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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064008
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】光部品
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/30 20060101AFI20240507BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20240507BHJP
   G02B 6/122 20060101ALN20240507BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/02 461
G02B6/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172272
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】横山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】畑山 均
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2H250
【Fターム(参考)】
2H137AB09
2H137BA16
2H137BA18
2H137BA31
2H137CA13A
2H137CA22A
2H137CA22B
2H137CA26A
2H137CC01
2H137HA06
2H147BD02
2H147CA01
2H147CB01
2H147CD02
2H147CD11
2H250AC64
2H250AC67
2H250AC83
2H250AC94
2H250AC95
2H250AC97
(57)【要約】
【課題】小型化を実現させることができるとともに、光ファイバの位置精度を高めることができる光部品を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る光部品は、光導波路を有する回路層、および基板層を有する複数の光導波路基板と、複数の光導波路のそれぞれと光接続される複数の光ファイバを保持する光ファイバホルダとを備える。光ファイバホルダは、第1方向および第2方向の双方に延在する端面を有する。複数の光ファイバは、第1光ファイバ、第1光ファイバに接触する第2光ファイバ、および第2光ファイバに接触する第3光ファイバを含んでいる。 端面において第1光ファイバと第2光ファイバとが並ぶ方向である第1並び方向、および、端面において第2光ファイバと第3光ファイバとが並ぶ方向である第2並び方向、が互いに異なっている。第1並び方向および第2並び方向の少なくともいずれかが第2方向に対して傾斜している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコアファイバの各コアが光接続される光導波路を有する回路層、および前記回路層が積層された基板層を有する複数の光導波路基板と、
前記光導波路基板から見て前記マルチコアファイバとは反対側に配置されており、複数の前記光導波路のそれぞれと光接続される複数の光ファイバを保持する光ファイバホルダと、
を備え、
複数の前記光導波路基板では複数の前記回路層同士が互いに接触しており、
前記光ファイバホルダは、前記光導波路基板に対向するとともに、第1方向、および前記第1方向に直交する第2方向の双方に延在する端面を有し、
複数の前記光ファイバは、第1光ファイバ、前記端面において前記第1光ファイバに接触する第2光ファイバ、および、前記端面において前記第2光ファイバに接触する第3光ファイバを含んでおり、
前記端面において前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとが並ぶ方向である第1並び方向、および、前記端面において前記第2光ファイバと前記第3光ファイバとが並ぶ方向である第2並び方向、が互いに異なっており、
前記第1並び方向および前記第2並び方向の少なくともいずれかが前記第2方向に対して傾斜している、
光部品。
【請求項2】
複数の前記光導波路基板が有する前記光導波路の総数が、4または8である、
請求項1に記載の光部品。
【請求項3】
複数の前記光導波路基板のそれぞれは、複数の前記回路層を有し、
複数の前記回路層は、第1回路層と、前記第1回路層および前記基板層の間に位置する第2回路層とを含んでおり、
複数の前記光導波路基板では、複数の前記第1回路層同士が互いに接触している、
請求項1または請求項2に記載の光部品。
【請求項4】
前記光導波路基板は、前記マルチコアファイバが光接続される接続端面を有し、
前記第1回路層の光導波路、および前記第2回路層の光導波路は、前記接続端面から、前記第1方向および前記第2方向の双方に交差する第3方向に延在し、
前記第1回路層および前記第2回路層の内部において、前記第1回路層の光導波路、および前記第2回路層の光導波路が互いに光結合している、
請求項3に記載の光部品。
【請求項5】
前記光ファイバホルダは、前記光ファイバが載せられる第1基板、および前記第1基板に載せられた前記光ファイバに載せられる第2基板を含んでおり、
前記第1基板は、前記第2基板に対向する第1対向面と、前記第1対向面から窪んでおり、かつ前記光ファイバが入り込む第1凹部とを有し、
前記第2基板は、前記第1対向面に対向する第2対向面と、前記第2対向面から窪んでおり、かつ前記光ファイバが入り込む第2凹部とを有する、
請求項1または請求項2に記載の光部品。
【請求項6】
前記光ファイバホルダは、複数の前記光ファイバとともに、前記光導波路と光接続しないダミーファイバを保持しており、
前記端面において、前記ダミーファイバは、複数の前記光ファイバのうち前記第2方向の端部に位置する光ファイバに接触している、
