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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063873
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/02 20060101AFI20240507BHJP
   B65H 16/06 20060101ALI20240507BHJP
   B65H 18/06 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B41J15/02
B65H16/06 B
B65H18/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172032
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】赤津 昇司
【テーマコード(参考)】
2C060
3F052
3F055
【Fターム(参考)】
2C060BA04
2C060CA02
3F052AB05
3F052AB08
3F052BA16
3F052BA20
3F055AA03
3F055CA11
(57)【要約】
【課題】印刷装置を大型化させることなく媒体の巻き芯を適正な位置で確り支持する。
【解決手段】長尺状の媒体Mに印刷する印刷部8と、巻回された媒体Mの第1巻き芯または媒体Mを巻回するための第2巻き芯のいずれか1つの巻き芯に対して巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部15を有する1対の保持部3と、保持部3を支持し、挿入部15の挿入方向に沿う移動方向Bにおける保持部3の移動を許容するレール状の支持部19と、保持部3の支持部19に対する移動方向Bの移動を規制する規制部21と、を備え、規制部21は、操作部211と、操作部211を操作することにより支持部19を移動方向Bと交差する方向Dから挟みこむことが可能なブレーキ部213と、を有する印刷装置1。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の媒体に印刷する印刷部と、
巻回された前記媒体の第1巻き芯または前記媒体を巻回するための第2巻き芯のいずれか1つの巻き芯に対して前記巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部を有する1対の保持部と、
前記保持部を支持し、前記挿入部の挿入方向に沿う移動方向における前記保持部の移動を許容するレール状の支持部と、
前記保持部の前記支持部に対する前記移動方向の移動を規制する規制部と、
を備え、
前記規制部は、操作部と、前記操作部を操作することにより前記支持部を前記移動方向と交差する方向から挟みこむことが可能なブレーキ部と、を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載された印刷装置において、
前記規制部は、前記保持部と連動して前記支持部に対して移動可能に構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記支持部は、前記移動方向と直行する第1方向において前記保持部よりも前記印刷部側に配置されることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記保持部は、前記支持部を回動軸として回動可能に取り付けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記支持部の前記移動方向における端部が取り付けられる一対の脚部と、
前記移動方向に延設されて前記一対の脚部を繋ぎ、少なくとも一部が磁性体で構成される繋ぎ部と、
前記保持部の前記支持部に対する移動を規制する補助規制部と、
を備え、
前記補助規制部は、前記保持部の前記磁性体と対向する位置に設けられる磁石を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記規制部は、前記操作部と前記ブレーキ部とがギアを介して接続されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
1対の前記保持部のうちの一方のみが、前記支持部に対して前記移動方向に移動可能に構成され、前記規制部により前記支持部に対する前記移動方向の移動が規制されることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
1対の前記保持部のうちの両方が、前記支持部に対して前記移動方向に移動可能に構成され、前記規制部により前記支持部に対する前記移動方向の移動が規制されることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な印刷装置が使用されている。このうち、ロール状の媒体に画像を形成することが可能な印刷装置がある。例えば、特許文献1及び特許文献2には、ロール状の媒体を保持する保持部と、画像が形成された媒体をロール状に巻き取る巻取部と、を備える印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-177410号公報
