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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063912
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】差動型ドハティ増幅回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/07 20060101AFI20240507BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240507BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20240507BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H03F1/07
H01F17/00
H03F3/45
H03F3/68 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172080
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀幸
【テーマコード(参考)】
5E070
5J500
【Fターム(参考)】
5E070AA16
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA21
5J500AA41
5J500AC92
5J500AF16
5J500AH06
5J500AH24
5J500AH29
5J500AH33
5J500AH35
5J500AK16
5J500AK66
5J500AK68
5J500AQ04
5J500AT01
5J500CK03
5J500LV08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】搭載デバイスや高周波モジュールの小型化が可能な差動型ドハティ増幅回路を実現する。
【解決手段】第1キャリアアンプCA1及び第2キャリアアンプCA2を含む第1差動アンプと、第1ピークアンプPA1及び第2ピークアンプPA2を含む第2差動アンプと、第1線路51と、第2線路52と、を備える差動型ドハティ増幅回路1において、第1差動アンプ及び第2差動アンプは、X方向及びX方向に直交するY方向を含むXY平面に平行なチップデバイス3のダイ上に構成される。第1線路51は、チップデバイス3が実装される領域に重なる部分Aの面積が、チップデバイス3が実装される領域に重ならない部分Bの面積よりも大きく、第2線路52は、Z方向に見てチップデバイス3が実装される領域に重なる部分A’の面積が、チップデバイス3が実装される領域に重ならない部分B’の面積よりも大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1キャリアアンプ及び第2キャリアアンプを含む第1差動アンプと、
第1ピークアンプ及び第2ピークアンプを含む第2差動アンプと、
一端が前記第1キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第1ピークアンプの出力に接続された第1線路と、
一端が前記第2キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第2ピークアンプの出力に接続された第2線路と、
を備え、
少なくとも前記第1差動アンプ及び前記第2差動アンプがX方向及び当該X方向に直交するY方向を含むXY平面に平行なチップデバイスのダイ上に構成され、
前記第1線路及び前記第2線路は、
前記チップデバイスが前記XY平面に直交するZ方向にフリップチップ実装される、前記XY平面に平行な基板に設けられる配線で構成され、
前記第1線路は、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きく、
前記第1線路は、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きい、
差動型ドハティ増幅回路。
【請求項2】
請求項1に記載の差動型ドハティ増幅回路であって、
不平衡入力信号を差動信号に変換して前記第1差動アンプに入力する第1入力バラントランスと、
不平衡入力信号を差動信号に変換して前記第2差動アンプに入力する第2入力バラントランスと、
を備え、
少なくとも前記第1入力バラントランス及び前記第2入力バラントランスのうちの一方が前記チップデバイスのダイ上に構成されている、
差動型ドハティ増幅回路。
【請求項3】
請求項2に記載の差動型ドハティ増幅回路であって、
前記第1線路及び前記第2線路は、
前記Z方向に見て、少なくとも前記チップデバイスのダイ上に構成されている前記第1入力バラントランス及び前記第2入力バラントランスに重なる領域の外側に設けられている、
差動型ドハティ増幅回路。
【請求項4】
請求項2に記載の差動型ドハティ増幅回路であって、
前記基板は、
配線層が絶縁体層を挟んで複数積層された多層基板であり、前記Z方向に見て少なくとも前記第2入力バラントランスに重なる領域を覆うGND配線が設けられ、
前記GND配線は、接地と電気的に接続され、
前記第1線路及び前記第2線路は、
少なくとも前記GND配線が設けられた層よりも下層に設けられている、
差動型ドハティ増幅回路。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の差動型ドハティ増幅回路であって、
前記第1ピークアンプの出力と前記第1線路の他端との接続点、及び、前記第2ピークアンプの出力と前記第2線路の他端との接続点から出力される差動信号を不平衡出力信号に変換する出力バラントランスを備え、
前記出力バラントランスは、前記基板に設けられる配線で構成されている、
差動型ドハティ増幅回路。
【請求項6】
第1キャリアアンプ及び第2キャリアアンプを含む第1差動アンプと、
