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特開2024-63913プログラム、コンピュータおよび情報処理方法
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  • 特開-プログラム、コンピュータおよび情報処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063913
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】プログラム、コンピュータおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240507BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20240507BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G06T7/00 612
G06V10/82
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172082
(22)【出願日】2022-10-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年3月22日に本田 卓が第66回日本リウマチ学会総会・学術集会のウェブサイトにて公開された抄録にて公開 令和4年4月26日に本田 卓が第66回日本リウマチ学会総会・学術集会にて公開 令和4年5月10日に本田 卓が「AI技術が切り拓く新たなリウマチ学に向けた教育シンポジウム」のウェブサイトにて公開された抄録にて公開 令和4年6月26日、令和4年9月25日に本田 卓が、「AI技術が切り拓く新たなリウマチ学に向けた教育シンポジウム」にて公開 令和4年10月11日に本田 卓が、「Oxford Academic」のウェブサイトにて公開された学術論文にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】591173198
【氏名又は名称】学校法人東京女子医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】本田 卓
(72)【発明者】
【氏名】猪狩 勝則
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA01
5L096FA69
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】関節リウマチに関する精度の高い評価を行うことができるプログラム、コンピュータ、学習済モデルおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】プログラムは、コンピュータ10を、受付手段22、関節座標特定手段30、骨破壊スコア算出手段32、出力手段24して機能させる。関節座標特定手段30は、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データ310を用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデル320を用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う。骨破壊スコア算出手段32は、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データ410を用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデル420を用いて、関節座標特定手段30により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、受付手段と、関節座標特定手段と、骨破壊スコア算出手段と、出力手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、生体の一部のX線画像を受け付け、
前記関節座標特定手段は、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデルを用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行い、
前記骨破壊スコア算出手段は、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデルを用いて、前記関節座標特定手段により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出し、
前記出力手段は、前記骨破壊スコア算出手段により算出された骨破壊に関するスコアを出力する、プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを向き修正手段として更に機能させ、
前記向き修正手段は、生体の一部のX線画像とこのX線画像の向きに関する情報とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第3学習済モデルを用いて、前記受付手段が受け付けた生体の一部のX線画像の向きを修正し、
前記関節座標特定手段は、前記向き修正手段により向きが修正された生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う、請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
生体の一部のX線画像は、手または足のX線画像である、請求項1または2記載のプログラム。
【請求項4】
前記関節座標特定手段は、U-NetベースのCNNモデルに基づいて生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う、請求項1または2記載のプログラム。
【請求項5】
