(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063843
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】半導体モジュール、半導体モジュールの製造方法、半導体装置、及び車両
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240507BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01L21/60 321E
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171969
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】中村 翼
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】東 展弘
(57)【要約】
【課題】板状はんだを用いて回路板の導電部材とリードとを接合した場合の接合不良を低減する。
【解決手段】半導体モジュール(2)は、配線板(500)上に半導体素子(510)が搭載された回路板(5)と、回路板における導電部材と接合材を介して電気的に接続されるリード(702)とを備え、リードは、接合材により導電部材と接合される接合部(702b)と、接合部から延伸する連結部(702c)とを含み、接合部は、平面視での輪郭が、連結部が延出している第1の端部とは反対側の第2の端部(L4)から連結部の延出方向に所定の距離だけ離れた位置を境として、第2の端部から遠方となる位置において、連結部の延出方向と直交する幅方向の両端の位置が互いに反対の端部の方向に変位して、幅方向の寸法が第1の寸法から第1の寸法よりも小さい第2の寸法に変化する形状である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線板上に半導体素子が搭載された回路板と、前記回路板における導電部材と接合材を介して電気的に接続されるリードとを備え、
前記リードは、前記接合材により前記導電部材と接合される接合部と、前記接合部から延伸する連結部とを含み、
前記接合部は、平面視での輪郭が、前記連結部が延出している第1の端部とは反対側の第2の端部から前記連結部の延出方向に所定の距離だけ離れた位置を境として、前記第2の端部から遠方となる位置において、前記連結部の前記延出方向と直交する幅方向の両端の位置が互いに反対の端部の方向に変位して、前記幅方向の寸法が第1の寸法から第1の寸法よりも小さい第2の寸法に変化する形状である
半導体モジュール。
【請求項2】
前記リードの前記接合部は、前記平面視での前記幅方向の寸法が前記連結部の幅方向の寸法よりも大きい矩形状であり、前記接合部の前記平面視での輪郭が、前記幅方向の端部から前記連結部の幅方向の端部に変化する辺を含む、請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記リードの前記接合部は、前記平面視での輪郭における前記幅方向の端部のそれぞれに、互いに反対の端部の方向に変化する溝部を有する、請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記リードの前記接合部は、前記平面視での輪郭が、前記連結部に近づくにつれて先細りになる部分を有する、請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記回路板の前記導電部材は、前記半導体素子の電極と、前記配線板の導体パターンとを含み、
前記リードは、前記半導体素子の電極と第1の接合材により接合される第1の接合部と、前記配線板の導体パターンと第2の接合材により接合される第2の接合部と、前記第1の接合部と前記第2の接合部とを連結する前記連結部とを含む、請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
配線板に半導体素子を搭載した回路板における導電部材とリードとを、接合材を介して電気的に接続する接続工程を含み、
前記接続工程は、
前記リードにおける前記接合材により前記導電部材と接合される接合部と対応する部分開口部と、前記接合部から延伸する連結部と対応する部分開口部とを含む開口部が形成された冶具を前記回路板に設置する設置工程と、
設置した前記治具における前記接合部と対応する部分開口部に板状の接合材を配置し、更に前記リードを配置する配置工程と、
前記板状の接合材を加熱溶融させて前記導電部材と前記リードの前記接合部とを接合する接合工程と、
前記治具を前記回路板から取り外す取り外し工程と
を含み、
前記リードは、平面視での前記接合部の輪郭が、前記連結部が延出している第1の端部とは反対側の第2の端部から前記連結部の延出方向に所定の距離だけ離れた位置を境として、前記第2の端部から遠方となる位置において、前記連結部の前記延出方向と直交する幅方向の両端の位置が互いに反対の端部の方向に変位して、前記幅方向の寸法が第1の寸法から第1の寸法よりも小さい第2の寸法に変化する形状であり、
前記治具における前記接合部と対応する部分開口部は、平面視での輪郭が、前記接合部及び前記連結部を含む前記リードの輪郭を内包し、かつ、前記幅方向の寸法が前記第1の寸法から前記第2の寸法に変化する部分の軌跡に沿って変化する部分を有する形状である、
ことを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体モジュールと、
前記半導体モジュールの前記回路板における前記半導体素子が搭載された面とは反対側の面に配置された冷却器と、
を備える半導体装置。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体モジュール、又は請求項7に記載の半導体装置を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュール、半導体モジュールの製造方法、半導体装置、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置等の電力変換装置には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)等の半導体素子を搭載した回路板を有する半導体装置を備えるものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この種の半導体装置では、半導体素子の電極と外部端子とを電気的に接続する導電部材のうちの大電流が流れる導電部材として、リードフレームと呼ばれることがある導電板を用いることがある。例えば、特許文献1には、ドレイン端子を有するアイランド上に搭載された半導体素子のソース電極と、ソース端子を有するポストとを、導電板により電気的に接続した半導体装置が記載されている。また、例えば、特許文献2には、外部端子を設けた樹脂ケース内に半導体素子を搭載した回路板を収容し、半導体素子の電極と、樹脂ケースの外部端子に電気的に接続される回路板上の配線パターンとを、リードフレームにより電気的に接続した半導体装置が記載されている。更に、引用文献3には、樹脂ケースを使用しない半導体装置におけるリードフレームの形状についてのいくつかの例が記載されており、引用文献4には、樹脂ケースを使用する半導体装置におけるリードフレームの形状についてのいくつかの例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-332393号公報
【特許文献2】国際公開第2020/071102号
【特許文献3】特開平8-130284号公報
