(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063939
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240507BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B25J13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172140
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】森 洋子
(72)【発明者】
【氏名】丸山 力
(72)【発明者】
【氏名】夏川 忠士
(72)【発明者】
【氏名】小川 雅嗣
(72)【発明者】
【氏名】一圓 真澄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 照正
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS12
3C707DS03
3C707JS03
3C707KS08
3C707KT01
3C707KT04
3C707KT18
3C707LU03
3C707LU04
3C707LV06
3C707LV14
3C707LV15
3C707MT10
3C707NS02
3C707NS19
(57)【要約】
【課題】 ロボットアームを用いて物品を扱う作業において、様々な物品のそれぞれに対する適切な取り扱いを行うことを可能にする技術を提供する。
【解決手段】 制御装置は、ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得する取得手段と、物品情報に基づいて、ロボットアームによる物品の取扱方法を決定する決定手段と、取扱方法に基づいて、物品を扱うロボットアームを制御する制御手段と、を備える。決定手段は、物品の価格が高いほど物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得する取得手段と、
前記物品情報に基づいて、前記ロボットアームによる前記物品の取扱方法を決定する決定手段と、
前記取扱方法に基づいて、前記物品を扱うロボットアームを制御する制御手段と、を備え、
前記決定手段は、前記物品の前記価格が高いほど前記物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定する
制御装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記ロボットアームの動作の速度に関する取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど、前記ロボットアームの動作の速度を小さくする取扱方法に決定する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記ロボットアームの動作の速度に関する取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど、前記ロボットアームの動作の加速度および減速度の少なくとも一方を小さくする取扱方法に決定する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記取扱方法のうち、前記ロボットアームの前記物品を持ち上げる動作に関する取扱方法を、物品の落下の可能性を低くする取扱方法に決定する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記ロボットアームの前記物品を持ち上げる動作に関する取扱方法を、前記物品の前記価格が基準値より高い場合、前記ロボットアームの吸着および把持によって前記物品を持ち上げる動作にする取扱方法に決定し、
前記物品の前記価格が基準値より低い場合、前記ロボットアームの吸着によって前記物品を持ち上げる動作にする取扱方法に決定する
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記ロボットアームの前記物品を持ち上げる動作に関する取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど、前記物品を持ち上げる動作を行う前記ロボットアームを増やす取扱方法に決定する
請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記取扱方法のうち、前記ロボットアームの前記物品を置く動作に関する取扱方法を、物品を置く際に物品に加わる衝撃が小さくなる取扱方法に決定する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記ロボットアームの作業情報または周辺画像に基づいて、前記ロボットアームの作業範囲内に含まれる物品を特定し、前記物品情報に基づいて、前記ロボットアームの作業範囲内に含まれる物品に基準値より価格が高い物品が含まれることを判定する判定手段
をさらに備え、
前記決定手段は、前記ロボットアームの作業範囲内に基準値より価格が高い物品が含まれると判定された場合、前記取扱方法を、物品の破損防止を優先するような取扱方法に決定する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
コンピュータが、
ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得し、
前記物品情報に基づいて、前記ロボットアームによる前記物品の取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど前記物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定し、
前記取扱方法に基づいて、前記物品を扱うロボットアームを制御する、
制御方法。
【請求項10】
ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得し、
前記物品情報に基づいて、前記ロボットアームによる前記物品の取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど前記物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定し、
前記取扱方法に基づいて、前記物品を扱うロボットアームを制御する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットアームを制御する技術等に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類のロボットアームが、多くの用途で用いられている。一例として、物品の移動や運搬など、ロボットアームによって、物品を扱う技術がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、物品の材質によってロボットアームの制御を変えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物品には、材質以外にも様々な違いがある。様々な物品のそれぞれを適切に取り扱うことは難しい。
