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特開2024-64132建物用シャッター装置におけるスラットおよびスラットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064132
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置におけるスラットおよびスラットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/15 20060101AFI20240507BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20240507BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E06B9/15 A
E06B9/17 T
E06B9/58 A
E06B9/15 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172495
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】香西 統太
(72)【発明者】
【氏名】岩階 章
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042BA01
2E042CA01
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】シャッター装置1のシャッターカーテン3が強風を受けて撓んだ場合のガイドレール2からの抜け止めを、スラット6に設けた前後係止部8、9がガイドレール2に設けた前後の係止受け部に係止して行うものにおいて、抜け止め状態が前後同じ状態になるようにする。
【解決手段】シャッターカーテン3が撓んだ場合にガイドレール2に設けた前後の係止受け部7に係止してシャッターカーテン3の抜け止めをするための係止部8、9を、スラット面部6g側と上下結合半部6a、6b同士が連結されたインターロック結合部Y側との前後に、左右方向略同位置かつ平面視で略同形状に形成する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の左右に設けられるガイドレール、ガイドレールのガイド溝に左右両端縁部が嵌入する状態で昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方に配され、シャッターカーテンの巻装をする巻き取り体を備え、
強風を受けて前後方向に撓んだシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めを、シャッターカーテンを構成するスラットに設けた係止部がガイド溝内に設けた係止受け部に係止することで行う構成にしてなる建物用シャッター装置において、
スラットは、前側に配されるスラット面部と、隣接するスラット同士をインターロック結合により連結するべく後側に配される上下両側の結合半部と、前側のスラット面部と後側の上下両側の結合半部とを傾斜状に連結する上下の傾斜面部とを備えて構成され、
前記係止部は、スラット面部側と上下結合半部同士が連結されたインターロック結合部側との前後に形成され、
該前後の係止部は、左右方向略同位置かつ平面視で略同形状に形成されていることを特徴とする建物用シャッター装置におけるスラット。
【請求項2】
インターロック結合部は、上側結合半部に下側結合半部が内嵌することで構成され、
スラット面部側に形成される前側係止部は、スラット面部から該スラット面部と傾斜面部とのあいだの折曲部を越えて傾斜面部に至る縦長状の係止孔であって平面視で前方が開口した凹溝状をし、
インターロック結合部側に形成される後側係止部は、少なくとも上側結合半部に形成された第一係止孔であって平面視で後方が開口した凹溝状をしていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるスラット。
【請求項3】
後側係止部は、上側結合半部に形成の第一係止孔に、下側結合半部に形成される第二係止孔が重合することで、後側係止受け部が下側結合半部内に嵌入可能な状態で形成され、
該第二係止孔は、左右幅が第一係止孔の左右幅よりも幅広に形成されることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置におけるスラット。
【請求項4】
インターロック結合は、上下両側の結合半部同士がシャッターカーテンのカーテン芯に沿う平常状態の結合姿勢から前後方向に相対移動可能な遊嵌状の結合であり、
第一係止孔には、後側係止部の溝底部に相当する第一底片部が形成され、
第二係止孔には、前記平常状態で第一係止孔の第一底片部よりも溝開口側の溝浅位置に位置する第二底片部が形成され、
該第二底片部は、上下両側の結合半部同士が前記相対移動したときに平面視で第一底片部部位に略一致するよう位置設定されていることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置におけるスラット。
【請求項5】
前後係止部は、左右方向内側片が該前後係止部の溝底部側ほど左右方向外方に変位する傾斜案内片に構成されていて、撓んでいたシャッターカーテンが元状態に復帰する際の係止受け部からの係止解除が、傾斜案内片による案内により促進される構成になっていることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置におけるスラット。
