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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006413
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】プリントヘッド及びプリンター
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 107
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107242
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】中野 修一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EC03
2C056EC08
2C056EC37
2C056EC42
2C056EC77
2C056FA04
2C056FA11
(57)【要約】
【課題】プリントヘッドの往復動に起因する媒体に対する液体の着弾位置のズレを抑制する。
【解決手段】液体を吐出するプリントヘッドであって、駆動信号の供給に応じて液体を吐出する吐出部と、吐出部に対する駆動信号の供給を制御する供給制御部と、を備え、供給制御部は、吐出部からの液体の吐出の有無、及び、吐出部から吐出する液体の量の、一方または両方を指定する指定信号と、駆動信号に含まれる複数の駆動波形信号の中から、吐出部に供給する駆動波形信号を選択する選択信号と、吐出部から液体が吐出されるタイミングを規定するタイミング信号と、プリントヘッドの位置の変化に関連する移動信号と、に基づいて、吐出部に対する駆動信号の供給を制御する、ことを特徴とするプリントヘッド。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するプリントヘッドであって、
駆動信号の供給に応じて液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御する供給制御部と、
を備え、
前記供給制御部は、
前記吐出部からの液体の吐出の有無、及び、前記吐出部から吐出する液体の量の、一方または両方を指定する指定信号と、
前記駆動信号に含まれる複数の駆動波形信号の中から、前記吐出部に供給する駆動波形信号を選択する選択信号と、
前記吐出部から液体が吐出されるタイミングを規定するタイミング信号と、
前記プリントヘッドの位置の変化に関連する移動信号と、
に基づいて、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御する、
ことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項2】
前記供給制御部は、
前記プリントヘッドが搭載されるプリンターに対する、前記プリントヘッドの移動の有無、及び、前記プリントヘッドが搭載されるプリンターに対する、前記プリントヘッドの移動が可能な方向の、一方または両方を示すプリンター特性情報に基づいて、
前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項3】
前記移動信号は、
前記プリントヘッドが、前記プリントヘッドが搭載されるプリンターにおいて第1方向に移動する第1移動状態であること、または、前記プリントヘッドが、前記プリンターにおいて前記第1方向の反対の第2方向に移動する第2移動状態であることを示す、
ことを特徴とする、請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項4】
前記選択信号は、
前記複数の駆動波形信号の中から第1の組合せの駆動波形信号を選択する第1選択信号と、
前記複数の駆動波形信号の中から第2の組合せの駆動波形信号を選択する第2選択信号と、
を含み、
前記供給制御部は、
前記移動信号が、前記プリントヘッドが前記第1移動状態であることを示す場合に、前記第1選択信号に基づいて、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御し、
前記移動信号が、前記プリントヘッドが前記第2移動状態であることを示す場合に、前記第2選択信号に基づいて、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御する、
ことを特徴とする、請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項5】
前記選択信号は、
前記複数の駆動波形信号の中から第1の組合せの駆動波形信号を選択する第1選択信号、
を含み、
前記供給制御部は、
前記移動信号が、前記プリントヘッドが前記第1移動状態であることを示す場合に、前記第1選択信号に基づいて、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御し、
前記移動信号が、前記プリントヘッドが前記第2移動状態であることを示す場合に、前記選択信号に含まれる第1選択信号を補正して、前記複数の駆動波形信号の中から第2の組合せの駆動波形信号を選択する第2選択信号を生成し、前記第2選択信号に基づいて、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御する、
ことを特徴とする、請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項6】
前記選択信号の補正に関連する選択補正情報を記憶する記憶部を備え、
前記供給制御部は、
前記記憶部に記憶されている前記選択補正情報に基づいて、前記第1選択信号を補正した前記第2選択信号を生成する、
ことを特徴とする、請求項5に記載のプリントヘッド。
【請求項7】
前記駆動信号を補正して補正駆動信号を生成する駆動信号補正部を備え、
前記供給制御部は、
前記移動信号が、前記プリントヘッドが前記第1移動状態であることを示す場合に、前記吐出部に対して前記駆動信号を供給し、
前記移動信号が、前記プリントヘッドが前記第2移動状態であることを示す場合に、前記吐出部に対して前記補正駆動信号を供給する、
ことを特徴とする、請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項8】
前記タイミング信号を補正して補正タイミング信号を生成するタイミング信号補正部を備え、
前記供給制御部は、
前記移動信号が、前記プリントヘッドが前記第1移動状態であることを示す場合に、前記タイミング信号に基づいて、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御し、
前記移動信号が、前記プリントヘッドが前記第2移動状態であることを示す場合に、前記補正タイミング信号に基づいて、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御する、
ことを特徴とする、請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項9】
前記指定信号、前記選択信号、及び、前記移動信号は、
単一の信号線により前記プリントヘッドに対して供給される、
ことを特徴とする、請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のうち何れか1項に記載のプリントヘッドと、
前記移動信号を生成する制御装置と、
を備える、
ことを特徴とするプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントヘッド及びプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出するプリントヘッドを具備するプリンターが知られている。例えば、特許文献1には、プリントヘッドを往復動させながら、プリントヘッドから液体を吐出し、吐出した液体を媒体に着弾させることで、媒体に画像を形成する印刷処理を実行するプリンターに関する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-161751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、プリントヘッドが往復動するため、プリントヘッドが往路の場合にプリントヘッドから吐出された液体の媒体における着弾位置、及び、プリントヘッドの位置の間の、相対的な位置関係と、プリントヘッドが復路の場合にプリントヘッドから吐出された液体の媒体における着弾位置、及び、プリントヘッドの位置の間の、相対的な位置関係とが、異なる。このため、従来の技術によれば、プリントヘッドが往路の場合における媒体に対する液体の着弾位置と、プリントヘッドが復路の場合における媒体に対する液体の着弾位置との間のズレに起因して、媒体に形成される画像の画質が低下するという問題が存在した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係るプリントヘッドは、液体を吐出するプリントヘッドであって、駆動信号の供給に応じて液体を吐出する吐出部と、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御する供給制御部と、を備え、前記供給制御部は、前記吐出部からの液体の吐出の有無、及び、前記吐出部から吐出する液体の量の、一方または両方を指定する指定信号と、前記駆動信号に含まれる複数の駆動波形信号の中から、前記吐出部に供給する駆動波形信号を選択する選択信号と、前記吐出部から液体が吐出されるタイミングを規定するタイミング信号と、前記プリントヘッドの位置の変化に関連する移動信号と、に基づいて、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御する、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るプリンターは、駆動信号の供給に応じて液体を吐出する吐出部と、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御する供給制御部と、を具備するプリントヘッドと、制御装置と、を備え、前記供給制御部は、前記吐出部からの液体の吐出の有無、及び、前記吐出部から吐出する液体の量の、一方または両方を指定する指定信号と、前記駆動信号に含まれる複数の駆動波形信号の中から、前記吐出部に供給する駆動波形信号を選択する選択信号と、前記吐出部から液体が吐出されるタイミングを規定するタイミング信号と、前記プリントヘッドの位置の変化に関連する移動信号と、に基づいて、前記吐出部に対する前記駆動信号の供給を制御し、前記制御装置は、前記移動信号を生成する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示すブロック図である。