請求項1または請求項2に記載の光部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバ結合用光学部品が記載されている。光ファイバ結合用光学部品は、マルチコア光ファイバをシングルコア光ファイバに光学的に結合するための部品である。光ファイバ結合用光学部品は、第1の光導波層と、第2の光導波路とが積層されて成る積層部を備える。第1の光導波層および第2の光導波層のそれぞれは、2つのコアと、コアを覆うオーバークラッドとを有する。第1の光導波層のオーバークラッド、および第2の光導波層のオーバークラッドは、積層部の厚さ方向に沿って並んでいる。
【0003】
特許文献2には、光ファイバ実装用光部品が記載されている。光ファイバ実装用光部品は、光ファイバが配置された基板と、光ファイバを押さえる押さえ板とを備える。基板は、互いに間隔をおいて位置するように形成された複数のガイド溝を有する。ガイド溝ごとに光ファイバが配置されている。複数のガイド溝は、V字角度が互いに同一のV字形状を呈する。複数のガイド溝のうち少なくともいずれかのガイド溝は、他のガイド溝とは異なる溝深さで形成される。
【0004】
特許文献3には、光ファイバアレイが記載されている。光ファイバアレイは、2つの光ファイバ束と、各光ファイバ束を構成する複数の光ファイバのそれぞれが載せられる溝部品とを有する。溝部品の面上には、複数の溝が互いに平行に延びるように形成されている。第1の光ファイバ束では、保護被覆で覆われた4本の光ファイバが一定のピッチでコアが一直線上に並ぶように配置されている。第2の光ファイバ束では、保護被覆で覆われた5本の光ファイバが一定のピッチでコアが一直線上に並ぶように配置されている。第2の光ファイバ束は、第1の光ファイバ束の上に配置される。第1の光ファイバ束の各光ファイバ、および第2の光ファイバ束の各光ファイバは互いに接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-237573号公報
【特許文献2】特開2017-3726号公報
【特許文献3】特開2018-120169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した光ファイバ結合用光学部品では、第1の光導波層のオーバークラッド、および第2の光導波層のオーバークラッドが積層部の厚さ方向に沿って並んでいる。よって、第1の光導波層の2つのコア、および第2の光導波層の2つのコアも当該厚さ方向に沿って並んでいる。したがって、この光ファイバ結合用光学部品の各コアにファイバアレイの光ファイバを光結合する場合、当該厚さ方向に沿って並ぶ2つのファイバアレイが必要となりうるので、大型化の懸念がある。
【0007】
光ファイバを保持する光ファイバホルダでは、前述したように、基板に形成された複数のV溝のそれぞれに複数の光ファイバのそれぞれが載せられる。しかしながら、互いに離隔する複数の位置にV溝が形成された基板では、形成されるV溝の寸法等の精度によって光ファイバの位置精度が低下する可能性がある。すなわち、V溝の寸法の精度が低い場合、各V溝に載せられる複数の光ファイバの位置精度が低下することが想定される。
【0008】
本開示は、小型化を実現させることができるとともに、光ファイバの位置精度を高めることができる光部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る光部品は、マルチコアファイバの各コアが光接続される光導波路を有する回路層、および回路層が積層された基板層を有する複数の光導波路基板と、光導波路基板から見てマルチコアファイバとは反対側に配置されており、複数の光導波路のそれぞれと光接続される複数の光ファイバを保持する光ファイバホルダと、を備える。複数の光導波路基板では複数の回路層同士が互いに接触している。光ファイバホルダは、光導波路基板に対向するとともに、第1方向、および第1方向に直交する第2方向の双方に延在する端面を有する。複数の光ファイバは、第1光ファイバ、端面において第1光ファイバに接触する第2光ファイバ、および、端面において第2光ファイバに接触する第3光ファイバを含んでいる。端面において第1光ファイバと第2光ファイバとが並ぶ方向である第1並び方向、および、端面において第2光ファイバと第3光ファイバとが並ぶ方向である第2並び方向、が互いに異なっている。第1並び方向および第2並び方向の少なくともいずれかが第2方向に対して傾斜している。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、小型化を実現させることができるとともに、光ファイバの位置精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る光部品を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係るマルチコアファイバの端面を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る光部品の複数の光導波路基板を示す斜視図である。
図4図4は、図3の光導波路基板を示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態に係る光部品の光ファイバホルダに対向する光導波路基板の端面を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る光部品の光ファイバホルダ、および複数の光ファイバを示す図である。
図7図7は、図6の変形例に係る光ファイバホルダ、および複数の光ファイバを示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係るマルチコアファイバの端面を示す図である。
図9図9は、第2実施形態に係る光部品の複数の光導波路基板を示す斜視図である。
図10図10は、図9の光導波路基板を示す斜視図である。
図11図11は、第2実施形態に係る光部品の光ファイバホルダに対向する光導波路基板の端面を示す図である。
図12図12は、第1回路層の光導波路、および第2回路層の光導波路を示す断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る光部品の光ファイバホルダ、および複数の光ファイバを示す図である。
図14図14は、図13の変形例に係る光ファイバホルダ、および複数の光ファイバを示す図である。
