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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064045
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240507BHJP
   B60R 1/20 20220101ALI20240507BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20240507BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/20 100
B60R1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172343
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石沢 恒司
(72)【発明者】
【氏名】石塚 博基
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】海野 和也
(72)【発明者】
【氏名】河村 大輔
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054FD07
5C054FE01
5C054FE26
(57)【要約】
【課題】後方車両が大きく表示されることにより生じる運転者への圧迫感や違和感を低減し且つそのために必要な処理リソースをも低減した画像表示装置を提供すること。
【解決手段】本開示の画像表示装置は、車両の後方を撮像可能な撮像装置と、記車両の走行速度を検知可能な速度検知装置と、前記撮像装置で撮像した画像で構成された表示画像を表示可能な表示装置と、前記表示画像を変更可能な表示制御部と、を含み、前記表示制御部は、前記速度検知装置が検知した走行速度が第1の速度以下の場合に、前記速度検知装置が検知した走行速度の低下に伴って前記表示画像を縮小表示する縮尺調整部を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方を撮像可能な撮像装置と、
前記車両の走行速度を検知可能な速度検知装置と、
前記撮像装置で撮像した画像で構成された表示画像を表示可能な表示装置と、
前記表示画像を変更可能な表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、
前記速度検知装置が検知した走行速度が第1の速度以下の場合に、前記速度検知装置が検知した走行速度の低下に伴って前記表示画像を縮小表示する縮尺調整部を備える、
画像表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記速度検知装置が検知した走行速度が第2の速度以下の場合に、車室内画像を前記表示画像に重ねて表示するオーバーレイ表示部を備え、
前記オーバーレイ表示部は、前記速度検知装置が検知した走行速度の低下に伴って前記車室内画像の透過率を低下させるように制御する透過率制御部を備える、
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記縮尺調整部において調整される前記表示画像の縮小率には最小値が設定されており、前記最小値は、前記走行速度が第1の速度より早い場合の前記表示画像の倍率の40~60%の範囲内に設定されている、
請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記縮尺調整部は、前記車両が停車した後は、前記車両が第3の速度以上の速度に到達するまでは直前に調整された縮尺を変更しない、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるルームミラーに、従来の光学ミラー(鏡面反射ミラー)に代えて車両外部を撮像した映像を表示する電子ミラー(「電子インナーミラー」あるいは「デジタルインナーミラー」と呼ばれることもある)が用いられることがある。この電子ミラーを用いると、光学ミラーのように車両後方の障害物によって後方視野が制限される(つまり、オクルージョンが生じる)ことがなく、且つ夜間等でも後方視界が明るく表示できるという利点がある。
【0003】
下記特許文献1には、車両後方を撮像して車両後方画像を取得する撮像手段と、車両の状態に応じて、前記車両後方画像の一部を切り出して切出画像を設定する制御手段と、車室内に設けられ、前記切出画像を表示する表示手段と、を備えた後方視界支援システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-140106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子ミラーに表示される画像は、電子ミラーと同じ位置に光学ミラーを設置した場合に視認できる後方視界に合わせた大きさに調整すると、運転者が光学ミラーと同様に使用しても違和感が生じにくく好ましい。しかしながら、光学ミラーはフロントガラスに隣接する位置に配設されているのに対し、電子ミラーのカメラは車両の後方に配設されており、その設置位置が異なる。そのため、後方車両との車間距離が小さくなると、電子ミラーに表示される後方車両が光学ミラーを介して見た後方車両よりも大きく表示される傾向がある。光学ミラーを介して見た場合よりも後方車両が大きく表示された場合、それを見た運転者に圧迫感を与えたり、想定した車間距離とは異なるように見えることに起因して違和感を覚えたりする恐れがある。
