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特開2024-63871シャワーヘッドホルダー及びシャワー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063871
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】シャワーヘッドホルダー及びシャワー装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/06 20060101AFI20240507BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E03C1/06
A47K3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172028
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000108661
【氏名又は名称】タカラスタンダード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】小林 宙
【テーマコード(参考)】
2D060
2D132
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BF07
2D132FA02
2D132FB01
2D132FB02
2D132FC04
2D132FD01
2D132FE01
(57)【要約】
【課題】簡便な構造で容易に壁面から引き剥がすことができ、任意の位置に移動させることができるシャワーヘッドホルダー及びシャワー装置を提供する。
【解決手段】シャワーヘッドホルダー6は、壁面取付部7と、この壁面取付部7から前方に伸びた把持部12とを有し、壁面取付部7は、把持部12と連接された本体上部8から、把持部12よりも下方に伸びた本体延長部9と、この本体延長部9の下端である支点端部10と、壁面取付部7の後面において本体上部8の真後ろから本体延長部9の下端部に至って取り付けられた永久磁石11とを有している。利用者が、シャワーヘッドホルダー6を壁面2から引き剥がす際、支点端部10を支点として、シャワーヘッドを把持部12ごと引っ張ると、テコの原理で、支点端部10を回転中心としたモーメントが作用する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に自在に着脱される壁面取付部と、
前記壁面取付部から前方に伸びてシャワーヘッドが取り付けられる把持部と、を有し、
前記壁面取付部が、前記把持部よりも下方に伸びた、
ことを特徴とするシャワーヘッドホルダー。
【請求項2】
前記壁面取付部の後面において、前記壁面取付部の真後ろから下方に至って永久磁石を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載されたシャワーヘッドホルダー。
【請求項3】
前記壁面取付部において、
前記把持部よりも下側の長さが、前記把持部よりも上側の長さと比較して長い、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたシャワーヘッドホルダー。
【請求項4】
前記把持部が、
前記シャワーヘッドが挿入される孔が形成された可動部と、
前記シャワーヘッドに取り付けられて前記シャワーヘッドと共に前記孔に挿入されるブッシュ部と、を有し、
前記ブッシュ部が、前記可動部に対して、前記シャワーヘッドを回転軸の中心として回転する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたシャワーヘッドホルダー。
【請求項5】
前記シャワーヘッドと前記ブッシュ部との間に取り付けられるスペーサーを有する、
ことを特徴とする請求項4に記載されたシャワーヘッドホルダー。
【請求項6】
前記ブッシュ部の外周に突起部が形成され、前記可動部の内周に凹凸が形成された、
ことを特徴とする請求項4に記載されたシャワーヘッドホルダー。
【請求項7】
前記可動部の後面に後摺面部が形成され、
前記把持部が、
前記可動部の側面を、前記可動部を回転可能に支持した一対の支持片と、
前記支持片の内側において前記後摺面部と接した内摺面部と、を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載されたシャワーヘッドホルダー。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載されたシャワーヘッドホルダーと、
ホースを介して前記シャワーヘッドが接続された水栓に取り付けられた減圧装置と、を有する、
ことを特徴とするシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浴室等においてシャワーヘッドが取り付けられるシャワーヘッドホルダー及びシャワー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室等に取り付けられているシャワー設備は、止水栓から伸びたホースの先にシャワーヘッドが取り付けられており、このシャワーヘッドは、壁面に固定されたフック等に取り付けられている。下記特許文献1に記載された発明(以下、「文献公知1発明」と記す。)では、フックが、吸盤によって壁面に自在に着脱されるため、入浴者は、シャワーヘッドをフックごと壁面の任意の位置に移動させることができる。文献公知1発明は、吸盤を壁面から引き剥がす構造を有しており、フックを壁面から引き剥がして移動させる場合に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-42519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、吸盤を壁面から引き剥がす構造は複雑であるし、操作し易いものでもない。