【請求項6】
開口部の左右に設けられるガイドレール、ガイドレールのガイド溝に左右両端縁部が嵌入する状態で昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方に配され、シャッターカーテンの巻装をする巻き取り体を備え、
強風を受けて前後方向に撓んだシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めを、シャッターカーテンを構成するスラットに設けた係止部がガイド溝内に設けた係止受け部に係止することで行う構成にしてなる建物用シャッター装置において、
スラットは、前側に配されるスラット面部と、隣接するスラット同士をインターロック結合により連結するべく後側に配される上下両側の結合半部と、前側のスラット面部と後側の上下両側の結合半部とを傾斜状に連結する上下の傾斜面部とを備え、かつガイド溝の開口端縁部に形成された係止受け部に係止するための係止部が、平面視で前後方向外方が開口した凹溝状に形成されてなるものであって、
該スラットを、平板状の帯鋼板をロール成形により製造するための製造方法として、
帯鋼板をロール成形してスラット形状に加工する最初の工程で、スラットを展開した状態で描かれる係止部の形状を切り欠き形成することを特徴とする建物用シャッター装置におけるスラットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置におけるスラットおよびスラットの製造方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建物用のシャッター装置を設けて該開口部の開閉をすることがあり、この様なシャッター装置は、一般に、開口部の左右に設けられるガイドレール、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン等の各種の部材装置を備えたものとして構成される。
ところでこのようなシャッター装置では、シャッターカーテンの閉鎖時において、該シャッターカーテンが強風を受けた場合に前後方向(屋内外方向)に撓むことになるが、この強風が、台風や集中豪雨襲来時等等の悪天候時に生じる強風(豪風)であるような場合、シャッターカーテンは、撓み量が大きくなって左右両端縁部がガイドレールから抜け出る(外れる)ことがあり、そこで従来、このようなシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止め(外れ防止)をするため、種々の抜け止め(外れ防止)構造が提唱されている。
このような抜け止め構造として、例えば、シャッターカーテンの構成部品であるスラットのガイドレールに嵌入している左右端縁部位に凹嵌状の係止部を形成し、該係止部が、シャッターカーテンが強風を受けて撓んだ場合にガイドレールの開口端部に設けた係止受け部に係止することで、シャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めをするようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照)。
また一方では、スラットの左右両端縁部に耐風部材(耐風フック)を左右方向外方に向けて突出する状態で設け、シャッターカーテンが強風を受けて撓んだ場合に、該耐風部材に設けた係止部がガイドレールに設けた係止受け部に係止することでシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めをするようにしたものも提唱されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-164852号公報
【特許文献2】特開2016-113820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして前記従来のものは、何れのものもシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止め構造としての有効性は備えてはいるが、前者のものは、スラットに形成される係止部が、屋内外方向一方の面部側に形成されたものであるため、シャッターカーテンが屋内外方向一方側に向けて風圧を受けた場合には有効であるが、他方側に向けて撓んだ場合について対称にしていない点で十分とは言えない等の問題がある。
これに対し後者のものは、別部材としてスラットに設けた耐風部材が、前後(屋内外)両面側に係止部が形成されたものとなっていることで、何れの側からの風圧に対して対応できるものの、耐風部材という別部材が必要になって部品点数が多くなるだけでなく、耐風部材をスラットに取り付ける工程が必要になって作業性に欠け、さらにはシャッターカーテンのガイドレールへの嵌入深さを維持するにはガイド溝を深いものにせざるを得ない等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、開口部の左右に設けられるガイドレール、ガイドレールのガイド溝に左右両端縁部が嵌入する状態で昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方に配され、シャッターカーテンの巻装をする巻き取り体を備え、強風を受けて前後方向に撓んだシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めを、シャッターカーテンを構成するスラットに設けた係止部がガイド溝内に設けた係止受け部に係止することで行う構成にしてなる建物用シャッター装置において、スラットは、前側に配されるスラット面部と、隣接するスラット同士をインターロック結合により連結するべく後側に配される上下両側の結合半部と、前側のスラット面部と後側の上下両側の結合半部とを傾斜状に連結する上下の傾斜面部とを備えて構成され、前記係止部は、スラット面部側と上下結合半部同士が連結されたインターロック結合部側との前後に形成され、該前後の係止部は、左右方向略同位置かつ平面視で略同形状に形成されていることを特徴とする建物用シャッター装置におけるスラットである。