【特許文献2】特開2016-203390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2の印刷装置のような、ロール状の媒体を保持する保持部や画像が形成された媒体をロール状に巻き取る巻取部などを備える印刷装置においては、装置が大型化しやすい。また、このような印刷装置において、媒体の巻き芯を適正な位置で確り支持させようとすると、媒体の保持部の移動を適切に規制する必要がある。例えば、特許文献1の印刷装置は手回しハンドルを回して一方側から第1当接部を押圧することで保持部をレール部に対して固定し、特許文献2の印刷装置は操作部を操作して一方側から可動部材を移動させて保持部を案内軸部に対して固定する。しかしながら、さらに強い固定力で巻き芯の保持部を該保持部の支持部に対して固定しようとすると、従来の機構では各部材の剛性を高くする必要が生じるために装置が大型化する。このため、装置の大型化を抑制しつつ、さらに強い固定力で巻き芯の保持部を支持部に対して固定する、すなわち、媒体の巻き芯を適正な位置で確り支持するためには、従来とは別の機構が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の印刷装置は、長尺状の媒体に印刷する印刷部と、巻回された前記媒体の第1巻き芯または前記媒体を巻回するための第2巻き芯のいずれか1つの巻き芯に対して前記巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部を有する1対の保持部と、前記保持部を支持し、前記挿入部の挿入方向に沿う移動方向における前記保持部の移動を許容するレール状の支持部と、前記保持部の前記支持部に対する前記移動方向の移動を規制する規制部と、を備え、前記規制部は、操作部と、前記操作部を操作することにより前記支持部を前記移動方向と交差する方向から挟みこむことが可能なブレーキ部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施例に係る印刷装置の概略図。
図2図1の印刷装置の脚部周辺を表す斜視断面図。
図3図1の印刷装置の脚部周辺を表す斜視断面図。
図4図1の印刷装置の保持部周辺を表す斜視断面図。
図5図4とは異なる角度から見た図1の印刷装置の保持部周辺を表す斜視断面図であって、図4とは異なる位置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の印刷装置は、長尺状の媒体に印刷する印刷部と、巻回された前記媒体の第1巻き芯または前記媒体を巻回するための第2巻き芯のいずれか1つの巻き芯に対して前記巻き芯の延設方向の外側から挿入する挿入部を有する1対の保持部と、前記保持部を支持し、前記挿入部の挿入方向に沿う移動方向における前記保持部の移動を許容するレール状の支持部と、前記保持部の前記支持部に対する前記移動方向の移動を規制する規制部と、を備え、前記規制部は、操作部と、前記操作部を操作することにより前記支持部を前記移動方向と交差する方向から挟みこむことが可能なブレーキ部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、保持部の支持部に対する移動方向の移動を規制する規制部を備え、該規制部は支持部を保持部の移動方向と交差する方向から挟みこむことが可能なブレーキ部を有する。別の表現をすると、一方側からのみ支持部に向けて押圧する構成ではなく、挟みこむ構成、すなわち、対向する両側から支持部に向けて押圧する構成のブレーキ部により保持部の支持部に対する移動を規制することができる。このため、各部材の剛性を高くする必要性を特に生じさせないので印刷装置を大型化させることを抑制でき、かつ、挟みこむ構成のブレーキ部により保持部の支持部に対する移動を好適に規制することができることで媒体の巻き芯を適正な位置で確り支持することができる。
【0009】
本発明の第2の態様の印刷装置は、前記第1の態様において、前記規制部は、前記保持部と連動して前記支持部に対して移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、規制部は保持部と連動して支持部に対して移動可能に構成されている。このような構成とすることで、特に媒体の巻き芯を適正な位置で確り支持することができる。
【0011】
本発明の第3の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記支持部は、前記移動方向と直行する第1方向において前記保持部よりも前記印刷部側に配置されることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、支持部は移動方向と直行する第1方向において保持部よりも印刷部側に配置される。このような構成とすることで、巻き芯を取り付ける際などにおけるユーザーの操作がやりやすくなる。
