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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063848
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】排熱融雪システム
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/26 20060101AFI20240507BHJP
   E01H 5/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E01C11/26 Z
E01H5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171980
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520320446
【氏名又は名称】中部電力パワーグリッド株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391007460
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134647
【弁理士】
【氏名又は名称】宮部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】大西 偉允
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩
(72)【発明者】
【氏名】西原 嘉樹
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA04
2D051GA08
2D051GB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建物からの排熱を利用して細長いエリアにおいても均一な融雪を可能とし、粘土質地盤においても支障をきたすことなく動作する排熱融雪システムを提供する。
【解決手段】融雪対象路の延伸方向に延びる第一の通気路と、第一の通気路と平行に延びる第二の通気路の複数と、融雪対象路の幅方向に延び第一の通気路及び第二の通気路と交差して連通する第三の通気路の複数と、が設けられ、第一の通気路の下方に第一の通気路に沿って通気主管が埋設される。通気主管は、埋設された状態において上側となる部位に、鉛直上方に伸び通気主管の長手方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた複数の枝管を、埋設された状態における底側となる部位に、長手方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた複数の水抜孔を有する。枝管は、第一の通気路の中に配置され、上方が閉塞され、水平方向への開口が周方向に間隔を開けて複数設けられている開口部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融雪対象路の下方において、前記融雪対象路の延伸方向に延びる第一の通気路と、前記第一の通気路と平行に延びる第二の通気路の複数と、前記融雪対象路の幅方向に延び前記第一の通気路及び前記第二の通気路と交差して連通する第三の通気路の複数と、が設けられ、
前記第一の通気路の下方に前記第一の通気路に沿って通気主管が埋設され、
前記通気主管は、埋設された状態において上側となる部位に、鉛直上方に伸び前記通気主管の長手方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた複数の枝管を有し、埋設された状態における底側となる部位に、長手方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた複数の水抜孔を有し、
前記枝管は、前記第一の通気路の中に配置される開口部を有し、前記開口部は、上方が閉塞され、水平方向への開口が周方向に間隔を開けて複数設けられていることを特徴とする排熱融雪システム。
【請求項2】
前記通気主管は、長手方向の終端部に、埋設された状態において上方に開閉可能とされた作業用口を有する請求項1に記載の排熱融雪システム。
【請求項3】
