(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064009
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】無線アクセスシステム、集中制御局、信号処理方法、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/2575 20130101AFI20240507BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H04B10/2575 120
H04B1/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172274
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 真明
【テーマコード(参考)】
5K060
5K102
【Fターム(参考)】
5K060CC02
5K060FF07
5K102AA11
5K102AA61
5K102AB13
5K102AH21
5K102AH26
5K102RD11
5K102RD26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アナログアップリンク信号を精度よく示すデジタル信号(デジタルアップリンク信号)を適切に生成することが可能な無線アクセスシステム、集中制御局、信号処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】無線アクセスシステムSYSaは、集中制御局1と少なくとも一つのアクセスポイント2と、を備える。アクセスポイントは、アナログアップリンク信号(AUS)に対してパルス幅変調処理を行うことでアナログ変調信号(AMS)を生成し、AMS信号を光アップリンク信号(OUS)に変換して送信する。集中制御局1は、受信したOUS信号を電気アップリンク信号(EUS)に変換し、EUS信号からAUS信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号(AES)を抽出するためのフィルタリング処理を行い、AES信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号(DUS)に変換する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集中制御局と、
前記集中制御局と光ネットワークを介して接続されたアクセスポイントと
を備え、
前記アクセスポイントは、
前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成する変調手段と、
前記アナログ変調信号を、光アップリンク信号に変換する光信号変換手段と
を備え、
前記集中制御局は、
前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を、電気アップリンク信号に変換する電気信号変換手段と、
前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うフィルタ手段と、
前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換するデジタル信号変換手段と、
前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行う信号処理手段と
を備える無線アクセスシステム。
【請求項2】
前記アクセスポイントは、
無線アップリンク信号を受信するアンテナと、
前記アンテナを用いて受信した前記無線アップリンク信号から、前記無線アップリンク信号の同相成分に相当する第1のアナログアップリンク信号と、前記無線アップリンク信号の直交位相成分に相当する第2のアナログアップリンク信号との夫々を生成するアップリンク信号生成手段とを更に備え、
前記変調手段は、前記第1のアナログアップリンク信号に対して前記パルス幅変調処理を行うことで、第1のアナログ変調信号を生成する第1の変調器と、前記第2のアナログアップリンク信号に対して前記パルス幅変調処理を行うことで、第2のアナログ変調信号を生成する第2の変調器とを備え、
前記光信号変換手段は、前記第1のパルス幅変調信号を第1の光アップリンク信号に変換する第1の光信号変換器と、前記第2のパルス幅変調信号を第2の光アップリンク信号に変換する第2の光信号変換器とを備え、
前記電気信号変換手段は、前記光ネットワークに含まれる第1の光ファイバを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記第1の光アップリンク信号を、第1の電気アップリンク信号に変換する第1の電気信号変換器と、前記光ネットワークに含まれる第2の光ファイバを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記第2の光アップリンク信号を、第2の電気アップリンク信号に変換する第2の電気信号変換器とを備え、
前記フィルタ手段は、前記第1の電気アップリンク信号に対して、前記第1の電気アップリンク信号から前記第1のアナログアップリンク信号に相当する信号成分を含む第1のアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行う第1フィルタと、前記第2の電気アップリンク信号に対して、前記第2の電気アップリンク信号から前記第2のアナログアップリンク信号に相当する信号成分を含む第2のアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行う第2フィルタとを備え、
前記デジタル信号変換手段は、前記第1のアナログ抽出信号を、前記第1のアナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表す第1のデジタルアップリンク信号に変換する第1のデジタル信号変換器と、前記第2のアナログ抽出信号を、前記第2のアナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表す第2のデジタルアップリンク信号に変換する第2のデジタル信号変換器とを備え、
前記信号処理手段は、前記第1及び第2のデジタルアップリンク信号に対して前記所定のデジタル信号処理を行う
請求項1に記載の無線アクセスシステム。
【請求項3】
前記集中制御局は、所定のクロック信号に同期して、入力されるデジタル参照信号をアナログ参照信号に変換するアナログ信号変換手段を更に備え、
前記変調手段は、前記光ネットワークを介して前記集中制御局から前記アナログ参照信号を取得し、前記アナログ参照信号を前記アナログアップリンク信号と比較するべき比較信号として用いながら前記パルス幅変調処理を行うことで、前記パルス幅変調信号を生成し、
前記デジタル信号変換手段は、前記クロック信号に同期して前記抽出信号を前記デジタルアップリンク信号に変換する
請求項1に記載の無線アクセスシステム。
【請求項4】
前記アナログ信号変換手段は、前記クロック信号に同期して、前記デジタル参照信号を、信号レベルが二つの異なるレベルの間で離散的に変化する前記アナログ参照信号に変換する
請求項3に記載の無線アクセスシステム。
【請求項5】
前記光アップリンク信号が前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送される第1期間には、前記アナログ信号変換手段は、前記デジタル参照信号を前記アナログ参照信号に変換し、且つ、前記変調手段は、前記アナログ参照信号を前記比較信号として用いながら前記パルス幅変調処理を行うことで、前記パルス幅変調信号を生成し、
第1期間とは異なる第2期間には、前記アナログ信号変換手段は、前記集中制御局から前記アクセスポイントに伝送するべきデジタルダウンリンク信号を、アナログダウンリンク信号に変換し、且つ、前記変調手段は、前記パルス幅変調信号を生成しない
請求項3又は4に記載の無線アクセスシステム。
【請求項6】
光ネットワークを介してアクセスポイントに接続された集中制御局であって、
前記アクセスポイントは、前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成し、前記アナログ変調信号を光アップリンク信号に変換し、
前記集中制御局は、
前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を電気アップリンク信号に変換する電気信号変換手段と、
前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うフィルタ手段と、
前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換するデジタル信号変換手段と、
前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行う信号処理手段と
を備える集中制御局。
【請求項7】
集中制御局と、前記集中制御局と光ネットワークを介して接続されたアクセスポイントとを備える無線アクセスシステムを用いて行われる信号処理方法であって、
前記信号処理方法は、
前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成することと、
前記アナログ変調信号を、光アップリンク信号に変換することと、
前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を、電気アップリンク信号に変換することと、
前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うことと、
