処理ユニット10はキャリア搬送ユニット30に対して-Y側に設けられ、X方向に沿って1列に配列されている。
図1の例では、複数の処理ユニット10は待機部124とX方向において並んでいる。
図1の例では、複数の処理ユニット10として、10個の処理ユニット10aから処理ユニット10jが示されている。処理ユニット10aから処理ユニット10jはこの順で設けられている。ここでは、処理ユニット10jが中継ブロック120に最も近い位置に設けられ、処理ユニット10aが中継ブロック120から最も離れた位置に設けられている。
【0031】
各処理ユニット10は処理槽11を含んでいる。処理槽11には、例えば、処理液が貯留されている。処理液は、例えば、エッチング液等の薬液および該薬液を洗い流す純水等のリンス液を含む。各処理槽11には、処理ユニット10が行う処理に応じた種類の処理液が貯留され得る。ここでは、処理ユニット10aから処理ユニット10cはそれぞれ処理P1から処理P3を基板群Gに対して行うことが可能であり、処理ユニット10dおよび処理ユニット10eは処理P4を基板群Gに対して行うことが可能であり、処理ユニット10fから処理ユニット10gはそれぞれ処理P5および処理P6を基板群Gに対して行うことが可能であり、処理ユニット10hから処理ユニット10jは処理P7を基板群Gに対して行うことが可能である。処理P1から処理P7の具体的な内容は特に限定されないものの、例えば、各基板Wのエッチング対象を除去するエッチング処理、各基板Wに付着した薬液を洗い流すリンス処理、各基板Wを乾燥させる乾燥処理等の種々の処理を含む。
【0032】
図1の例では、各処理ユニット10はホルダ12を含んでいる。ホルダ12は、キャリアCを処理槽11に浸漬させた処理位置と、処理槽11よりも上方の受渡位置との間で、キャリアCを昇降させる。キャリアCが処理位置に位置する状態では、キャリアC内の基板群Gに処理液が作用し、処理液に応じた処理が基板群Gに対して行われる。例えば処理ユニット10aはキャリアC内の基板群Gに対して処理P1を行う。一方で、キャリアCが受渡位置に位置する状態では、ホルダ12と搬送ユニット20との間でキャリアCの受け渡しが行われる。
【0033】
各搬送ユニット20はキャリアCを複数の処理ユニット10の間で搬送する。各搬送ユニット20は、複数の処理ユニット10の直上の搬送空間内で、X方向に沿ってキャリアCを搬送する。
図1の例では、複数の搬送ユニット20として、搬送ユニット20aから搬送ユニット20dが示されている。
図1の例では、搬送ユニット20aから搬送ユニット20dはX方向においてこの順で配列されている。ここでは、搬送ユニット20aが中継ブロック120に最も近い位置に設けられ、搬送ユニット20dが中継ブロック120から最も遠い位置に設けられている。
【0034】
図1の例では、複数の搬送ユニット20は、複数の処理ユニット10の配列方向に平行な共通ライン上を移動する。複数の搬送ユニット20は、複数の処理ユニット10に対して+X側の待機空間H1にも移動できる。言い換えれば、該共通ラインには、待機空間H1と、複数の処理ユニット10に対応する搬送空間H2とが含まれる。各搬送ユニット20は待機空間H1内の所定の受渡位置で、キャリア搬送ユニット31からキャリアCを受け取る。
【0035】
図1の例では、複数の搬送ユニット20は、キャリアCを保持する一対の保持部材21を含んでいる。一対の保持部材21はY方向に延びた棒状の形状を有している。ここでは、各搬送ユニット20はキャリアCを1つのみ保持することができる。
【0036】
複数の搬送ユニット20は共通ライン上を移動するので、各搬送ユニット20は他の搬送ユニット20を追い越すことができない。そのため、搬送ユニット20aから搬送ユニット20dの配列順序は常に一定である。
【0037】
各搬送ユニット20の移動機構は特に限定されないものの、その具体的な一例について概説する。各搬送ユニット20は、X方向に沿って延びる固定子25に移動可能に結合されていてもよい。固定子25は例えば装置のフレームに固定されている。固定子25はラックであってもよい。ラックの例えば上面には、X方向に沿って配列された複数の凹凸(歯)が形成される。各搬送ユニット20は、固定子25に対して移動可能に結合する移動子22と、移動子22を固定子25に対して移動させる駆動部23とを有している。移動子22は、例えばラックに噛合する歯車を含んでもよい。駆動部23は、例えば、該歯車を回転させるモータと、該モータに電力を供給する駆動回路とを含む。駆動回路はモータに電力を供給し、モータの動作を制御する。駆動回路は例えばインバータ回路などのモータ駆動回路である。モータが歯車を回転させることにより、移動子22がX方向に沿って移動する。これにより、移動子22を内蔵する搬送ユニット20がX方向に沿って移動する。
