(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064083
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/21 20060101AFI20240507BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B41J2/21
B41J2/01 401
B41J2/01 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172415
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 彰太
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB07
2C056EB27
2C056EB49
2C056EC07
2C056EC72
2C056EE17
2C056EE18
2C056FA11
(57)【要約】
【課題】 印刷媒体における領域に応じた適量の液体を吐出できる印刷装置を提供する。
【解決手段】 印刷装置10の制御装置は、第1印刷動作では、第1領域A1には第1所定量の第1液体を吐出させ、かつ、第2領域A2には第2所定量の第1液体を吐出させ、第2印刷動作では、前記第1領域への前記第1液体の吐出量から前記第2領域への前記第1液体の吐出量を引いた差の絶対値が前記第1所定量から前記第2所定量を引いた差の絶対値より大きくなるように、前記第1領域には第3所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域には第4所定量の前記第1液体を吐出させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体を印刷媒体上に吐出する第1インクジェットヘッドと、
前記第1液体とは異なる第2液体を前記印刷媒体上に吐出する第2インクジェットヘッドと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1液体を前記第1インクジェットヘッドから前記印刷媒体における予め定められた領域又はユーザにより指定された領域又は前記第2液体が吐出されない領域である第1領域及び前記第1領域とは異なる領域である第2領域に吐出させて第1層を形成し、前記第2液体を前記第2インクジェットヘッドから前記第2領域の前記第1層上に吐出させて第2層を形成する印刷動作として、第1印刷動作、及び、前記第1印刷動作とは前記第1液体の吐出量が異なる第2印刷動作を実行し、
前記第1印刷動作では、
前記第1領域に第1所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域に第2所定量の前記第1液体を吐出させ、
前記第2印刷動作では、
前記第1領域への前記第1液体の吐出量から前記第2領域への前記第1液体の吐出量を引いた差の絶対値が前記第1所定量から前記第2所定量を引いた差の絶対値より大きくなるように、前記第1領域には第3所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域には第4所定量の前記第1液体を吐出させる、
印刷装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2印刷動作にて、前記第1液体として第1インクを吐出させ且つ前記第2液体として第2インクを吐出させる場合、前記印刷媒体のうち前記第1インクの色に対して色値が所定範囲内にある近似色に印刷される近似色領域に対しては前記第3所定量と前記第4所定量との間の量の前記第1インクを吐出させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2印刷動作にて、前記第1液体として第1インクを吐出させ且つ前記第2液体として第2インクを吐出させる場合、前記第1領域のうち前記第2領域と隣接する領域又は前記第2領域のうち前記第1領域と隣接する領域に対しては、前記第4所定量よりも少ない量の前記第1インクを吐出させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1インクジェットヘッドを第1方向に往復移動させるキャリッジを備え、
前記第1インクジェットヘッドは、前記第1液体として第1インクを吐出する複数のノズルを有し、
前記制御装置は、
前記第1印刷動作を実行する場合は、前記第1インクジェットヘッドを第1回数だけ往復移動させつつ、前記第1インクジェットヘッドにおける所定数のノズルのそれぞれの前記ノズルから第1量の前記第1インクを吐出させることにより、前記第1領域に前記第1所定量の前記第1インクを吐出させ、
前記第2印刷動作を実行する場合は、前記第1インクジェットヘッドを第1回数だけ往復移動させつつ、前記第1インクジェットヘッドにおける前記所定数より多いノズルのそれぞれの前記ノズルから第1量の前記第1インクを吐出させることにより、又は、前記第1インクジェットヘッドにおける前記所定数のそれぞれの前記ノズルから第1量より多い量の前記第1インクを吐出させることにより、又は、前記第1インクジェットヘッドにおける前記所定数より多いノズルのそれぞれの前記ノズルから第1量より多い量の前記第1インクを吐出させることにより、前記第1領域に前記第3所定量の前記第1インクを吐出させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1インクジェットヘッドを第1方向へ往復移動させるキャリッジを備え、
前記制御装置は、
前記第1印刷動作を実行する場合は、前記第1インクジェットヘッドを第1回数だけ往復移動させつつ、前記第1インクジェットヘッドから前記第1領域に前記第1所定量の前記第1液体として第1インクを吐出させ、
前記第2印刷動作を実行する場合は、前記第1インクジェットヘッドを前記第1回数よりも多く往復移動させつつ、前記第1インクジェットヘッドから前記第1領域に前記第3所定量の前記第1インクを吐出させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
第1液体を印刷媒体上に吐出する第1吐出部と、
前記第1液体とは異なる第2液体を前記印刷媒体上に吐出する第2吐出部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1液体を前記第1吐出部から前記印刷媒体における予め定められた領域又はユーザにより指定された領域又は前記第2液体が吐出されない領域である第1領域及び前記第1領域とは異なる領域である第2領域に吐出させて第1層を形成し、前記第2液体を前記第2吐出部から前記第2領域の前記第1層上に吐出させて第2層を形成する印刷動作として、第1印刷動作、及び、前記第1印刷動作とは前記第1液体の吐出量が異なる第2印刷動作を実行し、
前記第1印刷動作では、
前記第1領域に第1所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域に第2所定量の前記第1液体を吐出させ、
前記第2印刷動作では、
前記第1領域への前記第1液体の吐出量から前記第2領域への前記第1液体の吐出量を引いた差の絶対値が前記第1所定量から前記第2所定量を引いた差の絶対値より大きくなるように、前記第1領域には第3所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域には第4所定量の前記第1液体を吐出させる、
印刷装置。
【請求項7】
第1液体を印刷媒体上に吐出する第1吐出部と、
前記第1液体とは異なる第2液体を前記印刷媒体上に吐出する第2吐出部と、を備える印刷装置の制御方法であって、
前記第1液体を前記第1吐出部から前記印刷媒体における予め定められた領域又はユーザにより指定された領域又は前記第2液体が吐出されない領域である第1領域及び前記第1領域とは異なる領域である第2領域に吐出させて第1層を形成し、前記第2液体を前記第2吐出部から前記第2領域の前記第1層上に吐出させて第2層を形成する印刷動作として、第1印刷動作、及び、前記第1印刷動作とは前記第1液体の吐出量が異なる第2印刷動作を実行させ、
前記第1印刷動作では、
前記第1領域に第1所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域に第2所定量の前記第1液体を吐出させ、
前記第2印刷動作では、
前記第1領域への前記第1液体の吐出量から前記第2領域への前記第1液体の吐出量を引いた差の絶対値が前記第1所定量から前記第2所定量を引いた差の絶対値より大きくなるように、前記第1領域には第3所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域には第4所定量の前記第1液体を吐出させる、
印刷装置の制御方法。
【請求項8】
第1液体を印刷媒体上に吐出する第1吐出部と、
前記第1液体とは異なる第2液体を前記印刷媒体上に吐出する第2吐出部と、を備える印刷装置のコンピュータに、
前記第1液体を前記第1吐出部から前記印刷媒体における予め定められた領域又はユーザにより指定された領域又は前記第2液体が吐出されない領域である第1領域及び前記第1領域とは異なる領域である第2領域に吐出させて第1層を形成し、前記第2液体を前記第2吐出部から前記第2領域の前記第1層上に吐出させて第2層を形成する印刷動作として、第1印刷動作、及び、前記第1印刷動作とは前記第1液体の吐出量が異なる第2印刷動作を実行させ、
前記第1印刷動作では、
前記第1領域に第1所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域に第2所定量の前記第1液体を吐出させ、
前記第2印刷動作では、
