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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063861
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】釣り用具の着脱構造及びたも網
(51)【国際特許分類】
   A01K 77/00 20060101AFI20240507BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20240507BHJP
   F16B 37/08 20060101ALI20240507BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A01K77/00 A
F16B7/18 A
F16B37/08 Z
F16B37/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172017
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】田中 綾一
【テーマコード(参考)】
2B106
3J039
【Fターム(参考)】
2B106EA13
2B106EL09
3J039AA01
3J039BB01
3J039GA06
(57)【要約】
【課題】網枠と柄との位置合わせが容易で簡易に着脱することができるうえ、網枠と柄との接続部分の緩みやガタつきを抑制することができる。
【解決手段】雄ねじ部42が形成された軸部40と、軸部40の軸方向一端に設けられ、一方向への変位によってピン雄ねじ部22に係合するナット雌ねじ部が内周面に設けられる係合ナット50と、軸部40の雄ねじ部42に螺合し、一端側への螺進により係合ナット50の他方向への変位を規制するロック位置と、他端側への螺進により係合ナット50に対する規制を解除するロック解除位置との間で移動可能なロックナット60と、軸部40の軸方向他端に設けられ、柄3の先端部3aに接続される接続部30と、を備え、ロックナット60がロック位置で、ピン雄ねじ部22とナット雌ねじ部とが係合し、係合ナット50とピン継手20の軸方向への相対移動が規制されるたも網用着脱構造を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り用具と、柄の先端部と、を着脱自在に取り付ける釣り用具の着脱構造であって、
前記釣り用具から外方に突出し、被係合部が設けられたピン継手と、
雄ねじが形成された軸部と、
前記軸部の軸方向一端に設けられ、一方向への変位によって前記被係合部に係合する係合部が内周面に設けられる係合部材と、
前記軸部の前記雄ねじに螺合し、一端側への螺進により前記係合部材の他方向への変位を規制するロック位置と、他端側への螺進により前記係合部材に対する前記規制を解除するロック解除位置との間で移動可能なロックナットと、
前記ロックナットが前記ロック位置にある状態において、前記被係合部と前記係合部とが係合した状態で、前記係合部材と前記ピン継手の前記軸方向への相対移動を規制する第1規制部と、
前記軸部の軸方向他端に設けられ、前記柄の先端部に接続される接続部と、
を備える、釣り用具の着脱構造。
【請求項2】
前記係合部材は、筒状に形成され、
前記係合部材の前記軸部側の外周面には、前記軸部側に向けて縮径する第1テーパ部が形成され、
前記ロックナットの前記係合部材側の内周面には、前記係合部材側に向けて拡径する第2テーパ部が形成され、
前記ロック位置において、前記第2テーパ部が前記第1テーパ部に当接する、請求項1に記載の釣り用具の着脱構造。
【請求項3】
前記係合部材は、周方向に複数に分割され、
分割された前記係合部材は、それぞれ前記軸部に対して径方向に開閉可能に支持されている、請求項1に記載の釣り用具の着脱構造。
【請求項4】
前記被係合部は、前記ピン継手の外周面の少なくとも一部に形成されたピン雄ねじ部であり、
前記係合部は、前記係合部材の内周面の少なくとも一部に形成され、前記ピン雄ねじ部に係合するナット雌ねじ部である、請求項1に記載の釣り用具の着脱構造。
【請求項5】
前記係合部材は、周方向に二分割された一対の半割部材を有し、
前記一対の半割部材同士を径方向外側に付勢する付勢部材が設けられている、請求項1に記載の釣り用具の着脱構造。
【請求項6】
前記ロックナットが前記ロック位置にある状態において、前記係合部材と前記ピン継手との相対回転を規制する第2規制部をさらに備える、請求項1に記載の釣り用具の着脱構造。
【請求項7】
前記第2規制部は、
前記ピン継手の外周面に形成された平面をなす第1平面と、
前記係合部材の内周面に形成され、前記係合部材が前記ピン継手に係合した状態で、前記第1平面に面接触する第2平面と、を有する、請求項6に記載の釣り用具の着脱構造。
【請求項8】
前記ピン継手は、外周面に前記ナット雌ねじ部に対して軸方向に移動可能な第1非螺合部を有し、
前記係合部材は、内周面に前記ピン雄ねじ部に対して軸方向に移動可能な第2非螺合部を有し、
前記ナット雌ねじ部と前記ピン雄ねじ部とは、前記係合部材の周方向への変位によって螺合する、
請求項4に記載の釣り用具の着脱構造。
【請求項9】
前記釣り用具は、網を装着した網枠であり、