図15図15は、図11の更なる変形例に係る光導波路基板の端面を示す図であある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本願発明の実施形態について列挙する。実施形態に係る光部品は、(1)マルチコアファイバの各コアが光接続される光導波路を有する回路層、および回路層が積層された基板層を有する複数の光導波路基板と、光導波路基板から見てマルチコアファイバとは反対側に配置されており、複数の光導波路のそれぞれと光接続される複数の光ファイバを保持する光ファイバホルダと、を備える。複数の光導波路基板では複数の回路層同士が互いに接触している。光ファイバホルダは、光導波路基板に対向するとともに、第1方向、および第1方向に直交する第2方向の双方に延在する端面を有する。複数の光ファイバは、第1光ファイバ、端面において第1光ファイバに接触する第2光ファイバ、および、端面において第2光ファイバに接触する第3光ファイバを含んでいる。端面において第1光ファイバと第2光ファイバとが並ぶ方向である第1並び方向、および、端面において第2光ファイバと第3光ファイバとが並ぶ方向である第2並び方向、が互いに異なっている。第1並び方向および第2並び方向の少なくともいずれかが第2方向に対して傾斜している。
【0013】
この光部品は複数の光導波路基板を有し、各光導波路基板は光導波路を有する回路層と基板層とを有する。光部品は、複数の光導波路のそれぞれと光接続される複数の光ファイバを保持する光ファイバホルダを有する。光ファイバホルダは光導波路基板に対向するとともに第1方向および第2方向の双方に延在する端面を有し、複数の光ファイバは互いに接触する第1光ファイバ、第2光ファイバおよび第3光ファイバを含む。端面において複数の光ファイバが互いに接触していることにより、当該複数の光ファイバの配置領域を小さくできるので、光部品の小型化を実現させることができる。当該端面において第1光ファイバおよび第2光ファイバが並ぶ方向である第1並び方向と、当該端面において第2光ファイバおよび第3光ファイバが並ぶ方向である第2並び方向とは互いに異なっている。そして、第1並び方向および第2並び方向の少なくともいずれかは第2方向に対して傾斜している。第1並び方向および第2並び方向が互いに異なっており、かつ第1並び方向および第2並び方向の少なくともいずれかが第2方向に対して傾斜していることにより、第1光ファイバ、第2光ファイバおよび第3光ファイバの配置領域をさらに小さくできる。当該端面において第1光ファイバ、第2光ファイバおよび第3光ファイバは俵積みされるので、第1光ファイバ、第2光ファイバおよび第3光ファイバをコンパクトに配置できるとともに位置精度を高めることができる。
【0014】
(2)上記(1)において、複数の光導波路基板が有する光導波路の総数が、4または8であってもよい。
【0015】
(3)上記(1)または(2)において、複数の光導波路基板のそれぞれは、複数の回路層を有してもよい。複数の回路層は、第1回路層と、第1回路層および基板層の間に位置する第2回路層とを含んでいてもよい。複数の光導波路基板では、複数の第1回路層同士が互いに接触していてもよい。
【0016】
(4)上記(3)において、光導波路基板は、マルチコアファイバが光接続される接続端面を有してもよい。第1回路層の光導波路、および第2回路層の光導波路は、接続端面から、第1方向および第2方向の双方に交差する第3方向に延在してもよい。第1回路層および第2回路層の内部において、第1回路層の光導波路、および第2回路層の光導波路が互いに光結合していてもよい。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、光ファイバホルダは、光ファイバが載せられる第1基板、および第1基板に載せられた光ファイバに載せられる第2基板を含んでもよい。第1基板は、第2基板に対向する第1対向面と、第1対向面から窪んでおり、かつ光ファイバが入り込む第1凹部とを有してもよい。第2基板は、第1対向面に対向する第2対向面と、第2対向面から窪んでおり、かつ光ファイバが入り込む第2凹部とを有してもよい。この場合、複数の光ファイバのそれぞれは、第1基板および第2基板の間において第1凹部または第2凹部に入り込む。したがって、第1対向面と第2対向面の間に形成される隙間を低減できる。さらに、当該隙間に充填される接着剤の量を低減できるので、光部品の温度特性を良好にすることができる。
【0018】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、光ファイバホルダは、複数の光ファイバとともに、光導波路と光接続しないダミーファイバを保持してもよい。当該端面において、ダミーファイバは、複数の光ファイバのうち第2方向の端部に位置する光ファイバに接触していてもよい。この場合、ダミーファイバが第2方向の端部に位置する光ファイバに接触した状態で保持されることにより、俵積みされた複数の光ファイバの配置をより安定させることができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
実施形態に係る光部品の具体例を以下で図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、下記の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化または誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る光部品1を示す斜視図である。光部品1は、複数の光導波路基板10と、光ファイバホルダ20とを備える。光導波路基板10は、マルチコアファイバ30が接続される。光ファイバホルダ20は、光導波路基板10に対向する端面21を有する。光ファイバホルダ20は、複数の光導波路基板10から見てマルチコアファイバ30とは反対側に配置されている。光導波路基板10は、マルチコアファイバ30が光接続される接続端面11を有する。
【0021】
端面21は、第1方向D1、および第1方向D1に直交する第2方向D2に沿って延在している。端面21は、例えば、長方形状を呈する。この場合、端面21は、第1方向D1に延びるとともに第2方向D2に沿って並ぶ一対の短辺21bと、第2方向D2に延びるとともに第1方向D1に沿って並ぶ一対の長辺21cとを有する。一例として、第1方向D1は端面21の縦方向に相当し、第2方向D2は端面21の横方向に相当する。
