(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024063963
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】模型玩具及び調理玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 33/30 20060101AFI20240507BHJP
A63H 33/42 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A63H33/30 B
A63H33/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172182
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000128234
【氏名又は名称】株式会社エポック社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神山 圭
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA18
2C150DA33
2C150DC04
2C150EB41
2C150EC03
(57)【要約】
【課題】手軽に調理前後の状態変化を模した遊びを楽しむことが可能な模型玩具及び調理玩具を提供する。
【解決手段】キッチン玩具1は、本体部10と、本体部10に設けられ、上方に開口する開口部を有する容器部22と、容器部22の内側に設けられ、第1板面と第1板面とは反対側の第2板面とを有する回転板40と、回転板40の第1板面と第2板面が反転されるように回転板40を容器部22に回転可能に支持する第1回転軸32及び第2回転軸42と、本体部10に設けられ、第1回転軸32及び第2回転軸42を回転操作するスイッチ部30と、を備え、回転板40は、スイッチ部30が操作されることにより、第1板面を上方に向けた形で容器部22の内部と開口部との間を区画する調理前状態と、第2板面を上方に向けた形で容器部22の内部と開口部との間を区画する調理後状態と、の間で切り替わる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に設けられ、上方に開口する開口部を有する容器部と、
前記容器部の内側に設けられ、第1板面と前記第1板面とは反対側の第2板面とを有する回転板と、
前記第1板面と前記第2板面が反転されるように該回転板を前記容器部に回転可能に支持する回転軸と、
前記本体部に設けられ、前記回転軸を回転操作する操作部と、を備え、
前記回転板は、前記操作部が操作されることにより、前記第1板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第1状態と、前記第2板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第2状態と、の間で切り替わる、
ことを特徴とする模型玩具。
【請求項2】
前記回転板は、略円板状とされ、
前記容器部の内面は、回転される前記回転板の端縁の軌跡に沿った略半球状とされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項3】
前記回転軸は、その外周面から突出するとともに前記第1状態において前記本体部に設けられた軸止め部に係止され、前記第1状態から回転することにより前記軸止め部から外れる係止突起を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項4】
前記回転軸は、その外周面から突出するとともに前記第1状態及び前記第2状態の少なくとも一方において前記本体部に設けられた軸規制部に干渉することにより軸周りの一方向への回転が規制される規制突起を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項5】
本体部と、
前記本体部に設けられ、上方に開口する開口部を有する容器部と、
前記容器部の内側に設けられ、第1板面と前記第1板面とは反対側の第2板面とを有する回転板と、
前記第1板面と前記第2板面が反転されるように該回転板を前記容器部に回転可能に支持する回転軸と、
前記本体部に設けられ、前記回転軸を回転操作する操作部と、
調理対象物の形状を模した形象体と、を備え、
