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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064126
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】整形装置および搬送コンベア
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/24 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B65B61/24
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172484
(22)【出願日】2022-10-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】592089205
【氏名又は名称】久米機電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】久米 隆司
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA05
3E056BA03
3E056CA01
3E056DA05
3E056EA05
3E056FG03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】粉体・顆粒体等を上部流入口から流入・溶着させた小さく、軽く且つ薄い分包体を、内容物に片寄りがあるままで水平に積層させた積層体として、その積層体全体の積厚を均一にする整形装置および搬送コンベアを提供する。
【解決手段】分包体がなす積層体200の積厚を均一にさせる整形装置1に、積層体の側方四周を囲む立設片42と、積層体を振動させる振動手段10と、積層体を傾斜させる傾斜手段20とを備え、傾斜手段により積層体の嵩高側を上げて傾斜させ、内容物を嵩高側から対向した底縁部の側に流下させるようにし、振動手段をなす筋状振動部材31により積層体の底部を支え、被衝突部材40を積層体の上方に隙間をあけて配設させ、筋状振動部材と被衝突部材で挟んだ状態で、積層体を被衝突部材に衝突させるように突き上げて振動させ、内容物の収容状態のむらをなくし、積層体全体の積厚を均一にさせる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が片寄った分包体が積層され、積厚が不均一とされ、嵩高となっている積層体の積厚を均一にさせる整形装置において、
前記積層体の側方四周を囲む立設片と、振動手段と傾斜手段とを含み、
前記振動手段が、筋状振動部材と、被衝突部材とを備え、
前記筋状振動部材が、嵩高となっている側の前記積層体の底縁部に沿って延びて、前記積層体の底部を支えるように配設され、
前記被衝突部材が、前記積層体の中央部上方に配設され、
前記傾斜手段が、前記積層体の四周が前記立設片で支えられた状態で、前記底縁部に対向した底縁部を下軸として、前記積層体の嵩高側を上げて、前記積層体を傾斜状態とし、各々の前記分包体の片寄った内容物を前記対向した底縁部の側に流下させ、
前記振動手段が、前記積層体と前記被衝突部材との間に隙間をあけて、前記被衝突部材と前記筋状振動部材とで前記積層体を挟んだ状態で、前記積層体を前記被衝突部材に衝突させるように振動させ、
前記内容物の収容状態のむらをなくし、前記積層体の全体の積厚を均一にさせる、
ことを特徴とする整形装置。
【請求項2】
前記傾斜手段が前記積層体を傾斜状態とさせてから、前記振動手段が前記筋状振動部材を振動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の整形装置。
【請求項3】
前記傾斜手段が前記積層体を傾斜させつつ、前記振動手段が前記筋状振動部材を振動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の整形装置。
【請求項4】
更に、離間距離調整手段を含み、
前記離間距離調整手段が、傾斜状態調整手段と高さ調整手段のうちの少なくともいずれかを含み、
前記傾斜状態調整手段により、前記傾斜手段による前記傾斜状態の傾斜角度が変更可能とされ、
前記高さ調整手段により、前記積層体と前記被衝突部材との離間距離が変更可能とされていることにより、
前記離間距離調整手段が、前記積層体の最上層の分包体と前記被衝突部材との振動発生前の離間距離を調整可能としている、
ことを特徴とする請求項1に記載の整形装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の整形装置を含んだ搬送コンベアにおいて、
隣り合って複数の前記整形装置が配設され、複数の前記整形装置の前記被衝突部材が、一体の筋状部材をなすと共に前記筋状振動部材と同一方向に延び、
前記立設片のうち、前記被衝突部材と交差する立設片が、その天辺中央部に切欠部を有し、
前記立設片の高さが、前記切欠部を除いて前記積層体の積厚よりも高い、
ことを特徴とする搬送コンベア。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の整形装置を含んだ搬送コンベアにおいて、
複数の前記整形装置が配設され、上流から下流にかけて、徐々に前記積層体の全体の積厚を均一にさせる、
ことを特徴とする搬送コンベア。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の整形装置を含んだ搬送コンベアにおいて、