【0006】
また、上記特許文献1では、後方車両の表示サイズを調整する方法として、車速が高くなるにしたがって画像に占める後方車両の割合を大きくすることで、後方車両の視認を容易にすることが記載されている。しかし、この方法では、車速が高い場合には後方車両を視認しやすくなるものの、車速が低い場合にどのような表示をするのかは不明である。また、上記の方法は画像の調整を車速に関わらず常に行う必要があり、一連の処理を継続的に実施するための処理リソースを確保しておく必要がある。
【0007】
本開示は、上述した課題に鑑み、後方車両が大きく表示されることにより生じる運転者への圧迫感や違和感を低減し且つそのために必要な処理リソースをも低減した画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様に係る画像表示装置は、車両の後方を撮像可能な撮像装置と、前記車両の走行速度を検知可能な速度検知装置と、前記撮像装置で撮像した画像で構成された表示画像を表示可能な表示装置と、前記表示画像を変更可能な表示制御部と、を含み、前記表示制御部は、前記速度検知装置が検知した走行速度が第1の速度以下の場合に、前記速度検知装置が検知した走行速度の低下に伴って前記表示画像を縮小表示する縮尺調整部を含む。
【0009】
上記のような画像表示装置においては、所定速度以下の場合にのみ縮尺調整が実施されるため、装置の作動中は常に縮尺調整を行う場合に比べて、必要な処理リソースが低減される。また、所定速度以下となった場合には縮尺調整が実施されるため、後方車両が大きく表示されることに伴って運転者が感じ得る圧迫感や違和感を低減あるいはなくすることができる。
【0010】
本開示の第2の態様に係る画像表示装置は、上記本開示の第1の態様に係る画像表示装置において、前記表示制御部は、前記速度検知装置が検知した走行速度が第2の速度以下の場合に、車室内画像を前記表示画像に重ねて表示するオーバーレイ表示部を含み、前記オーバーレイ表示部は、前記速度検知装置が検知した走行速度の低下に伴って前記車室内画像の透過率を低下させるように制御する透過率制御部を含む。
【0011】
上記のような画像表示装置においては、縮尺調整に加えてオーバーレイ表示を使用することで、後方車両との間の車間距離を運転者により的確に伝えることができ、運転者が感じ得る圧迫感や違和感がより低減されることが期待できる。
【0012】
本開示の第3の態様に係る画像表示装置は、上記本開示の第2の態様に係る画像表示装置において、前記縮尺調整部において調整される前記表示画像の縮小率には最小値が設定されており、前記最小値は、前記走行速度が第1の速度より早い場合の前記表示画像の倍率の40~60%の範囲内に設定されている。
【0013】
上記のような画像表示装置においては、表示画像の縮小率が小さくなりすぎないように制御できるため、表示画像の解像度の劣化を抑制でき、画像の視認性が確保できる。また、表示画像の縮小を補完するかたちでオーバーレイ表示部を動作させることができるため、後方車両との間の車間距離を運転者が誤って認識することも抑制できる。
【0014】
本開示の第4の態様に係る画像表示装置は、上記本開示の第1乃至図3のいずれかの態様に係る画像表示装置において、前記縮尺調整部は、前記車両が停車した後は、前記車両が第3の速度以上の速度に到達するまでは直前に調整された縮尺を変更しない。
【0015】
上記のような画像表示装置においては、車両が停車状態から再び走行状態に移行する際、縮尺を変えないため、縮尺が大きくなることに伴って表示画像内の構造物(例えば家屋等の建物)等が前方に移動しているような錯覚を運転者に与えることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の画像表示装置によれば、後方車両が大きく表示されることにより生じる運転者への圧迫感や違和感を低減し、且つそのために必要な処理リソースをも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】光学ミラーを介して見た視界と電子ミラーに表示される視界の違いを説明した説明図である。
図2】車両と後方車両までの距離とミラーに表示される後方車両のサイズとの関係を示したグラフである。
図3】本開示の一実施の形態に係る画像表示装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
図4図3に示す画像表示装置の機能ブロック図である。
図5】車両速度と車間距離目安との関係の一例を示したグラフである。
図6】後方車両との車間距離に対する縮尺調整部による縮小率の関係の一例を示したグラフである。
