(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064021
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】セルロース誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08B 3/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
C08B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172298
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】中島 嘉樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小穴 壮太郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
【テーマコード(参考)】
4C090
【Fターム(参考)】
4C090AA05
4C090BA25
4C090BB65
4C090BB97
4C090BC08
4C090BD19
4C090BD23
4C090BD36
4C090CA38
4C090DA32
(57)【要約】
【課題】プロセスコストが安価で、機械特性や耐久性(耐熱性、耐水性など)が十分なセルロース誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】セルロース誘導体の製造方法は、70%以下の結晶化度を有する低結晶セルロースを準備する工程と、 前記低結晶セルロースを誘導体化する工程と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
70%以下の結晶化度を有する低結晶セルロースを準備する工程と、
前記低結晶セルロースを誘導体化する工程と、
を含む、セルロース誘導体の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記低結晶セルロースの結晶化度は、66%未満である、セルロース誘導体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記誘導体化は、前記低結晶セルロースの水酸基のエステル化である、セルロース誘導体の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、
前記低結晶性セルロースの平均繊維長は、6μm以上500μm以下である、セルロース誘導体の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2において、
前記セルロース誘導体のDs値は、3未満である、セルロース誘導体の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2において、
前記セルロース誘導体のDs値は、2.5以下である、セルロース誘導体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物を原料とするバイオプラスチックは、石油枯渇対策や温暖化対策に寄与できるため、包装、容器、繊維などの一般製品に加え、電子機器、自動車等の耐久製品への利用も検討されている。その原料としては、木材や草木の主要成分であるセルロースが代表的であり、これを利用した種々のバイオプラスチックが開発されつつある。
【0003】
セルロースは、木材等からリグニンやヘミセルロースを薬剤によって化学的に分離し、パルプとして製造される。また、綿はほぼセルロースでできているため、このまま用いることができる。このようなセルロースは、β-グルコースが重合した高分子であるが、多くのヒドロキシ基を有するために、水素結合による強力な分子間力を持つ。そのため、硬くて脆く、熱可塑性もなく、また、特殊な溶媒を除き、溶媒溶解性も低い。さらに、親水性基であるヒドロキシ基を多く有するため吸水性が高く、耐水性が低い。
【0004】
そのため、セルロースを改質することが種々検討されている。例えば、特許文献1には、セルロースのヒドロキシ基の水素原子の少なくとも一部が、短鎖アシル基(例えば炭素数2~4の脂肪族アシル基)及び長鎖アシル基(例えば炭素数5~20の脂肪族アシル基)で置換されたセルロース誘導体が記載されている。同文献には、このセルロース誘導体は、吸水率が低く、良好な熱可塑性、強度及び破断伸度を有し、成形加工に適している旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、セルロースの化学的な改質は、工程が複雑であり時間も長く要することが多かった。また改質のために必要なエネルギーも大きく、セルロース誘導体を得るためのプロセスコストは、必ずしも安価ではなかった。さらに、製造されるセルロース誘導体の機械特性や耐久性(耐熱性、耐水性など)も不十分となる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るセルロース誘導体の製造方法の一態様は、
70%以下の結晶化度を有する低結晶セルロースを準備する工程と、
