(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063850
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】成形品及び成形品の成形設備
(51)【国際特許分類】
B29C 59/04 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B29C59/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171994
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤下 義也
(72)【発明者】
【氏名】赤木 竜也
(72)【発明者】
【氏名】上原 健嗣
(72)【発明者】
【氏名】小島 典弘
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 則義
(72)【発明者】
【氏名】中沢 卓司
(72)【発明者】
【氏名】三好 永晃
【テーマコード(参考)】
4F209
【Fターム(参考)】
4F209AA20
4F209AB11
4F209AB25
4F209AF01
4F209AF08
4F209AG01
4F209AG05
4F209PA04
4F209PB02
4F209PC05
4F209PJ01
4F209PN06
4F209PQ01
(57)【要約】
【課題】エンボスロールによって形成する木目模様の人工物感を小さくできる成形品と、その成形設備を提供する。
【解決手段】長尺状の表面にエンボスロールによって木目模様部を形成する成形品において、木目模様部が前記エンボスロールの加工面の一部位によって形成される繰返模様部を有し、この繰返模様部を長手方向に複数形成すると共に、各繰返模様部の幅方向の位置が異なるように配置する。各繰返模様部の幅方向の位置を異ならせて配置することで、各繰返模様部が繰り返し形成されているように認識されにくくなされ、成形品の人工物感が小さくなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面に凸凹を有する木目模様部を備える長尺状の成形品であって、
前記木目模様部はエンボスロールによって形成されており、
前記木目模様部はエンボスロールの加工面の一部位によって複数形成される繰返模様部を有し、該繰返模様部は前記外面の長手方向に複数形成されると共に、各繰返模様部の幅方向の位置が異なるように配置されていることを特徴とする成形品。
【請求項2】
前記木目模様部は複数の突条からなる柾目模様部を有し、該柾目模様部が前記外面の長手方向に沿うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
加工前長尺材の外面に凸凹を有する木目模様部を形成する成形品の成形設備であって、
エンボスロールの加工面に前記木目模様部に対応する凸凹形状のエンボス部が形成されていると共に、該エンボス部が前記エンボスロールの周方向に対し所定角度に傾く傾斜状に形成されており、
前記エンボスロールは回転する軸の方向が加工前長尺材の進行方向に対して垂直に配置され、前記進行方向に対して長手方向を前記所定角度に傾けた前記加工前長尺材を前記エンボスロールへ進行させて前記木目模様部が形成されるように設けたことを特徴とする成形品の成形設備。
【請求項4】
前記エンボスロールは、前記エンボス部に複数の凹溝からなる柾目エンボス部を有しており、該柾目エンボス部が前記軸の方向に対し前記所定角度に傾斜して形成されて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の成形品の成形設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外面に木目模様を形成した成形品と、この成形品を製造するための成形設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂材料からなる長尺体の外面に木目模様を形成した木質調の成形品は従来から利用されており、成形品や成形方法に関する種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン樹脂又はアクリルゴム-スチレン-アクリロニトリル樹脂からなる基材樹脂、木質充填剤、発泡剤、種剤樹脂、及び顔料を含む木質系樹脂組成物を大気中に押し出し、押し出された発泡成形体に、180℃~220℃のエンボスロールによりシボ付けと艶消しとを行うことを特徴とする艶消し木質調木口材の製造方法の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の艶消し木質調木口材の製造方法は、成形体の外面にエンボスロールによって木質調のシボ付けを行うものであるが、長尺状の成形体の外面へエンボスロールによってシボ付けした場合に、例えば木目の節のような特徴的な模様が長手方向に繰り返し形成されることで人工物感が強くなる、という問題点があった。