前記ピン継手は、前記網枠の外枠から突出して設けられている、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の釣り用具の着脱構造。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の釣り用具の着脱構造と、
前記ピン継手が固定された網枠と、
前記係合部材が先端部に固定された前記柄と、を備える、たも網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用具の着脱構造及びたも網に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、釣用として使用されるたも網では、比較的嵩張ることから、携行性を向上させるために網枠と、柄と、及びそれらを着脱可能に連結する継手と、に分解できる構造がある。このような継手として、網枠をワンタッチで着脱できるもの(例えば、特許文献1、2参照)や、柄に対して網枠を折り畳めるもの(例えば、特許文献3~5参照)が知られている。
【0003】
ここで、網枠をワンタッチで着脱する継手は、断面六角の凹凸同士の係合で相対回転不能にし、凸側の外周に設けた溝にボール等を当接させることで軸方向に抜け止めしている。この構造の場合には、網枠と継手との間に周方向や軸方向にガタつきが生じやすいという欠点がある。
一方、網枠と継手を螺合させた構造(例えば、前述の特許文献5)では、前述したようなガタつきが生じにくくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3798518号公報
【特許文献2】特開2000-350536号公報
【特許文献3】特開2001-299145号公報
【特許文献4】特開2006-115819号公報
【特許文献5】実用新案登録第3090684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のたも網では、網枠と柄、あるいは継手の折り畳み方向との回転方向の位置決めが正確にできず、方向を合わせると締め込んだねじが緩んでしまう可能性がある。
また、荷重に耐えるためには相応のねじ長さが必要であり、着脱に時間がかかる。また、使用の間に螺合が緩むおそれがあり、その点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、位置合わせが容易で簡易に着脱でき、軸方向及び周方向への緩みやガタつきが生じにくい釣り用具の着脱構造及びたも網を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る釣り用具の着脱構造の態様1は、釣り用具と、柄の先端部と、を着脱自在に取り付ける釣り用具の着脱構造であって、前記釣り用具から外方に突出し、被係合部が設けられたピン継手と、雄ねじが形成された軸部と、前記軸部の軸方向一端に設けられ、一方向への変位によって前記被係合部に係合する係合部が内周面に設けられる係合部材と、前記軸部の前記雄ねじに螺合し、一端側への螺進により前記係合部材の他方向への変位を規制するロック位置と、他端側への螺進により前記係合部材に対する前記規制を解除するロック解除位置との間で移動可能なロックナットと、前記ロックナットが前記ロック位置にある状態において、前記被係合部と前記係合部とが係合した状態で、前記係合部材と前記ピン継手の前記軸方向への相対移動を規制する第1規制部と、前記軸部の軸方向他端に設けられ、前記柄の先端部に接続される接続部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る釣り用具の着脱構造の態様1によれば、釣り用具に設けられるピン継手に対して一方向への変位によって係合部材を係合させた後、ロックナットを軸方向の一端側に螺進させロック解除位置からロック位置に移動させることで、ロックナットによって係合部材の軸方向の他方向への変位が抑制され、係合部材とピン継手の係合が維持される。これにより、係合部材とピン継手との係合状態において、被係合部と係合部とが係合し、さらに第1規制部によってピン継手と係合部材の軸方向への相対移動が規制される。すなわち、ピン継手と係合部材とが係合されることで、釣り用具と柄の先端部との間で相対的に周方向に回転したり軸方向にずれたり、がたつくことがなく連結でき、使用時の操作性を向上できる。
また、本態様1では、ロックナットの締め込みロック位置にすることにより容易に係合部材をロックすることができる。さらに、ロックナットを締め込んだり、或いは緩ませることでロック位置とロック解除位置とを移動させる簡単な操作で係合部材を変位させることができ、釣り用具に対して柄の先端部の着脱を容易に行うことができる。
【0009】
(2)本発明の態様2は、態様1の釣り用具の着脱構造において、前記係合部材は、筒状に形成され、前記係合部材の前記軸部側の外周面には、前記軸部側に向けて縮径する第1テーパ部が形成され、前記ロックナットの前記係合部材側の内周面には、前記係合部材側に向けて拡径する第2テーパ部が形成され、前記ロック位置において、前記第2テーパ部が前記第1テーパ部に当接することが好ましい。
【0010】
この場合には、ロック位置においてロックナットの第2テーパ部を係合部材の第1テーパ部にクサビ状に当接させて固定できるので、係合部材の軸方向他端側への変位および係合部材の他方向への変位を抑制することができる。
また、この場合には、ロックナットを締め付けてロック位置へ螺進させる際に、第1テーパ部に第2テーパ部が案内されてロックナットを所定のロック位置に位置決めすることができる。
