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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063950
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/58 20060101AFI20240507BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20240507BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01R13/58
H01R12/91
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172157
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋平
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB11
5E021FC03
5E021HA05
5E223AB26
5E223BA25
5E223BA27
5E223BB01
5E223CA13
5E223GA11
5E223GA66
(57)【要約】
【課題】2つのハウジングを有し、当該2つのハウジング内の2つの端子間をケーブルで接続する電気コネクタにおいて、ケーブルと端子との接続部分にかかる負荷を抑制する。
【解決手段】電気コネクタ100は、相手コネクタ200と電気的に接続するための第1端子4、及び、第1端子4を保持する第1ハウジング1と、基板と電気的に接続するための第2端子5、及び、第2端子5を保持する第2ハウジング2と、一端が第1端子4に接続され、他端が第2端子5に接続されたケーブル3と、一端が第1ハウジング1に固定され、他端が第2ハウジング2に固定された連結部材6と、を有する。具体的には、この連結部材6は、変形可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタであって、
所定の電子部品と電気的に接続するための第1端子、及び、前記第1端子を保持する第1ハウジングと、
所定の電子部品と電気的に接続するための第2端子、及び、前記第2端子を保持する第2ハウジングと、
一端が前記第1端子に接続され、他端が前記第2端子に接続されたケーブルと、
一端が前記第1ハウジングに固定され、他端が前記第2ハウジングに固定された連結部材と、
を有し、
前記連結部材は、変形可能に構成されている、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記連結部材は、塑性変形可能に構成されている、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記電気コネクタは、一端が前記第1ハウジングにおける対向する2つの側壁のそれぞれに固定され、他端が前記第2ハウジングにおける対向する2つの側壁のそれぞれに固定された一対の前記連結部材を有する、
請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記電気コネクタは、前記第1ハウジング及び/又は前記第2ハウジングにおいて相手コネクタと嵌合するように構成され、
前記相手コネクタと嵌合する前記ハウジングに保持された前記第1端子及び/又は前記第2端子は、
前記電気コネクタと前記相手コネクタとの嵌合時に当該相手コネクタが有する相手端子と接触する接触部と、
前記相手コネクタとの嵌合方向に直交する方向に前記接触部が変位できるように弾性変形するフローティング部と、
を有する、
請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記接触部は、離間した一対の接触片を含み、この一対の接触片の間に前記相手端子が挿入されることで当該相手端子と接触し、
前記フローティング部は、略U字状部を含み、この略U字状部において、前記接触部が前記嵌合方向に直交する方向に変位できるように弾性変形する、
請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記第1ハウジング及び/又は前記第2ハウジングは、前記所定の電子部品としての基板に実装され、
前記連結部材は、前記第1ハウジング及び/又は前記第2ハウジングが実装される前記基板に、当該連結部材の端部を固定するための固定部を有する、