【0038】
各搬送ユニット20は各処理ユニット10の直上でキャリアCをホルダ12に渡す。ホルダ12は受け取ったキャリアCを受渡位置から処理位置に下降させることにより、キャリアCを処理槽11内の処理液に浸漬させる。これにより、処理液に応じた処理がキャリアC内の基板群Gに対して行われる。
【0039】
<1-4.制御部>
基板処理装置100は制御部90も含んでいる。
図1の例では、制御部90は搬入出ブロック110に設けられている。制御部90は基板処理装置100の各種構成を制御することができる。
図2は、制御部90の内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。制御部90は電子回路であって、例えばデータ処理部91および記憶部92を有している。
図2の具体例では、データ処理部91と記憶部92とはバス93を介して相互に接続されている。データ処理部91は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶部92は非一時的な記憶部(例えばROM(Read Only Memory)またはハードディスク)921および一時的な記憶部(例えばRAM(Random Access Memory))922を有していてもよい。非一時的な記憶部921には、例えば制御部90が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。データ処理部91がこのプログラムを実行することにより、制御部90が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部90が実行する処理の一部または全部が専用の論理回路などのハードウェアによって実行されてもよい。
【0040】
図1に示されるように、制御部90は、機能部としてのスケジューラ94および実行部95を含んでいる。これらの機能は、例えば、制御部90がプログラムを実行することで実現される。スケジューラ94はスケジュールを作成する。ここでいうスケジュールとは、処理ユニット10および搬送ユニット20等の基板処理装置100の各種構成を動作させるタイミングを規定した計画であって、複数のキャリアC(つまり複数の基板群G)を処理対象とした計画である。実行部95は、作成したスケジュールに従って各種構成を制御する。この制御により、基板処理装置100は基板群Gに対する処理を順次に行うことができる。
【0041】
<2.スケジュール作成>
<2-1.フローレシピ>
図3は、各基板群Gが受ける一連の処理に相当するフローレシピFRの一例を示す図である。フローレシピFRは、基板処理装置100が基板群Gに対して行う処理の順序を示している。
図3に例示されたフローレシピFRにおいては、各基板群Gは処理P1から処理P7をこの順で受ける。つまり、フローレシピFRに従った基板処理装置100の動作において、搬送ユニット20はキャリアCを処理ユニット10aから処理ユニット10cに順次に搬送した後、キャリアCを処理ユニット10dおよび処理ユニット10eのいずれか一方に搬送し、その後、キャリアCを処理ユニット10fおよび処理ユニット10gに順次に搬送し、その後、キャリアCを処理ユニット10hから処理ユニット10iのいずれか一つに搬送する。これにより、基板群Gには処理P1から処理P7がこの順で行われる。
【0042】
処理P1から処理P7には、それぞれ、処理時間および遅延許容時間が設定される。処理時間は、各処理ユニット10が基板群Gを処理槽11内の処理液に浸漬させことにより、基板群Gに対する処理を完了できる時間であり、例えば予め設定される。遅延許容時間は、各処理ユニット10において、基板群Gが処理時間を超えて処理槽11内の処理液に浸漬されても問題がない時間である。つまり、処理時間と遅延許容時間との合計の時間を超えると、基板群Gに対する処理が過剰となる。遅延許容時間も例えば予め設定される。処理時間および遅延許容時間は、例えば、基板処理装置100よりも上流側の装置から基板処理装置100に送信されてもよく、あるいは、作業員が基板処理装置100に入力してもよい。フローレシピFRも同様に、例えば、基板処理装置100よりも上流側の装置から基板処理装置100に送信されてもよく、あるいは、作業員が基板処理装置100に入力してもよい。制御部90は、処理時間および遅延許容時間を処理ごとに示す設定情報を例えば記憶部92に記憶してもよい。