前記骨破壊スコア算出手段は、畳み込みニューラルネットワークに基づいて前記関節座標特定手段により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出する、請求項1または2記載のプログラム。
【請求項6】
骨破壊に関するスコアは、modified Total Sharp Score(mTSS)である、請求項1または2記載のプログラム。
【請求項7】
プログラムを実行することにより受付手段と、関節座標特定手段と、骨破壊スコア算出手段と、出力手段として機能するコンピュータであって、
前記受付手段は、生体の一部のX線画像を受け付け、
前記関節座標特定手段は、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデルを用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行い、
前記骨破壊スコア算出手段は、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデルを用いて、前記関節座標特定手段により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出し、
前記出力手段は、前記骨破壊スコア算出手段により算出された骨破壊に関するスコアを出力する、コンピュータ。
【請求項8】
生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う関節座標特定手段で用いられる、学習済モデル。
【請求項9】
コンピュータにより行わせる情報処理方法であって、
前記コンピュータにより、生体の一部のX線画像を受け付けさせる工程と、
前記コンピュータにより、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデルを用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行わせる工程と、
前記コンピュータにより、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデルを用いて、座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出させる工程と、
前記コンピュータにより、算出された骨破壊に関するスコアを出力させる工程と、
を備えた、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、コンピュータ、学習済モデルおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関節リウマチは、滑膜炎により関節破壊が誘導される自己免疫疾患である。近年の治療薬の進歩により高度な骨破壊は減少しているが、長期的な経過の中では、治療薬の二次無効、副作用による中断、経済的理由による処方困難等の理由で関節破壊が進行することもある。
【0003】
関節リウマチに対して長期にわたる治療介入を行うためには精度の高い治療評価項目が必要である。関節の単純レントゲンの骨関節破壊スコア(modified Total Sharp Score/mTSS)は臨床試験で最も頻用されている関節リウマチのX線評価法である。
【0004】
このような関節リウマチに関する評価は、医師が生体の一部のX線画像を見ながら目視にて定性的に行うのが一般的である。しかしながら、多数の関節で骨関節破壊が生じるため、骨関節破壊スコアの評価に時間がかかり、また、スコアリングのための研修も必要であるため、日常臨床では骨関節破壊スコアによる評価はほとんどなされていない。
【0005】
これに対し、特許文献1には、骨部画像データを用いて骨関節の疾患の程度の評価を行う骨関節評価方法、装置およびそのためのプログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-57804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される骨関節評価方法、装置およびそのためのプログラムでは、関節毎に骨関節破壊スコアを算出していないため、関節リウマチに関する精度の高い評価を行うことができないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、関節リウマチに関する精度の高い評価を行うことができるプログラム、コンピュータ、学習済モデルおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプログラムは、
コンピュータを、受付手段と、関節座標特定手段と、骨破壊スコア算出手段と、出力手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、生体の一部のX線画像を受け付け、
前記関節座標特定手段は、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデルを用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行い、
前記骨破壊スコア算出手段は、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデルを用いて、前記関節座標特定手段により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出し、
前記出力手段は、前記骨破壊スコア算出手段により算出された骨破壊に関するスコアを出力することを特徴とする。
【0010】
本発明のプログラムは、
前記コンピュータを向き修正手段として更に機能させ、
前記向き修正手段は、生体の一部のX線画像とこのX線画像の向きに関する情報とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第3学習済モデルを用いて、前記受付手段が受け付けた生体の一部のX線画像の向きを修正し、