請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記ケーブルは、一端が前記第1端子に半田付けされる、及び/又は、他端が前記第2端子に半田付けされる、
請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子及びハウジング等を有する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各々が所定の電子部品に接続される2つのハウジングを有すると共に、これら2つのハウジングに保持される2つの端子間を接続するケーブルと、を有する電気コネクタを利用して、2つの電子部品を電気的に接続する技術が知られている。なお、本明細書においては、「電子部品」は、電子回路に使用される部品だけでなく、基板やコネクタやハウジングなど種々の電気的な構成要素を含むものとする。
【0003】
例えば、特許文献1には、第1の回路基板に適用される第1のハウジングと、第2の回路基板に適用される第2のハウジングとを用いて、第1の回路基板と第2の回路基板とを電気的に接続する電気コネクタ(中継電気コネクタ)が記載されている。具体的には、この特許文献1に記載された電気コネクタでは、第1のハウジングと第2のハウジングとが十分な長さを有するケーブルを介して接続されており、それにより、少なくとも第1のハウジングが第2のハウジングに対して相対移動可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-126512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されたような電気コネクタでは、第1のハウジングを第2のハウジングに対して相対移動させるときに、これらハウジング間にあるケーブルによって当該ケーブルと端子との接続部分が引っ張られたり押されたりすることで、この接続部分に負荷がかかる傾向にあった。例えば、ケーブル内の電線(導線)と端子とを半田付けした場合には、この半田付け部分に負荷がかかると、最悪、半田が剥がれてしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、2つのハウジングを有し、当該2つのハウジング内の2つの端子間をケーブルで接続する電気コネクタにおいて、ケーブルと端子との接続部分にかかる負荷を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態に係る電気コネクタは、所定の電子部品と電気的に接続するための第1端子、及び、第1端子を保持する第1ハウジングと、所定の電子部品と電気的に接続するための第2端子、及び、第2端子を保持する第2ハウジングと、一端が第1端子に接続され、他端が第2端子に接続されたケーブルと、一端が第1ハウジングに固定され、他端が第2ハウジングに固定された連結部材と、を有し、連結部材は、変形可能に構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2つのハウジングを有し、当該2つのハウジング内の2つの端子間をケーブルで接続する電気コネクタにおいて、ケーブルと端子との接続部分にかかる負荷を的確に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るコネクタ組立体の一つの姿勢を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るコネクタ組立体の別の姿勢を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るコネクタ組立体の分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る電気コネクタにおいて連結部材を曲げる前の状態を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る電気コネクタにおいて第1及び第2ハウジングを取り除いた状態の斜視図である。
図6】(A)は、本発明の実施形態に係る電気コネクタの連結部材の曲げる前の状態を示す斜視図であり、(B)は、本発明の実施形態に係る電気コネクタの連結部材の曲げた後の状態の一例を示す斜視図である。
図7】(A)は、本発明の実施形態に係る電気コネクタのケーブル及び第1端子の斜視図であり、(B)は、本発明の実施形態に係る電気コネクタのケーブル及び第1端子を、(A)とは反対側から見た斜視図である。