前記通気主管は、長手方向の途中に縮径部を有し、建物からの排熱を前記通気主管に供給する排熱供給管が接続される供給基点に近い側の径が、長手方向の終端部に近い側の径よりも大きい請求項1又は2に記載の排熱融雪システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物からの排熱を利用して路面に堆積した雪を除去するための、排熱融雪システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物からの排熱を利用して路面に堆積した雪を除去するための様々な技術が、以前より提案されている。例えば、特開2008-57317号公報では、路面下に埋設され中空部を備えた中空構造体と、中空構造体の上部に設けられ路面を構成する蓄熱路面材を有し、蓄熱路面材に形成された分岐状空隙網を通して、中空部内に圧入された0℃以上の空気を路面上へ連続的に噴出させる、空気噴出融雪・乾燥システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-57317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、路面下に設けた中空構造体に、埋設された通気管を通して排熱で温めた空気を供給する従来の技術では、歩道のように細長いエリアにおいて均一に融雪できないことがあった。また、粘土質地盤では、融雪の排水性が悪くなり通気管が浸水し、暖気の供給に支障をきたすおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、建物からの排熱を利用して細長いエリアにおいても均一な融雪を可能とし、粘土質地盤においても支障をきたすことなく動作する排熱融雪システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る排熱融雪システムでは、融雪対象路の下方において、前記融雪対象路の延伸方向に延びる第一の通気路と、前記第一の通気路と平行に延びる第二の通気路の複数と、前記融雪対象路の幅方向に延び前記第一の通気路及び前記第二の通気路と交差して連通する第三の通気路の複数と、が設けられる。また、前記第一の通気路の下方に前記第一の通気路に沿って通気主管が埋設される。
【0007】
前記通気主管は、埋設された状態において上側となる部位に、鉛直上方に伸び前記通気主管の長手方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた複数の枝管を有し、埋設された状態における底側となる部位に、長手方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた複数の水抜孔を有する。
【0008】
前記枝管は、前記第一の通気路の中に配置される開口部を有し、前記開口部は、上方が閉塞され、水平方向への開口が周方向に間隔を開けて複数設けられている。
【0009】
前記通気主管は、長手方向の終端部に、埋設された状態において上方に開閉可能とされた作業用口を有するものであってもよい。
【0010】
前記通気主管は、長手方向の途中に縮径部を有し、建物からの排熱を前記通気主管に供給する排熱供給管が接続される供給基点に近い側の径が、長手方向の終端部に近い側の径よりも大きいものであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る排熱融雪システムでは、融雪対象路の下方において、融雪対象路の延伸方向に延びる第一の通気路と、第一の通気路と平行に延びる第二の通気路の複数と、融雪対象路の幅方向に延び第一の通気路及び第二の通気路と交差して連通する第三の通気路の複数と、を設け、第一の通気路の中に配置される、上方が閉塞され、水平方向への開口が周方向に間隔を開けて複数設けられている枝管の開口部を通して暖気を供給することにより、細長いエリアにおいても均一な融雪が可能となる。
【0012】
また、通気主管の、埋設された状態における底側となる部位に、長手方向に沿って所定の間隔を開けて複数の水抜孔を設けることにより、通気主管に水が浸入した場合の閉塞や通気面積の低下を抑制することができる。すなわち、粘土質地盤においても支障をきたすことなく動作させることが可能となる。
【0013】
更に、通気主管は、長手方向の終端部に、埋設された状態において上方に開閉可能された作業用口を有するものであれば、進入水量が多い場合に、この作業用口を通して排水作業を行うことで、通気主管の閉塞や通気面積の低下を抑制することができる。すなわち、降雪量が多くなる場合においても支障をきたすことなく動作させることが可能となる。
【0014】