図2】インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
図3】吐出部D[m]の構造の一例を説明するための断面図である。
図4】ヘッドユニット3の構成の一例を示すブロック図である。
図5】ヘッドユニット3に供給される信号の一例を説明するためのタイミングチャートである。
図6】駆動制御信号SSの一例を説明するための説明図である。
図7】接続状態指定回路33の構成の一例を示すブロック図である。
図8】デコーダーDC[m]の動作の一例を説明するための説明図である。
図9】デコーダーDC[m]の動作の一例を説明するための説明図である。
図10】変形例1に係る接続状態指定回路33Bの構成の一例を示すブロック図である。
図11】変形例2に係るヘッドユニット3Cの構成の一例を示すブロック図である。
図12】変形例2に係る駆動信号ComDの一例を説明するためのタイミングチャートである。
図13】変形例3に係るヘッドユニット3Dの構成の一例を示すブロック図である。
図14】変形例2に係るラッチ信号LTD及びチェンジ信号CHDの一例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
<<A.実施形態>>
本実施形態では、インクを吐出して記録用紙PPに画像を形成するインクジェットプリンターを例示して、液体吐出装置を説明する。
【0010】
<<1.インクジェットプリンターの概要>>
以下、図1乃至図3を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例について説明する。
【0011】
図1は、インクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0012】
図1に示すように、インクジェットプリンター1には、パーソナルコンピューターまたはデジタルカメラ等のホストコンピューターから、インクジェットプリンター1が形成すべき画像を示す印刷データImgが供給される。インクジェットプリンター1は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgの示す画像を記録用紙PPに形成する印刷処理を実行する。
【0013】
インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各部を制御する制御ユニット2と、インクを吐出する吐出部Dが設けられたヘッドユニット3と、吐出部Dを駆動するための駆動信号Comを生成する駆動信号生成ユニット4と、ヘッドユニット3に対する記録用紙PPの相対位置を変化させるための搬送ユニット7と、を備える。なお、本実施形態では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を想定する。すなわち、本実施形態において、搬送ユニット7は、インクジェットプリンター1が印刷処理を実行し、ヘッドユニット3に設けられた吐出部Dが記録用紙PPに対してインクを吐出する場合に、ヘッドユニット3の記録用紙PPに対する相対的な位置関係が変化するように、ヘッドユニット3を移動させる。
なお、インクジェットプリンター1は「プリンター」の一例であり、制御ユニット2は「制御装置」の一例であり、ヘッドユニット3は「プリントヘッド」の一例であり、インクは「液体」の一例であり記録用紙PPは「媒体」の一例である。
【0014】
本実施形態では、インクジェットプリンター1が、1または複数のヘッドユニット3と、1または複数のヘッドユニット3と1対1に対応する1または複数の駆動信号生成ユニット4と、を備える場合を想定する。具体的には、本実施形態では、インクジェットプリンター1が、4個のヘッドユニット3と、4個のヘッドユニット3と1対1に対応する4個の駆動信号生成ユニット4と、を備える場合を想定する。但し、以下では、説明の便宜上、図1に示すように、4個のヘッドユニット3のうち一のヘッドユニット3と、4個の駆動信号生成ユニット4のうち一のヘッドユニット3に対応して設けられた一の駆動信号生成ユニット4と、に着目して説明する場合がある。
【0015】
制御ユニット2は、1または複数のCPUを含んで構成される。但し、制御ユニット2は、CPUの代わりに、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを備えるものでよい。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、field-programmable gate arrayの略称である。また、制御ユニット2は、メモリーを含む。メモリーは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリーと、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、または、PROM(Programmable ROM)等の不揮発性メモリーと、の一方または両方を含んで構成される。
【0016】
制御ユニット2は、吐出制御信号SS、及び、波形指定信号dCom等の、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御するための信号を生成する。
【0017】
波形指定信号dComとは、駆動信号Comの波形を規定するデジタルの信号である。ここで、駆動信号Comとは、吐出部Dを駆動するためのアナログの信号である。駆動信号生成ユニット4は、DA変換回路を含み、波形指定信号dComにより規定される波形を有する駆動信号Comを生成する。詳細は後述するが、駆動信号Comは、波形PA1を有する駆動波形信号ComP1と、波形PA2を有する駆動波形信号ComP2と、波形PA3を有する駆動波形信号ComP3と、波形PA4を有する駆動波形信号ComP4と、波形PA5を有する駆動波形信号ComP5と、を含む。以下では、駆動信号Comが有する5個の波形PA1~PA5のうち、j番目の波形を、波形PAjと称する場合がある。また、以下では、駆動信号Comが有する5個の駆動波形信号ComP1~ComP5のうち、j番目の信号を、駆動波形信号ComPjと称する場合がある。ここで、値jは、1≦j≦5を満たす自然数である。
【0018】
駆動制御信号SSとは、吐出部Dの動作の種類を指定するデジタルの信号である。本実施形態において、駆動制御信号SSは、駆動態様指定信号SIと、駆動波形選択信号SPと、移動方向信号SHと、を含む信号である。
【0019】
駆動態様指定信号SIとは、吐出部Dの動作の種類を指定する信号である。具体的には、駆動態様指定信号SIは、吐出部Dからのインクの吐出の有無、及び、吐出部Dから吐出するインクの量の、一方または両方を指定する。なお、駆動態様指定信号SIは「指定信号」の一例である。
【0020】
駆動波形選択信号SPとは、駆動信号Comが有する、5個の駆動波形信号ComP1~ComP5の中から、吐出部Dに供給すべき1または複数の駆動波形信号ComPjを選択する信号である。なお、駆動波形選択信号SPは「選択信号」の一例である。
【0021】
移動方向信号SHとは、インクジェットプリンター1が印刷処理を実行し、搬送ユニット7がヘッドユニット3を搬送する場合に、インクジェットプリンター1におけるヘッドユニット3の位置の変化に関連する情報を表す信号である。具体的には、本実施形態において、移動方向信号SHは、インクジェットプリンター1が印刷処理を実行し、搬送ユニット7がヘッドユニット3を搬送する場合に、インクジェットプリンター1におけるヘッドユニット3の移動方向を表す信号である。なお、移動方向信号SHは「移動信号」の一例である。
【0022】
図1に示すように、ヘッドユニット3は、供給制御回路31と、記録ヘッド32と、を備える。
【0023】
記録ヘッド32は、M個の吐出部Dを備える。ここで、値Mは、「M≧1」を満たす自然数である。なお、以下では、記録ヘッド32に設けられたM個の吐出部Dのうち、m番目の吐出部Dを、吐出部D[m]と称する場合がある。ここで、変数mは、「1≦m≦M」を満たす自然数である。また、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素または信号等が、M個の吐出部Dのうち、吐出部D[m]に対応する場合は、当該構成要素または信号等を表わすための符号に、添え字[m]を付すことがある。
【0024】
供給制御回路31は、駆動制御信号SSに基づいて、駆動信号Comを吐出部D[m]に供給するか否かを切り替える。以下では、駆動信号Comのうち、吐出部D[m]に供給される駆動信号Comを、供給駆動信号Vin[m]と称する場合がある。なお、供給制御回路31は「供給制御部」の一例である。
【0025】
上述のとおり、本実施形態において、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する。制御ユニット2は、印刷処理が実行される場合、印刷データImgに基づいて、駆動制御信号SS等のヘッドユニット3を制御するための信号を生成する。また、制御ユニット2は、印刷処理が実行される場合、波形指定信号dCom等の駆動信号生成ユニット4を制御するための信号を生成する。また、制御ユニット2は、印刷処理が実行される場合、搬送ユニット7を制御するための信号を生成する。これにより、制御ユニット2は、印刷処理において、ヘッドユニット3に対する記録用紙PPの相対位置を変化させるように搬送ユニット7を制御しつつ、吐出部D[m]からのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、印刷データImgに対応する画像が記録用紙PPに形成されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御する。
【0026】
図2は、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
【0027】
図2に示すように、本実施形態では、上述のとおり、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を想定する。具体的には、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する場合、X1方向に記録用紙PPを搬送しつつ、X1方向に交差するY1方向と、Y1方向の逆方向であるY2方向とに、ヘッドユニット3を往復動させながら、吐出部D[m]からインクを吐出させることで、記録用紙PP上に、印刷データImgに応じたドットDtを形成する。なお、Y1方向は「第1方向」の一例であり、Y2方向は「第2方向」の一例である。
【0028】