請求項2の発明は、インターロック結合部は、上側結合半部に下側結合半部が内嵌することで構成され、スラット面部側に形成される前側係止部は、スラット面部から該スラット面部と傾斜面部とのあいだの折曲部を越えて傾斜面部に至る縦長状の係止孔であって平面視で前方が開口した凹溝状をし、インターロック結合部側に形成される後側係止部は、少なくとも上側結合半部に形成された第一係止孔であって平面視で後方が開口した凹溝状をしていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるスラットである。
請求項3の発明は、後側係止部は、上側結合半部に形成の第一係止孔に、下側結合半部に形成される第二係止孔が重合することで、後側係止受け部が下側結合半部内に嵌入可能な状態で形成され、該第二係止孔は、左右幅が第一係止孔の左右幅よりも幅広に形成されることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置におけるスラットである。
請求項4の発明は、インターロック結合は、上下両側の結合半部同士がシャッターカーテンのカーテン芯に沿う平常状態の結合姿勢から前後方向に相対移動可能な遊嵌状の結合であり、第一係止孔には、後側係止部の溝底部に相当する第一底片部が形成され、第二係止孔には、前記平常状態で第一係止孔の第一底片部よりも溝開口側の溝浅位置に位置する第二底片部が形成され、該第二底片部は、上下両側の結合半部同士が前記相対移動したときに平面視で第一底片部部位に略一致するよう位置設定されていることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置におけるスラットである。
請求項5の発明は、前後係止部は、左右方向内側片が該前後係止部の溝底部側ほど左右方向外方に変位する傾斜案内片に構成されていて、撓んでいたシャッターカーテンが元状態に復帰する際の係止受け部からの係止解除が、傾斜案内片による案内により促進される構成になっていることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置におけるスラットである。
請求項6の発明は、開口部の左右に設けられるガイドレール、ガイドレールのガイド溝に左右両端縁部が嵌入する状態で昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方に配され、シャッターカーテンの巻装をする巻き取り体を備え、強風を受けて前後方向に撓んだシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めを、シャッターカーテンを構成するスラットに設けた係止部がガイド溝内に設けた係止受け部に係止することで行う構成にしてなる建物用シャッター装置において、スラットは、前側に配されるスラット面部と、隣接するスラット同士をインターロック結合により連結するべく後側に配される上下両側の結合半部と、前側のスラット面部と後側の上下両側の結合半部とを傾斜状に連結する上下の傾斜面部とを備え、かつガイド溝の開口端縁部に形成された係止受け部に係止するための係止部が、平面視で前後方向外方が開口した凹溝状に形成されてなるものであって、該スラットを、平板状の帯鋼板をロール成形により製造するための製造方法として、帯鋼板をロール成形してスラット形状に加工する最初の工程で、スラットを展開した状態で描かれる係止部の形状を切り欠き形成することを特徴とする建物用シャッター装置におけるスラットの製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、強風を受けて撓んだシャッターカーテンがガイドレールから抜け出ることを、スラットに形成した係止部がガイドレールに設けた係止受け部に係止することで防止する場合に、前記係止部が、スラット面部側と上下結合半部同士が連結されたインターロック結合部側との前後に形成され、しかも該前後の係止部は、左右方向略同位置かつ平面視で略同形状に形成されたものとなっている結果、シャッターカーテンが強風を受けて前後方向何れに撓んだ場合でも、係止部が係止受け部に係止してシャッターカーテンの抜け止めがなされることが前後において同じになった状態でのシャッターカーテンの抜け止めが、別部材を設けることなくできることになる。
請求項2の発明とすることにより、スラット面部側の前側係止部は、スラット面部から該スラット面部と傾斜面部とのあいだの折曲部を越えて傾斜面部に至る縦長状の係止孔であって平面視で前方が開口した凹溝状をし、インターロック結合部側の後側係止部は、少なくとも上側結合半部に形成された第一係止孔であって平面視で後方が開口した凹溝状をしたものとなる結果、スラットに設けられる前後の係止部の構造を簡略化したものにできる。