更に、通気主管は、長手方向の途中に縮径部を有し、建物からの排熱を通気主管に供給する排熱供給管が接続される供給基点に近い側の径が、長手方向の終端部に近い側の径よりも大きいものであれば、通気主管の供給基点の近傍における融雪不良が軽減され、より均一な融雪が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る排熱融雪システムの融雪対象路の下方に設けられる構造の実施形態を示す平断面図である。
図2図1のA-A矢視線に沿った側断面図である。
図3】埋設前の通気主管を示す図面代用写真である。
図4】埋設前の通気主管の終端部を示す図面代用写真である。
図5】実施例1において温度の計測を行った地点を示す平断面図である。
図6】実施例1の温度の計測結果を示すグラフである。
図7】実施例2の数値解析の結果を示し、(a)は第一、第二、第三の通気路の中心の温度分布図、(b)は路面近傍の温度分布図である。
図8】実施例3の数値解析の結果を示し、(a)は第一、第二、第三の通気路の中心の温度分布図、(b)は路面近傍の温度分布図である。
図9】実施例4の数値解析の計算モデルを示す斜視図である。
図10】実施例4の数値解析の結果を示し、(a)は通気主管が縮径部を有さない場合における第一、第二、第三の通気路の中心の温度分布図、(b)は通気主管が終端から3.9mの位置に縮径部を有する場合における第一、第二、第三の通気路の中心の温度分布図、(c)は通気主管が終端から7.6mの位置に縮径部を有する場合における第一、第二、第三の通気路の中心の温度分布図である。
図11】実施例4の数値解析の結果を示し、(a)は通気主管が縮径部を有さない場合における路面近傍の温度分布図、(b)は通気主管が終端から3.9mの位置に縮径部を有する場合における路面近傍の温度分布図、(c)は通気主管が終端から7.6mの位置に縮径部を有する場合における路面近傍の温度分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図を参照しながら、本発明に係る排熱融雪システムの実施形態について説明する。なお、図1及び図2において、図示の便宜上、寸法の相対比率が正確に表されていない部分がある。
この実施形態では、融雪対象路として幅が約2mの歩道が想定され、約10mの長さの区域に堆積した雪を、建物からの排熱を利用して融雪することが想定されている。
【0017】
この排熱融雪システムによる融雪の対象となる区域には、融雪対象路の地表面の構造をなす地表層1の下、すわなち、融雪対象路の下方に、第一の通気路21、第二の通気路22、及び、第三の通気路23が設けられている。
【0018】
第一の通気路21は、融雪対象路の延伸方向Lに延び、融雪対象路の幅方向Wにおける端の位置に設けられている。なお、この実施形態の第一の通気路21の断面形状は四角形となっており、図1において、矢視線Aに沿った側断面は、第一の通気路21の側壁を含む面となっている。
【0019】
第二の通気路22は、第一の通気路21と平行に延び、融雪対象路の幅方向Wに間隔を空けて複数設けられている。また、第三の通気路23は、融雪対象路の幅方向Wに延び、第一の通気路21及び第二の通気路22と交差して連通し、融雪対象路の延伸方向Lに間隔を空けて複数設けられている。なお、この実施形態の第二の通気路22、及び、第三の通気路23の断面形状は、第一の通気路21と同様に、四角形となっている。
【0020】
第一の通気路21の下方には、第一の通気路21に沿って通気主管30が埋設されている。通気主管30は、埋設された状態において上側となる部位に、鉛直上方に伸び通気主管30の長手方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた複数の枝管31を有している。
【0021】
通気主管30は、また、埋設された状態における底側となる部位に、長手方向に沿って所定の間隔を開けて設けられた複数の水抜孔(図示せず)を有している。更に、通気主管30は、長手方向の終端部に、埋設された状態において上方に開閉可能とされた作業用口32を有している。
【0022】
枝管31は、第一の通気路21の中に配置される開口部33を有している。開口部33は、上方が閉塞され、水平方向への開口が周方向に間隔を開けて複数設けられている。
【0023】
建物からの排熱は、排熱供給管4を通して通気主管30に供給されるものとなっている。排熱供給管4は、融雪対象路の延伸方向における途中の場所で通気主管30に接続されている。なお、排熱の供給元に設置される設備は、送気ファンなどの公知技術であるため、説明は省略する。
【0024】