前記搬送コンベアが、搬送と停止とを交互に繰り返す間欠搬送コンベアとされ、
前記整形装置が、搬送の停止位置において、前記積層体の積厚を均一にさせる、
ことを特徴とする搬送コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体・顆粒体が片寄って封入された分包体の内容物の収容状態のむらをなくし、分包体を積層させた積層体の積厚を均一な状態にさせ、積層体を束ねた帯体の結束がゆるみ又は外れず、積層体を包装箱に収容容易となるように整形する整形装置および搬送コンベアに関する。
【0002】
具体的には、袋状体をなすように熱溶着シートを溶着して、上方に向けた開放口から粉体・顆粒体を流入させ、開放口を熱溶着して閉塞・切断した分包体とし、その分包体を水平に積層させた積層体とし、積厚が片寄っている積層体を、積厚を均一な状態にさせる整形装置等に関する。より具体的には、分包体を傷つけず且つ飛散させないように、積厚が片寄っている分包体がなす積層体の嵩高側全体を、上げるように傾斜させると共に振動させて、各々の分包体の厚さのむらをなくして、積層体の積厚を均一な状態にさせる整形装置等に関する。
【0003】
特許文献1には、水平に積層させた分包品の未結束集積体をバケットコンベアにより搬送させるときに、昇降可能な押圧板により未結束集積体の上面を押圧しつつ、押圧板に備えさせた振動機を振動させて、片寄った内容物を均し、集積高さを縮減させるとする技術が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、分包品を集積させて未結束集積体とした状態で、上方からエア圧により押圧させると共に振動させている。
【0004】
しかし、押圧させるエア圧が高くなると、分包品をなす分包シートが破れる可能性があるとされていると共に、大きな粒体が混合した顆粒体である場合には、押圧により大きな粒体が破損し、分包シートが破れないまでも、分包シートに押圧跡を残してしまう可能性があり、粒径が不揃いな顆粒体の場合には適用できないという課題があった。
【0005】
特許文献2には、分包体を立てて重ねた状態の集積体とし、集積体の側方から圧縮シリンダにより圧縮させた状態で集積体の天地を反転させ、所定時間経過後に、集積体の天地を戻すようにさせる技術が開示されている。特許文献2に記載の技術によれば、圧縮した状態で反転させるようにして、袋内部の粉体や顆粒体の流動性を利用して、粉体や顆粒体を袋内部に均一に分散させるとされている。
【0006】
しかし、積層体を天地反転させるときの圧縮力が小さいと分包体が脱落する可能性があり、圧縮力が大きいと分包体のシートに大きな粒体による押圧跡を残し、又は内容物をなす粒体を型崩れさせ、破損させる可能性があった。分包体を脱落させず、且つ、粒体を型崩れさせないようにするためには、分包体が立てて重ねられた積層体の状態を維持させるには複雑な機構が必要であった。
【0007】
特許文献3には、フレーク状苛性ソーダを充填させ、内容物が片寄った粉粒充填袋の製袋機の技術が開示されている。この技術によれば、粉粒充填袋を載置する傾斜板の振動と、振動板にあけたスリットを通した突上げ棒による突上げにより、片寄った内容物を均すとされている。具体的には、粉粒充填袋の膨らんだ部分が傾斜板上方に、充填袋の萎んだ部分が傾斜板下方になるように充填袋を傾斜板に載置し、傾斜板全体を振動機により振動させつつ、傾斜板上方に開けたスリットから突上げ棒により充填袋の膨らんだ部分を突き上げるとされている。
【0008】
しかし、この文献に記載の技術は、フレーク状苛性ソーダ等の粉粒充填袋の単体に適用するには好適であるが、小さく、軽く且つ薄い薬品の分包体を積層させた積層体に適用すると、分包体を飛散させ易く、分包体の積層状態を維持することができないという課題があった。
【0009】
特許文献4には、袋体を押圧する押圧力を発生させず、内容物を破損させないようにして内容物の収容状態を均一化する技術として、断面形状が楕円、多角形等の非円形形状のローラを並べたコンベアローラを使って搬送することにより、電子部品等の内容物の収容状態を均一化させる技術が開示されている。
【0010】
しかし、特許文献4に記載の技術も、特許文献3に記載の技術と同様に、小さく、軽く且つ薄い分包体を積層させた積層体には適用できないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平03-15314号公報
【特許文献2】特開平09-226722号公報
【特許文献3】実開昭59-019507号公報
【特許文献4】実開平01-039213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、粉体・顆粒体等の内容物が片寄って封入された、小さく、軽く且つ薄い分包体が積層され、積厚が不均一とされ、嵩高となっている積層体について、分包体や内容物を傷つけないようにして、全体の積厚を均一にする整形装置及び搬送コンベアを提供することである。
【0013】
本発明の第1の発明は、内容物が片寄った分包体が積層され、積厚が不均一とされ、嵩高となっている積層体の積厚を均一にさせる整形装置において、前記積層体の側方四周を囲む立設片と、振動手段と傾斜手段とを含み、前記振動手段が、筋状振動部材と、被衝突部材とを備え、前記筋状振動部材が、嵩高となっている側の前記積層体の底縁部に沿って延びて、前記積層体の底部を支えるように配設され、前記被衝突部材が、前記積層体の中央部上方に配設され、前記傾斜手段が、前記積層体の四周が前記立設片で支えられた状態で、前記底縁部に対向した底縁部を下軸として、前記積層体の嵩高側を上げて、前記積層体を傾斜状態とし、各々の前記分包体の片寄った内容物を前記対向した底縁部の側に流下させ、前記振動手段が、前記積層体と前記被衝突部材との間に隙間をあけて、前記被衝突部材と前記筋状振動部材とで前記積層体を挟んだ状態で、前記積層体を前記被衝突部材に衝突させるように振動させ、前記内容物の収容状態のむらをなくし、前記積層体の全体の積厚を均一にさせることを特徴としている。