【0006】
本開示の目的の一例は、ロボットアームを用いて物品を扱う作業において、様々な物品のそれぞれに対する適切な取り扱いを行うことを可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様における制御装置は、ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得する取得手段と、物品情報に基づいて、ロボットアームによる物品の取扱方法を、物品の価格が高いほど物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定する決定手段と、取扱方法に基づいて、物品を扱うロボットアームを制御する制御手段と、を備える。
【0008】
本開示の一態様における制御方法は、コンピュータが、ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得し、物品情報に基づいて、ロボットアームによる物品の取扱方法を、物品の価格が高いほど物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定し、取扱方法に基づいて、物品を扱うロボットアームを制御する。
【0009】
本開示の一態様におけるプログラムは、ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得し、物品情報に基づいて、ロボットアームによる物品の取扱方法を、物品の価格が高いほど物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定し、取扱方法に基づいて、物品を扱うロボットアームを制御する処理を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示による効果の一例は、ロボットアームを用いて物品を扱う作業において、様々な物品のそれぞれに対する適切な取り扱いを行うことを可能にすることができることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】制御装置が制御するロボットアームによる作業の一例を示す図である。
【
図2】制御装置を含む制御システムの構成を示す図である。
【
図3】制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】本開示における制御装置をコンピュータ装置とその周辺装置で実現したハードウェア構成を示す図である。
【
図6】価格に応じた取扱方法の一例を示す図である。
【
図7】価格に応じた取扱方法の一例を示す図である。
【
図9】一つのロボットアームによる動作の一例を示す図である。
【
図10】二つのロボットアームによる動作の一例を示す図である。
【
図11】制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図12】制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[実施形態]
本開示は、物品を扱うロボットアームの制御に関連する。本開示にかかる制御装置は、物品を扱うロボットアームを制御する。本開示の実施形態において、物品は、ロボットアームによる取り扱いが可能であれば、特に限定されない。物品は、例えば、流通のために所定単位で包装された物品である。より詳細な例として、物品は、所定単位で包装された薬品である。物品を扱うロボットアームは、例えば、物品をある容器から別の容器に移動する作業を行う。以下の説明において、この作業を、容器変換と呼ぶ。
【0014】
図1を参照しながら、ロボットアームが行う動作を含む一連の作業の例について説明する。
図1は、ロボットアームが行う動作を含む一連の作業の例を示す模式図である。コンベア1に流された物品が詰められた段ボール箱および空のトレイが、ロボットアームR1が作業を行う作業机に移動される。ロボットアームR1が扱う物品は、カメラが撮影した画像を用いた画像認識や、バーコードリーダによって特定される。ロボットアームR1は、あらかじめ設定された、特定された物品に対する作業を行う。
図1では、ロボットアームR1は、段ボール箱からトレイに物品を移動する。段ボール箱からトレイに物品が移動されると、段ボール箱とトレイは、コンベア2に流される。これらの一連の作業が、様々な物品に対して繰り返される。本開示にかかる制御装置が制御するロボットアームの作業の例は、
図1の容器変換の例に限られず、本開示にかかる制御装置は、物品のピッキングなど、物品を移動する作業を行うロボットアームの制御に適用されてよい。
【0015】
実施形態において、
図1の例のように様々な物品を扱う作業を行う例について詳細に説明する。
【0016】
図2は、ロボットアームR1、および、ロボットアームR1の制御に用いられるサーバ300を含む制御システムの構成を示す図である。
【0017】
図2において、ロボットアームR1は、上述のような物品を扱う作業を行うことができる。ロボットアームR1は、例えば、物品を持ち上げる動作、物品を移動する動作、物品を離す動作を行う。ロボットアームR1は、これらの動作が可能であれば種類や具体的な構造は特に限定されないが、例えば、物品を持つ機能を先端に備える六軸ロボットアームである。物品を持つ機能は、例えば、物品の吸着や、物品の把持など、公知の方法により実現されればよい。ロボットアームR1は、物品を持つ機能として、吸着ハンドおよび把持ハンドを両方備えてもよい。また、ロボットアームR1は、物品を持つ機能として、吸着ハンドおよび把持ハンドを付け替えられてもよい。また、ロボットアームR1は、台に固定されていてもよいし、自走式のロボットに備えられてもよい。なお、制御装置100が制御するロボットアームは、一つまたは複数であってよい。
【0018】
サーバ300は、データベース400(以下、DBとも記載する)から、ロボットアームR1が行う作業に関する情報を読み出して、制御装置100に送信する。作業に関する情報は、例えば、作業指示、および作業対象の物品の物品情報である。物品情報は、作業において扱われる物品それぞれの特徴を示す情報である。物品に関する情報は、物品を扱う際に利用される。物品情報の詳細については、後述する。作業指示は、作業内容を示す情報、作業対象の物品を示す情報、作業対象の物品の個数を示す情報である。例えば、作業内容を示す情報は、作業が容器変換であることを示す情報、容器変換における移動元の容器を示す情報および容器変換における移動先の容器を示す情報である。移動元の容器を示す情報および移動先の容器を示す情報は、それぞれ、移動元の容器の位置を示す情報および移動先の容器の位置を示す情報であってもよい。作業対象の物品は、作業対象の物品を示す情報である。例えば、作業対象の物品は、作業対象の物品を識別する識別情報である。
【0019】