前記関節座標特定手段は、前記向き修正手段により向きが修正された生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行ってもよい。
【0011】
本発明のプログラムにおいては、
生体の一部のX線画像は、手または足のX線画像であってもよい。
【0012】
本発明のプログラムにおいては、
前記関節座標特定手段は、U-NetベースのCNNモデルに基づいて生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行ってもよい。
【0013】
本発明のプログラムにおいては、
前記骨破壊スコア算出手段は、畳み込みニューラルネットワークに基づいて前記関節座標特定手段により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出してもよい。
【0014】
本発明のプログラムにおいては、
骨破壊に関するスコアは、modified Total Sharp Score(mTSS)であってもよい。
【0015】
本発明のコンピュータは、
プログラムを実行することにより受付手段と、関節座標特定手段と、骨破壊スコア算出手段と、出力手段として機能するコンピュータであって、
前記受付手段は、生体の一部のX線画像を受け付け、
前記関節座標特定手段は、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデルを用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行い、
前記骨破壊スコア算出手段は、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデルを用いて、前記関節座標特定手段により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出し、
前記出力手段は、前記骨破壊スコア算出手段により算出された骨破壊に関するスコアを出力することを特徴とする。
【0016】
本発明の学習済モデルは、
生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う関節座標特定手段で用いられることを特徴とする。
【0017】
本発明の情報処理方法は、
コンピュータにより行わせる情報処理方法であって、
前記コンピュータにより、生体の一部のX線画像を受け付けさせる工程と、
前記コンピュータにより、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデルを用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行わせる工程と、
前記コンピュータにより、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデルを用いて、座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出させる工程と、
前記コンピュータにより、算出された骨破壊に関するスコアを出力させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のプログラム、コンピュータ、学習済モデルおよび情報処理方法によれば、関節リウマチに関する精度の高い評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態によるコンピュータの構成を概略的に示す概略構成図である。
図2図1に示すコンピュータによる情報処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図3図1に示すコンピュータによる情報処理における向き修正処理、関節座標特定処理おおび骨破壊スコア算出処理の詳細を示す図である。
図4】手のX線画像における関節の位置を示す図である。
図5】U-NetベースのCNNモデルに基づいて生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う方法を示す説明図である。
図6図1に示すコンピュータにより出力されたスコアと専門家の評価によるスコアとの関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図6は、本実施の形態に係るコンピュータおよび情報処理方法等を示す図である。
【0021】
まず、本実施の形態のコンピュータ10の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態によるコンピュータ10の構成を概略的に示す概略構成図である。図1に示すように、本実施の形態のコンピュータ10はコンピュータ等から構成されており、制御部20と、記憶部40と、通信部42と、表示部44と、操作部46とを備えている。
【0022】
制御部20は、CPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理装置)等で構成され、コンピュータ10の動作を制御する。具体的には、制御部20は、後述する記憶部40に記憶されているプログラムを実行することにより、受付手段22と、出力手段24と、送信手段26と、向き修正手段28と、関節座標特定手段30と、骨破壊スコア算出手段32として機能する。
【0023】
受付手段22は、生体の一部のX線画像100(図3参照)を受け付ける。具体的には、受付手段22は、人体の手または足のX線画像を受け付ける。受付手段22が受け付ける生体の一部のX線画像100は、外部装置から通信部42を介してコンピュータ10に送信されたものであってもよく、コンピュータ10が備え付けられているX線画像診断システムやX線撮像装置等の機器によって取得されたものであってもよい。出力手段24は、骨破壊スコア算出手段32により算出された骨破壊に関するスコアを出力する。送信手段26は、出力手段24により出力された骨破壊に関するスコアを通信部42を介して外部装置に送信する。
【0024】