請求項3の発明とすることにより、インターロック結合部側に設けられる後側係止部が、上側結合半部に形成の第一係止孔に、下側結合半部に形成の第二係止孔が重合することで形成され、この場合の第二係止孔は、左右幅が第一係止孔の左右幅よりも幅広に形成されたものとなっている結果、隣接するスラット同士が左右に位置ずれした状態でも後側係止部の凹溝形状を維持できることになってシャッターカーテンの抜け止め機能が損なわれることを回避できることになる。
請求項4の発明とすることにより、第二係止孔に形成される後側係止孔の溝底部となる第二底片部が、第一係止孔に形成される後側係止部の溝底部となる第一底片部に対し、平常状態で後側係止部の溝浅位置に位置する状態で設けられたものとなっており、そして強風を受ける等してスラット同士が前後方向に相対移動した場合に前記第一、第二底片部同士が略同一位置に位置するものとなる結果、第二底片部の下側結合半部先端縁とのあいだの幅を、平常状態において第一、第二底片部同士が一致するように設けた場合に比して広く確保できることになって、後側係合部の溝底部となる第二底片部の強度アップが図れることになる。
請求項5の発明とすることにより、撓んでいたシャッターカーテンが元状態に復帰する際の係止部の係止受け部からの係止解除が、係止部の左右方向内側片が左右方向外方に変位する傾斜案内片に構成された傾斜案内片による案内により促進されることになって円滑な元状態への復帰がなされることになる。
請求項6の発明とすることにより、強風を受けて前後方向に撓んだシャッターカーテンのガイドレールからの抜け止めを、ロール成形されるスラットに形成の係止部が係止受け部に係止することで行うものにおいて、該スラットに係止部を形成する製造方法として、帯鋼板をロール成形してスラット形状に加工する最初の工程で、スラットを展開した状態で描かれる係止部の形状を切り欠き形成するようにした結果、ロール成形されることで三次元構造となったスラットであっても、係止部を簡単かつ確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シャッター装置の正面図である。
図2】シャッター装置の縦断面図である。
図3】シャッター装置の横断面図である。
図4】シャッターカーテン部位の要部縦断面図である。
図5】(A)(B)はガイドレールの平面図、緩衝材取り付け部位の平面図である。
図6】(A)(B)(C)(D)はスラットの左右方向端縁部位の正面図、背面図、平面図、底面図である。
図7】平常状態のスラットの係止部部位の平面断面図である。
図8】(A)(B)(C)はスラットの側面図、係止部位の縦断面図、スラットを展開した状態の正面図である。
図9】インターロック結合されたスラットの係止部位の縦断面図である。
図10】スラットの要部拡大背面図である。
図11】(A)(B)(C)はインターロック結合部位の平常状態の縦断面図、前後方向に相対移動した状態の縦断面図、巻き取り体に巻装された状態の縦断面図である。
図12】(A)(B)はシャッターカーテンが正圧、負圧を受けて撓んだ際の抜け止め状態を示す作用説明図である。
図13】(A)(B)は正圧、負圧を受けた状態のスラットの抜け止め状態を示す要部平面断面図である。
図14】(A)~(D)はシャッターカーテンが正圧を受けた抜け止め状態から元状態に復帰する工程を示す要部平面断面図である。
図15】(A)~(D)はシャッターカーテンが負圧を受けた抜け止め状態から元状態に復帰する工程を示す作用説明図である。
図16】第二の実施の形態の平常状態のスラットの係止部部位の平面断面図である。
図17】(A)~(D)は第二の実施の形態のシャッターカーテンが抜け止め状態から元状態に復帰する工程を示す作用説明である。
図18】(A)(B)(C)は第三の実施の形態の平常状態、正圧を受けた状態、負圧を受けたときの抜け止め状態を示す要部平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、出入り口等の開口部Eに建て付けられるものであって、該開口部Eの左右に設けられるガイドレール2と、該ガイドレール2のガイド溝Xに左右両端縁部が嵌入する状態で昇降案内されて開口部Eの開閉をするシャッターカーテン3と、開口部Eの上方に配され、下端に座板3cが設けられたシャッターカーテン3の巻装をする巻き取り体(巻き取りホイール、巻き取りドラム)4等の各種の部材装置を備えて構成されたものであって、本実施の形態のシャッター装置1は、シャッターカーテン3を手動で上下動操作することにより、該シャッターカーテン3がガイドレール2に案内されて開口部Eの開閉をする手動式のものであるが、巻き取り体4に連動連結された電動式の開閉機を備え、該開閉機の正逆駆動に基づく巻き取り体4の回動によりシャッターカーテン3の開閉移動をするようにした電動式のものであっても本発明を実施できることは言うまでもない。
尚、本実施の形態においては、屋外側を前側、屋内側を後側として説明するが、前後方向の定義については本実施の形態に限定されるものでない。
【0009】
前記ガイドレール2は、左右方向内端側が開口した匚字形をしたものであって、左右方向外方側の跨片部2aと、該跨片部2aの前後両端縁部から左右方向内方に向けて延出する前後脚片部2bとを備えて構成され、これら跨片部2a、前後脚片部2bによって三方が囲繞され、左右方向内方側が開口端となった凹溝状のガイド溝Xが形成されている。
前後脚片部2bの左右方向先端縁部には、前後方向内方(カーテン芯Z側)に向けて突出する状態で、緩衝材(モヘア)5の基部5aを取り付けるための緩衝材取り付け部2cが形成されるが、該緩衝材5は、閉鎖姿勢のシャッターカーテン3の前後カーテン面3a、3bに当接(摺接)して塵埃等の夾雑物がガイドレール内に侵入するのを防止したりガイドレール2内が視認されないよう目隠しをする等の機能を発揮するよう構成されたものである。