制御装置100は、ロボットアームR1を制御する。制御装置100は、一例として、上述したロボットアームR1に組み込まれ、ロボットアームR1の動作を制御する。制御装置100は、例えば、後述するコンピュータにより実現される。また、制御装置100は、サーバ300およびデータベース400から得られる、物品を扱う作業に関する情報、および、図示しない各種センサから得られる各種センサデータを用いて、ロボットアームの動作を制御する。
【0020】
次に、制御装置100の機能構成について、
図3を参照して説明する。
【0021】
図3は、第一実施形態における制御装置100の機能構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、制御装置100は、取得部101と、決定部102と、制御部103と、を備える。取得部101は、ロボットアームが扱う物品の物品情報を取得する。決定部102は、物品情報に基づいて、物品の取扱方法を決定する。制御部103は、決定された取扱方法によって、ロボットアームを制御する。
【0022】
制御装置100の各構成要素の一部又は全部は、例えば
図4に示すような情報処理装置1000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現される。情報処理装置1000は、一例として、以下のような構成を含む。
【0023】
・CPU(Central Processing Unit)1001
・ROM(Read Only Memory)1002
・RAM(Random Access Memory)1003
・RAM1003にロードされるプログラム1004
・プログラム1004を格納する記憶装置1005
・記録媒体1006の読み書きを行うドライブ装置1007
・通信ネットワーク1009と接続する通信I/F1008
・データの入出力を行う入出力I/F1010
・各構成要素を接続するバス1011
なお、I/Fは、Interfaceの略である。制御装置100は、通信I/F1008および通信ネットワーク1009を介して、サーバ300およびデータベース400と接続される。さらに、上述した各種センサは、入出力I/F1010を介して、制御装置100に接続される。センサは、例えば、カメラ、重量センサ、バーコードリーダである。センサは、ロボットアームR1を介して制御装置100と通信可能に接続されてもよい。制御装置100は、サーバ300およびデータベース400から得られる、物品を扱う作業に関する情報、および入出力I/F1010を介して入力された各種センサデータを用いて、ロボットアームの動作を制御する。
【0024】
各実施形態における各装置又はシステムの各構成要素は、これらの機能を実現するプログラムをCPU1001が取得して実行することにより実現される。各装置の各構成要素の機能を実現するプログラムは、例えば、あらかじめ記憶装置1005やRAM1003に格納されており、必要に応じてCPU1001が読み出す。なお、プログラム1004は、通信ネットワークを介してCPU1001に供給されてもよいし、あらかじめ記録媒体1006に格納されており、ドライブ装置1007が当該プログラムを読み出してCPU1001に供給してもよい。なお、情報処理装置1000の具体的な実現例は様々であり、特に限定されない。
【0025】
再び
図3を参照し、制御装置100の各機能構成について説明する。
【0026】
取得部101は、ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得する取得手段の一例である。取得部101は、制御装置100と通信可能に接続されたサーバを介して、データベースから物品情報を取得する。
【0027】
物品情報は、上述したように、作業においてロボットアームにより扱われる物品それぞれの特徴を示す情報である。物品情報は、物品を扱うロボットアームの制御に利用される。物品情報に含まれる情報のうち、物品を扱うロボットアームの制御に利用される情報としては、物品の価格を表す情報、物品の取り扱いに関する物理的な情報などが含まれるが、これらには限られない。さらに、物品情報は、物品を識別するための識別情報を含んでもよい。なお、後述する
図8に示すように、物品情報は、物品を扱うロボットアームの制御に利用される情報として、物品を取り扱う方法を含んでもよい。
【0028】
物品の価格を表す情報は、物品の価格に関する情報である。物品の価格を表す情報は、例えば、物品の原価、仕入れ値、および販売価格のうち、少なくとも一つである。
【0029】
物品の扱いに関する物理的な情報は、例えば、物品の大きさおよび物品の重さである。また、物品の扱いに関する物理的な情報は、物品の素材、物品の壊れやすさ、物品が危険物であるか否か、および物品の可燃性のうち、少なくとも一つを含んでもよい。
【0030】
物品を識別するための情報は、物品ID(Identification)、物品名、バーコードまたは二次元コードに含まれる文字列、名称、画像から特定するための情報であってよい。
【0031】
図5は、物品情報の一例である。
図5において、物品情報は、物品ID、物品名、物品の大きさ、物品の重さ、物品の価格を含む。
図5において、物品IDおよび物品名は、物品を識別するための情報である。また、物品の大きさ、物品の重さおよび物品の価格は、物品を扱うロボットアームの制御に利用される情報である。なお、物品情報は、これらの例に限られない。
【0032】
取得部101が物品情報を取得する具体的な方法の一例について説明する。取得部101は、まず、ロボットアームが扱う物品を特定する。物品の特定の方法は、公知の方法が用いられてよい。取得部101は、例えば、物品を含む画像の画像認識、または、物品に付与されたバーコードまたは二次元コードの読み取りの結果と、物品情報に含まれる物品の識別情報と、を照合することにより、ロボットアームが扱う物品を特定する。物品の特定は、物品が入れられた容器から特定されてもよい。なお、物品の特定は、サーバにより行われてもよい。次に、取得部101は、特定された物品に関連付けられた物品情報を、サーバから取得する。または、取得部101は、あらかじめサーバから送信された作業指示に含まれる作業対象の物品情報から、物品情報を取得してもよい。
【0033】
決定部102は、物品情報に基づいて、ロボットアームによる物品の取扱方法を決定する決定手段の一例である。決定部102は、物品の取扱方法を、物品の価格が高いほど、物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定する。決定部102は、物品の価格が低いほど、物品の破損防止よりも作業全体の効率を優先する取扱方法に決定してもよい。また、決定部102は、価格に応じた、物品の価格が高いほど、物品の破損防止をより優先するような取扱方法を、複数の段階で決定してもよい。または、決定部102は、価格に応じた、物品の価格が高いほど、物品の破損防止をより優先するような取扱方法を、価格に応じて連続的に決定してもよい。作業全体の効率を優先する取扱方法とは、例えば、作業全体の速さが速くなる取扱方法、作業の消費電力が低くなる取扱方法の少なくとも一つを含む取扱方法である。物品の破損防止を優先する取扱方法については、後述する。
【0034】
