(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064125
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ガラス物品、及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20240507BHJP
H01Q 9/40 20060101ALI20240507BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20240507BHJP
H01Q 1/50 20060101ALI20240507BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01R24/38
H01Q9/40
H01Q1/38
H01Q1/50
H05K3/34 501D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172483
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】523220503
【氏名又は名称】セントラル硝子プロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】平林 幹也
【テーマコード(参考)】
5E223
5E319
5J046
【Fターム(参考)】
5E223AB60
5E223AB65
5E223BA47
5E223BB01
5E223CA13
5E223CD01
5E223CD12
5E223CD13
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB36
5E223GA11
5E319AA03
5E319AB06
5E319AC04
5E319BB05
5E319CC22
5E319GG20
5J046AA12
5J046AB06
5J046AB17
5J046PA07
5J046TA03
5J046TA05
(57)【要約】
【課題】広い周波数範囲で、低いVSWRのガラスアンテナ用コネクタ及びガラス物品を提供する。
【解決手段】ガラス物品であって、芯線パターンと接地パターンを有するガラス基板と、前記ガラス基板上に形成され、少なくとも前記芯線パターンに接続されるアンテナと、前記アンテナと接続されるコネクタとを備え、前記コネクタは、同軸ケーブルが接続されたプラグが嵌合する外部導体と、前記プラグの中心導体が接続される中心コンタクトと、前記芯線パターンにはんだ付けされ、前記中心コンタクトとブリッジ部を介して電気的に接続される芯線側端子と、前記外部導体と接続され、前記接地パターンとはんだ付けされる接地側端子とを有し、前記ブリッジ部の幅は3mm以上6mm以下であり、前記ブリッジ部と前記接地パターンとは、容量結合する距離に近接して設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス物品であって、
芯線パターンと接地パターンを有するガラス基板と、
前記ガラス基板上に形成され、少なくとも前記芯線パターンに接続されるアンテナと、
前記アンテナと接続されるコネクタとを備え、
前記コネクタは、
同軸ケーブルが接続されたプラグが嵌合する外部導体と、
前記プラグの中心導体が接続される中心コンタクトと、
前記芯線パターンにはんだ付けされ、前記中心コンタクトとブリッジ部を介して電気的に接続される芯線側端子と、
前記外部導体と接続され、前記接地パターンとはんだ付けされる接地側端子とを有し、
前記ブリッジ部の幅は3mm以上6mm以下であり、
前記ブリッジ部と前記接地パターンとは、容量結合する距離に近接して設けられることを特徴とするガラス物品。
【請求項2】
請求項1に記載のガラス物品であって、
前記ガラス基板の主面側から見たときに、前記ブリッジ部と前記接地パターンとが、長さ5mm以上重なることを特徴とするガラス物品。
【請求項3】
請求項1に記載のガラス物品であって、
前記ブリッジ部が50オーム同軸ケーブルと整合するインピーダンスであることを特徴とするガラス物品。
【請求項4】
請求項1に記載のガラス物品であって、
前記ブリッジ部は、前記芯線側端子から2mmの範囲では、前記ガラス基板との距離が1mm以上であることを特徴とするガラス物品。
【請求項5】
請求項1に記載のガラス物品であって、