向き修正手段28は、受付手段22が受け付けた生体の一部のX線画像100の向きを修正する。具体的には、向き修正手段28は、生体の一部のX線画像とこのX線画像の向きに関する情報とを含む教師データ210を用いることにより機械学習によって生成された第3学習済モデル220を用いて、受付手段22が受け付けた生体の一部のX線画像100の向きを修正する。このような向き修正手段28の機能の詳細については後述する。
【0025】
関節座標特定手段30は、向き修正手段28により向きが修正された生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う。具体的には、関節座標特定手段30は、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データ310を用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデル320を用いて、生体の一部のX線画像100における関節の座標の特定を行う。このような関節座標特定手段30の機能の詳細については後述する。
【0026】
骨破壊スコア算出手段32は、関節座標特定手段30により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出する。具体的には、骨破壊スコア算出手段32は、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データ410を用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデル420を用いて、関節座標特定手段30により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出する。このような骨破壊スコア算出手段32の機能の詳細については後述する。
【0027】
記憶部40は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)などで構成されている。また、記憶部40はコンピュータ10に内蔵されるものに限定されることはなく、コンピュータ10に着脱自在に装着可能な記憶媒体(例えば、USBメモリ)等であってもよい。本実施の形態では、記憶部40は、制御部20により実行されるプログラム、第1学習済モデル320、第2学習済モデル420、第3学習済モデル220をそれぞれ記憶するようになっている。
【0028】
通信部42は、無線または有線により外部装置との信号の送受信を行うための通信インターフェースを含む。
【0029】
表示部44は例えばモニタ等であり、制御部20から表示指令信号を受け取ることにより様々な画面を表示するようになっている。操作部46は例えばキーボード等であり、制御部20に対して様々な指令を与えることができるようになっている。なお、本実施の形態では、これらの表示部44および操作部46が一体化したタッチパネル等の表示操作部が用いられてもよい。
【0030】
次に、このようなコンピュータ10による情報処理方法(具体的には、骨破壊に関するスコアの算出方法)について図2乃至図6を用いて説明する。なお、以下に示す処理は記憶部40に記憶されているプログラムを制御部20が実行することにより行われる。
【0031】
図2は、図1に示すコンピュータ10による情報処理の流れを概略的に示すフローチャートである。また、図3は、図1に示すコンピュータ10による情報処理における向き修正処理51、関節座標特定処理52おおび骨破壊スコア算出処理53の詳細を示す図である。
【0032】
外部装置からコンピュータ10に生体の一部のX線画像100のデータが送信されて通信部42を介して当該データが制御部20に送られたり、コンピュータ10が備え付けられているX線画像診断システムやX線撮像装置等の機器によって生体の一部のX線画像100が取得されたりすると、コンピュータ10の制御部20は、生体の一部のX線画像100を受け付ける受付手段22として機能する。そして、受付手段22が生体の一部のX線画像100を受け付けると(ステップ1の「YES」)、コンピュータ10の制御部20により向き修正処理51が行われる。すなわち、向き修正手段28は、受付手段が受け付けた生体の一部のX線画像100の向きを所定の向き(例えば手の指や足の指が上方を向くような向き)に修正する(ステップ2)。このことにより、受付手段が受け付けた生体の一部のX線画像100、具体的には人体の手や足のX線画像100は例えば手の指や足の指が上方を向くような所定の向きとなる。
【0033】
より詳細には、向き修正処理51において、向き修正手段28は、機械学習によって生成された第3学習済モデル220を用いて、受付手段22が受け付けた生体の一部のX線画像100の向きを修正する。このような第3学習済モデル220は、第3モデル生成手段200が機械学習を行うことにより生成される。より詳細には、第3学習済モデル220は、生体の一部のX線画像とこのX線画像の向きに関する情報とを含む教師データ210を用いることにより、第3学習済モデル220を機械学習によって生成する。このような向きの補正のフェーズでは、X線画像の向きを揃えるためのEfficient net等のCNNモデルを構築している。なお、第3モデル生成手段200は、記憶部40に記憶されているプログラムを制御部20が実行することにより機能するようになっていてもよく、あるいはコンピュータ10とは別の装置が所定のプログラムを実行することにより機能するようになっていてもよい。後者の場合は、別の装置により生成された第3学習済モデル220がコンピュータ10に送信され、このコンピュータ10の記憶部40に記憶されるようになる。
【0034】
受付手段22が受け付けた生体の一部のX線画像100の向きが向き修正手段28により修正させられた後、コンピュータ10の制御部20により関節座標特定処理52が行われる。すなわち、関節座標特定手段30は、向き修正手段28により向きが修正されられた生体の一部のX線画像100における関節の座標の特定を行う(ステップ3)。図4において、人体の手のX線画像100における関節座標特定手段30により特定された関節の位置を参照符号Pで示す。関節座標特定手段30により特定される関節は、X線画像が処理された画像において例えばヒートマップ形式で表示される。具体的には、X線画像が処理されたヒートマップの画像において関節が特定の色(例えば、白色)で示される。そして、このX線画像が処理されたヒートマップの画像から関節の位置が特定される。