【特許文献4】特許第7028391号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した半導体装置の製造工程のうちの、導体板により半導体素子の電極とポストや配線パターンとを電気的に接続する工程では、半導体素子の電極及びポストや配線パターンの上に板状はんだを配置し、その上に導体板を載せて板状はんだを加熱溶融させる。この工程では、板状はんだ及び導体板を配置する領域が開口した冶具を使用することがある。しかしながら、このような冶具は、導体板を半導体素子の電極等に接続した後で取り外すことが可能なように、導体板のうちの、半導体素子の電極と接続される接続部と、ポストや配線パターンと接続される接続部とを連結する連結部と対応する部分も開口している。このため、冶具を利用して配置した板状はんだの位置が、リフロー炉で加熱溶融させるまでの間に、冶具の開口部分のうちの導体板の連結部と対応する部分にずれてしまうことがある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、板状はんだを用いて回路板の導電部材とリードとを接合した場合の接合不良を低減することが可能な半導体モジュールの製造方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の半導体モジュールは、配線板上に半導体素子が搭載された回路板と、前記回路板における導電部材と接合材を介して電気的に接続されるリードとを備え、前記リードは、前記接合材により前記導電部材と接合される接合部と、前記接合部から延伸する連結部とを含み、前記接合部は、平面視での輪郭が、前記連結部が延出している第1の端部とは反対側の第2の端部から前記連結部の延出方向に所定の距離だけ離れた位置を境として、前記第2の端部から遠方となる位置において、前記連結部の前記延出方向と直交する幅方向の両端の位置が互いに反対の端部の方向に変位して、前記幅方向の寸法が第1の寸法から第1の寸法よりも小さい第2の寸法に変化する形状である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、板状はんだを用いて回路板の導電部材とリードとを接合した場合の接合不良を低減することが可能な半導体モジュールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施の形態に係る半導体装置の内部の構成例を示す上面図である。
【
図2】
図1の半導体装置をA-A’線で切断したときのA-A’線よりも右方の部分の構成を概略的に示した側面断面図である。
【
図4】
図3に例示した第2のリードの左側面図である。
【
図5】平面視での第2のリードの輪郭における特徴の一つを説明する平面図である。
【
図6】一実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法を説明するフロー図である。
【
図7】リード接合用の冶具を取り付けて板状はんだを配置した状態の例を示す上面図である。
【
図8】
図7に例示した部分をB-B’線で切断したときのB-B’線よりも右方の部分の構成を概略的に示した側面断面図である。
【
図9】更にリードを配置した状態の例を示す上面図である。
【
図10】半導体モジュールを製造する際に用いるリード接合用の冶具の従来例を説明する部分上面図である。
【
図11】一実施の形態に係るリード接合用の冶具の作用効果を説明する部分上面図である。
【
図12】平面視でのリードの輪郭の第1の変形例を説明する平面図である。
【
図13】リード接合用の冶具における開口部の構成の第1の変形例を説明する上面図である。
【
図14】平面視でのリードの輪郭の第2の変形例を説明する平面図である。
【
図15】リード接合用の冶具における開口部の構成の第2の変形例を説明する上面図である。
【
図16】平面視でのリードの輪郭の第3の変形例を説明する平面図である。
【
図17】リード接合用の冶具における開口部の構成の第3の変形例を説明する上面図である。
【
図18】本発明に係る半導体装置を適用した車両の一例を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る半導体装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、参照する各図におけるX、Y、Zの各軸は、例示する半導体装置等における平面や方向を定義する目的で示されており、X、Y、Zの各軸は互いに直交し、右手系を成している。以下の説明では、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向と呼ぶことがある。また、X軸及びY軸を含む面をXY面と呼び、Y軸及びZ軸を含む面をYZ面と呼び、Z軸及びX軸を含む面をZX面と呼ぶことがある。これらの方向(前後左右上下方向)や面は、説明の便宜上用いる文言であり、半導体装置の取付姿勢によっては、XYZ方向のそれぞれとの対応関係が変わることがある。例えば、半導体装置の放熱面側(冷却器側)を下面側とし、その反対側を上面側と呼ぶことにする。また、本明細書において、平面視は、半導体装置等の上面又は下面(XY面)をZ方向からみた場合を意味する。また、各図における縦横比や各部材同士の大小関係は、あくまで模式的に表されており、実際に製造される半導体装置等における関係とは必ずしも一致しない。説明の便宜上、各部材同士の大小関係を誇張して表現している場合も想定される。
【0011】
また、以下の説明で例示する半導体装置は、例えば、産業用又は車載用モータのインバータ等の電力変換装置に適用されるものである。このため、以下の説明では、既知の半導体装置と同一の、又は類似した構成、機能、及び動作等についての詳細な説明を省略する。
【0012】
図1は、一実施の形態に係る半導体装置の内部の構成例を示す上面図である。
図2は、
図1の半導体装置をA-A’線で切断したときのA-A’線よりも右方の部分の構成を概略的に示した側面断面図である。なお、
図1では、ケース内に充填される封止材を省略している。また、
図2では、ケース内に充填される封止材、ボンディングワイヤ等の図示を省略している。
【0013】
図1及び
図2に例示したように、本実施の形態に係る半導体装置1は、冷却器3の上面に半導体モジュール2を配置して構成される。なお、半導体モジュール2に対して、冷却器3は任意の構成である。
【0014】
冷却器3は、半導体モジュール2の熱を外部に放出するものであり、全体として直方体形状を有している。特に図示はしないが、冷却器3は、平板状の基部の下面側に複数のフィンを設け、これらのフィンをウォータジャケットに収容して構成される。なお、冷却器3は、これに限らず適宜変更が可能である。
【0015】
半導体モジュール2は、ベース4、回路板5、ケース6、リード701~705、ボンディングワイヤ801及び802、並びに図示しない封止材を含む。
【0016】
ベース4は、回路板5を搭載する基板であり、回路板5を搭載したベース4は、回路板5が搭載された面を上向きにしてケース6の下面に取り付けられる。ケース6は、上面及び下面が開口した四角管状の絶縁部材601と、絶縁部材601と一体化された主端子602~604と、制御端子605及び606とを含む。ベース4に搭載された回路板5は、ケース6の絶縁部材601の中空部に収容される。ベース4は、例えば、銅板等の金属板であり、回路板5で発生する熱を冷却器3に伝導させる。ベース4は、例えば、サーマルグリスやサーマルコンパウンドなどの熱伝導材を介して冷却器3の上面に配置されてもよい。なお、半導体モジュール2は、ベース4が省略されており、回路板5に含まれる配線板500の導体パターン505(
図2参照)が冷却器3の上面と接触していてもよい。
【0017】
回路板5は、配線板500と、配線板500の上面に搭載された半導体素子510及び520とを含む。配線板500は、絶縁基板501と、絶縁基板501の上面に設けられた導体パターン502~504と、絶縁基板501の下面に設けられた導体パターン505とを含む。配線板500は、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板やAMB(Active Metal Brazing)基板であり得る。
【0018】
絶縁基板501は、特定の基板に限定されない。絶縁基板501は、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化ジルコニウム(ZrO2)等のセラミックス材料によって形成されたセラミックス基板であってよい。絶縁基板501は、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁樹脂を成形した基板や、平板状の金属コアの表面を絶縁樹脂でコーティングした基板であってもよい。