【0014】
立設片は、積層体が側方に脱出しないように側方四周を囲んでいればよく、板体でなくともよく、軸体であってもよい。傾斜手段又は振動手段の動作形態は限定されず、突上げ軸体をクランクにより上下振動させるようにしてもよく、磁気の反発によってもよく、動力も限定されない。傾斜角度、振幅、振動数も分包体の大きさ、内容物に応じて適宜選択されればよく限定されない。振動手段の振動振幅、振動速度が限定されないのは勿論のことである。
【0015】
傾斜手段が、積層体全体を傾斜させ、内容物が片寄っている分包体自体を傾斜させるため、分包体の内容物をなす粉体・顆粒体は、傾斜された下方に流下する。単に、傾斜させるだけで内容物を流下させようとすると大きな傾斜を必要とし、また、単に大きな傾斜とするだけでは、内容物が一気に傾斜下流側に流下し、嵩高の位置が逆転するだけになりやすい。
【0016】
しかし、第1の発明では、積層体を傾斜させると共に、積層体の嵩高となっている縁部に筋状振動部材を接しさせて振動させるため、各々の分包体の内容物をなす粉体・顆粒体に振動が伝わりやすく、内容物が分散されやすく、内容物が傾斜した下方に流下しやすくなる。また、周囲を立設片で囲み、上方に隙間をあけて被衝突部材を配設し、積層体の上部を衝突させているため、積層体への振幅を小さく抑えることができ、分包体の一部に押圧力をかけることがなく、分包体の外面を傷つけにくく、積層体をなす個々の分包体を飛散させない。
【0017】
被衝突部材の形状は、筋状体であってもよく平面状体であってもよい。積層体の中央部上方に、被衝突部材を配設させて、下方の筋状振動部材からのみでなく、上下異なる位置で分包体への振動を伝達させているため、積層体全体が振動される。これにより、積層体をなす分包体の内容物が一方に片寄らず、収容状態のむらがなくなり、積層体全体の積厚を均一にさせやすい。
【0018】
第1の発明によれば、大きな傾斜が必要でなく、内容物が一気に傾斜下方に流下せず、大きな振幅が必要でなく、分包体を飛散・傷つけにくい。これにより、小さく、軽く且つ薄い分包体の内容物をむらなく分散させて、分包体の外面を傷つけないで均一な厚さにしやすく、分包体を積層させた積層体全体の積厚を均一な状態にできるという有利な効果を奏する。また、分包体を重ねて積層体としてから整形させているため、各々の分包体を個別に整形させるよりも、高い生産効率で積厚を均一にすることができる。
【0019】
本発明の第2の発明は、第1の発明の整形装置において、前記傾斜手段が前記積層体を傾斜状態とさせてから、前記振動手段が前記筋状振動部材を振動させることを特徴としている。第2の発明では、第1ステップで傾斜させて、第2ステップで振動させている。第2の発明によれば、整形作用をなす傾斜と振動を別々の動作機構で実行することができるため、動作機構が複雑にならないという効果を奏する。
【0020】
本発明の第3の発明は、第1の発明の整形装置において、前記傾斜手段が前記積層体を傾斜させつつ、前記振動手段が前記筋状振動部材を振動させることを特徴としている。第3の発明では、傾斜させながら振動させている。第3の発明によれば、整形作用をなす傾斜と振動を同時に実行しているため、内容物が分離しやすい粒度が異なる粉体と粒体が混在した粉粒体であっても、分包体を均一な厚さにしやすいという効果を奏する。
【0021】
本発明の第4の発明は、第1の発明の整形装置において、更に、離間距離調整手段を含み、前記離間距離調整手段が、傾斜状態調整手段と高さ調整手段のうちの少なくともいずれかを含み、前記傾斜状態調整手段により、前記傾斜手段による前記傾斜状態の傾斜角度が変更可能とされ、前記高さ調整手段により、前記積層体と前記被衝突部材との離間距離が変更可能とされていることにより、前記離間距離調整手段が、前記積層体の最上層の分包体と前記被衝突部材との振動発生前の離間距離を調整可能としていることを特徴としている。
【0022】
第4の発明では、傾斜状態調整手段、高さ調整手段の少なくともいずれかの離間距離調整手段を含んだ構成としている。離間距離を大きくするためには、積層体の傾斜状態の角度を小さくし、被衝突部材の位置を上げればよく、離間距離を小さくするためには、積層体の傾斜状態の角度を大きくし、被衝突部材の位置を下げればよい。分包体の大きさ・材質、内容物の性質・量等に応じて、離間距離調整手段により、積層体の最上層の分包体と被衝突部材との振動発生前の離間距離を調整すればよい。
【0023】
例えば、表面積が大きい分包体の場合に、傾斜だけを大きくすると、内容物が一気に傾斜下方に流下しやすくなるため、傾斜を小さくし、被衝突部材との離間距離を大きくしておき、振動振幅が大きくなるようにすればよい。分包体の内容物が小さな粉体の場合には、内容物が分散しやすいように傾斜を大きくすればよい。分包体が小さい場合には、分包体が飛散しにくいように、被衝突部材との離間距離を小さくしておけばよい。第4の発明によれば、分包体の大きさ・材質、内容物の性質・量等に応じて、より適切に分包体の厚さを均一にして、積層体の全体の積厚を均一な状態にさせることができる。