【0035】
より詳細には、向き修正処理51において、関節座標特定手段30は、機械学習によって生成された第1学習済モデル320を用いて、向き修正手段28により向きが修正されられた生体の一部のX線画像100における関節の座標の特定を行う。このような第1学習済モデル320は、第1モデル生成手段300が機械学習を行うことにより生成される。より詳細には、第1学習済モデル320は、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データ310を用いることにより、第1学習済モデル320を機械学習によって生成する。なお、第1モデル生成手段300は、記憶部40に記憶されているプログラムを制御部20が実行することにより機能するようになっていてもよく、あるいはコンピュータ10とは別の装置が所定のプログラムを実行することにより機能するようになっていてもよい。後者の場合は、別の装置により生成された第1学習済モデル320がコンピュータ10に送信され、このコンピュータ10の記憶部40に記憶されるようになる。
【0036】
ここで、本実施の形態では、関節座標特定手段30は、U-NetベースのCNNモデルに基づいて生体の一部のX線画像100における関節の座標の特定を行う。図5は、U-NetベースのCNNモデルに基づいて生体の一部のX線画像100における関節の座標の特定を行う方法を示す説明図である。U-Netは、Olafらによって生物医学のために開発された、セマンティックセグメンテーション用のモデルである。U-Netは図5における左半分のエンコーダと右半分のデコーダから構成されている。なお、図5における各ボックスの上に位置する数字は画像の枚数を示している。図5における左半分のエンコーダでは、入力された画像を何度か畳み込み、その画像の特徴を抽出する。エンコーダには、ResNetなどの画像分類で優れた成果を収めているモデルの構造をほぼそのまま活用することができる。また、図5における右半分のデコーダでは、エンコーダによって抽出された特徴を受け取り、逆畳み込みと呼ばれる通常の畳み込みと逆の処理を行い、入力画像と同じサイズのヒートマップ画像を出力する。また、U-Netでは、各階層において、エンコーダの特徴マップをデコーダの特徴マップに連結させている。図5における参照符号Qで示す矢印がこの連結を意味している。このようなU-Netモデルの連結により、エンコーダ側の大きな特徴マップの情報がデコーダ側に伝わるようになり、アップサンプリング時に物体の位置情報が捉えやすくなる。このように、U-Netの最大の特徴は、エンコーダの特徴マップをデコーダの特徴マップに連結させることである。エンコーダで生成された特徴マップを複製し、切り出し、そしてデコーダの特徴マップに連結する。このような特徴マップの接続は、一般的に「スキップ接続」と呼ばれる。U-Netにおけるスキップ接続の目的は、エンコーダ側の大きな特徴マップの情報をデコーダ側に伝えることであり、このことにより、ピクセル単位での分類精度を高めることができる。
【0037】
向き修正手段28により向きが修正されられた生体の一部のX線画像100における関節の座標の特定が関節座標特定手段30により行われた後、コンピュータ10の制御部20により骨破壊スコア算出処理53が行われる。すなわち、骨破壊スコア算出手段32は、畳み込みニューラルネットワークに基づいて関節座標特定手段30により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコア110を算出する(ステップ4)。より詳細には、骨破壊スコア算出手段32は、第2学習済モデル420を用いて、関節座標特定手段30により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコア110を算出する。このような第2学習済モデル420は、第2モデル生成手段400が機械学習を行うことにより生成される。より詳細には、第2学習済モデル420は、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データ410を用いることにより、第2学習済モデル420を機械学習によって生成する。なお、第2モデル生成手段400は、記憶部40に記憶されているプログラムを制御部20が実行することにより機能するようになっていてもよく、あるいはコンピュータ10とは別の装置が所定のプログラムを実行することにより機能するようになっていてもよい。後者の場合は、別の装置により生成された第2学習済モデル420がコンピュータ10に送信され、このコンピュータ10の記憶部40に記憶されるようになる。
【0038】
骨破壊に関するスコアについて以下に説明する。骨破壊に関するスコアとして、modified Total Sharp Score(mTSS)(Sharp-van der Heijde Score(SHS)ともいう)が用いられる。
【0039】
modified Total Sharp Score(mTSS)は、手や足のX線写真を用いて関節リウマチ患者の関節破壊を評価する方法であり、関節リウマチにおける手や足の各関節の経時的変化を評価するのに最も感度の高い評価法とされ、臨床研究で現在広く使われている。modified Total Sharp Score(mTSS)は、手と手関節の27関節を対象とし、びらん(Erosion)と関節裂隙狭小化(Joint space narrowing:JSN)を以下のように点数化している。
びらん(Erosion)
0=びらん無し
1=小さなびらん
2=関節面の半分に満たない
3=関節面の半分以上
5=完全に圧壊
関節裂隙狭小化(Joint space narrowing:JSN)
0=正常
1=局所のみ、疑わしい
