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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064064
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240507BHJP
   F21S 43/239 20180101ALI20240507BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20240507BHJP
【FI】
F21S2/00 442
F21S43/239
F21S2/00 435
F21S2/00 444
F21W104:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172381
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100168088
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】竹田 新
(72)【発明者】
【氏名】田村 例人
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA27
3K244BA50
3K244CA02
3K244EA02
3K244EA12
3K244EA13
3K244EA14
3K244FA08
3K244HA01
(57)【要約】
【課題】板状導光レンズに設けた複数の反射ステップを所定形状に光らせることで伝達表示を行う車両用灯具に関する。
【解決手段】板状の導光レンズ2と、前記導光レンズ2の外周面2bの少なくとも一部を周壁5bによって保持するレンズホルダ3と、前記周壁5bの少なくとも一部の外周面に対向して配列され、制御装置9によって独立した点消灯制御を受ける複数の発光素子6~8を含む発光素子群100と、前記導光レンズ2に設けられた複数の反射ステップ16と、を有する車両用灯具1において、前記レンズホルダ3の前記周壁5bは、複数の光通孔12を前記各発光素子6~8に対応した位置に有するように構成した。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の導光レンズと、前記導光レンズの外周面の少なくとも一部を周壁によって保持するレンズホルダと、前記周壁の少なくとも一部の外周面に対向して配列され、制御装置によって独立した点消灯制御を受ける複数の発光素子を含む発光素子群と、前記導光レンズに設けられた複数の反射ステップと、を有する車両用灯具において、
前記レンズホルダの前記周壁は、複数の光通孔を前記各発光素子に対応した位置に有することを特徴とする、車両用灯具。
【請求項2】
前記複数の発光素子が、2以上の方向に向けられたことを特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記複数の発光素子は、同一方向に向けて配列された発光素子群を構成することを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記複数の発光素子が、周回配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
配列された前記複数の発光素子が、制御装置によって配列順に点消灯制御されることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
板状導光レンズに設けた複数の反射ステップを所定形状に光らせることで伝達表示を行う車両用灯具に関する技術。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図1及び図2には、格子状に配列した多数の導光部を設け、各導光部の基端部にそれぞれ対向する多数の発光素子を設け、導光部先端の光取出面から発光素子の光を出射する車両用表示装置が開示されている。特許文献1の車両用表示装置は、多数の発光素子の点灯エリアに基づいた所定形状の画像を車両の周辺に表示することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6907002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の車両用表示装置には、光源の点灯に基づいて発光させた帯状光を、光源の所定の点消灯に基づいて移動するように見せるアニメーション点灯表示により、車両周辺への人の注意を惹きやすくすることが望まれている。
