(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064106
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】半導体装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20240507BHJP
H03K 19/094 20060101ALI20240507BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H03K19/0175 280
H03K19/094
H04L25/02 303B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172456
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】猪股 昇
(72)【発明者】
【氏名】田島 英幸
【テーマコード(参考)】
5J056
5K029
【Fターム(参考)】
5J056AA11
5J056BB17
5J056BB51
5J056DD00
5J056DD13
5J056DD29
5J056FF09
5K029GG07
5K029JJ03
(57)【要約】
【課題】高速かつ大電流のパルスを出力する半導体装置を提供する
【解決手段】第2の電圧がゲートに入力される第1のNチャネル型トランジスタと、第2の端子が第1のNチャネル型トランジスタのドレインに接続される第1の抵抗素子と、第1の端子が第1のNチャネル型トランジスタのソースに接続される第2の抵抗素子と、第2の電圧がゲートに入力される第2のNチャネル型トランジスタと、第2の端子が第2のNチャネル型トランジスタのドレインに接続される第3の抵抗素子と、第1の端子が第2のNチャネル型トランジスタのソースに接続される第4の抵抗素子と、第1の端子が第1のNチャネル型トランジスタのドレインに接続され、第2の端子が第2のNチャネル型トランジスタのドレインに接続されるアイソレータと、を備える半導体装置を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の電圧がゲートに入力される第1のNチャネル型トランジスタと、
第2の端子が前記第1のNチャネル型トランジスタのドレインに接続される第1の抵抗素子と、
第1の端子が前記第1のNチャネル型トランジスタのソースに接続される第2の抵抗素子と、
第2の電圧がゲートに入力される第2のNチャネル型トランジスタと、
第2の端子が前記第2のNチャネル型トランジスタのドレインに接続される第3の抵抗素子と、
第1の端子が前記第2のNチャネル型トランジスタのソースに接続される第4の抵抗素子と、
第1の端子が前記第1のNチャネル型トランジスタのドレインに接続され、第2の端子が前記第2のNチャネル型トランジスタのドレインに接続されるアイソレータと、
を備え、
前記第1の抵抗素子の第1の端子は、第1の電圧を有する電源線に接続され、
前記第2の抵抗素子の第2の端子は、第3の電圧を有する電源線に接続され、
前記第3の抵抗素子の第1の端子は、前記第1の電圧を有する電源線に接続され、
前記第4の抵抗素子の第2の端子は、前記第3の電圧を有する電源線に接続される、半導体装置。
【請求項2】
前記第1の抵抗素子は前記第3の抵抗素子と等しい抵抗値を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の抵抗素子は前記第4の抵抗素子と等しい抵抗値を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1のNチャネル型トランジスタは、前記第2のNチャネル型トランジスタと等しい電流駆動能力を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の抵抗素子は、第1のPチャネル型トランジスタのオン抵抗で構成され、
前記第3の抵抗素子は、第2のPチャネル型トランジスタのオン抵抗で構成される、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1の端子が前記第1の電圧を有する電源線と接続された第5の抵抗素子と、
ドレインが前記第1の電圧を有する電源線と接続され、ソースが前記第1の抵抗素子の前記第2の端子に接続され、ゲートが前記第5の抵抗素子の第2の端子と接続された第3のNチャネル型トランジスタと、
