(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064105
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20240507BHJP
E06B 3/12 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172454
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝己
【テーマコード(参考)】
2E014
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BB08
2E014BC08
2E239CA04
2E239CA22
2E239CA54
2E239CA68
(57)【要約】
【課題】火災時における障子の屋外側への倒れを防止する。
【解決手段】上枠21、下枠21、及び縦枠23からなる枠体2と、上框31、下框32、及び縦框33からなる框体3を有し、枠体2の内側に配置される障子3と、上枠21と上框31との間に設けられるヒンジ機構4と、を備え、ヒンジ機構4を回動支点として障子3を開閉動作させる建具1であって、ヒンジ機構4は、上框31から延在する框側ヒンジ部41と、上枠21側にねじ42を介して固定され、框側ヒンジ部41を回動可能に支持するヒンジ部材43とを備えて構成され、ヒンジ部材43は、障子3が下框32側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、上框31に係合して障子3の屋外側への倒れを規制する倒れ止め部43dを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠、及び縦枠からなる枠体と、
上框、下框、及び縦框からなる框体を有し、前記枠体の内側に配置される障子と、
前記上枠と前記上框との間に設けられるヒンジ機構と、を備え、
前記ヒンジ機構を回動支点として前記障子を開閉動作させる建具であって、
前記ヒンジ機構は、
前記上框から延在する框側ヒンジ部と、
前記上枠側にねじを介して固定され、前記框側ヒンジ部を回動可能に支持するヒンジ部材と、を備えて構成され、
前記ヒンジ部材は、前記障子が前記下框側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、前記上框に係合して前記障子の屋外側への倒れを規制する倒れ止め部を備えることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記下框は、火災に伴って前記障子が下降したとき、前記下枠に当接して前記障子の下降を規制する下がり止め部を備え、
前記下がり止め部と前記下枠との当接部は、前記障子が屋外側又は屋内側に倒れるときの回動支点として機能することを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記上枠は、前記障子が前記下框側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、前記上框に係合して前記障子の屋外側への倒れを規制する上枠側倒れ止め部を備えることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記上框は、前記障子が前記下框側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、前記上枠に係合して前記障子の屋外側への倒れを規制する上框側倒れ止め部を備えることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記倒れ止め部は、前記ヒンジ部材の長手方向全域に亘って通しで設けられることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項6】
前記下がり止め部、前記上枠側倒れ止め部、及び前記上框側倒れ止め部のうち、少なくともいずれか1つは、前記障子の左右幅全域に亘って通しで設けられることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突き出し窓などの建具に関する。
【背景技術】
【0002】