前記第1領域への前記第1液体の吐出量から前記第2領域への前記第1液体の吐出量を引いた差の絶対値が前記第1所定量から前記第2所定量を引いた差の絶対値より大きくなるように、前記第1領域には第3所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域には第4所定量の前記第1液体を吐出させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置として、例えば、下記特許文献1の記録装置が知られている。この記録装置は、走査方向に記録ヘッドを往復移動させながら、記録ヘッドから被記録媒体にインクを吐出させている。ここで、記録装置は、ホワイトインクを吐出させてからカラーインクを吐出させており、これにより、被記録媒体にホワイトインクによる下地層が形成されてから、下地層上にカラーインクによるが画像が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記記録装置によれば被記録媒体には、例えば、下地層だけの領域、及び、下地層に画像が積層された領域が設けられる。この下地層及び画像の色はインクの量などに影響されるため、領域に応じた適切な量の下地層形成用のインク及び画像形成用のインクが吐出されることが望ましい。また、画像が形成された被記録媒体の上にクリアインクなどから成る上地層を形成することがある。このとき、被記録媒体には上地層だけの領域、及び、画像に上地層が積層された領域が設けられる。従って、この場合には、領域に応じた適切な量の上地層形成用のインク及び画像形成用のインクが吐出されることが望ましい。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、印刷媒体における領域に応じた適量の液体を吐出することができる印刷装置、印刷装置の制御方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る印刷装置は、第1液体を印刷媒体上に吐出する第1インクジェットヘッドと、前記第1液体とは異なる第2液体を前記印刷媒体上に吐出する第2インクジェットヘッドと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1液体を前記第1インクジェットヘッドから前記印刷媒体における予め定められた領域又はユーザにより指定された領域又は前記第2液体が吐出されない領域である第1領域及び前記第1領域とは異なる領域である第2領域に吐出させて第1層を形成し、前記第2液体を前記第2インクジェットヘッドから前記第2領域の前記第1層上に吐出させて第2層を形成する印刷動作として、第1印刷動作、及び、前記第1印刷動作とは前記第1液体の吐出量が異なる第2印刷動作を実行し、前記第1印刷動作では、前記第1領域に第1所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域に第2所定量の前記第1液体を吐出させ、前記第2印刷動作では、前記第1領域への前記第1液体の吐出量から前記第2領域への前記第1液体の吐出量を引いた差の絶対値が前記第1所定量から前記第2所定量を引いた差の絶対値より大きくなるように、前記第1領域には第3所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域には第4所定量の前記第1液体を吐出させる。
【0007】
本開示に係る印刷装置の制御方法は、第1液体を印刷媒体上に吐出する第1吐出部と、
前記第1液体とは異なる第2液体を前記印刷媒体上に吐出する第2吐出部と、を備える印刷装置の制御方法であって、前記第1液体を前記第1吐出部から前記印刷媒体における予め定められた領域又はユーザにより指定された領域又は前記第2液体が吐出されない領域である第1領域及び前記第1領域とは異なる領域である第2領域に吐出させて第1層を形成し、前記第2液体を前記第2吐出部から前記第2領域の前記第1層上に吐出させて第2層を形成する印刷動作として、第1印刷動作、及び、前記第1印刷動作とは前記第1液体の吐出量が異なる第2印刷動作を実行させ、前記第1印刷動作では、前記第1領域に第1所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域に第2所定量の前記第1液体を吐出させ、前記第2印刷動作では、前記第1領域への前記第1液体の吐出量から前記第2領域への前記第1液体の吐出量を引いた差の絶対値が前記第1所定量から前記第2所定量を引いた差の絶対値より大きくなるように、前記第1領域には第3所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域には第4所定量の前記第1液体を吐出させる。
【0008】
本開示に係るプログラムは、第1液体を印刷媒体上に吐出する第1吐出部と、前記第1液体とは異なる第2液体を前記印刷媒体上に吐出する第2吐出部と、を備える印刷装置のコンピュータに、前記第1液体を前記第1吐出部から前記印刷媒体における予め定められた領域又はユーザにより指定された領域又は前記第2液体が吐出されない領域である第1領域及び前記第1領域とは異なる領域である第2領域に吐出させて第1層を形成し、前記第2液体を前記第2吐出部から前記第2領域の前記第1層上に吐出させて第2層を形成する印刷動作として、第1印刷動作、及び、前記第1印刷動作とは前記第1液体の吐出量が異なる第2印刷動作を実行させ、前記第1印刷動作では、前記第1領域に第1所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域に第2所定量の前記第1液体を吐出させ、前記第2印刷動作では、前記第1領域への前記第1液体の吐出量から前記第2領域への前記第1液体の吐出量を引いた差の絶対値が前記第1所定量から前記第2所定量を引いた差の絶対値より大きくなるように、前記第1領域には第3所定量の前記第1液体を吐出させ、かつ、前記第2領域には第4所定量の前記第1液体を吐出させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、印刷媒体における領域に応じた適量の液体を吐出することができる印刷装置、印刷装置の制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る印刷装置の構成を示す模式的平面図である。
【
図2】
図2は、印刷装置に備えられたキャリッジを示す模式的平面図である。
【
図3】
図3は、印刷装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、設定画面を表示した表示装置を示す模式的平面図である。
【
図5】
図5は、印刷画像を印刷した印刷媒体を示す模式的平面図である。
【
図6】
図6Aは、印刷画像における第2画像部分を示す図である。
図6Bは、印刷画像における第1画像部分を示す図である。
【
図7】
図7Aは、第1印刷動作により第1領域に第2層が形成されずに第1層が形成された印刷媒体を示す断面図である。
図7Bは、第2印刷動作により第1領域に第2層が形成されずに第1層が形成された印刷媒体を示す断面図である。
図7Cは、第1印刷動作により第1領域に第1層及び第2層が形成された印刷媒体を示す断面図である。
図7Dは、第2印刷動作により第1領域に第1層及び第2層が形成された印刷媒体を示す断面図である。
【
図8】
図8は、印刷画像を表示した表示装置を示す模式的平面図である。
【
図9】
図9Aは、第1LUTを示す図である。
図9Bは、第2LUTを示す図である。
図9Cは、第3LUTを示す図である。
図9Dは、第4LUTを示す図である。
【
図10】
図10は、印刷装置の制御方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図11Aは、第1領域に近似色領域を含む印刷媒体を示す断面図である。
図11Bは、第2領域に近似色領域を含む印刷媒体を示す断面図である。
図11Cは、第1領域に隣接領域を含む印刷媒体を示す断面図である。
図11Dは、第2領域に隣接領域を含む印刷媒体を示す断面図である。
【
図12】
図12Aは、重複印刷の第1パス処理を説明する図である。
図12Bは、重複印刷の第2パス処理を説明する図である。
図12Cは、重複印刷の第3パス処理を説明する図である。
図12Dは、重複印刷の第4パス処理を説明する図である。
【
図13】
図13Aは、重複印刷の第1パス処理を説明する図である。
図13Bは、重複印刷の第2パス処理を説明する図である。
図13Cは、重複印刷の第3パス処理を説明する図である。
図13Dは、重複印刷の第4パス処理を説明する図である。
図13Eは、重複印刷の第5パス処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では、全ての図面を通じて同一又は対応する要素には同一の参照符号を付している。
【0012】
<印刷装置>
本開示の実施の形態に係る印刷装置10は、
図1の例に示すように、画像処理装置11及び出力装置12を備えている。画像処理装置11及び出力装置12は、ネットワークなどの無線又はケーブルなどの有線を介して通信可能に接続されている。画像処理装置11は、出力装置12により印刷媒体Aに印刷される画像である印刷画像Bの画像データから印刷データを生成し、生成された印刷データを出力装置12に送信する。出力装置12は、画像処理装置11から受信した印刷データに基づいて印刷画像Bを印刷媒体Aに印刷する。
【0013】
<出力装置>
出力装置12は、例えば、シリアルヘッド方式のインクジェットプリンタである。出力装置12は、印刷画像Bの印刷データに基づいて、第1インクジェットヘッド(以下では、「第1ヘッド」と称する。)21及び第2インクジェットヘッド(以下では、「第2ヘッド」と称する。)22を移動させつつインクを吐出して後述するインクの層C1、C2を形成するパス処理と、印刷媒体Aを搬送する搬送処理とを交互に繰り返して、印刷画像Bを印刷媒体Aに印刷する。
【0014】
以下では、ヘッド21、22の移動方向を第1方向又は左右方向と称し、印刷媒体Aの搬送方向であって第1方向に交差(例えば、直交)する方向を前後方向と称する。また、左右方向及び前後方向の両方向に交差(例えば、直交)する方向を上下方向と称する。ただし、出力装置12に関する方向はこれに限定されない。
【0015】
出力装置12は、ヘッド21、22の下面に対向して配置されたプラテン20を備えている。プラテン20はヘッド21、22の下方に所定距離を隔てて位置しており、プラテン20の平坦な上面は、印刷媒体Aを下方から支持する。
【0016】
出力装置12は、ヘッド21、22を左右方向へ往復移動させる移動装置30を備えている。移動装置30は、キャリッジ31、2本のガイドレール32、無端ベルト33、及び、移動モータ34を有している。キャリッジ31は箱型の筐体であり、このキャリッジ31には複数のヘッド21、22が搭載されている。2本のガイドレール32は、直下に配置された状態のプラテン20上を横切るように左右に延び、かつ、全てのヘッド21、22を間に挟むようにして前後に離れて配置されている。この2本のガイドレール32により、キャリッジ31は左右方向へ往復移動可能に支持されている。
【0017】
