IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大日本印刷株式会社の特許一覧

特開2024-64041電子情報記憶媒体、ICチップ、ICカード、取引ログ保存方法、及びプログラム
<>
  • 特開-電子情報記憶媒体、ICチップ、ICカード、取引ログ保存方法、及びプログラム 図1
  • 特開-電子情報記憶媒体、ICチップ、ICカード、取引ログ保存方法、及びプログラム 図2
  • 特開-電子情報記憶媒体、ICチップ、ICカード、取引ログ保存方法、及びプログラム 図3
  • 特開-電子情報記憶媒体、ICチップ、ICカード、取引ログ保存方法、及びプログラム 図4
  • 特開-電子情報記憶媒体、ICチップ、ICカード、取引ログ保存方法、及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064041
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電子情報記憶媒体、ICチップ、ICカード、取引ログ保存方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240507BHJP
   G06K 19/073 20060101ALI20240507BHJP
   B42D 25/309 20140101ALI20240507BHJP
【FI】
G06K19/077 244
G06K19/073
B42D25/309
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172337
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】梶原 直也
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005HA30
2C005HB09
(57)【要約】
【課題】通信インターフェースごとに取引ログを区別して保存させることが可能な電子情報記憶媒体、ICカード、取引ログ方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】ICカード1は、Log Entry及びLog Formatを通信インターフェース11,12ごとに予めNVM15に記憶しておき、接触通信インターフェース11を介して端末2との間で取引を実施するための通信が行われた場合に、接触通信インターフェース11に対応するLog Entry CT及びLog Format CTに基づいてTransaction Log CTを保存領域R(1)に保存する一方、非接触通信インターフェース12を介して端末3との間で取引を実施するための通信が行われた場合に、非接触通信インターフェース12に対応するLog Entry CL及びLog Format CLに基づいて、Transaction Log CLを保存領域R(2)に保存する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信インターフェースを備える電子情報記憶媒体であって、
外部装置との間で実施される取引のログの保存先を示す第1データと、当該ログとして保存されるべき保存項目を示す第2データとを前記通信インターフェースごとに予め記憶するメモリと、
何れか1つの前記通信インターフェースを介して前記外部装置との間で前記取引を実施するための通信が行われた場合に、当該何れか1つの前記通信インターフェースに対応する前記第1データ及び前記第2データに基づいて、当該実施された取引のログを保存する保存手段と、
を備えることを特徴とする電子情報記憶媒体。
【請求項2】
複数の通信インターフェースには、非接触通信インターフェースと接触通信インターフェースとが含まれ、
前記非接触通信インターフェースに対応する前記第1データが示す前記保存先と前記接触通信インターフェースに対応する前記第1データが示す前記保存先とは異なり、前記非接触通信インターフェースに対応する前記第2データが示す前記保存項目と、前記接触通信インターフェースに対応する前記第2データが示す前記保存項目とは少なくとも一部が異なることを特徴とする請求項1に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項3】
前記電子情報記憶媒体に記憶された1つのアプリケーションであって、接触通信時と非接触通信時で前記ログを保存する動作を切替えることが可能な前記アプリケーションにしたがって、前記取引のログを保存することを特徴とする請求項2に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項4】
複数の通信インターフェースを備えるICカードに搭載されるICチップであって、
外部装置との間で実施される取引のログの保存先を示す第1データと、当該ログとして保存されるべき保存項目を示す第2データとを前記通信インターフェースごとに予め記憶するメモリと、
何れか1つの前記通信インターフェースを介して前記外部装置との間で前記取引を実施するための通信が行われた場合に、当該何れか1つの前記通信インターフェースに対応する前記第1データ及び前記第2データに基づいて、当該実施された取引のログを保存する保存手段と、
を備えることを特徴とするICチップ。
【請求項5】