【0006】
本発明は、木目模様を有する人工物感が小さい成形品と、その成形設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る成形品は、外面に凸凹を有する木目模様部を備える長尺状の成形品であって、前記木目模様部はエンボスロールによって形成されており、前記木目模様部はエンボスロールの加工面の一部位によって形成される繰返模様部を有し、該繰返模様部は前記外面の長手方向に複数形成されると共に、各繰返模様部の幅方向の位置が異なるように配置されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る成形品によれば、長尺体の外面に凸凹を有する木目模様部をエンボスロールによって形成するので、成形品の外観を木材のように設けることができる。また、エンボスロールの加工面の一部位によって形成する繰返模様部を前記外面の長手方向に複数形成するので、成形品の大きさに対してエンボスロールの直径を小さく設けることができ、その成形を容易に行うことができる。また、各繰返模様部の幅方向の位置を異ならせて配置するので、各繰返模様部が繰り返し形成されているように認識されにくくなされ、成形品の人工物感が小さくなる。
【0009】
また、前記木目模様部に複数の突条からなる柾目模様部を設け、この柾目模様部を前記外面の長手方向に沿うように形成すれば、木目模様部における各繰返模様部の繰り返しが更に認識されにくくなされるので、好ましい。
【0010】
本発明に係る成形品の成形設備は、加工前長尺材の外面に凸凹を有する木目模様部を形成する成形設備であって、エンボスロールの加工面に前記木目模様部に対応する凸凹形状のエンボス部が形成されていると共に、該エンボス部が前記エンボスロールの周方向に対し所定角度に傾く傾斜状に形成されており、前記エンボスロールは回転する軸の方向が加工前長尺材の進行方向に対して垂直に配置され、前記進行方向に対して長手方向を前記所定角度に傾けた前記加工前長尺材を前記エンボスロールへ進行させて前記木目模様部が形成されるように設けたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る成形設備によれば、エンボスロールの加工面に木目模様部に対応する凸凹形状のエンボス部を形成するので、このエンボス部を加工前長尺材の外面へ押し付けて凸凹を有する木目模様部を形成することができる。
また、前記エンボス部を前記エンボスロールの周方向に対し所定角度に傾く傾斜状に形成し、前記エンボスロールの軸方向を加工前長尺材の進行方向に対し垂直に配置し、前記進行方向に対して長手方向を前記所定角度に傾けた加工前長尺材をエンボスロールへ進行させて前記木目模様部を形成するように設けるので、エンボスロールのエンボス部の一部位によって形成する繰返模様部を長尺材の長手方向に複数個設けると共に、各繰返模様部の幅方向の位置を異ならせて配置することができる。
【0012】
また、前記エンボス部に複数の凹溝からなる柾目エンボス部を設け、この柾目エンボス部を前記エンボスロールの軸方向に対し前記所定角度に傾斜させて形成すれば、この柾目エンボス部によって形成する前記木目模様部の柾目模様部を成形体の外面の長手方向に沿って形成することができるので、好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の成形品と成形品の成形設備によれば、エンボスロールによって形成する木目模様の人工物感を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る成形設備を構成する成形機の実施の一形態を示す図である。
【
図2】
図1のプレスロールのエンボス部の概要図である。
【
図3】
図1の成形機を備える成形設備の実施の一形態を示す平面図である。
【
図4】
図3の成形設備に加工前長尺材を配置した状態を示す平面図である。
【
図5】本発明に係る成形品の実施の一形態を示す平面図である。
【
図6】
図5の木目模様部の非柾目模様部部分をそれぞれ拡大して示す図である。
【
図7】本発明に係る成形設備のプレスロールのエンボス部の実施の他の一形態を示す概要図である。