図8】(A)は、本発明の実施形態に係る電気コネクタと相手コネクタとが嵌合した状態にあるコネクタ組立体の上面図であり、(B)は、(A)中のVIIIB-VIIIB線に沿って見た、本発明の実施形態に係る電気コネクタの第1ハウジング及び相手コネクタのハウジングの断面図である。
図9】本発明の実施形態の変形例に係る電気コネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各実施形態(変形例も含む)は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、電気コネクタを構成することを排除するものではない。
【0011】
[電気コネクタの構成]
まず、図1乃至図3を参照して、本実施形態に係る電気コネクタと、当該電気コネクタと嵌合する相手コネクタとから成るコネクタ組立体の概要について説明する。図1は、本実施形態に係るコネクタ組立体の一つの姿勢を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るコネクタ組立体の別の姿勢を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係るコネクタ組立体の分解斜視図である。
【0012】
図1乃至図3に示すように、コネクタ組立体は、本実施形態に係る電気コネクタ100と、当該電気コネクタと嵌合する相手コネクタ200と、を有する。電気コネクタ100は、相手コネクタ200と嵌合する第1ハウジング1と、基板(不図示)に実装される第2ハウジング2と、これら第1ハウジング1と第2ハウジング2とを接続するための変形可能な複数のケーブル3と、を有する。この場合、第1ハウジング1は、いわゆる中継ハウジング(コネクタ)に相当する。ケーブル3は、一つの例では同軸ケーブルであるが、ケーブル3として同軸ケーブルを用いることに限定はされない。
【0013】
また、電気コネクタ100は、第1ハウジング1に保持され、複数のケーブル3のそれぞれの一端31に接続される複数の第1端子4と、第2ハウジング2に保持され、複数のケーブル3のそれぞれの他端32に接続される複数の第2端子5と、を有する(図3)。第1端子4は、相手コネクタ200と電気的に接続される一方で、第2端子5は、基板(不図示)に実装されて、この基板の配線等と電気的に接続される。
【0014】
なお、以下では、第1ハウジング1において、複数の第1端子4の配列方向を「長手方向」と呼び、第1ハウジング1において相手コネクタ200と嵌合する方向を「嵌合方向」と呼び、これら長手方向及び嵌合方向の両方に直交する方向を「短手方向」と呼ぶ。第2ハウジング2及び相手コネクタ200も同様とする(なお、第2ハウジング2において嵌合方向は基板に実装される方向(実装方向)である)。
【0015】
また、電気コネクタ100は、図1及び図2に示すように、一端が、第1ハウジング1の長手方向において対向する一対の側壁11のそれぞれに固定され、他端が、第2ハウジング2の長手方向において対向する一対の側壁21のそれぞれに固定された一対の連結部材6を更に有する。この連結部材6は、例えば金属製の材料により、細長い板状に形成されており、変形可能に構成されている。特に、連結部材6は、塑性変形可能に構成されている。塑性変形とは、部材に対して或る限度を超える力を付与した場合に、力を除去しても部材が元の形状に戻らず、現在の形状を保持するような変形を意味する。なお、部材に付与した力が或る限度よりも小さい場合には、力を除去すると部材は元の形状に戻る(このときの変形は弾性変形である)。
【0016】
他方で、相手コネクタ200は、図1乃至図3に示すように、基板(不図示)に実装されると共に、電気コネクタ100の第1ハウジング1を受け入れ可能に形成されたハウジング7を有する。また、相手コネクタ200は、ハウジング7に保持された複数の端子8(相手端子に相当する)を有し、これら複数の端子8は、ハウジング7内に電気コネクタ100の第1ハウジング1が挿入されたときに、当該第1ハウジング1内の複数の第1端子4とそれぞれ電気的に接続される。また、これら端子8は、例えば表面実装(SMT実装)により、基板に実装されて、この基板の配線等と電気的に接続される。更に、相手コネクタ200は、ハウジング7において長手方向に対向する一対の側壁71に設けられた一対の保持部72により固定され、ハウジング7を基板に固定するための一対の補強金具9を有する。
【0017】