前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換することと、
前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行うことと
を備える信号処理方法。
【請求項8】
光ネットワークを介してアクセスポイントに接続された集中制御局を用いて行われる信号処理方法であって、
前記アクセスポイントは、前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成し、前記アナログ変調信号を光アップリンク信号に変換し、
前記信号処理方法は、
前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を電気アップリンク信号に変換することと、
前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うことと、
前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換することと、
前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行うことと
を備える信号処理方法。
【請求項9】
集中制御局と、前記集中制御局と光ネットワークを介して接続されたアクセスポイントとを備える無線アクセスシステムを用いて行われる信号処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記信号処理方法は、
前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成することと、
前記アナログ変調信号を、光アップリンク信号に変換することと、
前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を、電気アップリンク信号に変換することと、
前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うことと、
前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換することと、
前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行うことと
を備えるコンピュータプログラム。
【請求項10】
光ネットワークを介してアクセスポイントに接続された集中制御局を用いて行われる信号処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記アクセスポイントは、前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成し、前記アナログ変調信号を光アップリンク信号に変換し、
前記信号処理方法は、
前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を電気アップリンク信号に変換することと、
前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うことと、
前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換することと、
前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行うことと
を備えるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワークを介して接続された集中制御局及びアクセスポイントを備える無線アクセスシステム、光ネットワークを介してアクセスポイントに接続された集中制御局、無線アクセスシステム又は集中制御局で行われる信号処理方法、及び、信号処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルネットワークで用いられる無線アクセスシステムとして、光ファイバを含む光ネットワークを介して接続された集中制御局及びアクセスポイントを備える無線アクセスシステムが知られている。このような無線通信システムでは、集中制御局及びアクセスポイントの間で無線信号の送受信を行うための技術として、光ネットワークを介して無線信号を送受信するRoF(Radio over Fiber)技術が用いられることが検討されている。RoF技術を用いて集中制御局及びアクセスポイントの間で無線信号を送受信する方法の一例が、非特許文献1に記載されている。
【0003】
非特許文献1には更に、アップリンクにおいて、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)を用いた1ビット伝送を行うことが記載されている。具体的には、非特許文献1では、アクセスポイントは、アクセスポイントから集中制御局に伝送するべきアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、パルス幅変調信号を生成し、当該パルス幅変調信号を、光ネットワークを介して集中制御局に伝送する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ibrahim Can Sezgin et al.、“All-Digital,Radio-Over-Fiber,Communication Link Architecture for Time-Division Duplex Distributed Antenna Systems”、Journal of Lightwave Technology、Vol.39、No.9、pp.2769-2779、2021年5月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パルス幅変調を用いたRoFでは、パルス幅変調信号が光ネットワークを介してアクセスポイントから集中制御局に伝送される。アクセスポイントは、以下の手順で、アナログ変調信号を伝送する。具体的には、アクセスポイントは、アクセスポイントから集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成する。その後、アクセスポイントは、アナログ変調信号を用いて光信号を変調することで、光アップリンク信号を生成する。その後、アクセスポイントは、光ネットワークを介して光アップリンク信号を伝送することで、光ネットワークを介してアナログ変調信号を伝送する。
【0006】
この場合、集中制御局は、アクセスポイントから受信したアナログ変調信号を、デジタル信号に変換する必要がある。この場合、集中制御局は、アナログ変調信号を、デジタル信号に変換するために、入力されたアナログ変調信号の信号レベルを1ビットで表すデジタル信号に変換するAD(Analog to Digital)変換器を用いることができる。但し、この場合には、以下に示す技術的問題が生ずる。具体的には、AD変換器は、入力されたアナログ変調信号を所定のサンプリング周期で周期的にサンプリングすることで、アナログ変調信号の信号レベルを1ビットで表すデジタル信号を生成する。一方で、パルス幅変調信号のパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは、周期的に現れるとは限らない。なぜならば、パルス幅変調信号のパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは、アクセスポイントから集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号の信号レベルに依存して変化するからである。この場合、サンプリング周期によっては、AD変換器は、アナログ変調信号の信号レベルを精度よく示すデジタル信号を生成することができるとは限らない。その結果、集中制御局は、アナログアップリンク信号を精度よく示すデジタル信号を生成することができるとは限らない。
【0007】
本発明は、上述した技術的問題を解決可能な無線アクセスシステム、集中制御局、信号処理方法、及び、コンピュータプログラムを提供することを課題とする。一例として、本発明は、アクセスポイントから集中制御局に伝送されたパルス幅変調信号から、アクセスポイントから集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号を精度よく示すデジタル信号を適切に生成可能な無線アクセスシステム、集中制御局、信号処理方法、及び、コンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
無線アクセスシステムの一態様は、集中制御局と、前記集中制御局と光ネットワークを介して接続されたアクセスポイントとを備え、前記アクセスポイントは、前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成する変調手段と、前記アナログ変調信号を、光アップリンク信号に変換する光信号変換手段とを備え、前記集中制御局は、前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を、電気アップリンク信号に変換する電気信号変換手段と、前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うフィルタ手段と、前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換するデジタル信号変換手段と、前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行う信号処理手段とを備える。
【0009】