【
図8】本発明に係る成形品の実施の他の一形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1は本発明に係る成形設備1を構成する成形機10の実施の一形態を示す図である。
図1に示す成形機10は所謂ロールプレス機であり、上下方向に配置した2個のプレスロール2、3を備えている。
上方に配置したプレスロール2は外周面を加工面20とするエンボスロールであり、加工面20に凸凹を備えるエンボス部21を形成している。プレスロール2の軸22はモーター4に接続しており、軸22を中心として回転駆動する。
下方に配置したプレスロール3は、外周面をゴムなどの弾性材料で形成しており、軸32を前記プレスロール2の軸22と平行に配置している。プレスロール3は、軸32が付勢手段(図示せず)に接続しており、上方のプレスロール2へ向けて所定の力で付勢される。
【0016】
成形機10は、軸を中心として回転する各プレスロール2、3の間に加工する材料を進行させ、プレスロール3によって上方へ付勢した前記材料の上面をプレスロール2の加工面20へ押し付けて、材料の上面にエンボス部21に対応する模様を成形するように設けている。
尚、成形機10は熱可塑性樹脂の材料を成形可能に設けており、プレスロール2の内部に温調手段を備え、所定の温度に昇温させた加工面20のエンボス部21によって材料を成形できる。
【0017】
図2は
図1のプレスロール2のエンボス部21の概要図である。
図2は、エンボスロールであるプレスロール2の加工面20に形成したエンボス部21を展開して平面状に表した図であり、黒線部分が加工面20に凸状に形成された突条部位であり、白色部分が凹状に形成された溝状部位である。
【0018】
図2に示すエンボス部21は木目状の模様を形成するように形成しており、複数の突条部位や溝状部位を並ぶように配置させて柾目を表現するように設けた柾目エンボス部Yを備えている。
エンボス部21の柾目エンボス部Yは、構成する各突条部位や各溝状部位を軸方向に並ぶように配置しており、前記各突条部位や溝状部位をプレスロール2の周方向に対して傾斜状に形成している。
図2において、柾目エンボス部Yを構成する各突条部位や各溝状部位の方向を表す直線Aは、プレスロール2の周方向を表す直線Bに対して所定の角度αの大きさで傾斜しており、具体的には4度の角度で傾斜している。
【0019】
図2に示すエンボス部21は、一部の突条部位や溝状部位が軸方向へ向かって他の突条部位や溝状部位へ接続する非柾目エンボス部Zを備えている。非柾目エンボス部Zは木材の所謂板目や節目を表現するように形成するものであり、
図2に示すエンボス部21は、軸方向の一方の端部である図中右側に板目を表現する非柾目エンボス部Z1を配置し、軸方向の他方の端部である図中左側に節目を表現する非柾目エンボス部Z2を配置し、軸方向の中央付近に節目を表現する非柾目エンボス部Z3を配置して、それぞれ形成している。
【0020】
図3は
図1の成形機10を備える成形設備1の実施の一形態を示す平面図である。
図3に示す成形設備1は、成形機10の材料投入側と成形品搬送側とにそれぞれローラーコンベアからなる搬送機5、6を配置して構成している。
即ち、成形設備1は、図中上側に示す搬送機5の搬送ローラーR上に供給した加工前の材料を成形機10へ搬送し、成形された成形品を図中下側に示す搬送機6の搬送ローラーRによって成形機10から搬送するように設けている。
図3に示す成形機10は、エンボスロールであるプレスロール2の軸22を図中左右方向に向けて設置している。即ち、成形機10は、プレスロール2の周方向を図中上下方向へ向けている。
また、
図3に示す前記搬送機5と搬送機6は、各搬送ローラーRの軸をそれぞれ図中左右方向に向けて設置しており、搬送ローラーR上の材料を図中上方から下方へ向けて搬送するように機能する。
【0021】
図4は
図3の成形設備1に加工前長尺材8を配置した状態を示す平面図である。
加工前長尺材8は断面矩形の板形状の長尺体であり、上面80を熱可塑性樹脂で形成している。
図4に示す加工前長尺材8は搬送機5の搬送ローラーR上に載置しており、その長手方向を搬送機5の材料搬送方向である図中上下方向に対し傾斜状に配置している。具体的には、
図4中に一点鎖線で示す搬送機5の搬送方向に対して加工前長尺材8は前記所定の角度Rの大きさで傾斜させており、詳細には4度の大きさに傾斜させている。即ち、前記加工前長尺材8は、前記プレスロール2に設けた柾目エンボス部Yが傾斜する所定の角度Rに対応する向きに配置した状態で、搬送機5に搬送されて成形機10へ進入し、その上面80がエンボス部21によって成形される。
