(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064017
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】加熱調理釜
(51)【国際特許分類】
A47J 27/17 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
A47J27/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172292
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】592190497
【氏名又は名称】桐山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 信幸
(72)【発明者】
【氏名】神田 悠佑
(72)【発明者】
【氏名】中村 英夫
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA03
4B054AA16
4B054AB01
4B054BA05
4B054BC06
4B054CC14
(57)【要約】
【課題】本発明は、内釜の底部中央部に開閉可能な排水口を有し、内釜の底部中央部をその外周側の底部外周部よりも高温に加熱することが可能な加熱調理釜を提供する。
【解決手段】加熱調理釜1は、食材を収容する内釜2と、その内釜2の底部中央部21に設けられた排水口3と、内釜2の底部中央部21の排水口3を除く部分および底部中央部21よりも外周側の底部外周部22を内釜2の外側から覆う外釜4と、を備える。加熱調理釜1は、内釜2と外釜4との間に形成される加熱室5と、その加熱室5を内釜2の底部中央部21に隣接する中央加熱室51と内釜2の底部外周部22に隣接する外周加熱室52とに区画する隔壁6と、中央加熱室51へ水蒸気を供給する蒸気供給管7と、中央加熱室51と外周加熱室52とを連通する通気路53と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を収容する内釜と、
前記内釜の底部中央部に設けられた排水口と、
前記内釜の前記底部中央部の前記排水口を除く部分および前記底部中央部よりも外周側の底部外周部を前記内釜の外側から覆う外釜と、
前記内釜と前記外釜との間に形成される加熱室と、
前記加熱室を前記内釜の前記底部中央部に隣接する中央加熱室と前記内釜の前記底部外周部に隣接する外周加熱室とに区画する隔壁と、
前記中央加熱室へ水蒸気を供給する蒸気供給管と、
前記中央加熱室と前記外周加熱室とを連通する通気路と、
を備えることを特徴とする加熱調理釜。
【請求項2】
前記蒸気供給管は、前記加熱室の内部に配置され、前記外釜の側壁に設けられた蒸気供給口に連結される蒸気入口と、前記隔壁を貫通して前記中央加熱室に開口する蒸気出口と、を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理釜。
【請求項3】
前記隔壁は、前記内釜に固定された上部分と、前記外釜に固定された下部分と、前記上部分と前記下部分との間に配置される中間リングと、を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理釜。
【請求項4】
前記排水口を囲む前記外釜の内周側壁の内側に固定されて前記中央加熱室に配置された環状の蒸気拡散管をさらに備え、
前記蒸気供給管は、前記加熱室の内部に配置され、前記外釜の側壁に設けられた蒸気供給口に連結される蒸気入口と、前記隔壁を貫通して前記蒸気拡散管に連結された蒸気出口と、を有し、
前記蒸気拡散管は、前記内釜の前記底部中央部に対向する複数の蒸気噴出孔を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理釜。
【請求項5】
前記外釜の底部に設けられて前記加熱室の結露水を貯留するドレンピットと、前記ドレンピットに溜まった結露水を前記加熱室の外部へ排出するドレン排出管と、をさらに備え、
前記ドレン排出管は、前記加熱室の内部に配置されており、前記ドレンピットの内部に開口するドレン入口と、前記外釜の側壁に設けられたドレン排出口に連結されるドレン出口とを有することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理釜。
【請求項6】
前記ドレンピットは、前記外周加熱室から前記中央加熱室へ向けて窪んだ前記隔壁の凹部に配置されて前記外釜の底部から下方へ延びる有底筒状に設けられ、前記外周加熱室の下端よりも前記外釜の下端に近い位置に前記結露水を流入させる開口を有することを特徴とする請求項5に記載の加熱調理釜。
【請求項7】
前記ドレンピットを画定するドレンパイプと中間リングをさらに備え、
前記ドレンパイプは、筒状の周壁と該周壁の下端を閉鎖する底壁とを有し、前記周壁の上端部が前記隔壁の前記凹部を構成する凹状壁を残して切り欠かれ、内部空間が前記外周加熱室に連通し、