さらに、この場合には、ロックナットが釣り用具と直接接触しないことから、釣り用具の動きによってロックナットが緩むことを抑制できる。
【0011】
(3)本発明の態様3は、態様1又は態様2の釣り用具の着脱構造において、前記係合部材は、周方向に複数に分割され、分割された前記係合部材は、それぞれ前記軸部に対して径方向に開閉可能に支持されていることが好ましい。
【0012】
この場合には、係合部材をピン継手に係合する際に、分割された複数の係合部材をそれぞれ軸部を回転軸として径方向外側に開いた状態とし、ピン継手の被係合部と係合部材の係合部とを干渉させずにピン継手を係合部材の内側に配置させることができる。その後、複数の分割された係合部材を径方向内側に閉じることでピン継手を径方向外側から挟持するように係合することができる。そして、複数に分割された係合部材は、ロックナットをロック位置にすることで、ロックナットによって径方向外側から押さえられ、径方向外側に開こうとすることが規制される。
【0013】
(4)本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つの釣り用具の着脱構造において、前記被係合部は、前記ピン継手の外周面の少なくとも一部に形成されたピン雄ねじ部であり、前記係合部は、前記係合部材の内周面の少なくとも一部に形成され、前記ピン雄ねじ部に係合するナット雌ねじ部であることが好ましい。
【0014】
この場合には、ピン継手や係合部材に複雑な形状の凹凸部を形成する必要がなく、加工がしやすいねじ構造により構成することができる。しかも、ピン雄ねじ部やナット雌ねじ部における複数のねじ山を利用した凹凸形状となるので、ピン継手と係合部材との軸方向への相対的な移動を効率よく規制することができる。
【0015】
(5)本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの釣り用具の着脱構造において、前記係合部材は、周方向に二分割された一対の半割部材を有し、前記一対の半割部材同士を径方向外側に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴としてもよい。
【0016】
この場合には、ロックナットを緩めて軸方向他端側に螺進させることで、一対の半割部材が付勢部材の付勢により径方向外側に変位するので、係合部材に対してピン継手を双方の係合部と被係合部とを干渉させることなく離脱させることができる。
【0017】
(6)本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれか一つの釣り用具の着脱構造において、前記ロックナットが前記ロック位置にある状態において、前記係合部材と前記ピン継手との相対回転を規制する第2規制部をさらに備えることを特徴としてもよい。
【0018】
この場合には、係合部材とピン継手とが係合されることにより、係合部材とピン継手との係合状態において、被係合部と係合部とが係合し、第1規制部によってピン継手と係合部材の軸方向への相対移動を規制でき、さらに第2規制部によって係合部材とピン継手との相対回転を規制することができる。
【0019】
(7)本発明の態様7は、態様6の釣り用具の着脱構造において、前記第2規制部は、前記ピン継手の外周面に形成された平面をなす第1平面と、前記係合部材の内周面に形成され、前記係合部材が前記ピン継手に係合した状態で、前記第1平面に面接触する第2平面と、を有することを特徴としてもよい。
【0020】
この場合には、ピン継手と係合部材とがそれぞれの平面(第1平面と第2平面)で面接触した状態で係合されるので、周方向への相対的な回転が規制される。また、釣り用具に対する柄の周方向の位置を所定位置に位置決めすることができる。
【0021】
(8)本発明の態様8は、態様4の釣り用具の着脱構造において、前記ピン継手は、外周面に前記ナット雌ねじ部に対して軸方向に移動可能な第1非螺合部を有し、前記係合部材は、内周面に前記ピン雄ねじ部に対して軸方向に移動可能な第2非螺合部を有し、前記ナット雌ねじ部と前記ピン雄ねじ部とは、前記係合部材の周方向への変位によって螺合することを特徴としてもよい。
【0022】
この場合には、ピン継手の第1非螺合部と係合部材の第2非螺合部とが設けられているので、ピン継手と係合部材とを互いに軸方向に近接する方向に移動させて係合させることができる。そして、係合部材を周方向に変位させることで、ナット雌ねじ部とピン雄ねじ部とを螺合させることができる。
【0023】
(9)本発明の態様9は、態様1から態様8のいずれか一つの釣り用具の着脱構造において、前記釣り用具は、網を装着した網枠であり、前記ピン継手は、前記網枠の外枠から突出して設けられている。
【0024】
この場合には、着脱構造を使用して網枠を柄に取り付けることができ、上述した効果を有するたも網を提供できる。
【0025】
(10)本発明に係るたも網の態様10は、態様1から態様8のいずれか一つの釣り用具の着脱構造と、前記ピン継手が固定された網枠と、前記係合部材が先端部に固定された前記柄と、を備えることを特徴としてもよい。
【0026】
この場合には、上述した効果を有するたも網を提供できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る釣り用具の着脱構造及びたも網によれば、釣り用具と柄との位置合わせが容易で簡易に着脱することができるうえ、釣り用具と柄との接続部分の緩みやガタつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態によるたも網の平面図である。