第1ピークアンプ及び第2ピークアンプを含む第2差動アンプと、
一端が前記第1キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第1ピークアンプの出力に接続された第1インダクタと、
一端が前記第2キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第2ピークアンプの出力に接続された第2インダクタと、
前記第1差動アンプの差動出力間に接続された第1コンデンサと、
前記第2差動アンプの差動出力間に接続された第2コンデンサと、
を備え、
少なくとも前記第1差動アンプ及び前記第2差動アンプがX方向及び当該X方向に直交するY方向を含むXY平面に平行なチップデバイスのダイ上に構成され、
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、
前記チップデバイスが前記XY平面に直交するZ方向にフリップチップ実装される、前記XY平面に平行な基板に設けられる配線で構成され、
前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサは、前記チップデバイスのダイ上に構成され、
前記第1インダクタは、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きく、
前記第2インダクタは、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きい、
差動型ドハティ増幅回路。
【請求項7】
請求項6に記載の差動型ドハティ増幅回路であって、
不平衡入力信号を差動信号に変換して前記第1差動アンプに入力する第1入力バラントランスと、
不平衡入力信号を差動信号に変換して前記第2差動アンプに入力する第2入力バラントランスと、
を備え、
少なくとも前記第1入力バラントランス及び前記第2入力バラントランスのうちの一方が前記チップデバイスのダイ上に構成されている、
差動型ドハティ増幅回路。
【請求項8】
請求項7に記載の差動型ドハティ増幅回路であって、
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、
前記Z方向に見て、少なくとも前記チップデバイスのダイ上に構成されている前記第1入力バラントランス及び前記第2入力バラントランスに重なる領域の外側に設けられている、
差動型ドハティ増幅回路。
【請求項9】
請求項7に記載の差動型ドハティ増幅回路であって、
前記基板は、
配線層が絶縁体層を挟んで複数積層された多層基板であり、前記Z方向に見て少なくとも前記第2入力バラントランスに重なる領域を覆うGND配線が設けられ、
前記GND配線は、接地と電気的に接続され、
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、
少なくとも前記GND配線が設けられた層よりも下層に設けられている、
差動型ドハティ増幅回路。
【請求項10】
請求項6から9の何れか一項に記載の差動型ドハティ増幅回路であって、
前記第1ピークアンプの出力と前記第1インダクタの他端との接続点、及び、前記第2ピークアンプの出力と前記第2インダクタの他端との接続点から出力される差動信号を不平衡出力信号に変換する出力バラントランスを備え、
前記出力バラントランスは、前記基板に設けられる配線で構成されている、
差動型ドハティ増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、差動型ドハティ増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高効率な電力増幅回路として、ドハティ(Doherty)増幅回路が知られている。ドハティ増幅回路は、一般的に、高周波入力信号の電力レベルにかかわらず動作するキャリアアンプと、高周波入力信号の電力レベルが小さい場合はオフとなり、大きい場合にオンとなるピークアンプとが並列に接続された構成である。当該構成では、高周波入力信号の電力レベルが大きい場合、キャリアアンプが飽和出力電力レベルで飽和を維持しながら動作する。これにより、ドハティ増幅回路は、通常の電力増幅回路に比べて効率を向上させることができる。このようなドハティ増幅回路を差動構成とし、ダイ上にドハティ増幅回路を構成するアンプと入出力移相器、及び出力整合用のトランスフォーマをオンチップ配置したレイアウトが開示されている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-85179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電力増幅回路やスイッチ回路、制御回路等を一体化した高周波モジュールの開発が進められている。このような高周波モジュールは、例えば低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)基板や誘電体基板上にウエハレベルCSP(WL-CSP:Wafer Level Chip Size Package)や表面実装部品(SMD:Surface Mount Device)等の複数の機能デバイスが実装される。
【0005】
