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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064100
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 7/00 20060101AFI20240507BHJP
   B62J 9/22 20200101ALI20240507BHJP
【FI】
B62J7/00 D
B62J9/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172449
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 孝政
(57)【要約】
【課題】配策部材の配置を阻害せずに、荷物保持部を車体フレームに支持し易くすること。
【解決手段】鞍乗り型車両(10)は、車体フレーム(11)と、車体フレーム(11)の周囲を通る配策部材(50)と、荷物を保持可能な荷物保持部(70)と、荷物保持部(70)を支持する支持部材(81~84)とを備え、支持部材(81~84)は、この支持部材(81~84)の周囲に位置する配策部材(50)に沿った向きで、車体フレーム(11)に取り付けられたステー部(81S~84S)と、ステー部(81S~84S)に設けられ、荷物保持部(70)が固定される固定部(81K~84K)とを有する
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(11)と、配線及び配管の少なくともいずれかを含み、前記車体フレーム(11)の周囲を通る配策部材(50)と、荷物を保持可能な荷物保持部(70)と、前記荷物保持部(70)を支持する支持部材(81~84)とを備える鞍乗り型車両において、
前記支持部材(81~84)は、
この支持部材(81~84)の周囲に位置する前記配策部材(50)に沿った向きで、前記車体フレーム(11)に取り付けられたステー部(81S~84S)と、
前記ステー部(81S~84S)に設けられ、前記荷物保持部(70)が固定される固定部(81K~84K)とを有する
鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記ステー部(81S~84S)は、円柱状である
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記ステー部(81S~84S)は、前記配策部材(50)に沿った向きで前記車体フレーム(11)に取り付けられた複数の棒状部材を有する
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記支持部材(83,84)は、前記配策部材(50)をガイドする
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記ステー部(81,82)は、複数の棒状部材(91,92)を有し、
前記複数の棒状部材(91,92)は、前記配策部材(50)に沿った向きで前記車体フレーム(11)にそれぞれ溶接されると共に、前記車体フレーム(11)に溶接される向きが異なり、
前記棒状部材(91,92)のうち、前記車体フレーム(11)に溶接される向きが、水平方向よりも上下方向である棒状部材に、前記固定部(81K,82K)が設けられる
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記複数の棒状部材(91,92)は、前記車体フレーム(11)に溶接される基端部(91A,92A)と、前記車体フレーム(11)に接合されない先端部(91B,92B)とを有し、
前記複数の棒状部材(91,92)の先端部(91B,92B)同士は、同じ向きで延出すると共に溶接で結合されている
請求項5に記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記支持部材(81,82)には、前記荷物保持部(70)と、当該車両の外装部品(34)とが固定される
請求項1又は5に記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記ステー部(83S,84S)は、複数の棒状部材(95,96)を有し、
前記複数の棒状部材(95,96)は、前記配策部材(50)に沿った向きに相当する前後方向に沿って前記車体フレーム(11)にそれぞれ溶接されると共に、前記棒状部材(95,96)同士が溶接で結合される
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
前記荷物保持部(70)は、当該車両の乗員用シート(17)の前方、かつヘッドパイプ(18)の後方に位置するセンターキャリアであり、
前記支持部材(81~84)は、前記センターキャリアの前部を支持するフロント側支持部材(81,82)と、前記センターキャリアの後部を支持するリア側支持部材(83,84)とを有する
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項10】
前記支持部材(81~84)は、前記配策部材(50)の下方に位置する下側部分と、前記配策部材(50)の車幅方向外側に位置する側方部分とを有する