前記中間リングは、前記内釜に固定された前記隔壁の上部分と前記外釜に固定された前記隔壁の下部分との間に配置され、前記ドレンパイプの前記凹状壁の上端を閉鎖して前記内部空間と前記中央加熱室とを隔離することを特徴とする請求項6に記載の加熱調理釜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気加熱式の加熱調理釜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から加熱調理釜に関する発明が知られている(下記特許文献1を参照)。特許文献1に記載された従来の加熱調理釜は、釜本体の内底板と外底板の間の加熱室に加熱蒸気の供給を受ける。加熱室は、上記内底板の下面の中央領域を上面とする中央加熱室を有しており、その中央加熱室には下方に向かって開口する開口部が設けられている(特許文献1、第0006段落、請求項1、要約、および
図1)。
【0003】
この従来の加熱調理釜によれば、加熱蒸気を中央加熱室に供給することによって、中央加熱室に滞留させ、釜本体中央の調理食材に加熱蒸気の熱エネルギを効果的に伝達することができる。熱エネルギの伝達により温度が低下した加熱蒸気は、中央加熱室内を下降し、下方に向かって開口する開口部から中央加熱室の外側に流出する。そして、外側加熱室で内底板に沿って外側に広がりながら上方に移動し、残りの熱エネルギを釜本体の周囲の調理食材に伝達することができる。したがって、釜本体の中央を十分に加熱することができ、全体を均一に加熱することができる(特許文献1、第0007段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の加熱調理釜は、加熱蒸気を供給するための第1の蒸気供給路としての第1配管の先端が釜本体の外底板の下部中央を貫通して固定され、さらにその第1配管の先端に円板形状の平面仕切板が固定されている(特許文献1、第0013段落-第0017段落、
図2)。そのため、上記従来の加熱調理釜は、釜本体の底部中央部に開閉可能な排水口を設けることが困難である。
【0006】
本発明は、内釜の底部中央部に開閉可能な排水口を有し、内釜の底部中央部をその外周側の底部外周部よりも高温に加熱することが可能な加熱調理釜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、食材を収容する内釜と、前記内釜の底部中央部に設けられた排水口と、前記内釜の前記底部中央部の前記排水口を除く部分および前記底部中央部よりも外周側の底部外周部を前記内釜の外側から覆う外釜と、前記内釜と前記外釜との間に形成される加熱室と、前記加熱室を前記内釜の前記底部中央部に隣接する中央加熱室と前記内釜の前記底部外周部に隣接する外周加熱室とに区画する隔壁と、前記中央加熱室へ水蒸気を供給する蒸気供給管と、前記中央加熱室と前記外周加熱室とを連通する通気路と、を備えることを特徴とする加熱調理釜である。
【0008】
本発明の上記一態様によれば、内釜の底部中央部に設けられた排水口を取り囲むように、内釜の底部中央部に隣接する中央加熱室を形成することができる。また、内釜の底部中央部に隣接する中央加熱室と内釜の底部外周部に隣接する外周加熱室のうち、内釜の底部中央部に隣接する中央加熱室に対し、蒸気供給管によって水蒸気を最初に供給することが可能になる。その結果、排水口を有する内釜の底部中央部を底部外周部よりも高温に加熱することが可能になり、内釜に収容された食材を含む液体を内釜の底部中央部から沸騰させることができる。
【0009】
これにより、内釜の底部中央部で加熱された液体は、内釜の底部中央部から液面へ向けて上昇し、液面付近で径方向外側へ放射状に広がって胴部に沿って下降し、底部外周部に沿って径方向内側の底部中央部へ循環するように対流する。さらに、中央加熱室で内釜の底部中央部を加熱して温度が低下した水蒸気は、通気路を通って外周加熱室へ移動して内釜の底部外周部を加熱する。これにより、内釜の底部中央部よりも径方向外側に位置する食材を含む液体を、内釜の底部外周部によって加熱し、内釜の径方向における液体の温度差を低減することができる。したがって、本発明の上記一態様に係る加熱調理釜によれば、底部中央部に排水口を有する内釜に収容された食材を、満遍なく均一に加熱して調理することができる。
【0010】
上記一態様に係る加熱調理釜において、前記蒸気供給管は、前記加熱室の内部に配置され、前記外釜の側壁に設けられた蒸気供給口に連結される蒸気入口と、前記隔壁を貫通して前記中央加熱室に開口する蒸気出口と、を有してもよい。
【0011】
このような構成により、加熱室の内部の水蒸気によって蒸気供給管の外表面の温度低下を抑制することができ、蒸気供給管の内部を流れる水蒸気の温度低下を抑制することができる。また、蒸気供給管の内部を流れる高温の水蒸気によって加熱された蒸気供給管により、加熱室の内部の水蒸気を加熱することができる。しがたって、蒸気供給管を加熱室の外部に設置する場合と比較して、加熱調理釜のエネルギ効率を向上させることができる。
【0012】
また、蒸気供給管が隔壁を貫通して蒸気出口が中央加熱室に開口しているため、蒸気供給口に連結された蒸気入口に供給されて蒸気供給管を通過した高温の水蒸気は、蒸気出口から中央加熱室へ直接供給され、内釜の底部中央部を加熱する。そして、内釜の底部中央部を加熱して温度が低下した水蒸気は、中央加熱室から通気路を介して外周加熱室へ間接的に供給され、内釜の底部外周部を加熱する。したがって、より高温の水蒸気を中央加熱室に供給して、内釜の底部中央部を底部外周部よりも高温に加熱することができる。