【0010】
そして前記緩衝材取り付け部2cは、前後脚片部2bの左右方向内端部(先端部)において左右方向内外に間隙を存して前後方向内方(カーテン芯Z側)に向けて突出形成される左右方向内側片部2caと外側片部2cbとを備えて構成されるが、該内外側片部2ca、2cbと前後脚片部2bとによって形成される部位に十文字形をした取り付け溝2ccが形成され、該取り付け溝2ccに緩衝材5の基部5aが着脱自在に取り付けられるように構成されている。
このように構成される前後の緩衝材取り付け部2cは、平面視でガイド溝Xの左右方向を向いた中心線となるシャッターカーテン3のカーテン芯(シャッター芯)Zを対称軸(基準線)として前後線対称となるよう形成されている。つまり、前後の緩衝材取り付け部2cは、左右方向同位置において前後対称形状に構成されている。
尚、本実施の形態のガイドレール2は、単純にコ字形をしたものとなっているが、図5(A)に示すように、例えば前後方向一方側の脚片部(例えば屋内側脚片部)2bに躯体側への取り付けをするための取り付け片部2dが設けられたものとすることもでき、このように取り付け片部2dを設けるか否か、設けるものである場合にどの部位に設けるか等については、必要において適宜設定できるものである。
【0011】
一方、シャッターカーテン3は、上下方向に隣接するスラット6同士をインターロック結合して連結することで構成されるが、該スラット6は、前記インターロック結合するための上下の結合半部6a、6bと、該上下の結合半部6a、6bから上下方向内方(スラット6上下幅の中心方向)前方に向けて傾斜状態で延出する上下の傾斜面部6c、6dと、該上下の傾斜面部6c、6dの前端縁部(先端縁部)から上下方向内方に向けて折曲した折曲部6e、6fを介して前記上下の傾斜面部6c、6dの前端縁部同士を連結する上下方向に幅広となったスラット面部6gとを備えて構成されている。そしてこの様に構成されることでスラット6は、スラット面部6gが前側(屋外側)、上下結合半部6a、6bが後側(屋内側)に配され、スラット面部6gの上下と上下結合半部6a、6bを傾斜状に連結する上下の傾斜面部6c、6dを備え、そしてスラット面部6gの上下端部と上下の傾斜面部6c、6dの前端部とは、円弧状の上下の折曲部6e、6fを介して連結されたものとなっており、この様に構成されることでスラット6は、前側のスラット面部6gと後側の上下結合半部6a、6bとが前後に偏倚する状態のスラット厚を存したものとして構成される。
【0012】
さらに前記上下の結合半部6a、6bは、側面視で何れも円弧状に形成されているが、下側結合半部6bは、上側結合半部6aよりも小さいもの(小径)となっており、そして小径側の下側結合半部6bを、大径側の上側結合半部6aに内嵌組み込みすることで、上下に隣接するスラット6同士が、上側結合半部6aが外皮(外側部)、下側結合半部6bが内皮(内側部)となった前後方向揺動自在となる遊嵌状態でのインターロック結合がなされる。そしてこのようなインターロック結合をすることによって上下に隣接するスラット6同士は、インターロック結合部Yを介して一連状に連結された状態のシャッターカーテン3を形成することになる。
【0013】
しかも前記遊嵌状態となるインターロック結合は、上側結合半部6aと下側結合半部6bとが上下および前後方向に相対移動自在な隙間のある遊嵌状態で連結されたものであり、このように構成することでスラット6同士は、図9図11(A)に示すように平常(通常)の閉鎖姿勢となった状態では、上側結合半部6aの上側片部6aaの下面(頂部下面)に下側結合半部6bの上側片部6baの上面(頂部上面)が当接した状態となり、シャッターカーテン3は平面状(面一状)となる。
このようなインターロック結合により連結しているスラット6同士が、例えば強風を受けたような場合、図11(B)に示すように下側結合半部6bの先端縁部6bbが、上側結合半部6aの前側片部6abに当接する状態まで前後方向に相対移動することができ、このように前後方向に相対移動した状態でも、シャッターカーテン3は略平面状態が維持される。
さらにシャッターカーテン3は、開放姿勢になった状態では巻き取り体4に渦巻き状に巻装されるが、この場合にスラット6同士は、図11(C)に示すように、下側結合半部6bの下側片部6bcが上側結合半部6aの下側片部6acに当接した状態でスラット6同士が折曲する連結状態となる。
【0014】
このようにインターロック結合により連結されるスラット6同士は、このインターロック結合しただけでは左右に移動可能な状態での連結となり、これを規制するため本実施の形態では、下側結合半部6bの左右方向両端縁部にカシメ用切り欠き部6hを形成する一方、インターロック結合した状態の上側結合半部6aのカシメ用切り欠き部6hに対応する部位にカシメ部(図示せず)を突出形成することで、スラット6同士の左右方向の移動を規制するように構成されている。この場合の左右方向の移動規制は、後述するようなシャッターカーテン3の撓み等も考慮する必要性から、きっちりとしたものでなく左右方向に相対移動が許容されるカシメ固定になっている。
因みにこのようなガイドレール2、シャッターカーテン3、スラット6の構成は何れも従来から周知汎用のものであって、この様に構成されるガイドレール2、シャッターカーテン3、スラット6に本発明のシャッターカーテンの抜け止め構造が実施されており、以下、これらの構成について具体的に説明する。