枠体と障子との間にヒンジ機構を備え、該ヒンジ機構を回動支点として障子を開閉動作させる建具が知られている。例えば、特許文献1に記載される建具は、枠体の上枠と障子の上框との間にヒンジ機構を備え、該ヒンジ機構を回動支点として障子を屋外側に開放動作させる突き出し窓を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の建具では、火災が発生した場合、熱によるヒンジ機構の変形などに起因し、障子が屋外側に倒れる可能性があるため、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、上枠、下枠、及び縦枠からなる枠体と、上框、下框、及び縦框からなる框体を有し、前記枠体の内側に配置される障子と、前記上枠と前記上框との間に設けられるヒンジ機構と、を備え、前記ヒンジ機構を回動支点として前記障子を開閉動作させる建具であって、前記ヒンジ機構は、前記上框から延在する框側ヒンジ部と、前記上枠側にねじを介して固定され、前記框側ヒンジ部を回動可能に支持するヒンジ部材と、を備えて構成され、前記ヒンジ部材は、前記障子が前記下框側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、前記上框に係合して前記障子の屋外側への倒れを規制する倒れ止め部を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記下框は、火災に伴って前記障子が下降したとき、前記下枠に当接して前記障子の下降を規制する下がり止め部を備え、前記下がり止め部と前記下枠との当接部は、前記障子が屋外側又は屋内側に倒れるときの回動支点として機能することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記上枠は、前記障子が前記下框側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、前記上框に係合して前記障子の屋外側への倒れを規制する上枠側倒れ止め部を備えることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記上框は、前記障子が前記下框側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、前記上枠に係合して前記障子の屋外側への倒れを規制する上框側倒れ止め部を備えることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記倒れ止め部は、前記ヒンジ部材の長手方向全域に亘って通しで設けられることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項2~4のいずれか1項に記載の建具であって、前記下がり止め部、前記上枠側倒れ止め部、及び前記上框側倒れ止め部のうち、少なくともいずれか1つは、前記障子の左右幅全域に亘って通しで設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、ヒンジ部材は、障子が下框側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、上框に係合して障子の屋外側への倒れを規制する倒れ止め部を備えるので、火災が発生した場合に、熱によるヒンジ機構の変形などに起因し、障子が屋外側に倒れることを防止できる。
また、請求項2の発明によれば、下框は、火災に伴って障子が下降したとき、下枠に当接して障子の下降を規制する下がり止め部を備えるので、火災時における障子の下降量をコントロールし、倒れ止め部による障子の倒れ防止効果を高めることができる。また。下がり止め部と下枠との当接部は、障子が屋外側又は屋内側に倒れるときの回動支点として機能するので、火災時における障子の倒れ方向をコントロールできる。
また、請求項3の発明によれば、上枠は、障子が下框側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、上框に係合して障子の屋外側への倒れを規制する上枠側倒れ止め部を備えるので、障子の倒れ防止効果が高められる。
また、請求項4の発明によれば、上框は、障子が下框側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、上枠に係合して障子の屋外側への倒れを規制する框側倒れ止め部を備えるので、障子の倒れ防止効果が高められる。
また、請求項5の発明によれば、倒れ止め部は、ヒンジ部材の長手方向全域に亘って通しで設けられるので、火災時の係合によって炎や煙の通路を幅広く遮断し、火災時の遮炎性能や遮煙性能を高めることができる。
また、請求項6の発明によれば、下がり止め部、上枠側倒れ止め部、及び上框側倒れ止め部のうち、少なくともいずれか1つは、障子の左右幅全域に亘って通しで設けられるので、火災時の係合や当接によって炎や煙の通路を幅広く遮断し、火災時の遮炎性能や遮煙性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る建具を屋外側から見た正面図である。