【0022】
マルチコアファイバ30、複数の光導波路基板10、および光ファイバホルダ20は、この順で第1方向D1および第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に沿って並んでいる。例えば、光ファイバホルダ20の端面21に接着剤によって複数の光導波路基板10が接着され、光導波路基板10の接続端面11に接着剤によってマルチコアファイバ30が接着される。
【0023】
図2は、マルチコアファイバ30の端面31を示す図である。例えば、マルチコアファイバ30は4つのコア32を有する。例えば、端面31において4つのコア32は、その中心点を結ぶ線が長方形状(一例として正方形状)をなすように配置されている。図3は、複数の光導波路基板10を示す斜視図である。例えば、光導波路基板10は光導波路12を有し、複数の光導波路基板10が有する光導波路12の総数は4である。接続端面11では、マルチコアファイバ30の各コア32が光接続される光導波路12が露出している。
【0024】
光導波路基板10は、マルチコアファイバ30の各コア32が光接続される光導波路12を有する回路層14、および回路層14が積層された基板層15を有する。複数の光導波路基板10では複数の回路層14同士が互いに接触している。すなわち、複数の光導波路基板10が第1の光導波路基板10Aおよび第2の光導波路基板10Bであるとした場合、第1の光導波路基板10Aの回路層14に第2の光導波路基板10Bの回路層14が接触している。
【0025】
以下では、第1の光導波路基板10Aから見て第2の光導波路基板10Bが位置する方向を上、上側または上方とし、第2の光導波路基板10Bから見て第1の光導波路基板10Aが位置する方向を下、下側または下方と称することがある。しかしながら、これらは説明の便宜のための方向であり、各部の位置または向き等を限定するものではない。
【0026】
複数の光導波路基板10では、上下が反転された第2の光導波路基板10Bの回路層14が第1の光導波路基板10Aの回路層14に接触している。回路層14は、例えば、2つの光導波路12を有する。2つの光導波路12は、例えば、接続端面11において第2方向D2に沿って並んでいる。例えば、接続端面11において露出する複数の光導波路12の配置態様は、マルチコアファイバ30のコア32の配置態様と同一である。マルチコアファイバ30は、各コア32が接続端面11に露出した各光導波路12に対向した状態で光導波路基板10に固定される。
【0027】
図4は、光導波路基板10を示す斜視図である。図4に示されるように、回路層14および基板層15は直方体状を呈する。回路層14は、他の光導波路基板10の回路層14に接触する主面14bを有し、主面14bは第2方向D2および第3方向D3の双方に延在している。回路層14は、さらに、主面14bの各端辺から下方に延びる4つの側面14cを有する。
【0028】
図5は、複数の光導波路基板10の接続端面11とは反対を向く面16を示す図である。面16は光ファイバホルダ20に対向する面である。図4および図5に示されるように、回路層14の4つの側面14cは、マルチコアファイバ30に対向する第1側面14dと、光ファイバホルダ20に対向する第2側面14fとを含む。第2側面14fは、第1側面14dとは反対を向いている。第1側面14dでは、2つの光導波路12が第2方向D2に沿って並んでいる。第2側面14fでは、2つの光導波路12が第2方向D2に沿って並んでいる。
【0029】
光導波路12は、回路層14の内部において第1側面14dから第2側面14fまで延在している。例えば、第2側面14fにおいて並ぶ2つの光導波路12の間隔は、第1側面14dにおいて並ぶ2つの光導波路12の間隔よりも広い。図5に示されるように、第2側面14fにおいて、光導波路基板10Aにおける光導波路12の第2方向D2の位置と、光導波路基板10Bにおける光導波路12の第2方向D2の位置とは、互いに異なっている。面16において、光導波路基板10Aの光導波路12、および光導波路基板10Bの光導波路12は、千鳥状に配置されている。例えば、面16では、第2方向D2に沿って光導波路基板10Aの光導波路12、および光導波路基板10Bの光導波路12が交互にかつ等間隔に並んでいる。
【0030】
図6は、光ファイバホルダ20の端面21を示す図である。光ファイバホルダ20は、複数の光導波路12のそれぞれと光接続される複数の光ファイバ40を保持する。例えば、光ファイバ40は1つのコア41を有するシングルコアファイバである。光ファイバホルダ20は、光ファイバ40が載せられる第1基板22、および第1基板22に載せられた光ファイバ40に載せられる第2基板23を含む。
【0031】
第1基板22は、第2基板23に対向する第1対向面22bと、第1対向面22bから窪む第1凹部22cとを有する。第1対向面22bは、第2方向D2および第3方向D3の双方に延在している。例えば、第1対向面22bは平坦面である。第1凹部22cは、第1基板22の第2方向D2の中央を含む領域において第3方向D3に沿って延在している。
【0032】
例えば、第1凹部22cは、第2方向D2に沿って並ぶ複数のV溝22dと、第2方向D2に沿って並ぶ2つのV溝22dの間に位置する平坦面22fとによって画成される。各V溝22dは第3方向D3に沿って延在している。平坦面22fは、第2方向D2および第3方向D3の双方に延在している。第1凹部22cには、複数の光ファイバ40のうちの少なくとも一部が入り込む。
【0033】
例えば、複数の光ファイバ40のうちの一部がV溝22dに入り込む。一例として、第2基板23の第2凹部23cに入り込んでない光ファイバ40がV溝22dに入り込む。例えば、第2凹部23cに入り込む光ファイバ40は第1凹部22cの平坦面22fに対向する。
【0034】
第2基板23は、第1基板22に対向する第2対向面23bと、第2対向面23bから窪む第2凹部23cとを有する。第2対向面23bは、第2方向D2および第3方向D3の双方に延在している。例えば、第2対向面23bは平坦面である。第2凹部23cは、第2基板23の第2方向D2の中央を含む領域において第3方向D3に沿って延在している。例えば、端面21において、第2凹部23cは矩形の一辺が無いような形状を呈する。