前記ブリッジ部は、前記ガラス基板の方向に突出する溝を有することを特徴とするガラス物品。
【請求項6】
請求項5に記載のガラス物品であって、
前記ガラス基板の主面側から見たときに、前記溝は、前記芯線側端子から2mm以上離れていることを特徴とするガラス物品。
【請求項7】
請求項5に記載のガラス物品であって、
前記溝の凹み量は、0.5mm以下であることを特徴とするガラス物品。
【請求項8】
請求項1に記載のガラス物品であって、
前記芯線側端子及び前記接地側端子の少なくとも一方は、前記ガラス基板の方向に突出する突起を有することを特徴とするガラス物品。
【請求項9】
請求項1に記載のガラス物品であって、
前記接地側端子は、前記外部導体の左右に対称に設けられることを特徴とするガラス物品。
【請求項10】
芯線パターンと接地パターンを有するガラス基板に取り付けられるコネクタであって、
前記コネクタは、
同軸ケーブルが接続されたプラグが嵌合する外部導体と、
前記プラグの中心導体が接続される中心コンタクトと、
前記芯線パターンにはんだ付けされ、前記中心コンタクトとブリッジ部を介して電気的に接続される芯線側端子と、
前記外部導体と接続され、前記接地パターンとはんだ付けされる接地側端子とを有し、
前記ブリッジ部の幅は3mm以上6mm以下であり、
前記ブリッジ部と前記接地パターンとは、容量結合する距離に近接して設けられることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス物品に関し、特に、コネクタが実装されるガラス物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板に形成された導電パターンから信号を取り出すため、導電パターンに端子が取り付けられる。ガラス基板に取り付けられる端子には、例えば、特許文献1(特開2010-146959号公報)に記載されるものがある。
【0003】
特許文献1には、基板上のガラスアンテナに装着するホルダ部と、前記ホルダ部に着脱自在に嵌合し、同軸ケーブルに接続するピックアップ部とを備えるコネクタであって、前記コネクタの特性インピーダンスは、前記ピックアップ部に接続する同軸ケーブルと略等しく、前記ホルダ部は、所定の幅の給電用端子と、前記給電用端子の両側を所定の間隔をもって囲むように配置した接地用端子とを備え、前記ピックアップ部は、前記同軸ケーブルの芯線と前記給電用端子とを接続する芯線固定部(かしめ部)と、前記同軸ケーブルの外周線と前記接地用端子とを接続する接地用導体とを備えることを特徴とするコネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-146959号公報
【特許文献2】国際公開2022/163447号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガラス基板への端子の取付精度の向上は困難であり、端子が導電パターンからはみ出さないように、導電パターンを大きくしている。このため、ガラス基板の芯線側導電パターンと接地側導電パターンを離して配置する、すなわち、コネクタの芯線側端子と接地側端子を離して配置する必要がある。この場合、芯線側端子や接地側端子への線路がアンテナとして機能して、端子単体と端子をガラス基板に取り付けたときで特性が変化することがある。このため、芯線側端子や接地側端子への線路がアンテナとして機能しない構造にすることが求められる。例えば、同軸コネクタ本体と芯線側端子が10mm程度離れていると、同軸コネクタ本体から芯線側端子に信号を引き出す線路であるブリッジ部でインピーダンスが変化し、特に1GHz以上の高周波帯でVSWRが高くなることがある。
【0006】
本開示は、広い周波数範囲で、低いVSWRのガラスアンテナ用コネクタ及びガラス物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本開示(1)は、ガラス物品であって、芯線パターンと接地パターンを有するガラス基板と、前記ガラス基板上に形成され、少なくとも前記芯線パターンに接続されるアンテナと、前記アンテナと接続されるコネクタとを備え、前記コネクタは、同軸ケーブルが接続されたプラグが嵌合する外部導体と、前記プラグの中心導体が接続される中心コンタクトと、前記芯線パターンにはんだ付けされ、前記中心コンタクトとブリッジ部を介して電気的に接続される芯線側端子と、前記外部導体と接続され、前記接地パターンとはんだ付けされる接地側端子とを有し、前記ブリッジ部の幅は3mm以上6mm以下であり、前記ブリッジ部と前記接地パターンとは、容量結合する距離に近接して設けられることを特徴とするガラス物品である。