無端ベルト33は、一方のガイドレール32の左右両端近傍に設けられた2つのプーリー35に巻回して設けられ、かつ、所定箇所にてキャリッジ31と接続されている。左右いずれか一方のプーリー35に減速機を介して移動モータ34の回転軸が接続されている。従って、この移動装置30は、移動モータ34が回転駆動すると、無端ベルト33が走行し、ヘッド21、22を支持するキャリッジ31がガイドレール32に沿って左右方向へ移動する。
【0018】
出力装置12は、印刷媒体Aを前後方向へ搬送する搬送装置40を備えている。搬送装置40は、例えばベース41と、搬送モータ42(
図3参照)などを含む直動アクチュエータとを有している。搬送モータ42が駆動すると、直動アクチュエータが動作し、プラテン20と共に印刷媒体Aも前後方向へ移動する。
【0019】
出力装置12は、ヘッド21、22に供給する各インクを貯留する複数のタンク23、24を備えている。各タンク23、24には可撓性のチューブ29の一端が接続され、他端はヘッド21、22のインク供給口に接続されており、各タンク23、24からのインクはチューブ29を通じてヘッド21、22へ送られる。タンク23、24はヘッド21、22と一対一で接続されていてもよい。また、同色のインクを吐出するヘッド21、22が、複数、出力装置12に設けられている場合には、1つの大容量のタンク23、24が複数のヘッド21、22に接続されていてもよい。この場合、チューブ29は1つのタンク23、24から複数のヘッド21、22に分岐し、インクは1つのタンク23、24から複数のヘッド21、22に供給される。また、1つのヘッド21、22に複数のノズル列が設けられ、ノズル列ごとに異なる色のインクが供給されてもよい。
【0020】
例えば、複数のタンク23、24は、第1タンク23及び第2タンク24を備えている。第1タンク23は、第1液体を貯留し、第1ヘッド21にチューブ29により接続されている。第1液体は、例えば、ホワイトインクなどの第1インクであって、印刷媒体Aに印刷される下地用インクである。
【0021】
第2タンク24は、第2液体を貯留している。第2液体は、第1液体とは異なる液体であって、例えば、カラーインクなどの第2インクであって、下地上に印刷される画像用インクである。カラーインクは、例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクを含んでいる。この場合、第2タンク24は、4色のそれぞれのカラーインクを貯留する4種類の第2タンク24を含んでいる。4種類の第2タンク24は4種類の第2ヘッド22にチューブ29によりそれぞれ接続されている。
【0022】
図2の例に示すように、キャリッジ31には、例えば4つの第1ヘッド21及び4つの第2ヘッド22が搭載されている。第1ヘッド21は、第2ヘッド22と前後方向に並んで、第2ヘッド22よりも後に配置されている。4つの第1ヘッド21は左右方向に間隔を空けながら並んでいる。4つの第1ヘッド21は、ホワイトインクを印刷媒体A上に吐出する第1吐出部である。各第1ヘッド21はホワイトインクを吐出する複数の第1ノズル25を備え、各第1ヘッド21において複数の第1ノズル25は前後方向に並んでいる。
【0023】
4つの第2ヘッド22は左右方向に間隔を空けながら並んでいる。第2ヘッド22は、カラーインクを印刷媒体A上に吐出する第2吐出部である。各第2ヘッド22はカラーインクを吐出する複数の第2ノズル26を備え、各第2ヘッド22において複数の第2ノズル26は前後方向に並んでいる。例えば、第2ヘッド22は、シアンインクを吐出する第2ヘッド22c、イエローインクを吐出する第2ヘッド22y、マゼンタインクを吐出する第2ヘッド22m、及び、ブラックインクを吐出する第2ヘッド22kを備えている。
【0024】
このような第1ヘッド21には、第1ノズル25ごとに第1駆動素子27(
図3参照)が設けられている。第2ヘッド22には、第2ノズル26ごとに第2駆動素子28(
図3参照)が設けられている。第1駆動素子27及び第2駆動素子28は、圧電素子、発熱素子、あるいは、静電式アクチュエータ等であって、駆動することにより対応するノズル25、26からインクを吐出する圧力をヘッド21、22内のインクに付与する。
【0025】
図3に示すように、印刷装置10における出力装置12は、第2制御装置50、並びに、この第2制御装置50に接続された第2記憶装置51、第2通信インターフェース52、第1ヘッド駆動回路53、第2ヘッド駆動回路54、移動駆動回路55及び搬送駆動回路56を備えている。
【0026】
第2記憶装置51は、第2制御装置50からアクセス可能なメモリであって、例えばRAM及びROMを有している。このうちRAMは、印刷データ、及び、第2制御装置50の演算時の各種データを一時的に記憶する。ROMは、各種のデータ処理を行うためのコンピュータプログラム及びデータを記憶する。
【0027】
第2制御装置50は、例えばコンピュータで構成されており、CPUのようなプロセッサ、又は、ASICのような集積回路などの回路を含む。第2制御装置50は、第2記憶装置51に記憶されたデータを参照しつつ、コンピュータプログラムを実行することで、出力装置12の各部の動作を制御する。なお、第2制御装置50は、単独の装置により構成されていてもよく、又は、複数の装置が分散配置されていて、それらが協働して出力装置12の動作を行うよう構成されていてもよい。
【0028】
第2通信インターフェース52は、画像処理装置11に対して接続する接続装置である。出力装置12は、この第2通信インターフェース52を介して、画像処理装置11から、印刷データなどのデータを送受信する。
【0029】
第1ヘッド駆動回路53は、第1ヘッド21が有する第1駆動素子27と電気的に接続され、第1駆動素子27の動作を制御する。すなわち、第2制御装置50は、第1駆動素子27を駆動する制御信号を第1ヘッド駆動回路53へ出力し、第1ヘッド駆動回路53は入力された制御信号に基づいて駆動信号を生成し、この駆動信号を第1駆動素子27へ出力する。その結果、第1駆動素子27は対応する駆動信号に基づいて駆動し、所定のタイミングで所定の吐出エネルギーを第1ヘッド21内のホワイトインクに付与するよう動作する。従って、第1ノズル25から吐出されるホワイトインクは、その吐出タイミング、及び、吐出されるホワイトインクの大きさ(インク滴の量)が制御可能である。また、第2ヘッド駆動回路54は、第1ヘッド駆動回路53と同様に、第2駆動素子28と電気的に接続され、第2駆動素子28の動作を制御する。これにより、第2ノズル26から吐出されるカラーインクは、その吐出タイミング、及び、吐出されるカラーインクの大きさ(インク滴の量)が制御可能である。
【0030】
移動駆動回路55は、移動装置30が有する移動モータ34と電気的に接続されており、移動モータ34は、移動駆動回路55を介して第2制御装置50によりその動作が制御される。これにより移動装置30は、第1ヘッド21及び第2ヘッド22を支持するキャリッジ31を左右方向へ可変速度で移動させることができると共に、その可動範囲内の任意の位置にキャリッジ31を停止させることができる。
【0031】
搬送駆動回路56は、搬送装置40が有する搬送モータ42と電気的に接続されており、搬送モータ42は、搬送駆動回路56を介して第2制御装置50によりその動作が制御される。これにより、搬送装置40は、プラテン20上の印刷媒体Aを前後方向へ間欠的又は連続的に搬送できると共に、プラテン20上の所定位置に停止させて保持することができる。
【0032】
<画像処理装置>
図3の例に示すように、印刷装置10における画像処理装置11は、出力装置12が印刷する画像である印刷画像Bを処理する装置であって、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット及びスマートフォンなどにより構成されている。画像処理装置11は、第1制御装置61、並びに、この第1制御装置61に接続された第1記憶装置62、第1通信インターフェース63、入力装置64及び表示装置65を備えている。
【0033】
第1記憶装置62は、第1制御装置61からアクセス可能なメモリであって、例えばRAM及びROMを有している。このうちRAMは、画像データ、及び、第1制御装置61の演算時の各種データを一時的に記憶する。ROMは、各種のデータ処理を行うためのコンピュータプログラム及びデータを記憶する。この画像データとしては、印刷媒体Aに印刷される画像を示すラスタデータなどが例示される。
【0034】
第1制御装置61は、例えばコンピュータで構成されており、CPUのようなプロセッサなどの回路を含む。第1制御装置61は、第1記憶装置62に記憶されたデータを参照しつつ、コンピュータプログラムを実行することで、出力装置12及び表示装置65の動作を制御する。第1制御装置61は、出力装置12の第2制御装置50と協働して、印刷装置10の制御装置13を構成し、印刷装置10の動作を制御する。なお、第1制御装置61は、単独の装置により構成されていてもよく、又は、複数の装置が分散配置されていて、それらが協働して出力装置12の動作を行うよう構成されていてもよい。
【0035】
第1通信インターフェース63は、出力装置12の第2通信インターフェース52と接続可能な接続装置である。画像処理装置11は、この第1通信インターフェース63を介して、出力装置12に印刷データなどのデータを送受信する。第1通信インターフェース63は、印刷装置10から独立して存在する外部機器に対して接続してもよい。この場合、画像処理装置11は、第1通信インターフェース63を介して、画像データ等のデータを外部装置から送受信することができる。
【0036】
表示装置65は、例えばディスプレイなど、出力装置12により印刷される画像である印刷画像Bなどの情報を画像データに基づいて表示する機器である。入力装置64は、例えばタッチパネル、物理スイッチ及び第1通信インターフェース63など、外部からの情報の入力を受け付ける機器であり、出力装置12の筐体の上面又は前面など、ユーザが操作可能な位置に設けられている。そして、ユーザによる操作を受け付けて、受け付けた操作情報を第1制御装置61へ出力する。
【0037】
<印刷動作>
制御装置13は、印刷動作として、第1印刷動作、及び、第1印刷動作とは第1液体の吐出量が異なる第2印刷動作を実行する。この印刷動作では、制御装置13は、第1液体を第1ヘッド21から印刷媒体Aにおける予め定められた領域又はユーザにより指定された領域又は第2液体が吐出されない領域である第1領域A1及び第1領域A1とは異なる領域である第2領域A2に吐出させて第1層C1を形成し、第2液体を第2ヘッド22から第2領域A2の第1層C1上に吐出させて第2層C2を形成する。