【0035】
第2凹部23cは、例えば、第2方向D2に沿って並ぶ一対の内側面23dと、一対の内側面23dの間において第2方向D2に延在する底面23fとによって画成されている。例えば、各内側面23dは第1方向D1および第3方向D3の双方に延在しており、底面23fは第2方向D2および第3方向D3の双方に延在している。例えば、第2凹部23cに入り込んだ光ファイバ40は底面23fに接触している。
【0036】
複数の光ファイバ40のうちの少なくとも一部が第2凹部23cに入り込んでいる。一例として、4本の光ファイバ40のうちの2本が第2凹部23cに入り込んでいる。光ファイバホルダ20は、第1対向面22bと第2対向面23bの間、および第1凹部22cと第2凹部23cの間に隙間Sを有する。隙間Sには、第1基板22と第2基板23との間に複数の光ファイバ40を固定させるための接着剤が充填される。
【0037】
光ファイバホルダ20に保持された各光ファイバ40は、複数の光導波路基板10の各光導波路12に光接続する。例えば、光ファイバホルダ20の端面21における光ファイバ40の配置は、第2方向D2への向きを反対にした光導波路基板10の面16における光導波路12の配置と同一である。したがって、光導波路基板10の面16に光ファイバホルダ20の端面21が対向した状態で各光ファイバ40が各光導波路12に光接続する。
【0038】
端面21において、複数の光ファイバ40に含まれる1つの光ファイバは、複数の光ファイバ40に含まれる他の1つの光ファイバと接触している。複数の光ファイバ40は、第1光ファイバ40A、端面21において第1光ファイバ40Aに接触する第2光ファイバ40B、および、端面21において第2光ファイバ40Bに接触する第3光ファイバ40Cを含む。第1光ファイバ40Aおよび第3光ファイバ40Cのそれぞれは第1基板22のV溝22dに入り込み、第2光ファイバ40Bは第2基板23の第2凹部23cに入り込むとともに第1基板22の平坦面22fに対向する。端面21において第1光ファイバ40Aと第2光ファイバ40Bとが並ぶ方向である第1並び方向X1、および、端面21において第2光ファイバ40Bと第3光ファイバ40Cとが並ぶ方向である第2並び方向X2は互いに異なっている。ここで、第1並び方向X1は、端面21において、第1光ファイバ40Aの中心から第2光ファイバ40Bの中心へ向かう方向である。第1光ファイバ40Aと第2光ファイバ40Bの断面がそれぞれ理想的な円の場合には、第1光ファイバ40Aの中心から第1光ファイバ40Aと第2光ファイバ40Bの接触点へ向かう方向は第1並び方向X1と一致する。同様に、第2並び方向X2は、端面21において、第2光ファイバ40Bの中心から第3光ファイバ40Cの中心へ向かう方向である。
【0039】
本実施形態では、複数の光ファイバ40は第4光ファイバ40Dを更に含む。端面21において第3光ファイバ40Cと第4光ファイバ40Dとが並ぶ方向である第3並び方向X3は、例えば、第2並び方向X2とは異なっている。例えば、第3並び方向X3は第1並び方向X1と同一である。第1並び方向X1および第2並び方向X2の少なくともいずれかは第2方向D2に対して傾斜している。
【0040】
本実施形態では、第1並び方向X1および第2並び方向X2の双方が第1方向D1および第2方向D2の双方に対して傾斜している。すなわち、第1並び方向X1および第2並び方向X2は、ともに第2方向D2に対して傾斜している。例えば、第2方向D2に対する第1並び方向X1の向きは、第2方向D2に対する第2並び方向X2の向きとは反対である。一例として、第1並び方向X1は第2方向D2よりも上向きであり、第2並び方向X2は第2方向D2よりも下向きである。第2方向D2に対する第1並び方向X1の角度は、第2方向D2に対する第2並び方向X2の角度と同一であってもよい。
【0041】
光ファイバホルダ20は、複数の光ファイバ40とともに、光導波路12と光接続しないダミーファイバ45を保持する。ダミーファイバ45は、端面21において複数の光ファイバ40を安定して配置するために設けられる。ダミーファイバ45が光ファイバ40とともに光ファイバホルダ20に保持されることにより、光ファイバ40の位置ずれをより確実に抑制できる。
【0042】
端面21において、ダミーファイバ45は、複数の光ファイバ40のうち第2方向D2の端部に位置する光ファイバ40に接触している。本実施形態では、ダミーファイバ45は、第4光ファイバ40Dに接触している。端面21において第4光ファイバ40Dとダミーファイバ45とが並ぶ方向である第4並び方向X4は、例えば、第3並び方向X3とは異なっている。例えば、第4並び方向X4は第2並び方向X2と同一である。
【0043】
以上のように複数の光ファイバ40が配置されることにより、端面21において複数の光ファイバ40は俵積みされる。「俵積み」とは、例えば、第1光ファイバ40A、第2光ファイバ40Bおよび第3光ファイバ40Cが互いに接触し、第1並び方向X1および第2並び方向X2が互いに異なっており、かつ、第1並び方向X1および第2並び方向X2の少なくともいずれかが第2方向D2に対して傾斜した状態を示している。
【0044】
図7は、図6の変形例に係る光ファイバホルダ20Aを示している。光ファイバホルダ20Aは、第2基板23の第2凹部23cとは異なる形状の第2凹部23gを有する。第2凹部23gは、第2対向面23bから窪んでおり、かつ光ファイバ40が入り込むV溝である。光ファイバホルダ20Aの第2基板23は複数の第2凹部23gを有し、複数の第2凹部23gは第2方向D2に沿って並んでいる。
【0045】
各第2凹部23gは、第3方向D3に沿って延在している。例えば、複数の光ファイバ40のうちの一部が第2凹部23gに入り込む。一例として、第1光ファイバ40A、第3光ファイバ40Cおよびダミーファイバ45が第1基板22のV溝22dに入り込み、第2光ファイバ40Bおよび第4光ファイバ40Dが第2基板23の第2凹部23gに入り込む。
【0046】
以上、変形例に係る光ファイバホルダ20Aのように第2凹部23gはV溝であってもよい。このように、第1凹部および第2凹部の形状は適宜変更可能である。但し、V溝22dを含む第1凹部22cを有する第1基板22、および矩形状を呈する第2凹部23cを有する第2基板23を備えた光ファイバホルダ20では、光部品の組み立てを一層容易に行えるという利点がある。