【0015】
前記シャッターカーテン3のガイドレール2からの抜け止め構成は、ガイドレール2のガイド溝Xに遊嵌状に嵌入したシャッターカーテン3の左右方向両端縁部が、シャッターカーテンが強風を受けて前後方向に撓んだ場合にガイドレール2から抜け出ることが、ガイドレール2に設けた前後の係止受け部7に、シャッターカーテン3の構成部材であるスラット6に設けた前後の係止部8、9が係止することで規制(防止)されることになるが、これら前後の係止受け部7、前後の係止部8、9は、平面視した状態で、前記シャッターカーテン3のカーテン芯(シャッター芯)Zを対称軸となった線対称形状になるよう構成されたものとなっている。
【0016】
まずガイドレール2に設けられる前後の係止受け部7について説明するが、該係止受け部7は、前記線対称状に形成される緩衝材取り付け部2cの外側片部2cbの先端縁部からさらに、前記線対称となる状態で、前後方向内方に向けて突出したものとなっている。
具体的には、係止受け部7は、ガイド溝Xの開口端縁部よりも溝底側(左右方向外側)に位置する緩衝材取り付け部外側片部2cbの先端縁部から、内側片部2caの先端部2cdよりも前後方向内方に向けて突出したものであって、左右方向内側片部7aと外側片部7bとを有したものとなっている。そして図5(B)に示すように、内側片部7aについては、先端側(前後方向内方)ほどガイド溝Xの溝奥側(上下方向外方)に向けて傾斜することでカーテン芯Zに対して角度αを存した傾斜面となっているのに対し、外側片部7bは、前記カーテン芯Zに対して直角状になった垂直面となっており、この様に構成されることで係止受け部7は、平面視で先端部7cが緩衝材取り付け部外側片部2cbよりも溝奥側(左右方向外側)に偏倚した状態で、最小角(鋭角)になった直角三角形状をしたものとなっている。
【0017】
これに対しスラット6に形成される前後の係止部8、9は、スラット面部6g側に形成される前側係止部8と、インターロック結合部Y側に形成される後側係止部9とを備えたものとなっており、これら前後の係止部8、9は、平面視したときに前記シャッターカーテン3のカーテン芯Zを対称軸として線対称になるよう形成されたもの、つまり前後の係止部8、9は平面視で前後方向外方が開口した凵字形(本実施の形態ではV字形)をした凹溝形状のものであって、左右方向略同位置に略同形の線対称形状に形成されたものとなっている。
【0018】
まず前側係止部8について説明するが、該前側係止部8は、スラット面部6gから上下折曲部6e、6fを経て上下傾斜片部6c、6dの中途部までに至るよう上下方向を向いて切り欠かれた長孔状の切り欠き孔として構成される。
具体的には前側係止部8は、スラット面部6gの上下方向全幅に亘って形成される中間側係止片部8aと、上下傾斜面部6c、6dに形成される上下側係止片部8b、8cとによって上下方向に一連状に形成されるが、中間側係止片部8aは、左右方向内外側片部8aa、8abが上下方向に長い左右平行線状の切り欠き孔となったものが上下折曲部6e、6f間に亘る状態で形成されている。
【0019】
これに対し上下側係止片部8b、8cは、中間側係止片部8aの左右方向内外側片部8aa、8abに続く状態の左右方向内外側片部8ba、8ca、8bb、8cbが、上下傾斜面部6c、6dの中間部位にまで至る上下底片部8bc、8ccまでのものとして形成されている。
そしてこの場合に、上下側係止片部8b、8cの左右方向外側片部8bb、8cbは、中間側係止片部8aの左右方向外側片部8abから直線状に続く状態で形成されているのに対し、左右方向内側片部8ba、8caは、上下折曲部6e、6fから上下底片部8bc、8ccに至る側ほど左右方向外方に向けて傾斜した傾斜片部となっている。
そしてこのように構成されることで、前記前側係止部8は、平面視したときに図6、7に示すように、中間側係止片部8aの左右方向内外側片部8aa、8abが上下方向に長い(幅広の)溝開口端部となり、上下側係止片部8b、8cの左右方向内外側片部8ba、8ca、8bb、8cbが上下共通の溝側片部となり、そして上下底片部8bc、8ccが上下共通の溝底部となったV溝形をした凹溝状の切り欠き孔として形成されている。
しかもこのように平面視で凹溝状に形成される前側係止部8は、シャッター芯Zに対し、図7に示すように左右方向外側片部8bbが直角、内側片部8baがβの角度を存したものとして構成される。
【0020】
これに対して後側係止部9は、インターロック結合部Yに形成されるものであって、該インターロック結合部Yの外皮(外側部)となる上側結合半部6aに形成される第一係止孔9aと、内皮(内側部)となる下側結合半部6bに形成される第二係止孔9bとによって前後に重合する状態で構成されたものとなっている。
因みに後側係止部9としては、例えば下側結合半部6bが小径であって、後述するように後側係止受け部7の抜け止め係止に影響を与えないようなものである場合、下側結合半部6bに第二係止孔9bが形成されていないものであっても本発明を実施することができる。
【0021】
前記外側の第一係止孔9aは、図7に示すように、上側結合半部6aの後側半部を凹溝状に切り欠いたものとすることで、左右方向内外側片部9aa、9abと上下の第一底片部9acとを備えた平面視でV溝状をした凹溝形状に形成されている。そしてこの場合の左右方向外側片部9abは、図7に示すように、前記カーテン芯Zに対して直角状に形成されているのに対し、左右方向内側片部9aaは、カーテン芯Zに対してβの角度を存したものとして構成されており、この様に構成されることで第一係止孔9aは、溝開口側ほど左右方向内側に溝幅が拡開するよう構成されたものとなっていることで、後側係止部9の基本形状を構成したものとなっている。そしてこの様に構成される第一係止孔9aは、前記前側係止部8対して平面視でカーテン芯Zを対称軸とした線対称形状に構成されている。