ここで、電気コネクタ100は、上述したように第1ハウジング1と第2ハウジング2とを接続するケーブル3及び連結部材6が変形可能であることから、図1図2に示すような種々の姿勢(つまり第1ハウジング1と第2ハウジング2との種々の位置関係や角度)を取れるようになっている。特に、連結部材6が塑性変形可能に構成されているので、つまり連結部材6が変形後の形状を維持するので、この連結部材6が電気コネクタ100の姿勢を保持できるようになっている。換言すると、連結部材6は、基板に実装される第2ハウジング2に対して第1ハウジング1を支持可能になっている。図1は、第1ハウジング1の嵌合方向と第2ハウジング2の嵌合方向とが直交するような電気コネクタ100の姿勢例を示しており、図2は、第1ハウジング1の嵌合方向と第2ハウジング2の嵌合方向とが水平になるような電気コネクタ100の姿勢例を示している。
【0018】
基本的には、電気コネクタ100は、相手コネクタ200との嵌合前は、連結部材6が真っすぐであり、第1ハウジング1の嵌合方向と第2ハウジング2の嵌合方向とが水平になる姿勢となっている(後の図4参照)。そして、電気コネクタ100は、相手コネクタ200との嵌合時において、作業者により連結部材6が適宜曲げられることで、相手コネクタ200が実装される基板と第2ハウジング2が実装される基板との距離や位置関係や角度などに応じた姿勢を取るようになっている。
【0019】
次に、図1乃至図3に加えて、図4乃至図8を参照して、本実施形態に係る電気コネクタ100について具体的に説明する。図4は、本実施形態に係る電気コネクタ100の斜視図、詳しくは連結部材6を曲げる前の電気コネクタ100の状態を示す斜視図である。図5は、本実施形態に係る電気コネクタ100において第1及び第2ハウジング1、2を取り除いた状態の斜視図である。図6(A)は、本実施形態に係る電気コネクタ100の連結部材6の曲げる前の状態を示す斜視図であり、図6(B)は、本実施形態に係る電気コネクタ100の連結部材6の曲げた後の状態の一例を示す斜視図である。図7(A)は、本実施形態に係る電気コネクタ100のケーブル3及び第1端子4の斜視図であり、図7(B)は、本実施形態に係る電気コネクタ100のケーブル3及び第1端子4を、図7(A)とは反対側から見た斜視図である(図7(A)を上側から見た斜視図とすると、図7(B)は下側から見た斜視図である)。図8(A)は、本実施形態に係る電気コネクタ100と相手コネクタ200とが嵌合した状態にあるコネクタ組立体の上面図であり、図8(B)は、図8(A)中のVIIIB-VIIIB線に沿って見た、本実施形態に係る電気コネクタ100の第1ハウジング1及び相手コネクタ200のハウジング7の断面図である。
【0020】
まず、図1乃至図6を参照して、本実施形態に係る電気コネクタ100の連結部材6について具体的に説明する。連結部材6は、一方の端部にある被保持部62が、第1ハウジング1の側壁11に設けられた保持部12により固定されると共に、他方の端部(厳密には端部付近)にある被保持部63が、第2ハウジング2の側壁21に設けられた保持部22により固定される。詳しくは、連結部材6の被保持部62、63は、縁端部が鋸歯状に形成されており、第1及び第2ハウジング1、2の側壁11、21から突出し且つ嵌合方向に延びるように形成された、保持部12、22における一対の断面L字状部分の間に圧入される。加えて、連結部材6は、被保持部63に近接する部分であって、被保持部62側にある部分が、第2ハウジング2の側壁21に形成された凹部23(図3参照)に嵌め込まれて保持されるようになっている。
なお、上記のように連結部材6の被保持部62、63を第1及び第2ハウジング1、2の保持部12、22に圧入することに限定はされず、他の例では、連結部材6の被保持部62、63を第1及び第2ハウジング1、2の保持部12、22と一体成形してもよい。
【0021】
また、連結部材6は、上記した被保持部62と被保持部63との間に、塑性変形可能部61を有する(図6(A)及び(B)参照)。この塑性変形可能部61の両端は、それぞれ、屈曲部を介して被保持部62、63と連結されている。1つの例では、連結部材6は、塑性変形可能部61の部分のみ、塑性変形可能な材料で構成され、この部分と他の部分(被保持部62、63などを含む部分)とが接合されることで、連結部材6の全体が形成されている。また、連結部材6は、被保持部63よりも更に遠位の先端部分に、この部分を基板(不図示)に固定するための固定部64を有する。この連結部材6の固定部64は、一対の係止片を有し、これら係止片が基板のスルーホールに挿入されることで、連結部材6の先端部分が基板に係止される。これにより、連結部材6の一端が固定された第2ハウジング2が、基板に対して確実に固定されることとなる。
