(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064116
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】流体機械
(51)【国際特許分類】
F16C 27/02 20060101AFI20240507BHJP
F04D 29/056 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
F16C27/02 A
F04D29/056 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172468
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】篠田 史也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文博
【テーマコード(参考)】
3H130
3J012
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB07
3H130AB27
3H130AB42
3H130AB62
3H130AC13
3H130BA24E
3H130DA02X
3H130DB03X
3H130DB15X
3H130DD01Z
3H130EB01E
3H130EB02E
3H130EC08E
3J012AB12
3J012BB01
3J012DB04
3J012EB10
3J012FB01
(57)【要約】
【課題】固定端と自由端との間に流れ込む異物が堆積しにくくなり、動圧滑り軸受の耐久性が低下することを抑制できる流体機械を提供すること。
【解決手段】流体機械は、作動体と、回転体103と、作動体及び回転体103を収容するハウジングと、複数の動圧滑り軸受10と、動圧滑り軸受10を直接冷却する流体が流れる冷却流路と、を備えている。動圧滑り軸受10は、トップフォイル30と、バンプフォイル40と、軸受ハウジング20と、を有する。トップフォイル30は、軸受面311における周方向の一端部31aに固定端32が形成され、軸受面311における周方向の他端部31bに自由端33が形成される。自由端33は、回転体103の回転軸線方向への移動が規制部材50によって規制されている。流体は、空隙S1を流れる。自由端33には、空隙S1を流れる流体に含まれる異物106を空隙S1から排出する排出路34が貫通形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動体と、
前記作動体を駆動するために回転する回転体と、
前記作動体及び前記回転体を収容するハウジングと、
前記回転体を前記ハウジングに対して回転可能に支持する複数の動圧滑り軸受と、
前記ハウジング内に形成されるとともに、前記回転体と前記動圧滑り軸受との間を流れて前記動圧滑り軸受を直接冷却する流体が流れる冷却流路と、を備え、
前記動圧滑り軸受は、
前記回転体に対向し、円筒状の軸受面を有するトップフォイルと、
前記トップフォイルを間に挟んで前記回転体とは反対側の位置に配置され、伸長することで前記トップフォイルを弾性的に支持する薄板状のバンプフォイルと、
前記トップフォイル及び前記バンプフォイルを支持する軸受ハウジングと、を有し、
前記トップフォイルは、前記軸受面における周方向の一端部に、前記軸受ハウジングに向けて延びて前記軸受ハウジングに保持される固定端が形成され、前記軸受面における周方向の他端部に、前記軸受ハウジングに向けて延びる自由端が形成され、
前記自由端は、前記回転体の回転軸線方向への移動が規制部材によって規制され、
前記流体は、前記固定端と前記自由端との間の空隙を流れる流体機械において、
前記自由端には、前記空隙を流れる前記流体に含まれる異物を前記空隙から排出する排出路が貫通形成されていることを特徴とする流体機械。
【請求項2】
前記排出路は、前記自由端を貫通する貫通孔である、請求項1に記載の流体機械。
【請求項3】
前記排出路は、前記自由端を切り欠くことにより形成されている、請求項1に記載の流体機械。
【請求項4】
前記排出路は、前記軸受面に到るように延びている、請求項2又は請求項3に記載の流体機械。
【請求項5】
前記トップフォイルと前記バンプフォイルとの間には、ガイドフォイルが設けられ、
前記ガイドフォイルは、前記トップフォイルを被覆し、前記自由端と前記バンプフォイルとの間に延在する円筒状の被覆面を有し、
前記被覆面における前記自由端と前記バンプフォイルとの間に到る端部には、前記軸受ハウジングに向けて延び、前記排出路から排出される異物をガイドするガイド壁が形成され、
前記トップフォイルの前記自由端と、前記ガイドフォイルの前記ガイド壁との間には、前記排出路から排出される異物をガイドするガイド流路が形成されている請求項1に記載の流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1のように、作動体と、回転体と、ハウジングと、複数の動圧滑り軸受と、を備える流体機械が知られている。回転体は、作動体を駆動するために回転する。ハウジングは、作動体及び回転体を収容する。複数の動圧滑り軸受は、回転体をハウジングに対して回転可能に支持する。
【0003】
このような流体機械は、動圧滑り軸受を直接冷却する流体が流れる冷却流路を備えることがある。冷却流路は、ハウジング内に形成される。冷却流路を流れる流体は、回転体と動圧滑り軸受との間を流れる。
【0004】
上記の動圧滑り軸受は、トップフォイルと、バンプフォイルと、軸受ハウジングと、を有する。トップフォイルは、回転体に対向している。トップフォイルは、円筒状の軸受面を有する。バンプフォイルは、薄板状である。バンプフォイルは、トップフォイルを間に挟んで回転体とは反対側の位置に配置される。バンプフォイルは、伸長することでトップフォイルを弾性的に支持する。軸受ハウジングは、トップフォイル及びバンプフォイルを支持する。
【0005】
トップフォイルは、軸受面における周方向の一端部に、軸受ハウジングに向けて延びて固定される固定端が形成される。トップフォイルは、軸受面における周方向の他端部に自由端が形成される。
【0006】