因みに本実施の形態においては、ガイドレール2に設けられる前後係止受け部7の左右方向内側片部7aのカーテン芯Zに対する角度αと、前後係止部8、9の左右方向内側片部8aa、9aaのカーテン芯Zに対する角度βとでは、前後係止部8、9側の角度βの方が大きい(α<β)設定となっている。
【0022】
一方、下側結合半部6bに形成される内側の第二係止孔9bは、上下の孔片部9ba、9bbと左右の孔片部9bc、9bdとにより四角孔形状に形成され、平面視したときに上下の孔片部9ba、9bbが第二係止孔9bの第二底片部となって同一位置に位置しているが、スラット6同士が前述した平常の閉鎖姿勢の状態では、図9図11(A)に示すように上下の第二底片部となる孔片部9ba、9bbが、第一係止孔9aの第一底片部9acよりも後側に位置し、左右の孔片部9bc、9bdが、第一係止孔9aの左右方向内外片部9aa、9abよりも左右方向幅広となる状態で形成されている。
そして第二係止孔9bの左右の孔片部9bc、9bdについては、前述したスラット6同士のカシメ固定において設けたスラット6同士が左右相対移動した場合に、該第二係止孔9bが第一係止孔9aの範囲(領域)に凡そ位置する(含まれる)よう左右幅が設定されたものとなっており、これによってスラット6同士が左右方向に位置ずれした場合に、第一係止孔9aの左右方向内外側片部9aa、9abが第二係止孔9bの左右の孔片部9bc、9bdによって覆蓋されないよう配慮されている。
【0023】
これに対し第二係止孔9bの第二底片部となる上下の孔片部9ba、9bbについては、図9図10(A)に示すように、スラット6同士が平常の閉鎖姿勢の状態では、第一係止孔9aの第一底片部9acよりも後側に位置している(この状態では第二係止孔9bの上下の孔片部9ba、9bbが後側係止部9の底片部となっている。)が、前述したようにスラット6同士が前後方向に相対移動した場合には、図11(B)に示すように、第一係止孔9aの第一底片部9acと略同位置に位置するよう構成されている。
【0024】
ところで、前述したように、上下の結合半部6a、6b、傾斜面部6c、6d、そしてスラット面部6gが形成されたスラット6は、帯状の鋼板Sをロール成形(ロールフォーミング)することによって形成されることは公知であり、この技術としては、例えば特開平8-60953号公報において知られている。
このようにロール成形されるスラット6に前後係止部8、9が形成されたものとする場合に、ロール成形された後のスラット6に係止部8、9を打ち抜き加工等の加工を施すことは、スラット6が既に三次元の立体構造となっているため事実上加工することは難しい。そこで本実施の形態のものでは、スラット6をロール成形する際に供給される長尺平板状の帯状鋼板Sを、図8(C)に示すスラット6の展開図のように、ロール成形される最初の段階で、前側係止部8に相当する係止孔8xと、後側係止部9を構成する第一、第二係止孔9a、9bに相当する第一、第二係止孔9x、9yとを打ち抜き加工(プレス加工)により形成し、しかる後、必要な形状にロール成形をしてスラット6を形成することで前側係止部8、第一、第二係止孔9a、9bが形成されたものとし、この様に構成することで、三次元構造となる前後の係止部8、9を簡単かつ精度よく形成できることになる。
因みに第一係止孔9aについては、左右方向内側片部9aaが、前側係止部8の左右方向内外側片部8ba、8caに相当するものとなるべく左右方向内側に頂点9aaaを有したく字状態で形成され、左右方向外側片部9abが、前側係止部8の左右方向外側片部8abの延長線になる状態で形成されたものとなっている。
【0025】
次にこの様に構成されるシャッター装置1において、シャッターカーテン3が正圧、負圧の強風を受けて前後方向に撓んだ場合に、前後の係止部8、9が、対応する前後の係止受け部7に係止してシャッターカーテン3の抜け止めがなされる状態、逆に前記撓んだシャッターカーテンが元状態に復帰することで係止部8、9が係止受け部7から抜け出る状態について説明する。
因みに、シャッターカーテンが前側(屋外側)からの強風を受けて後側(屋内側)に向けて撓む場合の風圧を「正圧」、逆に後側(屋内側)からの強風(引き風)を受けて前側(屋外側)に向けて撓む場合の風圧を「負圧」とシャッター装置の分野では称されており、以降、この表現を採用して説明する。
【0026】
前述したように、ガイドレール2、シャッターカーテン3に形成される前後の係止受け部7、前後の係止部8、9は、平常状態においては、平面視したときに図7に示すように、何れもカーテン芯Zを対称軸とした線対称状に形成されたもの、つまり平面視したときに、左右方向略同位置かつ略同形状となって前後に鏡面対称の状態になっている。
そしてこの平常の閉鎖姿勢となっているときでは、スラット6の左右方向端縁部に形成される前後の係止部8、9が係止受け部7よりも左右方向外方(ガイド溝Xの溝奥側)に位置する遊嵌状での嵌入状態となっている。
【0027】
このような平常状態のシャッターカーテン3が風を受けて前後方向に揺れた場合に、該揺れた側の係止受け部7にカーテン面3aまたは3bが当接することになるが、この風が強風である場合、シャッターカーテン3は中央部位が前後方向に撓んだ傾斜状態になってシャッターカーテン3のガイドレールに対する呑み込み代(嵌入深さ)が浅くなる。この結果、シャッターカーテン3は、左右方向端縁部が前後方向に傾斜した状態でガイド溝Xから抜け出る左右方向内方に向けて移動する。