以下では、X1方向とその逆方向であるX2方向とを「X軸方向」と総称し、X軸方向に交差するY1方向とその逆方向であるY2方向とを「Y軸方向」と総称し、X軸方向及びY軸方向に交差するZ1方向とその逆方向であるZ2方向とを「Z軸方向」と総称する。本実施形態では、一例として、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向が、互いに直交する場合を想定して説明する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向は、互いに交差していればよい。なお、本実施形態において、Z1方向は、吐出部D[m]からインクが吐出される方向であることとする。
【0029】
図2に示すように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、筐体100と、筐体100内をY軸方向に往復動可能であり、4個のヘッドユニット3を搭載するキャリッジ110と、を備える。
【0030】
本実施形態では、図2に示すように、キャリッジ110が、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの4色のインクと1対1に対応する、4個のインクカートリッジ120を格納している場合を想定する。また、本実施形態では、上述のとおり、インクジェットプリンター1が、4個のインクカートリッジ120と1対1に対応する、4個のヘッドユニット3を備える場合を想定する。各吐出部D[m]は、当該吐出部D[m]が設けられたヘッドユニット3に対応するインクカートリッジ120からインクの供給を受ける。これにより、各吐出部D[m]は、供給されたインクを内部に充填し、充填したインクをノズルNから吐出することができる。なお、インクカートリッジ120は、キャリッジ110の外部に設けられてもよい。
【0031】
また、上述のとおり、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、搬送ユニット7を備える。搬送ユニット7は、図2に示すように、キャリッジ110をY軸方向に往復動させるためのキャリッジ搬送機構71と、キャリッジ110をY軸方向に往復自在に支持するキャリッジガイド軸76と、記録用紙PPを搬送するための媒体搬送機構73と、キャリッジ110のZ1方向に設けられたプラテン75と、を具備する。このため、搬送ユニット7は、印刷処理が実行される場合に、キャリッジ搬送機構71により、ヘッドユニット3をキャリッジ110と共にキャリッジガイド軸76に沿ってY軸方向に往復動させ、媒体搬送機構73により、プラテン75上の記録用紙PPをX1方向に搬送することで、記録用紙PPのヘッドユニット3に対する相対位置を変化させ、記録用紙PPの全体に対するインクの着弾を可能とする。
【0032】
図3は、吐出部D[m]を含むように記録ヘッド32を切断した、記録ヘッド32の概略的な一部断面図である。
【0033】
図3に示すように、吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]と、内部にインクが充填されたキャビティCVと、キャビティCVに連通するノズルNと、振動板321と、を備える。吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動されることにより、キャビティCV内のインクをノズルNから吐出させる。キャビティCVは、キャビティプレート324と、ノズルNが形成されたノズルプレート323と、振動板321と、により区画される空間である。キャビティCVは、インク供給口326を介してリザーバ325と連通している。リザーバ325は、インク取入口327を介して、吐出部D[m]に対応するインクカートリッジ120と連通している。圧電素子PZ[m]は、上部電極Zu[m]と、下部電極Zd[m]と、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に設けられた圧電体Zm[m]と、を有する。下部電極Zd[m]は、電位VBSに設定された給電線LDと電気的に接続される。そして、上部電極Zu[m]に供給駆動信号Vin[m]が供給されて、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子PZ[m]がZ1方向またはZ2方向に変位し、その結果、圧電素子PZ[m]が振動する。振動板321には、下部電極Zd[m]が接合されている。このため、圧電素子PZ[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動されて振動すると、振動板321も振動する。そして、振動板321の振動によりキャビティCVの容積及びキャビティCV内の圧力が変化し、キャビティCV内に充填されたインクがノズルNより吐出される。
【0034】
<<2.ヘッドユニットの概要>>
以下、図4乃至図8を参照しつつ、ヘッドユニット3の概要について説明する。
【0035】
図4は、ヘッドユニット3の構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
図4に示すように、ヘッドユニット3は、供給制御回路31と記録ヘッド32とを備える。また、ヘッドユニット3には、駆動信号生成ユニット4から駆動信号Comが供給される配線LCが設けられる。また、ヘッドユニット3には、制御ユニット2からクロック信号CLが供給される配線LH1と、制御ユニット2から駆動制御信号SSが供給される配線LH2と、制御ユニット2からラッチ信号LTが供給される配線LH3と、制御ユニット2からチェンジ信号CHが供給される配線LH4と、が設けられる。なお、配線LH2は「信号線」の一例である。
【0037】
図4に示すように、供給制御回路31は、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のスイッチWS[1]~WS[M]と、各スイッチの接続状態を指定する接続状態指定回路33と、を備える。
接続状態指定回路33は、制御ユニット2から供給されるクロック信号CL、駆動制御信号SS、ラッチ信号LT、及び、チェンジ信号CHの、少なくとも一部の信号に基づいて、スイッチWS[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号QS[m]を生成する。
スイッチWS[m]は、接続状態指定信号QS[m]に基づいて、配線LCと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWS[m]は、接続状態指定信号QS[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWS[m]がオンする場合、配線LCに供給される駆動信号Comが、供給駆動信号Vin[m]として、吐出部D[m]の上部電極Zu[m]に供給される。
【0038】
本実施形態において、インクジェットプリンター1が、印刷処理を実行する場合、インクジェットプリンター1の動作期間として、1または複数の単位期間TPが設定される。本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位期間TPにおいて、印刷処理のために各吐出部D[m]を駆動することができる。
【0039】
図5は、単位期間TPにおいてヘッドユニット3に供給される信号の一例を示すタイミングチャートである。
【0040】
図5に示すように、制御ユニット2は、パルスPLLを有するラッチ信号LTを出力する。これにより、制御ユニット2は、パルスPLLの立ち上がりから次のパルスPLLの立ち上がりまでの期間として、単位期間TPを規定する。なお、ラッチ信号LTは「タイミング信号」の一例である。
【0041】
また、制御ユニット2は、単位期間TPにおいて、パルスPLC1~PLC4を有するチェンジ信号CHを出力する。これにより、制御ユニット2は、単位期間TPを、パルスPLLの立ち上がりからパルスPLC1の立ち上がりまでの駆動期間TQ1と、パルスPLC1の立ち上がりからパルスPLC2の立ち上がりまでの駆動期間TQ2と、パルスPLC2の立ち上がりからパルスPLC3の立ち上がりまでの駆動期間TQ3と、パルスPLC3の立ち上がりからパルスPLC4の立ち上がりまでの駆動期間TQ4と、パルスPLC4の立ち上がりからパルスPLLの立ち上がりまでの駆動期間TQ5と、に区分する。以下では、単位期間TPが有する5個の駆動期間TQ1~TQ5のうち、j番目の駆動期間を、駆動期間TQjと称する場合がある。なお、チェンジ信号CHは「タイミング信号」の他の例である。
【0042】
また、制御ユニット2は、各単位期間TPに先立って、駆動制御信号SSを、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路33に供給する。そして、接続状態指定回路33は、当該単位期間TPにおいて、駆動制御信号SSに基づいて、接続状態指定信号QS[m]を生成する。
【0043】
図6は、駆動制御信号SSの一例を説明するための説明図である。
【0044】
図6に示すように、駆動制御信号SSは、駆動態様指定信号SIと、駆動波形選択信号SPと、移動方向信号SHとを含む。
【0045】
駆動態様指定信号SIは、M個の吐出部D[m]~D[m]と1対1に対応するM個の個別指定信号SD[1]~SD[M]を含む。個別指定信号SD[m]は、インクジェットプリンター1が印刷処理が実行する場合に、各単位期間TPにおける吐出部D[m]の駆動の態様を指定する。本実施形態において、個別指定信号SD[m]が、1ビットの部分信号SD-1[m]と、1ビットの部分信号SD-2[m]とからなる、2ビットの信号である場合を想定する。図6に示すように、駆動態様指定信号SIは、M個の部分信号SD-1[1]~SD-1[M]を並べた、Mビットの部分指定信号SI-1と、M個の部分信号SD-2[1]~SD-2[M]を並べた、Mビットの部分指定信号SI-2と、を並べて構成される。
【0046】
本実施形態では、印刷処理が実行される単位期間TPにおいて、吐出部D[m]が、インク量ξ1のインクからなる大ドットDt1と、インク量ξ1よりも少ないインク量ξ2のインクからなる中ドットDt2と、インク量ξ2よりも少ないインク量ξ3のインクからなる小ドットDt3と、のうち、何れかのドットDtを形成可能である場合を想定する。
【0047】
本実施形態において、部分信号SD-1[m]が「1」を示し、且つ、部分信号SD-2[m]が「1」を示す場合、すなわち、個別指定信号SD[m]が(1,1)を示す場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて大ドットDt1を形成する大ドット形成吐出部DP-1として指定される。
また、部分信号SD-1[m]が「1」を示し、且つ、部分信号SD-2[m]が「0」を示す場合、すなわち、個別指定信号SD[m]が(1,0)を示す場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて中ドットDt2を形成する中ドット形成吐出部DP-2として指定される。