例えば、決定部102は、基準値より価格が高いか否かを判定し、基準値より物品の価格が高いと判定された場合、物品の取扱方法を、物品の破損防止をより優先する取扱方法に決定する。例えば、決定部102は、物品情報に含まれる物品の価格を、あらかじめ設定された基準値と比較することにより、基準値よりも物品の価格が高いか否かを判定する。また、例えば、決定部102は、物品情報に含まれる、物品の価格が基準値より高いことを示すフラグの有無によって、物品の価格が高いか否かを判定してもよい。ここで、物品の価格が基準値より高いことを示すフラグは、基準値と比較してあらかじめ設定されればよい。決定部102は、物品の価格が高いか否かの判定結果に基づいて、物品の取扱方法を決定する。決定部102は、物品の価格が高いか否かの判定結果に基づいて、物品の価格が高いか否かの判定結果と、判定結果に応じた取扱方法と、が関連付けられた情報を参照することにより、物品の取扱方法を決定する。物品の価格が高いか否かの判定結果と、判定結果に応じた取扱方法と、が関連付けられた情報には、あらかじめ、物品の価格が高いとの判定結果に対し、物品の破損防止をより優先する取扱方法が関連付けられる。また、物品の価格が高いか否かの判定結果と、判定結果に応じた取扱方法と、が関連付けられた情報には、あらかじめ、物品の価格が低いとの判定結果に対し、作業全体の効率を優先する取扱方法が関連付けられてよい。例えば、決定部102は、物品の価格が高いと判定された場合、物品の取扱方法を、物品の破損防止をより優先する取扱方法に決定する。決定部102は、例えば、あらかじめ設定された、価格が高いか否かの判定結果と、判定結果に応じた取扱方法と、が関連付けられた情報を参照することにより、物品の価格が高いと判定された場合、物品の取扱方法を、物品の破損防止をより優先する取扱方法に決定する。
【0035】
図6は、価格が高いか否かの判定結果と、判定結果に応じた取扱方法と、が関連付けられた情報の一例である。ロボットアームがより低速で物品を取り扱うことにより、ロボットアームがより高速に物品を取り扱う場合と比較して、何らかの問題が生じた場合に当該物品を破損させる可能性が小さくなると想定される。
【0036】
そこで、
図6において、物品の価格が高いと判定された場合、取扱方法は、ロボットアームが物品を取り扱う動作を低速で行う方法となることを示す。ロボットアームが物品を取り扱う動作を低速で行う方法は、物品の破損防止を優先する取扱方法の一例である。また、物品の価格が低いと判定された場合、ロボットアームが物品を取り扱う動作を高速で行う方法となることを示す。ロボットアームが物品を取り扱う動作を高速で行う方法は、作業全体の効率を優先する取扱方法の一例である。
【0037】
例えば、決定部102は、物品の価格が高いと判定された場合、
図6に示される情報を参照することにより、物品の取扱方法を、ロボットアームが物品を取り扱う動作を低速で行う方法に決定する。
図6において、「低速」または「高速」の代わりに、それぞれ動作の速さの具体的な数値が設定されてもよい。また、価格の判定結果に応じた取扱方法は
図6の例に限られない。
【0038】
また例えば、決定部102は、物品の価格の高さを判定し、物品の高さに応じた物品の取扱方法を決定してもよい。決定部102は、あらかじめ設定された価格範囲を用いて、物品情報に含まれる物品の価格のレベルを判定する。そして、決定部102は、物品の価格のレベルに応じた取扱方法を示す情報を参照することにより、物品の取扱方法を、物品の価格のレベルが高いほど、物品の破損防止をより優先する取扱方法に決定する。すなわち、物品の価格に応じた物品の取扱方法は、作業全体の効率を優先する取扱方法か、物品の破損防止を優先する取扱方法かの二種類だけではなく、段階的に複数設定されてよい。
【0039】
図7は、物品の価格のレベルと、物品の価格帯に応じた取扱方法と、が関連付けられた情報の他の例である。上述したように、ロボットアームがより低速で物品を取り扱うことにより、ロボットアームがより高速に物品を取り扱う場合と比較して、何らかの問題が生じた場合に当該物品を破損させる可能性が小さくなると想定される。さらに、ロボットアームが吸着のみの動作により物品を持つ動作を行う場合と比較して、ロボットアームが吸着および把持の動作により物品を持つ動作を行うことは、何らかの問題が生じた場合に当該物品を破損させる可能性を小さくすると想定される。
【0040】
そこで、
図7において、物品の価格が、高い価格帯に属すると判定された場合、取扱方法は、ロボットアームが物品を取り扱う動作を低速で行い、さらに、ロボットアームが物品を持つ動作を物品の吸着および把持とする取扱方法となることを示す。ロボットアームが物品を取り扱う動作を低速で行う取扱方法、および、ロボットアームが物品を持つ動作を物品の吸着および把持とする取扱方法は、物品の破損防止を優先する取扱方法の一例である。ロボットアームが物品を持つ動作を物品の吸着および把持とする取扱方法は、後述する、ロボットアームが物品を持つ動作を物品の吸着のみとする取扱方法と比較すると、物品の破損防止を優先する取扱方法となる。物品の価格が中程度の価格帯に属すると判定された場合、取扱方法は、ロボットアームが物品を取り扱う動作を高速で行い、さらに、ロボットアームが物品を持つ動作を物品の吸着および把持とする取扱方法となることを示す。作業全体の効率を優先する取扱方法の一例である、ロボットアームが物品を取り扱う動作を高速で行う取扱方法、および、物品の破損防止を優先する取扱方法の一例である、ロボットアームが物品を持つ動作を物品の吸着および把持とする取扱方法が組み合わされる取扱方法は、物品の価格が中程度の価格帯に属する場合の取扱方法の一例である。また、物品の価格が、低い価格帯に属すると判定された場合、取扱方法は、ロボットアームが物品を取り扱う動作を高速で行い、さらに、ロボットアームが物品を持つ動作を吸着のみとする取扱方法となることを示す。ロボットアームが物品を取り扱う動作を高速で行う取扱方法、および、ロボットアームが物品を持つ動作を物品の吸着のみとする取扱方法は、作業全体の効率を優先する取扱方法の一例である。
【0041】
例えば、物品の価格が10000円である場合、決定部102は、物品の価格が高い価格帯に属すると判定し、
図7に示す情報を参照することにより、物品の取扱方法を、ロボットアームが物品を取り扱う動作を低速で行い、さらに、ロボットアームが物品を持つ動作を物品の吸着および把持とする方法に決定する。なお、価格帯を分ける数、価格範囲、取扱方法は
図7の例に限られない。
【0042】
また、決定部102は、物品情報に含まれる取扱方法を参照することにより、ロボットアームによる物品の取扱方法を決定してもよい。この場合、物品情報は、物品の価格に応じた、物品の価格が高いほど物品の破損防止をより優先する取扱方法を含む。この場合、物品情報に含まれる、各物品に対する取扱方法は、各物品の価格に基づいて設定されている。換言すると、物品情報に含まれる、各物品の取扱方法は、各物品の価格を反映している。すなわち、物品情報に各物品の取扱方法が価格に応じて定められていることは、物品情報が物品の価格を含むことの一例である。この場合、物品情報は、価格自体を明示的に表す情報を含まなくてもよい。