ドレインが前記第5の抵抗素子の前記第2の端子と接続され、ソースが前記第3の電圧を有する電源線に接続され、前記第1のNチャネル型トランジスタのゲートに入力される信号と同じ波形の信号がゲートに入力される第4のNチャネル型トランジスタと、
第1の端子が前記第1の電圧を有する電源線と接続された第6の抵抗素子と、
ドレインが前記第1の電圧を有する電源線と接続され、ソースが前記第3の抵抗素子の前記第2の端子に接続され、ゲートが前記第6の抵抗素子の第2の端子と接続された第5のNチャネル型トランジスタと、
ドレインが前記第6の抵抗素子の前記第2の端子と接続され、ソースが前記第3の電圧を有する電源線に接続され、前記第2のNチャネル型トランジスタのゲートに入力される信号と同じ波形の信号がゲートに入力される第6のNチャネル型トランジスタと、
を備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第3のNチャネル型トランジスタは、前記第5のNチャネル型トランジスタと等しい電流駆動能力を有し、
前記第4のNチャネル型トランジスタは、前記第6のNチャネル型トランジスタと等しい電流駆動能力を有する、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の電圧は、前記第2の電圧より大きく、
前記第2の電圧は、前記第3の電圧より大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2の電圧は、前記第1の電圧を調整して発生する、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の電圧は、15Vであり、前記第2の電圧は5Vであり、前記第3の電圧はグランド電位である、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体装置は、ゲートドライバ回路の異常検知のための送信回路であり、
前記第2のNチャネル型トランジスタのゲートに異常検知の信号が入力され、
前記異常検知の信号に応じた電流が前記アイソレータに流れる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記アイソレータは、変圧器の一部であり、絶縁した状態で低電源電圧チップの受信回路を介してコンピュータに前記異常検知の信号を伝える、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1のNチャネル型トランジスタのゲートに第3の電圧の信号が入力され、
前記第2のNチャネル型トランジスタのゲートに第2の電圧の信号が入力され、
前記第1のNチャネル型トランジスタがオフし、
前記第2のNチャネル型トランジスタがオンし、
前記第1のPチャネル型トランジスタのソースドレイン間に電流が流れ、
前記第2のPチャネル型トランジスタのソースドレイン間に電流が流れるとき、
前記第2の電圧をVDD、前記第1のNチャネル型トランジスタのゲートソース間電圧をVgsn、前記第2の抵抗素子と前記第4の抵抗素子の抵抗値をRs、前記第1のPチャネル型トランジスタと前記第2のPチャネル型トランジスタのオン抵抗値をRonp、アイソレータの抵抗値をRtransとすると、
前記アイソレータに流れる電流値Ioutは、
【数1】
で表される、請求項5に記載の半導体装置の駆動方法。
【請求項14】
前記第1のNチャネル型トランジスタのゲートに前記第3の電圧の信号が入力され、
前記第2のNチャネル型トランジスタのゲートに前記第2の電圧の信号が入力され、
前記第4のNチャネル型トランジスタのゲートに前記第3の電圧の信号が入力され、
前記第6のNチャネル型トランジスタのゲートに前記第2の電圧の信号が入力され、
前記第1のNチャネル型トランジスタがオフし、
前記第2のNチャネル型トランジスタがオンし、
前記第3のNチャネル型トランジスタがオンし、
前記第4のNチャネル型トランジスタがオフし、
前記第5のNチャネル型トランジスタがオフし、
前記第6のNチャネル型トランジスタがオンし、
前記第2の電圧をVDD、前記第1のNチャネル型トランジスタのゲートソース間電圧をVgsn、前記第2の抵抗素子と前記第4の抵抗素子の抵抗値をRs、前記第1の抵抗素子と前記第3の抵抗素子の抵抗値をRp、前記第3のNチャネル型トランジスタのオン抵抗値をRonn、アイソレータの抵抗値をRtransとすると、
前記アイソレータに流れる電流値Ioutは、
【数2】