図2図1に示すたも網の分解斜視図である。
図3】たも網用着脱治具を斜め前方から見た斜視図であって、ピン継手に係合ナットを係合させる前の状態を示す図である。
図4図3のたも網用着脱治具を斜め後方から見た斜視図である。
図5】たも網用着脱治具の断面図である。
図6】たも網用着脱治具のロック解除位置の状態を示す縦断面図である。
図7】たも網用着脱治具のロック位置の状態を示す縦断面図である。
図8】他の実施形態によるたも網用着脱治具の断面図であって、図5に対応する図である。
図9】変形例によるたも網の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る釣り用具の着脱構造及びたも網の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0030】
図1及び図2に示すように、本実施形態のたも網1は、網21を装着した網枠2(釣り用具)と、柄3と、網枠2及び柄3を接続するたも網用着脱治具10(着脱構造)と、を備えている。
たも網用着脱治具10は、網枠2から枠外に突出し、外周面2aにピン雄ねじ部22が設けられたピン継手20と、柄3の先端部3aと、を着脱自在に取り付けるものである。
【0031】
ここで、柄3の長手方向を前後方向Xとし、前後方向Xのたも一端側の網枠2側を符号X1で前方、前側(一端側)とし、他端側の柄3側を符号X2で後方、後側(他端側)として方向を定義する。また、たも網用着脱治具10において柄3と同軸となる軸を中心軸Oといい、前後方向Xは中心軸Oの軸方向に沿う。たも網1を軸方向から見た平面視において、中心軸Oに直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向、あるいは回転方向という。
【0032】
網枠2は、円形状に形成され、不使用時において柄3から取り外し可能に設けられている。網枠2は、周方向に複数(ここでは4つ)の円弧部に分割され、それぞれが円形に組み合わされている。網枠2の内部には、例えばナイロン製等の網21が装着されている。
なお、網枠2自体は円形状に固定形成されたものであってもよいし、折り畳み自在に設けられていてもよい。また、円形に限定されず、三角形等種々の形状であってもよい。
【0033】
柄3は、複数の筒状の連結管が長手方向に伸縮自在、あるいは継ぎ合わせ可能に構成されている。柄3の先端部3aには、たも網用着脱治具10を介して網枠2が接続されている。柄3の先端部3aには、後述するたも網用着脱治具10の接続部30が固定されている。接続部30が後述する軸部40に接続されることで、柄3の先端部3aにたも網用着脱治具10が装着され、たも網用着脱治具10を介して網枠2が取り付けられる。
【0034】
たも網用着脱治具10は、ピン継手20と、接続部30と、軸部40と、係合ナット50(係合部材)と、ロックナット60と、を備えている。
たも網用着脱治具10は、例えば、ステンレス、チタニウム及びアルミニウム等の耐蝕性を有する部材から形成されている。
【0035】
ピン継手20は、図2に示すように、略円柱形であり、網枠2の外周部から網枠2の径方向外側に突出している。ピン継手20の外周面には、たも網用着脱治具10に連結固定するためのピン雄ねじ部22(被係合部、第1規制部)と、ピン平面部23(第2規制部、第1平面)と、が周方向に交互に形成されている。
【0036】
図3図5に示すように、ピン雄ねじ部22は、ピン継手20の外周面の軸方向全体に形成され、複数のねじ山が軸方向に並ぶように配置されている。
【0037】
ピン平面部23は、ピン継手20の外周面において径方向に対向するそれぞれの位置に配置されている。各ピン平面部23は、ピン雄ねじ部22の周方向に延在するねじ山を周方向両側で分断させるように設けられている。ピン平面部23は、軸方向から見て径方向に直交する平面となっている。ピン平面部23は、軸方向に延びる凸条23Aの上面に相当する。凸条23Aは、係合ナット50の後述する凹溝53Aに対して嵌合可能に設けられている。ピン平面部23は、ロックナット60がロック位置P1(図7参照)にある状態において、係合ナット50との周方向の相対回転を規制する。
【0038】
図1及び図2に示すように、接続部30は、柄3の先端部3aに中心軸Oと同軸に設けられ、雄ねじが形成された軸部40に螺合可能な雌ねじ部31が形成されている。接続部30は、軸部40に対して着脱可能である。
【0039】
図3図7に示すように、軸部40は、軸本体41と、軸本体41の外周面に形成された雄ねじ部42と、軸本体41の前端部に係合ナット50を固定するための固定部43と、を有する。雄ねじ部42には、ロックナット60が螺合されるとともに、雄ねじ部42の後部42aには、後方から柄3に設けられる雌ねじ部31が螺合される(図2参照)。
【0040】
固定部43は、軸本体41の前端部から前側に突出する上固定片431と下固定片432とが互いに間隔をあけて設けられている。すなわち、上固定片431と下固定片432との間には、側面視して凹部43aが形成されている。この凹部43aには、係合ナット50の連結片52(後述する)が挿入されて支持されている。凹部43aの内側には、上固定片431および下固定片432を連結する断面円形でピン形状の一対の回動軸44(図6及び図7参照)が設けられている。これら一対の回動軸44は、断面円形をなし、中心軸Oを挟んだ両側に設けられている。一対の回動軸44は、係合ナット50の連結片52を凹部43aに挿入した後に、各連結片52の軸孔52aに挿通させて各連結片52を揺動可能に支持する。