【0008】
また、本開示(2)は、本開示(1)に記載のガラス物品であって、前記ガラス基板の主面側から見たときに、前記ブリッジ部と前記接地パターンとが、長さ5mm以上重なることを特徴とするガラス物品である。
【0009】
また、本開示(3)は、本開示(1)又は(2)に記載のガラス物品であって、前記ブリッジ部が50オーム同軸ケーブルと整合するインピーダンスであることを特徴とするガラス物品である。
【0010】
また、本開示(4)は、本開示(1)から(3)のいずれか一つに記載のガラス物品であって、前記ブリッジ部は、前記芯線側端子から2mmの範囲では、前記ガラス基板との距離が1mm以上であることを特徴とするガラス物品である。
【0011】
また、本開示(5)は、本開示(1)から(4)のいずれか一つに記載のガラス物品であって、前記ブリッジ部は、前記ガラス基板の方向に突出する溝を有することを特徴とするガラス物品である。
【0012】
また、本開示(6)は、本開示(5)に記載のガラス物品であって、前記ガラス基板の主面側から見たときに、前記溝は、前記芯線側端子から2mm以上離れていることを特徴とするガラス物品である。
【0013】
また、本開示(7)は、本開示(5)又は(6)に記載のガラス物品であって、前記溝の凹み量は、0.5mm以下であることを特徴とするガラス物品である。
【0014】
また、本開示(8)は、本開示(1)から(7)のいずれか一つに記載のガラス物品であって、前記芯線側端子及び前記接地側端子の少なくとも一方は、前記ガラス基板の方向に突出する突起を有することを特徴とするガラス物品である。
【0015】
また、本開示(9)は、本開示(1)から(8)のいずれか一つに記載のガラス物品であって、前記接地側端子は、前記外部導体の左右に対称に設けられることを特徴とするガラス物品である。
【0016】
また、本開示(10)は、芯線パターンと接地パターンを有するガラス基板に取り付けられるコネクタであって、前記コネクタは、同軸ケーブルが接続されたプラグが嵌合する外部導体と、前記プラグの中心導体が接続される中心コンタクトと、前記芯線パターンにはんだ付けされ、前記中心コンタクトとブリッジ部を介して電気的に接続される芯線側端子と、前記外部導体と接続され、前記接地パターンとはんだ付けされる接地側端子とを有し、前記ブリッジ部の幅は3mm以上6mm以下であり、前記ブリッジ部と前記接地パターンとは、容量結合する距離に近接して設けられることを特徴とするコネクタである。
【発明の効果】
【0017】
本開示の一態様によれば、広い周波数範囲で、低いVSWRのガラスアンテナ用コネクタ及びガラス物品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1のコネクタが実装されたガラス物品の斜視図である。
【
図3】実施例1のコネクタをAA線で切断した斜視図である。
【
図4】実施例1のコネクタをAA線で切断した側面図であり、ガラス物品に実装された状態を示す。
【
図5】実施例2のコネクタが実装されたガラス物品の斜視図である。
【
図7】実施例2のコネクタをAA線で切断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施例1>
図1は、実施例1のコネクタ10が実装されたガラス物品の斜視図であり、
図2は、実施例1のコネクタ10の斜視図であり、
図3は、実施例1のコネクタ10をAA線で切断した斜視図である。
【0020】
実施例1のガラス物品は、ガラス基板20と、ガラス基板20上に取り付けられるコネクタ10によって構成される。
【0021】
ガラス基板20上には、
図1に示すように、有色セラミックによる不透明層21が設けられる。不透明層21は、低融点ガラスの粉末と顔料とをペースト状にした絶縁性のセラミックペーストを、ガラス基板20に印刷した後、焼き付けることによって形成される有色(通常は黒色)の層である。不透明層21上には導電性ペーストを印刷した後、焼き付けることによって形成される接地パターン22と芯線パターン23が設けられる。
【0022】