で表される、請求項6に記載の半導体装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触伝送路を介して伝送された信号を精度よく復元するための通信装置が特許文献1に記載されている。特許文献1の通信装置は、入力信号をパルスに変換する送信回路と、一次側コイル及び二次側コイルを備え、送信回路からのパルスを非接触で伝送する非接触伝送路を備える。また、通信装置は、非接触伝送回路を介して伝送されたパルスに応じた受信信号に基づいて、入力信号を復元する復元回路と、非接触伝送路の出力を初期化する初期化部を備える。さらに、通信装置は、非接触伝送路を介して受信したパルスに応じた受信信号に基づいて、初期化部を制御する制御信号を出力する初期化制御部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、送信回路がパルス生成回路から構成され、入力信号を高速かつ大電流のパルス電流に変換して出力する回路が記載されている。例えば回路をIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)ドライバに適用した場合、アイソレータの入出力間に急峻な電位差が発生したときに、アイソレータ間容量を介して送信回路の出力に高速かつ大電流のソース・シンク電流が流れる。
【0005】
しかしながら、IC(Integrated Circuit)に内蔵されたレギュレータ回路でこのように高速かつ大電流で駆動する場合、非常に大きな内部容量、または非常に高速なレギュレータが必要となり、実装することが難しい。また、内蔵レギュレータを用いずに外部電源から供給する場合には、低耐圧MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを高耐圧MOSトランジスタにして耐圧を稼ぐために素子面積が大きくなる問題がある。また、低圧から高圧に信号を変換するレベルシフタ回路が必要になり、高速なパルス電流を出力できない。さらに、外部電源VCCの電圧範囲が大きいため、VCCが大きいときに電流が増加するという問題がある。
【0006】
そこで本開示の目的は、出力段に内蔵レギュレータを用いず、負荷抵抗とソース抵抗を挿入したNチャネル型MOSトランジスタ(以下、単にNチャネル型トランジスタという)で、高速かつ大電流のパルスを出力する半導体装置を提供することである。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置は、負荷抵抗とソース抵抗を挿入したNチャネル型MOSトランジスタで、高速かつ大電流のパルスを出力する送信回路である。
【発明の効果】
【0009】
前記一実施の形態によれば、出力段に内蔵レギュレータを用いず、外部電源から供給するため、レギュレータの消費電力を低減できる。また、前記一実施の形態によれば、レベルシフタ回路が不要になり高速な動作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態にかかる半導体装置が適用されるシステムを示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかる半導体装置の回路図である。
【
図3】実施の形態2にかかる半導体装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態)
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
(実施の形態にかかる半導体装置が適用されるシステムの説明)
図1は、実施の形態にかかる半導体装置が適用されるシステムを示すブロック図である。
図1を参照しながら、実施の形態1及び2にかかる半導体装置が適用されるシステムを説明する。システム100は、例えばIGBTのゲートドライバの異常検知回路の信号を送受信する回路に適用される。
【0013】
システム100は、VCC電源101と、IGBT102と、ゲートドライバIC103と、マイコン104とを備える。ゲートドライバICは、高電源電圧チップ111と、低電源電圧チップ112とを備える。高電源電圧チップ111は、高電源電圧線VCCと、5Vレギュレータ113と、低電源電圧線VDDと、異常検知回路114と、送信回路(TX)115と、第1のコイル117、第2のコイル118及び絶縁容量から構成される変圧器119とを備える。低電源電圧チップ112は、受信回路(RX)116を備える。
【0014】