【
図4】上枠側倒れ止め部の設置幅を示す要部平面図である。
【
図7】障子下降状態を示す建具の要部断面図である。
【
図8】ヒンジ部材の倒れ止め部による倒れ規制状態を示す建具の要部断面図である。
【
図9】上枠側倒れ止め部による倒れ規制状態を示す建具の要部断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る建具の要部断面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る建具の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1~
図3において、1は建具であって、該建具1は、左右に並ぶ2連の突き出し窓1aを備える。なお、突き出し窓1aは、単窓であってもよいし、3連以上の連窓であってもよい。以下、本発明の要部である突き出し窓1aについて説明する。
【0009】
突き出し窓1aは、建物の躯体の開口部に配置される枠体2と、枠体2に配置される障子3と、枠体2の上枠21と障子3の上框31との間に設けられるヒンジ機構4と、枠体2の上枠21に設けられる上枠側倒れ止め部5と、障子3の下框32に設けられる下がり止め部6と、枠体2の縦枠23と障子3の縦框33との間に設けられる左右一対のダンパー7とを備えており、ヒンジ機構4を回動支点として障子3を開閉動作可能に構成される。なお、本発明との関連性が低いダンパー7については、説明を省略する。
【0010】
枠体2は、例えば、押出形材や曲げ物等からなる上枠21、下枠22、及び左右の縦枠23(又は中間方立24)を連結して正面視四角形状に構成される。
【0011】
障子3は、例えば、押出形材や曲げ物等からなる上框31、下框32、及び左右の縦框33を連結して構成される正面視四角形状の框体34と、框体34の内周側に配置されるガラス35と、下框32に設けられ、ガラス35の下辺を屋外側から押さえる下押縁36と、縦框33に設けられ、ガラス35の左右の縦辺を屋外側から押さえる縦押縁37とを備える。
【0012】
図2に示すように、ヒンジ機構4は、上框31から延在する框側ヒンジ部41と、枠体2側に複数のねじ42を介して固定され、框側ヒンジ部41を回動可能に支持するヒンジ部材43とを備えて構成される。ヒンジ部材43は、予め框側ヒンジ部41に取り付けられ、障子3を枠体2に組み付ける際に複数のねじ42を介して枠体2に固定される。
【0013】
框側ヒンジ部41は、上框31の上端部屋外側に、上框31の長手方向に沿って一体形成される。框側ヒンジ部41の形状は、例えば、側断面視において下方に開口する半円形状であり、その下方には、ヒンジ部材43の回動支持部43aを収容する収容空間Sが形成されている。
【0014】
ヒンジ部材43は、押出形材や曲げ物等からなり、上枠21の長手方向に沿う。本実施形態のヒンジ部材43は、回動支持部43aと、固定部43bと、係合部43cと、倒れ止め部43dとを一体に有する。回動支持部43a、固定部43b、係合部43c、及び倒れ止め部43dは、ヒンジ部材43の長手方向全域に通しで設けられる。
【0015】
回動支持部43aは、框側ヒンジ部41を回動可能に支持する。例えば、本実施形態の回動支持部43aは、側断面視において上方に突出する円形状の軸部43eを有し、該軸部43aに対して框側ヒンジ部41の内周面が上方から摺動可能に当接することで、框側ヒンジ部41を回動可能に支持する。
【0016】
固定部43bは、上枠21側に形成される被固定部21aに沿い、複数のねじ42を介して被固定部21aに固定される。被固定部21aは、屋内側を向く傾斜面であり、この傾斜面に重なる状態でヒンジ部材43の固定部43bが上枠21にねじ止めされる。これにより、ねじ42を介したヒンジ部材43の固定作業を屋内側から容易に行うことができる。なお、本実施形態のねじ42は、被固定部21aを貫通し、被固定部21aの裏側に配置されるナット部材42bに螺合される。
【0017】
係合部43cは、上枠21に形成される被係合部21bに係合し、ヒンジ部材43の上框31側への移動、及びヒンジ部材43の屋内側への移動を規制する。例えば、本実施形態の被係合部21bは、上枠21から屋外側に突出する突出片である。一方、本実施形態の係合部43cは、ヒンジ部材43から上方に延在する上方延在部43fと、上方延在部43fの上端部から屋内側に延在する屋内側延在部43gとを有する側断面視逆L字形状であり、屋内側延在部43gが被係合部21bの突起21cに上方から係合することで、ヒンジ部材43の上框31側への移動を規制し、また、上方延在部43fが被係合部21bの先端部に係合することで、ヒンジ部材43の屋内側への移動を規制する。