このように構成された流体機械において、特許文献1に記載される保持部材のような規制部材により、回転体の回転軸線方向への自由端の移動が規制されないと、トップフォイルが捩れるように変形する場合がある。この場合、回転体がトップフォイルの円筒部の内面に接触することにより、回転体及びトップフォイルが偏摩耗する虞がある。
【0007】
そこで、自由端を軸受ハウジングへ向けて延ばして、且つ軸受ハウジングの軸方向において規制部材に対向させると、回転体の回転軸線方向への自由端の移動が規制部材によって規制される。このため、トップフォイルの捩れを抑制しつつ、回転体及びトップフォイルの偏摩耗を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、冷却流路を流れる流体は、固定端と自由端との間の空隙に流れる。このため、例えば、回転体とトップフォイルとの接触等により発生する摩耗粉や埃等の異物は、固定端と自由端との間の空隙に流れ込む。そして、異物が固定端と自由端との間に堆積することにより、堆積した異物によって動圧滑り軸受の耐久性が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する流体機械は、作動体と、前記作動体を駆動するために回転する回転体と、前記作動体及び前記回転体を収容するハウジングと、前記回転体を前記ハウジングに対して回転可能に支持する複数の動圧滑り軸受と、前記ハウジング内に形成されるとともに、前記回転体と前記動圧滑り軸受との間を流れて前記動圧滑り軸受を直接冷却する流体が流れる冷却流路と、を備え、前記動圧滑り軸受は、前記回転体に対向し、円筒状の軸受面を有するトップフォイルと、前記トップフォイルを間に挟んで前記回転体とは反対側の位置に配置され、伸長することで前記トップフォイルを弾性的に支持する薄板状のバンプフォイルと、前記トップフォイル及び前記バンプフォイルを支持する軸受ハウジングと、を有し、前記トップフォイルは、前記軸受面における周方向の一端部に、前記軸受ハウジングに向けて延びて前記軸受ハウジングに保持される固定端が形成され、前記軸受面における周方向の他端部に、前記軸受ハウジングに向けて延びる自由端が形成され、前記自由端は、前記回転体の回転軸線方向への移動が規制部材によって規制され、前記流体は、前記固定端と前記自由端との間の空隙を流れる流体機械において、前記自由端には、前記空隙を流れる前記流体に含まれる異物を前記空隙から排出する排出路が貫通形成されている。
【0011】
上記構成によれば、例えば、回転体とトップフォイルとの接触等により発生する摩耗粉や埃等の異物が固定端と自由端との間の空隙に流れ込んだとしても、自由端には、空隙を流れる流体に含まれる異物を空隙から排出する排出路が貫通形成されているため、排出路により固定端と自由端との間の空隙から異物が排出される。よって、固定端と自由端との間に異物が堆積しにくくなり、動圧滑り軸受の耐久性が低下することを抑制できる。
【0012】
上記の流体機械において、前記排出路は、前記自由端を貫通する貫通孔であるとよい。
上記構成によれば、トップフォイルにおける自由端の端縁を残しつつ、排出路を形成することができる。よって、排出路を形成しつつも自由端の強度を保ちやすくなる。したがって、回転体の回転軸線方向において自由端の移動が規制部材により規制されたとしても、自由端の変形を抑制できる。
【0013】
上記の流体機械において、前記排出路は、前記自由端を切り欠くことにより形成されているとよい。
上記構成によれば、トップフォイルにおける自由端の端縁に至るまで排出路を延ばすことができる。よって、排出路の大きさを確保しやすいため、排出路を通じて空隙から異物を排出しやすい。
【0014】
上記の流体機械において、前記排出路は、前記軸受面に到るように延びているとよい。
上記構成によれば、回転体とトップフォイルの軸受面との間を流れる異物が、排出路を通じて空隙から更に排出されやすくなる。したがって、固定端と自由端との間に異物が更に堆積しにくくなる。
【0015】
上記の流体機械において、前記トップフォイルと前記バンプフォイルとの間には、ガイドフォイルが設けられ、前記ガイドフォイルは、前記トップフォイルを被覆し、前記自由端と前記バンプフォイルとの間に延在する円筒状の被覆面を有し、前記被覆面における前記自由端と前記バンプフォイルとの間に到る端部には、前記軸受ハウジングに向けて延び、前記排出路から排出される異物をガイドするガイド壁が形成され、前記トップフォイルの前記自由端と、前記ガイドフォイルの前記ガイド壁との間には、前記排出路から排出される異物をガイドするガイド流路が形成されているとよい。
【0016】
上記構成によれば、排出路により固定端と自由端との間の空隙から排出される異物は、ガイド流路に流れ込む。そして、ガイド流路に流れ込んだ異物は、ガイド壁によりガイドされつつ、軸受ハウジングの外部へ排出される。このため、空隙から排出路を通じて排出された異物が、バンプフォイルに向けて流れにくくなる。よって、ガイドフォイルが設けられていない動圧滑り軸受と比較して、バンプフォイルとトップフォイルとの間に異物が挟み込まれることによりバンプフォイル及びトップフォイルの摩耗が促進するといったことが抑制される。したがって、動圧滑り軸受の耐久性の低下をより抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、固定端と自由端との間に流れ込む異物が堆積しにくくなり、動圧滑り軸受の耐久性が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】動圧滑り軸受が搭載された流体機械を示す概略構成図である。
【
図2】動圧滑り軸受及び回転体を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態のトップフォイルに形成された排出路を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態のトップフォイルに形成された排出路を示す斜視図である。
【
図6】第3実施形態における動圧滑り軸受及び回転体を示す断面図である。
【
図7】変更例のトップフォイルに形成された排出路を示す斜視図である。
【