このような高周波モジュールに上記従来技術を適用した場合、HBT(Heterojunction Bipolar Transistor)プロセスを用いて構成されたHBTデバイスのダイ上にドハティ増幅回路の各構成部が設けられ、高周波モジュールを構成する基板上に実装される構成が想定される。このような構成において、HBTデバイスのダイサイズや高周波モジュール基板の小型化が課題となる。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、搭載デバイスや高周波モジュールの小型化が可能な差動型ドハティ増幅回路を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面の差動型ドハティ増幅回路は、第1キャリアアンプ及び第2キャリアアンプを含む第1差動アンプと、第1ピークアンプ及び第2ピークアンプを含む第2差動アンプと、一端が前記第1キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第1ピークアンプの出力に接続された第1線路と、一端が前記第2キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第2ピークアンプの出力に接続された第2線路と、を備え、少なくとも前記第1差動アンプ及び前記第2差動アンプがX方向及び当該X方向に直交するY方向を含むXY平面に平行なチップデバイスのダイ上に構成され、前記第1線路及び前記第2線路は、前記チップデバイスが前記XY平面に直交するZ方向にフリップチップ実装される、前記XY平面に平行な基板に設けられる配線で構成され、前記第1線路は、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きく、前記第2線路は、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きい。
【0008】
この構成では、チップデバイスのダイサイズの小型化と、基板のサイズの小型化とを両立することができる。
【0009】
本開示の一側面の差動型ドハティ増幅回路は、第1キャリアアンプ及び第2キャリアアンプを含む第1差動アンプと、第1ピークアンプ及び第2ピークアンプを含む第2差動アンプと、一端が前記第1キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第1ピークアンプの出力に接続された第1インダクタと、一端が前記第2キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第2ピークアンプの出力に接続された第2インダクタと、前記第1差動アンプの差動出力間に接続された第1コンデンサと、前記第2差動アンプの差動出力間に接続された第2コンデンサと、を備え、少なくとも前記第1差動アンプ及び前記第2差動アンプがX方向及び当該X方向に直交するY方向を含むXY平面に平行なチップデバイスのダイ上に構成され、前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、前記チップデバイスが前記XY平面に直交するZ方向にフリップチップ実装される、前記XY平面に平行な基板に設けられる配線で構成され、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサは、前記チップデバイスのダイ上に構成され、前記第1インダクタは、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きく、前記第2インダクタは、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きい。
【0010】
この構成では、チップデバイスのダイサイズの小型化と、基板のサイズの小型化とを両立することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、搭載デバイスや高周波モジュールの小型化が可能な差動型ドハティ増幅回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る差動型ドハティ増幅回路の構成の一例を示す図である。
図2A図2Aは、実施形態1に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。
図2B図2Bは、図2Aに示す差動型ドハティ増幅回路をY方向に見た側面透視図である。
図3図3は、実施形態1の第1変形例に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。
図4A図4Aは、実施形態1の第2変形例に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。
図4B図4Bは、図4Aに示す差動型ドハティ増幅回路をY方向に見た側面透視図である。
図5図5は、実施形態2に係る差動型ドハティ増幅回路の構成の一例を示す図である。
図6A図6Aは、実施形態2に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。
図6B図6Bは、図6Aに示す差動型ドハティ増幅回路をY方向に見た側面透視図である。
図7図7は、実施形態2の第1変形例に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。
図8A図8Aは、実施形態2の第2変形例に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。
図8B図8Bは、図8Aに示す差動型ドハティ増幅回路をY方向に見た側面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、実施形態に係る差動型ドハティ増幅回路を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では実施形態1と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0014】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る差動型ドハティ増幅回路の構成の一例を示す図である。差動型ドハティ増幅回路1は、高周波入力信号RFinを増幅して、高周波出力信号RFoutを出力する。
【0015】
差動型ドハティ増幅回路1は、第1キャリアアンプCA1と、第2キャリアアンプCA2と、第1ピークアンプPA1と、第2ピークアンプPA2と、第1入力バラントランスT1と、第2入力バラントランスT2と、出力バラントランスT3と、を含む。
【0016】