請求項1から6,8から9のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
【請求項11】
前記配策部材(84)は、前記車体フレーム(50)の左右一方側を前後方向に延出するハーネス(51)を有し、
前記ステー部(84S)は、前記ハーネス(51)の下方に位置する下側部分と、前記ハーネス(51)の車幅方向外側に位置する側方部分とを有する
請求項1から6,8から9のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の鞍乗り型車両には、車体フレームと、荷物を保持可能な荷物保持部と、荷物保持部を支持する支持部材とを備える構成が知られている(例えば、特許文献1)。この種の鞍乗り型車両には、動力系、制動系、及び、表示・点灯系等の部品が搭載され、部品間をつなぐ配線や配管等の配策部材が車両フレームに周囲に配策されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-299573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、荷物保持部材を支持する支持部材の位置や形状によっては、配策部材の配置が阻害され易くなる。例えば、乗員用シートの前方、かつヘッドパイプの後方に、センターキャリアとして機能する荷物保持部を配置した場合、支持部材が配策部材が多く配置される領域に位置するため、配策部材の配置が阻害され易くなる。また、支持部材を板形状の補強板によって補強した場合、支持部材が大型化し、配策部材の配置が阻害され易くなる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、配策部材の配置を阻害せずに、荷物保持部を車体フレームに支持し易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
車体フレームと、配線及び配管の少なくともいずれかを含み、前記車体フレームの周囲を通る配策部材50と、荷物を保持可能な荷物保持部と、前記荷物保持部を支持する支持部材とを備える鞍乗り型車両において、前記支持部材は、この支持部材の周囲に位置する前記配策部材50に沿った向きで、前記車体フレームに取り付けられたステー部と、前記ステー部に設けられ、前記荷物保持部が固定される固定部とを有する鞍乗り型車両を提供する。
【発明の効果】
【0006】
配策部材の配置を阻害せずに、荷物保持部を車体フレームに支持し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2】足跨ぎ部周辺の構造を左側方から示した図である。
図3】足跨ぎ部周辺の構造を右側方から示した図である。
図4】キャリアを周辺構成と共に示した斜視図である。
図5】左側のフロント側支持部材を周辺構成と共に示した側面図である。
図6】左右のフロント側支持部材を周辺構成と共に前方から示した図である。
図7】右側のフロント側支持部材を周辺構成と共に示した側面図である。
図8】左側のリア側支持部材を周辺構成と共に示した側面図である。
図9】左側のリア側支持部材を周辺構成と共に左前方から示した斜視図である。
図10】左右のリア側支持部材を周辺構成と共に上方から示した図である。
図11】右側のリア側支持部材を周辺構成と共に示した側面図である。
図12】右側のリア側支持部材を周辺構成と共に前方から示したである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から車幅中央を後下がりに延び、シート17の下方、かつ後輪15近傍まで延出する。このフロントフレーム19は、メインフレーム及びセンターフレームと言うことができる。リアフレーム20は、フロントフレーム19の後部の左右に連結され、左右一対で後上がりに延出する。フロントフレーム19及びリアフレーム20のいずれも金属製である。
【0016】
鞍乗り型車両10は、車体を覆う車体カバー31を備える。車体カバー31は、左右のハンドル21間を覆うハンドルカウル32と、ハンドルカウル32よりも下方で車体前部を前方から覆うフロントカバー33と、フロントカバー33から左右に張り出すレッグシールド34と、シート17の左右及び車体後部を覆うリアサイドカバー35とを備える。シート17は、乗員(ライダーとも言う)が着座する乗員用シートである。
【0017】
レッグシールド34は、ヘッドパイプ18の左右に張り出してシート17に着座する乗員の左右の足等を前方から覆うカバーである。レッグシールド34は、フロントフレーム19を上方から覆うインナーカバー36を一体に有している。インナーカバー36の上面は、ヘッドパイプ18とシート17との間で下方に凹む足跨ぎ部36Mを形成する形状に形成されている。なお、車体フレーム11及び車体カバー31の形状及び構成については、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜に変更してもよい。
【0018】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13に制動力を付与する前輪ブレーキ装置41と、後輪15に制動力を付与する後輪ブレーキ装置42とを備える。前輪ブレーキ装置41及び後輪ブレーキ装置42は、ブレーキディスク及びキャリパからなる油圧式のディスクブレーキ、及びドラムブレーキのいずれでもよく、公知のブレーキ装置を適宜に適用してもよい。