VCC電源101は、高電圧電源である。例えば15Vの電圧の電流をゲートドライバICに供給する。IGBT102は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタで構成される回路である。ゲートドライバIC103は、IGBT102を駆動するゲートドライバである。マイコン104は、例えばゲートドライバIC103を介してIGBT102を制御するマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ、すなわちコンピュータの一部である。
【0015】
高電源電圧チップ111は、VCC電源が入力される半導体チップである。5Vレギュレータは、15Vの高電圧電源を5Vの低電圧電源に調整する回路である。異常検知回路114は、IGBT102の異常を検知する回路であり、例えば過電流を検知する。送信回路(TX)115は、異常検知回路114から出力された異常信号を送信する回路である。送信回路(TX)115は、実施の形態1、2にかかる半導体装置で構成される。変圧器119は、高電源電圧チップ111から低電源電圧チップ112に信号を伝える回路である。変圧器119は、誘導電流により信号を伝えるため、高電源電圧チップ111は直接に低電源電圧チップ112と接続されない。
【0016】
低電源電圧チップ112は、高電源電圧チップ111より低い電圧で動作する半導体チップである。低電源電圧チップ112は、マイコン104と接続される。低電源電圧チップの内部の受信回路(RX)116は、送信回路(TX)115からの異常検知の信号を受信する。したがって、マイコン104は、異常信号を受信することができる。
【0017】
(実施の形態1にかかる半導体装置の説明)
図2は、実施の形態1にかかる半導体装置の回路図である。
図2を参照しながら、実施の形態1にかかる半導体装置を説明する。
【0018】
実施の形態1にかかる半導体装置200は、第2の電圧であるVDDがゲートに入力される第1のNチャネル型トランジスタ201を備える。また、半導体装置200は、第2の端子が第1のNチャネル型トランジスタのドレインに接続される第1の抵抗素子203を備える。また、半導体装置200は、第1の端子が第1のNチャネル型トランジスタのソースに接続される第2の抵抗素子204を備える。また、半導体装置200は、第2の電圧がゲートに入力される第2のNチャネル型トランジスタ202を備える。また、半導体装置200は、第2の端子が前記第2のNチャネル型トランジスタ202のドレインに接続される第3の抵抗素子205を備える。また、半導体装置200は、第1の端子が第2のNチャネル型トランジスタ202のソースに接続される第4の抵抗素子206を備える。さらに、半導体装置200は、第1の端子が第1のNチャネル型トランジスタ201のドレインに接続され、第2の端子が第2のNチャネル型トランジスタ202のドレインに接続されるアイソレータ209を備える。
【0019】
ここで、第1の抵抗素子203の第1の端子は、第1の電圧であるVCCを有する電源線に接続される。また、第2の抵抗素子204の第2の端子は、第3の電圧であるGND(Ground)を有する電源線に接続される。また、第3の抵抗素子205の第1の端子は、第1の電圧を有する電源線に接続される。さらに、第4の抵抗素子206の第2の端子は、第3の電圧を有する電源線に接続される。
【0020】
半導体装置200の出力段は、Hブリッジで構成され、外部電源から第1の電圧VCCが供給される。したがって、第1の抵抗素子203は第3の抵抗素子205と等しい抵抗値を有し、第2の抵抗素子204は第4の抵抗素子206と等しい抵抗値を有することが好ましい。また、第1のNチャネル型トランジスタ201は、第2のNチャネル型トランジスタ202と等しい電流駆動能力を有することが好ましい。
【0021】
半導体装置200は、2極性のパルス生成回路である。したがって、第1の抵抗素子203は、第1のPチャネル型トランジスタ203のオン抵抗で構成され、第3の抵抗素子205は、第2のPチャネル型トランジスタ205のオン抵抗で構成されることが好ましい。第1のPチャネル型トランジスタ203は、ゲートにバイアスがかけられ常にオンしている。同様に、第2のPチャネル型トランジスタ205は、ゲートにバイアスがかけられ常にオンしている。
【0022】
第1の電圧であるVCCは例えば15Vである。第2の電圧であるVDDは、例えば5Vである。第3の電圧であるGNDは例えばグランド電位(0V)である。したがって、第1の電圧は、第2の電圧より大きく、第2の電圧は、第3の電圧より大きい。
【0023】
半導体装置200は、ゲートドライバ回路の異常検知のための送信回路であり、第2のNチャネル型トランジスタ202のゲートに異常検知の信号が入力され、異常検知の信号に応じた電流がアイソレータ209に流れる。アイソレータ209に電流が流れると絶縁容量210を介して受信側のアイソレータ211に電流が流れる。