【0019】
絶縁基板501の上面に設けられた導体パターン502~504は、回路板5における配線部材として用いられる導電部材であり、絶縁基板501の下面に設けられた導体パターン505は、回路板5で発生した熱をベース4に伝導させる放熱部材として用いられる導電部材である。これらの導体パターン502~505は、例えば、銅やアルミニウム等の金属板によって形成される。絶縁基板501の下面に設けられた導体パターン505は、はんだ等の接合材(不図示)を介してベース4の上面に接合される。絶縁基板501の上面に設けられた導体パターン502~504は、導体層、導体板、又は配線パターンと呼ばれてもよい。絶縁基板501の下面に設けられた導体パターン505は、放熱層、放熱板、又は放熱パターンと呼ばれてもよい。
【0020】
絶縁基板501の上面に設けられた導体パターン502~504は、上述のように、回路板5における配線部材として用いられる導電部材である。
図1に例示した配線板500では、第1の導体パターン502の上面に第1の半導体素子510が搭載されており、第3の導体パターン504の上面に第2の半導体素子520が搭載されている。
【0021】
第1の半導体素子510は、下面に設けられた第1の主電極(図示せず)が接合材S1により第1の導体パターン502と接合されている。第1の導体パターン502は、第1のリード701を介して、ケース6に設けられた第1の主端子602と電気的に接続される。第1のリード701は、接合材S2により第1の導体パターン502と接合され、接合材S3により第1の主端子602と接合される。第1の半導体素子510の上面には、第2の主電極511と制御電極512とが設けられている。第2の主電極511は、第2のリード702を介して、第2の導体パターン503と電気的に接続される。第2のリード702は、接合材S4により第1の半導体素子510の第2の主電極511と接合され、接合材S5により第2の導体パターン503と接合される。制御電極512は、ボンディングワイヤ801により、ケース6に設けられた制御端子605と電気的に接続される。
【0022】
第2の導体パターン503は、第3のリード703を介して、ケース6に設けられた第2の主端子603と電気的に接続される。第3のリード703は、接合材S6により第2の導体パターン503と接合され、接合材S7により第2の主端子603と接合される。
【0023】
図1に例示した半導体装置1では、第1の導体パターン502は、第4のリード704を介して、第3の導体パターン504に搭載された第2の半導体素子520の上面に設けられた第2の主電極521とも電気的に接続される。第4のリード704は、接合材(不図示)により、第1の導体パターン502及び第2の半導体素子520の第2の主電極521のそれぞれと接合される。第2の半導体素子520の上面にはまた、制御電極522が設けられており、制御電極522は、ボンディングワイヤ802により、ケース6に設けられた制御端子606と電気的に接続される。
【0024】
第3の導体パターン504は、第2の半導体素子520の下面に設けられた第1の主電極と接合材により電気的に接続される。第3の導体パターン504はまた、第5のリード705を介して、ケース6に設けられた第3の主端子604と電気的に接続される。第5のリード705は、接合材(不図示)により、第3の導体パターン504及び第3の主端子604のそれぞれと接合される。
【0025】
本実施の形態では、第1の半導体素子510及び第2の半導体素子520は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子とFWD(Free Wheeling Diode)素子の機能を一体化したRC(Reverse Conducting)-IGBT素子で構成される。
【0026】
なお、配線板500の上面に搭載される半導体素子は、特定のものに限定されない。配線板500の上面には、IGBT、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のスイッチング素子としての半導体素子と、FWD等のダイオード素子としての半導体素子とが搭載されてもよい。また、半導体素子として逆バイアスに対して十分な耐圧を有するRB(Reverse Blocking)-IGBT等を用いてもよい。また、半導体素子の形状、配置数、配置箇所等は適宜変更が可能である。配線板500の上面側に設けられる配線部材としての導体パターンのレイアウトは、搭載される半導体素子の種類、形状、配置する、配置箇所等に応じて変更される。
【0027】
第1の半導体素子510がIGBT素子の場合、上面側の第2の主電極511はエミッタ電極と呼ばれてもよく、下面側の第1の主電極はコレクタ電極と呼ばれてもよい。第1の半導体素子510がMOSFET素子の場合、上面側の第2の主電極511はソース電極と呼ばれてもよく、下面側の第1の主電極はドレイン電極と呼ばれてもよい。また、第1の半導体素子510の上面に設けられる制御電極は、ゲート電極と、補助電極とを含んでもよい。例えば、補助電極は、上面側の主電極と電気的に接続され、ゲート電位に対する基準電位となる補助ソース電極あるいは補助エミッタ電極であってよい。また、補助電極は、半導体装置1に含まれることがある温度センス部と電気的に接続され、半導体素子の温度を測定する温度センス電極であってよい。このような、第1の半導体素子510の上面に形成された電極(主電極、ゲート電極及び補助電極)は、総じて上面電極と呼ばれてもよい。
【0028】
上述した第1のリード701~第5のリード705は、それぞれ、銅板等の金属板を折り曲げて形成したものであり、リードフレーム、金属配線板と呼ばれてもよい。
【0029】
次に、
図3~
図5を参照して、本実施の形態に係る半導体装置1におけるリードの形状について説明する。なお、
図3~
図5を参照した以下の説明では、第2のリード702を例に挙げるが、他の第1のリード701、第3のリード703~第5のリード705についても同様のことが言える。
【0030】
図3は、
図1の領域Rを拡大した部分上面図である。
図4は、
図3に例示した第2のリードの左側面図である。
図5は、平面視での第2のリードの輪郭における特徴の一つを説明する平面図である。
【0031】
第2のリード702は、
図3及び
図4に例示したように、第1の半導体素子510の第2の主電極511と接合される第1の接合部702aと、第2の導体パターン503と接合される第2の接合部702bと、第1の接合部702aと第2の接合部702bを連結する連結部702cとを含む。連結部702cは、第1の接合部702aの下面と第2の接合部702bの下面との上下方向(Z方向)の位置関係が、第1の半導体素子510の第2の主電極511の上面と第2の導体パターン503の上面との上下方向の位置関係と対応するように、曲げ加工が施されている(
図4を参照)。
【0032】
第2のリード702における第1の接合部702aは、平面視矩形である上面720及び下面(図示せず)と、各々が上面720及び下面の互いに平行な辺に接続される4つの側面721~724とを有する略直方体形状の部位である。連結部702cの一端は、第1の接合部702aにおける4つの側面721~724のうちの1つの側面721を第1の区間721a、第2の区間721b、及び第3の区間721cの3つの区間に分割するように、第1の接合部702aの側面721に接続される。第1の区間721aは、第1の接合部702aと連結部702cとが接続されておりそれらの境界となる区間である。第2の区間721bは、第1の区間721aと、側面721に接続している一方の側面722との間に位置する区間である。第3の区間721cは、第1の区間721aと、側面721に接続している他方の側面724との間に位置する区間である。側面721の第2の区間721b及び第3の区間721cは、側面721とは反対側の側面723と互いに反対になる方向を向いている。
図3に例示した向きでは、側面721の第2の区間721b及び第3の区間721cはY方向負側を向いた面であり、側面723はY方向正側を向いた面である。
【0033】