図8】変更例のトップフォイルに形成された排出路を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、流体機械を遠心圧縮機に具体化した第1実施形態を
図1~
図4にしたがって説明する。
【0020】
<遠心圧縮機>
図1に示すように、遠心圧縮機100は、2つの動圧滑り軸受10と、ハウジング101と、モータ102と、回転体103と、作動体としてのインペラ104と、を備えている。ハウジング101は、回転体103、モータ102、インペラ104、及び各動圧滑り軸受10を収容する。ハウジング101内には、モータ102を収容するモータ室101aと、インペラ104を収容するインペラ室101bと、が形成されている。回転体103は、シャフトである。回転体103は、モータ室101aからインペラ室101bに至るまで延びている。回転体103には、モータ102が取り付けられている。回転体103の端部には、インペラ104が取り付けられている。モータ102は、回転体103を回転させる。回転体103が回転すると、インペラ104が一体的に回転する。回転体103は、インペラ104を駆動するために回転する。インペラ104が回転すると、ハウジング101の外部からインペラ室101bに流体が引き込まれる。流体とは、例えば、空気である。インペラ室101b内に引き込まれた流体は、インペラ104の回転に伴い圧縮される。圧縮された流体は、モータ室101aに漏れる。また、圧縮された流体は、ハウジング101の外部、例えば車両に搭載された燃料電池に向けて吐出される。
【0021】
2つの動圧滑り軸受10は、回転体103をラジアル方向Rdに支持している。ラジアル方向Rdは、回転体103の径方向である。2つの動圧滑り軸受10は、回転体103の回転軸線方向においてモータ102を挟む位置に設けられている。2つの動圧滑り軸受10は、ハウジング101に固定されている。2つの動圧滑り軸受10は、回転体103をハウジング101に対して回転可能に支持する。
【0022】
ハウジング101には、導入口101c及び排出口101dが設けられている。導入口101cは、ハウジング101のモータ室101aに空気を導入する。導入口101cは、回転体103の回転軸線方向において、一方の動圧滑り軸受10とインペラ104との間に位置している。排出口101dは、モータ室101aに導入された空気をハウジング101の外部に排出する。排出口101dは、回転体103の回転軸線方向において、他方の動圧滑り軸受10を基準としてモータ102とは反対側に位置している。
【0023】
導入口101cから導入された空気は、回転体103の回転軸線方向において、一方の動圧滑り軸受10から他方の動圧滑り軸受10に向かうように流れる。導入口101cから導入された空気は、モータ室101aの内部を排出口101dに向けて流れる。モータ室101aに導入された空気は、各動圧滑り軸受10と回転体103との間を流れて各動圧滑り軸受10を直接冷却する。モータ室101aは、動圧滑り軸受10を直接冷却する流体としての空気が流れる冷却流路である。遠心圧縮機100は、冷却流路としてのモータ室101aを備える。導入口101cからモータ室101aに導入された空気は、一方の動圧滑り軸受10、モータ102、他方の動圧滑り軸受10この順に冷却した後、排出口101dからハウジング101の外部に排出される。以下の説明では、導入口101cから排出口101dに向かう空気の流れ方向を単に「流れ方向A」と記載する。
【0024】
<動圧滑り軸受>
図2及び
図3に示すように、動圧滑り軸受10は、軸受ハウジング20と、薄板状のトップフォイル30と、3つの薄板状のバンプフォイル40と、2つの規制部材50と、を備えている。
【0025】
<軸受ハウジング>
図2に示すように、軸受ハウジング20は、回転体103が挿通される筒状の部材である。軸受ハウジング20を形成する材料は、例えばアルミニウムである。軸受ハウジング20は、内周面20aを有している。内周面20aは、円筒面である。軸受ハウジング20の軸方向は、回転体103の回転軸線方向と一致している。軸受ハウジング20の径方向は、回転体103の径方向と一致している。軸受ハウジング20の周方向は、回転体103の周方向と一致している。
【0026】
図3に示すように、軸受ハウジング20は、第1端面21と、第2端面22と、を有している。第1端面21及び第2端面22は、環状である。第1端面21は、軸受ハウジング20における軸方向の一方に位置する端面である。第2端面22は、軸受ハウジング20における軸方向の他方に位置する端面である。
図1に示すように、軸受ハウジング20の第1端面21は、流れ方向Aの上流側に位置している。軸受ハウジング20の第2端面22は、流れ方向Aの下流側に位置している。
【0027】
図2及び
図3に示すように、軸受ハウジング20の内周面20aには、溝20bが形成されている。溝20bは、内周面20aに4つ設けられている。各溝20bは、軸受ハウジング20の軸方向に延びている。各溝20bは、軸受ハウジング20の軸方向の全長に設けられている。各溝20bは、第1端面21及び第2端面22に開口している。
【0028】
図2に示すように、4つの溝20bの各々を、第1溝201b、第2溝202b、第3溝203b、第4溝204bとする。第1溝201b、第3溝203b、及び第4溝204bは、軸受ハウジング20の周方向において等間隔に配置されている。第3溝203bは、第1溝201bよりも回転体103の回転方向Bに先行している。第4溝204bは、第3溝203bよりも回転方向Bに先行している。第1溝201bは、第4溝204bよりも回転方向Bに先行している。
【0029】
軸受ハウジング20の周方向において、第1溝201bの幅は、第3溝203bの幅及び第4溝204bの幅よりも大きい。軸受ハウジング20の周方向において、第3溝203bの幅及び第4溝204bの幅は、同じである。
【0030】
第2溝202bは、軸受ハウジング20の周方向において、第1溝201bと第3溝203bとの間に位置している。軸受ハウジング20の周方向において、第1溝201bと第2溝202bとの間の間隔は、第2溝202bと第3溝203bとの間の間隔よりも小さい。第2溝202bは、第3溝203bよりも第1溝201bに近い。第2溝202bは、軸受ハウジング20の周方向で第1溝201bと隣り合う溝である。第2溝202bは、第1溝201bよりも回転方向Bに先行している。軸受ハウジング20の周方向において、第2溝202bの幅は、第1溝201bの幅よりも大きい。