【0024】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の整形装置を含んだ搬送コンベアにおいて、隣り合って複数の前記整形装置が配設され、複数の前記整形装置の前記被衝突部材が、一体の筋状部材をなすと共に前記筋状振動部材と同一方向に延び、前記立設片のうち、前記被衝突部材と交差する立設片が、その天辺中央部に切欠部を有し、前記立設片の高さが、前記切欠部を除いて前記積層体の積厚よりも高いことを特徴としている。
【0025】
第5の発明では、搬送コンベアにおいて、隣り合わせに複数の整形装置が配設され、集積体の上部に位置する被衝突部材が繋がった一体の筋状部材とされている。被衝突部材が切欠部に納まるように配設されるため、積層体の積層枚数に応じて被衝突部材の衝突高さを変更しても、傾斜・振動の際に分包体が飛散されにくい。隣り合った整形装置の駆動装置と被衝突部材とを共有できることにより、機構が簡易となるだけでなく、積層枚数が変わっても適用しやすく、汎用性が高いという効果を奏する。
【0026】
本発明の第6の発明は、第1から第4の発明の整形装置を含んだ搬送コンベアにおいて、複数の前記整形装置が配設され、上流から下流にかけて、徐々に前記積層体の全体の積厚を均一にさせることを特徴としている。第6の発明の搬送コンベアにおいては、複数箇所に整形装置を配設させて、徐々に嵩高を縮小させている。第6の発明によれば、複数の工程を経て、精度よく積層体の積厚を均一な状態にさせることができるという効果を奏する。
【0027】
本発明の第7の発明は、第1から第4の発明の整形装置を含んだ搬送コンベアにおいて、前記搬送コンベアが、搬送と停止とを交互に繰り返す間欠搬送コンベアとされ、前記整形装置が、搬送の停止位置において、前記積層体の積厚を均一にさせることを特徴としている。
【0028】
整形装置が適用される搬送の停止か所数が限定されないことは勿論のことである。分包体の製造工程は、溶着フィルムを溶着させて下方が閉じた袋状体を形成し、袋状体の上方の開放部から粉体・粉粒体を流入させ、開放部を溶着させ、溶着部を切断する等、という工程が間欠的に実施されている。第7の発明によれば、製造工程に応じて間欠的に搬送されている搬送コンベアに適用しやすいという効果を奏する。
【発明の効果】
【0029】
・本発明の第1の発明によれば、小さく、軽く且つ薄い分包体の内容物をむらなく分散させて、分包体の外面を傷つけないで均一な厚さにしやすく、分包体を積層させた積層体全体の積厚を均一にできるという有利な効果を奏する。また、分包体を重ねて積層体としてから整形させているため、各々の分包体を個別に整形させるよりも、高い生産効率で積厚を均一にすることができる。
・本発明の第2の発明によれば、整形作用をなす傾斜と振動を別々の動作機構で実行することができるため、動作機構が複雑にならないという効果を奏する。
・本発明の第3の発明によれば、整形作用をなす傾斜と振動を同時に実行しているため、内容物が分離しやすい粒度が異なる粉体と粒体が混在した粉粒体であっても、分包体を均一な厚さにしやすいという効果を奏する。
【0030】
・本発明の第4の発明によれば、分包体の大きさ・材質、内容物の性質・量等に応じて、より適切に分包体の厚さを均一にして、積層体の全体の積厚を均一にさせることができる。
・本発明の第5の発明によれば、隣り合った整形装置の駆動装置と被衝突部材とを共有できることにより、機構が簡易となるだけでなく、積層枚数が変わっても適用しやすく、汎用性が高いという効果を奏する。
・本発明の第6の発明によれば、複数の工程を経て、精度よく積層体の積厚を均一にさせることができるという効果を奏する。
・本発明の第7の発明によれば、製造工程に応じて間欠的に搬送されている搬送コンベアに適用しやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】包装機全体の概要図(実施例1)。
図2】整形装置の概要図(実施例1)。
図3】分包体の製造装置と積層装置の概要図(実施例1)。
図4】内容物が片寄った分包体と、整形前の積層体と、整形後の積層体の説明図(実施例1)。
図5】整形装置を含む搬送コンベアの説明図(実施例1)。
図6】積層体を傾斜状態とさせてから振動させる場合の説明図(実施例1)。
図7】積層体を傾斜させつつ振動させる場合の説明図(実施例1)。
図8】傾斜状態調整手段の説明図(実施例1)。
図9】高さ調整手段の説明図(実施例1)。
図10】被衝突部材の他の形態の説明図(実施例1)。
図11】傾斜手段と振動手段が別機構とされる整形装置の説明図(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0032】
内容物が片寄った分包体100が積層され、積厚が不均一とされ嵩高となっている積層体200の積厚を均一にさせる整形装置1に、積層体の側方四周を囲む立設片と、積層体を振動させる振動手段10と、積層体を傾斜させる傾斜手段20とを備えさせた。
【0033】
整形装置1においては振動手段10が傾斜手段20を兼ねている。傾斜手段20により積層体の嵩高側を上げて傾斜させ、内容物を嵩高側から対向した底縁部の側に流下させるようにした。更に、振動手段をなす筋状振動部材31により積層体200の底部を支え、被衝突部材を積層体の上方に隙間をあけて配設させ、筋状振動部材31と被衝突部材40で挟んだ状態で、積層体200を被衝突部材40に衝突させるように突き上げて振動させ、内容物の収容状態のむらをなくし、積層体全体の積厚を均一にさせるようにした。
【実施例0034】
実施例1では、積層体200を搬送コンベア600で搬送させながら均一な積厚に整形させる整形装置1を、図1から図10を参照して説明する。図1は、整形装置1と搬送コンベアを含む包装機全体の概要図を示し、図2は、整形装置1の概要図を示している。図3(A)図は、分包体製造装置と積層装置の概要図を示し、図3(B)図は、積層体を整形装置に受け渡す状態を示している。図4(A)図は、垂直に立てた分包体100を示し、図4(B)図は整形させずに嵩高のまま帯掛けさせた積層体200を示し、図4(C)図は、整形されて均一な積厚とされた積層体200を示している。