第2のリード702における第2の接合部702bは、平面視矩形である上面725及び下面(図示せず)と、各々が上面725及び下面の互いに平行な辺に接続される4つの側面726~729とを有する略直方体形状の部位である。連結部702cの他端は、第2の接合部702bにおける4つの側面726~729のうちの1つの側面726を第1の区間726a、第2の区間726b、及び第3の区間726cの3つの区間に分割するように、第2の接合部702bの側面726に接続される。第1の区間726aは、第2の接合部702bと連結部702cとが接続されておりそれらの境界となる区間である。第2の区間726bは、第1の区間726aと、側面726に接続している一方の側面727との間に位置する区間である。第3の区間726cは、第1の区間726aと、側面726に接続している他方の側面729との間に位置する区間である。側面726の第2の区間726b及び第3の区間726cは、側面726とは反対側の側面728と互いに反対になる方向を向いている。
図3に例示した向きでは、側面726の第2の区間726b及び第3の区間726cはY方向正側を向いた面であり、側面728はY方向負側を向いた面である。
【0034】
第2のリード702における連結部702cは、第1の接合部702aの上面720及び第2の接合部702bの上面725と接続される上面730、第1の接合部702aの下面及び第2の接合部702bの下面と接続される下面(図示せず)、及び上面730と下面とに接続される側面731~736を有する異形の部位である。
図3に例示した第2のリード702の連結部702cは、平面視での上面730の形状が、
図3に例示したように、第1の接合部702aと接続される一端側、及び第2の接合部702bと接続される他端側に矩形状の部位をそれぞれ有し、それらの矩形状の部位がX方向にずれている形状になっている。
【0035】
ここで、更に
図5を参照する。
図5には、第2のリード702における第2の接合部702b、及び連結部702cのうちの第2の接合部702b側の矩形状の部位の、平面視での輪郭を例示している。
図5において符号L1~L7のそれぞれの後にカッコ書きで示した符号は、
図3に例示した第2の接合部702b及び連結部702cの側面の符号を表す。
図5に例示したように、第2の接合部702bのうちの連結部702cが接続している側面726とは反対側の側面728と対応する辺L4のY方向の位置をY0とし、連結部702cが接続している側面726の第2の区間726b及び第3の区間726cと対応する辺L2及びL3のY方向の位置をY1とする。更に、辺L4で表される側面728からみて側面726よりもY方向でさらに遠方となり、かつ、第2の接合部702bと連結部702cとの境界と同一の幅W2である、連結部702c上の位置をY2とする。このとき、第2のリード702の平面視での輪郭(以下「第2のリード702の輪郭」と記載する)におけるY方向の位置がY0からY2までの範囲内の部分は、点P10~点P17までの8個の点で表される、2つの矩形を組み合わせた形状になる。
図5に例示した第2のリード702の輪郭におけるY方向の位置がY0からY1までの範囲は、第2の接合部702bから延出する連結部702cの一方の辺L1と他方の辺L7との距離(幅)W2と平行なX方向における、一端側の辺L3と他端側の辺L5との距離(幅)W1が、連結部702cの幅W2よりも大きい。更に、第2のリード702の平面視での輪郭におけるY方向の位置がY1からY2までの範囲は、幅方向(X方向)における一方の辺L1及び他方の辺L7のそれぞれの位置が、第2の接合部702bにおける一方の辺L3及び他方の辺L5の位置よりも幅方向の中心側に変位している。そのため、第2のリード702の輪郭における第2の接合部702bを表す部分には、第2の接合部702bの辺L3と連結部702cの辺L1とを接続する辺L2と、第2の接合部702bの辺L5と連結部702cの辺L7とを接続する辺L6とが含まれる。これらの辺L2及びL6は、それぞれ、
図3を参照して上述した第2の接合部702bの側面726における第2の区間726b及び第3の区間726cを表す。
【0036】
このように、本実施の形態の半導体装置1(半導体モジュール2)の第2のリード702は、平面視での輪郭のうちの、第2の接合部702b及び連結部702cのうちの第2の接合部702bから延出した部分を示す輪郭が、第2の接合部702bにおける連結部702cが延出する方向とは反対側の辺L4から延出する方向に所定の距離だけ離れた位置(例えば、
図5のY方向の位置Y1)において、延出する方向と直交する連結部702cの幅方向の両端の位置が互いに反対の端部の方向に変位して幅方向の寸法が第1の寸法(W1)から第1の寸法よりも小さい第2の寸法(W2)に変化する。
【0037】
また、詳細な説明は省略するが、第2のリード702の輪郭における第1の接合部702a及び連結部702cのうちの第1の接合部702aから延出した部分を示す輪郭は、
図5を参照して上述した、第2の接合部702b及び連結部702cのうちの第2の接合部702bから延出した部分を示す輪郭と同様の形状になっている(
図3を参照)。更に、詳細な説明は省略するが、第1のリード701、第3のリード703~第5のリード705の各リードの平面視での輪郭における接合部及び連結部のうちの接合部から延出した部分を示す輪郭は、
図5を参照して上述した、第2の接合部702b及び連結部702cのうちの第2の接合部702bから延出した部分を示す輪郭と同様の形状になっている。
【0038】
上述した平面視での輪郭を有する第1のリード701~第5のリード705を用いることの利点(作用効果)を説明する前に、まず、
図6を参照して、本実施の形態に係る半導体モジュール2の製造方法の一典型例を説明する。
【0039】
図6は、一実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法を説明するフロー図である。
【0040】
半導体モジュール2の製造では、まず、ベース4に回路板5とケース6を取り付ける(ステップS101)。ステップS101は、周知の手順によって行われればよい。
【0041】
次に、回路板5及びケース6が取り付けられたベース4に、リード接合用の冶具を取り付ける(ステップS102)。ステップS102において取り付ける冶具の構成例については、
図7及び
図8を参照して後述する。冶具を取り付ける作業自体は、周知の手順によって行われる。ステップS102は、冶具を回路板5に設置する設置工程と呼ばれてもよい。
【0042】
次に、冶具が取り付けられた状態でリードの接合に用いる板状はんだを配置し(ステップS103)、続けてリードを配置する(ステップS104)。その後、板状はんだを加熱溶融し、各リードの接合部を所定の接合対象である導体部材と接合させるリフローを行う(ステップS105)。リフローを行うことにより、例えば、第2のリード702は、第1の接合部702aが第1の半導体素子510の第2の主電極511と接合され、第2の接合部702bが第2の導体パターン503と接合される。ステップS103及びS104は、板状の接合材を配置し、更にリードを配置する配置工程と呼ばれてもよい。ステップS105は、回路板5における導電部材(半導体素子の電極及び配線板の導体パターン等)とリードとを接合する接合工程と呼ばれてもよい。
【0043】
リフロー後、回路板5及びケース6が取り付けられたベース4からリード接合用の冶具を取り外し(ステップS106)、ワイヤボンディング(ステップS107)及び封止(ステップS108)を行うと、上述した半導体モジュール2が得られる。ステップS107では、第1の半導体素子510の上面の制御電極512とケース6の制御端子605とをボンディングワイヤ801で接続し、第2の半導体素子520の上面の制御電極522とケース6の制御端子606とをボンディングワイヤ802で接続する。ステップS108では、ケース6の中空部に絶縁樹脂等の封止材を充填して硬化させ、ケース6に収容された回路板5、リード701~705、ボンディングワイヤ801及び802等を封止する。ステップS106は、冶具を回路板から取り外す取り外し工程と呼ばれてもよい。ステップS108は、ワイヤボンディング工程、ボンディング工程と呼ばれてもよい。ステップS108は、封止工程と呼ばれてもよい。
【0044】
