(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064040
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】アンテナカバー及び該アンテナカバーを備えるマイクロ波レベル計
(51)【国際特許分類】
G01R 29/08 20060101AFI20240507BHJP
C21C 1/06 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G01R29/08 B
C21C1/06
G01R29/08 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172336
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000146238
【氏名又は名称】株式会社マツシマメジャテック
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岩本 隆志
(72)【発明者】
【氏名】柴本 浩児
【テーマコード(参考)】
4K014
【Fターム(参考)】
4K014AD17
(57)【要約】
【課題】高炉などにおいて、マイクロ波レベル計のメンテナンスの負担を軽減すること。
【解決手段】アンテナカバーは、導波管の先端に備えられた先端部の周囲を囲むように、かつ、前記先端部の周囲を回転可能に装着され、少なくとも一端が開放された円筒状に形成されている。アンテナカバーは、所定の耐熱性を有し、マイクロ波を透過する材質によって製造されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管の先端に備えられた先端部の周囲を囲むように、かつ、前記先端部の周囲を回転可能に装着されるアンテナカバーであって、
該アンテナカバーは、少なくとも一端が開放された円筒状に形成され、
前記アンテナカバーは、所定の耐熱性を有し、マイクロ波を透過する材質によって製造されている
ことを特徴とするアンテナカバー。
【請求項2】
高炉内で鋳床の下方に配置されるトピードカー若しくは溶銑鍋の受銑量、又は鉱滓鍋の鉱滓量を検出するために使用されるマイクロ波レベル計であって、
前記鋳床の内部又は下面に配設され、マイクロ波の発信と該マイクロ波の反射波の受信を制御するマイクロ波制御部と、
前記鋳床の内部又は下面に配設され、前記マイクロ波を伝送させる導波管と、
前記マイクロ波制御部と接続され、前記マイクロ波制御部の制御によりマイクロ波の発信と、該マイクロ波の反射波の受信とを行うアンテナ部と、を備え、
前記導波管は、該導波管の内部の先端に斜めに配置された反射板を有し、
前記マイクロ波制御部の制御により前記アンテナ部から発信された前記マイクロ波を前記導波管により案内され、前記反射板における反射により前記トピードカー若しくは前記溶銑鍋、又は前記鉱滓鍋の前記液面に向けて放射され、該放射により反射した前記マイクロ波を前記反射板における反射により前記導波管が前記マイクロ波制御部に導くことによって、前記高炉内で前記鋳床の下方に配置される前記トピードカー若しくは前記溶銑鍋の前記受銑量、又は前記鉱滓鍋の前記鉱滓量を検出し、
前記先端部の周囲を囲むように請求項1に記載のアンテナカバーが装着されている
ことを特徴とするマイクロ波レベル計。
【請求項3】
前記導波管には、回動させることによって被覆と開放とができるように上下方向に回動可能な被覆体が備えられ、
前記被覆体が下方に回動させた状態で前記アンテナカバーの上部を被覆し、
前記被覆体が上方に回動させた状態で前記アンテナカバーの上方を開放するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波レベル計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵などによる反射板への汚れの付着を防止するアンテナカバーと、該アンテナカバーを備えるマイクロ波レベル計とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の発明のように、高炉においてトピードカーや溶銑鍋、鉱滓鍋の上方に位置する床面に配設されるマイクロ波距離計における、作業用車両や作業員の往来の妨げを解消し、保守時の分解や組み直し作業を軽減でき、さらに検出精度の向上を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、マイクロ波距離計が備える反射板は、高炉においてトピードカーや溶銑鍋、鉱滓鍋の上方に位置しているため、反射板に対して粉塵などの汚れが付着しやすい。