【0041】
係合ナット50は、軸部40の軸方向一端(前端X1)に設けられている。係合ナット50は、筒状に形成され、内部にピン継手20を受け入れる係合孔50cを有する。係合孔50cは、軸方向の前方X1に開口している。係合ナット50の係合孔50cは、係合孔50cに係合されるピン継手20とは中心軸Oと同軸である。
係合ナット50の内周面には、一方向(ここでは径方向)への変位によってピン継手20に係合可能なナット雌ねじ部51(係合部、第1規制部)が設けられている。係合ナット50の軸部40側の外周面には、軸部40側に向けて縮径する第1テーパ部50bが形成されている。
【0042】
ナット雌ねじ部51は、係合ナット50の内周面の少なくとも一部に形成され、ピン継手20のピン雄ねじ部22に係止する。ナット雌ねじ部51は、ロックナット60がロック位置P1(図7参照)にある状態において、ピン継手20のピン雄ねじ部22と係合し、係合ナット50とピン継手20の軸方向への相対移動を規制する。
【0043】
また、係合ナット50の内周面には、ナット雌ねじ部51と周方向に交互に配置され、係合ナット50がピン継手20に係合した状態で、ピン継手20のピン平面部23に面接触するナット平面部53(第2規制部、第2平面)を有する。
【0044】
ナット平面部53は、内周面において径方向に対向するそれぞれの位置に配置されている。各ナット平面部53は、ナット雌ねじ部51の周方向に延在するねじ山を周方向両側で分断させるように設けられている。ナット平面部53は、軸方向から見て径方向に直交する平面となっている。ナット平面部53は、軸方向に延びる凹溝53Aの底面に相当する。凹溝53Aの断面形状は、ピン継手20の凸条23Aの断面形状と略一致している。凹溝53Aには、ピン継手20の凸条23Aが軸方向に挿入される。凹溝53Aに凸条23Aが挿入されて係合した状態で、ナット平面部53にピン平面部23が対向する位置となる。これにより、ナット平面部53は、ロックナット60がロック位置P1にある状態において、係合ナット50との周方向の相対回転を規制する。
【0045】
このように、たも網用着脱治具10によれば、ピン継手20と係合ナット50との周方向の相対位置は、凸条23Aと凹溝53Aとが係合することで決まった位置に位置決めされる。すなわち、網枠2は、柄3に対して周方向の位置が常に決まった位置で取り付けられる。そのため、例えば網枠2に対して持ちやすい形状の柄3が採用される場合にに、柄3に対して網枠2の周方向の向きを常に同じ向きで装着することができる。また、柄3に一方向に折り畳める機能をもたせた場合でも、折り畳まれる網枠2の向きが一定となり、使い勝手に優れた構成となる。
【0046】
係合ナット50は、周方向に複数(ここでは2つ)の半割ナット50A、50B(半割部材)に分割されている。分割された半割ナット50A、50Bの一端(後端)は、それぞれ軸部40に対して径方向に揺動可能に支持されている。これにより、半割ナット50A、50B同士は、前端側で近接離反するように開閉可能である。
【0047】
半割ナット50A、50Bのそれぞれの後端面50aには、後方X2に向けて突出する連結片52が設けられている。連結片52には、軸部40の回動軸44が挿通される軸孔52aを有している。一対の連結片52は、軸部40の凹部43aに進入可能である。一対の連結片52は、それぞれの軸孔52aが回動軸44に係合することで、軸部40の固定部43に対して回動可能に支持されている。
係合ナット50は、連結片52が固定部43に支持されることで軸部40と一体的に設けられている。
【0048】
また、係合ナット50の後端面50a側には、一対の半割ナット50A、50B同士の間に介在され、半割ナット50A、50B同士が離反するように径方向外側(図6の矢印E1方向)に付勢するばね部材54(付勢部材)が設けられている。ばね部材54としては、例えばスプリングばねが採用される。すなわち、一対の半割ナット50A,50Bは、後述するロックナット60がロック解除位置P2(図6参照)のとき、ばね部材54の付勢によってナット前部が径方向外側E1に開いた状態となり、ピン継手20との係合が解除される。
【0049】
ロックナット60は、軸部40の雄ねじ部42に螺合可能である。ロックナット60は、軸方向で前側X1(係合ナット50側)への螺進により係合ナット50の径方向外側E1への変位を規制するロック位置P1と、軸方向で後側X2(柄3側)への螺進により係合ナット50に対する規制を解除するロック解除位置P2と、の間で移動可能に設けられている。
【0050】
ロックナット60の係合ナット50側の内周面には、係合ナット50側に向けて拡径する第2テーパ部60aが形成されている。図7に示すように、ロック位置P1において、第2テーパ部60aが係合ナット50の第1テーパ部50bに当接する。つまり、ロック位置P1では、ロックナット60が係合ナット50側に移動するので、ばね部材54によって径方向外側E1に拡径した状態の一対の半割ナット50A、50Bを、ばね部材54の付勢に抗して径方向内側E2に縮径した状態となる。
【0051】
このように構成されるたも網1において、使用時に柄3の先端に網21が装着された網枠2を組み付ける方法と、不使用時に分離する方法について説明する。