【0019】
図2は、足跨ぎ部36M周辺の構造を左側方から示した図である。図2では、レッグシールド34及びリアサイドカバー35の輪郭を二点鎖線で示している。図3は、足跨ぎ部36M周辺の構造を右側方から示した図である。
図2に示すように、フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下方に延びるフレームであり、車幅中央に位置する。フロントフレーム19の後部には、左右一対のリアフレーム20が連結される。左右一対のリアフレーム20は、フロントフレーム19の後部から左右に張り出すと共に後方に延出る。
【0020】
フロントフレーム19の下方、かつパワーユニット12の前上方には、エアクリーナ45が設けられる。エアクリーナ45は、コネクティングチューブ46及びスロットルボディ47を介してパワーユニット12に接続される。シート17の下方には、燃料タンク29が設けられる。燃料タンク29の下方、かつ、フロントフレーム19の上方に空くスペースには、バッテリー48が設けられる。フロントフレーム19の側方、かつ左側のリアフレーム20の下方には、蒸発燃料排出抑止装置として機能するキャニスター49が設けられる。
【0021】
鞍乗り型車両10には、前後方向等に間隔を空けて、動力系、制動系、及び、表示・点灯系等の部品(車両搭載部品に相当)が搭載される。これら部品間をつなぐ配策部材50は、車体フレーム11に沿って配策される。
配策部材50は、電装系部品をつなぐ配線群からなるメインハーネス51と、制動系の部品間をつなぐブレーキ配管52,53と、動力系のスロットル制御のためのスロットルケーブル54,55と、燃料供給系の燃料配管56と、キャニスター49につながる配管57,58等からなる。
【0022】
図3に示すように、メインハーネス51は、フロントフレーム19の右側方をフロントフレーム19に沿って後下がりに配策される。つまり、メインハーネス51は、車体側面視でフロントフレーム19と重なる右側スペースに配置される。
ブレーキ配管52,53は、図2に示すように、フロントフレーム19の左側方をフロントフレーム19に沿って後下がりに配策される。つまり、ブレーキ配管52,53は、車体側面視でフロントフレーム19と重なる左側スペースに配置される。
【0023】
スロットルケーブル54,55は、図3に示すように、ヘッドパイプ18の右側方、及び、フロントフレーム19の右側方を後下がりに延びてスロットルボディ47につながるように配策される。燃料配管56は、図2に示すように、スロットルボディ47側(より具体的にはインジェクタ)からフロントフレーム19の左側方をフロントフレーム19に沿って後方に延びて、燃料タンク29側(より具体的には燃料ポンプ)につながるように配策される。
キャニスター49につながる配管57,58は、図2に示すように、リアフレーム20の左側方を通って燃料タンク29につながるチャージ配管57と、フロントフレーム19の左側方を通って吸気系部品(スロットルボディ47等)につながるパージ配管58とである。
【0024】
鞍乗り型車両10には、図2に示すように、荷物を保持可能なキャリア70が設けられる。このキャリア70は、足跨ぎ部36Mのスペースに設けられ、換言すると、シート17の前方かつヘッドパイプ18の後方に設けられ、フロントフレーム19の上方に位置する。キャリア70は、フロントフレーム19に設けられた複数の支持部材81,82,83,84に取り付けられる。このキャリア70は、センターキャリアとして機能し、本発明の「荷物保持部」に相当している。
【0025】
図4は、キャリア70を周辺構成と共に示した斜視図である。
キャリア70は、荷物載置台となるキャリア本体70Aを有する。キャリア本体70Aは、筒状又は棒状の金属部材を利用して、足跨ぎ部36Mのスペースに沿って荷物を載置可能な形状で、かつ、適切な強度を有する構造に形成される。なお、キャリア本体70Aの形状や構造は適宜に変更してもよい。
【0026】
キャリア70は、キャリア本体70Aの前部に設けられた左右一対のキャリア側フロント取付部71,72と、キャリア本体70Aの後部に設けられた左右一対のキャリア側リア取付部73,74(図3参照)とを備える。これら取付部71~74は、締結部材76を用いて支持部材81,82,83,84に固定される。なお、締結部材76を用いて固定する構成に限定されず、他の固定方法を用いて固定する構成でもよい。キャリア側フロント取付部71,72、及びキャリア側リア取付部73,74は、「荷物保持部側の取付部」に相当する。
【0027】
図2及び図3に示すように、左右一対のキャリア側フロント取付部71,72は、キャリア本体70Aの前部からフロントフレーム19側に相当する前方にそれぞれ延出する。キャリア側フロント取付部71,72の延出端である前端には、締結部材76を用いて支持部材81,82に固定されるキャリア側固定部71K,72Kが設けられる。
また、左右一対のキャリア側リア取付部73,74は、キャリア本体70Aの後部からフロントフレーム19側に相当する下方にそれぞれ延出する。キャリア側リア取付部73,74の延出端である下端には、締結部材76を用いて支持部材83,84に固定されるキャリア側固定部73K,74Kが設けられる。
【0028】