【0013】
上記一態様に係る加熱調理釜において、前記隔壁は、前記内釜に固定された上部分と、前記外釜に固定された下部分と、前記上部分と前記下部分との間に配置される中間リングと、を有してもよい。
【0014】
このような構成により、隔壁の上部分が固定された内釜と、隔壁の下部分が固定された外釜とを位置合わせして溶接する際に、径方向のずれが生じた場合でも中間リングによって隔壁の気密性を確保できる。より詳細には、中間リングを、上部分の下端と下部分の上端のうち、一方に全周にわたって溶接し、他方に気密に接触させる。これにより、隔壁の上部分および下部分と中間リングとの間の気密性を確保しつつ、上部分の下端と下部分の上端の径方向のずれを、中間リングの径方向の幅によって吸収することができる。したがって、隔壁によって中央加熱室と外周加熱室をより確実に隔離して、内釜の底部中央部を底部外周部よりも高温に加熱することができる。
【0015】
上記一態様に係る加熱調理釜は、前記排水口を囲む前記外釜の内周側壁の内側に固定されて前記中央加熱室に配置された環状の蒸気拡散管をさらに備え、前記蒸気供給管は、前記加熱室の内部に配置され、前記外釜の側壁に設けられた蒸気供給口に連結される蒸気入口と、前記隔壁を貫通して前記蒸気拡散管に連結された蒸気出口と、を有し、前記蒸気拡散管は、前記内釜の前記底部中央部に対向する複数の蒸気噴出孔を有してもよい。
【0016】
このような構成により、蒸気供給口から蒸気供給管を介して蒸気拡散管へ水蒸気を供給し、蒸気拡散管の複数の蒸気噴出孔から内釜の底部中央部へ向けて水蒸気を噴出させることができる。蒸気噴出孔から噴出して内釜の底部中央部を加熱することで温度が低下した水蒸気は、中央加熱室から通気路を通って外周加熱室へ移動して内釜の底部外周部を加熱する。したがって、蒸気拡散管の複数の蒸気噴出孔から噴出させた水蒸気によって最初に内釜の底部中央部を加熱することができ、内釜の底部中央部をその外周側の底部外周部よりも高温に加熱することができる。
【0017】
上記一態様に係る加熱調理釜は、前記外釜の底部に設けられて前記加熱室の結露水を貯留するドレンピットと、前記ドレンピットに溜まった結露水を前記加熱室の外部へ排出するドレン排出管と、をさらに備え、前記ドレン排出管は、前記加熱室の内部に配置されており、前記ドレンピットの内部に開口するドレン入口と、前記外釜の側壁に設けられたドレン排出口に連結されるドレン出口とを有してもよい。
【0018】
このような構成により、加熱室に供給された水蒸気が内釜を加熱することで温度が低下して結露水が発生しても、その結露水を外釜の底部に設けられたドレンピットに流入させて貯留することができる。さらに、ドレンピットに溜まった結露水を、加熱室に供給される水蒸気の圧力により、ドレンピットの内部に開口するドレン排出管のドレン入口へ流入させてドレン出口まで押し流し、ドレン排出口から排出することができる。これにより、蒸気供給管から加熱室の中央加熱室に連続的に水蒸気を供給して、内釜の底部中央部をその外周側の底部外周部よりも高温に加熱することができる。
【0019】
上記一態様に係る加熱調理釜において、前記ドレンピットは、前記外周加熱室から前記中央加熱室へ向けて窪んだ前記隔壁の凹部に配置されて前記外釜の底部から下方へ延びる有底筒状に設けられ、前記外周加熱室の下端よりも前記外釜の下端に近い位置に前記結露水を流入させる開口を有してもよい。
【0020】
このような構成により、結露水をドレンピットの開口に流入させやすくすることができる。より詳細には、結露水は、水蒸気の温度が中央加熱室よりも低下する外周加熱室において、より多く発生する。外周加熱室において発生した結露水は、最終的に外釜の底部を伝って下方へ流れる。そのため、外周加熱室の下端よりも低い位置に設けられたドレンピットの開口に結露水が流入しやすくなる。
【0021】
また、上記一態様に係る加熱調理釜は、前記ドレンピットを画定するドレンパイプと中間リングをさらに備え、前記ドレンパイプは、筒状の周壁と該周壁の下端を閉鎖する底壁とを有し、前記周壁の上端部が前記隔壁の前記凹部を構成する凹状壁を残して切り欠かれ、内部空間が前記外周加熱室に連通し、前記中間リングは、前記内釜に固定された前記隔壁の上部分と前記外釜に固定された前記隔壁の下部分との間に配置され、前記ドレンパイプの前記凹状壁の上端を閉鎖して前記内部空間と前記中央加熱室とを隔離してもよい。
【0022】
このような構成により、ドレンピットを外周加熱室よりも外釜の下端に近い位置に配置しつつ、ドレンピットの内部空間と中央加熱室とを、ドレンパイプの凹状壁および中間リングによって隔離することができる。これにより、外周加熱室で発生した結露水をドレンピットに流入させやすくするとともに、中央加熱室の水蒸気の温度が低下することを防止して、内釜の底部中央部をその外周側の底部外周部よりも高温に加熱することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の上記各態様によれば、内釜の底部中央部に開閉可能な排水口を有し、内釜の底部中央部をその外周側の底部外周部よりも高温に加熱することが可能な加熱調理釜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る加熱調理釜の実施形態1を示す断面図。