【0038】
例えば、
図4の例に示すように、画像処理装置11の第1制御装置61は、印刷動作として第1印刷動作又は第2印刷動作を設定するための設定画面を表示装置65に表示する。ユーザは、入力装置64を用いて印刷動作を設定すると、設定された印刷動作を示す情報が第1制御装置61に入力される。第1制御装置61は、設定された印刷動作に応じて印刷画像Bの画像データから印刷データを生成して出力装置12に送信する。この第1印刷動作及び第2印刷動作では、第1液体としてのホワイトインクの吐出量が異なる。このインクの吐出量及び印刷データの生成処理については後述する。
【0039】
出力装置12の第2制御装置50は、画像処理装置11からの印刷データに基づいて印刷動作を実行し、
図5の例のように印刷媒体AとしてのTシャツの印刷領域A0に印刷画像Bを印刷する。この印刷画像Bは、例えば予め定められた色、ユーザによる指定色、又は、画像データのレイヤデータなどにより規定されている部分である第1画像部分B1(
図6B)、及び、それ以外の部分である第2画像部分B2(
図6A)を有している。第1画像部分B1が画像データのレイヤデータなどにより規定されている部分である場合、例えば、第2画像部分B2は、印刷画像Bの画像部分であって、第1画像部分B1は画像部分の背景部分である。
【0040】
印刷画像Bは、印刷画像Bを複数の領域に分割した複数の画素により構成されている。第1画像部分B1は第1画素から成り、第2画像部分B2は第2画素から成る。印刷画像Bが印刷される印刷媒体Aの印刷領域A0のうち、第1領域A1には第1画像部分B1の第1画素が印刷され、第2領域A2には第2画像部分B2の第2画素が印刷される。なお、印刷画像Bにおける第1画素及び第2画素については後述する。
【0041】
この第1画像部分B1がホワイトである場合には、
図7A及び
図7Bの例に示すように、出力装置12は、第1ヘッド21から印刷媒体Aの第1領域A1及び第2領域A2にホワイトインクを吐出して、ホワイトインクによる第1層C1を第1領域A1及び第2領域A2に形成(印刷)する。そして、出力装置12は、第2ヘッド22からカラーインクを第1領域A1に吐出せずに第2領域A2の第1層C1上に吐出して、カラーインクによる第2層C2を第1層C1上に形成(印刷)する。
【0042】
このように、印刷媒体Aの第2領域A2には、第1層C1上に第2層C2が積層されている。この第2層C2はユーザから見えて印刷画像Bにおける第2画像部分B2を構成し、第1層C1は第2層C2に被覆されて第2層C2の下地を構成する。また、印刷媒体Aの第1領域A1には、第2層C2が形成されずに第1層C1が形成されている。これにより、第1層C1は、ユーザから見えて、印刷画像Bにおける第1画像部分B1を構成する。
【0043】
また、第1画像部分B1がカラーである場合には、
図7C及び
図7Dの例に示すように、出力装置12は、第1ヘッド21から印刷媒体Aの第1領域A1及び第2領域A2にホワイトインクを吐出して、ホワイトインクによる第1層C1を第1領域A1及び第2領域A2に形成(印刷)する。そして、出力装置12は、第2ヘッド22からカラーインクを第1領域A1及び第2領域A2の第1層C1上に吐出して、カラーインクによる第2層C2を第1層C1上に形成(印刷)する。これにより、第1領域A1及び第2領域A2において第1層C1上に第2層C2が積層されている。この第1領域A1では、第2層C2はユーザから見えて印刷画像Bにおける第1画像部分B1を構成し、第1層C1は第2層C2に被覆されて第2層C2の下地を構成する。
【0044】
なお、第1画像部分B1が画像データのレイヤデータなどにより規定されている部分である場合、第2領域A2は、第1層C1上に第2層C2が積層されたカラー領域に加えて、第1層C1上に第2層C2が積層されないホワイト領域を含んでいてもよい。また、第1領域A1は、第1層C1上に第2層C2が積層されないホワイト領域に加えて、第1層C1上に第2層C2が積層されたカラー領域を含んでいてもよい。
【0045】
<インクの吐出量>
制御装置13は、第1印刷動作では、第1領域A1には第1所定量の第1液体を吐出させ、かつ、第2領域A2には第2所定量の第1液体を吐出させる。制御装置13は、第2印刷動作では、第1領域A1への第1液体の吐出量から第2領域A2への第1液体の吐出量を引いた差の絶対値が第1所定量から第2所定量を引いた差の絶対値より大きくなるように、第1領域A1には第3所定量の第1液体を吐出させ、かつ、第2領域A2には第4所定量の第1液体を吐出させる。
【0046】
具体的には、印刷動作の種類に応じて第1液体としてのホワイトインクの吐出量が異なるため、第1制御装置61は、ユーザにより設定された印刷動作に応じてホワイトインクの吐出量を決定する。インクの吐出量は、印刷媒体Aの印刷領域A0を複数に分割した領域である単位領域に対して吐出されるインクの量であって、ヘッド21、22から吐出されて印刷媒体Aの単位領域に着弾するインクの量であり、例えば、単位領域におけるインクの濃度と言える。この印刷領域A0のサイズ及び分割数は、予め設定されていてもよいし、ユーザにより設定されてもよい。また、印刷媒体Aの単位領域には、ヘッド21、22から1回又は複数回の吐出動作によりインクが吐出されてもよい。この場合、複数回の吐出動作によって複数のインク滴が単位領域に吐出することにより、その単位領域に着弾した数のインク滴の合計量がその単位領域に対するインクの吐出量となる。
【0047】
例えば、第1印刷動作が印刷動作としてユーザにより設定された場合には、第1制御装置61は、第1領域A1に対するホワイトインクの吐出量を第1所定量に決定し、第2領域A2に対するホワイトインクの吐出量を第2所定量に決定する。第1所定量は、第2所定量と同じであってもよいし、第2所定量よりも多くてもよいし、第2所定量よりも少なくてもよい。また、第2印刷動作が印刷動作としてユーザにより設定された場合には、第1制御装置61は、第1領域A1におけるホワイトインクの吐出量を第3所定量に決定し、第2領域A2におけるホワイトインクの吐出量を第4所定量に決定する。第3所定量は、第4所定量と異なっており、例えば第4所定量よりも多い。第1所定量~第4所定量は、ホワイトインクによる第1層C1上に吐出されるカラーインクの色などの種類に応じた量であってもよい。この場合、インクの種類と第1所定量~第4所定量との関係は予め定められ第2記憶装置51に記憶されている。
【0048】
第1印刷動作によれば、
図7Aの例に示すように、第1領域A1に第1所定量のホワイトインクにより第1厚みD1の第1層C1が形成される。第2領域A2に第2所定量のホワイトインクにより第2厚みD2の第1層C1が形成され、この第1層C1上に、カラーインクによる厚みD0の第2層C2が形成される。このため、第2領域A2では、第1層C1の第2厚みD2と、第2層C2の厚みD0とを足した総厚みDt1になる。また、第2印刷動作によれば、
図7Bの例に示すように、第1領域A1に第3所定量のホワイトインクにより第3厚みD3の第1層C1が形成される。第2領域A2に第4所定量のホワイトインクにより第4厚みD4の第1層C1が形成され、この第1層C1上に厚みD0の第2層C2が形成される。このため、第2領域A2では、第1層C1の第4厚みD4と、第2層C2の厚みD0とを足した総厚みDt2になる。
【0049】
ここで、第3所定量が第1所定量よりも多く、第3所定量から第4所定量を引いた差の絶対値である第2差が第1所定量から第2所定量を引いた差の絶対値である第1差よりも大きい。この場合、第2印刷動作によれば第2領域A2におけるホワイトインクの量を第1印刷動作と同等に確保しつつ、第1領域A1におけるホワイトインクの量を第1印刷動作よりも増加できる。これにより、第1領域A1において第1層C1を形成するホワイトインクの量が第1印刷動作よりも第2印刷動作により多いため、第2印刷動作によれば第1領域A1における第1層C1としての印刷画像Bの第1画像部分B1の発色を第1印刷動作よりも向上することができる。一方、第1印刷動作によれば、印刷画像Bに印刷のためのインクの消費量を抑制することができる。
【0050】
また、第4所定量が第2所定量よりも少なく、第2差が第1差よりも大きい場合、第2印刷動作によれば、第1領域A1におけるホワイトインクの量を第1印刷動作と同等に確保しつつ、第2領域A2におけるホワイトインクの量を第1印刷動作よりも減少できる。このため、第2領域A2におけるホワイトインクと、ホワイトインク上に吐出されたカラーインクとの滲みを低減することができる。これにより、第2印刷動作による第2領域A2におけるカラーインクの第2層C2としての印刷画像Bの第2画像部分B2の発色を第1印刷動作よりも向上することができる。
【0051】
なお、第3所定量が第1所定量よりも多く、第4所定量が第2所定量よりも少なく、第2差が第1差よりも大きくしてもよい。この場合、第2印刷動作によれば、第1画像部分B1及び第2画像部分B2の発色を向上することができる。
【0052】
さらに、第3所定量が第4所定量よりも多い場合、
図7Bの第1領域A1における第1層C1の第3厚みD3と、第2領域A2における総厚みDt2との差の絶対値は、
図7Aの第1領域A1における第1層C1の第1厚みD1と、第2領域A2における総厚みDt1との差の絶対値よりも小さくなる。よって、第2印刷動作によれば、第1領域A1と第2領域A2における層の厚みの差に起因した印刷画像Bの画質低下を低減することができる。
【0053】
<第1画素及び第2画素>
印刷画像Bは、第1画素から成る第1画像部分B1、及び、第2画素から成る第2画像部分B2を有している。第1制御装置61は、印刷媒体Aに印刷される画像である印刷画像Bの画像データに基づいて印刷画像Bにおける第1画像部分B1の第1画素及び第2画像部分B2の第2画素を判定する。この印刷画像Bの画像データは、印刷画像Bを構成する複数の画素のそれぞれの位置及び色値の画素データを有している。
【0054】
第1の判定方法では、第1制御装置61は、印刷画像Bのうち、所定の色値を有する画素を第1画素と判定し、所定の色値以外の色値を有する画素を第2画素と判定してもよい。この所定の色値が例えばホワイトである場合には、第1制御装置61は、RGB値で規定される画像データについては、ホワイトを表すRGB値:(255、255、255)を有する画素を第1画素と判定し、これ以外のRGB値を有する画素を第2画素と判定する。また、第1制御装置61は、CMYK値で規定される画像データについては、ホワイトを表すCMYK値:(0、0、0、0)を有する画素を第1画素と判定し、これ以外のCMYK値を有する画素を第2画素と判定する。なお、所定の色値は1つ又は複数の色値であってもよい。