集中制御局の一態様は、光ネットワークを介してアクセスポイントに接続された集中制御局であって、前記アクセスポイントは、前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成し、前記アナログ変調信号を光アップリンク信号に変換し、前記集中制御局は、前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を電気アップリンク信号に変換する電気信号変換手段と、前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うフィルタ手段と、前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換するデジタル信号変換手段と、前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行う信号処理手段とを備える。
【0010】
信号処理方法の第1の態様は、集中制御局と、前記集中制御局と光ネットワークを介して接続されたアクセスポイントとを備える無線アクセスシステムを用いて行われる信号処理方法であって、前記信号処理方法は、前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成することと、前記アナログ変調信号を、光アップリンク信号に変換することと、前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を、電気アップリンク信号に変換することと、前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うことと、前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換することと、前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行うこととを備える。
【0011】
信号処理方法の第2の態様は、光ネットワークを介してアクセスポイントに接続された集中制御局を用いて行われる信号処理方法であって、前記アクセスポイントは、前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成し、前記アナログ変調信号を光アップリンク信号に変換し、前記信号処理方法は、前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を電気アップリンク信号に変換することと、前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うことと、前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換することと、前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行うこととを備える。
【0012】
コンピュータプログラムの第1の態様は、集中制御局と、前記集中制御局と光ネットワークを介して接続されたアクセスポイントとを備える無線アクセスシステムを用いて行われる信号処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、前記信号処理方法は、前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成することと、前記アナログ変調信号を、光アップリンク信号に変換することと、前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を、電気アップリンク信号に変換することと、前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うことと、前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換することと、前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行うこととを備える。
【0013】
コンピュータプログラムの第2の態様は、光ネットワークを介してアクセスポイントに接続された集中制御局を用いて行われる信号処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、前記アクセスポイントは、前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送するべきアナログアップリンク信号に対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号を生成し、前記アナログ変調信号を光アップリンク信号に変換し、前記信号処理方法は、前記光ネットワークを介して前記アクセスポイントから前記集中制御局に伝送された前記光アップリンク信号を電気アップリンク信号に変換することと、前記電気アップリンク信号に対して、前記電気アップリンク信号から前記アナログアップリンク信号に相当する信号成分を含むアナログ抽出信号を抽出するためのフィルタリング処理を行うことと、前記アナログ抽出信号を、前記アナログ抽出信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号に変換することと、前記デジタルアップリンク信号に対して所定のデジタル信号処理を行うこととを備える。
【発明の効果】
【0014】
上述した信号推定装置、無線アクセスシステム、集中制御局、信号処理方法、及び、コンピュータプログラムの夫々の態様によれば、アクセスポイントから集中制御局に伝送されたパルス幅変調信号から、アナログアップリンク信号を精度よく示すデジタル信号(デジタルアップリンク信号)を適切に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態における無線アクセスシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、集中制御局及びアクセスポイントの夫々の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、無線アクセスシステムを用いて行われる信号処理方法で生成される各信号の波形を示す。
【
図4】
図4は、比較例で行われる信号処理方法で生成される各信号の波形を示す。
【
図5】
図5は、第2実施形態における集中制御局、アクセスポイント及び光ネットワークの構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態における集中制御局、アクセスポイント及び光ネットワークの構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第4実施形態における集中制御局及びアクセスポイントの構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第5実施形態における集中制御局及びアクセスポイントの構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)の夫々は、無線アクセスシステムの他の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、無線アクセスシステム、集中制御局、信号処理方法、及び、コンピュータプログラムの実施形態が適用された無線アクセスシステムSYSを用いて、無線アクセスシステム、集中制御局、信号処理方法、及び、コンピュータプログラムの実施形態について説明する。但し、本発明が以下に説明する実施形態に限定されることはない。
【0017】
<1>第1実施形態の無線アクセスシステムSYS
初めに、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSについて説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSを、無線アクセスシステムSYSaと称する。
【0018】
<1-1>第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaの構成
はじめに、
図1を参照しながら、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaの構成について説明する。
図1は、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaの構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、無線アクセスシステムSYSaは、集中制御局1と、少なくとも一つのアクセスポイント2とを備えている。尚、
図1は、無線アクセスシステムSYSaが複数のアクセスポイント2を備えている例を示しているが、無線アクセスシステムSYSaは、単一のアクセスポイント2を備えていてもよい。
【0020】
集中制御局1と各アクセスポイント2とは、光ネットワーク3を介して接続されている。光ネットワーク3は、光ファイバ31を含むネットワークである。このため、集中制御局1は、集中制御局1から各アクセスポイント2に伝送するべきダウンリンク信号から、光信号である光ダウンリンク信号ODSを生成し、生成した光ダウンリンク信号ODSを、光ネットワーク3を介して各アクセスポイント2に伝送する。同様に、各アクセスポイント2は、各アクセスポイント2から集中制御局1に伝送するべきアップリンク信号から、光信号である光アップリンク信号OUSを生成し、生成した光アップリンク信号OUSを、光ネットワーク3を介して各アクセスポイント2に伝送する。
【0021】