【
図2】
図1の加熱調理釜の水蒸気と結露水の流れを示す断面図。
【
図3】本発明に係る加熱調理釜の実施形態2を示す断面図。
【
図4】本発明に係る加熱調理釜の実施形態3を示す断面図。
【
図6】
図5の加熱調理釜のドレンピットを画定するドレンパイプの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明に係る加熱調理釜の実施形態を説明する。
【0026】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る加熱調理釜の実施形態1を示す断面図である。本実施形態の加熱調理釜1は、たとえば、直径が700mmを超えるような大型の蒸気加熱式の業務用調理釜であり、主に、学校給食、社員食堂、または惣菜工場などの調理現場で使用される。加熱調理釜1は、たとえば、加熱調理釜1の両側に配置された架台10に傾倒可能に支持されている。
【0027】
加熱調理釜1の両側は、たとえば、架台10に設けられた傾倒機構11の回転軸11aに固定されている。加熱調理釜1は、たとえば、傾倒機構11のハンドル11bを一方向へ回転させることで、回転軸11aを中心に所定の角度まで回転する。このように、ハンドル11bを一方向へ回転させることで、加熱調理釜1を水平状態から所定の角度で傾倒した傾倒状態にさせ、その後、ハンドル11bを反対方向へ回転させることで、加熱調理釜1を傾倒状態から水平状態へ戻すことができる。
【0028】
本実施形態の加熱調理釜1は、たとえば、内釜2と、排水口3と、外釜4と、加熱室5と、隔壁6と、蒸気供給管7と、通気路53とを備えている。また、加熱調理釜1は、たとえば、ドレンピット8と、ドレン排出管9とを備えている。内釜2は、たとえば、円形の開口部と、円筒形の胴部と、球面状の底部とを有し、加熱調理釜1によって加熱調理される食材を収容する。内釜2は、たとえば、鋳鉄、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属をプレス加工および研磨することによって製造される。
【0029】
内釜2の底部は、たとえば、排水口3が設けられる底部中央部21と、その底部中央部21よりも外周側の底部外周部22とを有している。内釜2の底部中央部21の中心は、たとえば、内釜2の中心に一致している。また、内釜2の底部中央部21の直径は、たとえば、内釜2の胴部の直径の1/4から1/2程度の範囲であり、
図1に示す例では内釜2の胴部の直径の1/3程度である。
【0030】
排水口3は、たとえば、内釜2の底部中央部21に設けられ、排水栓31を含む開閉機構によって開閉可能に設けられている。排水口3は、たとえば、内釜2の下端である底部中央部21の中心位置に開口している。外釜4は、たとえば、内釜2の底部中央部21の排水口3を除く部分、および、内釜2の底部中央部21よりも外周側の底部外周部22を内釜2の外側から覆うように設けられている。
【0031】
また、
図1に示す例において、外釜4は、たとえば、排水口3とその近傍を除く底部中央部21と底部外周部22を含む内釜2の底部だけでなく、内釜2の胴部の上端部を除く下側部分を、内釜2の外側から覆うように設けられている。外釜4は、たとえば、内釜2と同様の金属をプレス加工および研磨することによって製造され、内釜2に溶接されて一体化されている。
【0032】
加熱室5は、内釜2と外釜4との間に形成される空間である。加熱室5の内部に供給される加熱された水蒸気によって、底部中央部21および底部外周部22を含む内釜2の下側部分が、内釜2の外側から加熱される。隔壁6は、加熱室5を、内釜2の底部中央部21に隣接する中央加熱室51と、内釜2の底部外周部22に隣接する外周加熱室52とに区画する。
【0033】
中央加熱室51は、たとえば、内釜2の底部中央部21の排水口3とその近傍を除く部分に隣接して環状に設けられている。中央加熱室51の外縁は、たとえば、内釜2の底部中央部21の外縁に一致している。外周加熱室52は、たとえば、中央加熱室51の外周側に中央加熱室51を取り囲むように設けられ、内釜2の底部外周部22と胴部の下部に隣接している。外周加熱室52の内縁は、たとえば、底部外周部22の内縁に一致し、外周加熱室52の外縁は、たとえば、内釜2の底部外周部22および胴部の外縁よりも外側に位置している。
【0034】
隔壁6は、たとえば、内釜2に固定された上部分61と、外釜4に固定された下部分62と、これら上部分61と下部分62との間に配置される中間リング63と、を有している。隔壁6の上部分61および下部分62は、たとえば、幅の細い金属板を環状に成形することによって製造された短軸円筒状の部材である。隔壁6の上部分61は、たとえば、上端部が内釜2の底部の外側に溶接され、隔壁6の下部分62は、たとえば、下端部が外釜4の底部の内側に溶接されている。
【0035】