【0035】
図5(A)図は整形装置1の平面図を示し、図5(B)図は図5(A)図のA-A位置断面による説明図を示している。図6は、積層体200を傾斜状態とさせてから振動させる場合の工程を示し、図7は、積層体200を傾斜させつつ振動させる場合の工程を示している。図8は、離間距離調整手段をなす傾斜状態調整手段の説明図を示し、図9は、離間距離調整手段をなす高さ調整手段の説明図を示している。図10は、被衝突部材の他の形態の説明図を示している。
【0036】
理解を容易にするため、分包体製造の全体工程を説明し、本発明の整形装置を詳細に説明する。実施例は例示に過ぎず、限定されないことは勿論のことである。整形装置1を含む包装機は、上流側から分包体製造装置300、分包体搬送機400、分包体の積層装置500、整形装置1を含む搬送コンベア600、積層体の帯掛機700の順で、各々の装置が配設されている(図1参照)。分包体製造装置300は、3基の並列された充填包装部301を有し、充填包装部毎に分包体搬送機400と積層装置500とを配設させている。図示を省略しているが帯掛機700の下流側に、更に梱包機を備えてもよい。
【0037】
分包体100は、まず分包体製造装置300において長く繋がった連続分包体が製造されてから、隣り合う分包体を繋ぐ熱溶着部が切断されて分離される(図3参照)。各々の分包体は、分包体製造装置300から分包体搬送機400に落下させて受け渡すときに、嵩高側が下流に向けられるように横倒され、積層装置500まで搬送される。積層装置500では、製品規格に適合する数量の分包体を積層させ、未結束かつ均一な厚さに整形されていない状態で積層体200を搬送コンベア600に受け渡す。
【0038】
搬送コンベア600は、積層体200を下流側に所定距離を搬送させる毎に間欠停止する間欠搬送コンベアである(図1参照)。ここでは、3つの積層装置500と対向する搬送コンベアの受入位置610が全て空であり(図1破線参照)、搬送が間欠停止しているときに、各々の積層装置から積層体200が同時に受け渡される。搬送コンベア600が積層体200を3回・間欠搬送させる期間に、各々の積層装置500が、次に受け渡す積層体を積層させる。
【0039】
積層体200は、搬送コンベア600により下流に搬送されながら、整形装置1により積層体全体の積厚が均一にされ、送出位置620で帯掛機700に受け渡される(図2参照)。帯掛機700では、均一な積厚の積層体に熱溶着フィルムを巻き付け、熱溶着フィルムの端部を熱溶着させて積層体を結束させる。
【0040】
ここで、分包体100の内容物が片寄った状態となる理由を、図3図4を参照して説明する。分包体100は二枚の熱溶着シートを重ねて四方を熱溶着させた四方シール、熱溶着シートを二つ折りにしてから三方を熱溶着させた三方シールのいずれであってもよい。また、積層体をなす分包体は、一つずつに分離されている場合に限定されず、複数の分包体を連ねて一単位としてもよい。本実施例においては、隣り合う並んだ分包体100を一枚・一単位としている(図2参照)。分包体の大きさは限定されないが、2つの分包体が並んだ長さが約140mm、幅が約120mmとされている。
【0041】
分包体製造装置300は、3つの充填包装部301が並列されてなり、四方が溶着された分包体を並行して製造させている(図1図3参照)。各々の充填包装部301は、帯状に延びる熱溶着シート310を垂直方向に連続供給させつつ、垂直方向のヒートシーラ320により熱溶着シートを挟んで連続して熱溶着し、筒状とさせる(図3(A)図参照)。
【0042】
更に、筒状とした熱溶着シートを水平方向のヒートシーラ330により底部を熱溶着させて、熱溶着されていない上部流入口から、充填機340により製品規格に適合する容量の粉体・顆粒体を落下充填させる。充填後には上部流入口も横断方向のヒートシーラで熱溶着させ、分包体の四方が熱溶着される。
【0043】
そのため、内容物は収容部の下方側に片寄った状態で封入される(図4(A)図参照)。この状態で、連続分包体を一単位毎に切断機350により切り離し、分包体搬送機400に搬送させるため、内容物が片寄ったまま、積層装置500に至る。各々の積層装置では、分包体を受け入れる毎に昇降機が分包体の高さに相当する分だけ降下し、所定枚数の分包体を受け入れて積層させ、水平方向に移動する押出手段510により、積層体を並列させた積層装置500から搬送コンベア600に夫々受け渡す(図3(B)図参照)。
【0044】
分包体が積層された段階では、各々の分包体100の内容物が片寄っているため、積層体200も全体の積厚が不均一な状態となっている(図4(B)図参照)。仮に、積厚が不均一な状態で帯掛けをすると、帯掛けした後の搬送工程で積層体の厚さが徐々に均一になり、積層体200と帯体210との間に隙間ができて、帯体の結束がゆるみやすく、ゆるんだ帯体は外れやすい。しかも、積厚が不均一とされ嵩高のままで梱包箱に梱包させるとすると、梱包箱の開口高さを高くする必要があり(図4(C)図の嵩高H参照)、搬送過程で積厚が均一になり梱包箱の空隙が大きくなる。
【0045】
一方、同じ内容量の分包体であっても、予め整形装置1により積層体の全体を均一な積厚(図3(C)図の嵩高h参照)とさせておくと、帯体210を積層体の全周に亘って密着させやすく、帯体の周囲に隙間ができにくいため、帯体の結束がゆるみにくくなる。しかも、梱包箱の開口高さを低くしても梱包しやすくなるため、梱包箱の容積も小さくすることができる。