図7】車両速度に対する表示画像の縮小率とオーバーレイ濃度の関係の一例を示したグラフである。
図8】ヒステリシス制御を実施した場合の車両速度と縮小率の関係の一例を示したグラフである。
図9】車両が第1の速度より速い速度で走行している場合の表示画像の一例を示した図である。
図10】縮尺調整を実施しない場合の表示画像の一例を示した図である。
図11】縮尺調整を実施した場合の表示画像の他の一例を示した図である。
図12】縮尺調整とオーバーレイ表示とを実施した場合の表示画像の一例を示した図である。
図13】本開示の一実施の形態に係る画像表示装置による表示画像の生成プロセスの一例を示したフローチャートである。
図14図13に示す車両停止時における処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示を実施するための各実施の形態について説明する。なお、以下では本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。また、図中の互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。さらに、一の図面中に互いに同一又は相当する部材が複数個含まれている場合には、図を見易くするために、そのうちのいくつかにのみ符号を付している場合がある。
【0019】
本開示の画像表示装置を説明する前に、光学ミラーと電子ミラーの視界の違いについて簡単に説明する。
【0020】
図1は、光学ミラーを介して見た視界と電子ミラーに表示される視界の違いを説明した説明図である。なお、以下では、図1中の矢印FRが示す方向を車両1の前方とし、図1中の矢印Wが示す方向を車両1の幅方向として説明を行うものとする。
【0021】
車両1に搭載されるルームミラー2は、図1に示すように、車両1のフロントガラスの上方中央部に設置されるのが一般的である。このルームミラー2に光学ミラーを用いた場合、運転席に着座した運転者から見た視界V1の基準位置P1は、ルームミラー2の設置位置よりもルームミラー2と運転者の視点位置との間の距離だけ車両前方に位置することになる。
【0022】
これに対し、ルームミラー2に電子ミラーを用いた場合は、ルームミラー2の位置にモニタが取り付けられ、このモニタに車両1後方に取り付けられた後方カメラの画像を表示することとなる。そのため、モニタに表示された画像を構成する視界V2の基準位置P2は、車両1の後方に位置するものとなる。図1から分かる通り、光学ミラーを用いた場合の視界V1の基準位置P1と、電子ミラーを用いた場合の視界V2の基準位置P2とは、数m単位で車両1の前後方向にズレが生じ得るといえる。
【0023】
図2は、車両と後方車両までの距離とミラーに表示される後方車両のサイズとの関係を示したグラフである。車両1と後方車両3の車間距離が大きい場合(例えば車間距離が20m以上である場合)は、図2に示すように、車間距離に対して基準位置P1、P2間のズレ量が相対的に小さい。そのため、当該ズレ量は、光学ミラーあるいは電子ミラーのモニタに表示される後方車両3のサイズにほとんど影響を与えない。しかしながら、後方車両3との車間距離が小さい場合(例えば車間距離が5m以下である場合)は、車間距離と基準位置P1、P2間のズレ量とが同程度となるか、あるいは車間距離よりも当該ズレ量が大きくなる。そのため、当該ズレ量は、光学ミラーあるいは電子ミラーのモニタに表示される後方車両3のサイズに大きな影響を与え、例えば電子ミラーのモニタを視認した運転者には、後方車両3が極めて近くまで接近してきているような圧迫感あるいは違和感が生じ得る。
【0024】
上記の事項を考慮して、以下に示す本実施の形態に係る画像表示装置10においては、上述した圧迫感や違和感を低減あるいはなくするための各種構成等を主に説明する。
【0025】
図3は、本開示の一実施の形態に係る画像表示装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。本実施の形態に係る画像表示装置10は、任意の車両、例えば図1に示した車両1に適用することができる。この画像表示装置10は、図3に示すように、少なくとも、車両1後方を撮像可能な撮像装置の一例としての後方カメラ20と、車両1の走行速度(単に「車両速度」ともいう)を検知可能な速度検知装置の一例としての車速センサ30と、後方カメラ20で撮像した画像で構成された表示画像を表示可能な表示装置の一例としてのモニタ40と、表示画像を変更可能な表示制御部50と、を含むものである。
【0026】
後方カメラ20は、車両1の後方の適所、例えば車両幅方向の略中央部に設置され、車両1の後方を撮像可能なカメラで構成することができる。この後方カメラ20は、車両1の後方に1又は複数台が設置されていてよく、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を用いた二次元カメラを用いることができる。
【0027】