次いで、支持部材81~84について説明する。支持部材81~84は、左右一対のキャリア側フロント取付部71,72、及び左右一対のキャリア側リア取付部73,74がそれぞれ固定されることによって、キャリア70を支持する部材として機能する。
説明の便宜上、支持部材81~84のうち、キャリア側フロント取付部71,72がそれぞれ固定される支持部材81,82を「フロント側支持部材81,82」と表記し、キャリア側リア取付部73,74がそれぞれ固定される支持部材83,84を「リア側支持部材83,84」と表記する。
【0029】
図5は、左側のフロント側支持部材81を周辺構成と共に示した側面図である。
図5に示すように、フロント側支持部材81は、フロントフレーム19に接合されたステー部81Sと、ステー部81Sの先端に設けられた固定部81Kとを備える。固定部81Kは、キャリア側フロント取付部71のキャリア側固定部71Kが固定される部分である。
ステー部81Sは、ブレーキ配管52,53の周辺に設けられる。ブレーキ配管52,53は、ヘッドパイプ18側からフロントフレーム19の左側方を通って車体後方に水平に延びた後、フロントフレーム19に沿って後下がりに屈曲する。ステー部81Sは、ブレーキ配管52,53が屈曲する部分の直下で、かつ、フロントフレーム19が左側方に露出する領域に位置し、その位置でフロントフレーム19に溶接で接合されている。
【0030】
ステー部81Sは、複数の棒状部材からなる第1棒状部材91と第2棒状部材92とで構成される。第1棒状部材91は、後下がりに沿った向きでフロントフレーム19に溶接で接合される金属製の円柱部材である。また、第2棒状部材92は、前後方向に沿った水平向きでフロントフレーム19に溶接で接合される金属製の円柱部材である。本構成では、略同径の金属棒を用いて各棒状部材91,92が製作される。
本説明において、「沿った向き」は、完全同一の向きに限定されず、同等の向きとみなせる範囲を含んでいる。以下の説明において、各棒状部材91,92のうち、フロントフレーム19に接合される部分を「基端部」と表記し、基端部以外の部分を「先端部」と表記する。
【0031】
図5に示すように、第1棒状部材91の基端部91Aは、複数のブレーキ配管52,53が後下がりに延びる部分の下方かつ前方で、後下がりに沿った向きでフロントフレーム19に溶接で接合される。第2棒状部材92の基端部92Aは、複数のブレーキ配管52,53が前後方向に水平に延びる部分の下方で、前後方向に沿った水平の向きでフロントフレーム19に接合される。
【0032】
つまり、第1棒状部材91の基端部91A、及び第2棒状部材92の基端部92Aは、複数のブレーキ配管52,53に沿った向きでフロントフレーム19に接合される。そのため、第1棒状部材91及び第2棒状部材92を、ブレーキ配管52,53の配置を阻害せずに、ブレーキ配管52,53周辺のスペースを利用してフロントフレーム19に固定できる。また、ブレーキ配管52,53の配置を阻害せずに、各棒状部材91,92の溶接長を確保できるので、ステー部81Sとフロントフレーム19との固定強度を十分に確保できる。
【0033】
なお、フロント側支持部材81の周辺において、複数のブレーキ配管52,53はクランプ77(図5)によって、フロントフレーム19に保持される。そのため、第1棒状部材91及び第2棒状部材92をブレーキ配管52,53に近接させて配置しても、各棒状部材91,92とブレーキ配管52,53との接触を回避できる。
【0034】
図6は、左右のフロント側支持部材81,82を周辺構成と共に前方から示した図である。
図6に示すように、第1棒状部材91の先端部91Bは、フロントフレーム19から車幅方向外側に延びた後に、上方に延出する。この上方に延出する部分に、固定部81Kが溶接で接合される。この場合、第1棒状部材91の先端部91Bは、ブレーキ配管52,53の下方に位置する下側部分と、ブレーキ配管52,53の車幅方向外側に位置する側方部分とを有する。そのため、第1棒状部材91によって、ブレーキ配管52,53を下方、及び車幅方向外側からガードすることが可能であり、仮にブレーキ配管52,53が外力の影響で移動したとしても、下方、及び車幅方向外側への移動を抑制できる。
【0035】
図5及び図6に示すように、第2棒状部材92の先端部92Bは、第1棒状部材91の先端部91Bと同様に、フロントフレーム19から車幅方向外側に延びる。この先端部92Bは、第1棒状部材91の先端部91Bと同方向に延びて、先端部91Bに溶接で接合される。第2棒状部材92と第1棒状部材91とが互いに結合されるので、ステー部81Sの強度向上を図ることができる。
【0036】
固定部81Kには、キャリア側フロント取付部71のキャリア側固定部71Kに加えて、鞍乗り型車両10の外装部品の一つであるインナーカバー36(レッグシールド34の一部)が固定される。これにより、キャリア70の支持、及び、レッグシールド34の支持のそれぞれに必要な支持部材をまとめることができ、部品点数の低減に有利である。
【0037】
本構成では、第1棒状部材91及び第2棒状部材92によってステー部81Sを構成するので、ステー部81S自体の強度、及びステー部81Sとフロントフレーム19との固定強度を高めることができる。しかも、これら棒状部材91,92のうち、フロントフレーム19に溶接される向きが、水平方向よりも上下方向である第1棒状部材91に固定部81Kを設けるので、キャリア70及びレッグシールド34から重力方向に作用する荷重を効率良く支持できる。なお、フロントフレーム19に溶接される向きが、水平方向よりも上下方向であることは、例えば、フロントフレーム19に溶接される向きが、上下方向に対して45°以内の範囲である、と言うことができる。