隔壁6の中間リング63は、たとえば、金属板をプレス加工または切断することによって製造された円環状の部材である。中間リング63の外縁と内縁との間の中央部に、上部分61の下端または下部分62の上端が溶接される。上部分61下端と中間リング63との間および下部分62の上端と中間リング63との間は、部材同士の接触または溶接によって気密性が確保されている。一方、隔壁6の下部分62の下端は、たとえば、隔壁6の周方向において、等角度間隔で部分的に溶接され、隔壁6の下端と外釜4との間に等角度間隔で微小な隙間が形成される。
【0036】
これにより、加熱室5の中央加熱室51と外周加熱室52とを連通する通気路53が、隔壁6の下端と外釜4との間に等角度間隔で形成される。すなわち、通気路53は、たとえば、隔壁6の下端と外釜4との間に形成された0.1mmから数mm程度の微小な隙間であり、加熱室5の中央加熱室51と外周加熱室52とを連通している。なお、通気路53は、たとえば、隔壁6に設けられた複数の切り欠きまたは貫通孔、もしくは内釜2の外表面または外釜4の内表面に設けられた複数の溝などであってもよい。
【0037】
蒸気供給管7は、たとえば、架台10の回転軸11aに設けられた蒸気供給路12に連結され、中央加熱室51へ加熱された水蒸気を供給する。蒸気供給路12は、たとえば、加熱調理釜1の外部に設置された図示を省略する水蒸気の供給源に接続され、蒸気供給管7を介して中央加熱室51へ加熱された水蒸気を供給する。蒸気供給管7は、たとえば、加熱室5の内部、より具体的には、外周加熱室52の内部に配置されている。蒸気供給管7は、たとえば、外釜4の側壁に設けられた蒸気供給口12aに連結される蒸気入口71と、隔壁6を貫通して中央加熱室51に開口する蒸気出口72と、を有している。
【0038】
より具体的には、たとえば、外釜4の側壁を貫通して外釜4に固定された傾倒機構11の回転軸11aに蒸気供給管7の基端部を固定することで、回転軸11aの先端に開口する蒸気供給路12の蒸気供給口12aに蒸気供給管7の蒸気入口71が連結される。また、回転軸11aに固定された蒸気供給管7の基端部と反対側の先端部を、隔壁6に設けられた切り欠きまたは貫通孔に挿通させることで、蒸気供給管7の先端部が隔壁6を貫通して蒸気供給管7の先端の蒸気出口72が中央加熱室51に開口した状態になる。
【0039】
たとえば、内釜2および外釜4と蒸気供給管7との間に空間が形成され、内釜2および外釜4と蒸気供給管7とが接触しないようにされている。なお、蒸気供給管7は、必ずしも全体が加熱室5の内部に設置される必要はない。たとえば、蒸気供給管7の先端部を除く部分が加熱室5の外部に配置され、蒸気供給管7の先端部が外釜4を貫通して中央加熱室51の内部に配置され、蒸気出口72が中央加熱室51の内部に開口していてもよい。
【0040】
ドレンピット8は、たとえば、外釜4の底部に設けられ、加熱室5の内部で水蒸気が結露することによって発生する結露水を流入させて貯留する凹状の部分である。
図1に示す例において、ドレンピット8は、内釜2の底部中央部21よりも外周側の底部外周部22の下端部の下方に設けられている。ドレンピット8は、たとえば、外釜4の底部から下方へ延びる有底筒状に設けられており、上端の開口部が外釜4の底部に開口して加熱室5に連通している。
【0041】
ドレン排出管9は、ドレンピット8に溜まった結露水を加熱室5の外部へ排出する。ドレン排出管9は、たとえば、加熱室5の内部に配置されている。ドレン排出管9は、たとえば、ドレンピット8の内部に開口するドレン入口91と、外釜4の側壁に設けられたドレン排出口13aに連結されるドレン出口92とを有している。
【0042】
より詳細には、外釜4の側壁を貫通して外釜4に固定された傾倒機構11の一対の回転軸11aのうち、蒸気供給路12が設けられた回転軸11aと反対側の回転軸11aには、たとえば、ドレン排出路13が設けられている。また、その回転軸11aの先端にはドレン排出路13のドレン排出口13aが開口している。回転軸11aに設けられたドレン排出路13は、たとえば、加熱調理釜1の外部の図示を省略するドレン回収路に接続されている。
【0043】
そして、外釜4の側壁を貫通して外釜4に固定された回転軸11aの先端にドレン排出管9の先端を固定することで、回転軸11aに設けられたドレン排出路13のドレン排出口13aにドレン排出管9のドレン出口92が連結される。また、回転軸11aに固定されたドレン排出管9の先端部と反対側の基端部を、ドレンピット8の開口へ挿入することで、ドレン排出管9のドレン入口91がドレンピット8の内部に開口した状態になる。
【0044】
以下、
図2を参照して、本実施形態の加熱調理釜1の作用を説明する。
図2は、
図1の加熱調理釜1の水蒸気Sと結露水Wの流れを示す断面図である。なお、
図2では、水蒸気Sの流れを点線の矢印で示し、結露水Wの流れを一点鎖線の矢印で示している。加熱調理釜1は、加熱された水蒸気Sを内釜2と外釜4との間の加熱室5に供給することで、水蒸気Sによって内釜2を加熱し、内釜2に収容した水や食材を加熱して調理する。
【0045】
加熱された水蒸気Sは、たとえば、加熱調理釜1の両側に配置された架台10に設けられた傾倒機構11の一対の回転軸11aのうち、一方の回転軸11aの蒸気供給路12を通り、蒸気供給路12の蒸気供給口12aから蒸気供給管7の蒸気入口71へ供給される。蒸気供給管7は、蒸気入口71に供給された水蒸気Sを通過させ、中央加熱室51に開口する蒸気出口72から中央加熱室51へ供給する。