【0022】
更に、図4に示す、連結部材6を曲げる前の電気コネクタ100の状態から分かるように、連結部材6が真っすぐ延びているのに対して、ケーブル3が曲がっていることから、連結部材6はケーブル3よりも短く構成されている。詳しくは、連結部材6の塑性変形可能部61が、ケーブル3において第1及び第2端子4、5に接続される部分(より厳密には第1及び第2ハウジング1、2内に収容される部分)を除いた部分よりも短くなっている。これにより、第1ハウジング1と第2ハウジング2とにおける相対的に移動可能な範囲を、ケーブル3ではなく、連結部材6によって的確に制限することができる。
【0023】
続いて、図5図7(A)及び(B)を参照して、本実施形態に係る電気コネクタ100の第1及び第2端子4、5について具体的に説明する。上述したように、第1及び第2端子4、5は、それぞれ、ケーブル3の一端及び他端に接続される。より具体的には、図5及び図7(A)及び(B)に示すように、第1及び第2端子4、5は、それぞれ、幅広に形成された半田実装部41、51を有しており、この半田実装部41、51において、ケーブル3から露出された電線(導線、内部導体)31、32とそれぞれ半田付けされる。また、第2端子5は、図5に示すように、ケーブル3に接続される側と反対側の端部に、半田実装部51よりも幅狭で細長い基板実装部52を有しており、この基板実装部52が、基板(不図示)のスルーホールに挿入されて半田付けされる。
【0024】
更に、図7(A)及び(B)に示すように、第1端子4は、電気コネクタ100と相手コネクタ200との嵌合時に当該相手コネクタ200の端子8と接触する接触部42と、この接触部42が長手方向Yに変位できるように弾性変形するフローティング部43と、を有する。具体的には、第1端子4の接触部42は、離間した一対の接触片42aを含み、この一対の接触片42aの間に相手コネクタ200の平板状の端子8(図3)が挿入されることで、当該端子8と接触する。これにより、電気コネクタ100内の第1端子4と、相手コネクタ200内の端子8とが電気的に接続される。
【0025】
また、第1端子4のフローティング部43は、接触部42と半田実装部41との間に設けられ、より詳しくは接触部42における一対の接触片42aの一方と半田実装部41とを連結するように設けられ、嵌合方向Zに沿った略U字状部43aを含む。フローティング部43は、このような略U字状部43aにより弾性変形することで、接触部42を長手方向Yに変位できるようにする、つまり接触部42の長手方向Yにおける位置を調整できるようにする。これにより、電気コネクタ100と相手コネクタ200とを嵌合させるときに、相手コネクタ200の端子8に対する電気コネクタ100内(つまり第1ハウジング1内)の第1端子4の接触部42における長手方向Yの位置ずれを吸収することが可能となる。
【0026】
なお、上記した実施形態では、略U字状部43aを、接触部42における一対の接触片42aの一方のみに設けていたが、変形例では、一対の接触片42aの両方に略U字状部43aを設けてもよい。また、嵌合方向Zに沿って略U字状部43aを設けることに限定はされず、変形例では、例えば長手方向Yに沿って略U字状部43aを設けてもよい。
【0027】
続いて、図8(A)及び(B)を参照して、電気コネクタ100と相手コネクタ200との嵌合時における、電気コネクタ100の第1ハウジング1と相手コネクタ200のハウジング7との係合について説明する。図8(A)及び(B)に示すように(他にも図1乃至図4参照)、第1ハウジング1において長手方向Yに延びる側壁13における外側面の中央部には、嵌合方向Zに延びる突出部13aが形成され、また、ハウジング7において長手方向Yに延びる側壁73における内側面の中央部には、嵌合方向Zに延びる凹陥部73aが形成されている。図8(B)に示すように、電気コネクタ100と相手コネクタ200との嵌合時には、第1ハウジング1の突出部13aがハウジング7の凹陥部73aに嵌め込まれる(係合する)ことで、第1ハウジング1がハウジング7により係止(ロック)されるようになっている。
【0028】
[作用及び効果]
次に、上述した本実施形態による電気コネクタ100の作用及び効果について説明する。
【0029】
本実施形態に係る電気コネクタ100は、相手コネクタ200と電気的に接続するための第1端子4、及び、第1端子4を保持する第1ハウジング1と、基板と電気的に接続するための第2端子5、及び、第2端子5を保持する第2ハウジング2と、一端が第1端子4に接続され、他端が第2端子5に接続されたケーブル3と、一端が第1ハウジング1に固定され、他端が第2ハウジング2に固定された連結部材6と、を有しており、連結部材6は、変形可能に構成されている。