第1キャリアアンプCA1及び第2キャリアアンプCA2は、第1差動アンプA1を構成する。本開示では、第1キャリアアンプCA1及び第2キャリアアンプCA2がそれぞれ1段のアンプで構成されているが、第1キャリアアンプCA1及び第2キャリアアンプCA2の少なくとも一方が複数段のアンプで構成されていても良い。第1入力バラントランスT1は、不平衡入力信号である高周波入力信号RFinを差動信号に変換して第1差動アンプA1に入力する。
【0017】
第1ピークアンプPA1及び第2ピークアンプPA2は、第2差動アンプA2を構成する。本開示では、第1ピークアンプPA1及び第2ピークアンプPA2がそれぞれ1段のアンプで構成されているが、第1ピークアンプPA1及び第2ピークアンプPA2の少なくとも一方が複数段のアンプで構成されていても良い。第2入力バラントランスT2は、位相回路4を介して入力された不平衡入力信号を差動信号に変換して第2差動アンプA2に入力する。位相回路4は、高周波入力信号RFinの位相をλ/4遅らせて、第2入力バラントランスT2に入力する回路である。位相回路4は、例えば、伝送線路、或いは、90度ハイブリッドカプラなどにより構成される。
【0018】
第1差動アンプA1の出力と第2差動アンプの出力との間には、位相回路5が設けられている。位相回路5は、第1差動アンプA1の差動出力の位相をλ/4遅らせる回路である。第2差動アンプの出力と位相回路5との接続点から出力される差動信号は、出力バラントランスT3によって不平衡出力信号であるRFoutに変換される。
【0019】
図1に示す差動型ドハティ増幅回路1において、第1差動アンプA1(第1キャリアアンプCA1及び第2キャリアアンプCA2)は、高周波入力信号RFinの電力レベルにかかわらず動作する。また、第2差動アンプA2(第1ピークアンプPA1及び第2ピークアンプPA2)は、高周波入力信号RFinの電力レベルが小さい場合はオフとなり、大きい場合にオンとなる。これら第1差動アンプA1と第2差動アンプA2とが並列に接続され、差動型ドハティ増幅回路1が構成されている。このような構成において、高周波入力信号RFinの電力レベルが大きい場合、第1差動アンプA1(第1キャリアアンプCA1及び第2キャリアアンプCA2)が飽和出力電力レベルで飽和を維持しながら動作する。これにより、差動型ドハティ増幅回路1は、通常の差動増幅回路に比べて効率を向上させることができる。
【0020】
図2Aは、実施形態1に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。図2Bは、図2Aに示す差動型ドハティ増幅回路をY方向から見た側面透視図である。
【0021】
図2A及び図2Bでは、差動型ドハティ増幅回路1の一例として、フロントエンドモジュールに実装される例を示している。フロントエンドモジュールは、図2A及び図2Bに示すX方向及び当該X方向に直交するY方向を含むXY平面に平行な基板2上に、XY平面に直交するZ方向に実装された複数の集積回路、及び各種機能部品を一体化した超小型集積モジュールである。なお、XY平面に平行な基板2は、表面に多少凹凸がある基板などXY平面に略平行な基板も含むものとする。基板2は、例えば低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)基板等のセラミック積層基板や、樹脂多層基板やフィルム基板等が例示される。
【0022】
図2A及び図2Bに示す差動型ドハティ増幅回路1の主要な回路ブロックは、基板2に対してZ方向にフリップチップ実装されるXY平面に平行なチップデバイス3のダイ上に構成される。具体的に、図2A及び図2Bでは、少なくとも、第1キャリアアンプCA1、第2キャリアアンプCA2、第1ピークアンプPA1、第2ピークアンプPA2、第1入力バラントランスT1、及び第2入力バラントランスT2がチップデバイス3のダイ上に構成される例を示している。
【0023】
なお、本開示において、出力バラントランスT3は、基板2上に配置されている。具体的に、出力バラントランスT3の巻線は、基板2に設けられる配線で構成される。これにより、チップデバイス3の小型化に寄与することができる。あるいは、本開示と異なり、出力バラントランスT3は、チップデバイス3のダイ上に配置されていても良い。
【0024】
なお、図2A及び図2Bでは、X方向に、第1入力バラントランスT1、第1差動アンプA1(第1キャリアアンプCA1及び第2キャリアアンプCA2)、第2入力バラントランスT2、第2差動アンプA2(第1ピークアンプPA1及び第2ピークアンプPA2)の順に並ぶ例を示したが、チップデバイス3のダイ上において、第1キャリアアンプCA1、第2キャリアアンプCA2、第1ピークアンプPA1、及び第2ピークアンプPA2の配置は、図2A及び図2Bに示す例に限定されない。第1キャリアアンプCA1と第1ピークアンプPA1との並び位置と、第2キャリアアンプCA2と第2ピークアンプPA2との並び位置とは、第1キャリアアンプCA1と第2キャリアアンプCA2とを結ぶ線分の中点aと、第1ピークアンプPA1と第2ピークアンプPA2とを結ぶ線分の中点bと、を通る直線(図2Aに示す一点鎖線)を軸として略線対称に配置されていれば良い。あるいは、チップデバイス3のダイ上において、X方向に並べた第1入力バラントランスT1、接地端子G1、および第1差動アンプA1のセットと、X方向に並べた第2入力バラントランスT2、第2差動アンプA2のセットとがY方向に並ぶように配置しても良い。
【0025】
チップデバイス3は、例えばGaAs(ガリウム砒素)系のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)で構成されるHBTデバイス(集積回路、IC:Integrated Circuit)であり、当該HBTデバイスのダイ上に第1キャリアアンプCA1、第2キャリアアンプCA2、第1ピークアンプPA1、及び第2ピークアンプPA2が構成されている。図2A及び図2Bにおいて、G1は、第1キャリアアンプCA1及び第2キャリアアンプCA2を構成するHBTのエミッタが接続される接地端子である。また、G2は、第1ピークアンプPA1及び第2ピークアンプPA2を構成するHBTのエミッタが接続される接地端子である。チップデバイス3は、基板2上に、例えば銅ピラー等でバンプボンディングされる。