そして、その汚れを除去するためには、鋳床の内部から、汚れが付着した反射板だけでなくマイクロ波距離計や、マイクロ波距離計と接続されている導波管などの全体を取り出す必要があるため、マイクロ波距離計のメンテナンスの負担が大きい。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、高炉などにおいて、マイクロ波レベル計のメンテナンスの負担を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、導波管の先端に備えられた先端部の周囲を囲むように、かつ、前記先端部の周囲を回転可能に装着されるアンテナカバーであって、該アンテナカバーは、少なくとも一端が開放された円筒状に形成され、前記アンテナカバーは、所定の耐熱性を有し、マイクロ波を透過する材質によって製造されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、高炉内で鋳床の下方に配置されるトピードカー若しくは溶銑鍋の受銑量、又は鉱滓鍋の鉱滓量を検出するために使用されるマイクロ波レベル計であって、前記鋳床の内部又は下面に配設され、マイクロ波の発信と該マイクロ波の反射波の受信とを制御するマイクロ波制御部と、前記鋳床の内部又は下面に配設され、前記マイクロ波を伝送させる導波管と、前記マイクロ波制御部と接続され、前記マイクロ波制御部の制御によりマイクロ波の発信と、該マイクロ波の反射波の受信とを行うアンテナ部と、を備え、前記導波管は、該導波管の内部の先端に斜めに配置された反射板を有し、前記マイクロ波制御部の制御により前記アンテナ部から送信された前記マイクロ波を前記導波管により案内され、前記反射板における反射により前記トピードカー若しくは前記溶銑鍋、又は前記鉱滓鍋の前記液面に向けて放射され、該放射により反射した前記マイクロ波を前記反射板における反射により前記導波管が前記マイクロ波制御部に導くことによって、前記高炉内で前記鋳床の下方に配置される前記トピードカー若しくは前記溶銑鍋の前記受銑量の前記受銑量又は前記鉱滓鍋の前記鉱滓量を検出し、前記先端部の周囲を囲むように請求項1に記載のアンテナカバーが装着されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記導波管には、回動させることによって被覆と開放とができるように上下方向に回動可能な被覆体が備えられ、前記被覆体が下方に回動させた状態で前記アンテナカバーの上部を被覆し、前記被覆体が上方に回動させた状態で前記アンテナカバーの上方を開放するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1や請求項2の発明によれば、導波管の先端に備えられている先端部の周囲に回転可能にアンテナカバーが装着されることによって、先端部が備える反射板への粉塵などの汚れの付着を防ぐことができ、また、アンテナカバーに粉塵などの汚れが付着した場合であっても、鋳床の上部からアクセスすることによってアンテナカバーを所定の角度で回転させ、アンテナカバーの清浄な面を下方に位置させ、アンテナカバーの清浄な面と液面とを対向させることによって、付着した汚れを除去することなく受銑量の好適な検出を維持することができる。また、アンテナカバーを回転させることで汚れが付着した面が上方に位置するため、鋳床の上部からアンテナカバーに容易にアクセスして汚れを除去することができるので、マイクロ波レベル計のメンテナンスの負担の軽減を図るアンテナカバーやマイクロ波レベル計を提供することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、アンテナカバーへの粉塵等の堆積を防止する被覆体がさらに回動可能に取り付けられるため、鋳床の上部からアクセスして被覆体を上方へ回動させて解放させることによって、アンテナカバーに堆積した粉塵等を除去しやすくなり、マイクロ波レベル計だけでなく、アンテナカバーのメンテナンスの負担も軽減を図るマイクロ波レベル計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施の形態に係るアンテナカバーをマイクロ波レベル計に装着した全体構造を示す模式図である。