また、部分信号SD-1[m]が「0」を示し、且つ、部分信号SD-2[m]が「1」を示す場合、すなわち、個別指定信号SD[m]が(0,1)を示す場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて小ドットDt3を形成する小ドット形成吐出部DP-3として指定される。
また、部分信号SD-1[m]が「0」を示し、且つ、部分信号SD-2[m]が「0」を示す場合、すなわち、個別指定信号SD[m]が(0,0)を示す場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいてドットDtを形成しないドット非形成吐出部DP-4として指定される。
【0048】
移動方向信号SHは、上述のとおり、ヘッドユニット3の移動方向を表す信号である。具体的には、本実施形態において、移動方向信号SHは、ヘッドユニット3がY1方向に移動している状態である場合に「1」を示し、ヘッドユニット3がY2方向に移動している状態である場合に「0」を示す、1ビットの信号である。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。移動方向信号SHは、例えば、ヘッドユニット3がY1方向に移動している状態である場合に(1,1)を示し、ヘッドユニット3がY2方向に移動している状態である場合に(1,0)を示し、ヘッドユニット3が停止している状態である場合に(0,0)を示す、2ビットの信号であってもよい。
なお、本実施形態において、ヘッドユニット3がY1方向に移動している状態は「第1移動状態」の一例であり、ヘッドユニット3がY2方向に移動している状態は「第2移動状態」の一例である。
【0049】
駆動波形選択信号SPは、R個の個別選択信号SK[1]~SK[R]を含む。
ここで、値Rは、吐出部D[m]の動作態様数と、ヘッドユニット3の移動方向数と、に基づいて定められる、「2」以上の自然数である。より具体的には、本実施形態では、値Rが、動作態様数と移動方向数とを乗算した値である場合を想定する。
ここで、動作態様数とは、単位期間TPにおいて吐出部D[m]が個別指定信号SD[m]により指定される動作の態様が何種類あるかを示す数である。本実施形態において、単位期間TPにおいて吐出部D[m]が個別指定信号SD[m]により指定される動作の態様は、大ドット形成吐出部DP-1、中ドット形成吐出部DP-2、小ドット形成吐出部DP-3、及び、ドット非形成吐出部DP-4の、4種類である。つまり、本実施形態において、動作態様数は「4」である。
また、移動方向数は、ヘッドユニット3の移動方向が何方向あるかを示す数である。本実施形態において、ヘッドユニット3の移動方向は、Y1方向とY2方向との、2方向である。つまり、本実施形態において、移動方向数は「2」である。
このように、本実施形態では、動作態様数が「4」であり、移動方向数が「2」である場合を想定する。また、本実施形態では、値Rが、動作態様数と移動方向数とを乗算して得られる値である場合を想定する。つまり、本実施形態では、一例として、値Rが「8」である場合を想定する。
【0050】
個別選択信号SK[r]とは、駆動信号Comに含まれる駆動波形信号ComP1~ComP5の中から、吐出部Dに対して供給すべき1または複数の駆動波形信号ComPjを選択する信号である。ここで、変数rは、「1≦r≦R」を満たす自然数である。
【0051】
説明を図5に戻す。
図5に示すように、本実施形態において、駆動信号Comは、駆動期間TQ1に設けられた波形PA1を有する駆動波形信号ComP1と、駆動期間TQ2に設けられた波形PA2を有する駆動波形信号ComP2と、駆動期間TQ3に設けられた波形PA3を有する駆動波形信号ComP3と、駆動期間TQ4に設けられた波形PA4を有する駆動波形信号ComP4と、駆動期間TQ5に設けられた波形PA5を有する駆動波形信号ComP5と、を含む。
【0052】
ここで、波形PA1は、波形PA1を有する駆動波形信号ComP1が供給駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量φ1に相当するインクが吐出されるように定められた波形である。
また、波形PA2は、波形PA2を有する駆動波形信号ComP2が供給駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量φ2に相当するインクが吐出されるように定められた波形である。
また、波形PA3は、波形PA3を有する駆動波形信号ComP3が供給駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量φ3に相当するインクが吐出されるように定められた波形である。
また、波形PA4は、波形PA4を有する駆動波形信号ComP4が供給駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量φ4に相当するインクが吐出されるように定められた波形である。
また、波形PA5は、波形PA5を有する駆動波形信号ComP5が供給駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量φ5に相当するインクが吐出されるように定められた波形である。
【0053】
図7は、接続状態指定回路33の構成の一例を説明するためのブロック図である。
【0054】
図7に示すように、接続状態指定回路33は、シフトレジスタ―SR-1、シフトレジスタ―SR-2、シフトレジスタ―SR-P、及び、シフトレジスタ―SR-Hを含む、シフトレジスタ―SRRと、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のラッチ回路LL-1[1]~LL-1[M]と、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のラッチ回路LL-2[1]~LL-2[M]と、ラッチ回路LL-Pと、ラッチ回路LL-Hと、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のデコーダーDC[1]~DC[M]と、を備える。このうち、シフトレジスタ―SR-1は、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個の転送回路FF-1[1]~FF-1[M]を備える。また、シフトレジスタ―SR-2は、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個の転送回路FF-2[1]~FF-2[M]を備える。また、シフトレジスタ―SR-Pは、駆動波形選択信号SPのビット数に対応する複数の転送回路を備える。また、シフトレジスタ―SR-Hは、移動方向信号SHのビット数である1ビットに対応する1個の転送回路から構成される。
【0055】
シフトレジスタ―SRRには、駆動態様指定信号SI、駆動波形選択信号SP、及び、移動方向信号SHを含む駆動制御信号SSが、シリアルで供給される。駆動制御信号SSに含まれる各信号は、クロック信号CLに同期して、シフトレジスタ―SRRを構成する各転送回路を順番に転送される。この結果、シフトレジスタ―SR-1に含まれる転送回路FF-1[m]には、部分指定信号SI-1のうち部分信号SD-1[m]が供給され、シフトレジスタ―SR-2に含まれる転送回路FF-2[m]には、部分指定信号SI-2のうち部分信号SD-2[m]が供給され、シフトレジスタ―SR-Pには、駆動波形選択信号SPが供給され、シフトレジスタ―SR-Hには、移動方向信号SHが供給される。
【0056】
M個のラッチ回路LL-1[1]~LL-1[M]、M個のラッチ回路LL-2[1]~LL-2[M]、ラッチ回路LL-P、及び、ラッチ回路LL-Hには、ラッチ信号LTが供給される。このうち、ラッチ回路LL-1[m]は、ラッチ信号LTのパルスPLLがハイレベルに立ち上がるタイミングにおいて、転送回路FF-1[m]に供給された部分信号SD-1[m]をラッチする。また、ラッチ回路LL-2[m]は、ラッチ信号LTのパルスPLLがハイレベルに立ち上がるタイミングにおいて、転送回路FF-2[m]に供給された部分信号SD-2[m]をラッチする。また、ラッチ回路LL-Pは、ラッチ信号LTのパルスPLLがハイレベルに立ち上がるタイミングにおいて、シフトレジスタ―SR-Pに供給された駆動波形選択信号SPをラッチする。また、ラッチ回路LL-Hは、ラッチ信号LTのパルスPLLがハイレベルに立ち上がるタイミングにおいて、シフトレジスタ―SR-Hに供給された移動方向信号SHをラッチする。
【0057】
デコーダーDC[m]には、部分信号SD-1[m]と、部分信号SD-2[m]と、駆動波形選択信号SPと、移動方向信号SHと、ラッチ信号LTと、チェンジ信号CHと、が供給される。そして、デコーダーDC[m]は、部分信号SD-1[m]及び部分信号SD-2[m]からなる個別指定信号SD[m]と、移動方向信号SHと、に基づいて、駆動波形選択信号SPの中から、個別指定信号SD[m]に応じた個別選択信号SK[r]を選択する。そして、デコーダーDC[m]は、個別選択信号SK[r]とラッチ信号LTとチェンジ信号CHとに基づいて、接続状態指定信号QS[m]を生成する。
【0058】
図8は、デコーダーDC[m]による個別選択信号SK[r]の選択の一例を説明するための説明図である。
【0059】
図8に示すように、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(1,1)を示し、移動方向信号SHが「1」を示す場合、吐出部D[m]に対応する駆動波形選択信号SPとして、個別選択信号SK[1]を選択する。
また、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(1,0)を示し、移動方向信号SHが「1」を示す場合、吐出部D[m]に対応する駆動波形選択信号SPとして、個別選択信号SK[2]を選択する。
また、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(0,1)を示し、移動方向信号SHが「1」を示す場合、吐出部D[m]に対応する駆動波形選択信号SPとして、個別選択信号SK[3]を選択する。
また、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(0,0)を示し、移動方向信号SHが「1」を示す場合、吐出部D[m]に対応する駆動波形選択信号SPとして、個別選択信号SK[4]を選択する。
また、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(1,1)を示し、移動方向信号SHが「0」を示す場合、吐出部D[m]に対応する駆動波形選択信号SPとして、個別選択信号SK[5]を選択する。
また、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(1,0)を示し、移動方向信号SHが「0」を示す場合、吐出部D[m]に対応する駆動波形選択信号SPとして、個別選択信号SK[6]を選択する。