【0043】
制御部90は、複数のキャリアC(つまり基板群G)についての処理に関するスケジュールをフローレシピFRに基づいて作成する。つまり、制御部90は、複数の基板群Gの全てに対する処理を完了させるためのスケジュールを作成する。ここでいうスケジュールには、各ユニットが動作するタイミングおよび動作内容が規定される。
【0044】
<2-2.スケジュールの具体例>
図4は、スケジュールの一例を概略的に示す図である。
図4の例では、キャリアCに複数の基板Wを収納し、そのキャリアCを搬送ユニット20の直前まで搬送する処理が“IN”で示され、キャリアCを処理ブロック130から搬出する処理が“OUT”で示されている。また、
図4の例では、各処理ユニット10に対応した処理の符号が括弧で示されている。例えば符号10の直下に括弧で符号P1が示されている。これは、処理ユニット10によって処理P1が行われることを示している。
【0045】
各処理の直下に示された複数のブロックは、各処理の動作タイミングを示している。具体的には、ブロックの上端の位置が、該ブロックで示された処理の開始タイミングを示しており、ブロックの下端の位置が該処理の終了タイミングを示している。また、ブロックの下端とブロックの上端とを結ぶ破線の矢印はキャリアCの搬送を示している。
図4の例では、同じキャリアCに対応するブロックには同じハッチングを付与している。
【0046】
図4の例では、3台の搬送ユニット20aから搬送ユニット20cを用いて6つのキャリアCを順に処理するときのスケジュールが示されている。
図4のスケジュールを1番目のキャリアCに着目して説明すると、まず、中継ブロック120において複数の基板WがキャリアCに収納され、キャリア搬送ユニット30およびキャリア搬送ユニット31によって搬送される。この動作がブロックB1によって示されている。次に、搬送ユニット20aがキャリアCをキャリア搬送ユニット31から受け取り、キャリアCを処理ユニット10aに搬送する。この搬送がブロックB2によって示されている。ブロックB2の上下方向の長さは、搬送ユニット20aによる処理ユニット10aへの搬送に要する時間を示している。
【0047】
処理ユニット10aは、搬入されたキャリアCを処理槽11内の処理液に浸漬させることで、キャリアC内の基板群Gに対して処理P1を行う。この処理P1がブロックB3によって示されている。ブロックB3の上下方向の長さは、処理P1の処理時間を示している。
【0048】
処理P1が完了すると、搬送ユニット20aは処理ユニット10aからキャリアCを受け取り、処理ユニット10bにキャリアCを搬送する。この搬送がブロックB4によって示されている。処理ユニット10bは、搬入されたキャリアC内の基板群Gに対して処理P2を行う。この処理P2がブロックB5によって示されている。
【0049】
処理P2が完了すると、搬送ユニット20aは処理ユニット10bからキャリアCを受け取り、処理ユニット10cにキャリアCを搬送する。この搬送がブロックB6によって示されている。処理ユニット10cは、搬入されたキャリアC内の基板群Gに対して処理P3を行う。この処理P3がブロックB7によって示されている。
【0050】
処理P3が完了すると、搬送ユニット20aは処理ユニット10cからキャリアCを受け取り、処理ユニット10dにキャリアCを搬送する。この搬送がブロックB8によって示されている。処理ユニット10dは、搬入されたキャリアC内の基板群Gに対して処理P4を行う。この処理P4がブロックB9によって示されている。
図4の例では、処理P4の処理時間は、処理P1から処理P3の処理時間の全てよりも長い。よって、ブロックB9の上下方向の長さがブロックB3、ブロックB5およびブロックB7の全ての長さよりも長く示されている。
【0051】
処理P4が完了すると、搬送ユニット20aは処理ユニット10dからキャリアCを受け取り、処理ユニット10fにキャリアCを搬送する。この搬送がブロックB10によって示されている。処理ユニット10fは、搬入されたキャリアC内の基板群Gに対して処理P5を行う。この処理P5がブロックB11によって示されている。