先ず、図1及び図2に示すように、予め柄3の先端部3aに装着されている接続部30の雌ねじ部31に、一体的に組み付けられた軸部40、係合ナット50、及びロックナット60を装着する。すなわち、柄3に設けられる雌ねじ部31を軸部40の雄ねじ部42に螺合させる。このとき、ロックナット60はロック解除位置P2となる状態で軸部40の雄ねじ部42に螺合した状態である。
【0052】
次に、図3及び図5に示すように、係合ナット50の一対の半割ナット50A、50Bの内側にピン継手20を配置する。このとき、ピン継手20のピン平面部23と係合ナット50のナット平面部53とが互いに対向するように配置する。
【0053】
その後、図6及び図7に示すように、軸部40の雄ねじ部42に螺合しているロック解除位置P2にあるロックナット60を締め込んで係合ナット50側に螺進させ、ロックナット60の第2テーパ部60aを係合ナット50の第1テーパ部50bに当接させる。これにより、ロックナット60がロック位置P1となり、一対の半割ナット50A、50Bがばね部材54の付勢力に抗して閉じる方向に縮径され、係合ナット50がピン継手20に係合する。ロック位置P1において、ピン継手20の凸条23Aが係合ナット50の凹溝53Aに嵌合するとともに、ピン雄ねじ部22とナット雌ねじ部51とが係合する。凸条23Aと凹溝53Aとが嵌合することで、ピン継手20と係合ナット50との回転方向への相対的な移動が規制される。また、ピン雄ねじ部22とナット雌ねじ部51とが係合することで、ピン継手20と係合ナット50との軸方向への相対的な移動が規制される。これにより、柄3に対して所定回転方向の位置に網枠2が取り付けられ、たも網1を使用することができる。
【0054】
なお、上記では、柄3側の接続部30に、一体的に組み付けられた軸部40、係合ナット50、及びロックナット60を装着した後に、網枠2側のピン継手20と係合ナット50とを係合させる組み付け手順としているが逆の手順であってもよい。すなわち、網枠2側のピン継手20に、一体的に組み付けられた軸部40、係合ナット50、及びロックナット60を装着した後に、柄3側の接続部30に軸部40を接続する組み付け手順とすることも可能である。
【0055】
また、たも網1を使用しないときに分離する際には、ロック位置P1にあるロックナット60を軸部40に対して緩めて軸部40側(後側X2)に螺進させることでロック解除位置P2にする。これにより、一対の半割ナット50A、50Bがばね部材54の付勢力で開く方向に拡径し、係合ナット50とピン継手20との係合を解除し、柄3と網枠2とを分離することができる。
【0056】
次に、このように構成されるたも網用着脱治具10及びたも網1の作用について、図1図7に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、網21を装着した網枠2から枠外に突出し、外周面2aにピン雄ねじ部22が設けられたピン継手20と、柄3の先端部3aと、を着脱自在に取り付けるたも網用着脱治具10を設けたものである。たも網用着脱治具10は、雄ねじ部42が形成された軸部40と、軸部40の軸方向一端に設けられ、径方向内側E2への変位によってピン雄ねじ部22に係合するナット雌ねじ部51が内周面に設けられる係合ナット50と、軸部40の雄ねじ部42に螺合し、前側X1への螺進により係合ナット50の径方向外側E1への変位を規制するロック位置P1と、後側X2への螺進により係合ナット50に対する規制を解除するロック解除位置P2との間で移動可能なロックナット60と、軸部40の軸方向他端に設けられ、柄3の先端部3aに接続される接続部30と、を備える。ロックナット60がロック位置P1にある状態において、ピン雄ねじ部22とナット雌ねじ部51とが係合した状態で、係合ナット50とピン継手20の軸方向への相対移動を規制する第1規制部が設けられている。
【0057】
これにより、本実施形態では、網枠に設けられるピン継手20に対して径方向内側E2への変位によって係合ナット50を係合させた後、ロックナット60を前側X1に螺進させロック解除位置P2からロック位置P1に移動させることで、ロックナット60によって係合ナット50の径方向外側E1への変位が抑制され、係合ナット50とピン継手20の係合が維持される。これにより、係合ナット50とピン継手20との係合状態において、ピン雄ねじ部22とナット雌ねじ部51とが係合し、さらに第1規制部によってピン継手20と係合ナット50の軸方向への相対移動が規制される。すなわち、ピン継手20と係合ナット50とが係合されることで、網枠2と柄3の先端部3aとの間で相対的に周方向に回転したり軸方向にずれたり、がたつくことがなく連結でき、使用時の操作性を向上できる。
【0058】
また、本実施形態では、ロックナット60の締め込みロック位置P1にすることにより容易に係合ナット50をロックすることができる。さらに、ロックナット60を締め込んだり、或いは緩ませることでロック位置P1とロック解除位置P2とを移動させる簡単な操作で係合ナット50を変位させることができ、網枠2に対して柄3の先端部3aの着脱を容易に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、係合ナット50は、筒状に形成されている。係合ナット50の軸部40側の外周面には、軸部40側に向けて縮径する第1テーパ部50bが形成されている。ロックナット60の係合ナット50側の内周面には、係合ナット50側に向けて拡径する第2テーパ部60aが形成されている。ロック位置P1において、第2テーパ部60aが第1テーパ部50bに当接する。