【0047】
次に、本実施形態に係る光部品1から得られる作用効果について説明する。光部品1は複数の光導波路基板10を有し、各光導波路基板10は光導波路12を有する回路層14と基板層15とを有する。光部品1は、複数の光導波路12のそれぞれと光接続される複数の光ファイバ40を保持する光ファイバホルダ20(または光ファイバホルダ20A)を有する。光ファイバホルダ20は光導波路基板10に対向するとともに第1方向D1および第2方向D2の双方に延在する端面21を有し、複数の光ファイバ40は互いに接触する第1光ファイバ40A、第2光ファイバ40Bおよび第3光ファイバ40Cを含む。端面21において複数の光ファイバ40が互いに接触していることにより、複数の光ファイバ40の配置領域を小さくできるので、光部品1の小型化を実現させることができる。
【0048】
端面21において第1光ファイバ40Aおよび第2光ファイバ40Bが並ぶ方向である第1並び方向X1と、端面21において第2光ファイバ40Bおよび第3光ファイバ40Cが並ぶ方向である第2並び方向X2とは互いに異なっている。そして、第1並び方向X1および第2並び方向X2の少なくともいずれかは第2方向D2に対して傾斜している。第1並び方向X1および第2並び方向X2が互いに異なっており、かつ第1並び方向X1および第2並び方向X2の少なくともいずれかが第2方向D2に対して傾斜していることにより、第1光ファイバ40A、第2光ファイバ40Bおよび第3光ファイバ40Cの配置領域をさらに小さくできる。端面21において第1光ファイバ40A、第2光ファイバ40Bおよび第3光ファイバ40Cは俵積みされるので、第1光ファイバ40A、第2光ファイバ40Bおよび第3光ファイバ40Cをコンパクトに配置できるとともに位置精度を高めることができる。本実施形態では、上記同様に第4光ファイバ40Dもコンパクトに配置して位置精度を高めることができる。
【0049】
前述したように、複数の光導波路基板10が有する光導波路12の総数が4であってもよい。光ファイバホルダ20は、光ファイバ40が載せられる第1基板22、および第1基板22に載せられた光ファイバ40に載せられる第2基板23を含んでもよい。第1基板22は、第2基板23に対向する第1対向面22bと、第1対向面22bから窪んでおり、かつ光ファイバ40が入り込む第1凹部22cを有してもよい。
【0050】
第2基板23は、第1対向面22bに対向する第2対向面23bと、第2対向面23bから窪んでおり、かつ光ファイバ40が入り込む第2凹部23cを有してもよい。この場合、複数の光ファイバ40のそれぞれは、第1基板22および第2基板23の間において第1凹部22cまたは第2凹部23cに入り込む。したがって、第1対向面22bと第2対向面23bの間に形成される隙間Sを低減できる。
【0051】
さらに、隙間Sに充填される接着剤の量を低減できるので、光部品1の温度特性を良好にすることができる。より具体的には、当該接着剤の材料の熱膨張係数は、光ファイバホルダ20の材料、または光ファイバ40の材料の熱膨張係数とは異なる場合がある。よって、当該接着剤が隙間Sにより多く充填されていると、光ファイバ40が温度変化による応力の影響を受ける可能性が生じる。よって、隙間Sを低減して当該接着剤の量を低減できる場合、温度変化による影響を小さくすることができる。
【0052】
光ファイバホルダ20は、複数の光ファイバ40とともに、光導波路12と光接続しないダミーファイバ45を保持してもよい。端面21において、ダミーファイバ45は、複数の光ファイバ40のうち第2方向D2の端部に位置する光ファイバ40に接触していてもよい。この場合、ダミーファイバ45が第2方向D2の端部に位置する光ファイバ40に接触した状態で保持されることにより、俵積みされた複数の光ファイバ40の配置をより安定させることができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る光部品について説明する。図8は、第2実施形態に係る光部品に光接続するマルチコアファイバ50を示している。図9は、第2実施形態に係る光部品における複数の光導波路基板60を示す斜視図である。第2実施形態に係る光部品は、複数の光導波路基板60と、後述する光ファイバホルダ70(図13参照)とを備える。第2実施形態に係る光部品の一部の構成は、前述した光部品1の一部の構成と同一である。よって、以下では、光部品1の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。
【0054】
光導波路基板60は、マルチコアファイバ50が接続される接続端面61を有する。マルチコアファイバ50は、端面51と、端面51に露出する8つのコア52とを有する。例えば、端面51において8つのコア52は八角形状(一例として正八角形状)をなすように配置されている。光導波路基板60は光導波路62を有し、複数の光導波路基板60が有する光導波路62の総数は8である。接続端面61では、マルチコアファイバ50の各コア52が光接続される光導波路62が露出している。
【0055】
光導波路基板60は、マルチコアファイバ50の各コア52が光接続される光導波路62を有する複数の回路層64、および複数の回路層64が積層された基板層65を有する。複数の回路層64は、第1回路層64Aと、第1回路層64Aおよび基板層65の間に位置する第2回路層64Bを含む。複数の光導波路基板60では、複数の第1回路層64A同士が互いに接触している。
【0056】
複数の光導波路基板60では、下側に位置する第1の光導波路基板60Aの第1回路層64Aに、上下が反転された第2の光導波路基板60Bの第1回路層64Aが接触している。第1回路層64Aおよび第2回路層64Bのそれぞれは、2つの光導波路62を有する。例えば、第1回路層64Aの2つの光導波路62は、回路層64の第2方向D2の中央を通るとともに第1方向D1に延びる基準線Zに対して互いに対称となる位置に配置されている。第2回路層64Bの2つの光導波路62は、基準線Zに対して互いに対称となる位置に配置されている。
【0057】