芯線パターン23には、アンテナ30が接続される。アンテナ30としては、特に限定されないが、例えば、国際公開2022/163447号に開示される、2辺の長さが異なるL字型、三角形型、四角形型の面状エレメントと、芯線側給電部とを持つアンテナ装置を使用することができる。面状エレメントは、導電性物質が中実の面状に形成されてもよいし、メッシュ状の面状に形成されてもよい。アンテナ30は、ガラス面上に銀などの金属の粉末を含む導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼き付けて形成されてもよい。その場合、導電パターン23とアンテナ30とを一括して導電性のセラミックペーストにより形成することができる。また、樹脂フィルム上に形成された導電性パターンによってアンテナ導体を形成し、樹脂フィルムをガラス板に貼付して構成してもよい。
【0023】
コネクタ10は、中心コンタクト1、中心コンタクト1とシェル3の間に設けられる絶縁体2、外部導体を構成するシェル3、シェル3に接続される接地側端子4、及び中心コンタクト1に接続されるブリッジ部6及び芯線側端子5で構成される同軸コネクタである。コネクタ10は、左右に設けられる二つの接地側端子4及び他の方向に設けられる一つの芯線側端子5でガラス基板20に取り付けられる。
【0024】
中心コンタクト1は、2枚の端子板1Aと2枚の端子板1Aを連結する接続部1Bを形成する金属板(例えば、バネ性に優れた金属であるリン青銅)で構成される。コネクタ10がプラグ(図示省略)と嵌合するときに、プラグの中心コンタクトが2枚の端子板1Aの間に挿入され、コネクタ10の中心コンタクト1とプラグの中心コンタクトが導通する。
【0025】
絶縁体2は、中心コンタクト1とシェル3の間に設けられる円筒形の絶縁体で、例えば摩擦が小さいフッ素系合成樹脂で形成するとよい。
【0026】
シェル3は、中心コンタクト1及び絶縁体2を囲むように外側に円筒形に形成される外部導体である。シェル3は、円筒形ではなく、断面が角丸四角形の筒状に形成されてもよい。コネクタ10がプラグと嵌合するときに、プラグの外部導体がシェル3の外側面に接触し、コネクタ10のシェル3とプラグの外部導体が導通する。
【0027】
シェル3の下部には、シェル3の左右の対称の位置に接地側端子4が設けられる。シェル3の左右の対称の位置に、接地側端子4を設けることによって、接地電位が左右均等となり、シェル3からの不要輻射を抑制できる。接地側端子4には、(例えば4個の)突起4Aが設けられるとよい。突起4Aは、下方(コネクタ10が取り付けられるガラス基板20の方向)に突出し、接地側端子4とガラス基板20上の接地パターン22の間の空間を形成し、この空間に導入されたはんだによってコネクタ10をガラス基板20に強固に固定する。シェル3と接地側端子4は、金属板からプレス加工で一体に形成されるとよい。
【0028】
芯線側端子5は、コネクタ10の下方から延伸したブリッジ部6の端部に設けられる。中心コンタクト1の下端はブリッジ部6に接続されており、ブリッジ部6は、接地側端子4が設けられる方向と異なる(望ましくは直交する)方向に略水平に延伸し、ブリッジ部6の他端部には芯線側端子5が設けられる。芯線側端子5には、(例えば4個の)突起5Aが設けられるとよい。突起5Aは、下方(コネクタ10が取り付けられるガラス基板20の方向)に突出し、芯線側端子5とガラス基板20上の導電パターンの間の空間を形成し、この空間に導入されたはんだによってコネクタ10をガラス基板20に強固に固定する。接地側端子4の突起4Aと、芯線側端子5の突起5Aは、両方に設けられてもよいし、一方に設けられてもよい。
【0029】
ブリッジ部6の幅w1は3~6mmであるとよく、望ましくは4~5mmであるとよい。ブリッジ部6と接地パターン22は近接して設けられており、ガラス基板20の主面側から見たときに、ブリッジ部6と接地パターン22とが、長さL=5mm以上重なっているとよく、7mm以上重なっているとよい。
図4に示すように、ブリッジ部6と接地パターン22との重なり長さLは、ブリッジ部6のコンタクト1の下端位置と接地パターン22の芯線パターン23側の端部との距離で定められる。なお、コネクタの大きさ次第で長さLの上限は変化するが、通常は20mm以下と考えられる。ブリッジ部6と接地パターン22の間の距離は、0.1mm以上5mm以下であってもよく、0.3mm以上2mm以下であってもよく、0.5mm以上1mm以下であってもよい。このため、ブリッジ部6と接地パターン22が容量結合し、ブリッジ部6と接地パターン22の間の距離、及びブリッジ部6と接地パターン22の間の重なり面積によって、ブリッジ部6と接地パターン22の間の容量を調整できる。