前記回転板は、前記操作部が操作されることにより、前記第1板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第1状態と、前記第2板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第2状態と、の間で切り替わり、
前記形象体は、前記回転板により区画される前記容器部の内部の空間に収容可能な大きさとされる、
ことを特徴とする調理玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型玩具及び調理玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キッチン用品を模した模型玩具が提供されている。例えば特許文献1には、玩具セットの一つとして、ベース材と膨張剤とを混合した中間材を投入可能な模擬オーブンが開示されている。この模擬オーブンに模擬パンの生地として作製された中間材が投入されると、20分後に約1.2倍の厚さに膨らむようになっている。そして、模擬パンには、乾燥後に油性剤を塗布することにより、焼き入りを模した色が付されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の模型玩具では、模擬パンの投入から調理後の模擬パンを得るまでに時間が掛かり、調理前後の状態変化を模した遊びを手軽に楽しむことができなかった。
【0005】
本発明は、手軽に調理前後の状態変化を模した遊びを楽しむことが可能な模型玩具及び調理玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る模型玩具は、本体部と、前記本体部に設けられ、上方に開口する開口部を有する容器部と、前記容器部の内側に設けられ、第1板面と第1板面とは反対側の第2板面を有する回転板と、前記第1板面と前記第2板面が反転されるように該回転板を前記容器部に回転可能に支持する回転軸と、前記本体部に設けられ、前記回転軸を回転操作する操作部と、を備え、前記回転板は、前記操作部が操作されることにより、前記第1板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第1状態と、前記第2板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第2状態と、の間で切り替わる。
【0007】
本発明の一つの態様に係る調理玩具は、本体部と、前記本体部に設けられ、上方に開口する開口部を有する容器部と、前記容器部の内側に設けられ、第1板面と第1板面とは反対側の第2板面を有する回転板と、前記第1板面と前記第2板面が反転されるように該回転板を前記容器部に回転可能に支持する回転軸と、前記本体部に設けられ、前記回転軸を回転操作する操作部と、調理対象物の形状を模した形象体と、を備え、前記回転板は、前記操作部が操作されることにより、前記第1板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第1状態と、前記第2板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第2状態と、の間で切り替わり、前記形象体は、前記回転板により区画される前記容器部の内部の空間に収容可能な大きさとされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、手軽に調理前後の状態変化を模した遊びを楽しむことが可能な模型玩具及び調理玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るキッチン玩具の全体斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るキッチン玩具において鍋の蓋を開けた状態を上方側から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るキッチン玩具を上方側から見た分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るキッチン玩具を前後方向に沿って切断した要部断面図であって、回転板と回転駆動機構との噛み合い態様を示すための断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るキッチン玩具の動作を示す斜視図であり、(a)は、鍋模型の蓋部及び外側ケースを外した調理前状態の斜視図を示し、(b)は、鍋模型の蓋部及び外側ケースを外した調理後状態の斜視図を示す。
【
図6】本発明の実施形態に係るキッチン玩具の回転駆動機構を示す上面図である。
【
図7】