【0060】
そのため、ロック位置P1においてロックナット60の第2テーパ部60aを係合ナット50の第1テーパ部50bにクサビ状に当接させて固定できるので、係合ナット50の後側X2への変位および係合ナット50の径方向外側E1への変位を抑制することができる。
また、この場合には、ロックナット60を締め付けてロック位置P1へ螺進させる際に、第1テーパ部50bに第2テーパ部60aが案内されてロックナット60を所定のロック位置P1に位置決めすることができる。
さらに、本実施形態では、ロックナット60が網枠2と直接接触しないことから、網枠2の動きによってロックナット60が緩むことを抑制できる。
【0061】
また、本実施形態では、係合ナット50は、周方向に複数に分割されている。分割された係合ナット50(半割ナット50A、50B)は、それぞれ軸部40に対して径方向に開閉可能に支持されている。
【0062】
そのため、本実施形態では、係合ナット50をピン継手20に係合する際に、分割された複数の係合ナット50をそれぞれ軸部40を回転軸として径方向外側E1に開いた状態とし、ピン継手20のピン雄ねじ部22と係合ナット50のナット雌ねじ部51とを干渉させずにピン継手20を係合ナット50の内側に配置させることができる。その後、複数の分割された係合ナット50を径方向内側E2に閉じることでピン継手20を径方向外側から挟持するように係合することができる。そして、複数に分割された係合ナット50は、ロックナット60をロック位置P1にすることで、ロックナット60によって径方向外側から押さえられ、径方向外側E1に開こうとすることが規制される。
【0063】
また、本実施形態では、第1規制部は、ピン継手20の外周面の少なくとも一部に形成されたピン雄ねじ部22であり、係合ナット50の内周面の少なくとも一部に形成され、ピン雄ねじ部22に係合するナット雌ねじ部51である。
【0064】
そのため、ピン継手20や係合ナット50に複雑な形状の凹凸部を形成する必要がなく、加工がしやすいねじ構造により構成することができる。しかも、ピン雄ねじ部22やナット雌ねじ部51における複数のねじ山を利用した凹凸形状となるので、ピン継手20と係合ナット50との軸方向への相対的な移動を効率よく規制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、係合ナット50は、周方向に二分割された一対の半割ナット50A、50Bを有している。一対の半割ナット50A、50B同士を径方向外側E1に付勢するばね部材54が設けられている。
【0066】
そのため、ロックナット60を緩めて後側X2に螺進させることで、一対の半割ナット50A、50Bがばね部材54の付勢により径方向外側E1に変位するので、係合ナット50に対してピン継手20を双方のナット雌ねじ部51とピン雄ねじ部22とを干渉させることなく離脱させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、ロックナット60がロック位置P1にある状態において、係合ナット50とピン継手20との相対回転を規制する第2規制部をさらに備えている。
【0068】
そのため、係合ナット50とピン継手20とが係合されることにより、係合ナット50とピン継手20との係合状態において、ピン雄ねじ部22とナット雌ねじ部51とが係合し、第1規制部によってピン継手20と係合ナット50の軸方向への相対移動を規制でき、さらに第2規制部によって係合ナット50とピン継手20との相対回転を規制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、第2規制部は、ピン継手20の外周面に形成された平面をなすピン平面部23と、係合ナット50の内周面に形成され、係合ナット50がピン継手20に係合した状態で、ピン平面部23に面接触するナット平面部53と、を有する。
【0070】
そのため、ピン継手20と係合ナット50とがそれぞれの平面(ピン平面部23とナット平面部53)で面接触した状態で係合されるので、周方向への相対的な回転が規制される。また、網枠2に対する柄3の周方向の位置を所定位置に位置決めすることができる。
【0071】
上述のように構成された本実施形態によるたも網用着脱治具10及びたも網1では、網枠2と柄3との位置合わせが容易で簡易に着脱することができるうえ、網枠2と柄3との接続部分の緩みやガタつきを抑制することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0073】
例えば、本実施形態では、釣り用具の着脱構造として、たも網1に適用される例を示したが、釣り用具として網枠2であることに限定されず、他の釣り用具を採用してもよい。例えば、釣り用具としてギャフであってもかまわない。この場合には、例えばギャフの基端部にピン継手が設けられ、ギャフと柄部材とを着脱構造によって連結される構成とされる。
【0074】
また、上記実施形態では、係合部材として、一対の半割ナット50A、50Bからなる係合ナット50を採用しているが、ナット形状のものであることに限定されることはない。
【0075】