【0018】
倒れ止め部43dは、ヒンジ部材73の下面部から下方に突出する突起であり、障子3が下框32側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、上框31に形成される第1係合片31aに係合して障子3の屋外側への倒れを規制する。なお、この倒れ規制は、主に火災時に行われるものであり、その詳細は後述する。
【0019】
上枠側倒れ止め部5は、押出形材や曲げ物等からなり、上枠21の長手方向に沿う状態で上枠21の見付面に設けられる。例えば、本実施形態の上枠側倒れ止め部5は、側断面視で逆U字形状を有し、複数のねじ51を介して上枠21に固定される。また、本実施形態の上枠側倒れ止め部5は、
図4に示すように、障子3の左右幅全域に亘って通しで設置される。このように構成された上枠側倒れ止め部5は、障子3が下框32側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、上框31に形成される第2係合片31bに係合して障子3の屋外側への倒れを規制する。ここで、上枠側倒れ止め部5と第2係合片31bとの上下方向の係合代は、倒れ止め部43dと第1係合片31aとの上下方向の係合代よりも大きくなるように設定される。なお、この倒れ規制は、主に火災時に行われるものであり、その詳細は後述する。
【0020】
下がり止め部6は、押出形材や曲げ物等からなり、下框32の長手方向に沿う状態で下框32の下面に設けられる。例えば、本実施形態の下がり止め部6は、側断面視で逆L字形状を有し、複数のねじ(図示せず)を介して下框32に固定される。また、本実施形態の下がり止め部6は、
図4に示すように、障子3の左右幅全域に亘って通しで設置される。このように構成された下がり止め部6は、火災に伴って障子3が下降したとき、下枠22の上面に設けられる緩衝部材61に当接して障子3の下降を規制する。また、下がり止め部6と下枠22(緩衝部材61)との当接部Tは、障子3が屋外側又は屋内側に倒れるときの回動支点として機能する。
【0021】
つぎに、突き出し窓1aの開閉動作及び火災時の動作について、
図5~
図9を参照して説明する。
【0022】
図5及び
図6に示すように、障子3は、通常時、ヒンジ機構4を回動支点として開閉操作される。このとき、上框31の第1係合片31a及び第2係合片31bは、ヒンジ機構4を回動支点として上下方向に変位するので、ヒンジ部材43の倒れ止め部43dや上枠側倒れ止め部5には係合せず、障子3の開閉を阻害しない。また、下框31に設けられる下がり止め部6と下枠22(緩衝部材61)との間には、所定の間隙が確保されているので、下がり止め部6が下枠22(緩衝部材61)に接触することはなく、障子3の開閉を阻害しない。
【0023】
図7に示すように、火災時には、ヒンジ機構4の熱変形などに起因し、障子3が下降する。障子3が下降すると、下框31に設けられる下がり止め部6が下枠22(緩衝部材61)に当接し、障子3の下降を規制する。また、下がり止め部6と下枠22(緩衝部材61)との当接部Tは、障子3が屋外側又は屋内側に倒れるときの回動支点として機能する。また、下がり止め部6は、障子3の左右幅全域に通しで設けられるので、下枠22(緩衝部材61)との当接により、炎や煙の通路を幅広く遮断し、火災時の遮炎性能や遮煙性能を高めることができる。
【0024】
図8に示すように、障子3が当接部Tを回動支点として屋外側に倒れようとすると、上框31の第1係合片31aがヒンジ部材43の倒れ止め部43dに係合し、障子3の屋外側への倒れが規制される。また、倒れ止め部43dは、ヒンジ部材43の長手方向全域に亘って通しで設けられるので、第1係合片31aとの係合により、炎や煙の通路を幅広く遮断し、火災時の遮炎性能や遮煙性能を高めることができる。
【0025】
図9に示すように、火災の進行に伴って障子3がさらに下降し、その下降量が第1係合片31aと倒れ止め部43dとの上下方向の係合代を超えると、第1係合片31aとが倒れ止め部43dを乗り越え、障子3が屋外側に倒れる可能性がある。このとき、上框31の第2係合片31bが上枠側倒れ止め部5に係合し、障子3の屋外側への倒れが規制される。本実施形態では、このような2段階の倒れ規制によって障子3の屋外側への倒れを確実に防止できる。また、上枠側倒れ止め部5は、障子3の左右幅全域に亘って通しで設けられるので、第2係合片31bとの係合により、炎や煙の通路を幅広く遮断し、火災時の遮炎性能や遮煙性能を高めることができる。