2=50%以上が残存
3=50%以下が残存、亜脱臼
4=関節裂隙消失、完全脱臼
【0040】
そして、modified Total Sharp Score(mTSS)では、全ての関節の合計点数をその患者のTotal Sharpスコア(総Sharpスコア)としている。手の最大合計点数は280点(Erosion:160点、JSN:120点)であり、足の最大合計点数は168点(Erosion:120点、JSN:48点)である。
【0041】
このようにして骨破壊スコア算出手段32により算出された各関節の骨破壊に関するスコア110は出力手段24により出力される(ステップ5)。なお、この際に、骨破壊スコア算出手段32により算出された各関節の骨破壊に関するスコア110の合計値が出力手段24により出力されてもよい。出力手段24により出力された骨破壊に関するスコア110は送信手段26によって通信部42を介して外部装置に送信されたり、記憶部40に記憶されたり、表示部44に表示されたりする。このことにより、医療関係者等はコンピュータ10により算出された骨破壊に関するスコア110を認識し、この骨破壊に関するスコア110に基づいて患者の関節リウマチに関する評価を行うことができるようになる。
【0042】
図6は、modified Total Sharp Score(mTSS)のびらん(Erosion)について、X線画像を見た医療専門家の評価によるスコアと、同じX線画像について本実施の形態のコンピュータ10により出力されたスコアとを比較している表である。図6に示すように、本実施の形態のコンピュータ10により出力されたスコアが0点(びらん無し)である場合は、X線画像について同じ医療専門家の評価によるスコアは95.7%の確率で0点であった。また、本実施の形態のコンピュータ10により出力されたスコアが1点(小さなびらん)である場合は、同じX線画像について医療専門家の評価によるスコアは34.5%の確率で0点、32.8%の確率で1点、25.9%の確率で2点と、ほぼ1点以内に収まった。また、本実施の形態のコンピュータ10により出力されたスコアが2点(関節面の半分に満たないびらん)である場合は、同じX線画像について医療専門家の評価によるスコアは26.9%の確率で1点、32.7%の確率で2点、17.3%の確率で3点と、ほぼ1点以内に収まった。また、本実施の形態のコンピュータ10により出力されたスコアが3点(関節面の半分以上のびらん)である場合は、同じX線画像について医療専門家の評価によるスコアは38.5%の確率で3点、30.8%の確率で4点と、ほぼ1点以内に収まった。また、本実施の形態のコンピュータ10により出力されたスコアが5点(完全に圧壊)である場合は、X線画像について同じ医療専門家の評価によるスコアは69.7%の確率で5点であった。このように、本実施の形態のコンピュータ10による骨破壊に関するスコアの算出方法によれば、関節毎に骨関節破壊スコアを算出しているため、X線画像を見た医療専門家の評価によるスコアと、同じX線画像について本実施の形態のコンピュータ10により出力されたスコアとがほぼ同じ値となり、関節リウマチに関する精度の高い評価を行うことができる。
【0043】
以上のような構成からなる本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法によれば、プログラムは、コンピュータ10を、受付手段22と、関節座標特定手段30と、骨破壊スコア算出手段32と、出力手段24として機能させ、受付手段22は、生体の一部のX線画像を受け付ける。また、関節座標特定手段30は、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データ310を用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデル320を用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う。また、骨破壊スコア算出手段32は、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データ410を用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデル420を用いて、関節座標特定手段30により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出する。また、出力手段24は、骨破壊スコア算出手段32により算出された骨破壊に関するスコアを出力する。このようなプログラム、コンピュータ10および情報処理方法によれば、機械学習によって生成された第1学習済モデル320を用いて、まず生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行い、また、機械学習によって生成された第2学習済モデル420を用いて、座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出するため、関節リウマチに関する精度の高い評価を行うことができる。
【0044】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、プログラムはコンピュータ10を向き修正手段28として更に機能させ、向き修正手段28は、生体の一部のX線画像とこのX線画像の向きに関する情報とを含む教師データ210を用いることにより機械学習によって生成された第3学習済モデル220を用いて、受付手段22が受け付けた生体の一部のX線画像の向きを修正し、関節座標特定手段30は、向き修正手段28により向きが修正された生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う。このことにより、向き修正手段28により向きが修正された生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行うため、X線画像における関節の座標の特定をより精度良く行うことができる。