【0046】
中央加熱室51へ供給された水蒸気Sは、内釜2の底部中央部21を加熱するとともに、通気路53を通して外周加熱室52へ供給される。外周加熱室52へ供給された水蒸気Sは、内釜2の底部外周部22および胴部の下部を加熱することで、温度が低下して一部が結露する。外周加熱室52において結露した結露水Wは、外周加熱室52の下端のドレンピット8へ流入する。
【0047】
なお、中央加熱室51の水蒸気Sは、外周加熱室52の水蒸気よりも温度が高いため、中央加熱室51において結露水Wは殆ど発生しない。中央加熱室51において少量の結露水Wが発生したとしても、中央加熱室51内で発生した結露水Wは、通気路53を通過する水蒸気Sとともに外周加熱室52へ移動してドレンピット8へ流入する。ドレンピット8に溜まった結露水Wは、外周加熱室52へ供給される水蒸気Sの圧力によってドレン排出管9のドレン入口91へ流入する。
【0048】
ドレン入口91からドレン排出管9内へ流入した結露水Wは、外周加熱室52へ供給される水蒸気Sの圧力によりドレン排出管9内でドレン出口92へ向けて押し流され、ドレン出口92から水蒸気Sとともに排出される。ドレン排出管9のドレン出口92から排出された結露水Wは、加熱調理釜1の両側に配置された架台10に設けられた傾倒機構11の一対の回転軸11aのうち、一方の回転軸11aのドレン排出口13aからドレン排出路13へ流入する。ドレン排出路13へ流入した結露水Wは、たとえば、ドレン排出路13を通り、気体が分離された後、図示を省略するドレン回収路へ排出される。
【0049】
以上のように、本実施形態の加熱調理釜1は、食材を収容する内釜2と、その内釜2の底部中央部21に設けられた排水口3と、を備えている。また、加熱調理釜1は、内釜2の底部中央部21の排水口3を除く部分、および、底部中央部21よりも外周側の底部外周部22を、内釜2の外側から覆う外釜4を備えている。また、加熱調理釜1は、内釜2と外釜4との間に形成される加熱室5と、その加熱室5を内釜2の底部外周部22に隣接する中央加熱室51と内釜2の底部外周部22に隣接する外周加熱室52とに区画する隔壁6と、を備えている。さらに、加熱調理釜1は、中央加熱室51へ水蒸気Sを供給する蒸気供給管7と、中央加熱室51と外周加熱室52とを連通する通気路53と、を備えている。
【0050】
このような構成により、本実施形態の加熱調理釜1によれば、内釜2の底部中央部21に設けられた排水口3を取り囲むように、内釜2の底部中央部21に隣接する中央加熱室51を形成することができる。また、内釜2の底部中央部21に隣接する中央加熱室51と内釜2の底部外周部22に隣接する外周加熱室52のうち、内釜2の底部中央部21に隣接する中央加熱室51に対し、蒸気供給管7によって水蒸気Sを最初に供給することが可能になる。その結果、排水口3を有する内釜2の底部中央部21を底部外周部22よりも高温に加熱することが可能になり、たとえば、
図2に示すように、内釜2に収容された食材を含む液体を、内釜2の底部中央部21から沸騰させることができる。
【0051】
これにより、内釜2の底部中央部21で加熱された液体は、内釜2の底部中央部21から液面へ向けて上昇し、液面付近で径方向外側へ放射状に広がって胴部に沿って下降し、底部外周部22に沿って径方向内側の底部中央部21へ循環するように対流する。さらに、中央加熱室51で内釜2の底部中央部21を加熱して温度が低下した水蒸気Sは、通気路53を通って外周加熱室52へ移動して内釜2の底部外周部22と胴部を加熱する。これにより、内釜2の底部中央部21よりも径方向外側に位置する食材を含む液体を、内釜2の底部外周部22と胴部によって加熱し、内釜2の径方向における液体の温度差を低減することができる。したがって、本実施形態の加熱調理釜1によれば、底部中央部21に排水口3を有する内釜2に収容された食材を、満遍なく均一に加熱して調理することができる。
【0052】
また、本実施形態の加熱調理釜1において、蒸気供給管7は、加熱室5の内部に配置され、外釜4の側壁に設けられた蒸気供給口12aに連結される蒸気入口71と、隔壁6を貫通して中央加熱室51に開口する蒸気出口72と、を有している。
【0053】
このような構成により、本実施形態の加熱調理釜1によれば、加熱室5の内部の水蒸気Sによって蒸気供給管7の外表面の温度低下を抑制することができ、蒸気供給管7の内部を流れる水蒸気Sの温度低下を抑制することができる。また、蒸気供給管7の内部を流れる高温の水蒸気Sによって加熱された蒸気供給管7により、加熱室5の内部の水蒸気Sを加熱することができる。しがたって、蒸気供給管7を加熱室5の外部に設置する場合と比較して、加熱調理釜1のエネルギ効率を向上させることができる。
【0054】