【0030】
このような本実施形態では、第1ハウジング1と第2ハウジング2とを接続するケーブル3及び連結部材6が変形可能であることから、作業者が電気コネクタ100等に対する作業(例えば電気コネクタ100の第1ハウジング1を相手コネクタ200に嵌合させる作業など)を行うときに、第1ハウジング1と第2ハウジング2とを相対的に移動できるようになっている。特に、本実施形態によれば、第1ハウジング1と第2ハウジング2とを連結部材6で連結しているので、第1ハウジング1と第2ハウジング2とにおける相対的に移動可能な範囲を、ケーブル3ではなく、連結部材6によって制限することが可能となる。典型的には、第1ハウジング1と第2ハウジング2とは連結部材6の変形可能な範囲で相対的に移動することとなる。これにより、作業者が第1ハウジング1と第2ハウジング2とを相対的に移動させるためにケーブル3を取り回したときに、ケーブル3によって当該ケーブル3と第1及び第2端子4、5との接続部分が引っ張られたりすることで、この接続部分に負荷がかかることを的確に抑制できる。例えば、連結部材6が真っすぐ延びたときに第1ハウジング1と第2ハウジング2とが最大に離間した状態となるが、このときにもケーブル3が弛緩状態となっているので、ケーブル3が第1及び第2端子4、5との接続部分に与える負荷を効果的に抑制できるのである。
【0031】
また、本実施形態によれば、連結部材6は、塑性変形可能に構成されている、つまり連結部材6が変形後の形状を維持できるようになっている。これにより、作業者が第1ハウジング1と第2ハウジング2とを相対的に移動させた状態を、連結部材6により保持することができる。この場合、基板に実装された第2ハウジング2に対して、第1ハウジング1を連結部材6により的確に支持することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、電気コネクタ100は、一端が第1ハウジング1における対向する2つの側壁11のそれぞれに固定され、他端が第2ハウジング2における対向する2つの側壁21のそれぞれに固定された一対(2つ)の連結部材6を有する。このように第1及び第2ハウジング1、2のそれぞれの両側の側壁11、21に一対の連結部材6を固定することで、第1及び第2ハウジング1、2を連結部材6によって効果的に保持及び支持することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、電気コネクタ100は、第1ハウジング1において相手コネクタ200と嵌合するように構成され、この第1ハウジング1に保持された第1端子4は、電気コネクタ100と相手コネクタ200との嵌合時に当該相手コネクタ200の端子8と接触する接触部42と、相手コネクタ200との嵌合方向に直交する方向(長手方向)に接触部42が変位できるように弾性変形するフローティング部43と、を有する。このような本実施形態によれば、第1端子4のフローティング部43によって、第1端子4の接触部42の長手方向における位置を調整することができる。したがって、電気コネクタ100の第1ハウジング1と相手コネクタ200とを嵌合させるときに、相手コネクタ200の端子8に対する第1ハウジング1内の第1端子4の接触部42における長手方向の位置ずれを吸収することができる。よって、第1ハウジング1と相手コネクタ200とをスムーズに嵌合させることができる。
【0034】
また、本実施形態において好適には、第1端子4において、接触部42は、離間した一対の接触片42aを含み、この一対の接触片42aの間に相手コネクタ200の端子8が挿入されることで当該端子8と接触し、フローティング部43は、略U字状部43aを含み、この略U字状部43aにおいて、接触部42が嵌合方向に直交する方向に変位できるように弾性変形する。これにより、第1ハウジング1と相手コネクタ200との嵌合時に、相手コネクタ200の端子8に対する第1ハウジング1内の第1端子4の位置ずれを効果的に吸収することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、第2ハウジング2は基板に実装され、連結部材6は、この基板に当該連結部材6の端部を固定するための固定部64を有する。