【0005】
しかし、特許文献1の車両用表示装置は、図1に示すように発光素子と導光部の組み合わせによる点発光を複数組み合わせて1つの帯状光を発生させるため、発光素子と導光部の部品点数が多くコスト高となる点で問題となる。更に、特許文献1の車両用表示装置は、[0047]、図4及び図5に示すように導光部を光ファイバと柱状部材によって構成し、導光部毎の光の拡散を光ファイバの先端形状、即ち円錐部の高さに基づいて制御しているため、更なる部品点数増によるコスト高が発生する点で問題となる。
【0006】
本願は、上記課題に鑑みて、部品点数が少なく簡素な構造によって明瞭なアニメーション点灯を可能にした車両用灯具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
板状の導光レンズと、前記導光レンズの外周面の少なくとも一部を周壁によって保持するレンズホルダと、前記周壁の少なくとも一部の外周面に対向して配列され、制御装置によって独立した点消灯制御を受ける複数の発光素子を含む発光素子群と、前記導光レンズに設けられた複数の反射ステップと、を有する車両用灯具において、前記レンズホルダの前記周壁は、複数の光通孔を前記各発光素子に対応した位置に有するように構成した。
(作用)各発光素子による出射光は、レンズホルダの周壁に形成された光通孔を介して導光レンズの反射ステップに入射する。レンズホルダの周壁は、光通孔を介して対応する発光素子の出射光の一部を遮光する遮光部として機能することで、導光レンズ内に形成された反射ステップの点灯範囲(反射範囲)を所定の帯状領域に制限し、発光素子毎に帯状光を発生させる。
【0008】
また、車両用灯具において、前記複数の発光素子が、2以上の方向に向けられることが望ましい。
【0009】
(作用)発光素子の照射方向が異なることにより、導光レンズに発生する帯状光を異なる方向に延出表示出来る。
【0010】
また、車両用灯具において、前記複数の発光素子は、同一方向に向けて配列された発光素子群を構成することが望ましい。
【0011】
(作用)複数の発光素子の照射方向を一致させることで、導光レンズにおいて同一方向に伸びる帯状光が、複数の発光素子毎に表示される。
【0012】
また、車両用灯具において、前記複数の発光素子が、周回配置されていることが望ましい。
【0013】
(作用)導光レンズに発生する複数の帯状光を放射方向に表示出来る。
【0014】
また、車両用灯具において、配列された前記複数の発光素子が、制御装置によって配列順に点消灯制御されることが望ましい。
【0015】
(作用)導光レンズに発生する帯状光が、複数の発光素子の配列方向に沿って順に点消滅表示される。
【発明の効果】
【0016】
車両用灯具によれば、従来技術よりも少ない一の発光素子、1つの導光レンズ及び各発光素子に対応する光通孔という従来よりも簡素な構造により、一の発光素子から所定の帯状範囲の複数の反射ステップに自在に光を入射させることで帯状反射光を表示出来るため、製造コストを安価に出来、明瞭なアニメーション点灯を実現出来る。
【0017】
車両用灯具によれば、発光素子に対応する帯状光の伸びる方向を変えることで、アニメーション表示を行う際における帯状光が、異なる方向に移動するように見せることができる。
【0018】
車両用灯具によれば、発光素子毎の帯状光の伸びる方向を一致させることで、アニメーション表示を行う際における帯状光を直線方向に移動するように見せることができる。
【0019】
車両用灯具によれば、アニメーション表示を行う際に導光レンズに発生する帯状光を回転方向に移動するように見せることが出来る。
【0020】
車両用灯具によれば、導光レンズに発生する帯状光が、複数の発光素子の配列方向に沿って移動するように見えるアニメーション表示を実現出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態に係る車両用灯具の正面図。
図1A図1のバックカバー及び発光素子群の正面図。
図2】(a)図1のI-Iにおいて切断した断面図。(b)車両用灯具の制御形態を示すブロック図。
図3】(a)は、図2(a)の矢視Aの部分拡大図。(b)は、図2(a)の符号B部分の拡大部分断面図。
図4】第2の実施形態に係る車両用灯具の正面図。
図5】第3の実施形態に係る車両用灯具の正面図。