【0043】
図8は、物品の価格に応じた取扱方法を含む物品情報の一例である。物品情報は、
図5の物品情報の例と比較すると、物品の価格を含まず、物品の取扱方法を含む。物品の取扱方法は、上述のように、物品の価格が高いほど物品の破損防止をより優先する取扱方法があらかじめ設定されればよい。
【0044】
図8において、物品の価格は、物品IDが123の物品、物品IDが789の物品、物品IDが456の物品の順に大きい。
図8において、これらの物品に対し、価格に応じた取扱方法が設定されている。価格に応じた取扱方法は、上述したように、物品の価格が高いほど、物品の破損防止をより優先する取扱方法である。
【0045】
例えば、
図8において、物品IDが123の物品は、価格レベルが高い物品であると想定する。そこで、物品IDが123の物品に対しては、物品の価格が高い場合の取扱方法である物品の破損防止を優先する取扱方法が設定されている。
図8において、具体的には、低速で物品を取り扱う取扱方法、および、吸着および把持によって物品を持つ動作を行う取扱方法が設定されている。また、
図8において、物品IDが456の物品は、価格レベルが低い物品であると想定する。そこで、物品IDが456の物品に対しては、物品の価格が低い場合の取扱方法である作業全体の効率を優先する取扱方法が設定されている。
図8において、具体的には、高速で物品を取り扱う取扱方法、および、吸着のみによって物品を持つ動作を行う取扱方法が設定されている。さらに、
図8において、物品IDが789の物品は、価格レベルが中程度である物品であると想定する。そこで、物品IDが789の物品に対しては、物品の価格が低い場合の取扱方法である、作業全体の効率を優先する取扱方法と、物品の価格が高い場合の取扱方法である物品の破損防止を優先する取扱方法と、が組み合わされている。
【0046】
なお、物品の取扱方法は、物品の価格以外の、物品の他の特徴に基づく取扱方法があらかじめ設定されている場合もある。物品の他の特徴とは、例えば、物品の大きさ、物品の重さ、物品の素材、物品の壊れやすさ、物品が危険物であるか否か、物品の可燃性などである。このような場合に、決定部102は、物品の他の特徴に基づく取扱方法を、当該物品の取扱方法として決定してもよい。また、例えば、決定部102は、物品の価格に応じた取扱方法と、物品の他の特徴に基づく取扱方法と、のうち、物品の破損防止をより優先する取扱方法を、当該物品の取扱方法として決定してもよい。例えば、物品が危険物である場合、物品が壊れやすい場合、または、物品の可燃性が大きい場合に、物品の破損防止をより優先する取扱方法があらかじめ設定されていることを想定する。この場合、当該物品の価格が、作業全体の効率を優先する取扱方法と決定される価格であっても、決定部102は、物品を特定し、特定された物品の、
図8のように取扱方法を含む物品情報を参照することにより、物品の取扱方法を決定してよい。
【0047】
次に、物品の破損防止をより優先する取扱方法について説明する。上述したように、物品の破損防止をより優先する方法は、作業全体の効率よりも、物品の破損防止をより優先する取扱方法である。物品の破損防止をより優先する取扱方法は、例えば、人間が物を丁寧に扱うような方法である。物品の破損防止を優先する方法の例について、説明する。
【0048】
例えば、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、ロボットアームの速度を変更する取扱方法である。ロボットアームの動作の速度に関する、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、例えば、物品を取り扱う動作を低速にする方法である。例えば、決定部102は、ロボットアームの動作の速度に関する取扱方法を、物品の価格が高いほど、ロボットアームの動作の速度を小さくする取扱方法に決定する。反対に、決定部102は、ロボットアームの動作の速度に関する取扱方法を、物品の価格が低いほど、ロボットアームの動作の速度を大きくする取扱方法に決定してもよい。ロボットアームの速度とは、例えば、ロボットアームが物品を取り扱う動作における、ロボットアームの各軸が動く速度である。また、ロボットアームが把持により物品を持ち上げる場合の把持ハンドの動く速度であってもよい。このように、物品の価格が低いほど動作を速く、物品の価格が高いほど動作を遅くすることにより、価格が高いと判定されるような物品の破損防止を行いつつ、すべての物品を低速で扱う場合と比較して、全体の作業を速くすることができる。
【0049】
決定部102は、ロボットアームの動作の速度を、あらかじめ決められた速度の範囲内で価格に応じて決定してもよい。また、決定部102は、
図6のような価格の判定結果に応じた取扱方法を示す情報を用いて、ロボットアームの動作の速度に関する取扱方法を、物品の価格が高いほど、ロボットアームの動作の速度を小さくする取扱方法に決定してもよい。
【0050】
ロボットアームの動作の速度に関する、物品の破損防止をより優先する取扱方法の他の例は、動作における加速度および減速度の少なくとも一方を小さくする方法である。言い換えると、動作における加速度および減速度を小さくすることとは、動作における急加速および急減速を許容しないことである。急減速は、急停止を含む。例えば、決定部102は、ロボットアームの動作の速度に関する取扱方法を、物品の価格が高いほど、ロボットアームの動作の加速度および減速度の少なくとも一方を小さくする取扱方法に決定する。反対に、決定部102は、ロボットアームの動作の速度に関する取扱方法を、物品の価格が低い場合、ロボットアームの動作の加速度および減速度の少なくとも一方を制限しない方法に決定してもよい。このように、物品の価格が高い場合に、動作における急加速および急停止を許容しないことにより、価格が高い物品の破損防止を行いつつ、すべての物品を急加速および急停止を許容しないで扱う場合と比較して、全体の作業を速くすることができる。
【0051】
また、例えば、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、ロボットアームが物品を持ち上げる動作に関する取扱方法である。ロボットアームが物品を持ち上げる動作に関する、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、物品の落下の可能性を低くする取扱方法である。ロボットアームが物品を持ち上げる動作には、例えば、物品を吸着すること、または、物品を把持することが含まれる。
【0052】