第1実施形態では、集中制御局1と各アクセスポイント2とは、RoF(Radio over Fiber)技術を用いて信号を伝送する。この場合、集中制御局1は、集中制御局1から各アクセスポイント2に伝送するべきアナログダウンリンク信号ADSに基づいて光信号を変調する(例えば、強度変調する)ことで、変調された光信号を光ダウンリンク信号ODSとして生成してもよい。同様に、各アクセスポイント2は、各アクセスポイント2から集中制御局1に伝送するべきアナログアップリンク信号AUSに基づいて光信号を変調する(例えば、強度変調する)ことで、変調された光アップリンク信号OUSを生成してもよい。
【0022】
各アクセスポイント2は、無線ネットワーク5を介して、少なくとも一つのユーザ端末4と無線通信可能である。尚、無線ネットワーク5は、無線電波を用いて情報を伝送可能なネットワークを意味していてもよい。また、ユーザ端末4の一例として、携帯電話があげられる。例えば、各アクセスポイント2は、集中制御局1から受信したアナログダウンリンク信号ADSに基づいて、無線ダウンリンク信号を生成し、無線ネットワーク5を介して、無線ダウンリンク信号をユーザ端末4に伝送してもよい。例えば、各アクセスポイント2は、無線ネットワーク5を介して、ユーザ端末4から無線アップリンク信号RUSを受信し、無線アップリンク信号RUSに基づいてアナログアップリンク信号AUSを生成し、アナログアップリンク信号AUSを集中制御局1に伝送してもよい。
【0023】
このような無線アクセスシステムSYSaは、典型的には、移動通信システムに用いられてもよい。例えば、無線アクセスシステムSYSaは、ITU(International Telecommunication Union)が定める規定「IMT-2020」を満たす第5世代移動通信システムに用いられてもよい。例えば、無線アクセスシステムSYSaは、Beyond 5Gと称される移動通信システムに用いられてもよい。この場合、いわゆる基地局として機能する集中制御局1と、ベースバンド回路及びアンテナを含むアクセスポイント2とが、地理的に且つ機能的に分離可能となる。その結果、複数のアクセスポイント2によって夫々実現される複数の小型セルを、従来のマクロセル内に高密度に展開することができる。
【0024】
尚、集中制御局1は、センターユニット、集約局又はベースバンドユニットと称されてもよい。アクセスポイント2は、リモートユニット、張出局又はリモート無線ユニットと称されてもよい。
【0025】
<1-2>無線アクセスシステムSYSaを用いて行われる信号処理方法
続いて、無線アクセスシステムSYSaを用いて行われる信号処理方法について説明する。特に、以下では、無線アクセスシステムSYSaを用いて行われる信号処理方法について、集中制御局1及びアクセスポイント2の夫々の構成を示すブロック図である
図2を参照しながら、説明する。
【0026】
また、以下では、説明の便宜上、アップリンク信号を伝送するために行われる信号処理方法について説明する。つまり、アクセスポイント2から集中制御局1に対してアップリンク信号を伝送するために行われる信号処理方法について説明する。尚、集中制御局1からアクセスポイント2に対してダウンリンク信号を伝送するために行われる信号処理方法としては、既存の信号処理方法が用いられてもよい。
【0027】
図2に示すように、集中制御局1は、O/E(Optical to Electrical)変換器11と、アナログフィルタ12と、マルチビットAD(Analog to Digital)変換器13と、デジタル信号処理部14とを備えている。アクセスポイント2は、アンテナ21と、無線信号処理部22と、信号変調器23と、参照信号生成器24と、E/O変換器25とを備えている。
【0028】
尚、O/E変換器11は、「電気信号変換手段」又は「電気信号変換器」と称されてもよい。アナログフィルタ12は、「フィルタ手段」又は「フィルタ」と称されてもよい。マルチビットAD変換器13は、「デジタル信号変換手段」又は「デジタル信号変換器」と称されてもよい。デジタル信号処理部14は、「信号処理手段」と称されてもよい。無線信号処理部22は、「アップリンク信号生成手段」と称されてもよい。信号変調器23は、「変調手段」又は「変調器」と称されてもよい。E/O変換器25は、「光信号変換手段」又は「光信号変換器」と称されてもよい。
【0029】
アップリンク信号を伝送するために、アクセスポイント2のアンテナ21は、無線ネットワーク5を介して、ユーザ端末4から、アナログの無線信号(RF信号)である無線アップリンク信号(Radio Uplink Signal)RUSを受信する。アンテナ21が受信した無線アップリンク信号RUSは、アンテナ21から無線信号処理部22に入力される。
【0030】
無線信号処理部22は、無線アップリンク信号RUSに対して所定の無線信号処理を行うことで、アナログの電気信号であるアナログアップリンク信号(Analog Uplink Signal)AUSを生成する。無線信号処理は、無線アップリンク信号RUSを増幅する増幅処理を含んでいてもよい。無線信号処理は、無線アップリンク信号RUSからノイズ成分を除去するノイズ除去処理を含んでいてもよい。ノイズ除去処理は、ローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)を用いて低周波数成分をノイズ成分として除去する処理を含んでいてもよい。無線信号処理は、無線アップリンク信号RUSを、無線アップリンク信号RUSの周波数帯域よりも低い周波数帯域の信号にダウンコンバートする増幅処理を含んでいてもよい。一例として、無線信号処理は、無線アップリンク信号RUSを、無線アップリンク信号RUSの周波数帯域である100GHz(ギガヘルツ、以下同様)帯域よりも低い2GHz帯域のアナログアップリンク信号AUSにダウンコンバートする増幅処理を含んでいてもよい。無線信号処理部22が生成したアナログアップリンク信号AUSは、無線信号処理部22から信号変調器23に入力される。
【0031】
信号変調器23は、アナログアップリンク信号AUSに対して所定の変調処理を行うことで、アナログの電気信号であるアナログ変調信号(Analog Modulation Signal)AMSを生成する。第1実施形態では、信号変調器23が、アナログアップリンク信号AUSに対してパルス幅変調処理を行うことで、アナログ変調信号AMSを生成する例について説明する。この場合、信号変調器23は、アナログ参照信号ARefを用いて、アナログアップリンク信号AUSに対してパルス幅変調処理を行う。アナログ参照信号ARefは、参照信号生成器24が生成するアナログの電気信号である。アナログ参照信号ARefの一例として、三角波信号があげられる。信号変調器23は、比較器を用いてアナログ参照信号ARefの信号レベルとアナログアップリンク信号AUSの信号レベルとを比較することで、アナログアップリンク信号AUSの信号レベルに応じてパルス幅が変わるアナログのパルス信号であるアナログ変調信号AMSを生成する。信号変調器23が生成したアナログ変調信号AMSは、信号変調器23からE/O変換器25に入力される。
【0032】
尚、アナログ変調信号AMSは、アナログの電気信号であるものの、パルス信号であるがゆえに、
図2に示すように、各時刻におけるアナログ変調信号AMSの信号レベルは、実質的には、ローレベル及びハイレベルを含む2値レベルのいずれか一方となる。
【0033】
E/O変換器25は、アナログの電気信号であるアナログ変調信号AMSを、光信号である光アップリンク信号(Optical Uplink Signal)OUSに変換する。具体的には、E/O変換器25は、アナログ変調信号AMSに基づいて光信号を変調する(例えば、強度変調する)ことで、変調された光信号を光アップリンク信号OUSとして生成する。E/O変換器25が生成した光アップリンク信号OUSは、光ネットワーク3を介してアクセスポイント2から集中制御局1に伝送される。
【0034】
ここで、上述したように、各時刻におけるアナログ変調信号AMSの信号レベルがローレベル及びハイレベルを含む2値レベルのいずれか一方となるがゆえに、E/O変換器25の処理負荷が低下する。このため、E/O変換器25の低コスト化が可能となる。
【0035】
集中制御局1は、光ネットワーク3を介してアクセスポイント2から伝送される光アップリンク信号OUSを受信する。集中制御局1のO/E変換器11は、光信号である光アップリンク信号OUSを、アナログの電気信号である電気アップリンク信号(Electrical Uplink Signal)EUSに変換する。O/E変換器11が生成した電気アップリンク信号EUSは、O/E変換器11からアナログフィルタ12に入力される。尚、電気アップリンク信号EUSは、アナログアップリンク信号と称されてもよい。
【0036】
図2に示すように、電気アップリンク信号EUSは、アナログ変調信号AMSと同様に、アナログアップリンク信号AUSの信号レベルに応じてパルス幅が変わるアナログのパルス信号となる。但し、
図2に示すように、電気アップリンク信号EUSは、アナログ変調信号AMSと同様に、アナログの電気信号であるものの、パルス信号であるがゆえに、各時刻における電気アップリンク信号EUSの信号レベルは、実質的には、ローレベル及びハイレベルを含む2値レベルのいずれか一方となる。その結果、O/E変換器11の処理負荷が低下する。このため、O/E変換器11の低コスト化が可能となる。
【0037】
アナログフィルタ12は、電気アップリンク信号EUSに対して所定のフィルタリング処理を行うことで、電気アップリンク信号EUSから、アナログの電気信号であるアナログ抽出信号(Analog Extraction Signal)AESを抽出する。つまり、フィルタリング処理は、電気アップリンク信号EUSからアナログ抽出信号AESを抽出する処理である。アナログフィルタ12が抽出したアナログ抽出信号AESは、アナログフィルタ12からマルチビットAD変換器13に入力される。