【0031】
軸受ハウジング20は、第1溝201bと第2溝202bとの間に位置する壁部23を有している。壁部23は、軸受ハウジング20の内周面20aの一部である壁面23aを有している。壁面23aは、回転体103に対向している。
【0032】
<トップフォイル>
トップフォイル30は、軸受ハウジング20の内側に配置されている。トップフォイル30は、可撓性を有する帯状の金属板材を湾曲させることにより形成されている。トップフォイル30を形成する金属板材は、例えば、ステンレス鋼やインコネル(登録商標)型のニッケル合金により形成されている。
【0033】
トップフォイル30は、円筒部31を有している。円筒部31は、帯状の金属板材の一部を筒状に湾曲させて形成されている。円筒部31は、回転体103と軸受ハウジング20との間に配置されている。円筒部31は、回転体103と各バンプフォイル40との間に配置されている。円筒部31の軸方向は、軸受ハウジング20の軸方向と一致している。円筒部31の径方向は、軸受ハウジング20の径方向と一致している。円筒部31の周方向は、軸受ハウジング20の周方向と一致している。円筒部31は、トップフォイル30を形成する金属板材の長縁が周方向に延びるように、且つトップフォイル30を形成する金属板材の短縁が軸方向に延びるように筒状に湾曲させることで形成されている。
【0034】
円筒部31は、円筒状の軸受面311を有している。軸受面311は、回転体103に対向している。円筒部31の軸受面311には、例えば、図示しないコーティング材が塗布されている。当該コーティング材は、円筒部31と回転体103とが接触する場合に円筒部31を回転体103から保護している。
【0035】
トップフォイル30は、軸受面311における周方向の一端部31aに固定端32が形成されている。固定端32は、トップフォイル30を形成する金属板材の長辺方向に位置する一方の端部を円筒部31の径方向の外側に向けて折り曲げることにより形成されている。固定端32は、一端部31aから軸受ハウジング20に向けて延びている。固定端32は、軸受ハウジング20の軸方向に延びている。固定端32は、回転体103の回転軸線方向に真っすぐ延びている。固定端32は、第1溝201bに挿入されている。
【0036】
トップフォイル30は、軸受面311における周方向の他端部31bに自由端33が形成されている。自由端33は、トップフォイル30を形成する金属板材の長辺方向に位置する他方の端部を円筒部31の径方向の外側に向けて折り曲げることにより形成されている。自由端33は、他端部31bから軸受ハウジング20に向けて延びている。自由端33は、軸受ハウジング20の軸方向に延びている。自由端33は、回転体103の回転軸線方向に真っすぐ延びている。自由端33は、第2溝202bに挿入されている。自由端33は、円筒部31の周方向で固定端32と対向している。自由端33は、固定端32に対して円筒部31の周方向で離れている。
【0037】
固定端32と自由端33との間には、空隙S1が形成されている。空隙S1は、固定端32と、自由端33と、軸受ハウジング20の壁面23aとにより囲まれた空間である。空隙S1には、モータ室101aに導入された空気が流れる。
【0038】
<バンプフォイル>
3つのバンプフォイル40は、トップフォイル30を間に挟んで回転体103とは反対側の位置に配置されている。3つのバンプフォイル40は、軸受ハウジング20の内周面20aとトップフォイル30の円筒部31との間に配置される。各バンプフォイル40は、軸受ハウジング20の周方向において所定の間隔を空けて配置されている。各バンプフォイル40は、可撓性を有する帯状の金属板材を略円弧状に湾曲させることにより形成されている。各バンプフォイル40の短辺方向は、軸受ハウジング20の軸方向に一致している。バンプフォイル40を形成する金属板材は、例えば、ステンレス鋼やインコネル型のニッケル合金により形成されている。
【0039】
各バンプフォイル40には、固定端41と、自由端42と、が形成されている。固定端41は、バンプフォイル40を形成する金属板材の長辺方向に位置する一方の端部である。各バンプフォイル40の固定端41は、第1溝201b、第3溝203b、及び第4溝204bに挿入されている。1つの固定端41は、トップフォイル30の固定端32とともに第1溝201bに挿入されている。自由端42は、バンプフォイル40を形成する金属板材の長辺方向に位置する他方の端部である。軸受ハウジング20の周方向で隣り合うバンプフォイル40において、一方のバンプフォイル40の自由端42は、他方のバンプフォイル40の固定端41と所定の間隔を空けて配置されている。
【0040】
各バンプフォイル40は、軸受ハウジング20の内周面20aに接触する谷部43を複数有している。各谷部43は、軸受ハウジング20の内周面20aに沿って延びている。各バンプフォイル40は、円筒部31に接触する山部44を複数有している。各山部44は、軸受ハウジング20の内周面20aから離れる方向へ突出している。各バンプフォイル40は、軸受ハウジング20の周方向に谷部43及び山部44が交互に配列された波形状である。各バンプフォイル40は、谷部43と山部44とが固定端41から自由端42に向けて交互に複数配列された構成である。各山部44は、円弧状に湾曲したばね構造である。各山部44の頂点が、円筒部31に接触している。各山部44は、トップフォイル30がその径方向の外側に向けて弾性変形した場合、軸受ハウジング20の周方向に伸長するように弾性変形する。各バンプフォイル40は、軸受ハウジング20の周方向に伸長することによりトップフォイル30を弾性的に支持する。
【0041】
<規制部材>
規制部材50は、円環状である。規制部材50の内径は、軸受ハウジング20の内径よりも大きい。規制部材50の外径は、軸受ハウジング20の外径よりも小さい。
図1に示すように、軸受ハウジング20の軸方向において、一方の規制部材50は、軸受ハウジング20の第1端面21に固定されており、他方の規制部材50は、軸受ハウジング20の第2端面22に固定されている。