【0026】
図2A及び図2Bに示す例において、基板2は、複数の配線層Ly1,Ly2,Ly3,・・・,Lyn(nは自然数)が絶縁体層を挟んで積層された多層基板である。基板2の各層には、GND配線が設けられている。各層のGND配線は、例えば非貫通ビア(IVH:Interstitial Via Hole)で接続され、例えばバンプボンディングによってチップデバイス3上の接地端子G1,G2と接続される。具体的には、例えば、図2A及び図2Bに示すように、Z方向に見てチップデバイス3上の接地端子G1,G2に重なる領域にGND配線が設けられる。また、図2Bでは、Z方向に見て、表層の配線層Ly1に設けられる配線で出力バラントランスT3の巻線(第1ピークアンプPA1、及び第2ピークアンプPA2の出力に接続される一次巻線)が構成された例を示している。
【0027】
実施形態1に係る差動型ドハティ増幅回路1の構成において、位相回路5は、基板2に設けられる配線で構成された伝送線路である。具体的に、位相回路5は、一端が第1キャリアアンプCA1の出力に接続され、他端が第1ピークアンプPA1の出力に接続された第1線路51と、一端が第2キャリアアンプCA2の出力に接続され、他端が第2ピークアンプPA2の出力に接続された第2線路52と、を含む。
【0028】
図2A及び図2Bに示す構成では、基板2の配線層Ly3に第1線路51及び第2線路52が設けられた例を示している。より具体的には、第1線路51の一端がIVH及びバンプを介してチップデバイス3のダイ上の第1キャリアアンプCA1に接続され、第1線路51の他端がIVH及びバンプを介してチップデバイス3のダイ上の第1ピークアンプPA1に接続されている。また、第2線路52の一端がIVH及びバンプを介してチップデバイス3のダイ上の第2キャリアアンプCA2に接続され、第2線路52の他端がIVH及びバンプを介してチップデバイス3のダイ上の第2ピークアンプPA2に接続されている。このように、位相回路5を構成する第1線路51及び第2線路52を基板2の配線層に設けることで、チップデバイス3のダイサイズを小型化することができる。
【0029】
また、図2A及び図2Bに示す構成では、Z方向に見てチップデバイス3が実装される領域の内側に第1線路51及び第2線路52を設けている。これにより、基板2上において差動型ドハティ増幅回路1が占める面積を小さくすることができ、基板2のサイズを小型化することができる。
【0030】
さらに、図2A及び図2Bに示す構成では、Z方向に見てチップデバイス3上の第2入力バラントランスT2と重ならないように、第1線路51及び第2線路52を設けている。これにより、第2入力バラントランスT2の巻線と第1線路51及び第2線路52との結合による性能劣化を抑制することができる。なお、図2Bにおいて、第1線路51及び第2線路52に挟まれる位置(例えば、図2Bにおける第2入力バラントランスT2)に第1入力バラントランスT1の少なくとも一部が配置された場合には、第1線路51及び第2線路52は、第1入力バラントランスT1と重ならないように設けられていても良い。あるいは、図2Bにおいて、例えば、第1線路51及び第2線路52に挟まれる位置に第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の双方の少なくとも一部が配置された場合には、第1線路51及び第2線路52は、第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の双方と重ならないように設けられていても良い。つまり、第1線路51及び第2線路52は、第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2のうち、チップデバイス3上に設けられたほうの入力バラントランスと重ならないように設けられていれば良い。また、第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の双方がチップデバイス3上に設けられている場合には、第1線路51及び第2線路52は、双方の入力バラントランスと重ならないように設けられていても良いし、あるいは、一方の入力バラントランスと重ならないように設けられていても良い。以上より、第1線路51及び第2線路52は、少なくともチップデバイス3のダイ上に構成されている第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2に重なる領域の外側に設けられていれば良い。
【0031】
(第1変形例)
図3は、実施形態1の第1変形例に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。
【0032】
図3に示す実施形態1の第1変形例では、チップデバイス3のダイサイズに占める第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の面積が相対的に大きい場合の具体例を示している。具体的には、例えば、チップデバイス3のダイサイズをより小型化した場合、図3に示すように、チップデバイス3のダイサイズに占める第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の面積が相対的に大きくなる場合がある。
【0033】
このような構成において、Z方向に見てチップデバイス3上の第2入力バラントランスT2と重ならないように第1線路51及び第2線路52を設けた場合、Z方向に見てチップデバイス3が実装される領域の外側に第1線路51及び第2線路52が張り出すことが考えられる。このような場合でも、図3に示すように、Z方向に見てチップデバイス3が実装される領域に重なる第1線路51の部分Aの面積が、チップデバイス3が実装される領域に重ならない第1線路51の部分Bの面積よりも大きくなるように構成し、且つ、Z方向に見てチップデバイス3が実装される領域に重なる第2線路52の部分A’の面積が、チップデバイス3が実装される領域に重ならない第2線路52の部分B’の面積よりも大きくなるように構成することで、チップデバイス3のダイサイズの小型化と、基板2のサイズの小型化とを両立することができる。