【0022】
図5は本発明に係る成形品9の実施の一形態を示す平面図である。
図5に示す成形品9は、
図4に示す加工前長尺材8を成形機10によって成形したものであり、その上面90の全体に前記エンボス部21に対応する木目模様部91を形成している。
即ち、成形品9の木目模様部91は、前記エンボス部21の柾目エンボス部Yによって形成された柾目模様部Myと、前記非柾目エンボス部Z1によって形成された所謂板目を表現する非柾目模様部Mz1と、非柾目エンボス部Z2、Z3によってそれぞれ形成された節目を表現する非柾目模様部Mz2、Mz3を備えている。
尚、
図5に示す木目模様部91は、黒線部分が上面90に凹状に形成された溝状部位であり、白色部分が凸状に形成された突条部位である。
【0023】
前記木目模様部91は、柾目模様部Myを構成する突条部位や溝状部位がそれぞれ成形品9の長手方向に沿って形成されている。これは、前記加工前長尺材8の長手方向をエンボスロールである前記プレスロール2の周方向に対して前記所定の角度Rの大きさに傾斜させた状態で成形機10へ進入させることで、プレスロール2の周方向に対して傾斜状に形成した柾目エンボス部Yの各溝状部位や突条部位がそれぞれ加工前長尺材8の長手方向に沿うように配置され、上面80に当接して柾目模様部Myを形成したものである。
このように、柾目模様部Myを構成する各突条部位や溝状部位を上面90の長手方向に沿って形成することで、成形品9の木質感が向上する。
【0024】
前記非柾目模様部Mz1は、木目模様部91の図中右上付近に1個形成されている。これは、非柾目模様部Mz1を形成する非柾目エンボス部Z1がエンボス部21の軸方向の端部に形成されているため、所定の角度Rの大きさに傾斜させて成形機10へ進入させた成形品9の上面90に前記非柾目エンボス部Z1が1回のみ当接して非柾目模様部Mz1を形成したものである。
また、前記非柾目模様部Mz2は、木目模様部91の図中左下付近に1個形成されている。これは非柾目模様部Mz2を形成する非柾目エンボス部Z2がエンボス部21の軸方向の端部に形成されているため、非柾目模様部Mz1と同様に、所定の角度Rの大きさに傾斜させて成形機10へ進入させた成形品9の上面90に前記非柾目エンボス部Z2が1回のみ当接して非柾目模様部Mz2を形成したものである。
【0025】
木目模様部91において、前記非柾目模様部Mz3は長手方向に間隔をあけて3個形成されている。また、各非柾目模様部Mz3は、幅方向の位置をそれぞれ異ならせて配置されている。これは、非柾目模様部Mz3を形成する非柾目エンボス部Z3がエンボス部21の軸方向の中央付近に形成されているため、成形機10へ進入させた加工前長尺材8の上面80に前記非柾目エンボス部Z3が3回当接して各非柾目模様部Mz3を形成したものである。そして、前記加工前長尺材8の長手方向をエンボスロールである前記プレスロール2の周方向に対して傾斜状に配置して成形機10へ進入させることで、各非柾目エンボス部Z3が当接する上面80の幅方向の位置がそれぞれ変化し、各非柾目模様部Mz3の幅方向の位置がそれぞれ異なって配置されるように形成できる。
前記各非柾目模様部Mz3は、エンボス部21の非柾目エンボス部Z3が複数回当接して形成された繰返模様部Xであり、
図5に示す成形品9は、各繰返模様部Xの幅方向の位置をそれぞれ異ならせて配置している。
【0026】
板目模様を表現する前記非柾目模様部Mz1や節目模様を表現する各非柾目模様部Mz2、Mz3を設けることで木目模様部91を形成した成形品9の木質感を向上させることができる。一方、板目模様や節目模様は柾目模様と比較してその形状を認識しやすいので、木目模様部91の長手方向に沿って繰り返し形成した場合に、これを視認する観者に違和感を生じさせ、その人工物感を大きくしてしまう。
図5に示す成形品9は、前記非柾目模様部Mz1や非柾目模様部Mz2を木目模様部91に1個ずつ形成しているので、成形品9の木質感を向上させると共に、その人工物感を大きくすることがない。
【0027】
また、
図5に示す成形品9は、木目模様部91に3個形成した各非柾目模様部Mz3の幅方向の位置をそれぞれ異ならせて配置している。
図6は
図5の木目模様部91の非柾目模様部Mz3部分をそれぞれ拡大して示す図である。
図6に示す各非柾目模様部Mz3は、非柾目エンボス部Z3によって形成される節目部分のみに着目すればその形状は同一であるが、その幅方向に形成された木目模様部分を含めて観察するとその形状はそれぞれ大きく異なっている。このように各非柾目模様部Mz3の幅方向の位置を異ならせて形成することで、これらを視認する観者に人工的に形成されたものであるとの印象を与えにくく、木目模様部91の人工物感が低減する。