【0055】
また、別の第2の判定方法では、第1制御装置61は、
図8の例に示すように、印刷画像Bをその画像データに基づいて表示装置65に表示する。そして、ユーザは、表示された印刷画像Bにおける位置を入力装置64によって指定すると、第1制御装置61は、ユーザによる指定位置に対応する画素を指定画素とし、その指定画素の色値を画像データに基づいて取得する。そして、第1制御装置61は、画像データに基づいて、指定画素の色値と同色の色値を有する画素を第1画素と判定し、これ以外の色値を有する画素を指定画素と判定する。なお、ユーザによる指定画素は1つ又は複数の画素であってもよい。
【0056】
この第2の判定方法では、第1制御装置61は、印刷画像Bにおいてユーザによる指定画素の色値を有する画素のうち、指定画素と連続する画素を第1画素と判定し、指定画素と連続しない画素を第2画素と判定してもよい。これにより、指定画素の色値と同じ色値を有する画素が第2画素に含まれる場合であっても、この画素が指定画素と連続していない場合には、この画素は第1画素と判定されずに第2画素と判定される。このため、第2画素のうち第1画素と同色の画素は、第1画素と区別される。
【0057】
さらに、別の第3の判定方法では、例えば、印刷画像Bの画像データは、背景の画素の位置及び色値を規定する第1レイヤデータ、及び、画像の画素の位置及び色値を規定する第2レイヤデータを有している。この場合、レイヤデータの名称又はIDなどにより第1レイヤデータに規定されている画素が第1画素であると予め定められている又はユーザにより指定される。これにより、第1制御装置61は、印刷画像Bのうち、第1レイヤデータに規定される画素を第1画素とし、第2レイヤデータに規定される画素を第2画素と判定する。また、第1制御装置61は第1レイヤデータにより規定される画素の色値を第1画像部分B1の色値として取得する。なお、第1画像部分B1の色値は1つ又は複数の色値であってもよい。
【0058】
このように、例えば第1~第3の判定方法によって第1画素が判定される。この第1の判定方法のように第1画素が所定の色値を有する場合には、第1画素に対応する第1領域A1は予め定められた領域に相当する。また、第2の判定方法のように第1画素がユーザの指定画素である場合には、第1画素に対応する第1領域A1はユーザにより指定された領域に相当する。さらに、第3の判定方法のように第1レイヤデータは第1画素が規定されているデータであると予め定められている場合には、第1画素に対応する第1領域A1は予め定められた領域に相当する。また、第3の判定方法のように第1レイヤデータは第1画素が規定されているデータであるとしてユーザにより指定される場合には、第1画素に対応する第1領域A1はユーザにより指定された領域に相当する。
【0059】
また、第1~第3の判定方法により判定された第1画素の色値が、第1インクの色値を有しこれ以外の色値を有さない場合がある。この場合には、
図7A及び
図7Bの例に示すように、第1画素に対応する第1領域A1は第2インクが吐出されない領域に相当する。このため、第1領域A1には第1インクによる第1層C1が形成され、第2インクによる第2層C2が形成されない。
【0060】
また、第1~第3の判定方法により判定された第1画素の色値が、第1インクの色値を有さずにこれ以外の色値を有する場合がある。この場合、
図7C及び
図7Dの例に示すように、第1画素に対応する第1領域A1に第1インク及び第2インクが吐出される。このため、第1領域A1には第1インクによる第1層C1上に、第2インクによる第2層C2が形成される。
【0061】
<印刷データの生成処理>
画像処理装置11の第1制御装置61は、印刷画像Bの画像データを、出力装置12が印刷可能な印刷データに変換する。例えば、画像データにおける画素の色値がRGB値で規定されている場合、第1制御装置61は、色値をRGB値から、出力装置12が備えるインクの種類に応じた色値、例えば、CMYKW値に変換する色変換処理を実行する。RGB値は、RGB色空間におけるレッド、グリーン、ブルーのそれぞれの、例えば、0~255の256階調の階調値で表される。CMYKW値は、CMYKW色空間における、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイトのそれぞれの、例えば、0~100%の101階調の階調値で表される。なお、以下では、下地用インクとしての第1インクの色値がホワイトである場合について説明するが、下地用インクの色値はこれに限定されない。
【0062】
第1の色変換処理では、第1制御装置61は、
図9Aの例に示す第1LUTを用い、印刷画像Bの画像データにおけるRGB値をCMYK値に変換する。第1LUTは、RGB値とCMYK値とを対応づけた色変換ルックアップテーブルであって、第1記憶装置62に記憶されている。そして、第1制御装置61は、印刷画像Bの画素毎に第1画素か第2画素かを画像データに基づいて判定する。
【0063】
ここで、印刷動作が第1印刷動作である場合には、第1制御装置61は、第1画素については、第1領域A1に対するホワイトインクの吐出量が第1所定量になるように所定のW値を取得し、このW値とCMYK値とを合わせて第1画素のCMYKW値を取得する。さらに、第1制御装置61は、第2画素については、第2領域A2に対するホワイトインクの吐出量が第2所定量になるように所定のW値を取得し、このW値とCMYK値と第2画素とを合わせて第2画素のCMYKW値を取得する。そして、第1制御装置61は、第1画素のCMYKW値と第2画素のCMYKW値を組み合わせて、印刷画像Bの画素データとして取得する。
【0064】
また、印刷動作が第2印刷動作である場合には、第1制御装置61は、第1画素については、第1領域A1に対するホワイトインクの吐出量が第3所定量になるように所定のW値を取得し、このW値とCMYK値とを合わせて第1画素のCMYKW値を取得する。また、第1制御装置61は、第2画素については、第2領域A2に対するホワイトインクの吐出量が第4所定量になるように所定のW値を取得し、このW値とCMYK値とを合わせて第2画素のCMYKW値を取得する。そして、第1制御装置61は、第1画素のCMYKW値と第2画素のCMYKW値を組み合わせて、印刷画像Bの画素データとして取得する。
【0065】
なお、画像データの色変換処理は上記の第1の色変換処理に限定されない。例えば、第1制御装置61は、
図9Bの例に示す第2LUT及び
図9Cの例に示す第3LUTを用いた第2の色変換処理理を行ってもよい。以下では、第1所定量、第2所定量及び第4所定量が互いに等しく、第3所定量が第1所定量、第2所定量及び第4所定量よりも多い場合について説明する。
【0066】
第2LUT及び第3LUTは、RGB値とCMYKW値とを対応づけた色変換ルックアップテーブルであって、第1記憶装置62に記憶されている。第2LUT及び第3LUTでは、例えば、ホワイトが第1画像部分B1の色として設定されている。この場合、第1画像部分B1の色としてのホワイトを表すRGB値:(255、255、255)に対応するW値は、第2LUTで80であるのに対し、第3LUTで100である。一方、このRGB値:(255、255、255)以外のRGB値に対応するCMYKW値は、第2LUT及び第3LUTで互いに等しい。また、第2LUTでは、全てのRGB値に対応するW値は、互いに等しく、80である。一方、第3LUTでは、第1画像部分B1の色としてのホワイトを表すRGB値に対応するW値は、100と、これ以外の全てのRGB値に対応するW値の80よりも大きい。
【0067】
ここで、印刷動作が第1印刷動作である場合、第1制御装置61は、
図9Bの例に示す第2LUTを用い、印刷画像Bの画像データにおけるRGB値をCMYKW値に変換し、印刷画像Bの画素データのCMYKW値として取得する。また、印刷動作が第2印刷動作である場合、第1制御装置61は、
図9Cの例に示す第3LUTを用い、印刷画像Bの画像データにおけるRGB値をCMYKW値に変換し、印刷画像Bの画素データのCMYKW値として取得する。このCMYKW値では、第1画素に対応するW値が第2画素に対応するW値よりも大きくなる。
【0068】
なお、第2の色変換処理において印刷動作が第2印刷動作である場合、第1制御装置61は、印刷画像Bの画素毎に第2画素か第1画素かを画像データに基づいて判定してもよい。この場合、第1制御装置61は、第2画素については第2LUTを用い第2画素のRGB値をCMYKW値に変換し、第1画素については第3LUTを用い第2画素のRGB値をCMYKW値に変換する。そして、第1制御装置61は、第2画素のCMYKW値と第1画素のCMYKW値とを合わせて、印刷画像Bの画素データのCMYKW値を取得する。このように、画素毎に第1画素か第2画素かを判定することにより、第1画素と同色の画素が第2画素に含まれている場合であっても、その同色の画素を第2画素のCMYKW値に変換することができる。
【0069】
このように色変換処理されると、第1制御装置61は、印刷画像Bの画素データのCMYKW値を、出力装置12が形成可能な階調値のデータに変換するハーフトーン処理を実行する。この階調値はインクの吐出量に対応するため、ハーフトーンデータにより画素毎且つインクの種類毎にインクの吐出量が規定される。このインクの吐出量は、CMYKW値の各色値が大きいほど多くなる。ここで、C値は、第2ヘッド22cの第2ノズル26から印刷媒体Aの単位領域に吐出されるシアンインクの量に対応する。M値は、第2ヘッド22mの第2ノズル26から印刷媒体Aの単位領域に吐出されるマゼンタインクの量に対応する。Y値は、第2ヘッド22yの第2ノズル26から印刷媒体Aの単位領域に吐出されるイエローインクの量に対応する。K値は、第2ヘッド22kの第2ノズル26から印刷媒体Aの単位領域に吐出されるブラックインクの量に対応する。W値は、第1ヘッド21の第1ノズル25から印刷媒体Aの単位領域に吐出されるホワイトインクの量に対応する。
【0070】
そして、第1制御装置61は、印刷画像Bにおいて格子状に並ぶ画素のハーフトーンデータを、インクの吐出順序に従って並べ替えるラスターライズ処理を実行する。ラスターライズ処理により、ハーフトーンデータを、ヘッド21、22が移動しながらインクを吐出するパス処理に割り付けてから、パス処理にてインクを吐出するノズル25、26を割り付ける。
【0071】