このような連結部材6の固定部64を基板に固定することで、当該連結部材6の一端が固定された第2ハウジング2を、基板に対して確実に固定することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、ケーブル3は、その両端が第1及び第2端子4、5に半田付けされる。このようにケーブル3と第1及び第2端子4、5とを半田付けした場合には、ケーブル3と第1及び第2端子4、5との接続部分の接合強度が比較的弱いため、この接続部分(半田付け部分)に負荷がかかると、半田が剥がれてしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、上述したように接続部分に負荷がかかることを連結部材6によって抑制できるので、この接続部分(半田付け部分)を的確に保護することができる。
【0037】
[変形例]
次に、上述した本実施形態の変形例について説明する。
【0038】
上述した本実施形態では、連結部材6が細長い板状に形成されていたが、変形例では、ワイヤ状の連結部材を用いてもよい。また、上記した本実施形態では、連結部材6が塑性変形可能に構成されていたが、変形例では、塑性変形せずに、弾性変形可能な連結部材を用いてもよい。このような変形例に係る連結部材によっても、第1及び第2ハウジング1、2における相対的に移動可能な範囲を制限して、ケーブル3と第1及び第2端子4、5との接続部分にかかる負荷を抑制することができる。
【0039】
また、上記した本実施形態では、連結部材6がケーブル3よりも短く構成されていたが、変形例では、連結部材をケーブル3よりも長く構成してもよい。例えば、連結部材を迂回させて第1ハウジング1と第2ハウジング2とに連結する場合には、連結部材をケーブル3よりも長く構成してもよい。この場合には、連結部材の中央付近の部分を他の部分よりも細く(幅狭)に構成し、この中央付近の部分を変形しやすくすればよい。
【0040】
また、上述した本実施形態では、ケーブル3の両端が第1及び第2端子4、5に半田付けされていたが、変形例では、ケーブル3の一端のみを半田付けし、他端は半田付けせずに圧着(ワイヤ圧着など)したりしてもよい。
【0041】
また、上述した本実施形態に係る電気コネクタ100では、第1ハウジング1が、中継ハウジングとして相手コネクタ200と嵌合する一方で、第2ハウジング2が基板に実装されていた。しかしながら、一つの変形例では、2つのハウジングの両方を基板に実装するように構成してもよい。別の変形例では、2つのハウジングの両方を、他のコネクタと嵌合する中継ハウジングとして構成してもよい。この後者の変形例について、図9を参照して説明する。図9は、本発明の実施形態の変形例に係る電気コネクタ100xの斜視図である。なお、図9では、上述した実施形態に係る電気コネクタ100と同一の構成要素について同一の符号を付しており、ここでは、それらの説明を省略する。
【0042】
図9に示すように、変形例に係る電気コネクタ100xは、上述した実施形態に係る電気コネクタ100と比較すると(図4等)、基板に実装される第2ハウジング2の代わりに、中継ハウジングとしての第2ハウジング2xを有する。この変形例では、第2ハウジング2xが基板に実装されないため、連結部材6xは、上述した連結部材6のような固定部64を端部に具備しない。その代わりに、連結部材6xは、端部に被保持部65のみを有し、この被保持部65が第2ハウジング2xの側壁24に設けられた保持部25により固定されるようになっている。また、変形例では、第2ハウジング2xは、長手方向に延びる側壁26における外側面の中央部に突出部26aが形成されており、第2ハウジング2xと相手ハウジング(不図示)との嵌合時に、この突出部26aが相手ハウジングの凹陥部と係合するようになっている。
【0043】
このように、上述した実施形態及び変形例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態及び変形例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 第1ハウジング
2 第2ハウジング
3 ケーブル
4 第1端子
5 第2端子
6 連結部材
7 ハウジング
8 端子
11 側壁
12 保持部
13a 突出部
21 側壁
22 保持部
42 接触部
42a 接触片
43 フローティング部
43a U字状部
61 塑性変形可能部
62、63 被保持部
64 固定部
71 側壁
73a 凹陥部
100 電気コネクタ
200 相手コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9