なお、ベース4が省略された半導体モジュール2(半導体装置1)を製造する場合には、例えば、ベース4の代わりに冷却器3の上面に回路板5及びケース6を取り付ける。
【0045】
図7は、リード接合用の冶具を取り付けて板状はんだを配置した状態の例を示す上面図である。
図8は、
図7に例示した部分をB-B’線で切断したときのB-B’線よりも右方の部分の構成を概略的に示した側面断面図である。
図9は、更にリードを配置した状態の例を示す上面図である。
図7及び
図9には、
図1の領域Rと対応した部分領域を拡大して示している。
【0046】
図6を参照して上述した半導体モジュール2の製造方法では、ステップS105により各リードを接合対象である導電部材に接合した後、リード接合用の冶具を取り外すことが行われる(ステップS106)。このため、本実施の形態の半導体モジュール2の製造に利用するリード接合用の冶具は、各リードを配置する領域に、平面視でリードの第1の接合部、第2の接合部、及び連結部の各部を含む1つの開口が形成される。例えば、リード接合用の冶具における第2のリード702を配置する領域には、
図3に例示した平面視での第2のリード702の輪郭全体を内包する1つの開口が形成される。
【0047】
図7及び
図8には、リード接合用の冶具10における第2のリード702を配置する部分に形成される開口部1001を示している。開口部1001は、第1の板状はんだ1101を配置する第1の部分開口部1002と、第2の板状はんだ1102を配置する第2の部分開口部1003と、第1の部分開口部1002と第2の部分開口部1003とを連通する第3の部分開口部1004とを含む。
【0048】
第1の部分開口部1002には、第2のリード702の第1の接合部702aと対応した平面視矩形の第1の板状はんだ1101が配置される。このとき、第1の部分開口部1002は、第1の板状はんだ1101と対応する平面視矩形であり、平面視において第3の部分開口部1004と連通する辺(X方向に延伸する一対の辺のうちのY方向負側の辺)を除く3つの辺で表される壁面1002b~1002dは、それぞれ、第1の板状はんだ1101の側面1101b~1101dのそれぞれと互い向かい合っている。また、第1の部分開口部1002は、第1の部分開口部1002内に配置された第1の板状はんだ1101における第3の部分開口部1004側を向く側面1101aのうちの、平面視において側面1101aを表す辺の一端側の部分と向かい合う壁面1002aと、他端側の部分と向かい合う壁面1002eとを有する。すなわち、本実施の形態に係る冶具10における第1の部分開口部1002は、平面視において第3の部分開口部1004との境界で隔てられ、第1の板状はんだ1101における第3の部分開口部1004側を向いた側面1101aと対向する2つの壁面1002a及び1002eを有する。
【0049】
第2の部分開口部1003には、第2のリード702の第2の接合部702bと対応した平面視矩形の第2の板状はんだ1102が配置される。このとき、第2の部分開口部1003は、第2の板状はんだ1102と対応する平面視矩形であり、平面視において第3の部分開口部1004と連通する辺(X方向に延伸する一対の辺のうちのY方向正側の辺)を除く3つの辺で表される壁面1003b~1003dは、それぞれ、第2の板状はんだ1102の側面1102b~1102dのそれぞれと互い向かい合っている。また、第2の部分開口部1003は、第2の部分開口部1003内に配置された第2の板状はんだ1102における第3の部分開口部1004側を向く側面1102aのうちの、平面視において側面1102aを表す辺の一端側の部分と向かい合う壁面1003aと、他端側の部分と向かい合う壁面1003eとを有する。すなわち、本実施の形態に係る冶具10における第2の部分開口部1003は、平面視において第3の部分開口部1004との境界で隔てられ、第2の板状はんだ1102における第3の部分開口部1004側を向いた側面1102aと対向する2つの壁面1003a及び1003eを有する。
【0050】
更に、冶具10の開口部1001における第3の部分開口部1004は、
図9に示したように、第1の部分開口部1002における第3の部分開口部1004により隔てられた2つの壁面1002a及び1002eの距離を、第2のリード702の連結部702cにおける第1の接合部702aとの接続端の幅よりも大きくしている。同様に、第3の部分開口部1004は、第2の部分開口部1003における第3の部分開口部1004に隔てられた2つの壁面1003a及び1003の距離を、第2のリード702の連結部702cにおける第2の接合部702bとの接続端の幅よりも大きくしている。これにより、第2のリード702を半導体素子510の第2の主電極511及び第2の導体パターン503と接合した後で、冶具10を容易に取り外すことが可能になる。
【0051】
このような冶具10を用いて半導体モジュール2を製造することの利点を、
図10及び
図11を参照して以下に説明する。
【0052】
図10は、半導体モジュールを製造する際に用いるリード接合用の冶具の従来例を説明する部分上面図である。
図11は、一実施の形態に係るリード接合用の冶具の作用効果を説明する部分上面図である。
【0053】
図10に従来例として示したリード接合用の冶具12では、第1の導体パターン1301と第2の導体パターン1302とを接続するリード1303を配置する1つの開口部1201が平面視矩形である。すなわち、
図10に例示した冶具12における1つの開口部1201は、第1の板状はんだ1101を配置する第1の部分開口部1202、第2の板状はんだ1102を配置する第2の部分開口部1203、及びそれらの部分開口部を連通する第3の部分開口部1204のX方向の寸法(幅)が同じ寸法になっている。言い換えると、
図10に例示した冶具12における1つの開口部1201には、第1の部分開口部1202内に配置した第1の板状はんだ1101、及び第2の部分開口部1203内に配置した第2の板状はんだ1102が、第3の部分開口部1204内に移動することを阻止する部位がない。このため、1つの開口部1201における第1の部分開口部1202及び第2の部分開口部1203のそれぞれに第1の板状はんだ1101及び第2の板状はんだ1102を配置した後、第1の板状はんだ1101及び第2の板状はんだ1102の位置がずれてしまうことがある。例えば、回路板5の配線板500の反りが大きい場合に、配置後の搬送時に生じる振動等により板状はんだ1101、1102の位置がずれてしまう。従って、
図10に例示した冶具12では、リフロー(
図6のステップS105)を開始するときの第1の板状はんだ1101及び第2の板状はんだ1102のいずれか一方又は両方の位置のずれ量が大きくなり、リード1303の接合部と第1の導体パターン1301との接合面積、第2の導体パターン1302との接合面積が減少することが起こり得る。また、ずれ量がさらに大きくなると、第1の導体パターン1301と第2の導体パターン1302との間隙に溶融したはんだが流れ出て第1の導体パターン1301と第2の導体パターン1302との間の絶縁性が低下することがある。
【0054】
これに対し、本実施の形態で用いるリード接合用の冶具10における1つの開口部1001は、平面視での輪郭が、その開口部1001に配置するリードの輪郭と対応し、リードの輪郭が内包されるように形成される。例えば、
図11に示した冶具10におけるリード706を配置する開口部1001は、第1の部分開口部1002における第3の部分開口部1004との境界側の端部に、第3の部分開口部1004により隔てられた、第1の板状はんだ1101における第3の部分開口部1004側を向いた側面1101aと向かい合う2つの壁面1002a及び1002eが設けられている。このため、第1の部分開口部1002内に配置された第1の板状はんだ1101を第3の部分開口部1004の方向に移動させる外力が印加された場合、第1の板状はんだ1101は、側面1101aの両端部が第1の部分開口部1002の壁面1002a及び1002eのそれぞれに当接することにより、第3の部分開口部1004への移動が阻止される。
【0055】
本実施の形態で用いるリード接合用の冶具10では、リードを配置する開口部の平面視での輪郭を、
図3~