【0038】
第1実施形態では、フィルタリング処理は、電気アップリンク信号EUSから、アナログアップリンク信号AUSに相当する信号成分を含むアナログ抽出信号AESを抽出するための処理を含む。このため、
図2に示すように、アナログ抽出信号AESは、アナログアップリンク信号AUSと概ね同様の波形を有するアナログの電気信号となる。
【0039】
アナログフィルタ12は、電気アップリンク信号EUSのうちのアナログアップリンク信号AUSに相当する第1信号成分を通過させる一方で、電気アップリンク信号EUSのうちの第1信号成分とは異なる第2信号成分をカットするフィルタであってもよい。一例として、アナログフィルタ12は、電気アップリンク信号EUSのうちのアナログアップリンク信号AUSの周波数帯域に含まれる第1信号成分を通過させる一方で、電気アップリンク信号EUSのうちの第1信号成分の周波数帯域とは異なる周波数帯域に含まれる第2信号成分をカットするフィルタであってもよい。このようなアナログフィルタ12の一例として、ローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)、バンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)及びハイパスフィルタ(HPF:High Pass Filter)があげられる。
【0040】
アナログフィルタ12のフィルタリング特性(例えば、周波数特性)は、アナログアップリンク信号AUSの特性に基づいて設定されてもよい。一例として、アナログフィルタ12のカットオフ周波数及び通過帯域の少なくとも一方は、アナログアップリンク信号AUSの周波数帯域及び中心周波数の少なくとも一方に基づいて設定されてもよい。
【0041】
マルチビットAD変換器13は、アナログの電気信号であるアナログ抽出信号AESを、デジタルの電気信号であるデジタルアップリンク信号(Digital Uplink Signal)DUSに変換する。具体的には、マルチビットAD変換器13は、所定のクロック信号によって特定されるサンプリング周期が経過するたびに、アナログ抽出信号AESをサンプリングし、サンプリングしたアナログ抽出信号AESの信号レベルを示すデジタルのビット(ビット信号)を、デジタルアップリンク信号DUSの一部として出力する。マルチビットAD変換器13が生成したデジタルアップリンク信号DUSは、マルチビットAD変換器13からデジタル信号処理部14に入力される。
【0042】
特に、マルチビットAD変換器13は、アナログ信号を、アナログ信号の信号レベルを2以上のビットで表すデジタル信号に変換するAD変換器である。このため、マルチビットAD変換器13は、アナログ抽出信号AESを、アナログ抽出信号AESの信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号DUSに変換する。つまり、マルチビットAD変換器13は、アナログ抽出信号AESを、アナログ抽出信号AESの信号レベルを2以上のビットで表すビット信号を含むデジタルアップリンク信号DUSに変換する。
【0043】
図2に示す例では、マルチビットAD変換器13は、アナログ抽出信号AESを、アナログ抽出信号AESの信号レベルを2ビットで表すデジタルアップリンク信号DUSに変換している。この場合、マルチビットAD変換器13は、サンプリング周期が経過するたびに、アナログ抽出信号AESをサンプリングし、サンプリングしたアナログ抽出信号AESの信号レベルを示す2ビットのビット信号を、デジタルアップリンク信号DUSの一部として出力する。2ビットのビット信号の値は、サンプリングしたアナログ抽出信号AESの信号レベルに応じて、「00」、「01」、「10」及び「11」のいずれかに設定される。
【0044】
デジタル信号処理部14は、デジタルアップリンク信号DUSに対して所定のデジタル信号処理を行う。デジタル信号処理は、デジタルアップリンク信号DUSを、無線アップリンク信号RUSの同相成分(言い換えれば、In-Phase成分であり、I軸成分)に相当するI軸信号成分と、無線アップリンク信号RUSの直交位相相成分(言い換えれば、Quadrature-Phase成分であり、Q軸成分)に相当するQ軸信号成分とに分離する処理を含んでいてもよい。デジタル信号処理は、デジタルアップリンク信号DUS(或いは、I軸信号成分及びQ軸信号成分)を復調する処理を含んでいてもよい。
【0045】
<1-3>無線アクセスシステムSYSaの技術的効果
以上説明したように、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaでは、集中制御局1は、アナログフィルタ12を用いて、電気アップリンク信号EUSから、アナログアップリンク信号AUSに相当する信号成分を含むアナログ抽出信号AESを抽出する。このため、信号処理方法で生成される各信号の波形を示す
図3に示すように、集中制御局1は、アナログアップリンク信号AUSと実質的に同じ波形を有するアナログ抽出信号AESを抽出することができる。その上で、集中制御局1は、アナログ抽出信号AESを、アナログ抽出信号AESの信号レベルを2以上のビットで表すデジタルアップリンク信号DUSに変換する。このため、
図3に示すように、集中制御局1は、アナログアップリンク信号AUSの信号レベルを精度よく示すデジタルアップリンク信号DUSを生成することができる。従って、集中制御局1は、アクセスポイント2がパルス幅変調処理によって生成されたアナログ変調信号AMSを伝送する場合であっても、アナログアップリンク信号AUSの信号レベルを精度よく示すデジタルアップリンク信号DUSを適切に生成することができる。つまり、無線アクセスシステムSYSaは、パルス幅変調処理によって生成されたアナログ変調信号AMSを伝送することでE/O変換器25及びO/E変換器11のコストを低減しつつも、アナログ変調信号AMSに代えてアナログアップリンク信号AUSそのものを集中制御局1に伝送した場合に生成されるデジタルアップリンク信号DUSと同様のデジタルアップリンク信号DUSを生成することができる。
【0046】
尚、比較例として、集中制御局1は、1ビットAD変換器を用いて、電気アップリンク信号EUSからデジタルアップリンク信号DUSを生成することもできる。尚、1ビットAD変換器は、アナログ信号を、アナログ信号の信号レベルを1ビットで表すデジタル信号に変換するAD変換器である。この場合、1ビットAD変換器を用いて生成されるデジタルアップリンク信号DSUを示す
図4に示すように、1ビットAD変換器は、電気アップリンク信号EUSを所定のサンプリング周期で周期的にサンプリングすることで、電気アップリンク信号EUSの信号レベルを1ビットで表すデジタルアップリンク信号DSUを生成する。一方で、電気アップリンク信号EUSのパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは、周期的に現れるとは限らない。つまり、電気アップリンク信号EUSの信号レベルは、サンプリング周期に同期するタイミングで変化するとは限らない。なぜならば、電気アップリンク信号EUSのパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは、アナログアップリンク信号AUSの信号レベルに依存して変化するからである。この場合、サンプリング周期によっては、
図4に示すように、1ビットAD変換器は、電気アップリンク信号EUSの信号レベル(つまり、アナログ変調信号AMSの信号レベル)を精度よく示すデジタルアップリンク信号DSUを生成することができるとは限らない。その結果、集中制御局1は、アナログアップリンク信号AUSを精度よく示すデジタルアップリンク信号DSUを生成することができるとは限らないといいう技術的課題を有している。しかしながら、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaは、アナログフィルタ12とマルチビットAD変換器13とを用いて、このような技術津的問題を解決することができる。
【0047】
尚、比較例においても、1ビットAD変換器のサンプリング周期を短くする(つまり、サンプリングレートを高くする)ことで、電気アップリンク信号EUSの信号レベル(つまり、アナログ変調信号AMSの信号レベル)を精度よく示すデジタルアップリンク信号DSUを生成することも可能である。しかしながら、一例として、100GHz帯域の無線アップリンク信号RUSが用いられる5G等においては、1ビットAD変換器のサンプリング周期を、1秒間に数兆回のサンプリングが可能となる非常に短い周期に設定する必要がある。1ビットAD変換器のサンプリングレートを、1秒間に数兆回のサンプリングが可能となる非常に高いレートに設定する必要がある。このため、1ビットAD変換器のサンプリング周期を短くする対策には、限界がある。従って、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaは、マルチビットAD変換器13のサンプリング周期を過度に短くする必要がないという点でも有益である。つまり、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaは、精度が高いデジタルアップリンク信号DSUを生成するためにマルチビットAD変換器13に要求される性能の制約(典型的には、サンプリング周期の制約)が緩くなるという点で有益である。
【0048】
<2>第2実施形態の無線アクセスシステムSYS