また、後方カメラ20によって撮像される画像は、広角に撮像された画像であると好ましく、これに関連して、後方カメラ20には広角カメラが用いられ得る。後方カメラ20が撮像する画像は、少なくともモニタ40に表示される表示画像を構成する表示領域に比べて大きな領域の画像であるとよい。
【0028】
車速センサ30は、車両1の走行速度を検出可能なものであって、例えば、アウトプットシャフトの回転速度を検出可能なセンサで構成することができる。車速センサ30は、通常は車両1に予め搭載されているので、走行速度は、車速センサ30に接続された車両1内のECU(Electronic Control Unit)を介して取得することとしてもよい。
【0029】
モニタ40は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display、OELD)といった周知のディスプレイ装置で構成することができる。このモニタ40は、車室内、例えば運転席よりも車両前方であって且つ運転席と助手席の間の位置に、表示面が概ね車両1後方に向くように支持されていてよい。
【0030】
このモニタ40は、モニタ40を支持するためのアーム40Aを含んでいてよく、その先端部はフロントガラスやルーフの一部に固定されていてよい。また、このアーム40Aの少なくとも一方の端部に図示しないヒンジ機構が設けられ、モニタ40は左右方向及び上下方向に回転自在且つ任意の角度にて保持可能となっているとよい。これにより、モニタ40の角度は運転者等により適宜角度調整することができる。
【0031】
表示制御部50は、モニタ40に表示するための表示画像を生成することが可能なものであって、例えばマイクロコントローラを含む周知のコンピュータで構成することができる。表示制御部50を構成するコンピュータは、画像表示装置10のために単独で用意されたコンピュータであってもよいし、車両1内のECUを用いて実現されていてもよい。
【0032】
この表示制御部50は、少なくとも、プロセッサの一例としてのCPU(Central Processing Unit)51と、メモリの一例としてのROM(Read Only Memory)52及びRAM(Random Access Memory)53と、ストレージ54と、入出力インタフェース55とを含んでいてよい。またこれらの構成は、内部バスを介して相互に通信可能に接続されていてよい。
【0033】
CPU51は、中央演算処理ユニットであって、各種プログラムを実行したり、画像表示装置10の各部を制御したりすることができるものであってよい。具体的にいえば、このCPU51は、ROM52又はストレージ54に格納されている種々のプログラムを読み出し、RAM53を作業領域として当該プログラムを実行することができるものであってよい。CPU51は、プログラムに従って画像表示装置10を構成する各構成要素の制御や各種の演算処理を行うことができるものであってよい。
【0034】
ROM52は、各種プログラム及び各種データを格納することができるものであってよい。また、RAM53は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶することができるものであってよい。
【0035】
ストレージ54は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリといった記録媒体で構成することができる。このストレージ54には、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、画像表示装置10を動作させるために必要な各種データ(例えば、後述する表示画像の基準倍率やオーバーレイ画像)が格納されていてよい。本実施の形態においては、ROM52又はストレージ54には、後方カメラ20で撮像された画像に基づいて表示画像を生成するためのプログラムや各種データが格納され得る。
【0036】
入出力インタフェース55は、少なくとも電子ミラーの機能を実現するために必要な車両1に搭載あるいは取り付けられた各種構成要素との間で、各種データの送受信を行うためのインタフェースであってよい。本実施の形態に係る入出力インタフェース55としては、少なくとも後方カメラ20と、車速センサ30と、モニタ40とが電気的に接続されているものが例示されている。
【0037】
上述した構成を含む画像表示装置10においては、電子ミラーの機能を実現するために、例えば以下の方法で、モニタ40に車両1後方の画像表示を行うことができる。すなわち、先ず、後方カメラ20で車両1後方の画像を比較的広角に撮像して撮像画像を取得する。次いで、取得した撮像画像から、モニタ40の表示サイズに実質的に合致した任意の大きさの表示領域、例えば光学ミラーの視界V1と概ね同程度の視界V2を形成できる表示領域を切り取る。最後に、ここで切り取った画像を表示画像としてモニタ40上に表示する。
【0038】
図4は、図3に示す画像表示装置の機能ブロック図である。上述したハードウェア構成を備えた表示制御部50は、図4に示すように、少なくとも、撮像画像取得部61と、縮尺調整部62と、表示画像出力部63とを含んでいてよい。このうち、撮像画像取得部61は、後方カメラ20で撮像された撮像画像を取得するものであってよく、表示画像出力部63は、表示制御部50内で生成された表示画像をモニタ40へ出力するためのものであってよい。