【
図2】この発明の実施の形態に係るアンテナカバーの構造を示す模式図である。
【
図3】この発明の実施の形態に係るアンテナカバーを回転させるための一態様を示す図である。
【
図4】この発明の実施の形態に係るアンテナカバーの上面に粉塵等の付着を防止する被覆体を示す図である。
【
図5】この発明の実施の形態に係るアンテナカバーを他の形状に係る導波管に取り付けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施の形態について、
図1から
図5までを用いて説明する。
【0013】
図1は、この発明の実施の形態に係るアンテナカバー4をマイクロ波レベル計1に装着した全体構造を示す模式図である。
【0014】
マイクロ波レベル計1は、たとえば、鋳床41の内部に配設され、マイクロ波の発信とマイクロ波の反射波の受信を制御するマイクロ波制御部2と、鋳床41の内部に配設され、マイクロ波制御部2の制御により受発信されるマイクロ波を伝送させる導波管3と、導波管3の先端部3aの周囲を囲むように回転可能に取り付けられたアンテナカバー4と、導波管3の端部に配設されたマイクロ波制御部2と接続されるアンテナ部7と、を備える。
【0015】
マイクロ波制御部2は、マイクロ波の発信と液面43で反射されたマイクロ波の受信を制御し、マイクロ波の発信から反射されたマイクロ波の受信までに要した時間に基づいて、アンテナ部7からトピードカー42の液面43までの距離を計測し、計測した距離に基づいて、トピードカー42の受銑量を検出する。
【0016】
導波管3は、一般には、中空の金属の管で、この中をマイクロ波が伝送する。導波管3は、その先端に備えられた先端部3aの内部に斜めに配置された反射板5と、反射板5による反射により液面43に向けて放射されるマイクロ波の照射領域に必要十分な大きさを有する切欠き部6が形成されている。具体的には、先端部3aは、マイクロ波制御部2の方向から先端部3aの方向に向けて上方から下方へ傾斜するように反射板5を有する。導波管3は、マイクロ波制御部2の制御によりアンテナ部7から発信されるマイクロ波を、伝送させ、反射板5によって切欠き部6を介してトピードカー42の液面43の方向へ反射させる。また、導波管3は、液面43によって反射されたマイクロ波が、切欠き部6を介して反射板5によってアンテナ部7の方向へ反射させ、マイクロ波制御部2によりアンテナ部7で受信されるように伝送する。導波管3は、一本の導波管を用いてもよいし、複数の導波管を接続することによって構成されてもよい。
【0017】
ここで、
図2を用いてアンテナカバーの構造について説明する。この発明の実施の形態に係るアンテナカバーの構造を示す模式図である。
【0018】
アンテナカバー4は、円筒状の本体部4aと、本体部4aの両端が開放されている開放面4bを備えている。なお、本体部4aの一端が開放されている開放面4bと、本体部4aの他端が閉塞されている閉塞面とを備えるように、アンテナカバー4は、本体部4aの少なくとも一端が開放されていればよい。
【0019】
アンテナカバー4は、先端部3aの周囲を取り囲むように回転可能に装着され、先端部3aの全体を覆い、
図2に示す軸線Aを中心として時計回り又は反時計回りに回転可能となっている。
【0020】
ところで、アンテナカバー4が装着される先端部3aの周辺は、高温になるため、所定の耐熱性が必要となる。また、マイクロ波によってトピードカー42の受銑量を検出するためには、アンテナカバー4は、マイクロ波を透過する性質を有する必要がある。
【0021】
そこで、まず、アンテナカバー4の耐熱性について説明する。アンテナカバー4は、高炉などに配設される、導波管3の内部の先端に斜めに配置された反射板5を備える先端部3aの周囲を囲むように装着されるため、所定の耐熱性を有する材質が用いられる。一般に、トピードカー42に供給される溶銑や、その上方に位置している先端部3a周辺は、高温となる。そのため、アンテナカバー4が有する所定の耐熱性は、溶銑や先端部3a周辺の高い温度に耐えることができる性質を有することが望ましい。
【0022】
次に、アンテナカバー4の透過性について説明する。アンテナカバー4は、マイクロ波と、マイクロ波の反射波とを透過する性質を有する材質が用いられる。