【0038】
図7は、右側のフロント側支持部材82を周辺構成と共に示した側面図である。
右側のフロント側支持部材82は、左側のフロント側支持部材81と略左右対称構造であるので、同様の部分は同一の符号を付して示し、重複説明は省略する。
右側のフロント側支持部材82のステー部82Sは、スロットルケーブル54,55の周辺に設けられる。より具体的には、スロットルケーブル54,55は、ヘッドパイプ18側からフロントフレーム19の右側方を下方に延びた後、相対的に水平寄りの角度で後下がりに屈曲し(図7中に符号αで示す)、その後、相対的に鉛直寄りの角度で後下がりに延びている(図7中に符号βで示す)。ステー部82Sは、スロットルケーブル54,55が後下がりに屈曲する部分α,βの下方で、かつ、フロントフレーム19が右側方に露出する領域に溶接で接合されている。
【0039】
図7に示すように、第1棒状部材91の基端部91Aは、スロットルケーブル54,55が相対的に鉛直寄りの角度で後下がりに屈曲する部分βの下方で、後下がりに沿った向きでフロントフレーム19に溶接で接合される。また、第2棒状部材92の基端部92Aは、スロットルケーブル54,55が相対的に水平寄りの角度で後下がりに屈曲する部分αの下方で、前後方向に沿った水平の向きでフロントフレーム19に溶接で接合される。
【0040】
これによって、第1棒状部材91の基端部91A、及び第2棒状部材92の基端部92Aは、スロットルケーブル54,55に沿った向きでフロントフレーム19に接合される。以上により、第1棒状部材91及び第2棒状部材92を、スロットルケーブル54,55の配置を阻害せずに、スロットルケーブル54,55周辺のスペースを利用してフロントフレーム19に固定できる。また、スロットルケーブル54,55の配置を阻害せずに、各棒状部材91,92の溶接長を確保できるので、ステー部82Sとフロントフレーム19との固定強度を十分に確保できる。
【0041】
図6に示すように、右側のフロント側支持部材82において、第1棒状部材91の先端部91Bは、スロットルケーブル54,55の下方に位置する下側部分と、スロットルケーブル54,55の車幅方向外側に位置する側方部分とを有する。そのため、スロットルケーブル54,55を下方、及び車幅方向外側からガードしたり、スロットルケーブル54,55の下方、及び車幅方向外側への移動を規制したりすることが可能である。
【0042】
図8は、左側のリア側支持部材83を周辺構成と共に示した側面図である。図9は、左側のリア側支持部材83を周辺構成と共に左前方から示した斜視図である。図10は、左右のリア側支持部材83,84を周辺構成と共に上方から示した図である。
図8に示すように、リア側支持部材83は、左側のリアフレーム20に接合されたステー部83Sと、ステー部83Sの先端に設けられ、キャリア側リア取付部73のキャリア側固定部73Kが固定される固定部83Kとを備える。
ステー部83Sは、パージ配管58及び燃料配管56の周辺に設けられる。より具体的には、図8図10に示すように、パージ配管58は、フロントフレーム19及びリアフレーム20の左側方を前後方向に沿った略水平の向きで延出すると共に、燃料配管56は、パージ配管58の左側方を、前後方向に沿った略水平の向きで延出している。ステー部83Sは、車体側面視で、パージ配管58及び燃料配管56の近傍、かつ、リアフレーム20が左側方に露出する領域に溶接で接合されている。
【0043】
ステー部83Sは、前後方向に沿った水平の向きで左側のリアフレーム20に溶接で接合される金属製の第1棒状部材95と、第1棒状部材95と上下方向に並び、前後方向に沿った向きで左側のリアフレーム20に溶接で接合される金属製の第2棒状部材96とで構成される。第1棒状部材95、及び第2棒状部材96は、金属製の円柱部材を用いて製作されており、本構成では、略同径の金属棒を用いて製作されている。
【0044】
図8図10に示すように、第1棒状部材95及び第2棒状部材96の基端部95A,96Aは、車体側面視で前後方向に沿った水平向きとなるようにリアフレーム20に接合されると共に、互いに溶接で接合される。そのため、第1棒状部材95及び第2棒状部材96の基端部95A,96Aは、パージ配管58及び燃料配管56に沿った向きでリアフレーム20に接合される。したがって、第1棒状部材95及び第2棒状部材96を、パージ配管58及び燃料配管56の配置を阻害せずに、パージ配管58及び燃料配管56周辺のスペースを利用してリアフレーム20に接合でき、かつ、リアフレーム20との接合長(溶接長さに相当)を稼ぎ易くなる。
【0045】
なお、図10に示すように、各棒状部材95,96の基端部95A,96Aは、車体平面視でリアフレーム20の表面に沿って延びており、基端部95A,96Aの全長に渡ってリアフレーム20に溶接で接合されている。
第1棒状部材95及び第2棒状部材96からなるステー部83Sには、図9に示すように、一部が開口する枠状の配管保持具101が取り付けられ、この配管保持具101に、パージ配管58及び燃料配管56が通される。この配管保持具101によって、パージ配管58及び燃料配管56を保持し、パージ配管58及び燃料配管56の動きを規制できる。