【0039】
縮尺調整部62は、撮像画像取得部61で取得された撮像画像から表示画像出力部63を介してモニタ40に表示される表示画像の縮尺を調整するためのものである。本実施の形態に係る表示画像は、上述した通り、撮像画像から所定サイズの表示領域を切り取ることで生成されるものであるため、本実施の形態に係る縮尺調整部62としては、この表示領域のサイズの縮尺を調整することで、表示画像の縮尺を調整するものが例示される。
【0040】
ところで、例えばモニタ40に表示される後方車両3のサイズは、通常は、車間距離が短くなることに比例して大きくなる。したがって、表示画像の縮尺調整に車間距離を利用して縮尺調整を行うことも可能である。この車間距離は、光学センサや撮像画像に基づいて検出することが可能である。しかし、これらの検出手段は、ノイズの影響を受けやすく、また誤認識の可能性があるため、制御の安定性の面で課題がある。そこで、本実施の形態に係る縮尺調整部62の縮尺調整は、車間距離ではなく車速センサ30が検出した走行速度に基づいて調整している。
【0041】
図5は、車両速度と車間距離の目安との関係の一例を示したグラフである。図5に示すように、車両速度と車間距離との間には、一定の正の相関が認められる。これは、日本国警察庁等が推奨する車間距離の目安が、例えば一般道における同一の地点を、先行車両が通過してから概ね2秒後に後続車両が通過する程度の距離とされていることによるものと推測できる。したがって、本実施の縮尺調整部62では、縮尺の調整に際し車間距離に代えて車両速度を利用するものとしている。このように、車両速度に基づいて縮尺調整を行うようにすれば、後方車両3との間の車間距離を測定する必要がなく、簡易なシステムで安定した縮尺調整を実現できる。
【0042】
縮尺調整部62は、車速センサ30が検知した走行速度の低下に伴って、表示画像を縮小表示する。しかしながら、当該縮小表示は、車速センサ30が検知した走行速度が第1の速度以下の場合にのみ実行されることは、特に留意すべき事項である。これは、運転者に生じる圧迫感や違和感が、車間距離が比較的短くなったとき、すなわち車間距離に正の相関のある車速が所定の速度以下となった場合に生じるためである。
【0043】
具体的には、例えば電子ミラーで見た視界内の後方車両3の大きさが、光学ミラーで見た視界内の後方車両3の大きさに対して1.2倍を超えるようになると、電子ミラーを見た運転者に圧迫感や違和感が生じ得る。本実施の形態においては、上述の点を考慮して、縮尺調整部62による縮尺調整を開始する速度(第1の速度)を規定し、当該第1の速度以上の速度で走行している際には縮尺調整部62を動作させない。これにより、縮尺調整部62の動作に起因して必要となる処理リソースを低減しつつ、運転者への圧迫感や違和感を低減させる画像表示装置10を提供することができる。
【0044】
第1の速度は適宜設定することができるが、本実施の形態においては、実測値より、20km/hとする。これは、電子ミラーで見た視界内の後方車両3の大きさが、光学ミラーで見た視界内の後方車両3の大きさに対して1.2倍程度となる車間距離が約11mであり、図5のグラフを考慮すると、対応する車両速度が約20km/hであることによる。
【0045】
車両1の走行速度が第1の速度より早い場合、モニタ40に表示される表示画像の縮尺は、一義的に特定された基準倍率のものとする。基準倍率は、光学ミラーで見た場合の視界に合わせて設定され得る。具体例を挙げれば、基準倍率の表示画像は、車両1の後方60mの位置における横方向の視野が、車両1の幅方向20mとなる表示画像とする。なお、縮尺調整部62により縮小される表示画像の縮小率は、この基準倍率の表示画像を100%としたときの縮小度合いを指すものとする。また、基準倍率は、上記のものに限定されない。詳しくは、上述した車両1の後方60mの位置における横方向の視野が車両1の幅方向20m確保されていれば、これ以上の視野が提供されていてもよい。
【0046】
上述した通り、車両1に後方車両3が接近する時、光学ミラーで見たときの後方車両3のサイズに対して電子ミラーで見たときの後方車両3のサイズが大きく見えるようになるが、そのサイズの違いは、図2に示すように、後方車両3が至近距離に近づくにしたがって急激に大きくなる。
【0047】
図6は、後方車両との車間距離に対する縮尺調整部による縮小率の関係の一例を示したグラフである。図6に実線で示したものは、上述したサイズの違いに合わせてその縮尺を変更した場合の縮小率(以下、これを「理想縮小率」と呼ぶ)の推移を示している。理想縮小率を用いて表示画像の縮尺を調整すると、後方車両3のサイズについては全速度域において光学ミラーで見た場合と概ね一致させることができる。しかしながら、車間距離が例えば5m以下と短くなった時、それに合わせて縮小率が例えば40%よりも小さくなると、後方車両3以外の周囲の景色等が小さくなりすぎ、また、画像全体の解像度が悪化するため、運転者に違和感を生じさせる要因となり得る。そこで、本実施の形態に係る画像表示装置10においては、縮尺調整部62において調整される表示画像の縮小率(縮小倍率)に最小値を設定している。