【0046】
さて、実施例1の整形装置1を、各図を参照して詳細に説明する。整形装置1は、積層装置500と帯掛機700の間に配設される間欠方式の搬送コンベア600に備えられ、積層装置から積層体200を受け入れる受入位置610よりも下流側、且つ、帯掛機に積層体を送り出す送出位置620よりも上流側の停止位置に備えられる(図1図2図5参照)。
【0047】
以下、理解を容易にするため、図5に合わせて、積層体の下流側に向いた側面を前面と称し、上流側に向いた側面を後面と称し、搬送路に沿う一対の側面のうち、積層体の嵩高側を左側面と称し、嵩高側と対向する縁部を右側面と称する。
【0048】
整形装置は、積層体の側方四周を囲む立設片と、積層体を振動させる振動手段10と、積層体を傾斜させて内容物を嵩高側から流下させる傾斜手段20とを備えている。積層体の左右の側面を囲む立設片は、間欠方式の搬送コンベア600の搬送路に沿って長く伸びた一対の起立壁30からなり、積層体の前面と後面を囲む立設片は、搬送コンベアに備えられた組をなす送出片42からなる(図5(A)図参照)。いずれの立設片も積層体の積厚よりも高く伸びている(図5(B)図参照)。ここでは立設片はいずれも板体からなる例を示しているが、複数の軸体を狭い間隔で立設させ、立設片として機能させてもよいことは勿論のことである。
【0049】
右側面と左側面に沿った一対の起立壁30は、搬送コンベアの側方から積層体を受け入れできるように、積層体の受入位置610において、積層装置500に面する側が削除されると共に、送出位置620において搬送コンベアの側方に積層体を押し出しできるように、送出位置に至るまで伸びている(図2参照)。組をなして積層体を送り出す送出片42は、側方から積層体を受け入れやすいように、積層装置500に面する側の開放端部を外方に屈曲させ、開放幅を広くさせている。また各々の送出片42は天辺中央部に縦方向の切欠部41を備えている(図5(B)図参照)。
【0050】
実施例1では、振動手段10は傾斜手段20としても機能され、積層体の嵩高側220と対向した底縁部230を下軸として、嵩高側を上げて積層体を傾斜させると共に、筋状振動部材31を上下に振動させている(図5図6参照)。積層体を傾斜させてから振動させてもよく、傾斜させつつ振動させてもよく、実施例1においては2つの態様を説明する。
【0051】
振動手段10は、積層体を突き上げて振動させる筋状振動部材31と、振動させた積層体を衝突させて振動させる被衝突部材40とを備えている(図5図6参照)。また、搬送コンベア600と、積層体の右側面に沿う起立壁30との隙間には、搬送路に沿って筋状に延びる滑落防止部材50が配設され、積層体を傾斜・振動させたときに、積層体の上方に重なった分包体100が隙間に滑落することを防止させている。
【0052】
筋状振動部材31は、積層体の嵩高側の底縁部に沿って、3か所の停止位置に亘って延び、3つの積層体の底部を同時に支えるように、搬送コンベア600の載置面と同じ高さに配設されている(図5参照)。3か所の停止位置に亘る筋状振動部材31は単一の駆動機構を共有させ、同期して振動させるとよいが、筋状振動部材31を複数に分割し、別個の駆動機構により振動させてもよい。
【0053】
駆動機構630は、周知のモータとクランク機構により筋状振動部材31を上下振動させればよいが、これに限定されず、磁気の反発、エア振動シリンダによって振動させてもよく、動力も限定されない。筋状振動部材31の幅は分包体の大きさ等によって変更させてもよく限定されない。筋状振動部材31が搬送路に沿って伸びる長さも限定されず、内容物の流動性に応じて、複数又は単数の停止位置に備えられればよい。
【0054】
被衝突部材40は、積層体200の中央部の上方で、積層体の天面と隙間をあけて配設され、3か所の停止位置に亘って筋状に伸び、夫々の停止位置で一つの被衝突部材40とされている(図5(A)図参照)。被衝突部材40は夫々の停止位置で別個に配設されてもよい。被衝突部材の厚さ・幅等は限定されない。
【0055】
被衝突部材40は、高さ調整手段をなす昇降機60により、積層体との衝突高さを調整可能とされている(図5(B)図参照)。具体的には、被衝突部材40が複数の送出片の切欠部41に収まり、周囲を囲む立設片のいずれよりも低い位置となるように高さ調整されている。高さ調整の具体例については、傾斜角度調整手段と共にまとめて後述する。
【0056】
被衝突部材40を切欠部41に収まるように高さ調整させているため、搬送コンベア600を駆動させても送出片42と被衝突部材40は干渉しない。また、切欠部41を深くすれば、被衝突部材40を低い位置に調整することが容易であり、積層枚数の少ない積層体であっても、積層体を振動させたときに確実に被衝突部材に衝突させることができる。
【0057】
積層体は被衝突部材40と筋状振動部材31とに上下から挟まれた状態となるため、筋状振動部材31を上下振動させて突き上げても、分包体は被衝突部材に衝突して、立設片に囲まれた範囲から外に飛び出さない。積層体200が振動されるたびに被衝突部材40に小さく衝突されて振動されるため、被衝突部材40は位置固定させているだけであっても、積層体の上下の異なる位置に振動を加えることができる。
【0058】
振動手段は、積層体が搬送コンベア600の停止位置に停止している期間に、筋状振動部材31を上下に振動させる。間欠方式の搬送コンベアの搬送期間と停止期間は限定されないが、例えば、1分あたり40回の搬送と停止を繰り返す間欠方式であれば、1回の搬送期間は約0.5秒、停止期間は約1秒である。内容物の流動性等に応じて振動させる期間を長くしたい場合には、筋状振動部材31と被衝突部材40の長さを長くし、積層体を振動させる停止位置の数を増やせば、搬送効率を変えずに積層体の積厚を均一にすることができる。