【0005】
本発明は、この様な実情に鑑みて提案されたものである。本発明は、簡便な構造で容易に壁面から引き剥がすことができ、壁面における任意の位置に移動させることができるシャワーヘッドホルダー及びシャワー装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、壁面に自在に着脱される壁面取付部と、前記壁面取付部から前方に伸びてシャワーヘッドが取り付けられる把持部と、を有し、前記壁面取付部が、前記把持部よりも下方に伸びた、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、前記壁面取付部の後面において、前記壁面取付部の真後ろから下方に至って永久磁石を有する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、前記壁面取付部において、前記把持部よりも下側の長さが、前記把持部よりも上側の長さと比較して長い、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、前記把持部が、前記シャワーヘッドが挿入される孔が形成された可動部と、前記シャワーヘッドに取り付けられて前記シャワーヘッドと共に前記孔に挿入されるブッシュ部と、を有し、前記ブッシュ部が、前記可動部に対して、前記シャワーヘッドを回転軸の中心として回転する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、前記シャワーヘッドと前記ブッシュ部との間に取り付けられるスペーサーを有する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、前記ブッシュ部の外周に突起部が形成され、前記可動部の内周に凹凸が形成された、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、前記可動部の後面に後摺面部が形成され、前記把持部が、前記可動部の側面を、前記可動部を回転可能に支持した一対の支持片と、前記支持片の内側において前記後摺面部と接した内摺面部と、を有する、ことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係るシャワー装置は、ホースを介して前記シャワーヘッドが接続された水栓に取り付けられた減圧装置と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、壁面に自在に着脱される壁面取付部と、前記壁面取付部から前方に伸びてシャワーヘッドが取り付けられる把持部と、を有し、前記壁面取付部が、前記把持部よりも下方に伸びている。この構成により、把持部から壁面取付部の着脱面までの距離は、把持部から真後ろまでと比較して、把持部から壁面取付部の下端までの方が長くなる。利用者が、シャワーヘッドホルダーを壁面から引き剥がす際、壁面取付部の下端を支点として、シャワーヘッドを把持部ごと引っ張ると、支点を回転中心としたモーメントが作用する。シャワーヘッドホルダーは、壁面取付部の下端を支点として、壁面取付部の上端側から徐々に壁面から引き剥がされ、壁面に対して斜めの姿勢となり、下端側が壁面から離れる(なお、壁面取付部は剛体であるため、実際には、壁面取付部は、上端側も下端側も同時に壁面から引き剥がされる。)。したがって、簡便な構造で容易に壁面から引き剥がすことができ、利用者は、シャワーヘッドを、シャワーヘッドホルダーごと、壁面における任意の位置に移動させることができる。
【0015】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、壁面取付部の後面において、壁面取付部の真後ろから下方に至って永久磁石を有している。この構成により、永久磁石が壁面取付部の広範囲に渡ることになるため、永久磁石と壁面との接触面積が広く、シャワーヘッドホルダーが強固に壁面に取り付けられる。したがって、シャワーの水圧によっても、シャワーヘッドホルダーが壁面から引き剥がされることがない。
【0016】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、壁面取付部において、把持部よりも下側の長さが、把持部よりも上側の長さと比較して長い。壁面取付部の着脱面は、把持部の真後ろから上側において少なく、又は存在しない。したがって、利用者が、壁面取付部の下端を支点としてシャワーヘッドホルダーを壁面から引き剥がす際、把持部の真後ろから上側が抵抗とならず、容易に壁面から引き剥がすことができる。
【0017】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、把持部が、シャワーヘッドが挿入される孔が形成された可動部と、シャワーヘッドに取り付けられてシャワーヘッドと共に孔に挿入されるブッシュ部とを有し、ブッシュ部が、可動部に対して、シャワーヘッドを回転軸の中心として回転する。したがって、シャワーヘッドは、シャワーヘッドホルダーに取り付けられた状態で、可動部を介して左右に回転することができる。
【0018】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、シャワーヘッドとブッシュ部との間に取り付けられるスペーサーを有している。したがって、サイズの異なる種々のシャワーヘッドをシャワーヘッドホルダーに適合させて取り付けることができる。