図6におけるVII-VII断面の断面図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII断面の断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るキッチン玩具の動作を示す上面図であり、(a)は、蓋部が開けられた調理前状態の上面図を示し、(b)は、調理前状態から回転板が反時計回りに90度回転したときの蓋部が閉じられた状態の上面図を示し、(c)は、蓋部が開けられた調理後状態の上面図を示す。
【
図10】本発明の実施形態に係るキッチン玩具の動作を示す断面図であり、(a)は、
図9(a)におけるX-X断面の断面図であり、(b)は、
図9(b)におけるX-X断面の断面図であり、(c)は、
図9(c)におけるX-X断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態ではキッチンを模したキッチン玩具(模型玩具、調理玩具)1について例示する。キッチン玩具1は、人形等を用いながら飯事遊びができる玩具である。キッチン玩具1は、全体が横長の略直方体状に形成されており、上面に2つのコンロ(第1コンロ11、第2コンロ12)が設けられた本体部10を備えている。第1コンロ11の下側には扉部14が設けられている。第2コンロ12の下側には、本体部10の内側に引き出し自在に収容されるトレイ15を有するオーブン16が設けられている。以下では、キッチン玩具1の扉部14側を前側、その反対側を後側とし、キッチン玩具1を前側から見たときの扉部14側を右側、オーブン16側を左側として説明する。
【0011】
第1コンロ11上には、シチュー鍋の形状を模した鍋模型20が設けられている。
図2に示すように、鍋模型20は、上方に開口する開口部22Oを有する略円筒状の容器部22、容器部22の内側に設けられた略円板状の回転板40、及び上方に開閉可能な蓋部24を有している。また、扉部14の上側(後述する枠状部10c)には、コンロスイッチの形状を模しており、回転板40を回転操作可能なスイッチ部(操作部)30が設けられている。キッチン玩具1で遊ぶ使用者は、スイッチ部30を回転操作することにより、回転板40を回転させて回転板40の両板面(第1板面と第1板面とは反対側の第2板面)を反転させることができる。
【0012】
キッチン玩具1では、例えば表面(第1板面)に調理前の状態、裏面(第2板面)に調理後の状態の装飾が施された回転板40を容器部22の内側に設け、回転板40の表面側が上方に向けられた状態で蓋部24を開き、その後、蓋部24を閉じてスイッチ部30を回転操作して回転板40の裏面側(料理後の状態の装飾が施された側)が上方に向けられた状態として再び蓋部24を開く。これにより、キッチン玩具1で遊ぶ使用者は、鍋模型20で調理がなされたかのような感覚を抱く。キッチン玩具1は、このようにして調理を模して楽しむことができる玩具である。以下、キッチン玩具1の各部材の構成について詳しく説明する。
【0013】
図3に示すように、本体部10は、下面及び左右の側面を構成する外壁部10a、後面を構成する後壁部10b、外壁部10a及び後壁部10bの上方に枠状に設けられた枠状部10c、及び枠状部10cの上方に設けられて上面を構成する天板部10dを有し、これらが一体に組み付けられている。本体部10の内側の左側部分には、壁面が前後方向に沿うように後壁部10bから延びる立壁部10b1が設けられている。天板部10dの後側の端縁には、衝立状に上方に立ち上がる衝立部10fが設けられている。また、本体部10は、上述した容器部22、回転板40、蓋部24、及び第1回転軸(回転軸)32を有している。第1回転軸32は、枠状部10cの内側に設けられており、前後方向を軸方向としてその軸周りに回転可能に配置される。
【0014】
第1回転軸32の前方側の端部には、上述したスイッチ部30が一体に設けられている。第1回転軸32の後方側の端部には、第1回転ギヤ34が一体に設けられている。スイッチ部30により第1回転軸32が回転操作されることにより、第1回転ギヤ34が第1回転軸32と共に回転するようになっている。第1回転軸32の外周面のうち後方側寄りの位置には、略板状に突出する第1規制突起(規制突起)32aが設けられている。第1回転軸32の外周面のうち前後方向略中央部には、突起状にわずかに突出する第1係止突起(係止突起)32bが設けられている(
図7も参照)。また、第1回転軸32の外周面のうちスイッチ部30に近接した位置には、フランジ32cが設けられている。
【0015】