【0042】
図2に示すように、規制部材50は、軸受ハウジング20の軸方向において、各溝20bに重なるように配置されている。規制部材50は、回転体103の回転軸線方向で固定端32及び自由端33に対向している。規制部材50は、回転体103の回転軸線方向でバンプフォイル40の固定端41に対向している。
【0043】
図1及び
図2に示すように、2つの規制部材50は、軸受ハウジング20の軸方向において固定端32の一部及び自由端33の一部を挟み込む。2つの規制部材50は、軸受ハウジング20の軸方向において各バンプフォイル40の固定端41を挟み込む。このため、固定端32,41及び自由端33は、回転体103の回転軸線方向への移動が規制部材50によって規制される。2つの規制部材50は、軸受ハウジング20からトップフォイル30及びバンプフォイル40の抜けを防止する。2つの規制部材50は、トップフォイル30の捩れを抑制する。そして、トップフォイル30及び各バンプフォイル40は、2つの規制部材50により軸受ハウジング20に支持される。
【0044】
<流体機械の駆動時におけるトップフォイル及びバンプフォイル>
図2に示すように、遠心圧縮機100が駆動し始めると、回転体103が回転方向Bに回転する。すると、回転体103と円筒部31との間に空気が引き込まれる。当該空気は、回転体103と円筒部31との間を回転方向Bに向けて流れる。そして、当該空気の流れにより、トップフォイル30の固定端32は、第1溝201bにおける回転方向Bに先行した内面に押し付けられる。これにより、固定端32は、回転体103が回転したとき、第1溝201bにおける回転方向Bに先行した内面によって回転方向Bへの移動が規制される。固定端32は、軸受ハウジング20に保持される。よって、トップフォイル30が軸受ハウジング20の内部において回り止めされる。なお、軸受ハウジング20の周方向における第1溝201bの幅は、回転体103が回転方向Bに回転したとき、固定端32が接触する程度の大きさである。
【0045】
回転体103の回転数が所定の回転数に到達したとき、回転体103とトップフォイル30の円筒部31との間に引き込まれた空気により流体膜105が形成される。流体膜105の動圧によって、回転体103がトップフォイル30に対して浮上する。流体膜105により回転体103がトップフォイル30と接触しない状態でラジアル方向Rdに支持される。
【0046】
回転体103が回転して流体膜105が形成されると、流体膜105により円筒部31が軸受ハウジング20の径方向の外側に向けて膨らむように弾性変形する。このとき、トップフォイル30の自由端33が、第2溝202bの内部を回転方向Bに向けて移動する。自由端33は、円筒部31が弾性変形しても第2溝202bの内面に接触しない。これにより、自由端33は、円筒部31が弾性変形したとき、第2溝202bの内部での回転方向Bへの移動が規制されない。よって、円筒部31の弾性変形が許容されている。なお、軸受ハウジング20の周方向における第2溝202bの幅は、回転体103が回転方向Bに回転したとき、自由端33が接触しない程度の大きさである。
【0047】
円筒部31の弾性変形によって円筒部31からバンプフォイル40の各山部44に荷重が入力される。そして、各山部44が円筒部31から入力される荷重により軸受ハウジング20の周方向に伸長するように弾性変形するため、トップフォイル30がバンプフォイル40に弾性的に支持される。
【0048】
<排出路>
図4に示すように、トップフォイル30の自由端33には、排出路34が貫通形成されている。排出路34は、トップフォイル30を形成する金属板材を厚さ方向に貫通している。排出路34は、自由端33を貫通する貫通孔である。
【0049】
図2の破線で示すように、排出路34は、空隙S1と、円筒部31と軸受ハウジング20との間の放出空間S2と、を連通する。放出空間S2は、回転体103の径方向において、第2溝202bに対向する位置にある空間である。
【0050】
図4に示すように、排出路34は、第1部位34aと、第2部位34bと、により形成されている。第1部位34aは、自由端33の一部を自由端33の厚さ方向に貫通している。自由端33は、一対の軸端部33aと、接続部33bと、を有している。一対の軸端部33aは、円筒部31の軸方向における自由端33の端部である。一対の軸端部33aは、トップフォイル30を形成する金属板材の長縁の一部を含む。一対の軸端部33aは、トップフォイル30を形成する金属板材の短縁の一部を含む。
【0051】
図3に示すように、一方の軸端部33aは、一方の規制部材50に対向するとともに、他方の軸端部33aは、他方の規制部材50に対向する。一対の軸端部33aは、自由端33が回転体103の回転軸線方向へ移動しようとしたときに規制部材50に接触する部分である。
【0052】
図4に示すように、接続部33bは、一対の軸端部33aを接続している。接続部33bは、トップフォイル30を形成する金属板材の短縁の一部を含む。接続部33bは、一対の軸端部33aとともにトップフォイル30を形成する金属板材の短縁を形成している。排出路34の第1部位34aは、一対の軸端部33aと、接続部33bとにより囲まれている。
【0053】
第2部位34bは、円筒部31の一部を円筒部31の厚さ方向に貫通している部分である。第2部位34bは、第1部位34aに連通している。第2部位34bは、軸受面311の他端部31bの一部を切り欠くように形成されている。軸受面311の他端部31bと自由端33との境界は、屈曲している。このため、排出路34は、円筒部31と自由端33との屈曲部分にも形成されている。要するに、排出路34は、自由端33から軸受面311に到るように延びている。第2部位34bを形成するにあたり、円筒部31を切り欠く量は、回転体103を支持する流体膜105を十分に形成できる程度とする。なお、
図4には、説明の便宜上、固定端32をあえて図示していない。
【0054】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