続いて、第2実施形態の無線アクセスシステムSYSについて説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、第2実施形態の無線アクセスシステムSYSを、無線アクセスシステムSYSbと称する。第2実施形態の無線アクセスシステムSYSbは、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaと比較して、集中制御局1、少なくとも一つのアクセスポイント2及び光ネットワーク3に代えて、集中制御局1b、少なくとも一つのアクセスポイント2b及び光ネットワーク3bを備えているという点で異なる。無線アクセスシステムSYSbのその他の特徴は、無線アクセスシステムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。
【0049】
このため、以下では、
図5を参照しながら、第2実施形態の集中制御局1b、少なくとも一つのアクセスポイント2b及び光ネットワーク3bについて説明する。
図5は、第2実施形態の集中制御局1b、アクセスポイント2b及び光ネットワーク3bの構成を示すブロック図である。尚、以下の説明では、既に説明済みの構成要素については、同一の参照符号を付することで、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図5に示すように、集中制御局1bは、集中制御局1と比較して、二つのO/E変換器11と、二つのアナログフィルタ12と、二つのマルチビットAD変換器13とを備えているという点で異なる。具体的には、集中制御局1bは、O/E変換器11#I及び11#Qと、アナログフィルタ12#I及び12#Qと、マルチビットAD変換器13#I及び13#Qとを備えている。集中制御局1bのその他の特徴は、集中制御局1のその他の特徴と同一であってもよい。
【0051】
更に、アクセスポイント2bは、アクセスポイント2と比較して、二つの信号変調器23と、二つのE/O変換器25とを備えているという点で異なる。具体的には、アクセスポイント2bは、信号変調器23#I及び23#Qと、E/O変換器25#I及び25#Qとを備えている。アクセスポイント2bのその他の特徴は、アクセスポイント2のその他の特徴と同一であってもよい。
【0052】
更に、光ネットワーク3bは、光ネットワーク3と比較して、二つの光ファイバ31を備えているという点で異なる。具体的には、光ネットワーク3bは、光ファイバ31#I及び31#Qを備えている。光ネットワーク3bのその他の特徴は、光ネットワーク3のその他の特徴と同一であってもよい。
【0053】
続いて、このような第2実施形態の無線アクセスシステムSYSbを用いて行われる信号処理方法について説明する。
【0054】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、アクセスポイント2のアンテナ21は、無線ネットワーク5を介して、ユーザ端末4から、無線アップリンク信号RUSを受信する。その後、無線信号処理部22は、無線アップリンク信号RUSに対して所定の無線信号処理を行うことで、アナログアップリンク信号AUSを生成する。第2実施形態では特に、無線信号処理は、無線アップリンク信号RUSから、無線アップリンク信号RUSの同相成分に相当するアナログアップリンク信号AUS(具体的には、アナログアップリンク信号AUS#I)と、無線アップリンク信号RUSの直交位相成分に相当するアナログアップリンク信号AUS(具体的には、アナログアップリンク信号AUS#Q)との夫々を生成するIQ分離処理を含む。無線信号処理部22が生成したアナログアップリンク信号AUS#Iは、無線信号処理部22から信号変調器23#Iに入力される。無線信号処理部22が生成したアナログアップリンク信号AUS#Qは、無線信号処理部22から信号変調器23#Qに入力される。
【0055】
信号変調器23#Iは、アナログアップリンク信号AUS#Iに対して所定の変調処理を行うことで、アナログ変調信号AMS(具体的には、アナログ変調信号AMS#I)を生成する。信号変調器23#Qは、アナログアップリンク信号AUS#Iに対して所定の変調処理を行うことで、アナログ変調信号AMS(具体的には、アナログ変調信号AMS#Q)を生成する。
【0056】
E/O変換器25#Iは、アナログ変調信号AMS#Iを、光アップリンク信号OUS(具体的には、光アップリンク信号OUS#I)に変換する。E/O変換器25#Qは、アナログ変調信号AMS#Qを、光アップリンク信号OUS(具体的には、光アップリンク信号OUS#Q)に変換する。
【0057】
E/O変換器25#Iが生成した光アップリンク信号OUS#Iは、光ネットワーク3b(特に、光ファイバ31#I)を介してアクセスポイント2bから集中制御局1bに伝送される。E/O変換器25#Qが生成した光アップリンク信号OUS#Qは、光ネットワーク3b(特に、光ファイバ31#Q)を介してアクセスポイント2bから集中制御局1bに伝送される。
【0058】
尚、E/O変換器25#I及び25#Qとして、波長多重可能なE/O変換器が用いられる場合には、アクセスポイント2bは、同じ光ファイバ31を介して、光アップリンク信号OUS#I及び#Qを集中制御局1bに伝送してもよい。波長多重可能なE/O変換器の一例として、QSFP(Quad Small Form-factor Pluggable)があげられる。
【0059】
O/E変換器11#Iは、光アップリンク信号OUS#Iを、電気アップリンク信号EUS(具体的には、電気アップリンク信号EUS#I)に変換する。O/E変換器11#Qは、光アップリンク信号OUS#Qを、電気アップリンク信号EUS(具体的には、電気アップリンク信号EUS#Q)に変換する。
【0060】
アナログフィルタ12#Iは、電気アップリンク信号EUS#Iに対して所定のフィルタリング処理を行うことで、電気アップリンク信号EUS#Iから、アナログ抽出信号AES(具体的には、アナログ抽出信号AES#I)を抽出する。アナログ抽出信号AES#Iは、アナログアップリンク信号AUS#Iに相当する信号成分を含む信号である。アナログフィルタ12#Qは、電気アップリンク信号EUS#Qに対して所定のフィルタリング処理を行うことで、電気アップリンク信号EUS#Qから、アナログ抽出信号AES(具体的には、アナログ抽出信号AES#Q)を抽出する。アナログ抽出信号AES#Qは、アナログアップリンク信号AUS#Qに相当する信号成分を含む信号である。
【0061】
マルチビットAD変換器13#Iは、アナログ抽出信号AES#Iをデジタルアップリンク信号DUS(具体的には、デジタルアップリンク信号DUS#I)に変換する。マルチビットAD変換器13#Qは、アナログ抽出信号AES#Qをデジタルアップリンク信号DUS(具体的には、デジタルアップリンク信号DUS#Q)に変換する。
【0062】
デジタル信号処理部14は、デジタルアップリンク信号DUS#I及び#Qに対して所定のデジタル信号処理を行う。
【0063】
このように、第2実施形態では、無線アクセスシステムSYSbは、IQ分離処理によって生成された二つの信号(具体的には、アナログアップリンク信号AUS#I及び#Q)を用いた信号処理を行うことができる。ここで、IQ分離処理によって生成されたアナログアップリンク信号AUS#I及びAUS#Qの中心周波数は、典型的には、IQ分離処理を用いることなく生成された第1実施形態のアナログアップリンク信号AUSの中心周波数よりも低くなる。場合によっては、IQ分離処理によって生成されたアナログアップリンク信号AUS#I及びAUS#Qの中心周波数は、0Hzに設定されてもよい。その結果、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、精度が高いデジタルアップリンク信号DSUを生成するためにマルチビットAD変換器13に要求される性能の制約(典型的には、サンプリング周期の制約)がより一層緩くなる。更には、マルチビットAD変換器13に要求される性能の制約の緩和に伴い、アクセスポイント2bが備えるE/O変換器25及び集中制御局1bが備えるO/E変換器11のコストを更に低減可能となる。
【0064】
<3>第3実施形態の無線アクセスシステムSYS
続いて、第3実施形態の無線アクセスシステムSYSについて説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、第3実施形態の無線アクセスシステムSYSを、無線アクセスシステムSYScと称する。第3実施形態の無線アクセスシステムSYScは、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaと比較して、集中制御局1、少なくとも一つのアクセスポイント2及び光ネットワーク3に代えて、集中制御局1c、少なくとも一つのアクセスポイント2c及び光ネットワーク3cを備えているという点で異なる。無線アクセスシステムSYScのその他の特徴は、無線アクセスシステムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。
【0065】
このため、以下では、
図6を参照しながら、第3実施形態の集中制御局1c、少なくとも一つのアクセスポイント2c及び光ネットワーク3cについて説明する。
図6は、第3実施形態の集中制御局1c、アクセスポイント2c及び光ネットワーク3cの構成を示すブロック図である。
【0066】
図6に示すように、集中制御局1cは、集中制御局1と比較して、マルチビットDA(Digital to Analog)変換器15cと、クロック信号生成器16cと、E/O変換器17cとを備えているという点で異なる。集中制御局1cのその他の特徴は、集中制御局1のその他の特徴と同一であってもよい。尚、マルチビットDA変換器15cは、アナログ信号変換手段と称されてもよい。
【0067】
更に、アクセスポイント2cは、アクセスポイント2と比較して、参照信号生成器24を備えていなくてもよいという点で異なる。更に、アクセスポイント2cは、アクセスポイント2と比較して、O/E変換器26cを備えているという点で異なる。アクセスポイント2cのその他の特徴は、アクセスポイント2のその他の特徴と同一であってもよい。