【0023】
このように、アンテナカバー4は、上記の耐熱性とマイクロ波の透過性とを有する材質であれば、どのような材質を用いてもよい。
【0024】
ここで、
図3に示すように、アンテナカバー4を回転させる方法の例を説明する。
図3は、この発明の実施の形態に係るアンテナカバーを回転させるための一態様を示す図である。
【0025】
上記のとおり、アンテナカバー4が装着される先端部3a周辺は、高温であるため、アンテナカバー4を回転させる際に、アンテナカバー4や鋳床41に手足が触れてしまうと火傷を負うリスクがある。そこで、
図3に示すように、アンテナカバー4を回転させるためにベルト11を用いてもよい。ベルト11は、耐熱性を有する材質であることが好ましい。耐熱性を有する手袋を着用して手動でアンテナカバー4を回転させることができるが、ベルト11を用いてアンテナカバー4を回転させれば、より安全に行うことができる。具体的には、
図3に示すように、アンテナカバー4の下部にベルト11を通し、ベルト11とアンテナカバー4とを密着させた状態のまま、ベルト11の両端を上方に保持する。そして、ベルト11の一端をさらに上方に持ち上げることによってアンテナカバー4を回転させることが可能となる。
【0026】
次に、アンテナカバーが取り付けられる周辺の環境について説明をする。アンテナカバー4が取り付けられる先端部3a周辺は、高温になるだけでなく、粉塵が下方から上方に吹き上がるため、マイクロ波が照射される反射板5や切欠き部6に粉塵が付着すると、マイクロ波が減衰・散乱し、受銑量への反射が阻害されるため、先端部3a周辺は、熱だけでなく、粉塵から保護し、除去する必要がある。
【0027】
そこで、
図4を用いて、アンテナカバー4の上面に粉塵等の汚れが堆積することを防止することができる構造について説明をする。
図4は、この発明の実施の形態に係るアンテナカバーの上面に粉塵等の堆積を防止する被覆体を示す図である。
【0028】
図4に示すように、導波管3には、回動させることによって被覆と開放とができるように上下方向に回動可能な被覆体21が備えられている。被覆体21が下方に回動させた状態でアンテナカバー4の上部を被覆し、被覆体21が上方に回動させた状態でアンテナカバー4の上方を開放する。被覆体21の上下方向への回動は、導波管3に備えられているレバー22を用いる。
【0029】
被覆体21を下方に回動させた状態でアンテナカバー4の上部を被覆しているときに、被覆体21とアンテナカバー4とは接触をしてもよい。後述するとおり、目視のほか、マイクロ波制御部2による受銑量の計測に影響が生じたときに、アンテナカバー4に汚れが付着したと判断することができる。このように、アンテナカバー4に付着した汚れを除去するときは、被覆体21を上方に回動させた状態でアンテナカバー4の上方を開放し、鋳床41の開口部(図示せず)からアクセスしてアンテナカバー4から汚れを除去することができる。アンテナカバー4から汚れを除去した後は、この手順とは逆の手順に従い、被覆体21が下方に回動させた状態でアンテナカバー4の上部を被覆させる。
【0030】
さらに、アンテナカバー4に粉塵などの汚れが付着した場合のメンテナンスのフローを説明する。
【0031】
一般に、鋳床41における粉塵の性質によりアンテナカバー4の下部に粉塵が付着しやすい。そのため、アンテナカバー4を回転させることによって、本体部4aの清浄な面を下方に位置させて液面43と対向させるようにして、アンテナカバー4のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0032】
アンテナカバー4に粉塵等の汚れが付着しているか否かは、たとえば、目視で確認をすることができるほか、マイクロ波制御部2が液面43によって反射されたマイクロ波を通常とは異なる角度で受信した場合やマイクロ波制御部2がマイクロ波の受発信に要した時間に基づいて検出した受銑量が異常値であった場合などに、アンテナカバー4に汚れが付着したと判断することができる。
【0033】