複数の通信インターフェースを備えるICカードであって、
外部装置との間で実施される取引のログの保存先を示す第1データと、当該ログとして保存されるべき保存項目を示す第2データとを前記通信インターフェースごとに予め記憶するメモリと、
何れか1つの前記通信インターフェースを介して前記外部装置との間で前記取引を実施するための通信が行われた場合に、当該何れか1つの前記通信インターフェースに対応する前記第1データ及び前記第2データに基づいて、当該実施された取引のログを保存する保存手段と、
を備えることを特徴とするICカード。
【請求項6】
複数の通信インターフェースを備える電子情報記憶媒体により実行される取引ログ保存方法であって、
外部装置との間で実施される取引のログの保存先を示す第1データと、当該ログとして保存されるべき保存項目を示す第2データとを前記通信インターフェースごとにメモリに記憶するステップと、
何れか1つの前記通信インターフェースを介して前記外部装置との間で前記取引を実施するための通信が行われた場合に、当該何れか1つの前記通信インターフェースに対応する前記第1データ及び前記第2データに基づいて、当該実施された取引のログを保存するステップと、
を含むことを特徴とする取引ログ保存方法。
【請求項7】
複数の通信インターフェースを備える電子情報記憶媒体に含まれるコンピュータに、
外部装置との間で実施される取引のログの保存先を示す第1データと、当該ログとして保存されるべき保存項目を示す第2データとを前記通信インターフェースごとにメモリに記憶するステップと、
何れか1つの前記通信インターフェースを介して前記外部装置との間で前記取引を実施するための通信が行われた場合に、当該何れか1つの前記通信インターフェースに対応する前記第1データ及び前記第2データに基づいて、当該実施された取引のログを保存するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置との間で実施される取引のログを保存するICカード等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カードシステムのデファクトスタンダード仕様として、例えば特許文献1に開示されているように、EMV(登録商標)仕様が知られている。かかる仕様に準拠したIC(Integrated Circuit)カードは、外部装置との間で実施される取引が完了するごとにログ(Transaction Log)をICカード内に保存するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-328481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したICカードは、従来の買い物以外の様々な場面で利用されるケースが今後想定される。例えば、1つのICカードが接触通信インターフェースを介した接触通信を利用して実施される取引と、非接触通信インターフェースを介した非接触通信を利用して実施される取引とで、それぞれ別々に取引ログを保存したいというニーズが生まれる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、通信インターフェースごとに取引ログを区別して保存させることが可能な電子情報記憶媒体、ICカード、ICチップ、取引ログ方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の通信インターフェースを備える電子情報記憶媒体であって、外部装置との間で実施される取引のログの保存先を示す第1データと、当該ログとして保存されるべき保存項目を示す第2データとを前記通信インターフェースごとに予め記憶するメモリと、何れか1つの前記通信インターフェースを介して前記外部装置との間で前記取引を実施するための通信が行われた場合に、当該何れか1つの前記通信インターフェースに対応する前記第1データ及び前記第2データに基づいて、当該実施された取引のログを保存する保存手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子情報記憶媒体において、複数の通信インターフェースには、非接触通信インターフェースと接触通信インターフェースとが含まれ、前記非接触通信インターフェースに対応する前記第1データが示す前記保存先と前記接触通信インターフェースに対応する前記第1データが示す前記保存先とは異なり、前記非接触通信インターフェースに対応する前記第2データが示す前記保存項目と、前記接触通信インターフェースに対応する前記第2データが示す前記保存項目とは少なくとも一部が異なることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子情報記憶媒体において、前記電子情報記憶媒体に記憶された1つのアプリケーションであって、接触通信時と非接触通信時で前記ログを保存する動作を切替えることが可能な前記アプリケーションにしたがって、前記取引のログを保存することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、複数の通信インターフェースを備えるICカードに搭載されるICチップであって、外部装置との間で実施される取引のログの保存先を示す第1データと、当該ログとして保存されるべき保存項目を示す第2データとを前記通信インターフェースごとに