【0013】
本発明の第4の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記保持部は、前記支持部を回動軸として回動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、保持部は支持部を回動軸として回動可能に取り付けられている。このような構成とすることで、巻き芯を取り付ける際などにおけるユーザーの操作がやりやすくなる。
【0015】
本発明の第5の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記支持部の前記移動方向における端部が取り付けられる一対の脚部と、前記移動方向に延設されて前記一対の脚部を繋ぎ、少なくとも一部が磁性体で構成される繋ぎ部と、前記保持部の前記支持部に対する移動を規制する補助規制部と、を備え、前記補助規制部は、前記保持部の前記磁性体と対向する位置に設けられる磁石を有することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、補助規制部は保持部の磁性体と対向する位置に設けられる磁石を有する。このため、簡単な構成で、保持部の支持部に対する移動を特に好適に規制することができる。
【0017】
本発明の第6の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記規制部は、前記操作部と前記ブレーキ部とがギアを介して接続されていることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、規制部は操作部とブレーキ部とがギアを介して接続されている。このため、例えば複数のギアのギア比を変えることなどにより、使用する装置に応じて、ユーザーの操作を特にやりやすく設定することができる。
【0019】
本発明の第7の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、1対の前記保持部のうちの一方のみが、前記支持部に対して前記移動方向に移動可能に構成され、前記規制部により前記支持部に対する前記移動方向の移動が規制されることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、1対の保持部のうちの一方のみが支持部に対して移動方向に移動可能に構成される。このため、装置構成を簡単にすることができる。
【0021】
本発明の第8の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、1対の前記保持部のうちの両方が、前記支持部に対して前記移動方向に移動可能に構成され、前記規制部により前記支持部に対する前記移動方向の移動が規制されることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、1対の保持部のうちの両方が支持部に対して移動方向に移動可能に構成される。このため、印刷部などの位置に応じて、移動方向における巻き芯の全体的な位置を適切に調整することができる。
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を具体的に説明する。最初に、図1を参照して本発明の一実施例に係る印刷装置1の概要について説明する。なお、図1においては、構成を分かり易くするために一部の構成部材を省略して表している。ここで、図中のX軸方向は水平方向であって媒体Mがロール状に巻き重ねられたロール体R1を保持する保持部3の支持部である後述のパイプ19の延びる方向であり、Y軸方向は水平方向であるとともに印刷装置1の前後方向であってX軸方向と直交する方向、Z軸方向は鉛直方向である。また、以下においては、矢印方向を+方向、矢印方向と反対方向を-方向とする。例えば、鉛直上方向は+Z方向、鉛直下方向は-Z方向、印刷装置1の前方は+Y方向、印刷装置1の後方は-Y方向とする。
【0024】
本実施例の印刷装置1は、本体部2を備えており、本体部2のX軸方向の両端部分には、脚部13が取り付けられている。脚部13は後述の媒体支持部4、媒体支持部10及び媒体支持部11を支持している。また、本実施例の印刷装置1は、本体部2の後方側である-Y方向側に媒体Mがロール状に巻き重ねられたロール体R1を保持する保持部3として第1保持部3Aを備えている。第1保持部3Aは、ロール体R1から媒体Mを本体部2に送り出す送出部の役割をしており、X軸方向の両側に配置された脚部13を繋ぐ後述のパイプ19(パイプ19A)に取り付けられたアーム部14(アーム部14A)に設けられている。
【0025】
そして、本実施例の印刷装置1においては、媒体Mを搬送方向である第1方向A1に搬送する際、X軸方向に沿う回転軸を有する第1保持部3Aに設けられた後述の挿入部15Aは回転方向Cに回転する。挿入部15Aはロール体R1の巻き芯(第1巻き芯)である紙管に挿入する部材である。また、媒体Mを第1方向A1とは反対方向の逆搬送方向である第2方向A2に搬送する際、X軸方向に沿う回転軸を有する挿入部15Aは回転方向Cとは逆方向に回転する。なお、本実施例では画像が形成される印刷面が外側になるように巻かれているロール体R1を使用しているが、印刷面が内側になるように巻かれているロール体R1を使用する場合は、第1保持部3Aは回転方向Cとは逆方向に回転してロール体R1から媒体Mを送り出すことが可能である。