【0048】
具体的な縮小率の最小値としては、例えば基準倍率の表示画像に対する縮小率が40~60%の範囲内で設定するとよい。具体例としては、図6に示すように、最小値を50%に設定することができる。これに関連して、車両速度の低下による縮小率の低下度合いは、例えば図6に点線で示した縮小率(「提案縮小率」と呼ぶ)の推移のように、理想縮小率の推移に比べて小さくするとよい。
【0049】
また、表示制御部50は、図4に示すように、上述した構成に加えて、さらにオーバーレイ表示部64を有していてよい。オーバーレイ表示部64は、車速センサ30が検知した走行速度が第2の速度以下の場合に、車室内画像70(図12参照)を表示画像に重ねて表示するものであってよい。車室内画像70は、例えば後部座席、Cピラーあるいはリアウィンドウ枠の少なくともいずれかを模式的に示したものであってよい。
【0050】
また、オーバーレイ表示部64は、車速センサ30が検知した走行速度の低下に伴って車室内画像70の透過率を低下させるように制御する透過率制御部65を含んでいてよい。透過率制御部65は、車速センサ30が検出した速度に基づいて、表示画像上に表示する車室内画像70の透過率(「オーバーレイ濃度」ともいう)を調整するものである。透過率は、例えば0%(非表示)から80%の間で調整され得る。
【0051】
図7は、車両速度に対する表示画像の縮小率とオーバーレイ濃度の関係の一例を示したグラフである。オーバーレイ表示部64による車室内画像70の表示は、縮尺調整部62による縮尺調整と同様に、車両1の走行速度が比較的低速になり、後方車両3との車間距離が縮まったことが想定される場合に実施するとよい。本実施の形態においては、図7に示すように、オーバーレイ表示部64による車室内画像70の表示タイミング(すなわち、第2の速度)を、車両速度が10km/h以下となった時としたものを例示している(図7中の実線参照)。そして、車両速度が第2の速度よりもさらに低下する場合には、それに従ってその透過度を上昇させるものを例示している。なお、第2の速度は上記のものに限定されず、例えば、第1の速度(例えば20km/h)よりも早い速度に設定することも、10km/hよりも遅い速度に設定することも可能である。また、図7に点線で示したものは、図6に示した提案縮小率に実質的に対応している。
【0052】
上述の通り、オーバーレイ表示部64による車室内画像70の表示を、縮尺調整部62による表示画像の縮小と並行して実施することで、縮小率の調整のみでは不十分となり得る車間距離に関する情報を、より細やかに運転者に伝えることが可能となる。特に、本実施の形態のもののように、縮小率に最小値を設けた場合は、特に車間距離が近くなった際、モニタ40に表示する表示画像内の後方車両3のサイズを光学ミラーで見た場合のサイズと同様のサイズで表示することはできない。しかし、上述したオーバーレイ表示部64による車室内画像70の表示を補完的に用いることで、表示画像の縮尺を小さくしすぎることなく、また運転者への圧迫感や違和感を低減させつつ、後方車両3の位置を運転者へ正確に知らせることができる。
【0053】
上述した縮尺調整部62は、車両速度が第1の速度以下である場合には常に表示画像の縮尺を調整する。したがって、車両速度が第1の速度以下の速度範囲において上昇しているタイミングにおいては、表示画像の縮小率を高くする、すなわち表示画像を拡大するように動作することになる。表示画像が拡大されると、例えば拡大前の表示画像に映っていた、道路に沿って建っている構造物等は、この拡大動作に伴ってモニタ40の外側(すなわち車両前方)に移動したように見え得る。このような構造物の不自然な移動は、本実施の形態に係る縮尺調整部62が、車両速度が低速になるにしたがってその縮小率の変移を大きくしている(例えば図6参照)ことや、車両1の低速時はモニタ40に映る構造物等の移動スピードが遅いことに関連して、車両1の発進のタイミングにおいてより顕著に生じ得る。このような表示は、車両1自体は発進によって前方に移動しているにも関わらず、運転者に車両1が後退していると誤認させる可能性がある。
【0054】
本実施の形態に係る表示制御部50は、上記の点を考慮して、縮尺調整部62内にヒステリシス制御部66を設けることができる。ヒステリシス制御部66は、車両1の停車を検出した際に動作するようにするとよい。車両1の停車は、車速センサ30の検出結果から特定することができる。このヒステリシス制御部66は、車両1の停車を検出した後は、車両1が第3の速度以上の速度に到達するまで、縮尺調整部62が直前に調整された縮尺を変更できないようにする。
【0055】
図8は、ヒステリシス制御を実施した場合の車両速度と縮小率の関係の一例を示したグラフである。図8において点線で示したものは、車両走行中における表示画像の縮小率の推移を示しており、実線で示したものは、車両停車後、発進した際の表示画像の縮小率の推移を示している。図8に示すように、ヒステリシス制御部66は、車両1の停車を検出すると、縮尺調整を実質的に一時停止する。そして、車両1が発進後、第3の速度、例えば10km/hに到達するまでは停車時の縮尺を実質的に維持する。なお、ここでいう車両1の停車とは、完全な停車状態に加えて、極めて低速な状態(例えば1km/h未満)となった場合を含み得る。また、縮尺を実質的に維持するとは、図8に示すようなわずかな(例えば10%程度の)縮尺の変化を含んでいてよい。