予め記憶するメモリと、何れか1つの前記通信インターフェースを介して前記外部装置との間で前記取引を実施するための通信が行われた場合に、当該何れか1つの前記通信インターフェースに対応する前記第1データ及び前記第2データに基づいて、当該実施された取引のログを保存する保存手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、複数の通信インターフェースを備えるICカードであって、外部装置との間で実施される取引のログの保存先を示す第1データと、当該ログとして保存されるべき保存項目を示す第2データとを前記通信インターフェースごとに予め記憶するメモリと、何れか1つの前記通信インターフェースを介して前記外部装置との間で前記取引を実施するための通信が行われた場合に、当該何れか1つの前記通信インターフェースに対応する前記第1データ及び前記第2データに基づいて、当該実施された取引のログを保存する保存手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、複数の通信インターフェースを備える電子情報記憶媒体により実行される取引ログ保存方法であって、外部装置との間で実施される取引のログの保存先を示す第1データと、当該ログとして保存されるべき保存項目を示す第2データとを前記通信インターフェースごとにメモリに記憶するステップと、何れか1つの前記通信インターフェースを介して前記外部装置との間で前記取引を実施するための通信が行われた場合に、当該何れか1つの前記通信インターフェースに対応する前記第1データ及び前記第2データに基づいて、当該実施された取引のログを保存するステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、複数の通信インターフェースを備える電子情報記憶媒体に含まれるコンピュータに、外部装置との間で実施される取引のログの保存先を示す第1データと、当該ログとして保存されるべき保存項目を示す第2データとを前記通信インターフェースごとにメモリに記憶するステップと、何れか1つの前記通信インターフェースを介して前記外部装置との間で前記取引を実施するための通信が行われた場合に、当該何れか1つの前記通信インターフェースに対応する前記第1データ及び前記第2データに基づいて、当該実施された取引のログを保存するステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通信インターフェースごとに取引ログを区別して保存させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ICカード1の概要構成の一例を示す図である。
図2】通信インターフェース11,12ごとに割り当てられる保存領域の一例を示す概念図である。
図3】Log Format CTとTransaction Log CTとの対応関係の一例を示す図である。
図4】Log Format CLとTransaction Log CLとの対応関係の一例を示す図である。
図5】ICカード1のCPU16により実行されるログ保存処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、接触通信インターフェースと非接触通信インターフェースとを備えるICカードに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0016】
[1.ICカード1の構成及び機能]
先ず、図1を参照して、本実施形態に係るICカード1の構成及び機能について説明する。図1は、ICカード1の概要構成例を示す図である。ICカード1は、電子情報記憶媒体の一例である。図1に示すように、ICカード1は、接触通信インターフェース11、非接触通信インターフェース12、RAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)14、NVM(Nonvolatile Memory)15、及びCPU(Central Processing Unit)16等を備えて構成される。なお、ICカード1は、複数のチップ(例えば、接触通信用IC、非接触通信用IC、及びこれらを制御するコントローラ)を搭載しパッケージングされてもよいし、或いは、1つのICチップを搭載することで構成されてもよい。
【0017】
接触通信インターフェース11は、例えばISO/IEC7816で定義されるI/O回路(例えば、C1~C8の8個の端子を含む)を備え、ICカード1が端末2の装着部に装着されるとI/O回路は端末2(外部装置の一例)に接続される。これにより、ICカード1は、端末2との間で接触通信を行うことができる。非接触通信インターフェース12は、例えば変復調回路を備え、端末3(外部装置の一例)のリーダライタから発せられ、アンテナ(図示せず)で受信された搬送波からデータを復調する。また、非接触通信インターフェース12は、CPU16からのデータを変調し変調信号としてアンテナ(図示せず)へ出力する。これにより、ICカード1は、端末3との間で非接触通信を行うことができる。
【0018】