【0052】
処理P5が完了すると、搬送ユニット20aは処理ユニット10fからキャリアCを受け取り、処理ユニット10gにキャリアCを搬送する。この搬送がブロックB12によって示されている。処理ユニット10gは、搬入されたキャリアC内の基板群Gに対して処理P6を行う。この処理P6がブロックB13によって示されている。
図4の例では、処理P5および処理P6の処理時間は処理P4の処理時間よりも短い。よって、ブロックB11およびブロックB13はブロックB9よりも短く示されている。
【0053】
処理P6が完了すると、搬送ユニット20aは処理ユニット10gからキャリアCを受け取り、処理ユニット10jにキャリアCを搬送する。この搬送がブロックB14によって示されている。処理ユニット10jは、搬入されたキャリアC内の基板群Gに対して処理P7を行う。この処理P7がブロックB15によって示されている。
図4の例では、処理P7の処理時間は処理P1から処理P3、処理P5および処理P6の処理時間の全てよりも長い。よって、ブロックB15がブロックB3、ブロックB5、ブロックB7、ブロックB11およびブロックB13の全てよりも長く示されている。
【0054】
処理P7が完了すると、搬送ユニット20aは処理ユニット10jからキャリアCを受け取り、中継ブロック120にキャリアCを搬送する。この搬送がブロックB16およびブロックB17によって示されている。
【0055】
さて、処理P4および処理P7の処理時間は他の処理P1から処理P3、処理P5および処理P6に比べて長い。また、処理P4を行うことができる処理ユニット10の台数(ここでは2台)は、処理P7を行うことができる処理ユニット10の台数(ここでは3台)よりも少ない。このため、処理P4が、6つのキャリアC(つまり6つの基板群G)を処理する際のスループットに関するボトルネックとなる。
【0056】
図4の例では、処理P4を行う処理ユニット10dおよび処理ユニット10eの各々に対応するブロックは連続的に配置されている。より具体的には、処理ユニット10dにおいて、1番目のキャリアCに対応するブロックB9の直後に3番目のキャリアCに対応するブロックが配置され、該ブロックの直後に5番目のキャリアCに対応するブロックが配置されている。同様に、処理ユニット10eにおいて、2番目のキャリアCに対応するブロックの直後に4番目のキャリアCに対応するブロックが配置され、該ブロックの直後に6番目のキャリアCに対応するブロックが配置されている。このため、
図4に示されたスケジュールによれば、処理ユニット10dおよび処理ユニット10eは実質的な待機時間なしに連続的に処理P4をキャリアCに対して行うことができる。つまり、ボトルネックとなる処理ユニット10dおよび処理ユニット10eにおいて最短で処理P4を行うことができる。したがって、
図4のスケジュールでは、基板処理装置100は6つのキャリアCを最大のスループットで処理することができる。
【0057】
ところで、
図4のスケジュールでは、3台の搬送ユニット20(つまり搬送ユニット20aから搬送ユニット20c)を稼働させており、搬送ユニット20dは稼働させていない。このため、搬送ユニット20dに対する電源を遮断することができる。よって、搬送ユニット20dにおける待機電力の発生を回避することができ、基板処理装置100の消費電力を低減させることができる。
【0058】
基板処理装置100における消費電力を低減させるには、搬送ユニット20の稼働台数は少ないことが望ましい。例えば1台の搬送ユニット20aのみを稼働させれば、3台の搬送ユニット20の電源を遮断することができる。このため、3台分の待機電力を低減させることができる。しかしながら、1台の搬送ユニット20aのみを稼働させたときのスケジュールでは、スループットが悪化する。例えば
図4のスケジュールでは、ブロックB22で示されるように、2番目のキャリアCは搬送ユニット20bによって処理ユニット10aに搬送される。搬送ユニット20aのみを稼働させる場合には、搬送ユニット20bは非稼働であるので、このタイミングでは2番目のキャリアCを搬送させることができない。このため、ブロックB22は、より遅いタイミングで搬送ユニット20aに対応して配置される。これに伴って、他のブロックも適宜により遅いタイミングに配置されることになる。よって、スループットが悪化する。
【0059】