また、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(0,1)を示し、移動方向信号SHが「0」を示す場合、吐出部D[m]に対応する駆動波形選択信号SPとして、個別選択信号SK[7]を選択する。
また、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(0,0)を示し、移動方向信号SHが「0」を示す場合、吐出部D[m]に対応する駆動波形選択信号SPとして、個別選択信号SK[8]を選択する。
【0060】
図9は、デコーダーDC[m]による、個別選択信号SK[r]に基づく接続状態指定信号QS[m]の生成の一例を説明するための説明図である。
【0061】
図9に示すように、本実施形態では、個別選択信号SK[r]が、5個の駆動波形信号ComP1~ComP5と1対1に対応する、5ビットの信号である場合を想定する。以下では、個別選択信号SK[r]が有する5ビットのうち、jビット目の部分を、ビット信号SK[r][j]と称する。
【0062】
本実施形態において、デコーダーDC[m]は、ビット信号SK[r][j]が「1」である場合、駆動期間TQjにおいて接続状態指定信号QS[m]をハイレベルに設定し、ビット信号SK[r][j]が「0」である場合、駆動期間TQjにおいて接続状態指定信号QS[m]をローレベルに設定する。
【0063】
具体的には、本実施形態において、個別選択信号SK[1]は(1,1,1,0,0)を示す。このため、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(1,1)を示し、移動方向信号SHが「1」を示すことで、個別選択信号SK[1]を選択した場合、接続状態指定信号QS[m]を、駆動期間TQ1、駆動期間TQ2、及び、駆動期間TQ3においてハイレベルに設定する。つまり、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[1]を選択した場合、吐出部D[m]には、単位期間TPにおいて、供給駆動信号Vin[m]として、波形PA1を有する駆動波形信号ComP1と、波形PA2を有する駆動波形信号ComP2と、波形PA3を有する駆動波形信号ComP3と、が供給される。この結果、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[1]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、インク量φ1と、インク量φ2と、インク量φ3との合計量に相当するインクを吐出する。
【0064】
なお、本実施形態では、インク量φ1とインク量φ2とインク量φ3との合計量が、インク量ξ1に相当し、インク量φ3とインク量φ4とインク量φ5との合計量が、インク量ξ1に相当し、インク量φ1とインク量φ2との合計量が、インク量ξ2に相当し、インク量φ3とインク量φ4との合計量が、インク量ξ2に相当し、インク量φ2が、インク量ξ3に相当し、インク量φ4が、インク量ξ3に相当する場合を想定する。
よって、本実施形態において、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[1]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、大ドットDt1に相当するインク量ξ1のインクを吐出する。
【0065】
また、本実施形態において、個別選択信号SK[2]は(1,1,0,0,0)を示す。このため、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(1,0)を示し、移動方向信号SHが「1」を示すことで、個別選択信号SK[2]を選択した場合、接続状態指定信号QS[m]を、駆動期間TQ1及び駆動期間TQ2においてハイレベルに設定する。つまり、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[2]を選択した場合、吐出部D[m]には、単位期間TPにおいて、供給駆動信号Vin[m]として、波形PA1を有する駆動波形信号ComP1と、波形PA2を有する駆動波形信号ComP2と、が供給される。この結果、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[2]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、インク量φ1と、インク量φ2との合計量に相当するインクを吐出する。よって、本実施形態において、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[2]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、中ドットDt2に相当するインク量ξ2のインクを吐出する。
【0066】
また、本実施形態において、個別選択信号SK[3]は(0,1,0,0,0)を示す。このため、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(0,1)を示し、移動方向信号SHが「1」を示すことで、個別選択信号SK[3]を選択した場合、接続状態指定信号QS[m]を、駆動期間TQ2においてハイレベルに設定する。つまり、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[3]を選択した場合、吐出部D[m]には、単位期間TPにおいて、供給駆動信号Vin[m]として、波形PA2を有する駆動波形信号ComP2が供給される。この結果、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[3]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、インク量φ2に相当するインクを吐出する。よって、本実施形態において、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[3]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、小ドットDt3に相当するインク量ξ3のインクを吐出する。
【0067】
また、本実施形態において、個別選択信号SK[4]は(0,0,0,0,0)を示す。このため、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(0,0)を示し、移動方向信号SHが「1」を示すことで、個別選択信号SK[4]を選択した場合、接続状態指定信号QS[m]を、単位期間TPに亘りローレベルに設定する。つまり、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[4]を選択した場合、吐出部D[m]には、単位期間TPにおいて、供給駆動信号Vin[m]が供給されない。この結果、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[4]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、インクを吐出しない。
【0068】
また、本実施形態において、個別選択信号SK[5]は(0,0,1,1,1)を示す。このため、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(1,1)を示し、移動方向信号SHが「0」を示すことで、個別選択信号SK[5]を選択した場合、接続状態指定信号QS[m]を、駆動期間TQ3、駆動期間TQ4、及び、駆動期間TQ5においてハイレベルに設定する。つまり、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[5]を選択した場合、吐出部D[m]には、単位期間TPにおいて、供給駆動信号Vin[m]として、波形PA3を有する駆動波形信号ComP3と、波形PA4を有する駆動波形信号ComP4と、波形PA5を有する駆動波形信号ComP5と、が供給される。この結果、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[5]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、インク量φ3と、インク量φ4と、インク量φ5との合計量に相当するインクを吐出する。よって、本実施形態において、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[5]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、大ドットDt1に相当するインク量ξ1のインクを吐出する。
【0069】
また、本実施形態において、個別選択信号SK[6]は(0,0,1,1,0)を示す。このため、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(1,0)を示し、移動方向信号SHが「0」を示すことで、個別選択信号SK[6]を選択した場合、接続状態指定信号QS[m]を、駆動期間TQ3及び駆動期間TQ4においてハイレベルに設定する。つまり、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[6]を選択した場合、吐出部D[m]には、単位期間TPにおいて、供給駆動信号Vin[m]として、波形PA3を有する駆動波形信号ComP3と、波形PA4を有する駆動波形信号ComP4と、が供給される。この結果、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[6]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、インク量φ3と、インク量φ4との合計量に相当するインクを吐出する。よって、本実施形態において、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[6]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、中ドットDt2に相当するインク量ξ2のインクを吐出する。
【0070】