【0026】
また、本実施例の印刷装置1は、媒体Mを支持する媒体支持部4、媒体支持部10及び媒体支持部11などからなる媒体Mの搬送経路を備えている。また、印刷装置1は、該搬送経路において媒体Mを第1方向A1及び第2方向A2に搬送するための搬送部として、駆動ローラー5と従動ローラー6とからなるローラー対7を備えている。なお、本実施例の印刷装置1では、駆動ローラー5は第1方向A1及び第2方向A2と交差する幅方向Bに延びるローラーで構成されており、従動ローラー6は駆動ローラー5と対向する位置において駆動ローラー5に対して幅方向Bに複数並べて設けられている。ただし、搬送部の構成に特に限定はない。
【0027】
また、本実施例の印刷装置1は、媒体支持部10と対向する位置に、複数のノズルが設けられ該ノズルからインクを吐出して画像を形成する印刷部としてのヘッド8と、該ヘッド8を搭載して幅方向Bに往復移動可能なキャリッジ9と、を備えている。なお、本実施例の印刷装置1では、媒体支持部10上のヘッド8と対向する位置における第1方向A1は+Y方向で第2方向A2は-Y方向であり、ヘッド8の移動方向である幅方向BはX軸方向に沿う方向であり、インクの吐出方向は-Z方向である。
【0028】
上記のような構成により、ヘッド8は、第1方向A1及び第2方向A2と交差する方向である幅方向Bに往復移動しながら、搬送される媒体Mに不図示のノズルからインクを吐出して画像を形成することが可能である。本実施例の印刷装置1は、所定の搬送量で媒体Mを第1方向A1に搬送させることと、媒体Mを停止した状態でヘッド8を幅方向Bに移動させながらインクを吐出させることと、を送り返すことで、媒体Mに所望の画像を形成可能である。ただし、このような構成のヘッドの代わりにインクを吐出するノズルがX軸方向全体に亘り設けられる所謂ラインヘッドを備える構成であってもよい。
【0029】
また、第1方向A1における媒体支持部11の下流には、第1方向A1に搬送される媒体Mをロール状に巻き取ってロール体R2とする巻取部としての保持部3(第2保持部3B)が設けられている。なお、本実施例の印刷装置1においては、第1保持部3Aと第2保持部3Bとは同様の構成をしており、第2保持部3Bに設けられた後述の挿入部15Bは回転方向Cに回転する。挿入部15Bはロール体R2の巻き芯(第2巻き芯)である紙管を挿入する部材である。第2保持部3Bは、X軸方向の両側の脚部13を繋ぐ後述のパイプ19(パイプ19B)に取り付けられたアーム部14(アーム部14B)に設けられている。なお、図1では、第2保持部3Bが回転方向Cに回転することで画像が形成される印刷面が外側になるように巻かれているが、印刷面が内側になるように媒体Mを巻き取ってもよい。その場合は、第2保持部3Bは回転方向Cとは逆方向に回転する。
【0030】
以下に、図2から図5を参照して、本実施例の印刷装置1の要部について詳細に説明する。なお、上記の通り第1保持部3Aと第2保持部3Bとは同様の構成をしているので、図2においては、構成を見やすくするため、第1保持部3Aはアーム部14Aを含め省略されて表されている。
【0031】
図3で表されるように、本実施例の印刷装置1は、長尺状の媒体Mに印刷するヘッド8と、巻回された媒体Mの第1巻き芯に対して第1巻き芯の延設方向であるX軸方向の外側から挿入する挿入部15としての挿入部15Aを有する1対の第1保持部3Aと、第1保持部3Aを支持し、挿入部15Aの挿入方向に沿う移動方向に対応するX軸方向及び幅方向Bにおける第1保持部3Aの移動を許容するレール状の支持部としてのパイプ19Aと、を備えている。同様に、図2及び図3で表されるように、本実施例の印刷装置1は、媒体Mを巻回するための第2巻き芯に対して第2巻き芯の延設方向であるX軸方向の外側から挿入する挿入部15Bを有する1対の第2保持部3Bと、挿入部15Bの挿入方向に沿う移動方向に対応するX軸方向及び幅方向Bにおける第2保持部3Bの移動を許容するレール状の支持部としてのパイプ19Bと、を備えている。
【0032】
ここで、パイプ19Aは、第1巻き芯の延設方向と直行する方向のうちY軸方向に沿う方向であって保持部3からパイプ19に向かう方向に概ね沿う方向である第1方向Dにおいて、第1保持部3Aよりもヘッド8側(+Y方向側)に配置されている。同様に、パイプ19Bは、第1方向Dにおいて第2保持部3Bよりもヘッド8側(-Y方向側)に配置されている。すなわち、保持部3がパイプ19よりも外側に配置されている。このような構成とすることで、巻き芯を取り付ける際などにおけるユーザーの操作がやりやすくなる。
【0033】