【0024】
アイソレータ209は、変圧器119の一部であり、絶縁した状態で低電源電圧チップ112の受信回路(RX)116を介してマイコン104に異常検知の信号を伝える。
【0025】
(実施の形態1にかかる半導体装置の駆動方法)
図2を参照しながら、実施の形態1にかかる半導体装置の駆動方法を説明する。低電位のパルスの異常信号を検知したとき、第2のインバータ208を介して第2のNチャネル型トランジスタ202のゲートに第2の電圧の信号が入力される。また、第1のインバータ207を介して第1のNチャネル型トランジスタ201のゲートに第3の電圧の信号が入力される。すると、第1のNチャネル型トランジスタ201がオフし、第2のNチャネル型トランジスタ202がオンする。第1のPチャネル型トランジスタ203のソースドレイン間に電流が流れ、第2のPチャネル型トランジスタ205のソースドレイン間に電流が流れる。そのとき、第2の電圧をVDDとし、第1のNチャネル型トランジスタ201のゲートソース間電圧をVgsnとする。また、第2の抵抗素子204と第4の抵抗素子206の抵抗値をRs、第1のPチャネル型トランジスタ203と第2のPチャネル型トランジスタ205のオン抵抗値をRonpとする。また、アイソレータ209の抵抗値をRtransとすると、第4の抵抗素子206に流れる電流ILSは、
【数1】
で表される。
また、アイソレータ209に流れる電流値Ioutは、
【数2】
で表される。
【0026】
半導体装置200は、第1のPチャネル型トランジスタ203、第2のPチャネル型トランジスタ205を常時オンし、第1のNチャネル型トランジスタ201、第2のNチャネル型トランジスタ202だけで駆動する。そのため、低圧信号を高圧信号に変換するレベルシフタなどの低速な回路を用いないため、高速にパルス電流を駆動することができる。
【0027】
上記Ioutは、VCCに依存せず、調整して発生されたVDDに依存するので変動が小さい。Ioutは、Ronpを大きくすることで増やすことができる。その場合、VCCの電圧が降下しても、第1のNチャネル型トランジスタ201と第2のNチャネル型トランジスタ202が、飽和領域で動作できるように、Ronpが設定される。
【0028】
例えば、上記の実施の形態に係る半導体装置では、半導体基板、半導体層、拡散層(拡散領域)などの導電型(p型もしくはn型)を反転させた構成としてもよい。そのため、n型、及びp型の一方の導電型を第1の導電型とし、他方の導電型を第2の導電型とした場合、第1の導電型をp型、第2の導電型をn型とすることもできるし、反対に第1の導電型をn型、第2の導電型をp型とすることもできる。
【0029】
(実施の形態2にかかる半導体装置の説明)
図3は、実施の形態2にかかる半導体装置の回路図である。
図3を参照しながら、実施の形態2にかかる半導体装置を説明する。
【0030】
実施の形態2にかかる半導体装置300は、実施の形態1にかかる半導体装置と第1の抵抗素子203に並列に補助の第3のNチャネル型トランジスタ302を挿入した点が異なる。また、実施の形態2にかかる半導体装置300は、実施の形態1にかかる半導体装置と第3の抵抗素子205に並列に補助の第5のNチャネル型トランジスタ305を挿入した点が異なる。
【0031】
すなわち、
図3に示すように、実施の形態2にかかる半導体装置300は、第1の端子が第1の電圧を有する電源線と接続された第5の抵抗素子301を備える。また、半導体装置300は、ドレインが第1の電圧を有する電源線と接続され、ソースが第1の抵抗素子203の第2の端子に接続され、ゲートが第5の抵抗素子301の第2の端子と接続された第3のNチャネル型トランジスタ302を備える。また、半導体装置300は、ドレインが第5の抵抗素子301の第2の端子と接続され、ソースが第3の電圧を有する電源線に接続される第4のNチャネル型トランジスタ303を備える。第4のNチャネル型トランジスタ303は、第1のNチャネル型トランジスタ201のゲートに入力される信号と同じ波形の信号がゲートに入力される。
【0032】
また、
図3に示すように、半導体装置300は、第1の端子が第1の電圧を有する電源線と接続された第6の抵抗素子304を備える。また、半導体装置300は、ドレインが第1の電圧を有する電源線と接続され、ソースが第3の抵抗素子205の第2の端子に接続され、ゲートが第6の抵抗素子304の第2の端子と接続された第5のNチャネル型トランジスタ305を備える。また、半導体装置300は、ドレインが第6の抵抗素子304の第2の端子と接続され、ソースが第3の電圧を有する電源線に接続される第6のNチャネル型トランジスタ306を備える。第6のNチャネル型トランジスタ306は、第2のNチャネル型トランジスタ202のゲートに入力される信号と同じ波形の信号がゲートに入力される。