以上のように、搬送ユニット20の稼働台数とスループットとはおおよそトレードオフの関係にある。つまり、稼働台数ごとのスケジュールを事前に作成すると、各スケジュールについてのスループットは、稼働台数が多いほど高まる傾向にある。
【0060】
<2-3.スケジュールの作成方法>
本実施の形態では、制御部90は、後に詳述するように、所定条件を満たした仮スケジュールのうち、稼働台数が最も少ない仮スケジュールをスケジュールとして決定する。所定条件は、例えば、スケジュールの対象となる所定個数(上述の例では6つ)のキャリアC(基板群G)に対するスループットが、所定値以上である、という条件である。
【0061】
図5は、制御部90の動作の一例を示すフローチャートである。制御部90のスケジューラ94はスケジュールを作成する(第1工程)。
図5の例では、第1工程は、ステップS1からステップS4を含む。具体的には、まずスケジューラ94は稼働台数を設定する(ステップS1)。例えば、スケジューラ94は稼働台数を1台に設定する。次に、スケジューラ94は、稼働台数が1台であるときの仮スケジュールを作成する(ステップS2)。具体的には、制御部90は後述の制約条件を満足するように、各ブロックを順次に配置する。なお、ここでいう配置とは、各処理を示すブロックを時間軸上で仮想的に配置することをいう。制約条件は種々の条件があるものの、その例について以下に概説する。
【0062】
制約条件として、例えば、各搬送ユニット20は他の搬送ユニット20に追いつくことも、追い越すことも禁止される。言い換えれば、搬送ユニット20aから搬送ユニット20dの配列順序は常に一定である。
【0063】
制約条件として、同じユニットのブロックが時間的に重なることも禁止される。また、搬送ユニット20については、時間的に隣り合うブロックどうしの間隔についての制約条件もある。つまり、隣り合うブロックの間隔では、搬送ユニット20の移動に要する時間を確保する必要がある。例えば
図4において、ブロックB8の後には、2番目のキャリアCが処理ユニット10aに搬送される(ブロックB22参照)。さて、ブロックB8の終了タイミングでは、搬送ユニット20aは処理ユニット10dと同じ位置にある。搬送ユニット20aが2番目のキャリアCを処理ユニット10aに搬送するには、処理ユニット10dからキャリア搬送ユニット31まで一旦移動し、キャリア搬送ユニット31からキャリアCを受け取る必要がある。処理ユニット10dからキャリア搬送ユニット31までの距離は比較的に長いので、該距離の移動には比較的に長い所要移動時間が必要となる。このため、搬送ユニット20aに対しては、ブロックB8の後、比較的に長い所要移動時間を空けて、次のブロックを配置する必要がある。したがって、
図4のブロックB22の開始タイミングでは、搬送ユニット20aにブロックを配置することができず、搬送ユニット20bにブロックB22が配置される。
【0064】
以上のように、各搬送ユニット20において、時間的に隣り合うブロックどうしの間隔として、移動距離に応じた所要移動時間だけ空ける必要がある。逆にいえば、所要移動時間よりも短い間隔で、搬送ユニット20に対応して2つのブロックを配置することは禁止される。
【0065】
また、制約条件として、処理ユニット10からのキャリアCの搬出タイミングについての条件もある。つまり、処理時間の経過後かつ遅延許容時間の経過前に処理ユニット10からキャリアCを搬出する必要がある。具体的には、処理ユニット10による処理を示すブロックの終了タイミングから遅延許容時間以内の間隔(ゼロを含む)で、該処理ユニットからのキャリアCの搬出を含むブロックを配置する必要がある。
【0066】
なお、上述の例では、処理P4は処理ユニット10dおよび処理ユニット10eのいずれでも行われる。処理ユニット10dおよび処理ユニット10eの両方が空いているときにどちらの処理ユニット10に搬送するかは、例えば、予め設定しておけばよい。処理ユニット10hから処理ユニット10jも同様である。
【0067】
スケジューラ94は、これらの制約条件を満足させつつ、フローレシピFRに基づいて各ブロックを順次に配置する。ここで、スケジュールの対象となるキャリアCの所定個数分のブロックが配置される。つまり、スケジューラ94はブロックB11からブロックB17と同様のブロックを、キャリアCの所定個数分だけ配置する。スケジューラ94は全てのブロックを配置することにより、仮スケジュールを作成する。ここで、スケジューラ94は各ブロックを、例えば、可能な限り早いタイミングで配置していくとよい。また、スケジューラ94は、制約条件を満足するように、一度配置したブロックを適宜に再配置してもよい。