ここで、本実施例の印刷装置1は、図4などで表されるように、保持部3のパイプ19に対する移動方向である幅方向Bの移動を規制する規制部21を備えている。そして、図4で表されるように、規制部21は、操作部211と、操作部211を操作することによりパイプ19を幅方向Bと交差する方向である第1方向Dから挟みこむことが可能なブレーキ部213と、を有している。別の表現をすると、本実施例の印刷装置1は、一方側のみからパイプ19に向けて押圧する構成ではなく、挟みこむ構成、すなわち、対向する両側からパイプ19に向けて押圧する構成のブレーキ部213を備えている。そして、本実施例の印刷装置1は、このブレーキ部213により保持部3のパイプ19に対する移動を規制することができる構成となっている。
【0034】
このため、本実施例の印刷装置1は、規制部21やパイプ19などの部材の各々の剛性を高くする必要性を特に生じさせていないので、装置を大型化させることを抑制できている。さらに、本実施例の印刷装置1は、上記のように、挟みこむ構成のブレーキ部213により保持部3のパイプ19に対する移動を好適に規制することができることで媒体Mの巻き芯を適正な位置で確り支持することができる。なお、本実施例の印刷装置1は、印刷を行う前の媒体Mのロールであるロール体R1の巻き芯(第1巻き芯)を保持可能な第1保持部3Aと、印刷がなされた媒体Mを巻き取るための巻き芯(第2巻き芯)を保持可能な第2保持部3Bと、が同様の構成であり、共に上記で説明した構成となっている。しかしながら、これらのうちのいずれか一方のみが上記で説明した構成となっていればよい。
【0035】
ここで、図4などで表されるように、本実施例の印刷装置1においては、規制部21は、保持部3に設けられている。別の表現をすると、規制部21は、保持部3と連動してパイプ19に対して移動可能に構成されている。本実施例の印刷装置1のように、規制部21が保持部3と連動してパイプ19に対して移動可能な構成とすることで、特に媒体Mの巻き芯を適正な位置で確り支持することができる。なお、本実施例の印刷装置1においては、規制部21が保持部3に設けられていることで規制部21が保持部3と連動してパイプ19に対して移動可能な構成であるが、規制部21と保持部とが別体で設けられているうえで規制部21が保持部3と連動してパイプ19に対して移動可能な構成としてもよい。
【0036】
ここで、図2から図4で表されるように、本実施例の印刷装置1においては、パイプ19は円柱状であり、断面が円形となっている。このため、保持部3は、パイプ19を回動軸として回転方向C及び回転方向Cとは逆方向に回動可能である。このように、保持部3がパイプ19を回動軸として回動可能に取り付けられている構成とすることで、媒体Mの巻き芯の長さに合わせて保持部3をパイプ19に対して幅方向Bに沿って移動させやすくなり、媒体Mの巻き芯を取り付ける際などにおけるユーザーの操作がやりやすくなる。
【0037】
なお、図2で表されるように、本実施例の印刷装置1は挿入部15の幅方向Bにおけるアーム部14からの突出量を調整することが可能な手回しハンドル20を備えている。ユーザーは、手回しハンドル20を回転させて挿入部15の幅方向Bにおける突出量を変化させることで、媒体Mの巻き芯に挿入部15を簡単に挿入することができる。ここで、図2は断面図となっているので+X方向側の保持部3では手回しハンドル20が表されていないが、+X方向側の保持部3も-X方向側の保持部3と同様の構成をしているので、実際は、+X方向側の保持部3にも手回しハンドル20が設けられている。
【0038】
また、本実施例の印刷装置1は、図2で表されるように、幅方向Bにおけるパイプ19の端部が取り付けられる一対の脚部13と、幅方向Bに延設されて一対の脚部13を繋ぐ繋ぎ部としてのステー16と、を備えている。ここで、ステー16は、外周部分が磁性体である金属で構成されている。さらに、本実施例の印刷装置1は、図3及び図5で表されるように、保持部3におけるステー16の外周部分と接触する位置に、補助規制部22を備えている。
【0039】
図3などで表される本実施例の補助規制部22は、保持部3のパイプ19に対する回転方向C及び回転方向Cとは逆方向の回動、並びに、幅方向Bの移動を規制する役割をしている。詳細には、図5で表されるように、ステー16の磁性体で構成される外周部分と対向する保持部3の位置に、外周部分に対して吸い付く磁石221を有している。このように、本実施例の印刷装置1は、規制部21に加えて上記構成の補助規制部22を備えることにより、簡単な構成で、保持部3のパイプ19に対するユーザーが意図しない移動を特に好適に規制することができている。
【0040】
なお、図5で表されるように、本実施例の補助規制部22は、磁石221の両側にローラー222が設けられている。ローラー222は、補助規制部22に幅方向Bに沿う方向の所定以上の力(磁石221が外周部分に対して吸い付く力を超える力)がかかった場合に、保持部3の幅方向Bに沿う方向の移動を補助する役割をする。このため、ユーザーが媒体Mの巻き芯を保持部3に保持させる際には、媒体Mの巻き芯の長さに合わせて保持部3をパイプ19に対して幅方向Bに沿って移動させやすくなっている。
【0041】