回転体103の回転数が所定の回転数に到達したとき、回転体103は、流体膜105によりラジアル方向Rdに支持される。トップフォイル30が軸受ハウジング20の軸方向へ移動しようとしても、回転体103の回転軸線方向への固定端32及び自由端33の移動が規制部材50により規制される。このため、トップフォイル30が捩れにくくなる。したがって、回転体103が軸受面311の一部分にのみ接触することが抑制される。よって、回転体103及びトップフォイル30の偏摩耗が抑制される。
【0055】
回転体103がトップフォイル30の円筒部31に接触しながら回転すると、摩耗粉が発生する場合がある。この摩耗粉は、例えば、軸受面311に塗布されたコーティング材が摩耗することにより発生する摩耗粉や、回転体103の外周面が摩耗することにより発生する摩耗粉、軸受面311そのものが摩耗することにより発生する摩耗粉等である。また、固定端32と自由端33との間には、空気とともに埃が入り込む場合がある。つまり、
図2に示すように、摩耗粉や埃等の異物106は、空気とともに空隙S1に入り込むことが考えられる。
【0056】
本実施形態によれば、異物106が空隙S1に流れ込んだとしても、
図2の破線で示す排出路34により空隙S1から異物106が放出空間S2に排出される。よって、固定端32と自由端33との間に異物106が堆積しにくくなる。
【0057】
固定端32と自由端33との間に異物106が堆積しにくくなることにより、異物106が固定端32と自由端33との間から回転体103に向けて突出して回転体103が押圧されることがない。このため、異物106が回転体103を押圧することにより回転体103とトップフォイル30の軸受面311とが接触する圧力が上昇しない。また、固定端32と自由端33との間から異物106が回転体103と円筒部31との間に流れ込みにくくなる。このため、回転体103とトップフォイル30の軸受面311とが接触する圧力が上昇しない。よって、異物106により回転体103とトップフォイル30とが接触する圧力が上昇することがないため、トップフォイル30の摩耗が抑制されるとともに動圧滑り軸受10の耐久性が低下することが抑制される。
【0058】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)自由端33には、排出路34が貫通形成されている。このため、異物106が空隙S1に流れ込んだとしても、排出路34により空隙S1から異物106が排出される。よって、固定端32と自由端33との間に異物106が堆積しにくくなり、動圧滑り軸受10の耐久性が低下することを抑制できる。
【0059】
(1-2)排出路34は、自由端33を貫通する貫通孔である。このため、トップフォイル30における自由端33の端縁を残しつつ、排出路34を形成することができる。よって、排出路34を形成しつつも自由端33の強度を保ちやすくなる。したがって、回転体103の回転軸線方向において自由端33の移動が規制部材50により規制されたとしても、自由端33の変形を抑制できる。
【0060】
(1-3)排出路34は、軸受面311に到るように延びている。このため、回転体103とトップフォイル30の軸受面311との間を流れる異物106が、排出路34を通じて空隙S1から更に排出されやすくなる。したがって、固定端32と自由端33との間に異物106が更に堆積しにくくなる。また、自由端33を容易に屈曲して形成することができる。
【0061】
(1-4)第1溝201bに固定端32が挿入され、且つ第2溝202bに自由端33が挿入されている。このため、第1溝201b及び第2溝202bが固定端32及び自由端33を配置する位置を示す目印になる。よって、軸受ハウジング20の内部にトップフォイル30が配置しやすくなる。
【0062】
[第2実施形態]
以下、流体機械を具体化した第2実施形態を
図5にしたがって説明する。本実施形態の第1実施形態との主な相違点は、排出路の構成が変更された点である。当該相違点について主に説明するとともに、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して、詳細な説明は割愛する。
【0063】
<排出路>
図5に示すように、トップフォイル30の自由端33は、接続部33bを省略して一対の軸端部33aのみで構成されている。排出路34の第1部位34aは、トップフォイル30を形成する金属板材の長辺方向において自由端33の端縁に開口している。排出路34は、トップフォイル30を形成する金属板材の長辺方向において自由端33を切り欠くことにより形成されている。本実施形態においても、排出路34は、軸受面311に到るように延びている。なお、
図5には、説明の便宜上、固定端32をあえて図示していない。
【0064】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態では、第1実施形態と同様の作用、及び上記(1-1)、(1-3)、及び(1-4)と同じ効果を奏するとともに以下の効果を得ることができる。
【0065】
(2-1)排出路34は、自由端33を切り欠くことにより形成されている。このため、トップフォイル30における自由端33の端縁に至るまで排出路34を延ばすことができる。よって、排出路34の大きさを確保しやすいため、排出路34を通じて空隙S1から異物106を排出しやすい。
【0066】
[第3実施形態]
以下、流体機械を具体化した第3実施形態を
図6にしたがって説明する。本実施形態の第1実施形態との主な相違点は、新たな構成が追加された点である。当該相違点について主に説明するとともに、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して、詳細な説明は割愛する。
【0067】
<ガイドフォイル>
図6に示すように、トップフォイル30と各バンプフォイル40との間には、ガイドフォイル60が設けられている。ガイドフォイル60は、トップフォイル30と同様の形状である。ガイドフォイル60は、トップフォイル30と同じ材料で形成されている。
【0068】
ガイドフォイル60は、円筒部61を有している。円筒部61は、トップフォイル30と各バンプフォイル40との間に配置されている。円筒部61は、円筒状の被覆面611を有している。被覆面611は、トップフォイル30の円筒部31に対向している。被覆面611は、トップフォイル30を被覆している。ガイドフォイル60には、各バンプフォイル40の山部44が接触している。このため、各バンプフォイル40は、ガイドフォイル60を介してトップフォイル30を弾性的に支持する。