【0046】
図9に示すように、第1棒状部材95の先端部95Bは、基端部95Aの車幅方向外側の端部から前方に向けて屈曲し、前方に延びる部分に、固定部83Kが溶接で接合される。この場合、第1棒状部材95の先端部95Bは、パージ配管58及び燃料配管56の下側に位置する下側部分と、パージ配管58及び燃料配管56の車幅方向外側に位置する側方部分とを有する。そのため、パージ配管58及び燃料配管56を下方、及び車幅方向外側からガードし、パージ配管58及び燃料配管56の下方、及び車幅方向外側への移動を抑制することができる。
【0047】
第2棒状部材96の先端部96Bは、基端部96Aの車幅方向外側の端部から前方に向けて屈曲し、基端部96Aから先端部96Bまでに渡って第1棒状部材91に溶接で接合される。第1棒状部材95と第2棒状部材96とは上下方向で重なり、かつ互いに接合されるので、ステー部83Sの強度向上に有利であり、ステー部83Sとリアフレーム20との固定強度の向上にも有利である。
【0048】
図11は、右側のリア側支持部材84を周辺構成と共に示した側面図である。図12は、右側のリア側支持部材84を周辺構成と共に前方から示した図である。
右側のリア側支持部材84は、左側のリア側支持部材83と略左右対称構造であるので、同様の部分は同一の符号を付して示し、重複説明は省略する。
図11及び図12に示すように、右側のリア側支持部材84のステー部84Sは、メインハーネス51の周辺に設けられる。より具体的には、メインハーネス51は、右側のリアフレーム20の右側方を通って水平に近い角度で後下がりに延びている。リア側支持部材84は、メインハーネス51の下方で、かつ、右側のリアフレーム20が右側方に露出する領域に溶接で接合されている。
【0049】
図11に示すように、第1棒状部材95及び第2棒状部材96の基端部95A,96Aは、車体側面視で前後方向に沿った水平の向きとなるようにリアフレーム20に溶接で接合されると共に、互いに溶接で接合される。そのため、第1棒状部材95及び第2棒状部材96の基端部95A,96Aは、メインハーネス51に沿った向きでリアフレーム20に接合される。したがって、第1棒状部材95及び第2棒状部材96を、メインハーネス51の配置を阻害せずに、メインハーネス51周辺のスペースを利用してリアフレーム20に接合でき、かつ、リアフレーム20との接合長(溶接長さに相当)を稼ぎ易くなる。
【0050】
なお、右側のリア側支持部材84の第1棒状部材95及び第2棒状部材96の基端部95A,96Aについても、左側のリア側支持部材83と同様に、リアフレーム20の表面に沿って延びると共に、基端部95A,96Aの全長に渡ってリアフレーム20に溶接で接合されている。
【0051】
図12に示すように、第1棒状部材95の先端部95Bは、基端部95Aの上端から車幅方向外側に延びた後に上方に向けて延び、上方に延出する部分に固定部84Kが溶接で接合される。この場合、第1棒状部材95の先端部95Bは、メインハーネス51の下側に位置する下側部分と、メインハーネス51の車幅方向外側に位置する側方部分とを有する。そのため、メインハーネス51を下方、及び車幅方向外側からガードし、メインハーネス51の下方、及び車幅方向外側への移動を抑制できる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の鞍乗り型車両10は、車体フレーム11の周囲を通る配策部材50と、荷物保持部として機能するキャリア70と、キャリア70を支持する支持部材81~84とを備えている。そして、支持部材81,~84は、各支持部材81~84の周囲に位置する配策部材50に沿った向きで、車体フレーム11に取り付けられたステー部81S~84Sと、ステー部81S~84Sに設けられ、キャリア70が固定される固定部81K~84Kとを有している。この構成によれば、配策部材50の配置を阻害せずに、キャリア70を車体フレーム11に支持し易くなる。
【0053】
また、ステー部81S~84Sは、円柱状であるので、配策部材50がステー部81S~84Sに接触しても配策部材50を傷つけ難い。
また、ステー部81S~84Sは、配策部材50に沿った向きで車体フレーム11に取り付けられた複数の棒状部材91,92,95,96を有するので、ステー部81S~84Sと車体フレーム11との固定強度の向上や、ステー部81S~84S自体の強度の向上を図り易くなる。
【0054】
また、リア側支持部材83が、配策部材50の一つであるパージ配管58及び燃料配管56をガイドし、リア側支持部材84が、配策部材50の一つであるメインハーネス51をガイドする。そのため、配策部材50をガイドする専用部品を低減でき、部品点数を低減し易くなる。
【0055】
また、フロント側支持部材81,82については、ステー部81S,82Sを構成する第1棒状部材91及び第2棒状部材92が、配策部材50(パージ配管58、燃料配管56、スロットルケーブル54,55)に沿った向きでフロントフレーム19にそれぞれ溶接されると共に、フロントフレーム19に溶接される向きが異なる。これら棒状部材91,92のうち、フロントフレーム19に溶接される向きが、水平方向よりも上下方向である第1棒状部材91に、キャリア70が固定される固定部81K,82Kが設けられる。この構成によれば、重力方向に作用する荷重をステー部81S,82Sで効率良く支持でき、キャリア70の積載重量の増大に有利となる。