図6】(a)第4の実施形態に係る車両用灯具の正面図。(b)第5の実施形態に係る車両用灯具の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の車両用灯具の好適な実施形態を図1から図6に基づいて説明する。各図においては、図1の紙面手前方向に向かって見た車両用灯具の各方向を(前方:後方:左方向:右方向:上方向:下方向=Fr:Re:Le:Ri:Up:Lo)として説明する。
【0023】
図1図2に示される第1の実施形態の車両用灯具1は、導光レンズ2、レンズホルダ3、発光素子群100及び複数の反射ステップ16を備える。導光レンズ2は、透光性を有する樹脂等で形成された矩形の板状レンズである。レンズホルダ3は、樹脂製のフロントカバー4及びバックカバー5によって構成される。発光素子群100は、一例として同一方向に向けられた発光素子6~8から構成しているが、複数であれば3つに限られない。
【0024】
図1Aは、図2の車両用灯具1から導光レンズ2とフロントカバー4を外してバックカバー5と発光素子6~8のみを残した正面図である。図1A及び図2に示すようにバックカバー5は、底部5aと、周壁5bによって矩形を有するように構成される。周壁5bは、第1周壁5b1から第4周壁5b4によって構成され、周壁の内側には、段差状のレンズ保持部5cが設けられる。図1及び図2の導光レンズ2は、レンズ保持部5cの外周面5dに倣った大きさに形成され、図1Aのレンズ保持部5cに保持される。
【0025】
図1Aに示すように、バックカバー5の第1周壁5b1には、内側に凹んだ発光素子設置部5eが設けられ、発光素子設置部5eには、発光素子設置部5eからレンズ保持部5cの外周面5dに貫通する3つの光通孔12,12,12が等間隔で設けられている。光通孔12,12,12は、いずれも幅d1を有し、バックカバー5側の3つの溝の前方をフロントカバー4で塞がれた貫通孔として構成される。発光素子6~8の基板6a~8aは、発光素子設置部5eの外周面に対向するように右から左へ順に配列され、発光素子6~8は、状態で対応する光通孔12,12,12の内側において、導光レンズ2の側面2bに対向するように配置される。
【0026】
尚、図1Aに示すバックカバー5の光通孔12,12,12の内周面は、発光素子6~8による出射光の反射を低減するため、光の吸収性を有することが望ましい。そのためバックカバー5は、全体を光の吸収性を有する素材によって構成されること、若しくは光通孔12,12,12の形成箇所のみを部分的に光の吸収性を有する素材で構成されること、若しくは光通孔12,12,12の内周面に光を吸収する塗装処理を施されること、若しくは光通孔12,12,12の内周面に光を吸収する皮膜を形成されることが望ましい。
【0027】
また、図1Aに示すように、光通孔12,12,12の奥行d2は、いずれも幅d1よりも長く形成される。光通孔12,12,12を通過する発光素子6~8の出射光は、幅d1に対する奥行きd2をより長く形成されるほど、後述する帯状光をより狭い幅で表示させる。例えば、光通孔12,12,12の奥行d2は、幅d1の1.5倍以上に形成されることが望ましく、更に狭い幅で帯状光を表示させることを考えた場合、光通孔12,12,12の奥行d2は、幅d1の2倍以上に形成されることがより望ましい。
【0028】
導光レンズ2は、図1及び図2に示すようにレンズ保持部5cに保持された状態でバックカバー5にフロントカバー4を取り付けられることにより、両者の間に挟持される。
【0029】
また、図1及び図2(a)に示す車両用灯具1は、その内部または外部のいずれかに図2(b)に示す制御装置9を有する。制御装置9は、灯具ECU10と、点灯制御回路11によって構成され、発光素子群100の発光素子6,7,8は、それぞれ点灯制御回路11を介して灯具ECU9に接続され、灯具ECU10によって独立した所定の点消灯制御を受ける。後述する第2から第5の実施形態においてもまた、制御装置9は、複数の発光素子をそれぞれ独立して点消灯制御する。
【0030】
図1図1A及び図2に示すように、発光素子6の出射光L11は、対応する光通孔12を通り、側面2bから導光レンズ2に入射する。出射光は、光通孔12の前端縁部12a(周壁5b1の遮光部)によって一部を遮光され、出射範囲を左右の光線L11,L11の内側の範囲に制限される。また、図2(a)に示す導光レンズ2の裏面2aには、図3(a)及び図3(b)に示す前方に向かって半球面形状の凹部からなる複数の反射ステップ16が設けられている。複数の発光素子6~8は、それぞれ光通孔12を介して複数の反射ステップ16に対向する。尚、反射ステップ16の形状は、発光素子の光を前方に全反射させることが出来る凹型形状であれば、半球形状に限られない。