【0028】
図7は本発明に係る成形設備1のプレスロール2のエンボス部21の実施の他の一形態を示す概要図である。
図7に示すエンボス部21は、非柾目エンボス部Z3を形成せずに軸方向の中央付近に柾目エンボス部Yを形成している点のみが
図2に示す前記エンボス部21と異なる事項である。
即ち、
図7に示すエンボス部21は、
図2に示す前記エンボス部21と同様に、柾目エンボス部Yを構成する各突条部位や各溝状部位をプレスロール2の周方向に対して所定の角度αの大きさに傾斜させて形成している。また、
図2に示す前記エンボス部21と同様に、軸方向の一方の端部である図中右側に板目を表現する非柾目エンボス部Z1を配置し、軸方向の他方の端部である図中左側に節目を表現する非柾目エンボス部Z2を配置して、それぞれ形成している。
【0029】
図7に示すエンボス部21を備えるプレスロール2は、
図1に示すプレスロール2と同様の方法で成形機10に組み込み、
図3に示す成形設備1を構成することができる。そして、
図4に示す成形設備1と同様の方法で、加工前長尺材8の上面80をエンボス部21によって成形することができる。
図8は本発明に係る成形品9の実施の他の一形態を示す平面図である。
図8に示す成形品9は、
図4に示す成形設備1と同様の成形設備を利用して、
図7に示すエンボス部21による成形を加工前長尺材8の上面80に施したものである。
【0030】
図8に示す成形品9は、
図5に示す前記成形品9と同様に、前記エンボス部21の柾目エンボス部Yによって形成された柾目模様部Myと、前記非柾目エンボス部Z1によって形成された所謂板目を表現する非柾目模様部Mz1と、非柾目エンボス部Z2によってそれぞれ形成された節目を表現する非柾目模様部Mz2を備えている。
また、柾目模様部Myを構成する突条部位や溝状部位は成形品9の長手方向に沿って形成され、前記非柾目模様部Mz1、Mz2は、木目模様部91の図中右上付近と図中左下付近にそれぞれ1個ずつ形成されている。
【0031】
図8に示す繰返模様部Xは、
図7のエンボス部21の軸方向中央付近に形成された柾目エンボス部Yの一部位(Ya)が複数回当接して形成されたものであり、長手方向に間隔をあけて3個形成されている。
図8に示す成形品9は、
図5、6に示す成形品9と同様に、各繰返模様部Xの幅方向の位置をそれぞれ異ならせて形成することで、これらを視認する観者に人工的に形成されたものであるとの印象を与えにくくしている。更に、
図8に示す成形品9は、エンボス部21の軸方向中央に柾目エンボス部Yを設けることで、前記各繰返模様部Xを柾目模様に形成している。形状の認識が比較的しにくい柾目模様で各繰返模様部Xが形成されることで、木目模様部91が設けられた成形品9の人工物感がより低減する。
【0032】
エンボスロールに形成するエンボス部は、
図8に示すエンボス部21のように、軸方向の中央付近に柾目エンボス部Yを形成し、軸方向の端部に板目や節目を表現する非柾目エンボス部を形成することで、非柾目模様部が繰返模様部Xとなりにくくなされ、人工物感が低減する。エンボス部21は、軸方向の中央付近において軸方向の全長の4分の1以上の範囲に柾目エンボス部を形成することで、繰返模様部Xが柾目模様となりやすくなされ、成形品9の人工物感が低減する。また、軸方向の中央付近において軸方向の全長の4分の1以上の範囲に柾目エンボス部を形成すると共にその端部側に非柾目エンボス部を形成することで、非柾目模様が繰返模様部となりにくくなされ、非柾目模様によって木質感が向上する。
【0033】
尚、本発明に係る成形品9や成形設備1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、
図2や
図7に示す前記各エンボス部21は、板目や節目を表現するための非柾目エンボス部を形成しているが、これに限るものではなく、エンボス部21の全体を柾目エンボス部Yとするようにエンボスロールの加工面20を形成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 成形設備
10 成形機
2 プレスロール
20 加工面
21 エンボス部
22 軸
3 プレスロール
32 軸
8 加工前長尺材
80 上面
9 成形品
91 木目模様部
My 柾目模様部
Mz1 非柾目模様部
Mz2 非柾目模様部
Mz3 非柾目模様部
X 繰返模様部
Y 柾目エンボス部
Z1 非柾目エンボス部
Z2 非柾目エンボス部
Z3 非柾目エンボス部