【0033】
通常、補助の第3のNチャネル型トランジスタ302のゲートは、VCC電圧が印加されている。異常信号を検知したときに補助の第3のNチャネル型トランジスタ302のゲートソース間電圧が開くと、補助の第3のNチャネル型トランジスタ302がオンして電流を供給することで出力電圧の降下を低減する。
【0034】
図3に示す、半導体装置200の上段の回路と下段の回路は鏡像になっているため、第3のNチャネル型トランジスタ302は、第5のNチャネル型トランジスタ305と等しい電流駆動能力を有することが好ましい。また、第4のNチャネル型トランジスタ303は、第6のNチャネル型トランジスタ306と等しい電流駆動能力を有することが好ましい。
【0035】
(実施の形態2にかかる半導体装置の駆動方法)
図3を参照しながら、実施の形態2にかかる半導体装置の駆動方法を説明する。低電位のパルスの異常信号を検知したとき、第4のインバータ309、第2のバッファ310を介して第2のNチャネル型トランジスタ202のゲートに第2の電圧の信号が入力される。また第3のインバータ307、第1のバッファ308を介して第1のNチャネル型トランジスタ201のゲートに第3の電圧の信号が入力される。そのとき、第4のインバータ309を介して第6のNチャネル型トランジスタ306のゲートに第2の電圧の信号が入力される。また第3のインバータ307を介して第4のNチャネル型トランジスタ303のゲートに、第3の電圧の信号が入力される。すると、第1のNチャネル型トランジスタ201がオフする。また、第2のNチャネル型トランジスタ202がオンする。また、第3のNチャネル型トランジスタ302がオンする。また、第4のNチャネル型トランジスタ303がオフする。また、第5のNチャネル型トランジスタ305がオフする。また、第6のNチャネル型トランジスタがオンする。このようにしてアイソレータ209に電流が流れるように半導体装置300が駆動される。
【0036】
第2の電圧をVDDとし、第1のNチャネル型トランジスタ201のゲートソース間電圧をVgsnとする。また、第2の抵抗素子204と第4の抵抗素子206の抵抗値をRsとし、第1の抵抗素子203と第3の抵抗素子205の抵抗値をRpとする。また、第3のNチャネル型トランジスタ302のオン抵抗値をRonnとし、アイソレータ209の抵抗値をRtransとする。アイソレータ209に流れる電流値Ioutは、
【数3】
で表される。
【0037】
上記構成によれば、実施の形態1と同様に第1の抵抗素子及び第3の抵抗素子の抵抗値Rpを大きくすることで電流値Ioutを増やすことができる。しかしながら、並列に補助の第3のNチャネル型トランジスタ302がオンしているため抵抗値Rpを増やしても電圧降下が大きくならないという効果がある。そのため、実施の形態1と比べて、第1の抵抗素子と第3の抵抗素子を大きく、第3のNチャネル型トランジスタ302を小さく設計して半導体装置300全体の面積を削減しつつ、駆動能力を向上させることができる。
【0038】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0039】
100 システム、101 VCC電源、102 IGBT、103 ゲートドライバIC、104 マイコン、111 高電源電圧チップ、112 低電源電圧チップ、113 5Vレギュレータ、114 異常検知回路、115 送信回路(TX)、116 受信回路(RX)、117 第1のコイル、118 第2のコイル、119 変圧器、200 半導体装置、201 第1のNチャネル型トランジスタ、202 第2のNチャネル型トランジスタ、203 第1の抵抗素子、204 第2の抵抗素子、205 第3の抵抗素子、206 第4の抵抗素子、207 第1のインバータ、208 第2のインバータ、209 アイソレータ、210 絶縁容量、211 受信側のアイソレータ、300 半導体装置、301 第5の抵抗素子、302 第3のNチャネル型トランジスタ、303 第4のNチャネル型トランジスタ、304 第6の抵抗素子、305 第5のNチャネル型トランジスタ、306 第6のNチャネル型トランジスタ、307 第3のインバータ、308 第1のバッファ、309 第4のインバータ、310 第2のバッファ