【0069】
ガイドフォイル60は、被覆面611における周方向の一端部61aに固定端62が形成されている。固定端62は、一端部61aから軸受ハウジング20に向けて延びている。固定端62は、第1溝201bに挿入されている。固定端62は、回転体103の回転軸線方向に真っすぐ延びている。固定端62は、トップフォイル30の固定端32とバンプフォイル40の固定端41との間に挟まれている。
【0070】
ガイドフォイル60は、被覆面611における周方向の他端部61bに自由端63が形成されている。自由端63は、他端部61bから軸受ハウジング20に向けて延びている。自由端63は、第2溝202bに挿入されている。自由端63は、回転体103の回転軸線方向に真っすぐ延びている。自由端63は、軸受ハウジング20の周方向において、自由端33とバンプフォイル40の自由端42との間に位置している。被覆面611の他端部61bは、被覆面611における自由端33とバンプフォイル40との間に到る端部である。
【0071】
自由端63は、軸受ハウジング20の周方向でトップフォイル30の自由端33と対向している。自由端63は、トップフォイル30の自由端33に対して軸受ハウジング20の周方向で離れている。トップフォイル30の自由端33と、ガイドフォイル60の自由端63との間には、ガイド流路S3が形成されている。ガイド流路S3には、モータ室101aに導入された空気が流れる。排出路34により空隙S1から排出される異物106は、ガイド流路S3に流れ込む。ガイド流路S3に流れ込んだ異物106は、空気とともにガイドフォイル60の自由端63に沿って流れる。自由端63は、排出路34から排出される異物106をガイドするガイド壁である。ガイド流路S3は、排出路34から排出される異物106をガイドする。
【0072】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態では、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏するとともに、以下の作用及び効果も奏する。
【0073】
(3-1)排出路34により空隙S1から排出される異物106は、ガイド流路S3に流れ込む。そして、ガイド流路S3に流れ込んだ異物106は、ガイドフォイル60の自由端63によりガイドされつつ、軸受ハウジング20の外部へ排出される。このため、空隙S1から排出路34を通じて排出された異物106が、バンプフォイル40に向けて流れにくくなる。よって、ガイドフォイル60が設けられていない動圧滑り軸受10と比較して、バンプフォイル40とトップフォイル30との間に異物106が挟み込まれることによりバンプフォイル40及びトップフォイル30の摩耗が促進するといったことが抑制される。したがって、動圧滑り軸受10の耐久性の低下をより抑制できる。
【0074】
(3-2)排出路34により空隙S1から排出される異物106は、ガイド流路S3に流れ込む。そして、ガイド流路S3に流れ込んだ異物106は、ガイドフォイル60の自由端63によりガイドされつつ、軸受ハウジング20の外部へ排出される。このため、空隙S1から排出路34を通じて排出された異物106が、バンプフォイル40に向けて流れにくくなる。よって、ガイドフォイル60が設けられていない動圧滑り軸受10と比較して、バンプフォイル40と軸受ハウジング20との間に異物106が挟み込まれることによりバンプフォイル40及びトップフォイル30の摩耗が促進するといったことが抑制される。したがって、動圧滑り軸受10の耐久性の低下をより抑制できる。
【0075】
(3-3)トップフォイル30と各バンプフォイル40との間には、ガイドフォイル60が設けられている。このため、ガイドフォイル60が無い場合の動圧滑り軸受10では、トップフォイル30及び各バンプフォイル40のみが接触する一方で、本実施形態の動圧滑り軸受10では、ガイドフォイル60と各バンプフォイル40とが接触し、且つガイドフォイル60とトップフォイル30とが接触する。つまり、本実施形態の動圧滑り軸受10は、ガイドフォイル60が無い場合の動圧滑り軸受10と比べて、回転体103を支持する箇所が増加する。よって、動圧滑り軸受10による回転体103の振動の減衰性が向上し、回転体103の挙動が安定しやすい。
【0076】
(3-4)トップフォイル30と各バンプフォイル40との間には、ガイドフォイル60が設けられているため、トップフォイル30のたわみ量を小さくすることができる。よって、動圧滑り軸受10の負荷容量の低下を抑制できる。
【0077】
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0078】
○ 第1実施形態において、排出路34を
図7のように変更してもよい。
図7には、説明の便宜上、固定端32はあえて図示していない。
図7に示すように、トップフォイル30の自由端33には、排出路34が2つ形成されていてもよい。トップフォイル30は、1つの第1仕切板部34cをさらに有していてもよい。第1仕切板部34cは、2つの排出路34を仕切るように配置される。第1仕切板部34cは、円筒部31と接続部33bとを接続している。なお、排出路34の数は、適宜変更してもよい。
【0079】
○ 第2実施形態において、排出路34を
図8のように変更してもよい。
図8には、説明の便宜上、固定端32はあえて図示していない。
図8に示すように、トップフォイル30の自由端33には、排出路34が2つ形成されていてもよい。トップフォイル30は、1つの第2仕切板部34dをさらに有していてもよい。第2仕切板部34dは、2つの排出路34を仕切るように配置される。トップフォイル30を形成する金属板材の長辺方向において、第2仕切板部34dの端縁は、トップフォイル30を形成する金属板材の短縁の一部である。なお、排出路34の数は、適宜変更してもよい。
【0080】