【0068】
次に、スケジューラ94は、設定された稼働台数に対応した仮スケジュールを作成したか否かを判定する(ステップS3)。未だ作成していなければ、スケジューラ94は再びステップS1を実行する。具体的には、スケジューラ94は稼働台数に1を加算して稼働台数を設定する。これにより、続くステップS2において、スケジューラ94は稼働台数が2台であるときの仮スケジュールを作成する。スケジューラ94がステップS1からステップS3を繰り返し実行することにより、全ての稼働台数についての仮スケジュールが作成される。ここでは、4台の搬送ユニット20が設けられているので、4台分の仮スケジュールが生成される。
【0069】
次に、スケジューラ94は、所定条件を満たす仮スケジュールのうちで稼働台数が最も少ない仮スケジュールをスケジュールとして決定する(ステップS4)。所定条件は、例えば、所定個数分のキャリアC(つまり基板群G)に対するスループットが所定値以上である、という条件である。所定値は、例えば、基板処理装置100よりも上流側の装置から基板処理装置100に送信されてもよく、あるいは、作業員が基板処理装置100に入力してもよい。
【0070】
次に、制御部90の実行部95は、スケジューラ94が作成したスケジュールに従って基板処理装置100の各種構成を制御する(ステップS5:第2工程)。これにより、基板処理装置100は所定個数(ここでは6つ)の基板群Gに対する処理を行う。
【0071】
以上のように、本実施の形態では、制御部90は、所定条件を満たす仮スケジュールのうちで稼働台数が最も少ない仮スケジュールがスケジュールとして決定する。制御部90は、稼働していない搬送ユニット20に対する電力供給の少なくとも一部を遮断することにより、搬送ユニット20における待機電力を低減させることができる。例えば、制御部90は、搬送ユニット20の駆動部23(例えばモータ駆動回路)に対する電力供給を遮断する。具体的な一例として、制御部90は電源とモータ駆動回路との間に設けられたスイッチをオフする。このように制御部90は稼働台数が最も少ないスケジュールに従って各種構成を制御することにより、所定条件を満たしつつも、基板処理装置100の消費電力を低減させることができる。
【0072】
また、上述の例では、処理P1から処理P7の各々に対して、遅延許容時間が設定されており、スケジューラ94は処理時間の経過後かつ遅延許容時間の経過前に処理ユニット10からキャリアCを搬出するようにスケジュールを作成する。このため、基板群Gに対する過剰な処理を抑制することができる。
【0073】
以上のように、基板処理装置100およびスケジュールの作成方法は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない多数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0074】
例えば、上述の例では、制御部90は、それぞれの稼働台数についての仮スケジュールを作成しているものの、必ずしもこれに限らない。例えば、制御部90は、稼働台数が少ない順に仮スケジュールを作成し、該仮スケジュールが所定条件を満たしているときに、該仮スケジュールをスケジュールとして決定し、以後の仮スケジュールの作成を中止してもよい。
【0075】
また、上述の例では、搬送ユニット20は、キャリアCに基板群Gを収納した状態で、キャリアCを搬送している。しかしながら、必ずしも基板群GをキャリアCに収納する必要はない。搬送ユニット20が基板群Gを搬送し、各処理ユニット10が基板群Gを搬送ユニット20から受け取り、基板群Gを処理槽11内の処理液に浸漬させてもよい。要するに、搬送ユニット20は、基板群G、あるいは、基板群Gを収納したキャリアCであるワークを搬送し、処理ユニット10が該ワークに対して処理を行えばよい。
【0076】
また、上述の例では、複数の搬送ユニット20は共通ライン上を移動しているものの、互いに異なるライン上を移動してもよい。
【符号の説明】
【0077】
10,10a~10j 処理ユニット
100 基板処理装置
20,20a~20d 搬送ユニット
90 制御部
S1~S4 第1工程(ステップ)
S5 第2工程(ステップ)