枠状部10cの右側部分は、上方に開放された略箱状の箱状部10c1とされており、ここに第1回転軸32を回転可能に軸支するための軸支機構18が設けられている。箱状部10c1の後側には、第1回転ギヤ34の下側部分が収容される下側ギヤ収容部18aが設けられている。箱状部10c1の後端部の左右方向略中央部には、上方に開放された形で略円弧状に切り欠かれた第1後側切欠部18bが設けられている。箱状部10c1の前端部の左右方向略中央部には、上方に開放された形で略円弧状に切り欠かれた第1前側切欠部10eが設けられている。軸支機構18は、第1軸止め部(軸止め部)18c及び第1軸規制部(軸規制部)18dを有している。軸支機構18の構成については後で詳しく説明する。
【0016】
図4及び
図6に示すように、第1前側切欠部10eには、第1回転軸32の前端側、具体的には第1回転軸32のうちスイッチ部30とフランジ32cとの間の部分が回転可能に軸受けされる。第1後側切欠部18bには、第1回転軸32の後端側、具体的には第1回転軸32のうち第1回転ギヤ34に近接する部分が回転可能に軸受けされる。第1回転軸32が第1前側切欠部10e及び第1後側切欠部18bに軸受けされた状態では、スイッチ部30を時計回り又は反時計回りに回転させると、第1回転軸32を介してスイッチ部30と連なる第1回転ギヤ34が、時計回り又は反時計回りに回転する。
【0017】
図3に示すように、上述した鍋模型20の容器部22は、略円筒状の内側ケース22a及び外側ケース22bを有しており、このうち内側ケース22aが天板部10dと一体に設けられている。上述した回転板40は、内側ケース22aの内側に設けられる。天板部10dのうち衝立部10fと内側ケース22aの間には上方に開口するギヤ開口部10d1が設けられている。枠状部10c上に天板部10dが配置された状態では、第1回転軸32は天板部10dによって覆われ、スイッチ部30が本体部10の前方側に露出し、第1回転ギヤ34の上側部分がギヤ開口部10d1から上方に露出する。
【0018】
内側ケース22aの内側に設けられる回転板40には、第2回転軸(回転軸)42が一体に設けられている。第2回転軸42は、軸線上に回転板40の中心40Cが位置するように回転板40の板面に沿って回転板40の外周面の前後両側からそれぞれ突出する形で設けられており、前後方向を軸方向としてその軸周りに回転可能に配置される。第2回転軸42の後方側の端部には、第2回転ギヤ44が一体に設けられている。第2回転ギヤ44は、第1回転ギヤ34よりも小径とされている。回転板40、第2回転軸42、及び第2回転ギヤ44は共に回転するようになっている。
【0019】
第2回転ギヤ44の前側には、第2回転ギヤ44に隣接する形で第2回転軸42の外周面から略ブロック状に突出する第2規制突起(規制突起)42aが設けられている。第2規制突起42aの突出側の外面には、さらにわずかに突出する第2係止突起(係止突起)42bが設けられている(
図4及び
図5参照)。
【0020】
内側ケース22aは、有底略円筒状の内側鍋部22a1を有している。内側鍋部22a1の前側上方部分には、上方に開放された形で略円弧状に切り欠かれた第2前側切欠部22a2が設けられている。また、内側鍋部22a1の後側上方部分には、上方に開放された形で略円弧状に切り欠かれた第2後側切欠部22a3が設けられている。
【0021】
図4及び
図5に示すように、第2前側切欠部22a2には、第2回転軸42の前端側、具体的には第2回転軸42のうち回転板40の前側から突出する部分が軸受けされる。第2後側切欠部22a3には、第2回転軸42の後端側、具体的には第2回転軸42のうち回転板40の後側から突出する部分が軸受けされる。第2回転軸42が第2前側切欠部22a2及び第2後側切欠部22a3に軸受けされた状態では、第2回転ギヤ44が反時計回り又は時計回りに回転すると、第2回転軸42を介して第2回転ギヤ44と連なる回転板40が、反時計回り又は時計回りに回転する。
【0022】
また、
図3及び
図5に示すように、内側鍋部22a1の後側には、第2軸規制部(軸規制部)22a4及び第2軸止め部(軸止め部)22a5が設けられている。第2軸規制部22a4は、略壁状に立ち上がっており、その上端部が第2後側切欠部22a3の切り欠き底部とほぼ同じ高さとなっている。第2軸止め部22a5は、第2軸規制部22a4の右側で角柱状に上方に立ち上がっており、その上端部が鉤爪状とされて左側に略直角に折れ曲がっている。第2軸止め部22a5の鉤爪状とされた部分は、第2軸規制部22a4の上端部よりもやや高い位置(上方の位置)に設けられている。なお、第2軸規制部22a4及び第2軸止め部22a5は、第2回転軸42の第2規制突起42a及び第2係止突起42bと前後方向において重なる位置に設けられている。