また、本実施形態のように、一対の半割ナット50A、50Bのように周方向に複数に分割され、それぞれが径方向に開閉可能な構成であることにも限定されることはない。例えば、一体の筒状の係合部材であってもかまわない。要は、一方向(本実施形態のような径方向、あるいは周方向)への変位によってピン継手20の被係合部に係合する係合部が内周面に設けられる係合部材であればよいのである。
そのため、係合部材の係合部が雌ねじで、ピン継手20の被係合部が雄ねじである必要はない。すなわち、係合部及び被係合部は、係合状態において軸方向の相対移動が規制される構成であればよい。
【0076】
また、本実施形態では、一対の半割ナット50A、50B(半割部材)同士を径方向外側に付勢する付勢部材として、スプリングばねからなるばね部材54が設けられた構成となっているが、板バネや皿バネ等のばね部材であってもよいし、弾性部材を付勢部材として半割部材間に介在させる構成であってもよい。さらに、付勢部材を省略することも可能である。
【0077】
また、本実施形態では、係合ナット50の外周面に第1テーパ部50bを形成し、ロックナット60の内周面に第2テーパ部60aを形成し、それぞれのテーパ部同士が当接する位置でロック位置P1となるように構成されているが、このようなテーパ部50b、60aによる当接する構成に限定されることはない。
【0078】
さらに、本実施形態では、ロックナット60がロック位置P1にある状態において、係合ナット50とピン継手20との相対回転を規制する第2規制部(ピン平面部23、ナット平面部53)が備えられた構成となっているが、第2規制部が平面部であることに限定されることはない。例えば、凹凸による係合によって係合ナット50とピン継手20との相対回転を規制する構成であってもかまわない。
【0079】
なお、係合部材とピン継手の相対回転を規制する第2規制部は省略することも可能である。例えば、係合部材とピン継手とがねじのみで係合であっても、着脱の容易性を達成することができ、しかもロックナットによって係合部材の緩み方向への移動を規制することができる。
【0080】
また、釣り用具の着脱構造として、他の形態のものを採用できる。
例えば、図8に示す他の実施形態によるたも網用着脱治具10A(着脱構造)を採用できる。このたも網用着脱治具10Aは、ピン継手200が外周面2aにナット雌ねじ部51に対して軸方向に移動可能な第1非螺合部24を有し、係合ナット500(係合部材)が内周面にピン雄ねじ部22に対して軸方向に移動可能な第2非螺合部55を有し、ナット雌ねじ部51とピン雄ねじ部22とが係合ナット500の周方向への変位によって螺合する構成となっている。
【0081】
図8に示すたも網用着脱治具10Aでは、ピン継手200の第1非螺合部24と係合ナット500の第2非螺合部55とが設けられているので、ピン継手200と係合ナット500とを互いに軸方向に近接する方向に移動させて係合させることができる。そして、係合ナット500を周方向に変位させることで、ナット雌ねじ部51とピン雄ねじ部22とを螺合させることができる。この場合もロックナット6によって係合ナット500の周方向の変位を規制することができる。
【0082】
また、図9に示すように、変形例によるたも網1Aのように折り畳み可能な構成とすることも可能である。この場合のたも網1Aは、たも網用着脱治具10の網枠2側の軸部40と、柄3側の接続部30と、の間に折り畳み接続部70を備えた構成である。折り畳み接続部70は、軸部40に接続される網枠側継手71と、接続部30に接続される柄側継手72と、網枠側継手71及び柄側継手72を回動自在に接続する回動連結部73と、網枠側継手71と柄側継手72とに跨り、網枠側継手71と柄側継手72とが直線状に姿勢設定された状態を維持するとともに、柄3側へ退避状態に摺動して網枠側継手71と柄側継手72とを折れ曲がり状態に姿勢設定することが可能な固定スリーブ74と、を備えている。網枠側継手71の雌ねじ71aは、軸部40の雄ねじ部42に螺合する。柄側継手72の雄ねじ部72aは、接続部30の雌ねじ部31に螺合する。回動連結部73は、一端が網枠側継手71の第1支持溝71bに第1係止ピン75によって回動可能に接続され、他端が柄側継手72の第2支持溝72bに第2係止ピン76によって回動可能に接続されている。
これにより、変形例によるたも網1Aは、たも網用着脱治具10によって柄3に対して網枠2を着脱自在であるとともに、柄3に対して網枠2を折り畳むことが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1、1A…たも網
2…網枠(釣り用具)
3…柄
3a…先端部
10、10A…たも網用着脱治具(着脱構造)
20、200…ピン継手
22…ピン雄ねじ部(被係合部、第1雄ねじ部、第1規制部)
23…ピン平面部(被係合部、第2規制部、第1平面)
23A…凸条
24…第1非螺合部
30…接続部
31…雌ねじ部
40…軸部
42…雄ねじ部
50、500…係合ナット(係合部材)
50b…第1テーパ部
50A、50B…半割ナット(半割部材)
51…ナット雌ねじ部(係合部、第2雌ねじ部、第1規制部)
53…ナット平面部(係合部、第2規制部、第2平面)
53A…凹溝
54…ばね部材(付勢部材)
55…第2非螺合部
60…ロックナット
60a…第2テーパ部
E1…径方向外側
E2…径方向内側
O…中心軸
P1…ロック位置
P2…ロック解除位置
X…前後方向
X1…前側
X2…後側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9