排熱供給管4が通気主管30に接続される供給基点Oでは、第一の通気路21と第三の通気路23が交差連通している。また、通気主管30において排熱供給管4の接続された部位には、枝管31が設けられ、この部位の枝管31に設置される開口部33には、水平方向への開口が、周方向に90度の間隔で4個設けられている。そして、開口部33を中心として、第一の通気路21が延びる二方向と、第三の通気路23が延びる二方向へ、暖気が排出されるものとなっている。
【0025】
他の枝管31も、通気主管30における、第一の通気路21と第三の通気路23が交差連通する場所に位置する部位に設けられている。そして、これらの枝管31に設置される開口部33は、第一の通気路21の供給基点Oから離れる方向と、第三の通気路が延びる二方向の計3方向に開口するものとなっている。
【0026】
地表層1の内部には、微細な空隙が多数形成され、また、これら空隙が繋がることで、地表層1の底面から地表面に至る連通路が多数形成されている。そして、これら連通路を通して、第一の通気路21、第二の通気路22、及び、第三の通気路23に供給された暖気が地表に噴出されるものとなっている。
【0027】
この実施形態における第一の通気路21、第二の通気路22、及び、第三の通気路23は、樹脂製で四角柱形状をなすブロック体の複数を、厚み方向が鉛直方向と重なる向きで並べて配置することにより構築されている。ブロック体は、長手方向、又は、幅方向、或いは、長手方向と幅方向の双方向に貫通孔が設けられており、これら貫通孔が、第一の通気路21、第二の通気路22、又は、第三の通気路23を形成するものとなっている。また、貫通孔の設けられていない部位(図1において、第一の通気路21、第二の通気路22、及び、第三の通気路23で囲まれたハッチングされている領域)が、地表層1を支持するものとなっている。
【0028】
ブロック体には、更に、上側に配置される面に開口し貫通孔に連通する細孔が多数設けられている。そして、第一の通気路21、第二の通気路22、及び、第三の通気路23から地表層1の底面に暖気を供給するものとなっている。
【0029】
この実施形態において、排熱供給管4が通気主管30に接続される供給基点Oは、通気主管30の長手方向における途中の位置とされている。そして、通気主管30は、2つの終端部の双方に作業用口32を有するものとなっている。
【0030】
なお、通気主管30における供給基点Oの位置に制限はなく、融雪対象路の周囲環境に応じ、適切な位置とすることができる。例えば、通気主管30の長手方向の基端としてもよい。
【0031】
ただし、通気主管30の、供給基点Oから長手方向の終端部までの距離が長くなると、供給基点Oの近傍で暖気の吹出速度が低下し、供給基点Oの近傍で融雪不良が生じることがある。そのため、通気主管30の、供給基点Oから長手方向の終端部までの距離が長くなる場合は、通気主管30の長手方向の途中に縮径部を設け、供給基点Oに近い側の径を、長手方向の終端部に近い側の径よりも大きくすることが好ましい、これにより、通気主管30の終端部への暖気の流れを抑制し、供給基点Oの近傍における融雪不良を軽減することができる。
【実施例0032】
「実施例1」
延伸方向Lの寸法が6.4m、幅方向Wの寸法が2.8mの試験施工区画に、第一の通気路、第二の通気路、及び、第三の通気路を設け、その上にレンガブロックを敷き詰めて融雪対象路を形成し、第一の通気路と第三の通気路が交差する地点の温度を計測した。
【0033】
試験施工区画の幅方向Wには、第一の通気路と、5本の第二の通気路を略等間隔で配置し、延伸方向Lには、12本の第三の通気路を略等間隔で配置した。なお、第一の通気路は、幅方向Wの一方の端から3本目(他方の端から4本目)の位置に配置した。
【0034】
通気主管は地表から約1mの深さに埋設し、長手方向の終端と反対側の端を排熱供給管4と接続する供給基点とした。温度の計測は、第一の通気路が、排熱供給管に接続されている側から1本目、2本目、4本目、6本目、9本目、12本目の第三の通気路と交差する地点P1、P2、P3、P4、P5、P6で行った。また、排熱供給管の基端部近傍の地点P0においても、温度の計測を行った。温度の計測を行った地点を図5に、計測結果を図6に示す。
【0035】
実施例1の試験施工区画において、通気主管に供給された暖気の温度は、末端部の地点P6では他の地点よりも大きな低下はみられるものの、延伸方向Lのほぼ全域においてそれほどの低下はみられず、概ね良好な融雪が期待できることが確認された。
【0036】
「実施例2」
融雪対象路として、延伸方向Lの寸法が4.4m、幅方向Wの寸法が1.8mの区画を想定し、幅方向Wに、第一の通気路と、3本の第二の通気路を略等間隔で配置し、延伸方向Lに、8本の第三の通気路を略等間隔で配置した場合の数値解析を行った。