また、本実施形態において、個別選択信号SK[7]は(0,0,0,1,0)を示す。このため、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(0,1)を示し、移動方向信号SHが「0」を示すことで、個別選択信号SK[7]を選択した場合、接続状態指定信号QS[m]を、駆動期間TQ4においてハイレベルに設定する。つまり、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[7]を選択した場合、吐出部D[m]には、単位期間TPにおいて、供給駆動信号Vin[m]として、波形PA4を有する駆動波形信号ComP4が供給される。この結果、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[7]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、インク量φ4に相当するインクを吐出する。よって、本実施形態において、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[7]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、小ドットDt3に相当するインク量ξ3のインクを吐出する。
【0071】
また、本実施形態において、個別選択信号SK[8]は(0,0,0,0,0)を示す。このため、デコーダーDC[m]は、個別指定信号SD[m]が(0,0)を示し、移動方向信号SHが「0」を示すことで、個別選択信号SK[8]を選択した場合、接続状態指定信号QS[m]を、単位期間TPに亘りローレベルに設定する。つまり、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[4]を選択した場合、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、インクを吐出しない。
【0072】
<<3.実施形態の結び>>
本実施形態の効果を明確化するために、先ずは、従来の技術を説明する。従来の技術において、ヘッドユニット3は、移動方向信号SHを考慮せずに吐出部D[m]を駆動した。このため、従来の技術において、ヘッドユニット3は、例えば、個別指定信号SD[m]が(1,1)を示していれば、ヘッドユニット3がY1方向に移動している場合であっても、ヘッドユニット3がY2方向に移動している場合であっても、吐出部D[m]に対して、駆動波形信号ComP1~ComP5のうち、駆動波形信号ComP1~ComP3を供給することで、吐出部D[m]から大ドットDt1に相当するインクを吐出させた。そして、従来の技術によれば、ヘッドユニット3は、吐出部D[m]から中ドットDt2に相当するインクを吐出させる場合も、吐出部D[m]から小ドットDt3に相当するインクを吐出させる場合も、吐出部D[m]から大ドットDt1に相当するインクを吐出させる場合と同様に、移動方向信号SHを考慮せずに吐出部D[m]を駆動した。よって、従来の技術によれば、ヘッドユニット3がY1方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3との相対的な位置関係と、ヘッドユニット3がY2方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3との相対的な位置関係との間に、ズレが発生するという問題が存在した。
【0073】
これに対して、本実施形態において、供給制御回路31は、個別指定信号SD[m]が(1,1)を示し、移動方向信号SHが「1」を示すことで、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[1]を選択した場合、単位期間TPのうち、駆動期間TQ1~TQ3において、駆動波形信号ComP1~ComP3を吐出部D[m]に供給することで、吐出部D[m]から大ドットDt1に相当するインクを吐出させ、個別指定信号SD[m]が(1,1)を示し、移動方向信号SHが「0」を示すことで、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[5]を選択した場合、単位期間TPのうち、駆動期間TQ3~TQ5において、駆動波形信号ComP3~ComP5を吐出部D[m]に供給することで、吐出部D[m]から大ドットDt1に相当するインクを吐出させる。なお、本実施形態において、駆動波形信号ComP1~ComP3は「第1の組合せの駆動波形信号」の一例であり、駆動波形信号ComP3~ComP5は「第2の組合せの駆動波形信号」の一例であり、個別選択信号SK[1]は「第1選択信号」の一例であり、個別選択信号SK[5]は「第2選択信号」の一例である。
また、本実施形態において、供給制御回路31は、個別指定信号SD[m]が(1,0)を示し、移動方向信号SHが「1」を示すことで、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[2]を選択した場合、単位期間TPのうち、駆動期間TQ1~TQ2において、駆動波形信号ComP1~ComP2を吐出部D[m]に供給することで、吐出部D[m]から中ドットDt2に相当するインクを吐出させ、個別指定信号SD[m]が(1,0)を示し、移動方向信号SHが「0」を示すことで、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[6]を選択した場合、単位期間TPのうち、駆動期間TQ3~TQ4において、駆動波形信号ComP3~ComP4を吐出部D[m]に供給することで、吐出部D[m]から中ドットDt2に相当するインクを吐出させる。
また、本実施形態において、供給制御回路31は、個別指定信号SD[m]が(0,1)を示し、移動方向信号SHが「1」を示すことで、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[3]を選択した場合、単位期間TPのうち、駆動期間TQ2において、駆動波形信号ComP2を吐出部D[m]に供給することで、吐出部D[m]から小ドットDt3に相当するインクを吐出させ、個別指定信号SD[m]が(0,1)を示し、移動方向信号SHが「0」を示すことで、デコーダーDC[m]が個別選択信号SK[7]を選択した場合、単位期間TPのうち、駆動期間TQ4において、駆動波形信号ComP4を吐出部D[m]に供給することで、吐出部D[m]から小ドットDt3に相当するインクを吐出させる。
【0074】
すなわち、本実施形態によれば、ヘッドユニット3がY1方向に移動し、移動方向信号SHが「1」を示す場合の単位期間TPにおける、吐出部D[m]からのインクの吐出タイミングと、ヘッドユニット3がY2方向に移動し、移動方向信号SHが「0」を示す場合の単位期間TPにおける、吐出部D[m]からのインクの吐出タイミングとを、異なるタイミングに設定する。より具体的には、本実施形態では、一例として、ヘッドユニット3がY2方向に移動し、移動方向信号SHが「0」を示す場合の単位期間TPにおける、吐出部D[m]からのインクの吐出タイミングが、ヘッドユニット3がY1方向に移動し、移動方向信号SHが「1」を示す場合の単位期間TPにおける、吐出部D[m]からのインクの吐出タイミングよりも、遅いタイミングとなるように設定する。このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3がY1方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3との相対的な位置関係と、ヘッドユニット3がY2方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3との相対的な位置関係との間のズレを、従来の技術よりも低減することが可能となる。
【0075】
以上のように、本実施形態に係るヘッドユニット3は、インクを吐出するヘッドユニット3であって、駆動信号Comの供給に応じてインクを吐出する吐出部D[m]と、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御する供給制御回路31と、を備え、供給制御回路31は、吐出部D[m]からのインクの吐出の有無、及び、吐出部D[m]から吐出するインクの量の、一方または両方を指定する駆動態様指定信号SIと、駆動信号Comに含まれる駆動波形信号ComP1~ComP5の中から、吐出部D[m]に供給する駆動波形信号ComPjを選択する駆動波形選択信号SPと、吐出部D[m]からインクが吐出されるタイミングを規定するラッチ信号LTと、ヘッドユニット3の位置の変化に関連する移動方向信号SHと、に基づいて、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御する、ことを特徴とする。
【0076】
このため、本実施形態によれば、移動方向信号SHを考慮せずに吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御する従来の技術と比較して、ヘッドユニット3が一の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置と、ヘッドユニット3が他の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置との間のズレに起因する、媒体に形成される画像の画質の低下の程度を小さくすることが可能となる。
【0077】
また、本実施形態において、移動方向信号SHは、ヘッドユニット3がインクジェットプリンター1においてY1方向に移動している状態であること、または、ヘッドユニット3がインクジェットプリンター1においてY2方向に移動している状態であることを示す、ことを特徴とする。
【0078】
このため、本実施形態によれば、ヘッドユニット3は、ヘッドユニット3がY1方向に移動している状態であるか、ヘッドユニット3がY2方向に移動している状態であるかに応じて、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態において、駆動波形選択信号SPは、駆動波形信号ComP1~ComP5の中から駆動波形信号ComP1~ComP3を選択する個別選択信号SK[1]と、駆動波形信号ComP1~ComP5の中から駆動波形信号ComP3~ComP5を選択する個別選択信号SK[5]と、を含み、供給制御回路31は、移動方向信号SHが「1」を示す場合に、個別選択信号SK[1]に基づいて、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御し、移動方向信号SHが「0」を示す場合に、個別選択信号SK[5]に基づいて、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御する、ことを特徴とする。
【0080】
このため、本実施形態によれば、例えば、ヘッドユニット3の移動方向を考慮しない態様と比較して、移動方向信号SHが「1」を示しヘッドユニット3がY1方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3との相対的な位置関係と、移動方向信号SHが「0」を示しヘッドユニット3がY2方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3との相対的な位置関係との間のズレを低減することができる。