【0056】
上述したヒステリシス制御部66による制御を採用することにより、発進時に表示画像の縮尺が急激に拡大されることがなくなり、表示画像に映った構造物等が車両1の状態と合致しない方向に移動することを防止できる。なお、車両1の走行速度が第3の速度以上となった後は、表示画像内の構造物等の移動スピードも速くなっており、表示画像を拡大させても表示画像内の構造物等が大きく前方に移動することはなくなるため、通常の縮尺調整に復帰しても問題ない。
【0057】
図9乃至図12は、モニタに表示される表示画像の状態を異なる速度毎に示した図である。詳しくは、図9は、車両が第1の速度(例えば20km/h)より速い速度で走行している場合の表示画像の一例を示した図である。また、図10は、車両1が第1の速度以下の速度の場合において、縮尺調整を実施しない場合の表示画像の一例を示した図である。さらに、図11は、車両1が第1の速度以下の速度の場合において、縮尺調整を実施した場合の表示画像の一例を示した図である。さらにまた、図12は、車両1が第1の速度以下の速度の場合において、縮尺調整とオーバーレイ表示とを実施した場合の表示画像の一例を示した図である。図10(A)、図11(A)及び図12(A)は、車両1が第1の速度以下の速度(例えば15km/h)で走行しているときの表示画像を示している。また、図10(B)、図11(B)及び図12(B)は、車両1が第1の速度以下の速度であって且つ図10(A)、図11(A)及び図12(A)に示すものよりさらに低速(例えば5km/h)で走行しているときの表示画像を示している。そして、図10(C)、図11(C)及び図12(C)は、車両が停止しているときの表示画像を示している。なお、車両停止時における表示画像の縮小率は、最小値、具体的には50%に設定されていてよい。
【0058】
図9に示すような、第1の速度を超える速度で走行している車両1におけるモニタ40には、上述した基準倍率の表示画像が常に表示されるように制御される。したがって、このときに縮尺調整部62等を動作させる必要はない。他方で、車両1が第1の速度以下で走行している場合に、図10に示すような縮尺調整等を実施しない表示画像を表示すると、走行速度が低下するのに比例して後方車両3がモニタ40に大きく表示される。このような表示画像を見た運転者は、実際の車間距離よりも近い距離に後方車両3がいるように錯覚あるいは誤認する可能性があり、結果、運転者に圧迫感や違和感が生じる恐れがある。
【0059】
本実施の形態においては、上述の点を考慮して、第1の速度以下の速度で走行している、あるいは停車している車両1におけるモニタ40には、図11に示すように、少なくとも縮尺調整部62によってその縮尺が調整された表示画像(図11参照)を表示する。図10(A)乃至図10(C)と、図11(A)乃至図11(C)とをそれぞれ比較すると分かる通り、縮尺調整部62により所定の縮小率が適用された表示画像は、縮小されていない表示画像に比べて後方車両3のサイズが小さく表示されるため、運転者に圧迫感や違和感を与え難い。
【0060】
加えて、本実施の形態に係る画像表示装置10においては、車両速度がオーバーレイ表示部64に設定された第2の速度以下である場合には、図12に示すように、縮尺調整された表示画像に加えてその透過率が調整された車室内画像70のオーバーレイ表示もなされる。図12から分かる通り、車室内画像70の透過率は、図12(A)に示すものが最も高く(すなわち表示が薄く)、図12(C)に示すものが最も低く(すなわち表示が濃く)なるように調整されている。したがって、運転者は、後方車両3のサイズに加えて、車室内画像70の透過率をも考慮して車間距離を類推することができ、後方車両3との車間距離を違和感なく且つ精度よく把握することができる。
【0061】
最後に、上述した構成を備える画像表示装置10による表示画像の生成プロセスの一例を、主に図13及び図14を用いて説明する。なお、以下に示す表示画像の生成プロセスにおいては、第1の速度よりも第2の速度の方が低い場合を例示的に示している。
【0062】
図13は、本開示の一実施の形態に係る画像表示装置による表示画像の生成プロセスの一例を示したフローチャートである。例えば車両1の始動に連動して画像表示装置10の動作が開始されると、図13に示すように、画像表示装置10は先ず、撮像画像取得部61による、後方カメラ20で撮像した撮像画像の取得を開始する(工程S11)。また、工程S11に前後して、車速センサ30による車両速度の検出も開始される(工程S12)。
【0063】
車両速度の検出が開始されると、車両速度の監視を実行し、第1の速度(例えば20km/h)よりも早い速度が検出された場合(工程S13でNo)には、縮尺調整部62を動作させることなく、予め設定された基準倍率の表示画像、例えば図9に示すような表示画像をモニタ40へ表示させる(工程S14)。基準倍率の表示画像の表示は、車両速度が第1の速度以下となるまで継続される。