【0019】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、ブッシュ部の外周に突起部が形成され、可動部の内周に凹凸が形成されている。したがって、シャワーヘッドと共にブッシュ部が回転する際、ブッシュ部の突起部と可動部の凹凸とが擦れることで生じる振動が、いわゆるクリック感として利用者の手に伝わるため、シャワーヘッドの回転を利用者に知覚させることができる。
【0020】
本発明に係るシャワーヘッドホルダーは、可動部の後面に後摺面部が形成され、把持部が、可動部の側面を、可動部を回転可能に支持した一対の支持片と、支持片の内側において後摺面部と接した内摺面部とを有している。したがって、シャワーヘッドは、シャワーヘッドホルダーに取り付けられた状態で、可動部を介して前後に倒れ、向きが変化する。その際、後摺面部と内摺面部との抵抗によって、シャワーヘッドの姿勢が維持される。
【0021】
本発明に係るシャワー装置は、シャワーヘッドホルダーと、ホースを介してシャワーヘッドが接続された水栓に取り付けられた減圧装置とを有している。減圧装置によって、シャワーヘッドから吐出される水圧が減圧されるため、シャワーの水圧によって、シャワーヘッドホルダーが壁面から引き剥がされることがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーが浴室の壁面に取り付けられている状態が示された斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーにおける前側の外観が示された前側斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーにおける後側の外観が示された後側斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーの左側面図である。
図5図5は、図3におけるV-V断面であって、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーの側面断面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーの可動部における前側の外観が示された前側斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーの可動部における後側の外観が示された後側斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーの可動部の左側面図である。
図9図9は、図6におけるIX-IX断面であって、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーの可動部の側面断面図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーのブッシュ部の斜視図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーのブッシュ部の側面図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーのブッシュ部の外面図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーのスペーサーの斜視図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーの使用状態が示された使用状態説明図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーの動作が示された第一動作説明図である。
図16図16は、本発明の実施形態に係るシャワーヘッドホルダーの動作が示された第二動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るシャワーヘッドホルダー及びシャワー装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態に係るシャワーヘッドホルダー6がシャワー装置として浴室1の設置された状態が示されている。図2ないし5には、本実施形態に係るシャワーヘッドホルダー6の外観及び断面が示され、図6ないし13には、本実施形態に係るシャワーヘッドホルダー6の構成部品が示されている。
【0024】
図1に示されているとおり、本実施形態に係るシャワー装置は、シャワーヘッドホルダー6と、水栓3に取り付けられた減圧装置(図示省略)とから構成されている。水栓3には、ホース4を介してシャワーヘッド5が接続されている。減圧装置は、供給源から送水された湯水の水圧を制御するものであり、バルブ等から構成されている。減圧装置によって、シャワーヘッド5から吐出される水圧が減圧される。
【0025】
シャワーヘッドホルダー6は、シャワーヘッド5が取り付けられ、浴室1の壁面2に着脱されるものである。シャワーヘッドホルダー6は、シャワーヘッド5と一体となって、壁面2の任意の位置に自在に着脱される。壁面2は、例えば琺瑯製等である。以下の説明では、壁面2から離れる方向を前方(Front)とし、壁面2に近づく方向を後方(Back)とし、壁面2に沿った高さ方向を上方(Up)又は下方(Down)とし、壁面2に沿った横幅方向を左右方向(Left、Right)とする。
【0026】