図5を参照して上述したリードの平面視での形状と対応させることにより、第1の板状はんだ1101を配置する第1の部分開口部1002と、第1の部分開口部1002と連通する第3の部分開口部1004との境界の開口寸法を、第1の部分開口部1002に配置する第1の板状はんだ1101における第3の部分開口部1004側を向いた面の寸法よりも小さくすることができる。これにより、第1の部分開口部1002に配置された第1の板状はんだ1101に第3の部分開口部1004へ向かう方向の外力が印加された場合にも、第1の部分開口部1002の壁面1002a及び1002eにより第3の部分開口部1004の方向への移動を阻止することができ、第1の部分開口部1002内に配置した第1の板状はんだ1101の移動可能な範囲が規制される。
【0056】
また、本実施形態で用いるリード接合用の冶具10では、第3の部分開口部1004と第2の板状はんだ1102を配置する第2の部分開口部1003との境界も、第3の部分開口部1004と第1の板状はんだ1101を配置する第1の部分開口部1002との境界と同様の構成にしている。このため、第2の部分開口部1003に配置された第2の板状はんだ1102に第3の部分開口部1004へ向かう方向の外力が印加された場合にも、第2の部分開口部1003の壁面1003a及び1003eにより第3の部分開口部1004の方向への移動を阻止することができ、第2の部分開口部1003内に配置した第2の板状はんだ1102の移動可能な範囲が規制される。
【0057】
このように、
図3~
図5を参照して上述した平面視での輪郭を有するリードと、
図7~
図9、及び
図11を参照して上述したリードを配置するための開口部を有する冶具10とを組み合わせて半導体モジュール2を製造することにより、リードと回路板5上の導電部材(半導体素子510の第2の主電極511、第2の導体パターン503等)との接合に用いる板状はんだの位置ずれを阻止することができ、各リードの接合部と、接合対象である導電部材との接合不良や絶縁性の低下等を防ぐことができる。
【0058】
更に、本実施の形態の冶具10の1つの開口部1001における第3の部分開口部1004の壁面は、リードの連結部(例えば、
図9の第2のリード702の連結部702c、
図11のリード706の連結部)と平面視で重ならないように形成されている。このため、
図6に例示した手順に沿って半導体モジュール2を製造するときに、リフロー後に冶具10を容易に取り外すことができる。
【0059】
なお、
図7~
図9、及び
図11を参照して上述した冶具10の構成は、本実施の形態に係る半導体モジュール2の製造に利用可能な冶具10の一例に過ぎない。冶具10における1つのリードを配置する1つの開口部の平面視での輪郭は、当該開口部に配置するリードの平面視での輪郭に応じて変更することができる。
【0060】
図12は、平面視でのリードの輪郭の第1の変形例を説明する平面図である。
図13は、リード接合用の冶具における開口部の構成の第1の変形例を説明する上面図である。なお、
図12には、半導体モジュールにおける任意のリード708のうちの、回路板5における導体パターンと接合する接合部708b、及び連結部708cにおける接合部708bとの接続端の部分のみを示している。また、
図13には、リード接合用の冶具10の1つの開口部1001における、
図12に例示したリード708の輪郭と対応した第2の部分開口部1003、及び第3の部分開口部1004の一部のみを示している。
【0061】
図12に例示したリード708の輪郭は、接合部708bと連結部708cとの境界が、Y方向の位置Y1にある。すなわち、
図12に例示したリード708の輪郭における接合部708bの輪郭は、点P21~点P30によって表される、一対のノッチを有する形状になっている。
【0062】
ここで、接合部708bの輪郭における連結部708cと接続された辺(すなわち、点P21と点P30とを結ぶ二点鎖線で示された接合部708bと連結部708cとの境界)とは反対側の端部の辺L6のY方向の位置をY0とする。また、一対のノッチは、接合部708bの輪郭において幅方向(X方向)の端部となる辺(点P21と点P25とを結ぶ辺、及び点P30と点P26とを結ぶ辺)に設けられている。点P21と点P25を結ぶ辺のノッチは、点P21と点P25とを結ぶ直線の間に設定される点P22から点P24までの区間において、点P30と点P26とを結ぶ直線の方向に変位する円弧状の軌跡L3及びL4によって表される凹形状の部位である。点P30と点P26を結ぶ辺のノッチは、点P30と点P26とを結ぶ直線の間に設定される点P27から点P29までの区間において、点P21と点P25とを結ぶ直線の方向に変位する円弧状の軌跡L8及びL9によって表される凹形状の部位である。
【0063】
図12に例示した接合部708bの輪郭は、連結部708cと接続された辺とは反対側の辺L6から各ノッチの辺L6側の端部同士(点P24と点P27)を結ぶ線のY方向の位置までの区間の幅方向(X方向)の寸法がW1であり、各ノッチの最奥部となる位置同士(点P23と点P28)を結ぶ線のY方向の位置での幅方向の寸法が、W1よりも小さいW4になる。すなわち、
図12に例示した接合部708bの輪郭は、連結部708cと接続された辺とは反対側の辺L6から連結部708cの延出方向(Y方向正側)に所定の距離だけ離れた位置(
図12における点P24と点P27とを結ぶ線の位置)を境として辺L6からの距離が遠くなる方向の位置において、幅方向の両端の位置が互いに反対の端部の方向に変位して幅方向の寸法が第1の寸法(W1)から第1の寸法よりも小さい第2の寸法(W4)に変化する形状である。
【0064】
図12に例示した一対のノッチを有するリード708を接合する際に用いる冶具10は、例えば、
図13に例示するように、リード708を配置する開口部における第2の部分開口部1003の輪郭のうちの、リード708の輪郭における幅方向(X方向)の端部に沿った部分であって一対のノッチと対応するY方向の位置に、一方のノッチを示す軌跡L3及びL4、及び他方のノッチを示すL8及びL9と対応した凸状部1003fを有する形状にする。
【0065】
リード708の接合部708bの輪郭を上述したノッチを有する形状にした場合、接合部708bの接合に用いる第2の板状はんだ1102は、
図13に例示したように、平面視での幅方向(X方向)の端辺を示す側面1102b及び1102dに、接合部708bの一対のノッチと対応するノッチ1102eを有する形状にする。このようにすると、冶具10における第2の部分開口部1003に第2の板状はんだ1102を配置したときに、第2の板状はんだ1102の一対のノッチ1102eに冶具10の凸状部1003fが嵌る。このため、第2の部分開口部1003内に配置した第2の板状はんだ1102を第2の部分開口部1003と連通する第3の部分開口部1004内に移動させる外力が印加された場合に、第2の板状はんだ1102のノッチ1102eが冶具10の凸状部1003fに当接し、第2の板状はんだ1102の第3の部分開口部1004への移動が阻止される。
【0066】
また、
図12に例示した一対のノッチを有するリード708と
図13に例示した冶具10との組み合わせでは、接合部708bの輪郭における連結部708cが接続する辺に沿って、
図5を参照して上述した辺L2及びL6を設けることなく、第2の板状はんだ1102の移動を阻止することができる。このため、平面視での接合部708bと連結部708cとの接続区間の長さを短くすることなく(すなわち接合部708bと連結部708cとの接続面積を小さくすることなく)、第2の板状はんだ1102の移動を阻止することができる。そのため、
図12及び
図13を参照して上述した構成は、例えば、リード708が、大電流を流すリードである場合や、動作時に高温になる半導体素子の主電極と接合するリードである場合に、有利である。
【0067】
なお、リード708の接合部708bに設ける一対のノッチの深さW5(
図12参照)は、特定の値に限定されない。また、ノッチは、
図12に例示したような平面視において円弧状の軌跡で表される形状に限定されない。一対のノッチは、例えば、平面視において三角形又は矩形の軌跡で表される凹形状であってもよい。また、
図12及び