【0081】
また、本実施形態において、駆動態様指定信号SI、駆動波形選択信号SP、及び、移動方向信号SHは、単一の配線LH2によりヘッドユニット3に対して供給される、ことを特徴とする。
【0082】
このため、本実施形態によれば、例えば、駆動態様指定信号SIをヘッドユニット3に対して供給する配線と、駆動波形選択信号SPをヘッドユニット3に対して供給する配線と、移動方向信号SHをヘッドユニット3に対して供給する配線とが、それぞれ別個に設けられる態様と比較して、ヘッドユニット3に接続される配線数の低減が可能となり、更には、ヘッドユニット3の小型化が可能となる。
【0083】
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、ヘッドユニット3と、移動方向信号SHを生成する制御ユニット2と、を備える、ことを特徴とする。
【0084】
すなわち、本実施形態において、インクジェットプリンター1がヘッドユニット3に対して移動方向信号SHを供給することで、ヘッドユニット3は、移動方向信号SHに基づいて、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御する。つまり、インクジェットプリンター1がヘッドユニット3に対して移動方向信号SHを供給することで、ヘッドユニット3が一の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置と、ヘッドユニット3が他の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置との間のズレを小さくするような、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給の制御が可能となる。このため、本実施形態によれば、例えば、制御ユニット2が吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給の態様を具体的に指定する信号を生成する態様と比較して、ヘッドユニット3が一の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置と、ヘッドユニット3が他の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置との間のズレを小さくするような、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給の制御を、容易に実現することが可能となる。
また、本実施形態によれば、ヘッドユニット3が、制御ユニット2から供給される移動方向信号SHに基づいて、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御するための個別選択信号SK[r]を選択する。このため、本実施形態によれば、例えば、ヘッドユニット3が制御ユニット2から個別選択信号SK[r]の供給を受ける態様、つまり、制御ユニット2が吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御する態様と比較して、インクジェットプリンター1に対してヘッドユニット3を適用する際に、インクジェットプリンター1が有する制御ユニット2の設計負荷を低減することが可能となる。
【0085】
<<B.変形例>>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0086】
<<変形例1>>
上述した実施形態において、接続状態指定回路33は、個別指定信号SD[m]及び移動方向信号SHに基づいて、駆動波形選択信号SPに含まれる8個の個別選択信号SK[1]~SK[8]の中から一の個別選択信号SK[r]を選択するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。接続状態指定回路33は、移動方向信号SHに基づいて、駆動波形選択信号SPに含まれる個別選択信号SK[r]を補正してもよい。
【0087】
図10は、本変形例に係る接続状態指定回路33Bの構成の一例を説明するためのブロック図である。
【0088】
図10に示すように、接続状態指定回路33Bは、補正回路CR-Pを備える点と、デコーダーDC[m]の代わりにデコーダーDC-B[m]を備える点と、において、実施形態に係る接続状態指定回路33と相違する。
なお、本変形例に係るヘッドユニット3は、供給制御回路31が、接続状態指定回路33の代わりに接続状態指定回路33Bを備える点において、実施形態に係るヘッドユニット3と相違する。
【0089】
また、本変形例に係る駆動制御信号SSは、個別選択信号SK[1]~SK[8]の代わりに、個別選択信号SK[1]~SK[4]のみを含む点において、実施形態に係る駆動制御信号SSと相違する。
なお、以下では、個別選択信号SK[1]~SK[4]を、駆動波形選択信号SP1と称し、個別選択信号SK[5]~SK[8]を、駆動波形選択信号SP2と称する。すなわち、本実施形態に係る駆動制御信号SSは、駆動波形選択信号SP1を含むものの、駆動波形選択信号SP2を含まない点において、実施形態に係る駆動制御信号SSと相違する。
【0090】
本変形例において、シフトレジスタ―SR-Pには、駆動波形選択信号SP1が供給される。また、ラッチ回路LL-Pは、ラッチ信号LTのパルスPLLがハイレベルに立ち上がるタイミングにおいて、シフトレジスタ―SR-Pに供給された駆動波形選択信号SP1をラッチする。そして、補正回路CR-Pには、ラッチ回路LL-Pから、駆動波形選択信号SP1が供給される。また、補正回路CR-Pには、ラッチ回路LL-Hから、移動方向信号SHが供給される。
【0091】
補正回路CR-Pは、移動方向信号SHが「1」を示す場合、駆動波形選択信号SP1を駆動波形選択信号SPとして、デコーダーDC-B[m]に供給する。また、補正回路CR-Pは、移動方向信号SHが「0」を示す場合、図示は省略するが、ヘッドユニット3に設けられた記憶部に記憶された選択補正情報に基づいて、駆動波形選択信号SP1を駆動波形選択信号SP2に補正し、駆動波形選択信号SP2を駆動波形選択信号SPとして、デコーダーDC-B[m]に供給する。
【0092】
デコーダーDC-B[m]は、駆動波形選択信号SPとして、個別選択信号SK[1]~SK[4]からなる駆動波形選択信号SP1が供給された場合、個別選択信号SK[1]~SK[4]の中から、図8に示す個別指定信号SD[m]に応じた個別選択信号SK[r]を選択し、選択した個別選択信号SK[r]に基づいて、接続状態指定信号QS[m]を生成する。また、デコーダーDC[m]は、駆動波形選択信号SPとして、個別選択信号SK[5]~SK[8]からなる駆動波形選択信号SP2が供給された場合、個別選択信号SK[5]~SK[8]の中から、図8に示す個別指定信号SD[m]に応じた個別選択信号SK[r]を選択し、選択した個別選択信号SK[r]に基づいて、接続状態指定信号QS[m]を生成する。
【0093】
以上のように、本変形例によれば、駆動波形選択信号SPは、駆動波形信号ComP1~ComP5の中から駆動波形信号ComP1~ComP3を選択する個別選択信号SK[1]を含み、供給制御回路31は、移動方向信号SHが「1」を示す場合に、個別選択信号SK[1]に基づいて、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御し、移動方向信号SHが「0」を示す場合に、駆動波形選択信号SP1に含まれる個別選択信号SK[1]を補正して、駆動波形信号ComP1~ComP5の中から駆動波形信号ComP3~ComP5を選択する個別選択信号SK[5]を生成し、個別選択信号SK[5]に基づいて、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御する、ことを特徴とする。
【0094】
このため、本変形例によれば、例えば、ヘッドユニット3の移動方向を考慮しない態様と比較して、移動方向信号SHが「1」を示しヘッドユニット3がY1方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3との相対的な位置関係と、移動方向信号SHが「0」を示しヘッドユニット3がY2方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3との相対的な位置関係との間のズレを低減することができる。
【0095】
また、本変形例によれば、ヘッドユニット3は、選択補正情報を記憶する記憶部を備え、供給制御回路31は、選択補正情報に基づいて、駆動波形選択信号SP1を補正した駆動波形選択信号SP2を生成する、ことを特徴とする。
【0096】
このため、本変形例によれば、例えば、選択補正情報を記憶する記憶部が制御ユニット2に設けられている態様と比較して、インクジェットプリンター1に対してヘッドユニット3を適用する際に、インクジェットプリンター1が有する制御ユニット2の設計負荷を低減することができる。
【0097】
<<変形例2>>
上述した実施形態及び変形例1において、ヘッドユニット3は、移動方向信号SHに応じた個別選択信号SK[r]を選択し、または、移動方向信号SHに応じて個別選択信号SK[r]を補正することで、ヘッドユニット3が一の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置と、ヘッドユニット3が他の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置との間のズレを小さくするような、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給の制御を行ったが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、ヘッドユニット3は、移動方向信号SHに応じて駆動信号Comを補正することで、ヘッドユニット3が一の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置と、ヘッドユニット3が他の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置との間のズレを小さくするような、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給の制御を行ってもよい。
【0098】
図11は、本変形例に係るヘッドユニット3Cの構成の一例を説明するためのブロック図である。
【0099】