汚れを除去して好適に受銑量を検出するために、導波管3の軸線Aを中心としてアンテナカバー4を回転させることによって、汚れが付着していない本体部4aの清浄な面を下方に位置させて清浄な面と液面43とを対向させればよい。アンテナカバー4を回転させるために、たとえば、鋳床の上部に位置している開口部(図示せず)を開放することによって、アンテナカバー4にアクセスをして回転させることが可能となる。具体的には、本体部4aの清浄な面と液面43とを対向させる状態になるまで、アンテナカバー4を回転させる。本体部4aで汚れが付着した面から清浄な面へ回転させるために、アンテナカバー4を時計回り又は反時計回りに、たとえば90度回転させる。アンテナカバー4への汚れの付着によって、マイクロ波制御部2による受銑量の検出に影響を及ぼさない程度であれば、アンテナカバー4を回転させる角度は上記の角度に限られない。
【0034】
アンテナカバー4を回転させた後に、アンテナカバー4に再度汚れが付着したことが判明した場合、上記と同様にアンテナカバー4を同一の方向へ回転させればよい。最初に時計回りに90度回転させた場合には、2回目も時計回りに90度回転させる。最初に反時計回りに90度回転させた場合には、2回目も反時計回りに90度回転させる。アンテナカバー4の回転を同一方向に90度ずつ2回回転させた場合、最初に液面43と対向していた本体部4aの面が上向きに位置する。この時に、鋳床41の上方に備えられている開口部(図示せず)を開放して、アンテナカバー4にアクセスして粉塵等の汚れが付着している本体部4aから汚れを除去することができる。本体部4aに付着した粉塵等の汚れを除去する方法としては、たとえば、エアブローを用いることができるが、これに限られない。
【0035】
マイクロ波レベル計1を使用し続けて、アンテナカバー4に汚れが付着した場合には、これらの手続きを繰り返すことによってアンテナカバー4に付着した汚れを除去することができるので、マイクロ波レベル計1のメンテナンスの負担を軽減することができるだけでなく、マイクロ波レベル計1によって受銑量を精度よく検出することを維持することができる。
【0036】
図1に戻り、アンテナ部7は、マイクロ波制御部2と接続され、マイクロ波制御部2の制御により、マイクロ波を発信し、マイクロ波の反射波を受信する。なお、
図1において、アンテナ部7の形状は、ホーンアンテナの形状となっているが、たとえば、パラボラアンテナの形状であってもよく、ほかの形状でもよい。
【0037】
支持部8は、導波管3及び導波管3に用いられているネジなどの取付部材の負担の軽減を図る部材であり、支持部8が導波管3を固定することによって、導波管3を支持することができる。
【0038】
また、本体支持部9は、支持部8の機能と同様に、マイクロ波制御部2が格納されている容器を支持する。
【0039】
鋳床41は、溶銑樋等を設置した作業床であり、
図1に示すマイクロ波レベル計1は、鋳床41の内部に配設されているが、鋳床41の下面に配設をしてもよい。
【0040】
トピードカー42には、傾注樋45を介して、溶銑樋(図示せず)から溶銑44が供給される。液面43は、溶銑44の表面をいう。なお、
図1には、トピードカー42が記載されているが、トピードカー42に代えて、溶銑鍋などの受銑容器や鉱滓量を検出するために鉱滓鍋を用いてもよい。
【0041】
作用について説明する。この実施の形態においては、アンテナカバー4は、耐熱性とマイクロ波の透過性を有する材質であり、高炉やコークス炉など、高温で粉塵が舞いやすい環境に設けられる機器、たとえばマイクロ波レベル計1などに装着することに適している。
【0042】
この実施の形態においては、マイクロ波制御部2の制御によりアンテナ部7が発信したマイクロ波は、導波管3を伝送し、先端部3aに備えられる反射板5によって切欠き部6を介してトピードカー42の液面43の方向へ放射される。トピードカー42の液面43によって反射したマイクロ波は、トピードカー42の上方に位置している先端部3aに備えられる切欠き部6および反射板5によってアンテナ部7の方向へ反射し、導波管3を通じて伝送され、マイクロ波制御部2の制御によりアンテナ部7が受信する。マイクロ波制御部2は、マイクロ波の発信から反射されたマイクロ波の受信までに要した時間に基づいて、アンテナ部7から液面43までの距離を計測し、計測した距離に基づいて、受銑量を検出する。
【0043】
なお、マイクロ波制御部2は、上記と同様の手段によって、トピードカー42の受銑量だけでなく、溶銑鍋の受銑量や鉱滓鍋の鉱滓量を検出することができる。
【0044】