そして、第1制御装置61は、ラスターライズ処理されたデータに、印刷動作に応じたコマンドデータを付加するコマンド付加処理を実行する。コマンドデータとしては、例えば、印刷媒体Aの搬送量や搬送速度、及び、キャリッジ31の移動速度を制御するデータが含まれる。このように、第1制御装置61は、印刷データを生成すると、印刷データを第1通信インターフェース63から出力装置12の第2通信インターフェース52を介して第2制御装置50に送信する。出力装置12は、この印刷データに基づいて印刷画像Bを印刷媒体Aに印刷する印刷動作を実行する。
【0072】
<印刷装置の制御方法>
印刷装置10の制御方法は、
図10の例に示すフローチャートに沿って制御装置13により実行される。なお、この印刷装置10の制御方法は、出力装置12により実行されてもよい。
【0073】
画像処理装置11の第1制御装置61は、印刷媒体Aに印刷する画像である印刷画像Bの画像データを第1記憶装置62又は第1通信インターフェース63などから取得する(ステップS1)。続いて、第1制御装置61は、印刷画像Bの印刷動作が第1印刷動作であるか第2印刷動作であるかを判定する(ステップS2)。ここで、例えば、第1制御装置61は、
図4の例に示す印刷動作の設定画面を表示装置65に表示する。ユーザが入力装置64を用いて印刷動作を設定すると、設定された印刷動作が第1制御装置61に入力される。
【0074】
この印刷動作が第1印刷動作であれば(ステップS2:YES)、第1制御装置61は、第1領域A1に第1所定量のホワイトインクを吐出し、第2領域A2に第2所定量のホワイトインクを吐出するように、画像データに基づいて印刷データを生成する(ステップS3)。ここで、例えば、第1制御装置61は、上述の通りに、
図9A又は
図9Bの例に示すLUTを用いて印刷画像Bの画像データに色変換処理を実行してCMYKW値を取得し、さらにハーフトーン処理、ラスターライズ処理、コマンド付加処理などを実行し、印刷画像Bの印刷データを生成し、出力装置12に送信する。
【0075】
出力装置12の第2制御装置50は、画像処理装置11から印刷画像Bの印刷データを取得すると、印刷データに基づいて第1印刷動作を実行する(ステップS4)。この第1印刷動作によって、第2制御装置50は、第1ヘッド21のパス処理及び印刷媒体Aの搬送処理を実行させる。ここで、印刷媒体Aの単位領域に対して1回又は複数回のパス処理によりインクを吐出させてもよい。
【0076】
この第1印刷動作におけるパス処理において、第1ヘッド21を左又は右に移動しながら第1ヘッド21から第1所定量のホワイトインクを第1領域A1に吐出すると共に第2所定量のホワイトインクを第2領域A2に吐出する。これにより、ホワイトインクによる第1厚みD1の第1層C1が第1領域A1に形成され、ホワイトインクによる第2厚みD2の第1層C1が第2領域A2に形成される。そして、第2ヘッド22を左又は右に移動しながら第2ヘッド22からカラーインクを第1領域A1及び第2領域A2、又は、第2領域A2だけに吐出することにより、カラーインクによる厚みD0の第2層C2が第1層C1上に形成される。
【0077】
これに対し、印刷動作が第2印刷動作であれば(ステップS2:NO)、第1制御装置61は、第1領域A1に第3所定量のホワイトインクを吐出し、第2領域A2に第4所定量のホワイトインクを吐出するように、画像データに基づいて印刷データを生成する(ステップS5)。ここで、例えば、第1制御装置61は、上述の通りに、
図9A又は
図9Cの例に示すLUTを用いて印刷画像Bの画像データに色変換処理を実行してCMYKW値を取得し、さらにハーフトーン処理、ラスターライズ処理、コマンド付加処理などを実行し、印刷画像Bの印刷データを生成し、出力装置12に送信する。
【0078】
出力装置12の第2制御装置50は、画像処理装置11から印刷画像Bの印刷データを取得すると、印刷データに基づいて第2印刷動作を実行する(ステップS6)。この第2印刷動作によって、第2制御装置50は、第1ヘッド21のパス処理及び印刷媒体Aの搬送処理を実行させる。ここで、印刷媒体Aの単位領域に対して1回又は複数回のパス処理によりインクを吐出させてもよい。
【0079】
また、第2印刷動作におけるパス処理において、第1ヘッド21を左又は右に移動しながら第1ヘッド21から第3所定量のホワイトインクを第1領域A1に吐出すると共に第4所定量のホワイトインクを第2領域A2に吐出する。これにより、ホワイトインクによる第3厚みD3の第1層C1が第1領域A1に形成され、ホワイトインクによる第4厚みD4の第1層C1が第2領域A2に形成される。そして、第2ヘッド22を左又は右に移動しながら第2ヘッド22からカラーインクを第1領域A1及び第2領域A2、又は、第2領域A2だけに吐出することにより、カラーインクによる厚みD0の第2層C2が第1層C1上に形成される。
【0080】
この第3所定量が第1所定量よりも多い場合、第1領域A1において第1層C1を形成するホワイトインクの量が第1印刷動作よりも第2印刷動作で多くなる。このため、第1領域A1における第1画像部分B1の発色を第2印刷動作により向上することができる。一方、第1印刷動作によれば、印刷画像Bに印刷のためのインクの消費量を抑制することができる。
【0081】
また、例えば第4所定量が第2所定量よりも少ない場合、少ない第4所定量のホワイトインクと、ホワイトインク上に吐出されたカラーインクとの滲みを低減する。これにより、第2領域A2におけるカラーインクの第2層C2としての第2画像部分B2の発色を第2印刷動作により向上することができる。
【0082】
なお、上記ステップS4及びS6の印刷動作では、出力装置12は、第2印刷動作においてホワイトインクを第1領域A1及び第2領域A2に吐出させてから、カラーインクをホワイトインクの第1層C1上に吐出させてもよい。また、出力装置12は、第2印刷動作においてホワイトインクを第1領域A1に吐出させてから、カラーインクをホワイトインクの第1層C1上に吐出させ、その後にホワイトインクを第2領域A2に吐出させてもよい。
【0083】
<変形例1>
変形例1に係る印刷装置10では、上記実施の形態において、制御装置13は、第2印刷動作にて、第1液体として第1インクを吐出させ且つ第2液体として第2インクを吐出させる場合、印刷媒体Aのうち第1インクの色に対して色値が所定範囲内にある近似色に印刷される近似色領域A3に対しては第3所定量と第4所定量との間の量の第1インクを吐出させる。
【0084】
具体的には、
図11A及び
図11Bの例に示すように、第1インクがホワイトインクである場合に、ホワイトインクの色値の近似色の色値を有する画素が印刷画像Bに存在する場合がある。この近似色の色値とホワイトインクの色値との色差△Eは、所定範囲内である。色差△Eとしては、所定の色空間、例えば、L
*a
*b
*色空間においてホワイトインクの色値から、出力装置12により印刷可能な色値の領域である印刷色域上に引いた垂線の長さである。又は、色差△Eとしては、L
*a
*b
*色空間においてホワイトインクの色値と印刷色域との間の長さのうち最短の長さである。
【0085】
図11Aの例は、印刷画像Bの第1画素がホワイトの画素及び近似色の画素を有する場合である。この場合には、この第1画素が印刷される第1領域A1は、ホワイトの第1画素が印刷されるホワイト領域Aw、及び、近似色の第1画素が印刷される近似色領域A3を有している。この場合、第2印刷動作では、ホワイト領域Awには第3所定量のホワイトインクが吐出され、近似色領域A3には第3所定量と第4所定量の間の量である中間量のホワイトインクが吐出される。
【0086】
この場合、第1制御装置61は、第2印刷動作については
図9Dの例に示す第4LUTを用いて、印刷画像Bの画像データの色変換処理を行う。第4LUTは、RGB値とCMYKW値とを対応づけた色変換ルックアップテーブルであって、第1記憶装置62に記憶されている。第4LUTでは、例えば、ホワイト及びその近似色が第1画像部分B1の色として設定されている。第4LUTは、近似色を表すRGB値:(255、255、240)に対応するW値が、第3LUTと異なるが、これ以外は第3LUTと同様である。この近似色のW値は、90と、ホワイトを表すRGB値:(255、255、255)に対応するW値の100よりも小さく、且つ、ホワイト及び近似色以外の色値のW値の80よりも大きい。
【0087】
このW値が大きいほど、印刷動作において印刷媒体Aに対するインクの吐出量が多くなる。このため、出力装置12が、第4LUTにより印刷画像Bの画像データが色変換された印刷データに基づいて第2印刷動作を実行すると、印刷媒体Aに第1ヘッド21からホワイトインクが吐出される。この印刷媒体Aにおいて第1画素に対応する第1領域A1では、W値:100に対応する第3所定量のホワイトインクがホワイト領域Awに吐出され、W値:90に対応する中間量のホワイトインクが近似色領域A3に吐出される。また、第2画素に対応する第2領域A2には、W値:80に対応する第4所定量のホワイトインクが吐出される。これにより、ホワイト領域Awに第3厚みD3の第1層C1が形成され、近似色領域A3に第5厚みD5の第1層C1が形成され、第2領域A2に第4厚みD4の第1層C1が形成される。そして、第1領域A1の近似色領域A3及び第2領域A2の第1層C1上にカラーインクが吐出される。
【0088】
このように、第1領域A1の近似色領域A3及び第2領域A2にはホワイトインクの第1層C1上にカラーインクの第2層C2が形成される。この近似色領域A3における第2層C2のカラーインクの量が第2領域A2よりも少ない場合であっても、近似色領域A3における第1層C1のホワイトインクの量が第2領域A2よりも多いため、近似色領域A3における第1画像部分B1の発色を第2印刷動作により向上することができる。また、近似色領域A3における第1層C1の第5厚みD5が、ホワイト領域Awにおける第1層C1の第3厚みD3よりも薄く、第2領域A2における第1層C1の第4厚みD4よりも厚い。これにより、近似色領域A3におけるホワイトインクの第1層C1の厚みが第3厚みD3又は第4厚みD4である場合よりも、第1領域A1のホワイトインクの第1層C1の第3厚みD3及び第2領域A2のホワイトインクの第1層C1の第4厚みD4と近似色領域A3におけるホワイトインクの第1層C1の厚みとの差による目立ちが小さくなる。
【0089】
また、
図11Bの例では、印刷画像Bの第2画素がホワイトインクの色の近似色の画素を有する場合である。この第2画素が印刷される第2領域A2は、近似色の第2画素が印刷される近似色領域A3、及び、近似色以外の他の色の第2画素が印刷される他の色領域を有している。この場合、第1制御装置61は、第2印刷動作については