【0064】
検出された車両速度が第1の速度以下である場合(工程S13でYes)には、縮尺調整部62を動作させて、表示画像の縮尺調整を実行する(工程S15)。ここで実行される縮尺調整とは、表示画像を生成する際に、車両速度に対応して設定された縮小率にて、表示画像を形成する表示領域の大きさを縮小あるいは拡大する動作である。
【0065】
縮尺調整を開始した後、検出された車両速度が第2の速度より早い場合(工程S16でNo)には、車両速度に応じた縮小率で縮小された任意の縮小倍率の表示画像、例えば図11(A)に示すような表示画像が、表示画像出力部63によりモニタ40へ表示される(工程S17)。その後、工程S13に戻って車両速度に即した表示を継続する。
【0066】
縮尺調整を開始した後、検出された車両速度が第2の速度以下の場合(工程S16でYes)には、オーバーレイ表示部64による車室内画像70の表示が実行される(工程S18)。オーバーレイ表示に際しては、透過率制御部65にて車室内画像70に車両速度に応じた透過率が適用され、所定の透過率の車室内画像70が、既に縮尺調整がなされた表示画像に重ねられる。
【0067】
オーバーレイ表示が完了した後、車両停止が検出されない場合(工程S19でNo)には、車室内画像70を含む縮小倍率の表示画像、例えば図12(B)に示すような表示画像が、表示画像出力部63によりモニタ40へ表示される(工程S20)。その後、工程S13に戻って車両速度に即した表示を継続する。一方、車両停止が検出された場合(工程S19でYes)には、車両停止時の処理を実行する(工程S30)。
【0068】
図14は、図13に示す車両停止時処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。工程S30において、車両停止時の処理が実行されると、図14に示すように、先ず、実行されていた縮尺調整部62の動作が一時的に停止される(工程S31)。そして、車両速度が第3の速度以上となるまでは、停止時の縮小倍率と同様の縮小倍率の表示画像、例えば図12(C)に示すような表示画像を継続的に生成し、表示画像出力部63によりモニタ40へ表示し続ける(工程S32)。ここで、工程S32の実施中には、オーバーレイ表示部64で生成された車室内画像70の透過率は車両速度に応じて可変させるとよい。縮尺調整が一時的に停止された表示画像にあっても、車室内画像70の透過率の変更は維持することで、運転者は車両速度が変移している(すなわち車間距離が変移している)ことを認識することができる。なお、縮尺調整に合わせて車室内画像70の透過率の変更も一時的に停止させるようにしてもよい。
【0069】
車両1の発進後、第3の速度より早い速度が検出される(工程S32でYes)と、一連の車両停止時の処理を完了し、工程S13に戻って車両速度に即した表示を継続する。
【0070】
以上説明した通り、本実施の形態に係る画像表示装置10によれば、後方車両が至近距離にいる場合でも、後方車両が大きく表示されすぎないように表示画像の縮尺を調整するため、運転者への圧迫感や違和感を低減することができる。加えて、縮尺の調整を第1の速度以下の場合にのみ実行するため、そのために必要な処理リソースを低減することもでき、プロセッサ等への負荷を低減できる。
【0071】
上記各実施の形態においては、CPU51がROM52あるいはストレージ54に格納されたプログラムを読み込んで実行した処理を、CPU51以外の各種のプロセッサが実行するようにしてもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等を挙げることができる。また、表示画像の生成プロセスを、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで実行してもよく、例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア構成は、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路であり得る。
【0072】
本開示は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本開示の技術思想に含まれるものである。また、本開示において、各構成要素は、矛盾が生じない限りは1つのみ存在しても2つ以上存在してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 車両
3 後方車両
10 画像表示装置
20 後方カメラ(撮像装置の一例)
30 車速センサ(速度検知装置の一例)
40 モニタ(表示装置の一例)
50 表示制御部
61 撮像画像取得部
62 縮尺調整部
63 表示画像出力部
64 オーバーレイ表示部
65 透過率制御部
66 ヒステリシス制御部
70 車室内画像
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