図13を参照して上述した例では、リード708の接合部708b側に凹形状のノッチを設けているが、これに限らず、リード708の接合部708b側に凸状部を設け、冶具10側にノッチを設けてもよい。
【0068】
図14は、平面視でのリードの輪郭の第2の変形例を説明する平面図である。
図15は、リード接合用の冶具における開口部の構成の第2の変形例を説明する上面図である。なお、
図14には、半導体モジュールにおける任意のリード708のうちの、回路板5における導体パターンと接合する接合部708b、及び連結部708cにおける接合部708bとの接続端の部分のみを示している。また、
図15には、リード接合用の冶具10の1つの開口部1001における、
図14に例示したリード708の輪郭と対応した第2の部分開口部1003、及び第3の部分開口部1004の一部のみを示している。
【0069】
図14に例示したリード708の輪郭は、接合部708bと連結部708cとの境界が、Y方向の位置Y1にある。すなわち、
図14に例示したリード708の輪郭における接合部708bの輪郭は、点P41~点P44によって表される、台形形状になっている。
【0070】
ここで、接合部708bの輪郭における連結部708cと接続された辺(すなわち、点P41と点P44とを結ぶ二点鎖線で示された接合部708bと連結部708cとの境界)とは反対側の端部の辺L3のY方向の位置をY0とする。接合部708bの輪郭は、接合部708bと連結部708cとの境界を上底、境界とは反対側の辺L3を下底とする等脚台形であるとする。この場合、接合部708bの輪郭は、下底である辺L3から連結部708cの延出方向に所定の距離だけ離れたY方向の位置における幅が、辺L3からの距離に比例して短くなっていく先細りの形状である。すなわち、
図14に例示した接合部708bの輪郭もまた、連結部708cと接続された辺とは反対側の辺L3から連結部708cの延出方向(Y方向正側)に所定の距離だけ離れた位置を境として辺L3からの距離が長くなる方向の位置において、幅方向の両端の位置が互いに反対の端部の方向に変位して幅方向の寸法が第1の寸法から第1の寸法よりも小さい第2の寸法に変化する形状であるといえる。
【0071】
図14に例示した平面視で等脚台形状の接合部708bを有するリード708を接合する際に用いる冶具10は、
図15に例示したように、リード708を配置する開口部における第2の部分開口部1003の輪郭を、リード708の接合部708bの輪郭を内包し、かつ第2の部分開口部1003と第3の部分開口部1004との境界の幅方向(X方向)の寸法がリード708の連結部708cの幅W2よりもわずかに大きい等脚台形になるようにする。この場合、第2の部分開口部1003内に配置する第2の板状はんだ1102は、平面視でリード708の接合部708bと略同形状の等脚台形にする。このようにすると、第2の板状はんだ1102の輪郭における斜辺で表される第2の板状はんだ1102の側面1102b及び1102dが、冶具10の第2の部分開口部1003の輪郭における斜辺で表される壁面1003b及び1003dと略平行に向かい合う。このため、第2の部分開口部1003内に配置した第2の板状はんだ1102を第2の部分開口部1003と連通する第3の部分開口部1004内に移動させる外力が印加された場合に、第2の板状はんだ1102の側面1102b及び1102dが冶具10の壁面1003b及び1003dに当接し、第2の板状はんだ1102の第3の部分開口部1004への移動が阻止される。
【0072】
なお、リード708の接合部708bの輪郭を等脚台形にする場合の斜辺の角度は、特定の角度に限定されない。
【0073】
図16は、平面視でのリードの輪郭の第3の変形例を説明する平面図である。
図17は、リード接合用の冶具における開口部の構成の第3の変形例を説明する上面図である。なお、
図16には、半導体モジュールにおける任意のリード708のうちの、回路板5における導体パターンと接合する接合部708b、及び連結部708cにおける接合部708bとの接続端の部分のみを示している。また、
図17には、リード接合用の冶具10の1つの開口部1001における、
図16に例示したリード708の輪郭と対応した第2の部分開口部1003、及び第3の部分開口部1004の一部のみを示している。
【0074】
図16に例示したリード708の輪郭は、接合部708bと連結部708cとの境界がY方向の位置Y1にある。すなわち、
図16に例示したリード708の輪郭における接合部708bの輪郭は、点P51、P52、P55、及びP56によって表される等脚台形と、点P52、P53、P54、及びP55によって表される長方形とを組み合わせた形状になっている。
【0075】
図16に例示した輪郭で表される接合部708bを有するリード708を接合する際に用いる冶具10は、
図17に例示したように、冶具10のリード708を配置する開口部における第2の部分開口部1003の輪郭を、リード708の接合部708bの輪郭を内包し、第2の部分開口部1003と第3の部分開口部1004との境界の幅方向(X方向)の寸法がリード708の連結部708cの幅W2よりもわずかに大きくなるようにする。この場合、第2の部分開口部1003内に配置する第2の板状はんだ1102は、平面視でリード708の接合部708bと略同形状である等脚台形と長方形とを組み合わせた形状にする。このようにすると、第2の板状はんだ1102の輪郭における斜辺(
図16の辺L2及びL6と対応する斜辺)で表される第2の板状はんだ1102の側面1102b及び1102dが、冶具10の第2の部分開口部1003の輪郭における斜辺で表される壁面1003b及び1003dと略平行に向かい合う。このため、第2の部分開口部1003内に配置した第2の板状はんだ1102を第2の部分開口部1003と連通する第3の部分開口部1004内に移動させる外力が印加された場合に、第2の板状はんだ1102の側面1102b及び1102dが冶具10の壁面1003b及び1003dに当接し、第2の板状はんだ1102の第3の部分開口部1004への移動が阻止される。
【0076】
更に、
図16及び
図17に例示したように、接合部708bにおける幅方向(X方向)の寸法が変化する区間を、連結部708cとの境界から、当該境界とは反対側の辺L4よりも境界に近いY方向の位置までにすることにより、接合部708bの接合面積の低減を抑制しつつ、斜辺の角度を大きくすることができる。そのため、接合部708bと導体パターンとの接合面積を確保することと、第2の板状はんだ1102の第3の部分開口部1004側への移動可能な範囲を最小にすることとを両立することができる。第2の部分開口部1003における幅方向(X方向)の端部に位置する2つの壁面1003b及び1003dを、第3の部分開口部1004に近づくにつれて先細りになるようにする場合、例えば、
図16に例示したように、第2の部分開口部1003における第3の部分開口部1004に近い部分だけを先細りにすると、例えば、
図14に例示した平面視での輪郭が等脚台形の場合と比べて、接合面に平面視で鋭角となる角部が生じることを防げる。
【0077】
なお、
図12~
図17を参照して上述した変形例では、冶具10の第2の部分開口部1003側の構成のみを説明したが、第1の部分開口部1002側も同様の構成であってよい。また、本実施の形態に係る冶具10は、1つの開口部1001における第1の部分開口部1002側の構成と、第2の部分開口部1003側の構成とが、同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、1つの開口部1001における第2の部分開口部1003側が
図5を参照して上述した構成であり、第1の部分開口部1002側が
図12~
図17を参照して上述した変形例のいずれかの構成であってもよい。
【0078】
また、
図12~
図17を参照して上述した変形例も、冶具10の第1の部分開口部及び第2の部分開口部に配置した板状はんだの第3の部分開口部への移動を阻止する構成の例に過ぎない。第1の部分開口部及び第2の部分開口部は、それぞれ、平面視での輪郭が、部分開口部内に配置した板状はんだの側面と当接して第3の部分開口部への移動を阻止することが可能な部分を有する形状であればよい。したがって、本実施の形態に係る半導体モジュール2における各リードの接合部は、平面視において連結部と連結している区間を除く外周部と対応する、接合部の側面が、その側面と向かい合う側面(例えば、上述した冶具10の開口部の壁面)が存在した場合に、側面同士が当接して連結部の延伸方向への接合部の移動が阻止される形状であればよい。