【0023】
ここで、
図4及び
図10等に示すように、内側ケース22aの内面22S、即ち容器部22の内面22Sは、回転する回転板40の端縁の軌跡に沿った略半球状となっている。また、内側ケース22aでは、回転中の回転板40の端縁と近接するような大きさで内面22Sが設けられている。
【0024】
外側ケース22bは、内側鍋部22a1よりも一回り大きい略円筒状の外側鍋部22b1を有している。外側鍋部22b1の内周面の上方寄りの位置には、内周面の全周に亘って内側に迫出す迫出し部22b2が設けられている。
図2及び
図4に示すように、迫出し部22b2の内周面の大きさは、回転板40の外周面の大きさよりもわずかに大きくされている。また、内側ケース22a、外側ケース22b、及び第2回転軸42が組み付けられた状態では、回転板40は、迫出し部22b2のやや下側に配置される。このため、容器部22の開口部22Oと容器部22の内部22Iとの間は、回転板40により区画される。
【0025】
外側鍋部22b1の外周面の上方左右両側には取手22b3が設けられている。外側鍋部22b1の後側には、下方に開口する略角筒状の上側ギヤ収容部22b4が設けられている。上側ギヤ収容部22b4には、第1回転ギヤ34の上側部分及び第2回転ギヤ44が収容される。上側ギヤ収容部22b4の上方左右両側には、左右方向内側に開口する一対の係合孔22b5が設けられている。
【0026】
蓋部24は、外側鍋部22b1(容器部22)の上方の開口を覆うような略円板状をなしている。蓋部24の上面の略中央部には、上方に立ち上がる摘み部24aが設けられている。蓋部24の後側には、左右方向外側に突出するとともに内側鍋部22a1の各係合孔22b5に係合される一対の係合突起24bが設けられている。各係合突起24bが各係合孔22b5に係合されることにより、蓋部24は、一対の係合突起24bを回動軸として左右方向を軸方向とする軸周りに回動可能とされ、容器部22の上方の開口(鍋模型20の開口部22O)を開閉することができる(
図1及び
図2参照)。
【0027】
次に、
図4及び
図5を参照して、第1回転ギヤ34と第2回転ギヤ44の噛み合い態様及び回転板40の回転態様について説明する。第1回転軸32及び第2回転軸42がそれぞれ軸受けされてキッチン玩具1を構成する各部材が組付けられることにより、第1回転ギヤ34を下側として第1回転ギヤ34と第2回転ギヤ44が噛み合わされる。このため、例えばスイッチ部30を反時計回りに回転させると、第1回転ギヤ34が反時計回りに回転し、第1回転ギヤ34と噛み合う第2回転ギヤ44が時計周りに回転するとともに回転板40が時計回りに回転する。
【0028】
ここで、第2回転ギヤ44が第1回転ギヤ34よりも小径とされていることから、第1回転ギヤ34が回転すると、第2回転ギヤ44は第1回転ギヤ34よりも大きな回転角度で回転する。本実施形態のキッチン玩具1では、第1回転ギヤ34が90度回転すると、換言すればスイッチ部30を90度回転させると、第2回転ギヤ44及び回転板40が180度回転するように第1回転ギヤ34及び第2回転ギヤ44の径や歯数が調整されている。このため、回転板40の第1板面が上方に向けられた状態でスイッチ部30を90度回転させると、回転板40が反転し、回転板40の第1板面とは反対側の第2板面が上方に向けられるようになっている。
【0029】
回転板40の両板面(第1板面と第2板面)には、それぞれ異なる装飾を施すことができる。本実施形態の回転板40では、表面(第1板面)40Hに、煮込み前(調理前)のシチューの状態を模した装飾(以下、「調理前装飾」という。)が施されており(
図5(a)参照)、裏面(第2板面)40Tに、煮込み後(調理後)の泡立ったシチューの状態を模した装飾(以下、「調理後装飾」という。)が施されている(
図5(b)参照)。
【0030】
キッチン玩具1では、スイッチ部30が回転操作されることにより、調理前装飾が施された表面40Hが上方に向けられた形で回転板40が容器部22の内部22Iと開口部22Oとの間を区画する状態(以下、「調理前状態(第1状態)」という。)と、調理後装飾が施された裏面40Tが上方に向けられた形で容器部22の内部22Iと開口部22Oとの間を区画する状態(以下、「調理後状態(第2状態)」という。)との間で切り替わるようになっている。
【0031】
次に、
図6~
図8、
図10を参照して、枠状部10cに設けられた軸支機構18の構成及び軸支機構における第1回転軸32の軸支態様について詳しく説明する。