このため、ブリッジ部6と接地パターン22によってLC回路が構成でき、コネクタ10のインピーダンスを調整できる。ブリッジ部6のインピーダンスは、コネクタ10に接続されるケーブルのインピーダンス(例えば、50オーム)と整合するように、ブリッジ部6の幅と接地パターン22との距離を設定するとよい。例えば、接地側端子4と芯線側端子5の間に所定のインピーダンスの終端抵抗を装荷して、コネクタ10(中心コンタクト1とシェル3)側から測定したVSWRによって、ブリッジ部6のインピーダンスが接続ケーブルのインピーダンスと整合しているかを判定できる。さらに、ブリッジ部6は、芯線側端子5から2mmの範囲では、ガラス基板20との距離が1mm以上であると、芯線側端子5を芯線パターン23に取り付ける際のはんだがブリッジ部6と接触しなくてよい。コネクタの大きさ次第で、ブリッジ部6とガラス基板20との距離の上限は変化するが、通常は5mm以下と考えられる。
【0030】
<実施例2>
次に、実施例2を説明する。実施例2は、ブリッジ部6に溝6Aが設けられる点で実施例1と異なる。なお、実施例2において、主に実施例1との差異を説明し、実施例1と同じ構成及び処理には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0031】
図5は、実施例2のコネクタ10が実装されたガラス物品の斜視図であり、
図6は、実施例2のコネクタ10の斜視図であり、
図7は、実施例2のコネクタ10をAA線で切断した斜視図である。
【0032】
実施例2のコネクタ10は、実施例1のコネクタ10と異なり、ブリッジ部6に、下方(ガラス基板20の方向)に突出する溝6Aが設けられる。溝6Aの凹み量を調整することによって、ブリッジ部6とガラス基板20の接地パターン22の間の距離を容易に調整でき、ブリッジ部6と接地パターン22の間の容量を調整できる。このため、ブリッジ部6と接地パターン22によってLC回路が構成でき、コネクタ10のインピーダンスを調整できる。また、溝6Aによって、ブリッジ部6の強度を向上し、形状を安定することによって、ブリッジ部6の形状変化によるコネクタ10の特性変化を抑制できる。例えば、溝6Aの凹み量、すなわち溝6Aの深さは0.1mm以上又は0.2mm以上であってもよく、0.5mm以下であってもよい。また、ブリッジ部6の強度を向上させるため、溝6Aの長さは、ブリッジ部6の長さの50%以上であることが好ましく、75%以上であることが好ましい。また、溝6Aの幅w2は、ブリッジ部6の幅w1に対して25%以上75%以下であることが好ましい。また、ガラス基板20の主面側から見たときに、溝6Aは芯線側端子5から2mm以上離れていると、芯線側端子5を芯線パターン23に取り付ける際のはんだが溝6Aと接触しなくてよい。コネクタの大きさ次第で溝6Aと芯線側端子5との距離の上限は変化するが、通常は5mm以下と考えられる。
【0033】
実施例1のコネクタ10でブリッジ部6の幅w1を、1~6mmまで変化させた場合のコネクタ10の0.7GHz~5GHzの範囲内におけるVSWRの最大値を示す。
w1=1mm 8.17
w1=2mm 4.42
w1=3mm 3.18
w1=4mm 2.60
w1=5mm 2.75
w1=6mm 3.12
【0034】
この周波数範囲でw1=3~6mmにすると同軸コネクタの好ましいVSWR3.5以下を実現でき、w1=4~5mmにすると同軸コネクタの好ましいVSWR3以下を実現できる。
【0035】
以上に説明したように、本明細書に開示した実施例によると、芯線側端子5に接続されるブリッジ部6の幅を広くして、ガラス基板20の接地パターン22と容量結合させ、コプレーナウェイブガイド構造を形成することで、マイクロストリップ線路を構成する。このため、ブリッジ部6が同軸ケーブルや同軸コネクタとインピーダンスマッチングするので、広い周波数範囲で、低いVSWRのガラスアンテナ用コネクタ及びガラス物品を提供できる。
【0036】
以上、本開示を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本開示はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。
【符号の説明】
【0037】
1 中心コンタクト
2 絶縁体
3 シェル
4 接地側端子
4A 突起
5 芯線側端子
5A 突起
6 ブリッジ部
6A 溝
20 ガラス基板
21 不透明層
22 接地パターン
23 芯線パターン