この実施の形態において、マイクロ波レベル計1が鋳床の内部に配設されている場合、アンテナカバー4に対して鋳床41の上方からアクセスすることが可能であるため、アンテナカバー4に汚れが付着したことが判明した場合には、容易に上記の手順によりアンテナカバー4を回転させることによって、本体部4aの清浄な面と液面43とを対向させ、マイクロ波制御部2による数値の検出の異常などを解消することができる。
【0045】
この実施の形態において、鋳床の内部にマイクロ波レベル計1を設置している場合、反射板5に付着した汚れを除去するためには、鋳床41の内部からマイクロ波レベル計1を取り出す必要があり、その負担は大きい。しかし、アンテナカバー4を先端部3aに回転可能に装着することによって、マイクロ波レベル1のメンテナンスの負担を小さくすることができる。
【0046】
この実施の形態において、先端部3aの周囲を取り囲むようにアンテナカバー4が回転可能に装着されているが、アンテナカバー4は、マイクロ波を透過する材質であるため、マイクロ波は、切欠き部6を介して、アンテナカバー4を透過して、トピードカー42の液面43の方向へ放射され、マイクロ波の放射とマイクロ波の反射波の導波管3への伝送に影響を及ぼすことはない。また、先端部3aに備えられる反射板5への粉塵などの汚れの付着や輻射熱による影響を防ぐことができ、アンテナカバー4に汚れが付着した場合であっても、アンテナカバー4を所定の角度で回転させ、本体部4aの清浄な面と液面43とを対向させることによって、マイクロ波制御部2による受銑量の適切な検出を維持することができる。
【0047】
この実施に形態において、アンテナカバー4を用いることによって、マイクロ波レベル計1への粉塵などの付着や高温から保護することができるため、マイクロ波レベル計1のメンテナンスを行う周期を長くすることができ、また、マイクロ波レベル計1を用意に保守することができるようになる。
【0048】
この実施の形態において、マイクロ波レベル計1が鋳床41の内部又はその下面に設置されている場合、鋳床41の上部からアクセスしてアンテナカバー4を操作することができる。具体的には、鋳床41の上部からアンテナカバー4にアクセスして、上記の手順によりアンテナカバー4を回転させることで本体部4aの清浄な面と液面43とを対向させる。アンテナカバー4を回転させることによって本体部4aの汚れが付着した面が上方に位置した際に、鋳床41の開口部(図示せず)からアクセスして本体部4aに付着した汚れを除去することができるので、マイクロ波レベル計1のメンテナンスの負担が小さくなる。
【0049】
アンテナカバー4のメンテナンスの際にアンテナカバー4を回転させるためにベルト11を用いれば、より安全にメンテナンスを行うことが可能になる。
【0050】
さらに、被覆体21が下方に回動させた状態でアンテナカバー4の上部を被覆することによって、アンテナカバー4に粉塵等の汚れの堆積を抑止することができる。また、被覆体21が回動可能に取り付けられるため、鋳床41の上部からアクセスして被覆体21を上方へ回動させて解放させることによって、アンテナカバー4に付着した粉塵等の汚れを除去することができ、マイクロ波レベル計1だけでなく、アンテナカバー4のメンテナンス負担の軽減を図ることができる。
【0051】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【0052】
たとえば、アンテナカバー4は円筒状に形成されているが、先端部3aの周囲を回転可能で先端部3a先端の周囲を取り囲むように装着することができる形状であれば、円筒状に限られない。
【0053】
また、導波管3は、中空の金属の管で、その内部をマイクロ波が案内されればよいため、
図2などに示すような円筒形状に限られず、
図5に示すように角筒形状の導波管31であってもよく、その他の形状でもよい。
【0054】
また、上記においては、マイクロ波を例に説明をしたが、受銑量を検出することができるのであれば、ミリ波などの電波でもよい。
【符号の説明】
【0055】
1・・・マイクロ波レベル計
2・・・マイクロ波制御部
3、31・・・導波管
3a・・・先端部
4・・・アンテナカバー
4a・・・本体部
4b・・・開放面
5・・・反射板
6・・・切欠き部
7・・・アンテナ部
8・・・支持部
9・・・本体支持部
11・・・ベルト
21・・・被覆体
22・・・レバー
41・・・鋳床
42・・・トピードカー
43・・・液面
44・・・溶銑
45・・・傾注樋
A・・・軸線