図2ないし5に示されているとおり、シャワーヘッドホルダー6の外観は逆L字状である。シャワーヘッドホルダー6は、壁面2に自在に着脱される壁面取付部7と、この壁面取付部7から前方に伸びた把持部12とを有している。壁面取付部7は、上下に伸びた四角柱状である。壁面取付部7は、把持部12と連接された本体上部8と、この本体上部8から、把持部12よりも下方に伸びた本体延長部9と、この本体延長部9の下端である支点端部10と、壁面取付部7の後面において、本体上部8の真後ろから本体延長部9の下端部に至って取り付けられた永久磁石11とを有している。
【0027】
把持部12は、間を空けて互いに対向した左右一対の支持片13と、この支持片13同士の間であって、壁面取付部7の本体上部8の前面として形成された内摺面部14と、支持片13同士の間に配置されて孔23が形成された可動部15と、孔23に挿入されたブッシュ部27と、このブッシュ部27の内側に配置されたスペーサー35とを有している。支持片13は板状であり、可動部15を左右側方から支持している。可動部15は、支持片13に対して回転可能である。内摺面部14は、例えば、前方に向けた突起(図示省略)が形成され、可動部15に接触している。可動部15に形成された孔23には、ブッシュ部27及びスペーサー35が取り付けられたシャワーヘッド5が、ブッシュ部27及びスペーサー35と共に挿入される。なお、スペーサー35を要さない場合、孔23には、シャワーヘッド5がブッシュ部27と共に挿入される。
【0028】
ここで、可動部15を図面に基づいて説明する。図6ないし9には、可動部15の外観及び断面が示されている。
【0029】
図6ないし9に示されているとおり、可動部15は、前面部16、後摺面部17、左側面部18、右側面部19、上面部20及び下面部21を有する立体である。後摺面部17は、複数の段部22が形成されている。左右側面部18,19は、一対の突起である回転軸部24が形成されている。可動部15は、回転軸部24を軸として、把持部12に対して回転可能である。上面部20及び下面部21を貫通した孔23の内周面のうち、上側には複数の凹凸25が形成され、下端には円環状の被係止部26が形成されている。
【0030】
次に、ブッシュ部27及びスペーサー35を図面に基づいて説明する。図10ないし12には、ブッシュ部27の外観が示され、図13には、スペーサー35の外観が示されている。なお、ブッシュ部27及びスペーサー35は、何れも同じ形状の二つの部材が組み合わさって構成されているため、以下は、単一のブッシュ部27及びスペーサー35の説明である。
【0031】
図10ないし12に示されているとおり、ブッシュ部27は、半円形の薄板であり、一対のブッシュ部27が組み合わさることで円筒状となる(図2参照)。ブッシュ部27の上端に形成されたフランジ部28は、外側に向けて張り出している。ブッシュ部27の下端に形成された複数の爪部29は、内側に張り出した内側係止部30と、外側に張り出した外側係止部31とを有している。フランジ部28と爪部29との間であって、ブッシュ部27の外周に形成された突起部32は、外側に向けて張り出している。ブッシュ部27の左右端のうちの一方には、篏合凸部33が形成され、もう一方には、篏合凹部34が形成されている。篏合凸部33及び篏合凹部34は、対となるブッシュ部27の篏合凹部34及び篏合凸部33と篏合する。
【0032】
図13に示されているとおり、スペーサー35は、半円形の薄板であり、下方に向かうにしたがって厚くなっている。したがって、一対のスペーサー35が組み合わさることで円筒状となり、内側の空間がテーパー状となる。
【0033】
上記のとおり、シャワーヘッドホルダー6が構成されている。次に、シャワーヘッドホルダー6をシャワーヘッド5に取り付ける手順を説明する。
【0034】
シャワーヘッド5とホース4とを分解し、ホース4の先端部(図示省略)を可動部15の孔23に下側から通す。必要に応じて、ホース4の先端部にスペーサー35を取り付ける。スペーサー35は一対であるため、二つのスペーサー35でホース4の先端部を挟むことで、先端部の外周面がスペーサー35で囲まれる。この状態で、スペーサー35に重ねてホース4の先端部にブッシュ部27を取り付ける。ブッシュ部27は一対であるため、二つのブッシュ部27でスペーサー35(又はホースの先端部)を挟むことで、スペーサー35(又は先端部)の外周面がブッシュ部27で囲まれる。ブッシュ部27の内側係止部30は、ホースの先端部に引っかかる。
【0035】
この状態で、ホース4の先端部と共にブッシュ部27を可動部15の孔23に上側から挿入する。ブッシュ部27のフランジ部28が、可動部15の上面部20において孔23の縁に引っ掛かり、ブッシュ部27の外側係止部31が、可動部15の被係止部26に引っ掛かる(図5参照)。最後に、シャワーヘッド5をホース4の先端部に接続する。上記のとおり、シャワーヘッド5とシャワーヘッドホルダー6とが一体となる。
【0036】
次に、シャワーヘッドホルダー6の使用方法を、効果と共に説明する。
【0037】
図1において、シャワーヘッドホルダー6は、シャワーヘッド5ごと、壁面2の任意の位置に取り付けられる。シャワーヘッドホルダー6は、壁面取付部7の後面に永久磁石11を有しているため、壁面2の任意の位置に自在に着脱される。
【0038】