NVM15には、例えばフラッシュメモリが適用される。なお、NVM15は、「Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory」であってもよい。ROM14、またはNVM15には、OS(Operating System)、及びアプリケーション(本発明のプログラムを含む)等が記憶される。ここで、アプリケーションには、接触通信時と非接触通信時でTransaction Logを保存する動作を切替えることが可能な1つの取引用アプリケーションAppが含まれる。NVM15には、例えば工場内におけるICカード1の発行工程において、Transaction Logを保存するための保存領域が通信インターフェース11,12ごとに割り当てられるとともに、通信インターフェース11,12ごとにLog Entry及びLog Formatが発行され、NVM15に記憶される。ここで、Transaction Logは、例えばEMV(登録商標)仕様で定義されている取引のログであり、1つの取引が完了するごとに保存領域のレコードに保存(記録)される。
【0019】
なお、以下の説明において、接触通信インターフェース11に対応するTransaction Logを「Transaction Log CT(Contact)」といい、非接触通信インターフェース12に対応するTransaction Logを「Transaction Log CL(Contactless)」という。また、接触通信インターフェース11に対応するLog Entryを「Log Entry CT(Contact)」といい、非接触通信インターフェース12に対応するLog Entryを「Log Entry CL(Contactless)」という。また、接触通信インターフェース11に対応するLog Formatを「Log Format CT(Contact)」といい、非接触通信インターフェース12に対応するLog Formatを「Log Format CL(Contactless)」という。
【0020】
図2は、通信インターフェース11,12ごとに割り当てられる保存領域の一例を示す概念図である。図2に示す保存領域R(1)は、接触通信インターフェース11(接触通信)に対応しており、図2に示す保存領域R(2)は、非接触通信インターフェース12(非接触通信)に対応している。保存領域R(1)は、SFI(Short File Identifier)により識別されるファイルF(1)として取引用アプリケーションAppにより管理され、保存領域R(2)は、SFIにより識別されるファイルF(2)として取引用アプリケーションAppにより管理される。保存領域R(1),R(2)(換言すると、ファイルF(1),F(2))は、それぞれ、複数のレコードを有する。各レコードはレコードナンバー(Record Number)により管理される。1つのレコードには、1つの取引に係るTransaction Logが記録される。各レコードに保存されたTransaction Logは、Read Recordコマンドにより外部から読み取り可能になっている。
【0021】
Log Entry CTは、Transaction Log CTが保存されるレコードを有するファイルF(1)のSFI(Transaction Log CTの保存先を示す第1データの一例)と、SFIに対してサポートしているレコードのレコードナンバー(換言すると、最大レコード数)とを含む。一方、Log Entry CLは、Transaction Log CLが保存されるレコードを有するファイルF(2)のSFI(Transaction Log CLの保存先を示す第1データの一例)と、SFIに対してサポートしているレコードのレコードナンバーとを含む。なお、Log Entry CTが示す「Transaction Log CTの保存先」とLog Entry CLが示す「Transaction Log CLの保存先」とは異なる。
【0022】
Log Format CTは、Transaction Log CTとして保存されるべき保存項目(つまり、Transaction Log CT内に格納されるべきデータ要素)を示す一覧データ(第2データの一例)を含む。かかる一覧データにおいて、各保存項目は、固有のTag、及びLengthで表される。取引用アプリケーションAppと端末2との間で実施される1つの取引が完了するごとにLog Format CTで列挙されている保存項目がTransaction Log CTとしてレコードに書き込まれる。Log Format CTで列挙されている保存項目の例として、取引日付、取引時間、取引通貨コード、及び取引金額が挙げられる。
【0023】
一方、Log Format CLは、Transaction Log CLとして保存されるべき保存項目(つまり、Transaction Log CL内に格納されるべきデータ要素)を示す一覧データ(第2データの一例)を含む。取引用アプリケーションAppと端末3との間で実施される1つの取引が完了するごとにLog Format CLで列挙されている保存項目がTransaction Log CLとしてレコードに書き込まれる。Log Format CLで列挙されている保存項目の例として、取引日付、取引時間、取引通貨コード、取引金額、及び累計取引回数が挙げられる。なお、保存項目として、取引が行われた店舗または駅(改札)を識別するコードが含まれてもよい。このように、Log Format CTとLog Format CLとそれぞれ異なる保存項目(データ要素)を列挙することで、接触通信時と非接触通信時とで少なくとも一部が異なる保存項目をTransaction Logとして保存するICカード1の挙動を実現できる。