図6に示すように、軸支機構18の第1軸止め部18cは、第1回転軸32の第1係止突起32bと前後方向において重なる位置に、第1回転軸32の左側に近接する形で設けられている。第1軸止め部18cは、角柱状に上方に立ち上がっており、その上端部が鉤爪状の鉤爪部18c1とされて右側に略直角に折れ曲がっている。
図7に示すように、第1軸止め部18cの鉤爪部18c1は、上下方向において第1回転軸32の上側部分と重なるような高さで設けられている。
【0032】
図6に示すように、軸支機構18の第1軸規制部18dは、第1回転軸32の第1規制突起32aと前後方向において重なる位置に、第1回転軸32の下側に位置する形で設けられている。第1軸規制部18dは、壁面を前後方向に向けた略壁状に立ち上がっており、その上端部に上方に開放された形で切り欠かれるとともに第1回転軸32を軸支する切欠き面18d1が設けられている。
図8に示すように、切欠き面18d1は、その底面が平坦面となっており、その右側の面が第1回転軸32の外周面に沿った曲面状とされている。
【0033】
図7及び
図10(a)に示すように、調理前状態では、第1回転軸32の第1係止突起32bが第1軸止め部18cの鉤爪部18c1に係止された状態とされる。このため、キッチン玩具1に衝撃等が加えられた場合でも、第1回転軸32が誤って回転することが防止される。この状態からスイッチ部30(第1回転軸32)が時計回りに回転操作されると、第1係止突起32bが鉤爪部18c1から外れる(
図10(b)参照)。第1係止突起32bが鉤爪部18c1から外れる際には抵抗が生じる。そして、調理後状態となるまでスイッチ部30が時計回りに回転操作されると、第1係止突起32bは上方に向けられた状態となる(
図10(c)参照)。
【0034】
また、
図8に示すように、調理前状態では、第1回転軸32の第1規制突起32aが第1軸規制部18dの切欠き面18d1の底面と干渉し、第1回転軸32の反時計周り方向への回転が規制された状態とされる。このため、調理前状態からスイッチ部30が反時計回りに回転操作されることが防止される。この状態から調理後状態となるまでスイッチ部30が時計回りに回転操作されると、第1規制突起32aは上方に向けられた状態となる。
【0035】
次に、
図5を参照して、内側鍋部22a1の後側に設けられた第2軸規制部22a4及び第2軸止め部22a5における第2回転軸42の軸支態様について説明する。
図5(a)に示すように、調理前状態では、第2回転軸42の第2係止突起42bが第2軸止め部22a5の鉤爪状とされた部分に係止された状態とされる。この状態からスイッチ部30が時計回りに回転操作されて第2回転軸42が反時計周りに回転すると、第2係止突起42bが第2軸止め部22a5から外れる。第2係止突起42bが第2軸止め部22a5から外れる際には抵抗が生じる。
【0036】
また、
図5(a)に示すように、調理前状態では、第2回転軸42の第2規制突起42aが第2回転軸42の右側で第2軸規制部22a4の上端面と干渉し、第2回転軸42の時計周り方向への回転が規制された状態とされる。このため、調理前状態から第2回転軸42が時計周りに回転することが防止される。さらに、
図5(b)に示すように、調理後状態においても、第2回転軸42の第2規制突起42aが第2回転軸42の左側で第2軸規制部22a4の上端面と干渉し、第2回転軸42の反時計周り方向への回転が規制された状態とされる。このため、調理後状態から第2回転軸42が反時計周りに回転することが防止される。
【0037】
次に、
図9及び
図10を参照して、使用者が調理対象物の形状を模した形象体を用いてキッチン玩具1で遊ぶ際の動作について説明する。本実施形態では、形象体として、カットされた人参の形状を模した人参片(形象体)50を例示する。人参片50は、回転板40により区画された容器部22の内部22Iの空間に収容可能な大きさとなっている(
図10(c)参照)。
【0038】
人参片50を用いて遊ぶ際には、調理前状態において、鍋模型20の蓋部24を開き、容器部22の内側の調理前装飾が施された回転板40の表面40Hに人参片50を載置し(
図9(a)及び
図10(a)に示す状態)、蓋部24を閉じる。これにより、キッチン玩具1で遊ぶ使用者は、シチュー鍋を模した鍋模型20の容器部22に人参を材料として投入したかのような感覚を抱くことができる。この状態からスイッチ部30を時計周りに例えば45度回転させると、回転板40が反時計回りに90度回転し、
図9(b)及び
図10(b)に示すように回転板40が容器部22の内側で直立した状態となる。
【0039】