ロボットアームが物品を持ち上げる動作に関する、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、例えば、物品を持ち上げる動作に用いられるアームの数、および、物品を持ち上げる動作において物品を支持する部位の数のうち少なくともいずれかを増やすことである。例えば、決定部102は、物品の価格が基準値より低い場合、ロボットアームの吸着によって物品を持ち上げる動作にする取扱方法に決定するのに対し、物品の価格が基準値より高い場合、ロボットアームの吸着および把持によって物品を持ち上げる動作にする取扱方法に決定する。このように、物品の価格が低い場合には持ち上げる動作を吸着のみ、物品の価格が高い場合には持ち上げる動作を吸着に加えて把持にすることにより、価格の高い物品はより確実に持ち上げられ、価格の低い物品は、把持に要する時間をなくすことにより、より短時間で持ち上げる動作を行うことができる。なお、作業全体の効率を優先する場合は吸着のみにより物品を持ち上げ、物品の破損防止を優先する場合は吸着および把持により物品を持ち上げる方法は一例であり、使用されるロボットアームに応じて、作業全体の効率を優先する方法及び物品の破損防止を優先する方法として、吸着のみ、把持のみ、吸着および把持があらかじめ設定されればよい。
【0053】
また、例えば、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、物品を扱うロボットアームの数に関する取扱方法である。
【0054】
物品を扱うロボットアームの数に関する、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、例えば、物品を扱うロボットアームの数を増やすことである。例えば、決定部102は、ロボットアームの物品を持ち上げる動作に関する取扱方法を、物品の価格が高いほど、物品を持ち上げる動作を行うロボットアームを増やす取扱方法に決定する。例えば、決定部102は、物品の価格が基準値より低い場合、物品の取扱方法として、一つのロボットアームによって物品を扱うことを決定し、物品の価格が基準値より高い場合、物品の取扱方法として、二つのロボットアームによって物品を扱うことを決定する。
【0055】
図9、
図10は、それぞれ、一つまたは二つのロボットアームによって、物品の容器変換を行う例を示す図である。
図9において、ロボットアームR1は、一つの物品を吸着して移動させ、隣の箱の中に置く。
図9において、ロボットアームR2は動作しない。
図9のように、ロボットアームR1のみで物品を扱う場合、ロボットアームR2は、ロボットアームR1が扱う物品とは別の物品を扱ってもよい。これに対し、
図10において、ロボットアームR1およびロボットアームR2は、一つの物品を吸着して移動させ、隣の箱の中に置く。物品を扱うロボットアームの数は、この例に限られない。
【0056】
このように、物品の価格が低い場合は一つのロボットアームで、物品の価格が高い場合は二つのロボットアームによって物品を扱うことにより、例えば、価格の高い物品を扱う場合は物品を落としにくいように持ち上げることにより破損を防止し、価格の低い物品を扱う場合は一度に二つの物品に対する作業を行うことにより作業を早く進めることができる。すなわち、価格が高い物品の破損を防止しながら、作業全体の時間の効率化ができる。または、物品の価格が低い場合は一つのロボットアームで、物品の価格が高い場合は二つのロボットアームによって物品を扱うことにより、例えば、価格の高い物品を扱う場合は物品を落としにくいように持ち上げ、価格の低い物品を扱う場合はロボットアームを動かす消費電力を低減することができる。すなわち、価格が高い物品の破損を防止しながら、作業全体の消費電力の効率化ができる。
【0057】
また、例えば、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、ロボットアームの物品を置く動作に関する取扱方法である。ロボットアームの物品を置く動作に関する、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、物品を置く際に物品に加わる衝撃が小さくなる取扱方法である。物品を置く際に物品に加わる衝撃が小さくなる取扱方法は、例えば、物品を置く動作における、物品を離す高さを低くする方法である。物品を離す高さは、より具体的には、物品を離す動作を行う際の物品の載置面から物品までの距離である。例えば、決定部102は、ロボットアームの物品を離す動作に関する取扱方法を、物品の価格が高いほど、物品を離す動作を行う際の物品の載置面から物品までの距離を短くする取扱方法に決定する。例えば、決定部102は、物品の価格が高い場合、物品の取扱方法を、物品が載置面に触れてから、すなわち、物品を離す動作を行う際の物品の載置面から物品までの距離がゼロとなる高さで、物品を離す取扱方法に決定する。反対に、決定部102は、物品の価格が低い場合、物品の取扱方法を、物品を載置面から高い位置で離す取扱方法に決定してもよい。これにより、物品が低い場合は、物品を離すタイミングが早くなり、次の物品を扱う動作に早く移行することができる。なお、決定部102は、物品が壊れにくい場合であって、物品が高価である場合に、作業全体の効率を優先する取扱方法を、物品を載置面から高い位置で離す取扱方法に決定してもよい。
【0058】
また、例えば、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、物品を取り扱うロボットアームの追加の動作に関する取扱方法である。例えば、決定部102は、物品を取り扱うロボットアームの追加の動作に関する取扱方法を、物品の価格が基準値より高い場合、物品の固定および包装のうち少なくとも一つを追加の動作として行う取扱方法に決定してもよい。物品の固定は、例えば、物品の底に接着剤を塗布することであってよい。この場合、決定部102は、物品を置く前に、物品の底に接着剤を塗布し、固定したい位置に物品を置くことを取扱方法として決定する。また、例えば、物品の包装は、例えば、物品を緩衝材となる箱または袋などに入れることであってよい。この場合、決定部102は、物品を置く前に、物品を緩衝材となる箱または袋などに入れることを取扱方法として決定する。価格の高い物品に対する追加の動作は、これらの例に限られず、ロボットアームが実行可能な方法が採用されればよい。また、反対に、物品の価格が低い場合、決定部102は、追加の動作を行わないことを決定してもよい。これにより、価格の高い物品の破損防止を行いつつ、価格の低い物品には追加の動作の時間をかけないようにすることができる。
【0059】
価格に応じた、物品の破損防止をより優先する取扱方法および作業全体の効率を優先する取扱方法の例は、これらに限られない。例えば、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、より繊細な動作を実現可能なロボットアームにより物品を取り扱う方法であってもよい。また、例えば、物品の破損防止をより優先する取扱方法は、物品を吸着または把持する力を大きくする方法であってもよい。なお、物品の破損防止をより優先する取扱方法および作業全体の効率を優先する取扱方法は、各種の方法が組み合わされてもよい。
【0060】