【0031】
図3(a)及び図3(b)に示す複数の反射ステップ16は、それぞれ矩形に形成されたもの格子状に配列した反射ステップ群とすることで格子状に発光させることも出来る。反射ステップ16は、それぞれ半球、矩形形状に限られず、円形、楕円型または台形などの形状を有するように適宜形成されてもよい。
【0032】
図2(a)及び図3(b)に示すとおり、発光素子6から導光レンズ2の側面2bに入射した光は、裏面2a側の所定の反射ステップ16によって全反射され、導光レンズ2の表面2cから前方に出射する。また、図3(a)に示す通り、左右に拡散された発光素子6の出射光L11は、光通孔12によって拡散範囲を制限されることにより、左右の出射光L11の内側の符号16aで示される領域に位置する反射ステップ16のみに入射し、上方に末広がりとなる帯状光B1を表示する。
【0033】
発光素子6の出射光L11(以降、発光素子7,8の出射光L12,L13も同様)は、図1Aに示す光通孔12の幅d1を狭く形成されるほど左右の拡散範囲を狭められ、幅d1を広く形成されるほど左右の拡散範囲を拡げられる。このように、第1の実施形態(後述する第2から第5の実施形態においても同様)の車両用灯具1によれば、一の発光素子6から対応する光通孔12に出射光L11を通過させ、光通孔12の幅d1に基づいた所定の範囲の複数の反射ステップ16に反射させることが出来るため、多くの部品を採用しなくても、レンズホルダ3の周壁5bに光通孔12という簡素で安価な構造を設けることによって帯状光を実現することが出来る。尚、本実施形態においては、帯状光B1,B2,B3の先端の一部が重なっているが、これらが重ならない幅となるように光通孔12を狭く形成し、または、複数の光通孔12のピッチを広く形成することで、動きが鮮明なアニメーション表示を行うことが出来る。
【0034】
また、図1に示すように車両用灯具1は、発光素子6と同様に、対応する光通孔12によって、発光素子7の出射光L12による帯状光B2及び発光素子8の出射光L13による帯状光B3を表示出来るため、発光素子6~8を右から左に順に、または左から右に順に点消灯させることや、その他多彩な態様により、帯状光B1を左右に動かしているように見せるアニメーション表示を安価に実現出来る。
【0035】
次に図4により、車両用灯具の好適な第2の実施形態を説明する。第2の実施形態における車両用灯具1’は、第2の発光素子群200と、光通孔17,17,17を車両用灯具1のバックカバー5の第2周壁5b2に第2の発光素子群200の発光素子13~15を設けてバックカバー5’とし、それに伴った形状のフロントカバー4’とした他、第1の実施形態の車両用灯具1と共通の構成を有する。ため、車両用灯具1と異なる構成にのみ異なる符号を付与している。
【0036】
図4に示す車両用灯具1’は、第1周壁5b1に直交する第2周壁5b2に内側に凹んだ発光素子設置部5fを有し、発光素子設置部5fには、発光素子設置部5fからレンズ保持部5cの外周面5dに貫通する3つの光通孔17,17,17が等間隔で設けられている。光通孔17は、いずれも光通孔12と同じ幅d1を有し、前方をフロントカバー4で塞がれた貫通孔として構成される。発光素子13~15の基板13a~15aは、発光素子設置部5fの外周面に対向するように下から上へ順に配列され、発光素子13~15は、同一方向かつ発光素子6~8に対して直交方向に向けられ、更に光通孔17,17,17の内側で導光レンズ2の側面2bに対向するように配置される。
【0037】
発光素子13から導光レンズ2の側面2bに入射した光は、光通孔17によって上下の拡散範囲を制限され、図3(a)と同様に上下の出射光L14に囲まれた範囲に形成された、導光レンズ2の裏面2aの反射ステップ16に入射し、左から右に末広がりとなる帯状光B4を表示する。発光素子14,15もまた、点消灯により、帯状光B4と同様の帯状光を表示する。
【0038】
裏面2a側の所定の反射ステップ16によって全反射され、導光レンズ2の表面2cから前方に出射する。また、図3(a)に示す通り、左右に拡散された発光素子6の出射光L11は、光通孔12によって拡散範囲を制限されることにより、左右の出射光L11の内側の領域に位置する反射ステップ16のみに入射し、上方に末広がりとなる帯状光B1を表示する。
【0039】