図9Dの例に示す第4LUTを用いて、印刷画像Bの画像データの色変換処理を行う。この色変換された印刷データに基づいて出力装置12が第2印刷動作を実行すると、印刷媒体Aの第1領域A1にはW値:100に対応する第4所定量のインクが吐出され、第2領域A2では、W値:80に対応する第4所定量のインクが他の色領域に吐出され、W値:90に対する中間量のインクが近似色領域A3に吐出される。そして、第2領域A2にカラーインクが吐出される。これにより、第1領域A1に第3厚みD3の第1層C1が形成され、近似色領域A3に第5厚みD5の第1層C1が形成され、第2領域A2の他の色領域に第4厚みD4の第1層C1が形成される。そして、第2領域A2の第1層C1上にカラーインクが吐出される。
【0090】
このように、近似色領域A3にはホワイトインクの第1層C1上にカラーインクの第2層C2が形成される。この近似色領域A3における第2層C2のカラーインクの量が他の色領域よりも少ない場合であっても、近似色領域A3における第1層C1のホワイトインクの量が他の色領域よりも多いため、近似色領域A3における第2画像部分B2の発色を向上することができる。
【0091】
<変形例2>
変形例2に係る印刷装置10では、上記実施の形態及び変形例1において、制御装置13は、第2印刷動作にて、第1液体として第1インクを吐出させ且つ第2液体として第2インクを吐出させる場合、第1領域A1のうち第2領域A2と隣接する領域又は第2領域A2のうち第1領域A1と隣接する領域に対しては、第4所定量よりも少ない量の第1インクを吐出させる。
【0092】
具体的には、
図11Cの例に示すように、印刷媒体Aの第1領域A1は、第2領域A2と隣接している隣接領域A4を有している。隣接領域A4は、第1領域A1のうち、第1領域A1と第2領域A2との境界から所定の距離までの印刷媒体Aの範囲である。
【0093】
この場合、第1領域A1に印刷される印刷画像Bの第1画素は、隣接領域A4に印刷される隣接画素、及び、隣接領域A4外に印刷される他の画素を有している。この隣接画素は、第2画素に直接的に隣接する第1画素に加えて、第1画素と第2画素との境界から離れる方向において第2画素に1つ又は複数の第1画素を介して間接的に隣接する第1画素を含んでいてもよい。
【0094】
例えば、第1制御装置61は、第2印刷動作については
図9Cの例に示す第3LUTを用いて、印刷画像Bの画像データの色変換処理を行う。これにより、第1画素のW値は90に変換され、第2画素のW値は80に変換される。そして、第1制御装置61は、第1画素のうち隣接画素のW値を、例えば、第2画素のW値よりも小さい70に変換する。これにより、第2印刷動作によれば、隣接画素に対応する隣接領域A4にはW値:70に対応する量のホワイトインクが吐出され、この隣接領域A4外の第1領域A1にはW値:100に対応する第3所定量のホワイトインクが吐出され、第2画素に対応する第2領域A2にはW値:80に対応する第4所定量のインクが吐出される。そして、第2領域A2にカラーインクが吐出される。
【0095】
例えば第1領域A1に第2領域A2よりも多くのホワイトインクが吐出されると、第2領域A2のカラーインクが第1領域A1に滲み易くなる場合がある。これに対し、第1領域A1のうち第2領域A2に隣接する隣接領域A4におけるホワイトインクの吐出量を第2領域A2の第4所定量よりも少なくすることにより、カラーインクの滲みを低減することができる。このため、第1領域A1における第1画像部分B1の発色を向上することができる。
【0096】
また、
図11Dの例に示すように、印刷媒体Aの第2領域A2は、第1領域A1と隣接する隣接領域A4を有していてもよい。この隣接領域A4は、第2領域A2のうち、第1領域A1と第2領域A2との境界から所定の距離までの印刷媒体Aの範囲である。
【0097】
この場合も第1領域A1における隣接領域A4と同様に、第2印刷動作によれば、第1画素に対応する第1領域A1には第3所定量のホワイトインクが吐出され、第2領域A2のうち隣接領域A4外には第4所定量のホワイトインクが吐出され、隣接領域A4には第4所定量よりも少ない量のホワイトインクが吐出される。これにより、第1領域A1に多くのホワイトインクが吐出される場合であっても、第2領域A2のうち第1領域A1に隣接する隣接領域A4におけるホワイトインクの吐出量が少ないため、ホワイトインクの第2領域A2への滲みを低減することができる。よって、第2領域A2における第2画像部分B2の発色を向上することができる。
【0098】
<変形例3>
変形例3に係る印刷装置10は、上記実施の形態及び変形例1~2において、第1ヘッド21を第1方向に往復移動させるキャリッジ31を備えている。第1ヘッド21は、第1液体として第1インクを吐出する複数の第1ノズル25を有している。制御装置13は、第1印刷動作を実行する場合は、第1ヘッド21を第1回数だけ往復移動させつつ、第1ヘッド21における所定数の第1ノズル25のそれぞれの第1ノズル25から第1量の第1インクを吐出させることにより、第1領域A1に第1所定量の第1インクを吐出させる。制御装置13は、第2印刷動作を実行する場合は、第1ヘッド21を第1回数だけ往復移動させつつ、第1ヘッド21における所定数より多い第1ノズル25のそれぞれの第1ノズル25から第1量の第1インクを吐出させることにより、又は、第1ヘッド21における所定数のそれぞれの第1ノズル25から第1量より多い量の第1インクを吐出させることにより、又は、第1ヘッド21における所定数より多い第1ノズル25のそれぞれの第1ノズル25から第1量より多い量の第1インクを吐出させることにより、第1領域A1に第3所定量の第1インクを吐出させる。
【0099】
具体的には、
図2の例に示すように、第1ヘッド21は左右方向に並ぶ4つの第1ヘッド21を有し、各第1ヘッド21は前後方向に並ぶ複数の第1ノズル25を有している。このため、第1インクとしてホワイトインクを吐出する第1ヘッド21の数を増やすことにより、第1ヘッド21から印刷媒体Aの単位領域に対してホワイトインクを吐出する第1ノズル25の数が増え、第1ヘッド21から印刷媒体Aの単位領域に対するホワイトインクの吐出量を増やすことができる。
【0100】
また、第1ノズル25は、互いに量が異なる複数種類の液滴であるインク滴を吐出可能である。例えば、第1ノズル25は、所定量のインク滴である中玉、所定量よりも少ない量のインク滴である小玉、及び、所定量よりも多い量のインク滴である大玉のホワイトインクを1回の吐出動作で吐出することができる。この場合、1回の吐出動作で1つの第1ノズル25から吐出するインク滴の量を、小玉、中玉及び大玉と増やすことにより、第1ヘッド21から印刷媒体Aの単位領域に対するホワイトインクの吐出量を増やすことができる。
【0101】
このような印刷装置10において、例えば、第1印刷動作のパス処理では、第1ヘッド21が第1回数、例えば1回又は複数回(
図12の例では、4回)、移動する。この移動中に所定数、例えば1つの第1ヘッド21の全ての第1ノズル25からホワイトインクを吐出する。この際、各第1ノズル25から第1量、例えば中玉のインク滴を吐出する。そして、印刷装置10は、第1印刷動作の搬送処理では、前後方向における第1ヘッド21の長さEの4分の1の長さE/4、印刷媒体Aを前方へ搬送する。
【0102】
このパス処理と搬送処理を印刷装置10は繰り返す。これにより、印刷媒体Aにおけるある区域A5には、
図12Aの例の第1パス処理では第1ヘッド21の1~5つ目の第1ノズル25から、
図12Bの例の第2パス処理では第1ヘッド21の6~10つ目の第1ノズル25から、
図12Cの例の第3パス処理では第1ヘッド21の11~15つ目の第1ノズル25から、
図12Dの例の第4パス処理では第1ヘッド21の16~20つ目の第1ノズル25からホワイトインクが吐出される。このように、印刷媒体Aは複数のパス処理によって、ホワイトインクの第1層C1が重複印刷される。この第1~第4パス処理により第1領域A1における単位領域に着弾するホワイトインクの量を合計した総量が、第1所定量となる。
【0103】
また、印刷装置10は、第2印刷動作のパス処理では、第1ヘッド21を、第1印刷動作と同数の第1回数、移動させる。この移動中における、ホワイトインクを吐出する第1ノズル25の数、又は、各第1ノズル25から吐出するホワイトインクのインク滴の量、又は、第1ノズル25の数及びインク滴の量の両方を第1印刷動作よりも増やす。この第2印刷動作により第1領域A1の単位領域に着弾するホワイトインクの量は、第1印刷動作の第1所定量よりも多く、第3所定量となる。このように、パス処理の数を増やさないため、印刷時間を長期化せずにホワイトインクの吐出量を増やすことができる。
【0104】
<変形例4>
変形例4に係る印刷装置10は、上記実施の形態及び変形例1~3において、第1ヘッド21を第1方向へ往復移動させるキャリッジ31を備えている。制御装置13は、第1印刷動作を実行する場合は、第1ヘッド21を第1回数だけ往復移動させつつ、第1ヘッド21から第1領域A1に第1所定量の第1液体として第1インクを吐出させる。制御装置13は、第2印刷動作を実行する場合は、第1ヘッド21を第1回数よりも多く往復移動させつつ、第1ヘッド21から第1領域A1に第3所定量の第1インクを吐出させる。
【0105】
具体的には、第1制御装置61は、
図4の例に示すように、第2印刷動作での第1領域A1におけるホワイトインク量を設定する設定画面を表示装置65に表示する。このホワイトインク量は、印刷動作として第2印刷動作が設定された場合にだけ設定可能になってもよい。ユーザが入力装置64を用いてホワイトインク量(設定量)を設定すると、第1制御装置61は、この設定量に応じて第2印刷動作の印刷データを生成する。この際、第1制御装置61は、設定量を、第1領域A1におけるホワイトインクの吐出量である第3所定量として取得し、設定量に応じて第4所定量を取得する。
【0106】
設定量は、1つの第1ヘッド21で吐出可能なホワイトインクの最大量(ヘッド最大量)を100%としたときに、出力装置12による第2印刷動作で第1領域A1の単位領域に対して吐出されるホワイトインクの量である。ヘッド最大量は、第1ヘッド21が右又は左に第1回数、移動している間に、1つの第1ヘッド21の全ての第1ノズル25から、各第1ヘッド21の吐出可能な最大量(例えば、大玉)のインク滴を吐出した場合に、印刷媒体Aの単位領域に対して吐出されるホワイトインクの量である。このため、出力装置12が4つの第1ヘッド21を備えている場合には、ヘッド最大量の4倍の400%までの量のホワイトインクを吐出することができる。