【0068】
更に、光ネットワーク3cは、光ネットワーク3と比較して、光ファイバ31cを更に備えているという点で異なる。光ネットワーク3cのその他の特徴は、光ネットワーク3のその他の特徴と同一であってもよい。
【0069】
続いて、このような第3実施形態の無線アクセスシステムSYScを用いて行われる信号処理方法について説明する。尚、以下の説明では、第3実施形態の無線アクセスシステムSYScを用いて行われる信号処理方法と、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaを用いて行われる信号処理方法との相違点を主として説明する。従って、特段の説明がない場合には、無線アクセスシステムSYScは、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaを用いて行われる信号処理方法と同様の信号処理方法を行ってもよい。
【0070】
第3実施形態の無線アクセスシステムSYScを用いて行われる信号処理方法は、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaを用いて行われる信号処理方法と比較して、集中制御局1cのマルチビットAD変換器13が、クロック信号生成器16cが生成した所定のクロック信号CLKに同期して、アナログ抽出信号AESをデジタルアップリンク信号DUSに変換するという点で異なる。例えば、マルチビットAD変換器13は、クロック信号CLKによって特定されるサンプリング周期が経過するたびに、アナログ抽出信号AESをサンプリングし、サンプリングしたアナログ抽出信号AESの信号レベルを示すビット信号を、デジタルアップリンク信号DUSの一部として出力する。
【0071】
更に、第3実施形態の無線アクセスシステムSYScを用いて行われる信号処理方法は、第1実施形態の無線アクセスシステムSYSaを用いて行われる信号処理方法と比較して、マルチビットDA変換器15cは、デジタルの電気信号であるデジタル参照信号DRefを、アナログの電気信号であるアナログ参照信号ARefに変換するという点で異なる。特に、マルチビットDA変換器15cは、クロック信号生成器16cが生成した所定のクロック信号CLKに同期して、デジタル参照信号DRefをアナログ参照信号ARefに変換する。つまり、マルチビットDA変換器15cは、マルチビットAD変換器13がデジタルアップリンク信号DUSを生成するために用いるクロック信号CLKに同期して、デジタル参照信号DRefをアナログ参照信号ARefに変換する。
【0072】
マルチビットDA変換器15cが生成したアナログ参照信号ARefは、マルチビットDA変換器15cからE/O変換器17cに入力される。E/O変換器17cは、アナログの電気信号であるアナログ参照信号ARefを、光信号である光参照信号(Optical Reference Signal)ORefに変換する。具体的には、E/O変換器17cは、アナログ参照信号ARefに基づいて光信号を変調する(例えば、強度変調する)ことで、変調された光信号を光参照信号ORefとして生成する。E/O変換器17cが生成した光参照信号ORefは、光ネットワーク3c(特に、光ファイバ31c)を介して集中制御局1cからアクセスポイント2cに伝送される。
【0073】
O/E変換器26cは、光信号である光参照信号ORefを、アナログの電気信号であるアナログ参照信号ARefに変換する。つまり、O/E変換器26cは、E/O変換器17cにおいて光参照信号ORefに変換されたアナログ参照信号ARefを、光参照信号ORefから復元する。
【0074】
O/E変換器26cが生成したアナログ参照信号ARefは、信号変調器23に入力される。信号変調器23は、アナログアップリンク信号AUSに対して、O/E変換器26cが生成したアナログ参照信号ARefを用いた所定の変調処理を行うことで、アナログ変調信号AMSを生成する。
【0075】
このように、第3実施形態では、デジタルアップリンク信号DUSを生成するマルチビットAD変換器13と、アナログ参照信号ARefを生成するマルチビットDA変換器15cとは、同じクロック信号CLKに基づくタイミングで動作する。更に、アナログ参照信号ARefがクロック信号CLKに同期して生成されるがゆえに、アナログ参照信号Arefを用いてアナログ変調信号AMSを生成する信号変調器23もまた、実質的には、クロック信号CLKに基づくタイミングで動作していると言える。このため、マルチビットAD変換器13は、信号変調器23がアナログアップリンク信号AUSを生成するタイミングに同期して、アナログアップリンク信号AUSを生成することができる。このため、デジタルアップリンク信号DUSのジッタの影響が低減可能となる。
【0076】
尚、第2実施形態の無線アクセスシステムSYSbが、第3実施形態の無線アクセスシステムSYScに固有の構成要素を備えていてもよい。第3実施形態の無線アクセスシステムSYScに固有の構成要素は、クロック信号CLKを用いた処理に関する構成要素及びアナログ参照信号ARefの生成に関する構成要素の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0077】
<4>第4実施形態の無線アクセスシステムSYS
続いて、第4実施形態の無線アクセスシステムSYSについて説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、第4実施形態の無線アクセスシステムSYSを、無線アクセスシステムSYSdと称する。第4実施形態の無線アクセスシステムSYSdは、第3実施形態の無線アクセスシステムSYScと比較して、集中制御局1c及びアクセスポイント2cに代えて、集中制御局1d及びアクセスポイント2dを備えているという点で異なる。無線アクセスシステムSYSdのその他の特徴は、無線アクセスシステムSYScのその他の特徴と同一であってもよい。
【0078】
このため、以下では、
図7を参照しながら、第4実施形態の集中制御局1d及びアクセスポイント2dについて説明する。
図7は、第4実施形態の集中制御局1d及びアクセスポイント2dの構成を示すブロック図である。
【0079】
図7に示すように、集中制御局1dは、集中制御局1cと比較して、マルチビットDA変換器15cに代えて、1ビットDA変換器15dを備えているという点で異なる。更に、集中制御局1dは、集中制御局1cと比較して、1ビット信号変調器18dを備えているという点で異なる。集中制御局1dのその他の特徴は、集中制御局1cのその他の特徴と同一であってもよい。尚、1ビットDA変換器15d及び1ビット信号変調器18dのそれぞれは、アナログ信号変換手段と称されてもよい。
【0080】
更に、アクセスポイント2dは、アクセスポイント2cと比較して、ローパスフィルタ(LPF)27dを備えているという点で異なる。アクセスポイント2dのその他の特徴は、アクセスポイント2cのその他の特徴と同一であってもよい。
【0081】
続いて、このような第4実施形態の無線アクセスシステムSYSdを用いて行われる信号処理方法について説明する。尚、以下の説明では、第4実施形態の無線アクセスシステムSYSdを用いて行われる信号処理方法と、第3実施形態の無線アクセスシステムSYScを用いて行われる信号処理方法との相違点を主として説明する。従って、特段の説明がない場合には、無線アクセスシステムSYSdは、第3実施形態の無線アクセスシステムSYScを用いて行われる信号処理方法と同様の信号処理方法を行ってもよい。
【0082】
第4実施形態の無線アクセスシステムSYSdを用いて行われる信号処理方法は、第3実施形態の無線アクセスシステムSYScを用いて行われる信号処理方法と比較して、集中制御局1dがデジタル参照信号DRefからアナログ参照信号ARefを生成する方向が異なる。具体的には、集中制御局1dの1ビット信号変調器18dは、デジタル参照信号DRefに対して所定のデジタル変調処理を行うことで、1ビット信号処理が可能なデジタル信号であるデジタル変調信号DRef_modを生成する。1ビット信号処理が可能なデジタル信号を生成可能なデジタル変調処理の一例として、パルス幅変調処理及びΔΣ変調処理の少なくとも一方があげられる。その後、1ビットDA変換器15dは、デジタルの電気信号であるデジタル変調信号DRef_modを、アナログの電気信号であるアナログ参照信号ARefに変換する。ここで、上述したようにデジタル変調信号DRef_modが、1ビット信号処理が可能なデジタル信号であるがゆえに、アナログ参照信号ARefの信号レベルは、実質的には、ローレベル及びハイレベルを含む2値レベルのいずれか一方となる。その結果、アナログ参照信号ARefを伝送するE/O変換器17c及びO/E変換器26cの処理負荷が低下する。このため、E/O変換器17c及びO/E変換器26cの低コスト化が可能となる。
【0083】
1ビットDA変換器15dが生成したアナログ参照信号ARefは、光参照信号ORefとして、集中制御局1dからアクセスポイント2dに伝送される。その結果、第4実施形態においても、第3実施形態と同様に、信号変調器23は、アナログアップリンク信号AUSに対して、O/E変換器26cが生成したアナログ参照信号ARefを用いた所定の変調処理を行うことで、アナログ変調信号AMSを生成する。但し、第4実施形態では、O/E変換器26cが生成したアナログ参照信号ARefは、ローパスフィルタ27dを通過した後に信号変調器23に入力される。その結果、信号変調器23は、ローパスフィルタ27dによって高周波のノイズ成分が除去されたアナログ参照信号ARefを用いて、所定の変調処理を行うことができる。つまり、信号変調器23は、適切な波形のアナログ参照信号ARef(例えば、三角波信号であるアナログ参照信号ARef)を用いて、所定の変調処理を行うことができる。