このように回転板40が直立することにより、回転板40と容器部22との間に隙間が生じ、回転板40上に載置されていた人参片50がこの隙間から容器部22の内部22Iへと落下する。その後、スイッチ部30を時計周りにさらに回転させると、容器部22の内側で反時計回りに回転する回転板40の表面40Hにより人参片50が下方に押され、人参片50が容器部22の内部22Iへと移動する。
【0040】
そして、スイッチ部30を調理前状態から時計周りに90度回転させると、人参片50が容器部22の内部22Iの底部まで移動し、
図9(c)及び
図10(c)に示すように調理後装飾が施された回転板40の裏面40Tが上方に向けられた形で、回転板40によって区画された容器部22の内部22Iに人参片50が収容されて隠れた状態とされる。この状態で再び蓋部24を開くことにより、キッチン玩具1で遊ぶ使用者は、投入した人参が煮込まれてシチューが完成したかのような感覚を抱くことができる。
【0041】
以上説明したように本発明の実施形態に係るキッチン玩具1では、鍋模型20の蓋部24を開いて人参片50を調理前装飾が施された回転板40の表面40H上に載置し、蓋部24を閉め、スイッチ部30を時計回りに90度回転操作する。これにより、回転板40が反転して人参片50が容器部22の内部22Iに隠れ、調理後装飾が施された回転板40の裏面40Tが上方に露出する。このため、再び蓋部24を開くことにより、キッチン玩具1で遊ぶ使用者は、人参片50を用いて調理を行ったかのような感覚を抱き、手軽に調理前後の状態変化を模した遊びを楽しむことができる。
【0042】
以上のような本発明の実施形態によれば、下記の態様の模型玩具及び調理玩具を提供することができる。
【0043】
第1の態様に係る模型玩具は、本体部と、前記本体部に設けられ、上方に開口する開口部を有する容器部と、前記容器部の内側に設けられ、第1板面と第1板面とは反対側の第2板面とを有する回転板と、前記第1板面と前記第2板面が反転されるように該回転板を前記容器部に回転可能に支持する回転軸と、前記本体部に設けられ、前記回転軸を回転操作する操作部と、を備え、前記回転板は、前記操作部が操作されることにより、前記第1板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第1状態と、前記第2板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第2状態と、の間で切り替わる。
【0044】
この構成によれば、第1板面が上方に向けられた状態で回転軸を操作部により回転操作することにより、回転板を反転させて、第1板面と反対側の第2板面が上方に向けられた状態とすることができる。例えば回転板の第1板面に調理前の状態の装飾を施し、かつ第2板面に調理後の状態の装飾を施す。そうすることにより、回転板を操作部により反転させることで回転板の上方に向けられる板面が調理前から調理後に切り替わるので、使用者は手軽に調理前後の状態変化を模した遊びを効果的に楽しむことができる。
【0045】
第2の態様に係る模型玩具は、前記回転板は、略円板状とされ、前記容器部の内面は、回転される前記回転板の端縁の軌跡に沿った略半球状とされる。
【0046】
この構成によれば、容器部の内側で回転する回転板の端縁と容器部の内面との間を近接させることができる。このため、回転板により容器部の内部と開口部との間を区画するための容器部及び回転板の具体的な構成を実現することができる。
【0047】
第3の態様に係る模型玩具は、前記回転軸は、その外周面から突出するとともに前記第1状態において前記本体部に設けられた軸止め部に係止され、前記第1状態から回転することにより前記軸止め部から外れる係止突起を有する。
【0048】
この構成によれば、回転軸が第1状態から回転する際に係止突起が軸止め部から外れることにより、抵抗が生じる。このため、使用者は第1状態から操作部を回転操作する際にスイッチを入れたかのような感覚を抱くことができ、手軽に調理前後の状態変化を模した遊びを楽しむことができる。また、第1状態において係止突起が軸止め部に係止されることにより、例えば模型玩具の製造工程において、回転軸が第1の状態からずれた回転角度で他の部材が組み付けられることを防止ないし抑制することができ、組み付けミスを減少させることができる。
【0049】
第4の態様に係る模型玩具は、前記回転軸は、その外周面から突出するとともに前記第1状態及び前記第2状態の少なくとも一方において前記本体部に設けられた軸規制部に干渉することにより軸周りの一方向への回転が規制される規制突起を有する。
【0050】