【0034】
(第2変形例)
図4Aは、実施形態1の第2変形例に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。図4Bは、図4Aに示す差動型ドハティ増幅回路をY方向に見た側面透視図である。
【0035】
図4A及び図4Bでは、チップデバイス3のダイサイズに占める第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の面積が相対的に大きい場合の第1変形例とは異なる具体例を示している。
【0036】
図4A及び図4Bに示す構成では、第1線路51及び第2線路52を設ける基板2の配線層Ly3の上層である配線層Ly2に、Z方向に見て、少なくとも第2入力バラントランスT2に重なる領域を覆うGND配線GLを設けている。言い換えると、Z方向に見て、少なくとも第2入力バラントランスT2に重なる領域を覆うGND配線GLを設け、少なくともGND配線GLを設けた配線層Ly2の下層である配線層Ly3に、第1線路51及び第2線路52を設けている。なお、GND配線GLは、各層のGND配線とIVHで接続され、バンプボンディングによってチップデバイス3上の接地端子G2と接続される。これにより、Z方向に見てチップデバイス3上の第2入力バラントランスT2と第1線路51及び第2線路52とを重ねて配置しつつ、第2入力バラントランスT2の巻線と第1線路51及び第2線路52との結合による性能劣化を抑制することができ、チップデバイス3のダイサイズの小型化と、基板2のサイズの小型化とを両立することができる。
【0037】
(実施形態2)
図5は、実施形態2に係る差動型ドハティ増幅回路の構成の一例を示す図である。図6Aは、実施形態2に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。図6Bは、図6Aに示す差動型ドハティ増幅回路をY方向に見た側面透視図である。
【0038】
実施形態2に係る差動型ドハティ増幅回路1aの構成において、位相回路5aは、π型の集中定数回路である。具体的に、位相回路5aは、一端が第1キャリアアンプCA1の出力に接続され、他端が第1ピークアンプPA1の出力に接続された第1インダクタL1と、一端が第2キャリアアンプCA2の出力に接続され、他端が第2ピークアンプPA2の出力に接続された第2インダクタL2と、第1差動アンプA1の差動出力間に接続された第1コンデンサC1と、第2差動アンプA2の差動出力間に接続された第2コンデンサC2と、を含む。実施形態2に係る構成において、第1インダクタL1及び第2インダクタL2は、基板2aに設けられる配線で構成される。第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は、チップデバイス3aのダイ上に実装される。
【0039】
図6A及び図6Bに示す構成では、基板2aの配線層Ly3に第1インダクタL1及び第2インダクタL2が設けられた例を示している。より具体的には、第1インダクタL1の一端がIVH及びバンプを介してチップデバイス3aのダイ上の第1キャリアアンプCA1に接続され、第1インダクタL1の他端がIVH及びバンプを介してチップデバイス3aのダイ上の第1ピークアンプPA1に接続されている。また、第2インダクタL2の一端がIVH及びバンプを介してチップデバイス3aのダイ上の第2キャリアアンプCA2に接続され、第2インダクタL2の他端がIVH及びバンプを介してチップデバイス3aのダイ上の第2ピークアンプPA2に接続されている。このように、位相回路5aを構成する第1インダクタL1及び第2インダクタL2を基板2aの配線層に設けることで、チップデバイス3aのダイサイズを小型化することができる。
【0040】
また、図6A及び図6Bに示す構成では、Z方向に見てチップデバイス3aが実装される領域の内側に第1インダクタL1及び第2インダクタL2を設けている。これにより、基板2a上において差動型ドハティ増幅回路1aが占める面積を小さくすることができ、基板2aのサイズを小型化することができる。
【0041】
さらに、図6A及び図6Bに示す構成では、Z方向に見てチップデバイス3a上の第2入力バラントランスT2と重ならないように、第1インダクタL1及び第2インダクタL2を設けている。これにより、第2入力バラントランスT2の巻線と第1インダクタL1及び第2インダクタL2との結合による性能劣化を抑制することができる。なお、図6Bにおいて、第1インダクタL1及び第2インダクタL2に挟まれる位置(例えば、図6Bにおける第2入力バラントランスT2)に第1入力バラントランスT1の少なくとも一部が配置された場合には、第インダクタL1及び第2インダクタL2は、第1入力バラントランスT1と重ならないように設けられていても良い。あるいは、図6Bにおいて、例えば、第1インダクタL1及び第2インダクタL2に挟まれる位置に第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の双方の少なくとも一部が配置された場合には、第1インダクタL1及び第2インダクタL2は、第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の双方と重ならないように設けられていても良い。つまり、第1インダクタL1及び第2インダクタL2は、第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2のうち、チップデバイス3a上に設けられたほうの入力バラントランスと重ならないように設けられていれば良い。また、第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の双方がチップデバイス3a上に設けられている場合には、第1インダクタL1及び第2インダクタL2は、双方の入力バラントランスと重ならないように設けられていても良いし、あるいは、一方の入力バラントランスと重ならないように設けられていても良い。以上より、第1インダクタL1及び第2インダクタL2は、少なくともチップデバイス3aのダイ上に構成されている第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2に重なる領域の外側に設けられていれば良い。