例えば、第1回路層64Aの2つの光導波路62の間隔は、第2回路層64Bの2つの光導波路62の間隔よりも広い。例えば、接続端面61において露出する複数の光導波路62の配置態様は、マルチコアファイバ50のコア52の配置態様と同一である。マルチコアファイバ50は、各コア52が接続端面61に露出した各光導波路62に対向した状態で光導波路基板60に固定される。
【0058】
図10は、光導波路基板60を示す斜視図である。図10に示されるように、第1回路層64Aは、他の光導波路基板60の第1回路層64Aに接触する主面64bを有する。図11は、複数の光導波路基板60の接続端面61とは反対側を向く面66を示す図である。図10および図11に示されるように、第1回路層64Aは、マルチコアファイバ50に対向する第1側面64dと、光ファイバホルダ70に対向する第2側面64fとを有する。
【0059】
第2回路層64Bは、マルチコアファイバ50に対向する第3側面64gと、光ファイバホルダ70に対向する第4側面64hとを有する。第1側面64dおよび第3側面64gを含む面として接続端面61が構成される。第1側面64dおよび第3側面64gのそれぞれでは、2つの光導波路62が第2方向D2に沿って並んでいる。第1側面64dにおける2つの光導波路62の間隔は、第3側面64gにおける2つの光導波路62の間隔よりも広い。
【0060】
例えば、光導波路基板60Aの光導波路62は、第1回路層64Aおよび第2回路層64Bの内部において、第1側面64dおよび第3側面64gのそれぞれから第2側面64fまで延在している。図12は、第1回路層64Aおよび第2回路層64Bのそれぞれの光導波路62を示す断面図である。図11および図12に示されるように、第1側面64dから延びる光導波路62は、例えば、第1側面64dから第3方向D3に延びる第1直線部62bと、第1直線部62bの第1側面64dとは反対側の端部から延在する傾斜部62cと、傾斜部62cの第1直線部62bとは反対側の端部から第2側面64fまで延在する第2直線部62dとを有する。傾斜部62cは、第1直線部62bから離れるに従って中心線Yから離隔するように第3方向D3に対して傾斜している。中心線Yは、第1回路層64Aの中心を通りかつ第3方向D3に沿って延在する基準線である。第2直線部62dは、傾斜部62cから第2側面64fまで第3方向D3に沿って延在している。
【0061】
第2回路層64Bの第3側面64gから延びる光導波路62は、第3側面64gから離隔した部分において第2回路層64Bから第1回路層64Aに移動している。よって、第2回路層64Bの第4側面64hには、光導波路62が露出していない。光導波路基板60Aは、光導波路62が第2回路層64Bから第1回路層64Aに移動する遷移部62fを有する。遷移部62fにおいて、第1回路層64Aの光導波路62、および第2回路層64Bの光導波路62が互いに光結合している。
【0062】
第3側面64gから延びる光導波路62は、第3側面64gから遷移部62fまで延びる第3直線部62gと、遷移部62fの第3直線部62gとは反対側の端部から延在する傾斜部62hと、傾斜部62hの遷移部62fとは反対側の端部から第2側面64fまで延在する第4直線部62jとを有する。傾斜部62hは、遷移部62fから離れるに従って中心線Yから離隔するように第3方向D3に対して傾斜している。中心線Yに対する傾斜部62hの傾斜角度は、中心線Yに対する傾斜部62cの傾斜角度よりも小さい。第4直線部62jは、傾斜部62hから第2側面64fまで第3方向D3に沿って延在している。
【0063】
以上、光導波路基板60Aにおける光導波路62の構成の例について説明した。光導波路基板60Aに載せられる光導波路基板60Bにおける光導波路62の構成は、例えば、光導波路基板60Aの光導波路62の構成と同様である。但し、光導波路基板60Bの第2側面64fにおける光導波路62の第2方向D2の位置は、光導波路基板60Aの第2側面64fにおける光導波路62の第2方向D2の位置とは異なっている。面66において、光導波路基板60Aの光導波路62、および光導波路基板60Bの光導波路62は、千鳥状に配置されている。例えば、面66では、第2方向D2に沿って光導波路基板60Aの光導波路62、および光導波路基板60Bの光導波路62が交互にかつ等間隔に並んでいる。
【0064】
図13は、光ファイバホルダ70の端面71を示す図である。光ファイバホルダ70は、複数の光導波路62のそれぞれと光接続される複数の光ファイバ40を保持する。光ファイバホルダ70は、光ファイバ40が載せられる第1基板72、および第1基板72に載せられた光ファイバ40に載せられる第2基板73を含む。第1基板72は、前述した第1基板22と同様、第1対向面22bと、第1対向面22bから窪む第1凹部72cとを有する。第1凹部72cは、第2方向D2への長さが前述した第1凹部22cとは異なっている。
【0065】
第1凹部72cは、前述した第1凹部22cと同様、複数のV溝22dと、複数の平坦面22fとによって画成される。第1凹部72cでは、V溝22dおよび平坦面22fの数が、第1凹部22cとは異なっている。第1凹部72cにおけるV溝22dの数は5であり、第1凹部22cにおける平坦面22fの数は4である。第1凹部72cには、8本の光ファイバ40のうちの4本と、ダミーファイバ45とが入り込んでいる。第2基板73は、前述した第2基板23と同様、第2対向面23bと、第2対向面23bから窪む第2凹部73cとを有する。第2凹部73cの第2方向D2への長さは、第2方向D2に沿って並ぶ4つの光ファイバ40が入り込める程度の長さとされている。
【0066】
光ファイバホルダ70は、光ファイバホルダ20と同様、接着剤が充填される隙間Sを第1基板72と第2基板73の間に有する。光ファイバホルダ70の端面71における光ファイバ40の配置は、第2方向D2への向きを反対にした光導波路基板60の面66における光導波路62の配置と同一である。よって、光導波路基板60の面66に光ファイバホルダ70の端面71が対向した状態で各光ファイバ40が各光導波路62に光接続する。
【0067】