また、前述のように、蒸気供給管7が隔壁6を貫通して蒸気出口72が中央加熱室51に開口している。そのため、蒸気供給口12aから蒸気入口71に供給されて蒸気供給管7を通過した高温の水蒸気Sは、蒸気出口72から中央加熱室51へ直接供給され、内釜2の底部中央部21を加熱する。そして、内釜2の底部中央部21を加熱して温度が低下した水蒸気Sは、中央加熱室51から通気路53を介して外周加熱室52へ間接的に供給され、内釜2の底部外周部22を加熱する。したがって、より高温の水蒸気Sを中央加熱室51に供給して、内釜2の底部中央部21を底部外周部22よりも高温に加熱することができる。
【0055】
また、本実施形態の加熱調理釜1において、隔壁6は、内釜2に固定された上部分61と、外釜4に固定された下部分62と、これら上部分61と下部分62との間に配置される中間リング63と、を有している。
【0056】
このような構成により、本実施形態の加熱調理釜1によれば、隔壁6の上部分61が固定された内釜2と、隔壁6の下部分62が固定された外釜4とを位置合わせして溶接する際に、径方向のずれが生じた場合でも中間リング63によって隔壁6の気密性を確保できる。より詳細には、中間リング63を、上部分61の下端と下部分62の上端のうち、一方に全周にわたって溶接し、他方に気密に接触させる。これにより、隔壁6の上部分61および下部分62と、中間リング63との間の気密性を確保しつつ、上部分61の下端と下部分62の上端の径方向のずれを、中間リング63の径方向の幅によって吸収することができる。したがって、隔壁6によって中央加熱室51と外周加熱室52をより確実に隔離して、内釜2の底部中央部21を底部外周部22よりも高温に加熱することができる。
【0057】
また、本実施形態の加熱調理釜1は、外釜4の底部に設けられて加熱室5の結露水Wを貯留するドレンピット8と、そのドレンピット8に溜まった結露水Wを加熱室5の外部へ排出するドレン排出管9と、をさらに備えている。ドレン排出管9は、加熱室5の内部に配置されており、ドレンピット8の内部に開口するドレン入口91と、外釜4の側壁に設けられたドレン排出口13aに連結されるドレン出口92とを有している。
【0058】
このような構成により、本実施形態の加熱調理釜1によれば、加熱室5に供給された水蒸気Sが内釜2を加熱することで温度が低下して結露水Wが発生しても、その結露水Wを外釜4の底部に設けられたドレンピット8に流入させて貯留することができる。さらに、ドレンピット8に溜まった結露水Wを、加熱室5に供給される水蒸気Sの圧力により、ドレンピット8の内部に開口するドレン排出管9のドレン入口91へ流入させてドレン出口92まで押し流し、ドレン排出口13aから排出することができる。これにより、蒸気供給管7から加熱室5の中央加熱室51に連続的に水蒸気Sを供給して、内釜2の底部中央部21をその外周側の底部外周部22よりも高温に加熱することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、内釜2の底部中央部21に開閉可能な排水口3を有し、内釜2の底部中央部21をその外周側の底部外周部22よりも高温に加熱することが可能な加熱調理釜1を提供することができる。
【0060】
[実施形態2]
以下、
図3を参照して本発明に係る加熱調理釜の実施形態2を説明する。
図3は、本発明に係る加熱調理釜の実施形態2を示す断面図である。本実施形態の加熱調理釜1は、主に、蒸気供給管7の蒸気出口72に連結された蒸気拡散管73を備える点で、前述の実施形態1の加熱調理釜1と異なっている。本実施形態の加熱調理釜1のその他の構成は、前述の実施形態1の加熱調理釜1と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
図3に示すように、蒸気拡散管73は、たとえば、排水口3を囲む外釜4の内周側壁41の内側に固定されて中央加熱室51に配置されている。蒸気拡散管73は、たとえば、排水口3を中心とする連続的な環状に設けられ、矩形の断面形状を有している。蒸気拡散管73は、たとえば、内釜2の底部中央部21に対向する上壁に複数の蒸気噴出孔74を有している。複数の蒸気噴出孔74は、たとえば、環状の蒸気拡散管73の周方向において等角度間隔に形成されている。
【0062】
蒸気供給管7は、前述の実施形態1の加熱調理釜1と同様に、加熱室5の内部に配置され、外釜4の側壁に設けられた蒸気供給口12aに連結される蒸気入口71を有している。また、本実施形態の加熱調理釜1において、蒸気供給管7は、隔壁6を貫通して蒸気拡散管73に連結された蒸気出口72を有している。このような構成により、蒸気供給口12aから蒸気供給管7を介して蒸気拡散管73へ供給された水蒸気Sは、複数の蒸気噴出孔74から内釜2の底部中央部21へ向けて噴出する。
【0063】
以上のように、本実施形態の加熱調理釜1は、排水口3を囲む外釜4の内周側壁41の内側に固定されて中央加熱室51に配置された環状の蒸気噴出孔74をさらに備えている。また、蒸気供給管7は、加熱室5の内部に配置され、外釜4の側壁に設けられた蒸気供給口12aに連結される蒸気入口71と、隔壁6を貫通して蒸気拡散管73に連結された蒸気出口72と、を有している。そして、蒸気拡散管73は、内釜2の底部中央部21に対向する複数の蒸気噴出孔74を有している。
【0064】