【0042】
(第1変形例)
図7は、実施形態2の第1変形例に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。
【0043】
図7に示す実施形態2の第1変形例では、実施形態1の第1変形例と同様に、チップデバイス3aのダイサイズに占める第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の面積が相対的に大きい場合の具体例を示している。
【0044】
このような構成において、Z方向に見てチップデバイス3上の第2入力バラントランスT2と重ならないように第1インダクタL1及び第2インダクタL2を設けた場合、Z方向に見てチップデバイス3aが実装される領域の外側に第1インダクタL1及び第2インダクタL2が張り出すことが考えられる。また、例えば、第1インダクタL1及び第2インダクタL2を表面実装部品(SMD:Surface Mount Device)で構成し、基板2a上に実装する構成では、基板2a上において差動型ドハティ増幅回路1aが占める面積が大きくなる。
【0045】
本開示では、上述したように、第1インダクタL1及び第2インダクタL2を基板2aに設けられる配線で構成している。そして、図7に示すように、Z方向に見てチップデバイス3aが実装される領域に重なる第1インダクタL1の部分Aの面積が、チップデバイス3aが実装される領域に重ならない部分Bの面積よりも大きくなるように構成し、且つ、Z方向に見てチップデバイス3aが実装される領域に重なる第2インダクタL2の部分A’の面積が、チップデバイス3aが実装される領域に重ならない部分B’の面積よりも大きくなるように構成することで、チップデバイス3aのダイサイズの小型化と、基板2aのサイズの小型化とを両立することができる。
【0046】
(第2変形例)
図8Aは、実施形態2の第2変形例に係る差動型ドハティ増幅回路の概念的な基板実装例を示す平面図である。図8Bは、図8Aに示す差動型ドハティ増幅回路をY方向に見た側面透視図である。
【0047】
図8A及び図8Bでは、実施形態1の第2変形例と同様に、チップデバイス3aのダイサイズに占める第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2の面積が相対的に大きい場合の第1変形例とは異なる具体例を示している。
【0048】
図8A及び図8Bに示す構成では、第1インダクタL1及び第2インダクタL2を設ける基板2aの配線層Ly3の上層である配線層Ly2に、Z方向に見て、少なくとも第2入力バラントランスT2に重なる領域を覆うGND配線GLを設けている。言い換えると、Z方向に見て、少なくとも第2入力バラントランスT2に重なる領域を覆うGND配線GLを設け、少なくともGND配線GLを設けた配線層Ly2の下層である配線層Ly3に、第1インダクタL1及び第2インダクタL2を設けている。これにより、Z方向に見てチップデバイス3a上の第2入力バラントランスT2と第1インダクタL1及び第2インダクタL2とを重ねて配置しつつ、第2入力バラントランスT2の巻線と第1インダクタL1及び第2インダクタL2との結合による性能劣化を抑制することができ、チップデバイス3aのダイサイズの小型化と、基板2aのサイズの小型化とを両立することができる。
【0049】
なお、上述した各実施形態及び変形例では、第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2がチップデバイス3のダイ上に構成される例を示したが、これに限定されない。例えば、第1入力バラントランスT1及び第2入力バラントランスT2を基板2(2a)上に設けることで、チップデバイス3(3a)をより小型化できる。この場合、基板2(2a)上において差動型ドハティ電力増幅回路1(1a)が占める面積は大きくなる可能性がある。本開示では、少なくとも第2入力バラントランスT2をチップデバイス3(3a)のダイ上に設けた構成において、上述した各実施形態及び変形例の構成とすることで、チップデバイス3(3a)のダイサイズの小型化と、基板2(2a)のサイズの小型化とを両立することができる。
【0050】
また、上記した実施形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本開示にはその等価物も含まれる。
【0051】
本開示は、上述したように、あるいは、上述に代えて、以下の構成をとることができる。
【0052】
(1)本開示の一側面の差動型ドハティ増幅回路は、第1キャリアアンプ及び第2キャリアアンプを含む第1差動アンプと、第1ピークアンプ及び第2ピークアンプを含む第2差動アンプと、一端が前記第1キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第1ピークアンプの出力に接続された第1線路と、一端が前記第2キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第2ピークアンプの出力に接続された第2線路と、を備え、少なくとも前記第1差動アンプ及び前記第2差動アンプがX方向及び当該X方向に直交するY方向を含むXY平面に平行なチップデバイスのダイ上に構成され、前記第1線路及び前記第2線路は、前記チップデバイスが前記XY平面に直交するZ方向にフリップチップ実装される、前記XY平面に平行な基板に設けられる配線で構成され、前記第1線路は、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きく、前記第1線路は、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きい。