また、図4で表されるように、本実施例の規制部21は、操作部211とブレーキ部213とに加え、ギア部212を有している。すなわち、本実施例の規制部21は、操作部211とブレーキ部213とがギアを介して接続されている。このような構成とすることで、例えばギア部212を構成する複数のギアのギア比を変えることなどにより、使用する装置に応じて、ユーザーの操作を特にやりやすく設定することができる。
【0042】
詳細には、図4で表されるように、本実施例の規制部21は、操作部211と繋がる第1軸212aを有し、第1軸212aには大径の大径ギア212bが設けられている。大径ギア212bは、小径ギア212cと嵌合し、小径ギア212cは第2軸212dに設けられている。第2軸212dは、延設方向が第1方向D(Y軸方向)であり、第1軸212aと延設方向が一致している。第2軸212dには、ブレーキ部213のうちの第1ブレーキ部213aが固定される第1固定部212eと、ブレーキ部213のうちの第2ブレーキ部213bが固定される第2固定部212fと、が取り付けられている。
【0043】
そして、ユーザーが操作部211を操作することで第1軸212aを回転軸とする操作部211回すと、第1軸212aの回転に伴い大径ギア212bが回転し、これと嵌合する小径ギア212cが回転することで第2軸212dが回転する。第2軸212dが回転すると第1固定部212e及び第2固定部212fは、第2軸212dに対する取付部が第2軸212dの延設方向(第1方向D)に沿って移動する。ここで、第1固定部212eと第2固定部212fとは、第2軸212dに対する各々の取付部が、第2軸212dの回転に伴って、第1方向Dにおいて逆方向に移動する構成となっている。具体的には、ユーザーが操作部211を時計回りに回転させると、第1固定部212eの第2軸212dに対する取付部は-Y方向に移動し、第2固定部212fの第2軸212dに対する取付部は+Y方向に移動する。逆に、ユーザーが操作部211を反時計回りに回転させると、第1固定部212eの第2軸212dに対する取付部は+Y方向に移動し、第2固定部212fの第2軸212dに対する取付部は-Y方向に移動する。
【0044】
本実施例の規制部21は、このような構成になっていることにより、ユーザーが操作部211を一方側の回転方向(時計回り)に回せばブレーキ部213がパイプ19を挟み込み、ユーザーが操作部211を他方側の回転方向(反時計回り)に回せばブレーキ部213がパイプ19から離間する。規制部21をこのような構成とすることで、例えば、大径ギア212bの小径ギア212cに対するギア比を大きくすることでユーザーが操作部211を操作する際の操作力を弱くすることができ、大径ギア212bの小径ギア212cに対するギア比を小さくすることでユーザーが操作部211を操作する際の回転量を小さくすることができる。なお、本実施例の規制部21において、操作部211の回転方向の回転軸はY軸方向(第1方向D)であり、ブレーキ部213にパイプ19を挟み込ませるための操作部211の回転量は半回転から1回転程度である。
【0045】
ここで、本実施例の印刷装置1においては、第1保持部3A及び第2保持部3Bのいずれにおいても、1対の保持部3のうちの両方が、パイプ19に対して幅方向Bに移動可能に構成されている。そして、第1保持部3A及び第2保持部3Bのいずれにおいても、1対の保持部3のうちの両方が、規制部21によりパイプ19に対する幅方向Bの移動が規制される構成となっている。このため、本実施例の印刷装置1は、ヘッド8などの位置に応じて、幅方向Bにおける巻き芯の全体的な位置を適切に調整することができる。
【0046】
ただし、このような構成に限定されない。第1保持部3A及び第2保持部3Bの少なくとも一方において、1対の保持部3のうちの一方のみが、パイプ19に対して幅方向Bに移動可能に構成され、幅方向Bに移動可能な保持部3のうちの一方のみが規制部21によりパイプ19に対する幅方向Bの移動が規制される構成となっていてもよい。このような構成とすることで、装置構成を簡単にすることができる。
【0047】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。また、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…印刷装置、2…本体部、3…保持部、3A…第1保持部、3B…第2保持部、4…媒体支持部、5…駆動ローラー、6…従動ローラー、7…ローラー対、8…ヘッド(印刷部)、9…キャリッジ、10…媒体支持部、11…媒体支持部、13…脚部、14…アーム部、14A…アーム部、14B…アーム部、15…挿入部、15A…挿入部、15B…挿入部、16…ステー(繋ぎ部)、19…パイプ(支持部)、19A…パイプ、19B…パイプ、20…手回しハンドル、21…規制部、22…補助規制部、211…操作部、212…ギア部、212a…第1軸、212b…大径ギア、212c…小径ギア、212d…第2軸、212e…第1固定部、212f…第2固定部、213…ブレーキ部、213a…第1ブレーキ部、213b…第2ブレーキ部、221…磁石、222…ローラー、M…媒体、R1…ロール体、R2…ロール体
図1
図2
図3
図4
図5