【0056】
また、フロント側支持部材81,82の棒状部材91,92は、フロントフレーム19に溶接される基端部91A,92Aと、フロントフレーム19に接合されない先端部91B,92Bとを有し、先端部91B,92B同士は、同じ向きで延出すると共に溶接で結合されている。この構成によれば、フロントフレーム19に溶接される向きが異なっても、ステー部81S,82Sの強度を十分に確保し易くなる。
【0057】
また、フロント側支持部材81,82には、キャリア70と、外装部品であるレッグシールド34とが固定されるので、キャリア70の支持、及び、レッグシールド34の支持に必要な部品をまとめることができ、部品点数の低減に有利である。
【0058】
リア側支持部材83,84については、ステー部83S,84Sを構成する第1棒状部材95及び第2棒状部材96を有し、各棒状部材95,96が、配策部材50(パージ配管58、燃料配管56、メインハーネス51)に沿った向きでリアフレーム20にそれぞれ溶接されると共に、リアフレーム20に同じ向きで溶接される。第1棒状部材95及び第2棒状部材96は、配策部材50に沿った向きに相当する前後方向に沿ってリアフレーム20にそれぞれ溶接されると共に、棒状部材95,96同士が溶接で結合されている。この構成によれば、上下方向に狭い場所であっても、配策部材50の配置を阻害せずに、ステー部83S,84Sを配置でき、かつ、前後方向に溶接長を確保することで、ステー部83S,84Sとリアフレーム20との固定強度を高めることができる。また、棒状部材95,96同士が溶接で結合されるので、ステー部81S,82Sの強度向上に有利である。
【0059】
また、キャリア70は、鞍乗り型車両10のシート17の前方、かつヘッドパイプ18の後方に位置するセンターキャリアであり、支持部材81~84は、センターキャリアの前部を支持するフロント側支持部材81,82と、センターキャリアの後部を支持するリア側支持部材83,84とを有する。この構成によれば、センターキャリアを、シート17の前方、かつヘッドパイプ18の後方に配策される配策部材50の配置を阻害せずに、フロントフレーム19等に支持できる。しかも、前後の支持部材81~84でセンターキャリアを支持するので、センターキャリアの支持強度を十分に確保し、積載重量の増大に有利である。
【0060】
また、支持部材81~84は、配策部材50の下方に位置する下側部分と、配策部材50の車幅方向外側に位置する側方部分とを有する。この構成によれば、配策部材50を下方、及び車幅方向外側からガードしたり、配策部材50の下方、及び車幅方向外側への移動を抑制したりすることが可能である。これにより、ガードや移動の規制に必要な部品を低減でき、部品点数の低減に有利である。
【0061】
リア側支持部材84については、フロントフレーム19の左右一方側を前後方向に延出するメインハーネス51の下方に位置する下側部分と、メインハーネス51の車幅方向外側に位置する側方部分とを有している。そのため、屈曲性を有するメインハーネス51の移動を規制したり、ガードしたりすることができ、メインハーネス51の移動規制等に必要な部品を低減し、部品点数の低減に有利である。
【0062】
上記実施形態は本発明の一態様を示すものであり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、支持部材81~84の本数を適宜に変更してもよいし、各支持部材81~84を構成する棒状部材91~94の本数も適宜に変更してもよい。また、ステー部81S~84Sに円柱状以外の部材を使用してもよい。また、フロント側支持部材81,82に、レッグシールド34を支持する場合を説明したが、レッグシールド34を支持しないようにしてもよいし、他の外装部品等を支持してもよい。また、リア側支持部材83,84に、配策部材50以外の部品を更に支持するようにしてもよい。また、リア側支持部材84にメインハーネス51を支持する場合を説明したが、メインハーネス51以外のハーネス等を支持するようにしてもよい。
【0063】
さらに、車体フレーム11及び支持部材81~84等の形状、材料、及び接合方法等についても適宜に変更してもよい。また、本発明を、図1に示す自動二輪車に適用する場合を説明したが、これに限定されず、本発明を、任意の鞍乗り型車両に適用してもよい。本発明を適用可能な鞍乗り型車両は、電動車両でもよい。また、本発明を、センターキャリアの支持構造に適用する場合を説明したが、センターキャリア以外のキャリア(荷物保持部に相当)の支持構造に適用してもよい。
【0064】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0065】
(構成1)車体フレームと、配線及び配管の少なくともいずれかを含み、前記車体フレームの周囲を通る配策部材と、荷物を保持可能な荷物保持部と、前記荷物保持部を支持する支持部材とを備える鞍乗り型車両において、前記支持部材は、この支持部材の周囲に位置する前記配策部材に沿った向きで、前記車体フレームに取り付けられたステー部と、前記ステー部に設けられ、前記荷物保持部が固定される固定部とを有する鞍乗り型車両。
この構成によれば、配策部材の配置を阻害せずに、荷物保持部を車体フレームに支持し易くなる。
【0066】