【0026】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、上枠21、下枠21、及び縦枠23からなる枠体2と、上框31、下框32、及び縦框33からなる框体3を有し、枠体2の内側に配置される障子3と、上枠21と上框31との間に設けられるヒンジ機構4と、を備え、ヒンジ機構4を回動支点として障子3を開閉動作させる建具1であって、ヒンジ機構4は、上框31から延在する框側ヒンジ部41と、上枠21側にねじ42を介して固定され、框側ヒンジ部41を回動可能に支持するヒンジ部材43とを備えて構成され、ヒンジ部材43は、障子3が下框32側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、上框31に係合して障子3の屋外側への倒れを規制する倒れ止め部43dを備えるので、火災が発生した場合に、熱によるヒンジ機構4の変形などに起因し、障子3が屋外側に倒れることを防止できる。
【0027】
また、下框32は、火災に伴って障子3が下降したとき、下枠22に当接して障子3の下降を規制する下がり止め部6を備えるので、火災時における障子3の下降量をコントロールし、倒れ止め部43dによる障子3の倒れ防止効果を高めることができる。また。下がり止め部6と下枠22との当接部Tは、障子3が屋外側又は屋内側に倒れるときの回動支点として機能するので、火災時における障子3の倒れ方向をコントロールできる。
【0028】
また、上枠21は、障子3が下框32側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、上框31に係合して障子3の屋外側への倒れを規制する上枠側倒れ止め部5を備えるので、障子3の倒れ防止効果が高められる。
【0029】
また、倒れ止め部43dは、ヒンジ部材43の長手方向全域に亘って通しで設けられるので、火災時の係合によって炎や煙の通路を幅広く遮断し、火災時の遮炎性能や遮煙性能を高めることができる。
【0030】
また、下がり止め部6及び上枠側倒れ止め部5は、障子3の左右幅全域に亘って通しで設けられるので、火災時の係合や当接によって炎や煙の通路を幅広く遮断し、火災時の遮炎性能や遮煙性能を高めることができる。
【0031】
つぎに、第2実施形態及び第3実施形態について、
図10及び
図11を参照して説明する。ただし、前記第1実施形態と共通の構成については、前記第1実施形態と同じ符号を用いることで、前記第1実施形態の説明を援用する場合がある。
【0032】
図10に示すように、第2実施形態の建具1Bは、上枠側倒れ止め部5Bが上枠21の見込面に固定される点が前記第1実施形態と相違している。例えば、第2実施形態の上枠側倒れ止め部5Bは、側断面視で逆L字形状を有し、ねじ51Bを介して上枠21の見込面に固定される。このように構成された上枠側倒れ止め部5Bであっても、障子3が下框32側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、上框31に形成される第2係合片31bに係合して障子3の屋外側への倒れを規制することができる。なお、第2実施形態の上枠側倒れ止め部5Bは、第1実施形態の上枠側倒れ止め部5と同様に、障子3の左右幅全域に亘って通しで設けることが望ましい。
【0033】
図11に示すように、第3実施形態の建具1Cは、上枠側倒れ止め部5、5Bの代わりに、上框側倒れ止め部8を備える点が第1実施形態や第2実施形態と相違している。例えば、例えば、第3実施形態の上框側倒れ止め部8は、側断面視でL字形状を有し、ねじ81を介して上框31の上面に固定される。このように構成された上框側倒れ止め部8であっても、障子3が下框32側を支点として屋外側に倒れようとしたとき、上枠21に形成される係合片21cに係合して障子3の屋外側への倒れを規制することができる。なお、第3実施形態の上框側倒れ止め部8は、上枠側倒れ止め部5、5Bと同様に、障子3の左右幅全域に亘って通しで設けることが望ましい。
【符号の説明】
【0034】
1、1B、1C 建具
1a 突き出し窓
2 枠体
21 上枠
21a 被固定部
21b 被係合部
21c 係合片
22 下枠
23 縦枠
24 中間方立
3 障子
31 上框
31a 第1係合片
31b 第2係合片
32 下框
33 縦框
34 框体
35 ガラス
36 下押縁
37 縦押縁
4 ヒンジ機構
41 框側ヒンジ部
42 ねじ
42b ナット部材
43 ヒンジ部材
43a 回動支持部
43b 固定部
43c 係合部
43d 倒れ止め部
43e 軸部
43f 上方延在部
43g 屋内側延在部
5、5B 上枠側倒れ止め部
51、51B ねじ
6 下がり止め部
61 緩衝部材
7 ダンパー
8 上框側倒れ止め部
81 ねじ
S 収容空間
T 当接部