前記低結晶セルロースを誘導体化する工程と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】セルロースの結晶化度の測定方法を説明するための図。
【
図2】各種のセルロースのX線回折パターン(XRD)。
【
図3】種々の結晶化度を有するセルロースを出発物質とした場合の誘導体化時間によるDs値の変化を示すグラフ。
【
図4】種々の結晶化度を有するセルロースを出発物質とした場合の誘導体化時間によるDs値の変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0010】
1.セルロース誘導体の製造方法
本実施形態に係るセルロース誘導体の製造方法は、70%以下の結晶化度を有する低結晶セルロースを準備する工程と、低結晶セルロースを誘導体化する工程と、を含む。
【0011】
1.1.低結晶セルロースを準備する工程
低結晶セルロースは、木材や草木に含まれるセルロースに機械的な力を加えて、結晶性を低下させて製造できる。低結晶セルロースは、例えば、粉砕、解繊等の手法を用いることでセルロースの結晶構造を破壊することにより得ることができる。
【0012】
セルロースの結晶性を低下させることができる具体的な手法としては、ボールミル、ハンマーミル、ピンミル、カッターミル、パルペライザー、ターボミル、ディスクミル、スクリーンミル、ジェットミルなどの粉砕機による粉砕、乾式解繊機による解繊などを例示できる。
【0013】
ここで、セルロースの結晶構造とは、セルロース分子中の水酸基同士が水素結合により凝集した構造を指す。かかる水素結合は、1つのセルロース分子内で形成されてもよいし、異なるセルロース分子間で形成されてもよい。セルロースの結晶は、無機化合物の結晶構造のような完全に近い結晶構造はとらず、ポリエチレン等の結晶性有機高分子のような比較的緩い規則性の結晶構造を有する。
【0014】
セルロースに上述のような機械的な力が加わることにより、結晶構造の規則性が低下して結晶化度を低下させることができる。
【0015】
セルロースの結晶化度は、X線回折によって測定できる。ここで、
図1は、複数のセルロースの結晶化度の測定方法を説明するための図である。セルロースの結晶化度を求めるためには、
図1に示すように、X線回折によって、セルロースの(200)に由来するピークの強度I
1と、セルロースの非晶質部分に由来する強度I
2と、を求める。強度I
1の回折角度は、23°付近である。強度I
2は、(200)に由来するピークの低回折角度側の裾の強度である。具体的には、強度I
2の回折角度は、19°付近である。そして、強度I
1及び強度I
2から、Segal法によって下記式(1)により、結晶化度を求める。
【0016】
結晶化度(%)=((I1-I2)/I1)×100 ・・・(1)
【0017】
セルロースは、β-グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した高分子である。セルロースは、このようなセルロース単位を含めば、例えば分岐構造等の部分的にセルロースでない分子構造が含まれていてもよい。
【0018】
低結晶セルロースの原料とするセルロースとしては、木質系パルプに由来するものが好ましい。木質系パルプとしては、バージンパルプ、クラフトパルプ、晒ケミサーモメカニカルパルプ、合成パルプ、古紙等に由来するパルプなどが挙げられる。木質系パルプに由来するセルロースには、リグニンやヘミセルロースが含まれてもよい。
【0019】
低結晶セルロースの原料とするセルロースの平均繊維長は、例えば、100μm以上5mm以下であり、好ましくは120μm以上4mm以下であり、より好ましくは140μm以上3mm以下であり、さらにより好ましくは160μm以上2mm以下であり、さらによりいっそう好ましくは180μm以上1mm以下である。「平均繊維長」とは、加重平均の繊維長のことである。
【0020】
また、粉砕等の処理を経た後の低結晶セルロースの平均繊維長は、例えば、6μm以上500μm以下であり、好ましくは10μm以上400μm以下であり、より好ましくは30μm以上300μm以下である。
【0021】
一方、低結晶セルロースの原料とするセルロースの平均繊維幅は、例えば、5μm以上50μm以下であり、好ましくは10μm以上30μm以下であり、より好ましくは15μm以上25μm以下であり、さらにより好ましくは17μm以上23μm以下である。「平均繊維幅」とは、加重平均の繊維幅のことである。繊維幅とは、セルロースの繊維長と直交する方向の長さのことである。セルロースの断面が円形の場合、繊維幅を繊維径と言い換えることができる。
【0022】
また、粉砕等の処理を経た後のセルロースの平均繊維幅は、例えば、5μm以上50μm以下であり、好ましくは10μm以上30μm以下であり、より好ましくは15μm以上25μm以下であり、さらにより好ましくは17μm以上23μm以下である。
【0023】
セルロースの平均繊維長および平均繊維幅は、例えば、ファイバーテスターを用いて、「JIS P 8226-2:2011」に準拠して測定される。
【0024】
セルロースの平均繊維幅に対する平均繊維長の比(アスペクト比)は、特に限定されず、例えば、5以上250以下であり、好ましくは6以上200以下であり、より好ましくは7以上150以下であり、さら好ましくは8以上100以下であり、さらによりいっそう好ましくは9以上50以下である。