【0084】
このように、第4実施形態の無線アクセスシステムSYSdは、第3実施形態の無線アクセスシステムSYScが享受しながら、E/O変換器17c及びO/E変換器26cの低コスト化を実現することができる。
【0085】
<5>第5実施形態の無線アクセスシステムSYS
続いて、第5実施形態の無線アクセスシステムSYSについて説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、第5実施形態の無線アクセスシステムSYSを、無線アクセスシステムSYSeと称する。第5実施形態の無線アクセスシステムSYSdは、第4実施形態の無線アクセスシステムSYSdと比較して、集中制御局1d及びアクセスポイント2dに代えて、集中制御局1e及びアクセスポイント2eを備えているという点で異なる。無線アクセスシステムSYSeのその他の特徴は、無線アクセスシステムSYSdのその他の特徴と同一であってもよい。
【0086】
このため、以下では、
図8を参照しながら、第5実施形態の集中制御局1e及びアクセスポイント2eについて説明する。
図8は、第5実施形態の集中制御局1e及びアクセスポイント2eの構成を示すブロック図である。
【0087】
図8に示すように、集中制御局1eは、集中制御局1eと比較して、スイッチ19eを備えているという点で異なる。集中制御局1eのその他の特徴は、集中制御局1dのその他の特徴と同一であってもよい。更に、アクセスポイント2eは、アクセスポイント2dと比較して、スイッチ28eと無線信号処理部29eとを備えているという点で異なる。アクセスポイント2eのその他の特徴は、アクセスポイント2dのその他の特徴と同一であってもよい。
【0088】
続いて、このような第5実施形態の無線アクセスシステムSYSeを用いて行われる信号処理方法について説明する。尚、以下の説明では、第5実施形態の無線アクセスシステムSYSdを用いて行われる信号処理方法と、第4実施形態の無線アクセスシステムSYSdを用いて行われる信号処理方法との相違点を主として説明する。従って、特段の説明がない場合には、無線アクセスシステムSYSeは、第4実施形態の無線アクセスシステムSYSdを用いて行われる信号処理方法と同様の信号処理方法を行ってもよい。
【0089】
第5実施形態の無線アクセスシステムSYSeを用いて行われる信号処理方法は、第4実施形態の無線アクセスシステムSYSdを用いて行われる信号処理方法と比較して、集中制御局1eにおいて、スイッチ19eにより、1ビット信号変調器18dに入力される信号が切り替えられる。具体的には、スイッチ19eは、1ビット信号変調器18dに入力される信号を、デジタル参照信号DRefと、集中制御局1eからアクセスポイント2eに伝送するべきデジタルの電気信号であるデジタルダウンリンク信号DDSとの間で切り替える。
【0090】
スイッチ19eは、集中制御局1eがダウンリンク信号(デジタルダウンリンク信号DDS)をアクセスポイント2eに伝送しないタイミングで、デジタル参照信号DRefが1ビット信号変調器18dに入力されるように、1ビット信号変調器18dに入力される信号を切り替えてもよい。一方で、スイッチ19eは、集中制御局1eがダウンリンク信号(デジタルダウンリンク信号DDS)をアクセスポイント2eに伝送するタイミングで、デジタルダウンリンク信号DDSが1ビット信号変調器18dに入力されるように、1ビット信号変調器18dに入力される信号を切り替えてもよい。
【0091】
更に、第5実施形態の無線アクセスシステムSYSeを用いて行われる信号処理方法は、第4実施形態の無線アクセスシステムSYSdを用いて行われる信号処理方法と比較して、アクセスポイント2eにおいて、スイッチ28eにより、O/E変換器26cから出力される信号の出力対象が切り替えられる。具体的には、スイッチ28eは、O/E変換器26cから出力される信号の出力対象を、ローパスフィルタ27dと、無線信号処理部29eとの間で切り替える。
【0092】
1ビット変調器18dにデジタル参照信号DRefが入力されている場合には、第4実施形態で説明したように、1ビット信号変調器18dは、デジタル変調信号DRef_modを生成し、1ビットDA変換器15dは、アナログ参照信号ARefを生成、E/O変換器17cは、光参照信号ORefを伝送する。更に、この場合には、光参照信号ORefを受信したO/E変換器26cが生成したアナログ参照信号ARefは、ローパスフィルタ27dを介して、信号変調器23に入力される。
【0093】
一方で、1ビット変調器18dにデジタルダウンリンク信号DDSが入力されている場合には、1ビット信号変調器18dは、デジタルダウンリンク信号DDSに対して所定のデジタル変調処理を行うことで、1ビット信号処理が可能なデジタル信号であるデジタルダウンリンク変調信号DDMSを生成する。その後、1ビットDA変換器15dは、デジタルの電気信号であるデジタルダウンリンク変調信号DDMSを、アナログの電気信号であるアナログダウンリンク変調信号ADMSに変換する。ここで、デジタルダウンリンク変調信号DDMSが、1ビット信号処理が可能なデジタル信号であるがゆえに、アナログダウンリンク変調信号ADMSの信号レベルは、実質的には、ローレベル及びハイレベルを含む2値レベルのいずれか一方となる。その結果、アナログダウンリンク変調信号ADMSを伝送するE/O変換器17c及びO/E変換器26cの処理負荷が低下する。このため、E/O変換器17c及びO/E変換器26cの低コスト化が可能となる。
【0094】
1ビットDA変換器15dが生成したアナログダウンリンク変調信号ADMSは、光ダウンリンク信号ODSとして、集中制御局1eからアクセスポイント2eに伝送される。O/E変換器26cは、光信号である光ダウンリンク信号ODSを、アナログの電気信号であるアナログダウンリンク信号ADSに変換する。O/E変換器26cが生成したアナログダウンリンク信号ADSは、無線信号処理部29eに入力される。無線信号処理部29eは、アナログダウンリンク信号ADSに対して所定の無線信号処理を行うことで、無線ダウンリンク信号RDSを生成する。無線信号処理部29eが生成した無線ダウンリンク信号RDSは、アンテナ21を介してユーザ端末4に伝送される。
【0095】
このように、第5実施形態の無線アクセスシステムSYSeは、ダウンリンク信号を伝送するための伝送リンク(ダウンリンク)を用いて、アナログ参照信号ARefを集中制御局1eからアクセスポイント2eに伝送することができる。このため、無線アクセスシステムSYSeは、アナログ参照信号ARefを伝送するための専用の伝送リンクを備えていなくてもよくなるため、無線アクセスシステムSYSeの低コスト化が可能である。
【0096】
尚、
図9に示すように、第3実施形態の無線アクセスシステムSYScもまた、第5実施形態の無線アクセスシステムSYSeに固有の構成要素を備えていてもよい。第5実施形態の無線アクセスシステムSYSeに固有の構成要素は、ダウンリンク信号を伝送するための伝送リンク(ダウンリンク)を用いて、アナログ参照信号ARefを集中制御局1eからアクセスポイント2eに伝送するための構成要素を含んでいてもよい。
【0097】
<6>変形例
上述した説明では、集中制御局1が備えるアナログフィルタ12、マルチビットAD変換器13及びデジタル信号処理部14の夫々がハードウェアである例について説明している。しかしながら、アナログフィルタ12、マルチビットAD変換器13及びデジタル信号処理部14の少なくとも一つが行う処理が、ソフトウェアによって実現されてもよい。例えば、
図9(a)に示すように、集中制御局1は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置110と、メモリ等の記憶装置120とを備えていてもよい。演算装置110は、記憶装置120に記録されたコンピュータプログラムを実行してもよい。その結果、演算装置110内には、アナログフィルタ12、マルチビットAD変換器13及びデジタル信号処理部14のうちの少なくとも一つが行う処理を行う論理的な処理ブロックが実現されてもよい。
【0098】
上述した説明では、アクセスポイント2が備える無線信号処理部22、信号変調器23及び参照信号生成器24の夫々がハードウェアである例について説明している。しかしながら、無線信号処理部22、信号変調器23及び参照信号生成器24の少なくとも一つが行う処理が、ソフトウェアによって実現されてもよい。例えば、
図9(b)に示すように、アクセスポイント2は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置210と、メモリ等の記憶装置220とを備えていてもよい。演算装置210は、記憶装置220に記録されたコンピュータプログラムを実行してもよい。その結果、演算装置210内には、無線信号処理部22、信号変調器23及び参照信号生成器24のうちの少なくとも一つが行う処理を行う論理的な処理ブロックが実現されてもよい。
【0099】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う通信システム、送信装置、受信装置、送信方法、受信方法、及び、コンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
SYS 無線アクセスステム
1 集中制御局
11 O/E変換器
12 アナログフィルタ
13 マルチビットAD変換器
14 デジタル信号処理部
2 アクセスポイント
21 アンテナ
22 無線信号処理部
23 信号変調器
24 参照信号生成器
25 E/O変換器
3 光ネットワーク
31 光ファイバ