【0107】
例えば、ユーザによる設定量が予め定められた閾値(例えば、ヘッド最大量の4倍の400%)以下であれば、第1制御装置61は変形例3のように第2印刷動作を実行する。この際、第1制御装置61は、第1領域A1における第1ヘッド21の移動を第1印刷動作と同数の第1回数とし、また、吐出する第1ノズル25の数、及び、インク滴の量の少なくともいずれか一方をユーザによる設定量に応じて変化させる。これにより、第3所定量として設定量のホワイトインクが第1領域A1に吐出され、設定量に応じた第4所定量のホワイトインクが第2領域A2に吐出される。この第2印刷動作ではパス処理の回数が第1印刷動作よりも増えないことにより、印刷動作の長時間化を低減することができる。
【0108】
これに対し、ユーザによる設定量が閾値を超える場合には、第1制御装置61はユーザによる設定量に応じて第1ヘッド21の移動回数を第1印刷動作の第1回数よりも多くして第2印刷動作を実行する。なお、第1制御装置61は、第1ヘッド21の移動回数に加えて、吐出する第1ノズル25の数、及び、インク滴の量の少なくともいずれか一方をユーザによる設定量に応じて変化させてもよい。
【0109】
例えば、設定量がヘッド最大量の5倍の500%であり、第1印刷動作で400%の量のホワイトインクと吐出する場合、第2印刷動作における第1ヘッド21の移動回数を、第1印刷動作における第1回数よりも1.25倍する。この場合、第1印刷動作の搬送処理では
図12の例のように前後方向における第1ヘッド21の長さEの4分の1の長さE/4、印刷媒体Aを前方へ搬送する。これに対し、第2印刷動作の搬送処理では
図13の例のように、第1印刷動作時よりも短い長さ、例えば前後方向における第1ヘッド21の長さEの5分の1の長さE/5、印刷媒体Aを前方へ搬送する。
【0110】
これにより、第1印刷動作では
図12A~
図12Dの例のように第1~第4パス処理により印刷媒体Aにおけるある区域A5にホワイトインクが吐出される。これに対し、第2印刷動作では
図13A~
図13Eの例のように第1~第5パス処理により印刷媒体Aにおけるある区域A5にホワイトインクが吐出される。このため、
図13の例では、全ての第1ノズル25から大玉のインク滴を吐出させた場合、ヘッド最大量の100%と、吐出する第1ヘッド21の数の4と、パス処理の回数の増加割合の5/4との積である500%の量のホワイトインクが第3所定量として第1領域A1に吐出される。このように、第1ヘッド21のパス処理の回数を増やすことにより、ユーザに意図に応じた量のホワイトインクが吐出され、第1画像部分B1の発色を第2印刷動作により向上することができる。
【0111】
<変形例5>
上記実施の形態及び変形例1~4において、第1吐出部としてインクジェットヘッドである第1ヘッド21を用い、第2吐出部としてインクジェットヘッドである第2ヘッド22を用いた。但し、第1吐出部及び第2吐出部はインクジェットヘッドに限定されない。第1吐出部及び第2吐出部の両方が、スプレー、ポッティング、ドーミング、ディスペンサなどのインクジェットヘッド以外の他の塗布機構であってもよい。また、第1吐出部及び第2吐出部のいずれか一方が、インクジェットヘッドであり、他方がスプレー、ポッティング、ドーミング、ディスペンサなどのインクジェットヘッド以外の他の塗布機構であってもよい。これにより、液体の吐出量及び吐出範囲に応じた適切な吐出部を用いることができる。
【0112】
<その他の変形例>
上記実施の形態及び各変形例では、印刷装置10はホワイトインクなどの第1インクを第1液体として第1吐出部としての第1ヘッド21から印刷媒体Aに吐出していたが、第1液体はこれに限定されない。例えば、印刷装置10は、前処理液を第1液体として第1吐出部から印刷媒体Aに吐出してもよい。この場合、第2液体は、前処理液による第1層C1上に吐出される液体であって、例えば、ホワイトインクなどの第1インク、カラーインクなどの第2インク、後処理液、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0113】
前処理液は、例えば、インク内の粒子を凝集させる凝集液などである。前処理液は、ホワイトインク及びカラーインクなどのインクが第2液体として印刷媒体Aに吐出される前に印刷媒体Aに吐出される。これにより、前処理液による第1層C1が印刷媒体Aの第1領域A1及び第2領域A2に形成され、第2領域A2の第1層C1上に第2液体による第2層C2が積層される。第2層C2は、カラーインクなどの1つの層であってもよいし、ホワイトインクなどの下地層と下地層上に積層されたカラーインクなどの画像層との複数の層であってもよい。
【0114】
第1印刷動作では、第1所定量の前処理液が第1領域A1に吐出され、第2所定量の前処理液が第2領域A2に吐出される。第2印刷動作では、第3所定量から第4所定量を引いた差の絶対値が第1所定量から第2所定量を引いた差の絶対値よりも大きくなるように、第3所定量の前処理液が第1領域A1に吐出され、第4所定量の前処理液が第2領域A2に吐出される。これにより、例えば前処理液の第3所定量が第1所定量よりも多い場合には、前処理液の第1層C1上に吐出されるインクによる第1画像部分B1の発色を向上できる。また、前処理液の第4所定量が第2所定量よりも少ない場合には前処理液の第1層C1上に吐出されるインクの滲みを低減し、第2画像部分B2の発色を向上できる。このように印刷装置10は印刷媒体Aにおける領域に応じた適量の液体を吐出することができる。
【0115】
上記実施の形態及び各変形例では、印刷装置10はホワイトインクなどの第1インクを第1液体として第1ヘッド21から印刷媒体Aに吐出していたが、第1液体はこれに限定されない。例えば、印刷装置10は、後処理液を第1液体として第1ヘッド21から印刷媒体Aに吐出してもよい。この場合、第2液体は、後処理液による第1層C1上に吐出される液体であればよい。
【0116】
後処理液は、例えば、ホワイトインク及びカラーインクなどのインクによる層を保護するコーティング液などである。例えば、第1液体が第1の後処理液であり、第2液体が第2の後処理液である場合には、第1液体としての第1の後処理液は、印刷媒体Aの第1領域A1及び第2領域A2に吐出され、第1層C1は第1領域A1及び第2領域A2に形成される。さらに、第2液体としての第2の後処理液は、第2領域A2の第1層C1上に吐出されて、この第2の後処理液の第2層C2は第1層C1上に形成される。この場合、複数の後処理液の層が積層される。なお、第2液体としての第2の後処理液は第1領域A1にも吐出されてもよい。また、第1液体としての第1の後処理液の吐出前に、前処理液、ホワイトインクなどの第1インク、カラーインクなどの第2インク、又は、これらの組み合わせが第1領域A1及び第2領域A2の少なくとも一方に吐出されていてもよい。
【0117】
第1印刷動作では、第1所定量の第1の後処理液が第1領域A1に吐出され、第2所定量の第1の後処理液が第2領域A2に吐出される。第2印刷動作では、第3所定量から第4所定量を引いた差の絶対値が第1所定量から第2所定量を引いた差の絶対値よりも大きくなるように、第3所定量の第1の後処理液が第1領域A1に吐出され、第4所定量の第1の後処理液が第2領域A2の第1層C1上に吐出される。例えば第3所定量が第1所定量よりも多い場合には第1の後処理液の第1層C1により印刷媒体Aなどの保護力を向上できる。また、第4所定量が第2所定量よりも少ない場合には第2の後処理液による保護力を期待できるので、第1の後処理液の量を低減できる。これにより、印刷装置10は印刷媒体Aにおける領域に応じた適量の液体を吐出することができる。
【0118】
上記実施の形態及び各変形例の第3の判定方法では、第1制御装置61は、印刷画像Bのうち、第1レイヤデータに規定される画素を第1画素と判定した。ただし、この第1画素にホワイトインクを吐出する画素である吐出画素、及び、インクを吐出しない画素である不吐出画素が含まれていることがある。この場合、吐出画素及び不吐出画素の両方の色値が、RGB値:(255、255、255)で表されると、これらの画素の区別がつかない。そこで、第1制御装置61は、不吐出画素の色値をRGB値:(255、255、255)と設定し、吐出画素の色値を不吐出画素の色値とは異なるRGB値、例えば、(254、254、254)と設定してもよい。しかしながら、この吐出画素の色値が第1画素のホワイトとは異なってしまう。
【0119】
そこで、第1制御装置61は、第1レイヤデータの不吐出画素の色値をRGB値:(255、255、255)と設定し、第1レイヤデータの吐出画素の色値を不吐出画素の色値とは異なるRGB値、例えば、(254、254、254)と設定する。そして、第1制御装置61は、RGB値:(255、255、255)をCMYKW値に色変換する際に、W値を0と設定する。これにより、RGB値:(255、255、255)を有する不吐出画素に対応する印刷媒体Aの領域にはホワイトインクが吐出されない。一方、第1制御装置61は、RGB値:(254、254、254)をCMYKW値に色変換する際に、第1領域A1に対するホワイトインクの吐出量が第3所定量になるように所定のW値を設定する。これにより、RGB値:(254、254、254)を有する吐出画素に対応する印刷媒体Aの領域にはホワイトインクが吐出される。
【0120】
上記実施の形態及び各変形例では、
図7Bの例のように、第1液体の第3所定量は第4所定量よりも多かったが、第3所定量は第4所定量よりも少なくてもよい。例えば、第1液体がホワイトインクなどの第1インクである場合、第1領域A1に対する第1インクの吐出量が第4所定量よりも少ないことにより第1領域A1における第1インクの色の強調を弱め、第1インクの色と印刷媒体Aの色とを含めた色合いを表すことができるといった効果を期待できる。また、例えば、第1液体がインクのための前処理液であり、第1領域A1にインクなどの第2液体が吐出されない場合、前処理液が無駄になることを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示は、印刷媒体における領域に応じた適量の液体を吐出することができる印刷装置、印刷装置の制御方法及びプログラムに適用することができる。
【符号の説明】
【0122】
10 :印刷装置
13 :制御装置
21 :第1ヘッド(第1インクジェットヘッド)
22 :第2ヘッド(第2インクジェットヘッド、第2吐出部)
25 :第1ノズル(ノズル)
31 :キャリッジ
70 :スプレーノズル(第1吐出部)