【0025】
本実施形態に係るセルロース誘導体の製造方法では、70%以下の結晶化度を有する低結晶セルロースを準備する。すなわち、粉砕等の処理により結晶化度が、70%以下となったセルロースを用いる。低結晶セルロースの結晶化度は、好ましくは66%未満であり、より好ましくは60%以下であり、さらにより好ましくは50%以下である。低結晶セルロースの結晶化度の下限は、特に制限はなく、例えば、0%であり、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上である。
【0026】
低結晶セルロースの結晶化度が上記範囲であれば、セルロースの結晶構造の規則性が低い、或いは、セルロースの結晶構造のパッキングが弱いので、セルロースの誘導体化において、セルロースの水酸基に反応液が接触しやすく反応効率が良好であり、誘導体化工程を短時間で行うことができる。
【0027】
1.2.低結晶セルロースを誘導体化する工程
本実施形態のセルロース誘導体の製造方法は、上述の低結晶セルロースを誘導体化する工程を含む。
【0028】
誘導体化は、セルロースに含まれる水酸基の水素原子の少なくとも一部をアシル基(アルカノイル基)に置換することを含む。換言すると、誘導体化は、セルロースに含まれる水酸基の少なくとも一部をエステル化することを含む。また、誘導体化は、セルロースに含まれる水酸基の少なくとも一部をエーテル化することを含んでもよい。
【0029】
本実施形態のセルロース誘導体の製造方法では、低結晶セルロースの水酸基のエステル化により誘導体化することがより好ましい。このようにすればさらに効率よくセルロース誘導体を製造できる。
【0030】
誘導体化は、例えば、公知の手法により行うことができるが、低結晶セルロースと、カルボン酸塩化物(カルボン酸クロライド)等のカルボン酸ハロゲン化物とを反応させること、低結晶性セルロースと、カルボン酸化合物とを反応させることなどにより行うことができる。
【0031】
誘導体化に用いるカルボン酸クロライドとしては、より具体的には、アルキルカルボン酸クロライド(R1-CO-Cl:ここでR1は、炭素数2以上20以下のアシル基を表すが、R1-CO-は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、2-メチルブチリル基、3-メチルブチリル基、n-ヘキサノイル基、2-メチルバレリル基、2-エチルブチリル基、2-メチルヘキサノイル基、n-オクタノイル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンタノイル基、n-ドデカノイル基、n-ラウロイル基、2-ブチルオクタノイル基、n-ミリストイル基、n-パルミトイル基、2-ヘキシルデカノイル基、n-ステアロイル基、イソステアロイル基、n-アラキノイル基、などが挙げられ、好ましくは2-エチルブチリル基、3-メチルブチリル基、2-エチルブチリル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンタノイル基、2-ヘキシルデカノイル基、及びイソステアロイル基から選択されることが好ましい。)を挙げることができる。
【0032】
また、誘導体化に用いるカルボン酸化合物としては、より具体的には、R2-COOHで表される有機モノカルボン酸(R2は、炭素数2以上20以下のアルキル基を表すが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、メトキシメチル、エトキシメチル基、プロピロキシメチル基、ブトキシメチル基、ペントキシメチル基、ヒドロキシメチル基、及び(2-プロペニルオキシ)メチル基から選択されることが好ましい。)を挙げることができる。
【0033】
本工程により誘導体化されたセルロースは、誘導体化前に存在した水酸基の数が減少する。ここで誘導体化され、水酸基がエステル化及び/又はエーテル化された割合を表す指標として、Ds値を定義する。Ds値は、セルロースを構成する1つのグルコース単位に存在する3つの水酸基が、反応によりエステル又はエーテルに変化した割合であり、セルロース分子全体の平均値である。
【0034】
理論的には、セルロースの全ての水酸基が反応せずに残存している場合は、Ds値は0で最小値あり、セルロースの全ての水酸基が反応して他の基となっている場合は、Ds値は3で最大値である。
【0035】
Ds値は、高い方がセルロース誘導体の柔軟性が高いと考えられる。また、本工程において、Ds値が高まる、すなわち水酸基の反応がすすむにつれて、反応溶液に溶け出してゆくと考えられる。
【0036】
なお、セルロースに未反応の水酸基があることは、X線回折の他に、赤外吸収分光法(IR)により、セルロースのヒドロキシ基に由来するピークの存在によって確認することができる。
【0037】
本工程により誘導体化されたセルロース誘導体のDs値は、3未満であってもよい。Ds値が3未満のセルロース誘導体であっても、結晶性が十分に低く、良好な熱可塑性及び生分解性を十分に得ることができる。
【0038】
また、本工程により誘導体化されたセルロース誘導体のDs値は、2.5以下であってもよい。このようにすれば、より短時間なプロセスで、結晶性が低く、熱可塑性及び生分解性が良好なセルロース誘導体を得ることができる。