図4に示す車両用灯具1’は、発光素子13~15を下から上に、または上からしたに順に点消灯させることや、その他多彩な態様により、左右に伸びる帯状光B4を上下に動かしているように見せるアニメーション表示を実現出来る。車両用灯具1’は、発光素子6~8によって上下に伸びる帯状光B1を左右に動かすように見せ、かつ、発光素子13~15によって左右に伸びる帯状光B4を上下に動かすように組み合わせ、または、伸びる方向の異なる帯状光B1,B4を上下左右に自在な態様で動かして見せることで、第1の実施形態よりも注目度の高いアニメーション表示を行うことが出来る。尚、第2の実施形態におけるアニメーション表示は、上下または左右のどちらか一方に限定して行ってもよい。
【0040】
次に図5により、車両用灯具の好適な第3の実施形態を説明する。第3の実施形態における車両用灯具41は、多角形形状(本実施形態では、1例として六角形)の導光レンズ22及びレンズホルダ23に、多角形の辺の半分の数の発光素子群301,302,303を隣接して設けたものである。多角形は、第2の実施形態のような四角形でも五角形以上の多角形でも良いが、奇数の多角形の場合には、設ける発光素子群の数を多角形の辺の半分の数に1加えた数とすることが望ましい
車両用灯具1においては、レンズホルダ23のバックカバー23aの隣接する第1周壁23a1、第2周壁23a2、第3周壁23a3の発光素子設置部5g、5g、5gに発光素子群301,302,303をそれぞれ設ける。発光素子群301,302,303は、発光素子18a~18c、発光素子19a~19c、発光素子20a~20cをそれぞれ有する。各発光素子設置部5gには、それぞれレンズ保持部5hの外周面5iに貫通する光通孔17が3つずつ等間隔で設けられている。9つの光通孔21は、いずれも第1の実施形態の光通孔12と同じ幅d1を有し、前方をフロントカバー23bで塞がれた貫通孔として構成される。発光素子18a~18c、19a~19c、20a~20cは、基板と共に各発光素子設置部5gの外周面に順に配列され、発光素子18a~18c、19a~19c、20a~20cは、対応する9つの光通孔21の内側で導光レンズ22の側面22aに対向するように配置される。
【0041】
対応する光通孔21を通過した発光素子18a~18cの出射光は、導光レンズ22の裏面の反射ステップ(図3(a)と同様の形状。)への出射範囲をそれぞれ制限されつつ帯状光B6を表示し、発光素子19a~19cの出射光は、帯状光B6と角度が60°異なる帯状光B7を表示し、発光素子20a~20cの出射光は、帯状光B7と角度が60°異なる帯状光B8を表示する。車両用灯具41によれば、3方向以上の異なる帯状光B6からB8をそれぞれ独立して動くように見せることで、第1及び第2の実施形態よりも注目度の高いアニメーション表示を行うことが出来る。
【0042】
次に図6(a)により、車両用灯具の好適な第4の実施形態を説明する。第4の実施形態における車両用灯具42は、円形の導光レンズ29及びレンズホルダ30の外周縁部に沿って発光素子群400の発光素子24~27を設けたものである。複数の発光素子は、等間隔でかつ1の発光素子が他の発光素子と対向しないように配置することが望ましく、発光素子の設置数は、複数であれば、本実施例の4つに限られない。
【0043】
図6(a)に示す車両用灯具42においては、バックカバー30aの円形の外周面に、中心O1に向けられて等間隔で配置された発光素子24~27がそれぞれ周回配置されている。また、バックカバー30aには、発光素子24~27の設置位置に対応し、レンズ保持部5jの外周面5kに向けて中心O1方向に貫通する光通孔28が等間隔で4つ設けられている。4つの光通孔28は、いずれも第1の実施形態の光通孔12と同じ幅d1を有し、前方をフロントカバー30bで塞がれた貫通孔として構成される。発光素子24~27は、対応する4つの光通孔28の内側で導光レンズ29の円形の側面29aに対向するように配置される。
【0044】
対応する光通孔28を通過した発光素子24の出射光は、導光レンズ29の裏面の反射ステップ(図3(a)と同様の形状。)への出射範囲をそれぞれ制限されつつ帯状光B9を表示し、発光素子25の出射光は、中心O1を中心として帯状光B9から45°回転した位置に帯状光B9と同形状の帯状光B10を表示し、発光素子26,27の出射光は、それぞれ帯状光B10から45°、90°回転した位置に帯状光B9と同形状の帯状光(図示せず)を表示する。
【0045】