【0037】
なお、第一の通気路は、幅方向Wにおける端の位置に配置し、延伸方向Lの一方の端から5本目(他方の端から4本目)の第三の通気路と第一の通気路が交差する地点を、通気主管に排熱供給管が接続する供給基点とした。第一の通気路、第二の通気路、及び、第三の通気路の中心温度分布を図7(a)に、路面近傍の温度分布を図7(b)に示す。延伸方向Lのほぼ全域において、概ね良好な融雪が期待できることが確認された。
【0038】
「実施例3」
融雪対象路として、延伸方向Lの寸法が8.8m、幅方向Wの寸法が1.8mの区画を想定し、幅方向Wに、第一の通気路と、3本の第二の通気路を略等間隔で配置し、延伸方向Lに、16本の第三の通気路を略等間隔で配置した場合の数値解析を行った。
【0039】
なお、第一の通気路は、幅方向Wにおける端の位置に配置し、延伸方向Lの一方の端から9本目(他方の端から8本目)の第三の通気路と第一の通気路が交差する地点を、通気主管に排熱供給管が接続する供給基点とした。第一の通気路、第二の通気路、及び、第三の通気路の中心温度分布を図8(a)に、路面近傍の温度分布を図8(b)に示す。延伸方向Lのほぼ全域において、概ね良好な融雪が期待できることが確認された。
【0040】
「実施例4」
融雪対象路として、延伸方向Lの寸法が2.2m、幅方向Wの寸法が2.8mの区画(以下、「幅広区画」とする)と、延伸方向Lの寸法が8.0m、幅方向Wの寸法が1.8mの区画(以下、「幅狭区画」とする)が連結された、平面視L形の区画を想定し、幅方向Wに、幅広区画と幅狭区画の双方にわたって延びる第一の通気路と、3本の第二の通気路を略等間隔で配置するとともに、幅広区画には、これら通気路に加え更に2本の第二の通気路をこれら通気路と略等間隔で配置し、また、延伸方向Lに、18本の第三の通気路を略等間隔で配置した場合について、通気主管の径を変えて、数値解析を行った。
【0041】
なお、第一の通気路は、幅狭区画では幅方向Wにおける端の位置となり、幅広区画では幅方向Wの一方の端から3本目(他方の端から4本目)の位置となる配置とし、通気主管と排熱供給管は、通気主管の長手方向の終端と反対側の端でL字形に接続するものとした。第一の通気路、第二の通気路、第三の通気路及び通気主管の配置を図9に示す。
【0042】
通気主管の径を全長にわたり200mmとした場合(Case1)、通気主管の終端から3.9mの位置を縮径部とし、縮径部から終端側の径を150mm、縮径部から供給基点側の径を200mmとした場合(Case2)、及び、通気主管の終端から7.6mの位置を縮径部とし、縮径部から終端側の径を150mm、縮径部から供給基点側の径を200mmとした場合(Case3)の、第一の通気路、第二の通気路、及び、第三の通気路の中心温度分布を図10に、路面近傍の温度分布を図11に示す。
【0043】
通気主管の径を全長にわたり200mmとした場合(Case1)では、図10(a)及び図11(a)が示すように、幅広区画における供給基端側の第一の通気路からより離れた隅角部(楕円で囲まれた領域)において、暖気の吹出速度が低下し融雪不良となっている。これに対し、通気主管の終端から3.9mの位置を縮径部とし、縮径部から終端側の径を150mm、縮径部から供給基点側の径を200mmとした場合(Case2)では、図10(b)及び図11(b)が示すように、その隅角部において融雪不良の面積が小さくなっている。すなわち、縮径部を有する通気主管を用いることで、供給基端側における融雪不良の軽減を期待できることが確認された。
【0044】
なお、縮径率及び縮径部の位置は、設置環境に応じて最適なものとする。例えば、この実施例4では、通気主管の終端から7.6mの位置を縮径部とした場合(Case3)では、図10(c)及び図11(c)が示すように、幅広区画の隅角部における融雪不良は解消されるものの、幅狭区画の一部(楕円で囲まれた領域)で融雪不良となっている。従って、この実施例4の想定された環境では、通気主管の供給基端側の径を200mm、終端側の径を150mmとした場合、縮径部の位置は、終端部から3.9mの位置と7.6mの位置の間に存在する最適な位置とすればよい。
【符号の説明】
【0045】
1 地表層
4 排熱供給管
21 第一の通気路
22 第二の通気路
23 第三の通気路
30 通気主管
31 枝管
32 作業用口
33 開口部
L 延伸方向
O 供給基点
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11