【0039】
なお、本工程により誘導体化されたセルロース誘導体のDs値は、1.5以上であればセルロースの結晶性を十分に下げることができ、熱可塑性及び生分解性が良好なセルロース誘導体を得ることができる。しかし、本工程により誘導体化されたセルロース誘導体のDs値の下限は、1.8以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましい。
【0040】
本工程を経ることにより、セルロースの水酸基が減少することで結晶構造の規則性が低下する、或いは、セルロースの結晶構造のパッキングが弱まり、これによりセルロースの結晶化度が低下すると考えられる。
【0041】
1.3.作用効果及び用途
本実施形態のセルロース誘導体の製造方法は、低結晶セルロースを用いる。そのため、誘導体化の反応速度が高い。そして誘導体化の程度が高く、結晶性が十分に低く、良好な熱可塑性及び生分解性を有するセルロース誘導体を得ることができる。
【0042】
本実施形態の製造方法で得られるセルロース誘導体は、熱可塑性を有し、生分解性等の架橋適合性が良好であるので、例えば、プラスチック成型に利用可能である。また、このセルロース誘導体は、他の樹脂等とブレンドして用いることもできる。このセルロース誘導体を用いた成形品の具体例としては、例えば、プリンター等の電子機器の筐体などが考えられる。
【0043】
2.実験例
以下に実験例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
【0044】
2.1.結晶化度の異なるセルロースの調製
図2は、各種のセルロースのX線回折パターン(XRD)を示す。
図2には、原料パルプ(結晶化度75%)、及びボールミルを用いて粉砕したパルプ(結晶化度60%、30%及び10%)のXRDが示されている。これらのXRDパターンから、結晶化度を算出した。
【0045】
パルプの結晶化度は、ボールミルによる粉砕時間を変更することで調節した。結晶化度60%のパルプは、およそ150秒、結晶化度30%のパルプは、およそ350秒、結晶化度10%のパルプは、およそ500秒、それぞれボールミルにより粉砕して得た。
【0046】
2.2.結晶化度及び誘導体化時間
誘導体化の出発物質となるセルロースの結晶化度が、誘導体化に要する時間に対する影響を検討した。
図3及び
図4は、上記の種々の結晶化度を有するセルロースを出発物質とした場合の誘導体化時間によるDs値の変化を示す。
【0047】
図3は、Ds値が3となるようなモル比でセルロース及びプロピオン酸クロライドを仕込み、反応を行った結果を示す。
図4は、Ds値が2.5となるようなモル比でセルロース及びプロピオン酸クロライドを仕込み、反応を行った結果を示す。なお、反応溶媒としてN-メチルピロリドン(NMP)を使用し、NMPにセルロース添加して50℃に加熱し、メカニカルスターラーで攪拌しながらプロピオン酸クロライドを滴下する手順で反応を行った。
【0048】
2.3.結果の評価
図3及び
図4をみると、誘導体化に用いるセルロースの結晶化度が小さいほど、Ds値の上昇が短時間で生じることが判明した。
【0049】
上述した実施形態は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0050】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0051】
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
【0052】
セルロース誘導体の製造方法は、
70%以下の結晶化度を有する低結晶セルロースを準備する工程と、
前記低結晶セルロースを誘導体化する工程と、
を含む。
【0053】
このセルロース誘導体の製造方法によれば、低結晶セルロースを用いるので、誘導体化の効率が良好であり、誘導体化工程を短時間で行うことができる。
【0054】
上記セルロース誘導体の製造方法において、
前記低結晶セルロースの結晶化度は、66%未満であってもよい。
【0055】
このセルロース誘導体の製造方法によれば、誘導体化の効率がさらに良好であり、誘導体化工程をより短時間で行うことができる。
【0056】
上記セルロース誘導体の製造方法において、
前記誘導体化は、前記低結晶セルロースの水酸基のエステル化であってもよい。
【0057】
このセルロース誘導体の製造方法によれば、さらに効率よくセルロース誘導体を製造できる。
【0058】
上記セルロース誘導体の製造方法において、
前記低結晶性セルロースの平均繊維長は、6μm以上500μm以下であってもよい。
【0059】
このセルロース誘導体の製造方法によれば、さらに効率よくセルロース誘導体を製造できる。
【0060】
上記セルロース誘導体の製造方法において、
前記セルロース誘導体のDs値は、3未満であってもよい。
【0061】
このセルロース誘導体の製造方法によれば、結晶性が十分に低いセルロース誘導体を得ることができ、当該セルロース誘導体の熱可塑性及び生分解性を向上できる。
【0062】
上記セルロース誘導体の製造方法において、
前記セルロース誘導体のDs値は、2.5以下であってもよい。
【0063】
このセルロース誘導体の製造方法によれば、結晶性が低く、熱可塑性及び生分解性が良好なセルロース誘導体を得ることができる。