また、図6(b)は、車両用灯具の好適な第5の実施形態を示す。第5の実施形態における車両用灯具43は、楕円形の導光レンズ36及びレンズホルダ37の外周縁部に沿って発光素子群500の発光素子31~34を周回配置したものである。複数の発光素子は、等間隔でかつ1の発光素子が他の発光素子と対向しないように配置することが望ましく、発光素子の設置数は、複数であれば、本実施例の4つに限られない。
【0046】
図6(b)に示す車両用灯具43においては、バックカバー37aの楕円形の外周面に、中心O2に向けられて等間隔で配置された発光素子31~34がそれぞれ設けられ、バックカバー37aには、発光素子24~27に対応した位置において、中心O2方向に貫通する、幅d1の光通孔38が等間隔で4つ設けられている。光通孔38は、フロントカバー37bと共に貫通孔を構成する。発光素子31~34は、対応する4つの光通孔38の内側で楕円型の導光レンズ29の側面29aに対向する。
【0047】
対応する光通孔38を通過した発光素子31の出射光は、導光レンズ36の裏面の反射ステップ(図3(a)と同様の形状。)への出射範囲をそれぞれ制限されつつ帯状光B11を表示し、発光素子32の出射光は、中心O2を中心として楕円型に応じて回転した所定の位置に帯状光B11と同形状の帯状光B12を表示し、発光素子33,34の出射光は、それぞれ帯状光B12から楕円型に応じて回転した所定の位置に帯状光B12と同形状の帯状光(図示せず)を表示する。
【0048】
次に、第1から第5の実施形態における車両用灯具によるアニメーション表示の実施態様を説明する。
【0049】
図1の車両用灯具1においては、制御装置9により、発光素子6、7,8を右から左に順に点消灯させると、帯状光B1を右方向(D1方向)に移動したように見せる正方向動作表示を行うことができ、発光素子6、7,8を左から右に順に点消灯させると、帯状光B1を左方向(D2方向)に移動したように見せる逆方向動作表示を行うことができる。帯状光B1を移動したように見せる動作には、D1方向(右方向)への正方向動作表示の連続または、D2方向(左方向)への逆方向動作表示の連続による単方向連続表示や、D1方向への正方向動作表示とD2方向への逆方向動作表字を交互に繰り返す左右方向への往復連続表示がある。
【0050】
尚、帯状光B1が移動したように見える速度は、制御装置9を介して各発光素子6,7,8に通電される電流値の増減速度の制御、または、1の発光素子が消灯してから次の発光素子が点灯するまでの間隔時間の制御に基づいて行われる。各発光素子へ送られる電流値の増加速度、または発光素子間の点消灯の間隔時間の増加に比例して、帯状光が移動したように見える速度が増加する。
【0051】
図4の車両用灯具1’においては、発光素子6、7,8による左右方向への正方向動作表示(D1方向)及び逆方向動作表示(D2方向)に加え、制御装置9により発光素子13~15を下から上に順に点消灯制御することで帯状光B4を上方向に移動するように見せる上方向への正方向動作表示(D3方向)及び発光素子13~15を上から順に点消灯制御することで帯状光B4を下方向に移動するように見せる下方向への逆方向動作表示(D4方向)を行うことが出来る。
【0052】
帯状光B4を移動したように見せる動作には、D3方向(上方向)またはD4方向(下方向)いずれかの方向への連続した動作表示による単方向連続表示や、D3方向へとD4方向へ動作表字を交互に繰り返す往復連続表示がある。また、車両用灯具1’においては、発光素子6,7,8、13,14,15を点消灯制御することで、D2方向-D3方向-D1方向-D4方向への動作表字を順に行うことで、帯状光B1,B4が、時計回りに回転しているように見える正回転動作表示や、D1方向-D3方向-D2方向-D4方向への動作表字を順に行うことで、帯状光B1,B4が、半時計回りに回転しているように見える逆回転動作表示を行うことも出来る。
【0053】
図5の車両用灯具41においては、制御装置9による発光素子18a~18c、19a~19c、20a~20cの点消灯制御により、D5方向への正方向動作表示またはD7方向への逆方向動作表示を行うことが出来る。例えば、発光素子を20c、20b、20a、19c、19b、19a、18c、18b、18a、20a、20b、20c、19a、19b、19c、18a、18b、18cの順で点消灯させると、帯状光B6が、D5方向に移動し、時計回りに回転しているように見せる正回転動作表示を行うことが出来、発光素子を18a、18b、18c、19a、19b、19c、20a、20b、20c、18c、18b、18a、19c、19b、19a、20c、20b、20aの順で点消灯させると、帯状光B6が、D6方向に移動し、反時計回りに回転しているように見える逆回転動作表示を行うことが出来る。