【0045】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、生体の一部のX線画像は、手または足のX線画像である。この場合は、手または足のX線画像を用いることにより、手または足の各関節について骨破壊に関するスコアを算出することができるため、関節リウマチに関するより精度の高い評価を行うことができる。
【0046】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、関節座標特定手段30は、U-NetベースのCNNモデルに基づいて生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う。この場合には、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定をより精度良く行うことができるようになる。
【0047】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、畳み込みニューラルネットワークに基づいて関節座標特定手段30により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出する。このことにより、各関節について骨破壊に関するスコアをより精度良く算出することができるようになる。
【0048】
また、本実施の形態のプログラム、コンピュータ10および情報処理方法においては、上述したように、骨破壊に関するスコアは、modified Total Sharp Score(mTSS)である。この場合には、骨破壊に関するスコアに基づいて関節リウマチに関するより精度の高い評価を行うことができる。
【0049】
なお、本発明によるプログラム、コンピュータおよび情報処理方法等は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0050】
なお、制御部20は向き修正手段28として機能しないようになっていてもよい。この場合は、関節座標特定手段30は、機械学習によって生成された第1学習済モデル320を用いて、受付手段22が受け付けた生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う。このような態様でも、機械学習によって生成された第1学習済モデル320を用いて、まず生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行い、また、機械学習によって生成された第2学習済モデル420を用いて、座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出するため、関節リウマチに関する精度の高い評価を行うことができる。
【0051】
また、制御部20が向き修正手段28として機能する場合でも、向き修正手段28は、機械学習によって生成された第3学習済モデル220を用いないで、例えば記憶部40に記憶されている所定の画像向き判定プログラムを実行することにより受付手段22が受け付けた生体の一部のX線画像の向きを修正するようになっていてもよい。
【0052】
また、関節座標特定手段30は、機械学習によって生成された第1学習済モデル320を用いないで、例えば記憶部40に記憶されている所定の関節座標特定判定プログラムを実行することにより生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行うようになっていてもよい。
【0053】
また、骨破壊スコア算出手段32は、機械学習によって生成された第2学習済モデル420を用いないで、例えば記憶部40に記憶されている所定の骨破壊スコア算出プログラムを実行することにより座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出するようになっていてもよい。
【0054】
また、制御部20により実行されるプログラムは記憶部40に記憶されたものであることに限定されることはない。制御部20により実行されるプログラムとして、外部装置から通信部42を介して制御部20に送信されるものや、コンピュータ10に装着されたUSBメモリ等の記憶媒体に記憶されているもの、コンピュータ10とは別のコンピュータやサーバ(例えば、クラウドサーバ)等に記憶されているもの等が用いられてもよい。
【0055】
また、上記の説明では、生体の一部のX線画像は、手または足のX線画像である態様について述べたが、本発明はこのような態様に限定されることはない。生体の一部のX線画像として、手または足のX線画像以外のX線画像が用いられてもよい。
【0056】
また、関節座標特定手段30は、U-NetベースのCNNモデル以外のモデル等に基づいて生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行ってもよい。また、骨破壊スコア算出手段32は、畳み込みニューラルネットワーク以外の方法に基づいて関節座標特定手段30により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出してもよい。
【0057】
また、上記の説明では、骨破壊に関するスコアが、modified Total Sharp Score(mTSS)である態様について述べたが、本発明はこのような態様に限定されることはない。骨破壊に関するスコアとして、modified Total Sharp Score(mTSS)以外のスコアが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 コンピュータ
20 制御部
22 受付手段
24 出力手段
26 送信手段
28 向き修正手段
30 関節座標特定手段
32 骨破壊スコア算出手段
40 記憶部
42 通信部
44 表示部
46 操作部
51 向き修正処理
52 関節座標特定処理
53 骨破壊スコア算出処理
100 生体の一部のX線画像
110 骨破壊に関するスコア
200 第3モデル生成手段
210 教師データ