このような構成により、本実施形態の加熱調理釜1によれば、蒸気供給口12aから蒸気供給管7を介して蒸気拡散管73へ水蒸気Sを供給し、蒸気拡散管73の複数の蒸気噴出孔74から内釜2の底部中央部21へ水蒸気Sを噴出させることができる。蒸気噴出孔74から噴出して内釜2の底部中央部21を加熱することで温度が低下した水蒸気Sは、中央加熱室51から通気路53を通って外周加熱室52へ移動して内釜2の底部外周部22を加熱する。
【0065】
したがって、本実施形態の加熱調理釜1によれば、蒸気拡散管73の複数の蒸気噴出孔74から噴出させた水蒸気Sによって最初に内釜2の底部中央部21を加熱することができ、内釜2の底部中央部21をその外周側の底部外周部22よりも高温に加熱することができる。
【0066】
[実施形態3]
以下、
図4から
図6までを参照して本発明に係る加熱調理釜の実施形態3を説明する。
図4は、本発明に係る加熱調理釜の実施形態3を示す断面図である。
図5は、
図4の加熱調理釜1の分解斜視図である。
図6は、
図5の加熱調理釜1のドレンピット8を画定するドレンパイプ81の斜視図である。
【0067】
本実施形態の加熱調理釜1は、主にドレンピット8の構成と配置が前述の実施形態1の加熱調理釜1と異なっている。本実施形態の加熱調理釜1のその他の構成は、前述の実施形態1の加熱調理釜1と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態の加熱調理釜1において、ドレンピット8は、たとえば、
図4および
図5に示すように、外周加熱室52から中央加熱室51へ向けて窪んだ隔壁6の凹部に配置されて外釜4の底部から下方へ延びる有底筒状に設けられている。また、ドレンピット8は、外周加熱室52の下端よりも外釜4の下端に近い位置に結露水Wを流入させる開口82を有している。
【0069】
このような構成により、本実施形態の加熱調理釜1によれば、結露水Wをドレンピット8の開口82に流入させやすくすることができる。より詳細には、結露水Wは、水蒸気Sの温度が中央加熱室51よりも低下する外周加熱室52において、より多く発生する。外周加熱室52において発生した結露水Wは、最終的に外釜4の底部を伝って下方へ流れる。そのため、外周加熱室52の下端よりも低い位置に設けられたドレンピット8の開口82に結露水Wが流入しやすくなる。
【0070】
また、本実施形態の加熱調理釜1は、ドレンピット8を画定する構成として、
図4および
図5に示すように、ドレンパイプ81と中間リング63を備えている。ドレンパイプ81は、筒状の周壁81aとその周壁81aの下端を閉鎖する底壁81bとを有している。なお、ドレンパイプ81の底壁81bは、たとえば、ドレンパイプ81の下端の外周面に設けられたねじ山にねじ込まれるキャップによって構成してもよい。
【0071】
また、
図6に示すように、ドレンパイプ81は、周壁81aの上端部が隔壁6の凹部を構成する凹状壁81cを残して切り欠かれ、
図4および
図5に示すように、内部空間が外周加熱室52に連通している。中間リング63は、内釜2に固定された隔壁6の上部分61と外釜4に固定された隔壁6の下部分62との間に配置されている。中間リング63は、たとえば、
図5に示すように、中間リング63の内縁から径方向の内側へ突出する上蓋部63aを有している。上蓋部63aは、ドレンパイプ81の凹状壁81cの上端を閉鎖してドレンパイプ81の内部空間と中央加熱室51とを隔離する。
【0072】
以上のように、本実施形態の加熱調理釜1は、ドレンピット8を画定するドレンパイプ81と中間リング63をさらに備えている。ドレンパイプ81は、筒状の周壁81aとその周壁81aの下端を閉鎖する底壁81bとを有し、周壁81aの上端部が隔壁6の凹部を構成する凹状壁81cを残して切り欠かれ、内部空間が外周加熱室52に連通している。中間リング63は、内釜2に固定された隔壁6の上部分61と外釜4に固定された隔壁6の下部分62との間に配置され、ドレンパイプ81の凹状壁81cの上端を閉鎖してドレンパイプ81の内部空間と中央加熱室51とを隔離している。
【0073】
このような構成により、ドレンピット8を外周加熱室52よりも外釜4の下端に近い位置に配置しつつ、ドレンピット8の内部空間と中央加熱室51とを、ドレンパイプ81の凹状壁81cおよび中間リング63によって隔離することができる。これにより、外周加熱室52で発生した結露水Wをドレンピット8に流入させやすくするとともに、中央加熱室51の水蒸気Sの温度が低下することを防止して、内釜2の底部中央部21をその外周側の底部外周部22よりも高温に加熱することができる。
【0074】
以上、図面を用いて本発明に係る加熱調理釜の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
1 加熱調理釜
12a 蒸気供給口
13a ドレン排出口
2 内釜
21 底部中央部
22 底部外周部
3 排水口
4 外釜
41 内周側壁
5 加熱室
51 中央加熱室
52 外周加熱室
53 通気路
6 隔壁
61 上部分
62 下部分
63 中間リング
7 蒸気供給管
71 蒸気入口
72 蒸気出口
73 蒸気拡散管
74 蒸気噴出孔
8 ドレンピット
81 ドレンパイプ
81a 周壁
81b 底壁
81c 凹状壁
82 開口
9 ドレン排出管
91 ドレン入口
92 ドレン出口
S 水蒸気
W 結露水