【0079】
更に、本実施の形態に係る半導体モジュール2の製造方法は、上述した冶具10を利用する方法であればよく、
図6を参照して上述した手順に限らず、他の手順で行われてもよい。
【0080】
本実施の形態の半導体モジュール2を含む半導体装置1は、上述したように、車載用モータのインバータ等の電力変換装置に適用され得る。
図18を参照して、本発明の半導体装置1が適用された車両について説明する。
【0081】
図18は、本発明に係る半導体装置を適用した車両の一例を示す平面模式図である。
図18に示す車両1501は、例えば、4つの車輪1502を備えた四輪車で構成される。車両1501は、例えば、モータ等によって車輪を駆動させる電気自動車、モータの他に内燃機関の動力を用いたハイブリッド車であってもよい。
【0082】
車両1501は、車輪1502に動力を付与する駆動部1503と、駆動部1503を制御する制御装置1504と、を備える。駆動部1503は、例えば、エンジン、モータ、エンジンとモータのハイブリッドの少なくとも1つで構成されてよい。
【0083】
制御装置1504は、上記した駆動部1503の制御(例えば電力制御)を実施する。制御装置1504は、上記した半導体装置1を備えている。半導体装置1は、駆動部1503に対する電力制御を実施するように構成されてよい。
【0084】
この種の車両1501に用いる半導体装置1の半導体モジュール2を、上述した冶具10を利用して製造することにより、リードと接合対象との間の接合不良や、絶縁性の低下等を防ぎ、半導体モジュール2の製造歩留まりを向上させることができる。このため、例えば、車両1501に用いる半導体装置1の製造コストを低減することができる。
【0085】
なお、上述した半導体装置1(半導体モジュール2)を適用可能な車両は、
図20に例示した四輪車に限らず、二輪車や鉄道車両であってもよい。
【0086】
また、上記実施の形態では、回路板5(配線板500)、半導体素子510及び520が平面視矩形状又は方形状に形成される構成としたが、この構成に限定されない。これらの構成は、上記以外の多角形状に形成されてもよい。
【0087】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0088】
また、本実施の形態は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらに、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0089】
以下、上記の実施の形態における特徴点を整理する。
【0090】
上記実施の形態に係る半導体モジュールは、配線板上に半導体素子が搭載された回路板と、前記回路板における導電部材と接合材を介して電気的に接続されるリードとを備え、前記リードは、前記接合材により前記導電部材と接合される接合部と、前記接合部から延伸する連結部とを含み、前記接合部は、平面視での輪郭が、前記連結部が延出している第1の端部とは反対側の第2の端部から前記連結部の延出方向に所定の距離だけ離れた位置を境として、前記第2の端部から遠方となる位置において、前記連結部の前記延出方向と直交する幅方向の両端の位置が互いに反対の端部の方向に変位して、前記幅方向の寸法が第1の寸法から第1の寸法よりも小さい第2の寸法に変化する形状である。
【0091】
上記実施の形態に係る半導体モジュールにおいて、前記リードの前記接合部は、前記平面視での前記幅方向の寸法が前記連結部の幅方向の寸法よりも大きい矩形状であり、前記接合部の前記平面視での輪郭が、前記幅方向の端部から前記連結部の幅方向の端部に変化する辺を含む。
【0092】
上記実施の形態に係る半導体モジュールにおいて、前記リードの前記接合部は、前記平面視での輪郭における前記幅方向の端部のそれぞれに、互いに反対の端部の方向に変化する溝部を有する。
【0093】
上記実施の形態に係る半導体モジュールにおいて、前記リードの前記接合部は、前記平面視での輪郭が、前記連結部に近づくにつれて先細りになる部分を有する。
【0094】
上記実施の形態に係る半導体モジュールにおいて、前記回路板の前記導電部材は、前記半導体素子の電極と、前記配線板の導体パターンとを含み、前記リードは、前記半導体素子の電極と第1の接合材により接合される第1の接合部と、前記配線板の導体パターンと第2の接合材により接合される第2の接合部と、前記第1の接合部と前記第2の接合部とを連結する前記連結部とを含む。
【0095】
上記実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法は、配線板に半導体素子を搭載した回路板における導電部材とリードとを、接合材を介して電気的に接続する接続工程を含み、前記接続工程は、前記リードにおける前記接合材により前記導電部材と接合される接合部と対応する部分開口部と、前記接合部から延伸する連結部と対応する部分開口部とを含む開口部が形成された冶具を前記回路板に設置する設置工程と、設置した前記治具における前記接合部と対応する部分開口部に板状の接合材を配置し、更に前記リードを配置する配置工程と、前記板状の接合材を加熱溶融させて前記導電部材と前記リードの前記接合部とを接合する接合工程と、前記治具を前記回路板から取り外す取り外し工程とを含み、前記リードは、平面視での前記接合部の輪郭が、前記連結部が延出している第1の端部とは反対側の第2の端部から前記連結部の延出方向に所定の距離だけ離れた位置を境として、前記第2の端部から遠方となる位置において、前記連結部の前記延出方向と直交する幅方向の両端の位置が互いに反対の端部の方向に変位して、前記幅方向の寸法が第1の寸法から第1の寸法よりも小さい第2の寸法に変化する形状であり、前記治具における前記接合部と対応する部分開口部は、平面視での輪郭が、前記接合部及び前記連結部を含む前記リードの輪郭を内包し、かつ、前記幅方向の寸法が前記第1の寸法から前記第2の寸法に変化する部分の軌跡に沿って変化する部分を有する形状である。
【0096】
上記実施の形態に係る半導体装置は、上記の半導体モジュールと、前記半導体モジュールの前記回路板における前記半導体素子が搭載された面とは反対側の面に配置された冷却器と、を備える。
【0097】
上記実施の形態に係る車両は、上記の半導体モジュール、又は半導体装置を備える。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本発明は、板状はんだ等の板状の接合材を利用して回路板の導電部材とリードとを接合した場合の接合不良や絶縁性の低下を低減することができるという効果を有し、特に、産業用又は電装用の半導体モジュール、半導体装置、及び車両に有用である。
【符号の説明】
【0099】
1 半導体装置
2 半導体モジュール
3 冷却器
4 ベース
5 回路板
500 配線板
501 絶縁基板
502~505 導体パターン
510、520 半導体素子
511、512 主電極
512、522 制御電極
6 ケース
601 絶縁部材
602~604 主端子
605、606 制御端子
701~705、708 リード
702a、702b 接合部
702c 連結部
720、725、730 上面
721~724、726~729、731~736 側面
801、802 ボンディングワイヤ
10 冶具
1001 開口部
1002、1003 (リードの接合部と対応する)部分開口部
1004 (リードの連結部と対応する)部分開口部
1002a~1002e、1003a~1003e 壁面
1003f 凸状部
1101、1102 板状はんだ
1101a~1101d、1102a~1102d 側面
12 冶具
1201 開口部
1202、1203 (リードの接合部と対応する)部分開口部
1204 (リードの連結部と対応する)部分開口部
1301、1302 導体パターン
1303 リード
1501 車両
1502 車輪
1503 駆動部
1504 制御装置