また、決定部102は、価格に加えて、物品情報に含まれる物品の他の特徴に基づいて、取扱方法を決定してもよい。例えば、決定部102は、物品の価格が低く、作業全体の効率を優先する取扱方法場合であっても、物品が重い場合、物品の取扱方法を、二つのロボットアームによって物品を扱う取扱方法に決定してよい。また、例えば、決定部102は、物品の価格が低く、作業全体の効率を優先する取扱方法場合であっても、物品が壊れやすい場合、物品の取扱方法を、ロボットアームの動作における速度を小さくする取扱方法に決定してもよい。また、例えば、取扱方法が物品情報に含まれる例において説明したように、決定部102は、物品の価格に応じた取扱方法と、物品の他の特徴に基づく取扱方法と、のうち、物品の破損防止をより優先する取扱方法を、当該物品の取扱方法として決定してもよい。物品の他の特徴は、物品の重さ、物品の壊れやすさの例に限られず、例えば、物品の他の特徴は、物品の大きさ、物品の素材、物品が危険物であるか否か、物品の可燃性のうち少なくとも一つであってよい。
【0061】
図3において、制御部103は、決定された取扱方法に基づいて、ロボットアームを制御する制御手段の一例である。制御部103は、上述した取扱方法に示される条件で物品を扱うようにロボットアームを制御する。ロボットアームの制御には、公知の方法が用いられてよい。例えば、制御部103は、作業指示、センサデータおよび物品情報を用いて、物品の吸着位置または把持位置、吸着または把持の強さ、動作速度、物品を離す位置などを設定し、ロボットアームを動作させる。
【0062】
以上のように構成された制御装置100の動作について、
図11のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
図11は、本実施形態における制御装置100が、一つまたは所定単位の物品を扱うロボットアームの動作を制御するための動作の概要を示すフローチャートである。なお、このフローチャートによる処理は、プロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。
【0064】
まず、取得部101は、ロボットアームが扱う物品の物品情報を取得する(ステップS101)。
【0065】
次に、決定部102は、物品情報に基づいて、物品の取扱方法を物品の価格が高いほど物品の破損防止をより優先する取扱方法に決定する(ステップS102)。
【0066】
次に、制御部103は、取扱方法に基づいて、物品を扱うロボットアームを制御する(ステップS103)。
【0067】
以上で、制御装置100は、一連の動作を終了する。
【0068】
上述した本実施形態における制御装置は、取得部が、ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得する。決定部が、物品情報に基づいて、ロボットアームによる物品の取扱方法を、物品の価格が高いほど物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定する。そして、制御部が、取扱方法に基づいて、物品を扱うロボットアームを制御する。
【0069】
その結果、本実施形態における制御装置は、ロボットアームを用いて物品を扱う作業において、様々な物品のそれぞれに対する適切な取り扱いを行うことを可能にすることができる。
【0070】
様々な物品を扱う作業においては、物品の価格も様々であることがある。作業全体を丁寧な動作にさせることでも、価格が高い物品の破損を防止することが可能だが、作業全体の効率が低くなってしまう。これに対し、本実施形態の制御装置は、物品を扱う作業において、価格が低い物品よりも、破損した場合の損害が大きい価格が高い物品の取扱方法を、物品の破損防止をより優先する取扱方法にする。これにより、価格が高い物品の破損を防止しながら、作業全体の効率化を図ることができる。
【0071】
[変形例]
次に、本開示の変形例について、説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。
【0072】
変形例では、決定部102が、ロボットアームの作業範囲内に基準値より価格が高い物品が含まれる場合、取扱方法を、物品の破損防止を優先するような取扱方法に決定する場合について説明する。決定部102が、ロボットアームの作業範囲内に基準値より価格が高い物品が含まれる場合、取扱方法を、物品の破損防止を優先するような取扱方法に決定することにより、基準値より価格が高い物品の破損防止の効果を高めることができる。すなわち、決定部102は、作業対象の物品の取扱方法を、ロボットアームの作業範囲内に基準値より価格が高い物品が含まれる場合に、物品の破損防止を優先するような取扱方法に決定する。これにより、例えば、ロボットアームに問題が生じた場合であっても、作業範囲内に含まれる、基準値より価格が高い物品に強い衝撃を与えてしまう可能性を減らすことができる。なお、変形例における、作業範囲内の物品のうち、作業対象の物品以外の物品に対する価格の基準値は、実施形態において説明した作業対象の物品に対する価格の基準値と異なってもよい。例えば、作業範囲内の、作業対象の物品以外の物品に対する価格の基準値は、実施形態において説明した作業対象の物品に対する価格の基準値よりも高く設定されてよい。なお、この後の説明において、作業範囲内に含まれる、基準値より価格が高い物品を、作業範囲内の高価な物品とも呼ぶ。
【0073】
図12は、変形例における制御装置200の機能構成を示すブロック図である。
図12において、制御装置200は、実施形態の制御装置100の構成に加えて、判定部204をさらに備える。
【0074】
判定部204は、ロボットアームの作業範囲内に、基準値より価格が高い物品が含まれるか否かを判定する。例えば、判定部204は、作業指示に基づいて、物品の移動元または移動先に基準値より高い物品を特定し、特定された物品の物品情報に含まれるそれぞれの価格と、あらかじめ設定された基準値とを比較することにより、ロボットアームの作業範囲内に、基準値より価格が高い物品が含まれるか否かを判定する。
【0075】
決定部102は、判定部204の判定結果に基づいて、ロボットアームの作業範囲内に基準値より価格が高い物品が含まれる場合、取扱方法を、作業範囲内の高価な物品の破損防止を優先するような取扱方法に決定する。
【0076】
決定部102は、例えば、作業範囲内の高価な物品の破損防止を優先する取扱方法として、作業範囲内の高価な物品の上に、作業対象の物品を置かないことを決定する。決定部102は、作業対象の物品の重さが所定値よりも大きい場合に、作業範囲内の高価な物品の上に、作業対象の物品を置かない取扱方法を、作業範囲内の高価な物品の破損防止を優先する取扱方法として決定してもよい。物品の重さの所定値は、作業範囲内の高価な物品の上に載せても、作業範囲内の高価な物品が破損しない値に設定されればよい。作業範囲内の高価な物品の上に作業対象の物品を置かない取扱方法として、作業範囲内の高価な物品を箱の外に一度取り出してから、作業対象の物品を置き、その上に、作業範囲内の高価な物品を再度置く方法が考えられる。または、作業範囲内の高価な物品の上に作業対象の物品を置かない取扱方法は、作業対象の物品を置く目的地の範囲内であって、基準値より価格が高い物品の上以外の場所に作業対象の物品を置く方法であってもよい。
【0077】