220 第3学習済モデル
300 第1モデル生成手段
310 教師データ
320 第1学習済モデル
400 第2モデル生成手段
410 教師データ
420 第2学習済モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、受付手段と、関節座標特定手段と、骨破壊スコア算出手段と、出力手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、生体の一部のX線画像を受け付け、
前記関節座標特定手段は、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデルを用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行い、前記第1学習済モデルは、U-NetベースのCNNモデルであり、U-Netはエンコーダとデコーダとから構成され、前記エンコーダでは、入力されたX線画像を何度か畳み込み、そのX線画像の特徴を抽出し、前記デコーダでは、前記エンコーダによって抽出された特徴を受け取り、逆畳み込みと呼ばれる通常の畳み込みと逆の処理を行い、入力画像と同じサイズのヒートマップ画像を出力し、
前記骨破壊スコア算出手段は、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデルを用いて、前記関節座標特定手段により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出し、
前記出力手段は、前記骨破壊スコア算出手段により算出された骨破壊に関するスコアを出力する、プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを向き修正手段として更に機能させ、
前記向き修正手段は、生体の一部のX線画像とこのX線画像の向きに関する情報とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第3学習済モデルを用いて、前記受付手段が受け付けた生体の一部のX線画像の向きを修正し、
前記関節座標特定手段は、前記向き修正手段により向きが修正された生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行う、請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
生体の一部のX線画像は、手または足のX線画像である、請求項1または2記載のプログラム。
【請求項4】
前記骨破壊スコア算出手段は、畳み込みニューラルネットワークに基づいて前記関節座標特定手段により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出する、請求項1または2記載のプログラム。
【請求項5】
骨破壊に関するスコアは、modified Total Sharp Score(mTSS)である、請求項1または2記載のプログラム。
【請求項6】
プログラムを実行することにより受付手段と、関節座標特定手段と、骨破壊スコア算出手段と、出力手段として機能するコンピュータであって、
前記受付手段は、生体の一部のX線画像を受け付け、
前記関節座標特定手段は、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデルを用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行い、前記第1学習済モデルは、U-NetベースのCNNモデルであり、U-Netはエンコーダとデコーダとから構成され、前記エンコーダでは、入力されたX線画像を何度か畳み込み、そのX線画像の特徴を抽出し、前記デコーダでは、前記エンコーダによって抽出された特徴を受け取り、逆畳み込みと呼ばれる通常の畳み込みと逆の処理を行い、入力画像と同じサイズのヒートマップ画像を出力し、
前記骨破壊スコア算出手段は、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデルを用いて、前記関節座標特定手段により座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出し、
前記出力手段は、前記骨破壊スコア算出手段により算出された骨破壊に関するスコアを出力する、コンピュータ。
【請求項7】
コンピュータにより行わせる情報処理方法であって、
前記コンピュータにより、生体の一部のX線画像を受け付けさせる工程と、
前記コンピュータにより、生体の一部のX線画像とこのX線画像における各関節の座標とを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第1学習済モデルを用いて、生体の一部のX線画像における関節の座標の特定を行わせ、前記第1学習済モデルは、U-NetベースのCNNモデルであり、U-Netはエンコーダとデコーダとから構成され、前記エンコーダでは、入力されたX線画像を何度か畳み込み、そのX線画像の特徴を抽出し、前記デコーダでは、前記エンコーダによって抽出された特徴を受け取り、逆畳み込みと呼ばれる通常の畳み込みと逆の処理を行い、入力画像と同じサイズのヒートマップ画像を出力する工程と、
前記コンピュータにより、各関節のX線画像とこのX線画像の骨破壊に関するスコアとを含む教師データを用いることにより機械学習によって生成された第2学習済モデルを用いて、座標が特定された各関節について骨破壊に関するスコアを算出させる工程と、
前記コンピュータにより、算出された骨破壊に関するスコアを出力させる工程と、
を備えた、情報処理方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、プログラム、コンピュータおよび情報処理方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、関節リウマチに関する精度の高い評価を行うことができるプログラム、コンピュータおよび情報処理方法を提供することを目的とする。