図11に示すように、ヘッドユニット3Cは、供給制御回路31の代わりに、供給制御回路31Cを備える点において、実施形態に係るヘッドユニット3と相違する。供給制御回路31Cは、補正回路CR-Cを備える点と、接続状態指定回路33の代わりに接続状態指定回路33Cを備える点と、において、実施形態に係る供給制御回路31と相違する。接続状態指定回路33Cは、補正回路CR-Cに対して、移動方向信号SHを供給する点において、実施形態に係る接続状態指定回路33と相違する。
補正回路CR-Cは、移動方向信号SHが「1」を示す場合、駆動信号生成ユニット4から供給される駆動信号Comを、駆動信号ComHとして出力し、移動方向信号SHが「0」を示す場合、駆動信号Comを補正した駆動信号ComDを、駆動信号ComHとして出力する。なお、補正回路CR-Cは「駆動信号補正部」の一例であり、駆動信号ComDは「補正駆動信号」の一例である。吐出部D[m]は、接続状態指定信号QS[m]がハイレベルであり、スイッチWS[m]がオンする場合に、駆動信号ComHにより駆動される。
【0100】
図12は、駆動信号ComDの一例を示すタイミングチャートである。
【0101】
図12に示すように、駆動信号ComDは、駆動期間TQ1に設けられた波形PD1を有する駆動波形信号ComPD1と、駆動期間TQ2に設けられた波形PD2を有する駆動波形信号ComPD2と、駆動期間TQ3に設けられた波形PD3を有する駆動波形信号ComPD3と、駆動期間TQ4に設けられた波形PD4を有する駆動波形信号ComPD4と、駆動期間TQ5に設けられた波形PD5を有する駆動波形信号ComPD5と、を含む。ここで、波形PD1は、波形PA1を時間TXだけ遅延させた波形であり、波形PD2は、波形PA2を時間TXだけ遅延させた波形であり、波形PD3は、波形PA3を時間TXだけ遅延させた波形であり、波形PD4は、波形PA4を時間TXだけ遅延させた波形であり、波形PD5は、波形PA5を時間TXだけ遅延させた波形である。また、波形PD1を有する駆動波形信号ComPD1が供給駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量φ1に相当するインクが吐出される。波形PD2を有する駆動波形信号ComPD2が供給駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量φ2に相当するインクが吐出される。波形PD3を有する駆動波形信号ComPD3が供給駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量φ3に相当するインクが吐出される。波形PD4を有する駆動波形信号ComPD4が供給駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量φ4に相当するインクが吐出される。波形PD5を有する駆動波形信号ComPD5が供給駆動信号Vin[m]として吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量φ5に相当するインクが吐出される。
【0102】
以上のように、本変形例において、ヘッドユニット3Cは、駆動信号Comを補正して駆動信号ComDを生成する補正回路CR-Cを備え、供給制御回路31Cは、移動方向信号SHが「1」を示す場合に、吐出部D[m]に対して駆動信号Comを供給し、移動方向信号SHが「0」を示す場合に、吐出部D[m]に対して駆動信号ComDを供給する、ことを特徴とする。
【0103】
このため、本変形例によれば、例えば、ヘッドユニット3Cの移動方向を考慮しない態様と比較して、移動方向信号SHが「1」を示しヘッドユニット3CがY1方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3Cとの相対的な位置関係と、移動方向信号SHが「0」を示しヘッドユニット3CがY2方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3Cとの相対的な位置関係との間のズレを低減することができる。
【0104】
<<変形例3>>
上述した実施形態及び変形例1において、ヘッドユニット3は、移動方向信号SHに応じた個別選択信号SK[r]を選択し、または、移動方向信号SHに応じて個別選択信号SK[r]を補正することで、ヘッドユニット3が一の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置と、ヘッドユニット3が他の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置との間のズレを小さくするような、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給の制御を行ったが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、ヘッドユニット3は、移動方向信号SHに応じてラッチ信号LT及びチェンジ信号CHを補正することで、ヘッドユニット3が一の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置と、ヘッドユニット3が他の方向に移動する場合における媒体に対するインクの着弾位置との間のズレを小さくするような、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給の制御を行ってもよい。
【0105】
図13は、本変形例に係るヘッドユニット3Dの構成の一例を説明するためのブロック図である。
【0106】
図13に示すように、ヘッドユニット3Dは、供給制御回路31の代わりに、供給制御回路31Dを備える点において、実施形態に係るヘッドユニット3と相違する。供給制御回路31Dは、補正回路CR-Lを備える点と、接続状態指定回路33の代わりに接続状態指定回路33Dを備える点と、において、実施形態に係る供給制御回路31と相違する。
【0107】
補正回路CR-Lには、ラッチ信号LTと、チェンジ信号CHと、移動方向信号SHとが供給される。
補正回路CR-Lは、移動方向信号SHが「1」を示す場合、ラッチ信号LTを、ラッチ信号LTHとして出力し、チェンジ信号CHを、チェンジ信号CHHとして出力する。
また、補正回路CR-Lは、移動方向信号SHが「0」を示す場合、ラッチ信号LTを補正したラッチ信号LTDを、ラッチ信号LTHとして出力し、チェンジ信号CHを補正したチェンジ信号CHDを、チェンジ信号CHとして出力する。なお、補正回路CR-Lは「タイミング信号補正部」の一例であり、ラッチ信号LTDは「補正タイミング信号」の一例であり、チェンジ信号CHDは「補正タイミング信号」の他の例である。
【0108】
接続状態指定回路33Dは、ラッチ信号LTの代わりにラッチ信号LTHが供給され、チェンジ信号CHの代わりにチェンジ信号CHHが供給され、ラッチ信号LTH及びチェンジ信号CHHに基づいて接続状態指定信号QS[m]を生成する点と、補正回路CR-Lに対して移動方向信号SHを供給する点と、において、実施形態に係る接続状態指定回路33と相違する。
【0109】
図14は、ラッチ信号LTD及びチェンジ信号CHDの一例を示すタイミングチャートである。
【0110】
図14に示すように、ラッチ信号LTDは、ラッチ信号LTを、単位期間TPよりも時間TXだけ短い時間だけ遅延させた信号であり、単位期間TPFを規定する。この結果、ラッチ信号LTDが接続状態指定回路33Dに供給される場合、ラッチ信号LTが接続状態指定回路33Dに供給される場合と比較して、駆動信号Comに対するパルスPLLの発生のタイミングが時間TXだけ早められる。また、チェンジ信号CHDは、チェンジ信号CHを、単位期間TPよりも時間TXだけ短い時間だけ遅延させた信号であり、駆動期間TQFjを規定する。この結果、チェンジ信号CHDが接続状態指定回路33Dに供給される場合、チェンジ信号CHが接続状態指定回路33Dに供給される場合と比較して、駆動信号Comに対するパルスPLC1~PLC4の発生のタイミングが時間TXだけ早められる。
【0111】
以上のように、本変形例において、ヘッドユニット3Dは、ラッチ信号LTを補正してラッチ信号LTDを生成し、チェンジ信号CHを補正してチェンジ信号CHDを生成する補正回路CR-Lを備え、供給制御回路31Dは、移動方向信号SHが「1」を示す場合に、ラッチ信号LT及びチェンジ信号CHに基づいて吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御し、移動方向信号SHが「0」を示す場合に、ラッチ信号LTD及びチェンジ信号CHDに基づいて吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御する、ことを特徴とする。
【0112】
このため、本変形例によれば、例えば、ヘッドユニット3Dの移動方向を考慮しない態様と比較して、移動方向信号SHが「1」を示しヘッドユニット3DがY1方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3Dとの相対的な位置関係と、移動方向信号SHが「0」を示しヘッドユニット3DがY2方向に移動している場合であって、吐出部D[m]がドットDtを形成する場合における、記録用紙PPにおけるインクの着弾位置と、ヘッドユニット3Dとの相対的な位置関係との間のズレを低減することができる。
【0113】
<<変形例4>>
上述した実施形態及び変形例1乃至3において、供給制御回路31は、インクジェットプリンター1の特性を示すプリンター特性情報に基づいて、吐出部D[m]に対する駆動信号Comの供給を制御してもよい。ここで、プリンター特性情報とは、プリンター種別情報及び印刷方向情報の一方または両方を含む情報である。このうち、プリンター種別情報とは、インクジェットプリンター1が、ヘッドユニット3がインクジェットプリンター1に対して移動するシリアルプリンターであるか、または、ヘッドユニット3がインクジェットプリンター1に対して移動しないラインプリンタ―であるかを示す情報である。また、印刷方向情報とは、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合、インクジェットプリンター1が印刷処理を実行している期間において、インクジェットプリンター1に搭載されたヘッドユニット3が、Y1方向にのみ移動可能であるか、または、Y1方向及びY2方向の両方向に移動可能であるかを示す情報である。
【0114】
このため、本変形例によれば、例えば、インクジェットプリンター1に対してヘッドユニット3を適用する際に、インクジェットプリンター1が有する制御ユニット2の設計負荷を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0115】
1…インクジェットプリンター、2…制御ユニット、3…ヘッドユニット、4…駆動信号生成ユニット、7…搬送ユニット、31…供給制御回路、32…記録ヘッド、33…接続状態指定回路、D…吐出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14