【0053】
(2)上記(1)の差動型ドハティ増幅回路において、不平衡入力信号を差動信号に変換して前記第1差動アンプに入力する第1入力バラントランスと、不平衡入力信号を差動信号に変換して前記第2差動アンプに入力する第2入力バラントランスと、を備え、少なくとも前記第1入力バラントランス及び前記第2入力バラントランスのうちの一方が前記チップデバイスのダイ上に構成されている。
【0054】
(3)上記(2)の差動型ドハティ増幅回路において、前記第1線路及び前記第2線路は、前記Z方向に見て、少なくとも前記チップデバイスのダイ上に構成されている前記第1入力バラントランス及び前記第2入力バラントランスに重なる領域の外側に設けられている。
【0055】
(4)上記(2)の差動型ドハティ増幅回路において、前記基板は、配線層が絶縁体層を挟んで複数積層された多層基板であり、前記Z方向に見て少なくとも前記第2入力バラントランスに重なる領域を覆うGND配線が設けられ、前記GND配線は、接地と電気的に接続され、前記第1線路及び前記第2線路は、少なくとも前記GND配線が設けられた層よりも下層に設けられている。
【0056】
(5)上記(1)から(4)の差動型ドハティ増幅回路において、前記第1ピークアンプの出力と前記第1線路の他端との接続点、及び、前記第2ピークアンプの出力と前記第2線路の他端との接続点から出力される差動信号を不平衡出力信号に変換する出力バラントランスを備え、前記出力バラントランスは、前記基板に設けられる配線で構成されている。
【0057】
(6)本開示の一側面の差動型ドハティ増幅回路は、第1キャリアアンプ及び第2キャリアアンプを含む第1差動アンプと、第1ピークアンプ及び第2ピークアンプを含む第2差動アンプと、一端が前記第1キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第1ピークアンプの出力に接続された第1インダクタと、一端が前記第2キャリアアンプの出力に接続され、他端が前記第2ピークアンプの出力に接続された第2インダクタと、前記第1差動アンプの差動出力間に接続された第1コンデンサと、前記第2差動アンプの差動出力間に接続された第2コンデンサと、を備え、少なくとも前記第1差動アンプ及び前記第2差動アンプがX方向及び当該X方向に直交するY方向を含むXY平面に平行なチップデバイスのダイ上に構成され、前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、前記チップデバイスが前記XY平面に直交するZ方向にフリップチップ実装される、前記XY平面に平行な基板に設けられる配線で構成され、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサは、前記チップデバイスのダイ上に構成され、前記第1インダクタは、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きく、前記第2インダクタは、前記Z方向に見て前記チップデバイスが実装される領域に重なる部分の面積が、前記チップデバイスが実装される領域に重ならない部分の面積よりも大きい。
【0058】
(7)上記(6)の差動型ドハティ増幅回路において、不平衡入力信号を差動信号に変換して前記第1差動アンプに入力する第1入力バラントランスと、不平衡入力信号を差動信号に変換して前記第2差動アンプに入力する第2入力バラントランスと、を備え、少なくとも前記第1入力バラントランス及び前記第2入力バラントランスのうちの一方が前記チップデバイスのダイ上に構成されている。
【0059】
(8)上記(7)の差動型ドハティ増幅回路において、前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、前記Z方向に見て、少なくとも前記チップデバイスのダイ上に構成されている前記第1入力バラントランス及び前記第2入力バラントランスに重なる領域の外側に設けられている。
【0060】
(9)上記(7)の差動型ドハティ増幅回路において、前記基板は、配線層が絶縁体層を挟んで複数積層された多層基板であり、前記Z方向に見て少なくとも前記第2入力バラントランスに重なる領域を覆うGND配線が設けられ、前記GND配線は、接地と電気的に接続され、前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、少なくとも前記GND配線が設けられた層よりも下層に設けられている。
【0061】
(10)上記(6)から(9)の差動型ドハティ増幅回路において、前記第1ピークアンプの出力と前記第1線路の他端との接続点、及び、前記第2ピークアンプの出力と前記第2線路の他端との接続点から出力される差動信号を不平衡出力信号に変換する出力バラントランスを備え、前記出力バラントランスは、前記基板に設けられる配線で構成されている。
【0062】
本開示により、搭載デバイスや高周波モジュールの小型化が可能な差動型ドハティ増幅回路を実現することができる。
【符号の説明】
【0063】
1,1a 差動型ドハティ増幅回路
2,2a 基板
3 チップデバイス
4 位相回路
5,5a 位相回路
51 第1線路
52 第2線路
A1 第1差動アンプ
A2 第2差動アンプ
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ
G1,G2 接地端子
GL GND配線
L1 第1インダクタ
L2 第2インダクタ
Ly1,Ly2,Ly3,・・・,Lyn 配線層
T1 第1入力バラントランス
T2 第2入力バラントランス
T3 出力バラントランス
PA1 第1ピークアンプ
PA2 第2ピークアンプ
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B