また、例えば、決定部102は、作業範囲内の高価な物品の破損防止を優先する取扱方法として、作業範囲内の高価な物品から所定の距離以上離れて作業することを決定してもよい。所定の距離は、作業範囲内の高価な物品を破損しない距離が設定されればよい。例えば、所定の距離は、ロボットアームの制御の精度に応じて決定されてもよい。例えば、決定部102は、作業範囲内の高価な物品から所定の距離の範囲に、ロボットアームが入らないようにすることを決定してもよい。また、例えば、決定部102は、作業範囲内の高価な物品から所定の距離の範囲に作業対象の物品を置かないことを決定してもよい。
【0078】
作業範囲内の高価な物品の破損防止を優先する取扱方法は、これらの例に限られず、例えば、実施形態において説明した、基準値より価格が高い物品の破損防止を優先する取扱方法が適用されてもよい。
【0079】
なお、変形例においては、判定部204が作業範囲内に基準値より価格が高い物品が含まれるか否かを判定する例について説明したが、この判定は、決定部102によって行われてもよい。
【0080】
以上、各実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。
【0081】
また、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は、内容的に支障しない範囲で変更されてよい。
【0082】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0083】
(付記1)
ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得する取得手段と、
前記物品情報に基づいて、前記ロボットアームによる前記物品の取扱方法を決定する決定手段と、
前記取扱方法に基づいて、前記物品を扱うロボットアームを制御する制御手段と、を備え、
前記決定手段は、前記物品の前記価格が高いほど前記物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定する
制御装置。
【0084】
(付記2)
前記決定手段は、前記ロボットアームの動作の速度に関する取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど、前記ロボットアームの動作の速度を小さくする取扱方法に決定する
付記1に記載の制御装置。
【0085】
(付記3)
前記決定手段は、前記ロボットアームの動作の速度に関する取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど、前記ロボットアームの動作の加速度および減速度の少なくとも一方を小さくする取扱方法に決定する
付記1または2に記載の制御装置。
【0086】
(付記4)
前記決定手段は、前記取扱方法のうち、前記ロボットアームの前記物品を持ち上げる動作に関する取扱方法を、物品の落下の可能性を低くする取扱方法に決定する
付記1乃至3のいずれかに記載の制御装置。
【0087】
(付記5)
前記決定手段は、前記ロボットアームの前記物品を持ち上げる動作に関する取扱方法を、前記物品の前記価格が基準値より高い場合、前記ロボットアームの吸着および把持によって前記物品を持ち上げる動作にする取扱方法に決定し、
前記物品の前記価格が基準値より低い場合、前記ロボットアームの吸着によって前記物品を持ち上げる動作にする取扱方法に決定する
付記4に記載の制御装置。
【0088】
(付記6)
前記決定手段は、前記ロボットアームの前記物品を持ち上げる動作に関する取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど、前記物品を持ち上げる動作を行う前記ロボットアームを増やす取扱方法に決定する
付記4または5に記載の制御装置。
【0089】
(付記7)
前記決定手段は、前記取扱方法のうち、前記ロボットアームの前記物品を置く動作に関する取扱方法を、物品を置く際に物品に加わる衝撃が小さくなる取扱方法に決定する
付記1乃至6のいずれかに記載の制御装置。
【0090】
(付記8)
前記決定手段は、前記ロボットアームの前記物品を離す動作に関する取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど、前記物品を離す動作を行う際の物品の載置面から物品までの距離を短くする取扱方法に決定する
付記7に記載の制御装置。
【0091】
(付記9)
前記決定手段は、前記取扱方法のうち、前記物品を取り扱う前記ロボットアームの追加の動作に関する取扱方法を決定する
付記1乃至8のいずれかに記載の制御装置。
【0092】
(付記10)
前記決定手段は、前記物品を取り扱う前記ロボットアームの追加の動作に関する取扱方法を、前記物品の前記価格が基準値より高い場合、前記物品の固定および包装のうち少なくとも一つを前記追加の動作として行う取扱方法に決定する
付記9に記載の制御装置。
【0093】
(付記11)
前記ロボットアームの作業情報または周辺画像に基づいて、前記ロボットアームの作業範囲内に含まれる物品を特定し、前記物品情報に基づいて、前記ロボットアームの作業範囲内に含まれる物品に基準値より価格が高い物品が含まれることを判定する判定手段
をさらに備え、
前記決定手段は、前記ロボットアームの作業範囲内に基準値より価格が高い物品が含まれると判定された場合、前記取扱方法を、作業範囲内に含まれる、基準値より価格が高い物品の破損防止を優先するような取扱方法に決定する
付記1乃至10のいずれかに記載の制御装置。
【0094】
(付記12)
前記決定手段は、前記取扱方法を、前記作業範囲内に含まれる基準値より価格が高い物品から所定距離以上離れて動作する取扱方法に決定する
付記11に記載の制御装置。
【0095】
(付記13)
コンピュータが、
ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得し、
前記物品情報に基づいて、前記ロボットアームによる前記物品の取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど前記物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定し、
前記取扱方法に基づいて、前記物品を扱うロボットアームを制御する、
制御方法。
【0096】
(付記14)
ロボットアームが扱う物品の価格を含む物品情報を取得し、
前記物品情報に基づいて、前記ロボットアームによる前記物品の取扱方法を、前記物品の前記価格が高いほど前記物品の破損防止をより優先するような取扱方法に決定し、
前記取扱方法に基づいて、前記物品を扱うロボットアームを制御する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0097】
100 制御装置
101 取得部
102 決定部
103 制御部
200 制御装置
204 判定部
300 サーバ
400 データベース
1000 情報処理装置
1001 CPU
1002 ROM
1003 RAM
1004 プログラム
1005 記憶装置
1006 記録媒体
1007 ドライブ装置
1008 通信I/F
1009 通信ネットワーク
1010 入出力I/F
1011 バス
R1、R2 ロボットアーム