○ 上記各実施形態において、一方の規制部材50は第1端面21に固定されており、他方の規制部材50は第2端面22に固定されていたが、これに限らない。例えば、各規制部材50を軸受ハウジング20の内周面20aに固定してもよい。各規制部材50は、回転体103の回転軸線方向で固定端32及び自由端33に対向しており、且つ回転体103の回転軸線方向において固定端32及び自由端33の移動を規制できればよい。
【0081】
○ 上記各実施形態において、規制部材50は、円環状でなくてもよい。例えば、各溝20bに圧入されるブロック状の部材であってもよい。
○ 上記各実施形態において、トップフォイル30の自由端33は、第2溝202bに挿入されていなくてもよい。この場合、軸受ハウジング20の内周面20aから第2溝202bを省略し、且つ各規制部材50を軸受ハウジング20の内周面20aに固定する。そして、自由端33は、回転体103の回転軸線方向において、各規制部材50に対向するように配置すればよい。
【0082】
○ 上記各実施形態において、トップフォイル30の固定端32は、第1溝201bの内面に固定されていてもよい。また、トップフォイル30の固定端32は、第1溝201bに挿入されていなくてもよい。この場合、軸受ハウジング20の内周面20aから第1溝201bを省略し、且つ固定端32を内周面20aに固定してもよい。要するに、固定端32は、少なくとも回転体103が回転したとき、トップフォイル30が軸受ハウジング20に保持されていればよい。
【0083】
○ 上記各実施形態において、2つの規制部材50の一方を省略してもよい。この場合、各溝20bのうち第1端面21又は第2端面22に開口している部分を閉塞するとよい。そして、各溝20bのうち回転体103の回転軸線方向において閉塞された部分を、回転体103の回転軸線方向で固定端32及び自由端33に対向させることにより、軸受ハウジング20からのトップフォイル30の抜けを防止してもよい。要するに、例えば、軸受ハウジング20や、ハウジング101が回転体103の回転軸線方向への自由端33の移動を規制する規制部材の機能を有していてもよい。
【0084】
○ 上記各実施形態において、規制部材50は、動圧滑り軸受10の構成要素でなくてもよい。この場合、トップフォイル30及び各バンプフォイル40は、軸受ハウジング20に適宜支持されるように構成を変更する。
【0085】
○ 上記各実施形態において、排出路34は、第2部位34bを省略して、第1部位34aのみで形成されてもよい。つまり、排出路34は、軸受面311に到るように延びていなくてもよい。
【0086】
○ 上記各実施形態において、排出路34の形状は適宜変更してもよい。排出路34は、空隙S1から異物106が排出できるように自由端33に貫通形成されていればよい。
○ 上記各実施形態において、3つのバンプフォイル40が採用されたが、1つの略円筒状のバンプフォイル40を採用してもよい。バンプフォイル40の数は、バンプフォイル40がトップフォイル30を適切に弾性的に支持できる程度の数に変更する。
【0087】
○ 上記各実施形態において、モータ室101aには、動圧滑り軸受10を直接冷却する流体としての冷媒を導入してもよい。
○ 上記各実施形態において、動圧滑り軸受10は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0088】
[付記]
実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[1]作動体と、前記作動体を駆動するために回転する回転体と、前記作動体及び前記回転体を収容するハウジングと、前記回転体を前記ハウジングに対して回転可能に支持する複数の動圧滑り軸受と、前記ハウジング内に形成されるとともに、前記回転体と前記動圧滑り軸受との間を流れて前記動圧滑り軸受を直接冷却する流体が流れる冷却流路と、を備え、前記動圧滑り軸受は、前記回転体に対向し、円筒状の軸受面を有するトップフォイルと、前記トップフォイルを間に挟んで前記回転体とは反対側の位置に配置され、伸長することで前記トップフォイルを弾性的に支持する薄板状のバンプフォイルと、前記トップフォイル及び前記バンプフォイルを支持する軸受ハウジングと、を有し、前記トップフォイルは、前記軸受面における周方向の一端部に、前記軸受ハウジングに向けて延びて前記軸受ハウジングに保持される固定端が形成され、前記軸受面における周方向の他端部に、前記軸受ハウジングに向けて延びる自由端が形成され、前記自由端は、前記回転体の回転軸線方向への移動が規制部材によって規制され、前記流体は、前記固定端と前記自由端との間の空隙を流れる流体機械において、前記自由端には、前記空隙を流れる前記流体に含まれる異物を前記空隙から排出する排出路が貫通形成されていることを特徴とする流体機械。
【0089】
[2]前記排出路は、前記自由端を貫通する貫通孔である、[1]に記載の流体機械。
[3]前記排出路は、前記自由端を切り欠くことにより形成されている、[1]に記載の流体機械。
【0090】
[4]前記排出路は、前記軸受面に到るように延びている、[2]又は[3]に記載の流体機械。
[5]前記トップフォイルと前記バンプフォイルとの間には、ガイドフォイルが設けられ、前記ガイドフォイルは、前記トップフォイルを被覆し、前記自由端と前記バンプフォイルとの間に延在する円筒状の被覆面を有し、前記被覆面における前記自由端と前記バンプフォイルとの間に到る端部には、前記軸受ハウジングに向けて延び、前記排出路から排出される異物をガイドするガイド壁が形成され、前記トップフォイルの前記自由端と、前記ガイドフォイルの前記ガイド壁との間には、前記排出路から排出される異物をガイドするガイド流路が形成されている[1]~[4]のいずれか一項に記載の流体機械。
【符号の説明】
【0091】
10…動圧滑り軸受、20…軸受ハウジング、30…トップフォイル、31a…軸受面における周方向の一端部、31b…軸受面における周方向の他端部、32…固定端、33…自由端、34…排出路、40…バンプフォイル、50…規制部材、60…ガイドフォイル、63…ガイド壁としてのガイドフォイルの自由端、100…流体機械、101…ハウジング、101a…冷却流路としてのモータ室、103…回転体、104…作動体としてのインペラ、106…異物、311…トップフォイルの軸受面、611…ガイドフォイルの被覆面、S1…空隙、S3…ガイド流路。