【0024】
CPU16(コンピュータの一例)は、NVM15に記憶されたOS及びアプリケーション(本発明のプログラムを含む)を実行することで、本発明における保存手段として機能する。すなわち、CPU16は、接触通信時と非接触通信時でTransaction Logを保存する動作を切替えることが可能な取引用アプリケーションAppにしたがって、以下のとおり、Transaction Logを保存する。例えば、CPU16は、接触通信インターフェース11を介して端末2との間で取引を実施するための通信が行われた場合(つまり、接触通信時に取引を完了した場合)に、接触通信インターフェース11に対応するLog Entry CT及びLog Format CTに基づいて、当該実施された取引のTransaction Log CTを保存領域R(1)のレコードに保存する。つまり、Log Entry CTが示すファイルF(1)のレコードに、Log Format CTが示す保存項目が書き込まれる。一方、CPU16は、非接触通信インターフェース12を介して端末3との間で取引を実施するための通信が行われた場合(つまり、非接触通信時に取引を完了した場合)に、非接触通信インターフェース12に対応するLog Entry CL及びLog Format CLに基づいて、当該実施された取引のTransaction Log CLを保存領域R(2)のレコードに保存する。つまり、Log Entry CLが示すファイルF(2)のレコードに、Log Format CLが示す保存項目が書き込まれる。
【0025】
図3は、Log Format CTとTransaction Log CTとの対応関係の一例を示す図である。図3において、Log Format CTには、保存項目として、“9A03”,“9F2103”,“5F2A02”,“9F0206”が示されている(16進数で示される)。ここで、“9A03”において、“9A”は取引日付(YYMMDD)を表すTagであり、“03”は取引日付のLengthである。また、“9F2103”において、“9F21”は取引時間(HHMMSS)を表すTagであり、“03”は取引時間のLengthである。また、“5F2A02”において、“5F2A”は取引通貨コードを表すTagであり、“02”は取引通貨コードのLengthである。また、“9F0206”において、“9F02”は取引金額を表すTagであり、“06”は取引金額のLengthである。そして、図3において、Transaction Log CTには、Log Format CTに示される保存項目の実データ(つまり、レコードに実際に保存されるデータ)として、“220801”(取引日付),“123000”(取引時間),“0392”(取引通貨コード),“000000001000”(取引金額)が示されている。
【0026】
一方、図4は、Log Format CLとTransaction Log CLとの対応関係の一例を示す図である。図3において、Log Format CLには、保存項目として、“9A03”,“9F2103”,“5F2A02”,“9F0206”,“9F3602”が示されている。ここで、“9F3602”において、“9F36”は累計取引回数を表すTagであり、“02”は累計取引回数のLengthである。図3に示すLog Format CTと、図4に示すLog Format CLとを比較すると、Log Format CLには、Log Format CTに示されている4つの保存項目に加えて、累計取引回数“9F3602”が追加されている。そのため、Transaction Log CLには、累計取引回数の実データとして、“000A”が追加されている。
【0027】
[2.ICカード1の動作]
次に、図5を参照して、本実施形態に係るICカード1の動作について説明する。図5は、ICカード1のCPU16により実行されるログ保存処理の一例を示すフローチャートである。なお、ICカード1によっては、例えば工場内の発行工程において、Log Entry CT 及びLog Format CTと、Log Entry CL 及びLog Format CLとのうちの双方または何れか一方が発行されず、NVM15に記憶されない場合もある。図5は、このような場合も想定された汎用の処理を示すものである。図5に示す処理によれば、Log Entry 及びLog Formatの発行状況によってTransaction Logの保存項目及び保存先を切替えることができる。
【0028】
図5に示す処理は、例えば、端末2または端末3との間で実施される取引が完了した場合に開始される。なお、取引に係る処理は、例えばEMV(登録商標)仕様にしたがって実行されればよい。図5に示す処理が開始されると、CPU16は、現在の(つまり、取引が実施された際の)通信インターフェースの種類を判定する(ステップS1)。そして、取引が実施された際の通信インターフェースの種類が接触通信(つまり、接触通信インターフェース11)である場合(ステップS2:接触通信)、処理はステップS3へ進む。一方、取引が実施された際の通信インターフェースの種類が非接触通信(つまり、非接触通信インターフェース12)である場合(ステップS2:非接触通信)、処理はステップS5へ進む。
【0029】