【0059】
振動手段10は、筋状振動部材31の上下方向の振幅と振動数を調整可能とさせるとよい。例えば、駆動機構がサーボモータ11とクランク機構12からなる場合には、サーボモータの動作を制御して、正転・反転の制御と、サーボモータの単位時間あたりの回転数を制御すればよい。また、クランクアーム13の長さを調整させることにより、振幅と振動数を調整させればよい(図5(B)図参照)。
【0060】
振幅は、内容物の流動性、分包体の大きさ等によって変更されればよく限定されないが、例えば、積層体を傾斜させた状態としてから、約5mmから約20mmの振幅で振動させればよい。1秒あたりの振動数(振動速度)は、内容物の流動性、容量、平均粒径等によって変更されればよく、限定されないが、例えば、医薬用の散剤の場合には1秒あたり約5回から約10回の振動回数とすればよい。
【0061】
ここで、振動手段10が筋状振動部材31を振動させる2つの態様を、図6図7を参照して具体的に説明する。図6(A)図から図6(D)図は、積層体を傾斜状態とさせてから振動させる場合を示し、図7(A)図から図7(D)図は、積層体を傾斜させつつ振動させる場合を示している。
【0062】
積層体を傾斜させてから振動させる場合(図6)は、第1ステップとしてモータ11の位置を上昇させ(図6(A)図矢印参照)、筋状振動部材31を上昇させ、積層体の嵩高側に対向する底縁部230を下軸として嵩高側220を所望の高さまで持ち上げる(図6(B)図参照)。ここでは傾斜角度が過度に大きくならないように、嵩高側を持ち上げる高さを、分包体の左右の幅に対して約1/5から約1/4とさせるように、嵩高側を約25mmから約30mm持ち上げるようにした。
【0063】
第2ステップとして、積層体200を傾斜状態とさせたまま、筋状振動部材31を上下に約10mmずつの振幅で小刻みに振動させ、積層体の天面を被衝突部材40に小さく衝突させてから(図6(C)図参照)、モータと合わせて全体を下降させる(図6(D)図参照)。このときの振動数は、1秒間あたり約8回であり、振動を加える期間は1か所の停止位置あたり約1秒間とし、3か所の停止位置の合計で約3秒間とした。積層体を上記条件で振動させたところ、下流側に間欠搬送させるわずかな時間であっても、積層体の内容物の収容状態のむらがなくなり、積層体全体の積厚を均一とすることができた(図6(D)図参照)。
【0064】
積層体を傾斜させつつ振動させる場合(図7)は、モータ11自体を昇降させつつ筋状振動部材31も合わせて振動させるようにしている。モータの上昇の際には、徐々に傾斜角度が大きくなり、積層体の天面が被衝突部材に衝突される強さが徐々に大きくなり(図7(A)図、図7(B)図参照)、モータの降下の際には、徐々に衝突される強さが徐々に小さくなる(図7(C)図、図7(D)図参照)。モータの昇降動作と、筋状振動部材の振幅と振動数とは個別に設定されればよい。
【0065】
積層体200が被衝突部材40に衝突されるようになってからは、筋状振動部材31だけを振動させればよい(図7(C)図の矢印参照)。下降させる際には、モータ11と筋状振動部材31を合わせて下降させればよい(図7(C)図の矢印参照)。振動回数・昇降時間等は、積層体を傾斜させてから振動させる場合と同様とすればよい。この場合も間欠搬送させるわずかな時間であっても、積層体全体の積厚を均一とすることができる(図7(D)図参照)。
【0066】
次に、離間距離調整手段をなす傾斜状態調整手段と高さ調整手段の具体的な態様を、図8図9を参照して説明する。図8は、傾斜状態調整手段により積層体200の傾斜状態を調整させた2つの例を示し、図9は、高さ調整手段により被衝突部材40の高さを変更させ、積層体と被衝突部材との衝突高さを調整させた例を示している。離間距離調整手段は、積層体の傾斜状態調整手段と被衝突部材の高さ調整手段の少なくともいずれかにより、積層体の最上層の分包体と被衝突部材との振動発生前の離間距離を調整可能としている。
【0067】
傾斜状態調整手段は、振動手段10としても機能される傾斜手段20、例えばモータ11の位置調整手段等により筋状振動部材31の初期持ち上げ位置を変更して、積層体を傾斜させる傾斜角度が調整可能とされていればよい(図8参照)。傾斜角度も振幅と同様に限定されないが、例えば、積層体200の嵩高側を約10度から約20度持ち上げて傾斜状態とさせてから振動させると、粒径が小さく流動性の低い粉体であっても短時間で内容物を均すことができ、且つ、内容物を一気に傾斜下流側に流下させることもない。
【0068】
このほか、傾斜状態調整手段により、積層体の傾斜角度をゆるやかにして、被衝突部材40に衝突させたときの衝撃力を調整させることもできる。例えば、内容物が顆粒体の場合(図8(B)図参照)は、振動による衝撃により顆粒体が破損又は顆粒体の粒跡が分包体に表れる可能性がある。積層体を傾斜させてから振動させるときに、粉粒体の場合(図8(A)図参照)よりも傾斜角度を小さくし、被衝突部材40への衝突をゆるやかにして、顆粒体や分包体の破損を防止することができる。このとき、傾斜角度を小さくするだけでなく、1秒あたりの振動数を少なくして衝撃を和らげるようにしてもよい。
【0069】
被衝突部材40は高さ調整手段をなす昇降機60(図5(B)図参照)により、衝突高さを調整可能とさせている(図9参照)。衝突高さは、分包体100の積層枚数の変更、内容物の容量の変更等、整形前の積層体の嵩高が変更されたとき(図9(A)図、図9(B)図参照)に調整させればよい。このほか、傾斜角度を変更させるときに、併せて衝突高さを調整させてもよい(図8参照)。