図4において、壁面取付部7は、本体上部8から把持部12よりも下方に伸びた本体延長部9と、この本体延長部9の下端である支点端部10とを有しているため、把持部12から支点端部10までの距離が長い。利用者が、シャワーヘッドホルダー6を壁面2から引き剥がす際、支点端部10を支点として、シャワーヘッド5を把持部12ごと引っ張ると、テコの原理で、支点端部10を回転中心としたモーメントが作用する。シャワーヘッドホルダー6は、支点端部10を支点として、壁面取付部7の上端側から徐々に壁面2から引き剥がされ、壁面2に対して斜めの姿勢となり、下端側が壁面2から離れる(なお、壁面取付部7は剛体であるため、実際には、壁面取付部7は、上端側も下端側も同時に壁面2から引き剥がされる。)。したがって、簡便な構造で容易に壁面2から引き剥がすことができ、利用者は、シャワーヘッド5を、シャワーヘッドホルダー6ごと、壁面2における任意の位置に移動させることができる。
【0039】
図3において、シャワーヘッドホルダー6は、壁面取付部7の後面において、本体上部8の真後ろから本体延長部9の下端部に至って取り付けられた永久磁石11を有している。この構成により、永久磁石11が壁面取付部7の広範囲に渡ることになるため、永久磁石11と壁面2との接触面積が広く、シャワーヘッドホルダー6が強固に壁面2に取り付けられる。したがって、シャワーの水圧によっても、シャワーヘッドホルダー6が壁面2から引き剥がされることがない。
【0040】
図5において、シャワーヘッドホルダー6の把持部12は、支持片13同士の間に配置されて支持片13に支持された可動部15と、この可動部15の孔23に挿入されたブッシュ部27とを有し、ブッシュ部27が可動部15に対して、シャワーヘッド5を回転軸の中心として回転する。したがって、シャワーヘッド5は、シャワーヘッドホルダー6に取り付けられた状態で、可動部15を介して左右に回転することができる。
【0041】
特に、可動部15に形成された孔23の内周面のうち、上側には複数の凹凸25が形成され、一方で、ブッシュ部27の外周には、外側に向けて張り出した突起部32が形成されている。シャワーヘッド5と共にブッシュ部27が回転する際、ブッシュ部27の突起部32と可動部15の凹凸25とが擦れることで生じる振動が、いわゆるクリック感として利用者の手に伝わるため、シャワーヘッド5の回転を利用者に知覚させることができる。
【0042】
シャワーヘッドホルダー6は、ブッシュ部27の内側に配置されたスペーサー35を有し、このスペーサー35は、シャワーヘッド5とブッシュ部27との間に取り付けられている。したがって、サイズの異なる種々のシャワーヘッド5を適合させてシャワーヘッドホルダー6に取り付けることができる。
【0043】
シャワーヘッドホルダー6において、可動部15の左右側面部18,19には、一対の突起である回転軸部24が形成され、可動部15は、回転軸部24を軸として、把持部12に対して回転可能である。したがって、図14ないし16に示されているとおり、シャワーヘッド5は、シャワーヘッドホルダー6に取り付けられた状態で、可動部15を介して前後に倒れ、向きが変化する。
【0044】
特に、把持部12の内摺面部14には、前方に向けた突起が形成され、可動部15の後摺面部17には複数の段部22が形成され、内摺面部14は後摺面部17に接触している(図5参照)。シャワーヘッドホルダー6が前後に倒れる際、後摺面部17と内摺面部14とが篏合することで、シャワーヘッド5の姿勢が維持される。
【0045】
シャワー装置は、水栓3に取り付けられた減圧装置を有している。減圧装置によって、シャワーヘッド5から吐出される水圧が減圧されるため、シャワーの水圧によって、シャワーヘッドホルダー6が壁面2から引き剥がされることがない。
【0046】
なお、本発明の他の実施形態では、壁面取付部の後面に、永久磁石に替わる着脱手段として、吸盤を有している。
他の実施形態では、壁面取付部が、把持部よりも上方にも伸びている。この場合、把持部よりも上方の壁面取付部には、着脱手段が無い。
他の実施形態では、壁面取付部が、把持部よりも上方にも伸びており、本体延長部の長さが、把持部よりも上側の長さと比較して長い。この場合、壁面取付部の着脱手段は、把持部の真後ろから上側において少なく、又は存在しない。したがって、利用者が、支点端部を支点としてシャワーヘッドホルダーを壁面から引き剥がす際、把持部の真後ろから上側が抵抗とならず、容易に壁面から引き剥がすことができる。
他の実施形態では、永久磁石が、壁面取付部の真後ろから下方に伸びて壁面取付部の途中に至っているが、壁面取付部の下端には至っていない。
他の実施形態では、永久磁石が、壁面取付部の真後ろにのみある。
他の実施形態では、可動部を有しておらず、シャワーヘッドが回転しない。
他の実施形態は、ブッシュ部を有していない。
他の実施形態は、スペーサーを有していない。
他の実施形態は、ブッシュ部及びスペーサーを有していない。
他の実施形態では、ブッシュ部に突起部が形成されておらず、また、可動部に凹凸が形成されていない。
他の実施形態では、内摺面部及び後摺面部は、シャワーヘッドの姿勢を維持するための摩擦力を生じさせる限りにおいて、平坦である。
【0047】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 浴室
2 壁面
3 水栓
4 ホース
5 シャワーヘッド
6 シャワーヘッドホルダー
7 壁面取付部
8 本体上部
9 本体延長部
10 支点端部
11 永久磁石
12 把持部
13 支持片
14 内摺面部
15 可動部
16 前面部
17 後摺面部
18 左側面部
19 右側面部
20 上面部
21 下面部
22 段部
23 孔
24 回転軸部
25 凹凸
26 被係止部
27 ブッシュ部
28 フランジ部
29 爪部
30 内側係止部
31 外側係止部
32 突起部
33 篏合凸部
34 篏合凹部
35 スペーサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16