ステップS3では、CPU16は、Log Format CTが発行済であるか否かを判定する。Log Format CTが発行済でないと判定された場合(ステップS3:NO)、Transaction Logが保存されることなく、処理が終了する。一方、Log Format CTが発行済であると判定された場合(ステップS3:YES)、CPU16は、Log Entry CT及びLog Format CTに基づいて、Transaction Log CTを保存領域R(1)のレコードに書き込み(ステップS4)、処理を終了する。
【0030】
ステップS5では、CPU16は、Log Format CTが発行済であるか否かを判定する。Log Format CTが発行済でないと判定された場合(ステップS5:NO)、Transaction Logが保存されることなく、処理が終了する。つまり、この例では、Log Format CTが発行されていなければ、Log Format CLが発行されていたとしても、Transaction Logが保存されない。別の例として、Log Format CTが発行されていなくても、Log Format CLが発行されていれば、Log Entry CL及びLog Format CLに基づいて、Transaction Log CLが保存領域R(2)のレコードに書き込まれるように構成してもよい。
【0031】
一方、Log Format CTが発行済であると判定された場合(ステップS5:YES)、CPU16は、Log Format CLが発行済であるか否かを判定する(ステップS6)。Log Format CLが発行済でないと判定された場合(ステップS6:NO)、CPU16は、Log Entry CT及びLog Format CTに基づいて、Transaction Log CTを保存領域R(1)のレコードに書き込み(ステップS7)、処理を終了する。一方、Log Format CLが発行済であると判定された場合(ステップS6:YES)、CPU16は、Log Entry CL及びLog Format CLに基づいて、Transaction Log CLを保存領域R(2)のレコードに書き込み(ステップS8)、処理を終了する。
【0032】
図5に示す処理によれば、Log Format CTとLog Format CLとの双方が発行されている場合、接触通信と非接触通信とのそれぞれ個別の保存項目がTransaction Log(CTまたはCL)として個別のレコードに書き込まれる。つまり、Transaction Log(CTまたはCL)が書き込まれる保存領域(1),(2)がLog Entry(CTまたはCL)にしたがって接触通信時と非接触通信時で切替えられる。一方で、Log Format CTのみが発行されている場合、接触通信と非接触通信とで共通の保存項目がTransaction Log CTとして共通のレコードに書き込まれる。
【0033】
以上説明したように、上記実施形態によれば、ICカード1は、Log Entry及びLog Formatを通信インターフェース11,12ごとに予めNVM15に記憶しておき、接触通信インターフェース11を介して端末2との間で取引を実施するための通信が行われた場合に、接触通信インターフェース11に対応するLog Entry CT及びLog Format CTに基づいてTransaction Log CTを保存領域R(1)に保存する一方、非接触通信インターフェース12を介して端末3との間で取引を実施するための通信が行われた場合に、非接触通信インターフェース12に対応するLog Entry CL及びLog Format CLに基づいて、Transaction Log CLを保存領域R(2)に保存するように構成したので、通信インターフェース11,12ごとにTransaction Log(取引ログ)を区別して保存させることができる。すなわち、Transaction Logの保存項目が接触通信時と非接触通信時で切替えられる。これによって、例えば、接触通信時のTransaction Logには従来の買い物向けに既存のEMV(登録商標)仕様と同等の実データを格納させ、非接触通信時のTransaction Logにはその他の用途(例えば、交通機関の入退場口)向けに実データを格納させるといった利便性の高い処理を実現することができる。
【0034】
なお、上記実施形態において、接触通信インターフェースと非接触通信インターフェースと備えるICカードを例にとって説明したが、本発明は、複数の接触通信インターフェース(例えば、ISO/IEC7816準拠のインターフェースとSPI(Serial Peripheral Interface))を備える(非接触通信インターフェースを備えない)ICカードに対しても適用可能である。本発明の電子情報記憶媒体として、ICカード1を例にとって説明したが、本発明は、モバイルデバイスに搭載されたICチップに対しても適用可能である。かかるICチップは、eUICC(Embedded Universal Integrated Circuit Card)としてモバイルデバイスから容易に取り外しや取り換えができないように組み込み基板上に搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 ICカード
2,3 端末
11 接触通信インターフェース
12 非接触通信インターフェース
13 RAM
14 ROM
15 NVM
16 CPU
図1
図2
図3
図4
図5