【0054】
図6(a)の車両用灯具42においては、制御装置9による発光素子24~27の点消灯制御により、D7方向への正回転動作表示またはD8方向への逆回転動作表示を行うことが出来る。例えば、発光素子を27,26,25,24の順に繰り返し点消灯させると、帯状光B9が、O1を中心に時計回り(D7方向)に回転しているように見せる正回転動作表示を行うことが出来、発光素子を24,25,26,27の順に繰り返し点消灯させると、帯状光B9が、O1を中心に反時計回り(D8方向)に回転しているように見せる逆回転動作表示を行うことが出来る。
【0055】
図6(b)の車両用灯具43においてもまた、制御装置9による発光素子31~34の点消灯制御により、D9方向への正回転動作表示またはD10方向への逆回転動作表示を行うことが出来る。例えば、発光素子を34,33,32,31の順に繰り返し点消灯させると、帯状光B11が、O2を中心に時計回り(D9方向)に回転しているように見せる正回転動作表示を行うことが出来、発光素子を31,32,33,34の順に繰り返し点消灯させると、帯状光B11が、O2を中心に反時計回り(D10方向)に回転しているように見せる逆回転動作表示を行うことが出来る。
【0056】
尚、一例として、図4により車両用灯具1’を車両の外部に設置して、車両周辺の歩行者等への警告灯として使用する場合におけるアニメーション表示の一例を説明する。
【0057】
自動車における警告灯においては、歩行者等が車両に接近している第1段階、車両へ接近する距離が近くなって危険度が高まっている第二段階、既に車両に接触等してしまっていることと車両から離れることを歩行者に通知する第3段階の警告表示を順に行うことが考えられる。
【0058】
例えば、第一段階において、車両が接近しているが、まだ距離が離れていて危急の危険が無い場合、車両用灯具1’は、D1またはD2方向、D3またはD4方向への単方向動作表示をゆっくりと繰り返し、または、D1及びD2方向、D3またはD4方向への往復動作表示をゆっくりと行うことが考えられる。この際、制御装置9は、点消灯時における各発光素子6~8と、13~15への電流値の変化を緩やかにするように制御して点消灯時間を長くし、一の発光素子の消灯から次の発光素子の点灯までの点灯間隔を長くするように制御する。
【0059】
第2段階においては、車両の接近距離が近づいており、危険度が高まっていることを知らせるため、D1またはD2方向、D3またはD4方向への単方向動作表示を高速で繰り返し、または、D1及びD2、D3またはD4方向への方向の往復動作表示を高速で繰り返すことが考えられる。この際、制御装置9は、点消灯時における各発光素子6~8と、13~15への電流値の変化を出来るだけ大きくするように制御して点消灯時間を短縮し、一の発光素子の消灯から次の発光素子の点灯までの点灯間隔も極力短くするように制御する。尚、これらの動作表字の途中において、各発光素子6~8と、13~15を全て点灯させて注目度を上げる前照灯制御を所定の間隔で行ってもよい。
【0060】
第3段階においては、車両への歩行者の接触、または車上荒らしによる車両への故意の接触を想定し、車両への接触と車両から離れることを歩行者や車上荒らしに警告するため、制御装置9は、D2方向-D3方向-D1方向-D4方向への動作表字を順に行い、帯状光B1を正回転方向に回転させるように見せる正回転動作表示や、D1方向-D3方向-D2方向-D4方向への動作表字を行う逆回転動作表字を順に高速で行い、帯状光B1を逆回転方向に回転させるように見せる逆回転動作表字を高速で行うことが望ましい。高速表示における発光素子の制御は、第2段階と同様である。また、第3段階の警告表示を行う際には、制御装置9によって動作制御を行うようにしたクラクションやアラーム(共に図示せず)を動作させ、アニメーション表示と音による警告を行うことも考えられる。
【符号の説明】
【0061】
1 車両用灯具
2 導光レンズ
3 レンズホルダ
5 レンズホルダのバックカバー
5b バックカバーの周壁
5b1 バックカバーの第1周壁
6~8 発光素子
12 光通孔
12a 前端縁部(遮光部)
100 発光素子群
1’ 車両用灯具
13~15 発光素子
16 複数の反射ステップ
17 光通孔
200 第2の発光素子群
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6