(構成2)前記ステー部は、円柱状である構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、配策部材がステー部に接触しても、配策部材を傷つけ難くなる。
【0067】
(構成3)前記ステー部は、前記配策部材に沿った向きで前記車体フレームに取り付けられた複数の棒状部材を有する構成1又は2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ステー部と車体フレームとの固定強度の向上や、ステー部自体の強度の向上を図り易くなる。
【0068】
(構成4)前記支持部材は、前記配策部材をガイドする構成1から3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、配策部材をガイドする専用部品を低減でき、部品点数を低減し易くなる。
【0069】
(構成5)前記ステー部は、複数の棒状部材を有し、前記複数の棒状部材は、前記配策部材に沿った向きで前記車体フレームにそれぞれ溶接されると共に、前記車体フレームに溶接される向きが異なり、前記棒状部材のうち、前記車体フレームに溶接される向きが、水平方向よりも上下方向である棒状部材に、前記固定部が設けられる構成1から4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、重力方向に作用する荷重をステー部で効率良く支持でき、荷物保持部の積載重量の増大に有利である。
【0070】
(構成6)前記複数の棒状部材は、前記車体フレームに溶接される基端部と、前記車体フレームに接合されない先端部とを有し、前記複数の棒状部材の先端部同士は、同じ向きで延出すると共に溶接で結合されている構成5に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、車体フレームに溶接される向きが異なっても、ステー部の強度を十分に確保し易くなる。
【0071】
(構成7)前記支持部材には、前記荷物保持部と、当該車両の外装部品とが固定される構成1から6のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、荷物保持部の支持、及び、外装部品の支持に必要な部品をまとめることができ、部品点数の低減に有利である。
【0072】
(構成8)前記ステー部は、複数の棒状部材を有し、前記複数の棒状部材は、前記配策部材に沿った向きに相当する前後方向に沿って前記車体フレームにそれぞれ溶接されると共に、前記棒状部材同士が溶接で結合される構成1から4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、上下方向に狭い場所であっても、配策部材の配置を阻害せずに、ステー部を配置でき、かつ、前後方向に溶接長を確保することで、ステー部と車体フレームとの固定強度を高めることができる。また、棒状部材同士が溶接で結合されるので、ステー部の強度向上に有利である。
【0073】
(構成9)前記荷物保持部は、当該車両の乗員用シートの前方、かつヘッドパイプの後方に位置するセンターキャリアであり、前記支持部材は、前記センターキャリアの前部を支持するフロント側支持部材と、前記センターキャリアの後部を支持するリア側支持部材とを有する構成1から8のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、センターキャリアを、乗員用シートの前方、かつヘッドパイプの後方に配策される配策部材の配置を阻害せずに、車体フレームに支持できる。また、前後の支持部材でセンターキャリアを支持するので、センターキャリアの支持強度を十分に確保し、積載重量の増大に有利である。
【0074】
(構成10)前記支持部材は、前記配策部材の下方に位置する下側部分と、前記配策部材の車幅方向外側に位置する側方部分とを有する構成1から9のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、配策部材を下方、及び車幅方向外側からガードしたり、配策部材の下方、及び車幅方向外側への移動を抑制したりすることが可能であり、ガード等に必要な部品を低減し易くなる。
【0075】
(構成11)前記配策部材は、前記車体フレームの左右一方側を前後方向に延出するハーネスを有し、前記ステー部は、前記ハーネスの下方に位置する下側部分と、前記ハーネスの車幅方向外側に位置する側方部分とを有する構成1から9のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、屈曲性を有するハーネスの移動を規制したり、ガードしたりすることができる。これにより、ハーネスの移動規制等に必要な部品を低減でき、部品点数の低減に有利である。
【符号の説明】
【0076】
10 鞍乗り型車両
11 車体フレーム
17 シート(乗員用シート)
18 ヘッドパイプ
31 車体カバー
34 レッグシールド(外装部品)
36 インナーカバー(外装部品)
50 配策部材
70 キャリア(荷物保持部)
71,72 キャリア側フロント取付部
73,74 キャリア側リア取付部
81,82 フロント側支持部材(支持部材)
83,84 リア側支持部材(支持部材)
81S~84S ステー部
81K~84K 固定部
91,95 第1棒状部材
92,96 第2棒状部材
91A,92A 基端部
91B,92B 先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12