この構成によれば、規制突起が軸規制部に干渉することにより、第1状態において第2状態へと切り替わる回転軸の回転方向と異なる方向へ回転軸が誤って回転操作されること、及び第2状態において第1状態へと切り替わる回転軸の回転方向と異なる方向へ回転軸が誤って回転操作されることを防止することができる。
【0051】
第1の態様に係る調理玩具は、本体部と、前記本体部に設けられ、上方に開口する開口部を有する容器部と、前記容器部の内側に設けられ、第1板面と第1板面とは反対側の第2板面とを有する回転板と、前記第1板面と前記第2板面が反転されるように該回転板を前記容器部に回転可能に支持する回転軸と、前記本体部に設けられ、前記回転軸を回転操作する操作部と、調理対象物の形状を模した形象体と、を備え、前記回転板は、前記操作部が操作されることにより、前記第1板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第1状態と、前記第2板面を上方に向けた形で前記容器部の内部と前記開口部との間を区画する第2状態と、の間で切り替わる、前記形象体は、前記回転板により区画される前記容器部の内部の空間に収容可能な大きさとされる。
【0052】
この構成によれば、第1状態において回転板上に形象体を載置し、回転軸を回転操作して回転板を反転させることにより、回転する回転板と容器部との間の隙間から形象体が容器部の内部へと落下して回転板により下方に押され、第2状態において回転板により区画される容器部の内部の空間に形象体が収容された隠れた状態とされる。このため、例えば回転板の第1板面に調理前の状態の装飾を施し、かつ第2板面に調理後の状態の装飾を施す。そうすることにより、使用者は第1状態において調理対象物の形象体を容器部の内部に材料として投入し、第2状態において形象体が調理されて調理が完成したかのような感覚を抱くことができ、手軽に調理前後の状態変化を模した遊びを効果的に楽しむことができる。
【0053】
なお、上記の形象体を用いず、第1状態において回転板により区画される容器部の内部の空間に調理後の調理対象物の形状を模した他の形象体を収容した場合であっても、第2状態において当該他の形象体が回転板上に現れるので、使用者は調理が完成した形象体が現れたかのような感覚をいだくことができ、手軽に調理前後の状態変化を模した遊びを効果的に楽しむことができる。
【0054】
また、上記の形象体に加えて、調理後の調理対象物の形状を模した他の形象体を用い、第1状態において回転板により区画される容器部の内部の空間に当該他の形象体を収容した場合、第1状態では調理前の形象体が回転板上に現れており、第2状態において調理が完成した他の形象体が回転板上に現れるので、使用者は回転板の調理前後の変化に加えて形象体についても調理前後の変化を楽しむことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば上記の実施形態では、形象体として人参片を例示したが、これに限定されるものではなく、食品を模した様々な形象体を用いることができる。また、上記の実施形態では、キッチン玩具が第1回転軸及び第2回転軸を備え、第1回転ギヤと第2回転ギヤが噛み合う構成を例示したが、キッチン玩具が回転板から延びる1つの回転軸を備え、ギヤ同士の噛み合いがなく、当該回転軸の端部に直にスイッチ部が設けられた構成であってもよい。また、キッチン玩具が3つ以上の回転軸を備える構成であってもよい。また、回転板は略円板状のものに限定されず、例えば略角板状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 キッチン玩具 10 本体部
10a 外壁部 10b 後壁部
10b1 立壁部 10c 枠状部
10c1 箱状部 10d 天板部
10d1 ギヤ開口部 10e 第1前側切欠部
10f 衝立部 11 第1コンロ
12 第2コンロ 14 扉部
15 トレイ 16 オーブン
18 軸支機構 18a 下側ギヤ収容部
18b 第1後側切欠部 18c 第1軸止め部
18c1 鉤爪部 18d 第1軸規制部
18d1 切欠き面 20 鍋模型
22 容器部 22I 内部
22O 開口部 22S 内面
22a 内側ケース 22a1 内側鍋部
22a2 第2前側切欠部 22a3 第2後側切欠部
22a4 第2軸規制部 22a5 係合孔
24 蓋部 24a 摘み部
24b 係合突起 30 スイッチ部
32 第1回転軸 32a 第1規制突起
32b 第1係止突起 32c フランジ
34 第1回転ギヤ 40 回転板
40C 中心 40H 表面
40T 裏面 42 第2回転軸
42a 第2規制突起 42b 第2係止突起
44 第2回転ギヤ 50 人参片