端面71における光ファイバ40の配置は、前述した光ファイバホルダ20の端面21における光ファイバ40の配置と同様である。但し、端面71に配置される光ファイバ40の数は、端面21に配置される光ファイバ40の数とは異なっている。例えば、端面71に配置される複数の光ファイバ40は、前述した第1光ファイバ40A、第2光ファイバ40B、第3光ファイバ40Cおよび第4光ファイバ40Dからなる2つの組Cを構成する。さらに、光ファイバホルダ70はダミーファイバ45を保持する。ダミーファイバ45は、2つの組Cを構成する複数の光ファイバ40のうち第2方向D2の端部に位置する光ファイバ40に接触している。
【0068】
図14は、図13の変形例に係る光ファイバホルダ70Aを示している。光ファイバホルダ70Aでは、第2基板73がV溝である第2凹部23gを有する。光ファイバホルダ70Aの第2凹部23gの数は、光ファイバホルダ20Aの第2凹部23gの数とは異なっている。光ファイバホルダ70Aの第2凹部23gの数は4であり、4つの第2凹部23gのそれぞれに第2光ファイバ40Bおよび第4光ファイバ40Dのそれぞれが入り込む。
【0069】
以上、第2実施形態に係る光部品では、端面71において複数の光ファイバ40が互いに接触していることにより、複数の光ファイバ40の配置領域を小さくできるので、光部品の小型化を実現できる。第2実施形態では、第1実施形態と同様、第1並び方向X1および第2並び方向X2が互いに異なっており、かつ第1並び方向X1および第2並び方向X2の少なくともいずれかが第2方向D2に対して傾斜している。よって、第1光ファイバ40A、第2光ファイバ40Bおよび第3光ファイバ40Cの配置領域をさらに小さくできる。端面71において第1光ファイバ40A、第2光ファイバ40Bおよび第3光ファイバ40Cは俵積みされるので、第1光ファイバ40A、第2光ファイバ40Bおよび第3光ファイバ40Cをコンパクトに配置できるとともに位置精度を高めることができる。このように、光導波路62の総数が8である光導波路基板60を備えた第2実施形態に係る光部品でも第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0070】
さらに、光導波路基板60は、マルチコアファイバ50が光接続される接続端面61を有し、第1回路層64Aの光導波路62、および第2回路層64Bの光導波路62は、接続端面61から、第1方向D1および第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に延在している。そして、第1回路層64Aおよび第2回路層64Bの内部において、第1回路層64Aの光導波路62、および第2回路層64Bの光導波路62が互いに光結合していている。したがって、第1回路層64Aの光導波路62、および第2回路層64Bの光導波路62を互いに光結合させることができる。
【0071】
以上、本開示に係る光部品の種々の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、前述した各実施形態に限定されない。すなわち、本発明が特許請求の範囲に記載された要旨を変更しない範囲において種々の変形及び変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。例えば、光部品の各部品の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述した内容に限られず適宜変更可能である。
【0072】
例えば、前述の実施形態では、図11に示されるように、第2回路層64Bの第3側面64gから延びる光導波路62が、第3側面64gから離隔した部分において第2回路層64Bから第1回路層64Aに移動し、各第1回路層64Aの第2側面64fに光導波路62が露出する光導波路基板60について説明した。しかしながら、図15に示されるように、各第2回路層64Bの第4側面64hに光導波路62が露出する光導波路基板60Cであってもよい。この場合、第1回路層64Aの第1側面64dから延びる光導波路62が、第1側面64dから離隔した部分において第1回路層64Aから第2回路層64Bに移動し、各第2回路層64Bの第4側面64hに光導波路62が露出している。上記実施形態及び変形例においては、端面21において第1光ファイバ40Aと第2光ファイバ40Bとが接触し、端面21において第2光ファイバ40Bと第3光ファイバ40Cとが接触している例を説明したが、更に第1光ファイバ40Aと第3光ファイバ40Cとが接触していてもよい。
【0073】
前述では、光ファイバ40の数が4本である第1実施形態、および光ファイバ40の数が8本である第2実施形態について説明した。しかしながら、光ファイバ40の数は、3本、5~7本または9本以上であってもよい。マルチコアファイバのコアの数についても同様である。
【符号の説明】
【0074】
1…光部品
10,10A,10B…光導波路基板
11…接続端面
12…光導波路
14…回路層
14b…主面
14c…側面
14d…第1側面
14f…第2側面
15…基板層
16…面
20,20A…光ファイバホルダ
21…端面
21b…短辺
21c…長辺
22…第1基板
22b…第1対向面
22c…第1凹部
22d…V溝
22f…平坦面
23…第2基板
23b…第2対向面
23c…第2凹部
23d…内側面
23f…底面
23g…第2凹部
30…マルチコアファイバ
31…端面
32…コア
40…光ファイバ
40A…第1光ファイバ
40B…第2光ファイバ
40C…第3光ファイバ
40D…第4光ファイバ
41…コア
45…ダミーファイバ
50…マルチコアファイバ
51…端面
52…コア
60,60A,60B,60C…光導波路基板
61…接続端面
62…光導波路
62b…第1直線部
62c…傾斜部
62d…第2直線部
62f…遷移部
62g…第3直線部
62h…傾斜部
62j…第4直線部
64…回路層
64A…第1回路層
64B…第2回路層
64b…主面
64d…第1側面
64f…第2側面
64g…第3側面
64h…第4側面
65…基板層
66…面
70,70A…光ファイバホルダ
71…端面
72…第1基板
72c…第1凹部
73…第2基板
73c…第2凹部
C…組
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
S…隙間
X1…第1並び方向
X2…第2並び方向
X3…第3並び方向
X4…第4並び方向
Y…中心線
Z…基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15