【0070】
次に、被衝突部材40の他の形態について、図10を参照して説明する。図10各図は間欠搬送コンベアの搬送路に沿う側面図を示し、図10(A)図は、積層体を搬送させている状態を示し、図10(B)図は、搬送を停止し、積層体を振動させている状態を示している。複数の停止位置において積層体を振動させると、積層体が下流側に搬送されるにつれて、積層体の積厚が縮減される(図10(A)図参照)。
【0071】
積厚が縮減された積層体については、同じ傾斜角度・振幅で上下に振動させたときに、被衝突部材に衝突しにくくなるため、下流に向けて、天部43の位置を統一した被衝突部材の下部の位置44を段階的に低くするように、被衝突部材45の厚さを段階的に厚くしている(図10(B)図参照)。これにより、積層体の嵩高が縮減されつつある下流側の停止位置であっても、振幅等を変えなくても、積層体を確実に被衝突部材に衝突させることができる。
【0072】
この場合は、複数の停止位置で積層体を振動させる場合であっても、被衝突部材45を一体として、複数の位置における衝突高さを、単一の高さ調整手段により調整できる。また、図示を省略しているが、各々の停止位置において、独立した被衝突部材と高さ調整手段を備えさせ、各々の被衝突部材の高さ位置を、嵩高の縮減に応じて異なる衝突高さに調整させてもよい。
【実施例0073】
実施例2では、振動手段110と傾斜手段120とを別の動作機構とさせた整形装置2を、図11を参照して説明する。図11(A)図は、傾斜手段120を矢印方向に作動させる状態を示している。図11(B)図は、積層体を傾斜状態とさせてから、振動手段110により振動させる状態を示している。図11(C)図は、積層体を振動させて被衝突部材40に衝突させている状態を示している。図11(D)図は、積層体200の積厚が均一にされた状態を示している。実施例1と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略している。
【0074】
振動手段110は、実施例1と同様に、図は省略しているが筋状振動部材31をクランク機構等により上下に振動させる構成としている。傾斜手段120は、積層体200が載置された載置板121を軸体で押し上げることにより、積層体の嵩高側220が高くなるように傾斜させる(図11(B)図参照)。
【0075】
具体的には、積層体が載置された載置板121の左側下方に、第1の回動軸を備えさせ、載置板を傾斜させる固定軸122とすると共に、載置板の右側下方(嵩高側)に、第2の回動軸123を備えさせ、第2の回動軸に下方から突き上げる突き上げ軸体124を回動自在に装着させている(図11(A)図参照)。
【0076】
搬送コンベアの駆動部は、載置板121の上方に配設され、駆動部から積層体の前後を囲む送出片46が垂設されている(図11参照)。積層体の前後を囲む送出片46が、載置板121に沿って移動されることにより、積層体200を載置板121の上で滑動させて下流に搬送させる。搬送コンベアの形態は限定されないが、例えば電磁駆動されるリニア搬送機とすると、搬送間隔を自由に設定することができるため好適である。
【0077】
まず突き上げ軸体124を上昇させ、載置板121を図上反時計回りに傾斜させ、積層体の嵩高側と対向する底縁部230を下軸として、嵩高側を持ち上げ、積層体200を傾斜させる(図11(A)図参照)。載置板121が所望の傾斜角度まで傾斜されたら、振動手段110を作動させる(図11(B)図参照)。
【0078】
筋状振動部材31は、既に傾斜状態となっている積層体の底部に接して、積層体200を上下に振動させると共に、積層体天面を被衝突部材40に衝突させる(図11(C)図参照)。突き上げ軸体124と筋状振動部材31を下降させると、載置板121と積層体200とが水平状態に復帰される(図11(D)図参照)。
【0079】
(その他)
・本実施例では、整形装置を間欠搬送コンベアに備えさせる例を説明したが、積層体を一定速度で搬送させる連続搬送コンベアに備えさせてもよく、搬送コンベアとは別に設置してもよいことは勿論のことである。
・連続搬送コンベアに備えさせる場合には、積層装置から連続搬送コンベアに沿って、加減速可能な受け渡し用のコンベアを備えさせ、2つのコンベアの搬送速度が同期されたときに、積層体をコンベア間で受け渡せばよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
1,2…整形装置、10…振動手段、11…サーボモータ、12…クランク機構、
13…クランクアーム、20…傾斜手段、30…起立壁、31…筋状振動部材、
40…被衝突部材、41…切欠部、42…送出片、43…天部、44…下部の位置、
45…被衝突部材、46…送出片、50…滑落防止部材、60…昇降機、
100…分包体、110…振動手段、120…傾斜手段、121…載置板、
122…固定軸(第1の回動軸)、123…第2の回動軸、124…突き上げ軸体、
200…積層体、210…帯体、220…嵩高側、230…底縁部、
300…分包体製造装置、301…充填包装部、310…熱溶着シート、
320…垂直方向のヒートシーラ、330…横断方向のヒートシーラ、
340…充填機、350…切断機、400…分包体搬送機、500…積層装置、
510…押出手段、600…搬送コンベア、610…受入位置、
620…送出位置、630…駆動機構、700…帯掛機、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11