そして強い強風を受けてこの移動が大きくなった場合に、図12に示すように、撓み側の係止部8または9が該側の係止受け部7位置に至ると、シャッターカーテン3は、係止部8または9が係止受け部7に外嵌する方向に移動し、これによってシャッターカーテン3は、係止部8または9が係止受け部7に係止した抜け止め状態となってガイドレール2からの抜け止めがなされることになる。
このように本実施の形態のものでは、シャッターカーテン3が強風を受けて撓んだ場合に、この強風が正圧、負圧の何れの場合であっても、シャッターカーテン3の前後両側に形成の係止部8または9がガイドレール2側に形成の係止受け部7に係止することになってシャッターカーテン3の確実な抜け止めが、耐風フック等の別部材を設けなくてもできることになる。
【0028】
そしてこのように撓んだシャッターカーテン3の抜け止めがなされた状態では、係止受け部7が係止部8または9に嵌入した状態になるが、この場合にシャッターカーテン3は前後方向に撓んだ傾斜姿勢となっている結果、シャッターカーテン3は、係止受け部7の先端縁部7cが係止部8、9に深く嵌入する状態で、シャッターカーテン3は、対応する前後カーテン面3aまたは3bが緩衝材取り付け部2cの内側片部2caの先端縁部2cdがスラット支持部となった二点支持構造となり、この結果、シャッターカーテン3の抜け止め係止部位において、これ以上の撓み変形が規制されたものとなってシャッターカーテン3のガイドレール2からの抜け止めがより強化されたものになる。
【0029】
しかも本実施の形態では、後側係止部9について、シャッターカーテン3が平常状態(図11(A)の状態)で後側係止部9に係止受け部7が嵌入し、かつ外側片部2cbの先端縁部7cに後側カーテン面3bが当接する抜け止め状態になった場合では、係止受け部7の先端縁部7cは、後側係止部9の第一係止孔9aの第一底片部9acにまでは至らず、第二係止孔9bの底片部となる上下孔片部9ba、9bbに近接対向するか当接する位置となるよう構成されている。
そしてこのように構成されたものにおいて、前述したようにスラット6同士が前後方向に相対移動して、後側係止部9の第一係止孔9aの第一底片部9acと第二係止孔9bの底片部となる上下孔片部9ba、9bbとが平面視で略同位置に位置した状態(図11(B)、図13(A)の状態)で、係止受け部7の先端縁部7cが、前記略同位置に位置している後側係止部9の第一係止孔9aの第一底片部9acと第二係止孔9bの底片部となる上下孔片部9ba、9bbに近接対向するか当接する状態となってシャッターカーテン3の確実な抜け止めがなされる。
そしてこのように構成することで、第二係止孔9bの底片部となる上下孔片部9ba、9bbを、平常状態において第一係止孔9aの第一底片部9acよりも前後方向後側に位置するように設けた分、上側係合半部6bの先端縁6bb(図8(C)に示すようにスラット6を展開した場合において鋼板Sの下側縁Sa)側となる上側孔片部9baについては、該先端縁6bbから距離(幅)を存したものとなり、この結果、上側孔片部9baを先端縁6bbに近接せしめて平常状態において第一係止孔9aの第一底片部9acと同位置に位置せしめた場合のように上側孔片部9ba部位の強度的に弱くなってしまうことを回避でき、後側係止部9の強度アップに寄与したものとなる。
【0030】
しかもこのものでは、前述したようにシャッターカーテン3のガイドレール2からの抜け止めがなされている係止状態において、前後何れかの係止部8または9が対応する側の係止受け部7に外嵌する位置が、ガイドレール2の開口端縁よりも溝奥側に位置していて、前後係止部8、9がガイド溝Xの開口端よりも溝奥側に位置している結果、シャッターカーテン3の抜け止め係止状態において、係止部8、9がガイド溝Xの開口端から開口部E側に出て外部から視認されてしまうことがない。
【0031】
さらに本実施の形態のものでは、前記前側係止部8が該側の係止受け部7に嵌入した抜け止め状態となったとき、係止受け部7は、前述したように、先端部7cが前側係止部8の孔底片部8bc、8ccと左右方向外側片部8bb、8cbとのあいだのコーナー部位に当接して係止状態になると共に、緩衝材取り付け部2cの内側片部先端縁部2cdがスラット支持部となって前側カーテン面3aが当接する平面視で二点の支持状態になっているが、さらに前側係止部8の開口端コーナー部となる左右方向内側片部8aaが係止受け部7の内側片部7aに当接した平面視で三点での支持状態となることもあり、この結果、シャッターカーテン3の抜け止め支持がさらに確実になって強度アップされる。
【0032】
そしてシャッターカーテン3は、前述のように正圧、負圧を受けて抜け止めされた状態から風が弱くなる等して元姿勢に復帰することに伴い係止部8、9が係止受け部7から抜け出ることになるが、この場合に、前述したように、前後係止受け部7の上下方向内側片部7aのカーテン芯Zに対する角度αと、前後係止部8、9の上下方向内側片部8aa、9aaのカーテン芯Zに対する角度βとでは、前後係止部8、9側の角度βの方が大きい(α<β)設定となっている結果、この復帰工程では、図14、15に示すように、係止受け部7の傾斜した内側片部7aに、前側係止部8の左右方向内側の開口端縁となる左右方向内側片部8aa、後側係止部9の左右方向内側の開口端縁となる頂点9aaa部位が摺接する状態で案内され、これによって内側片部7aが復帰時の傾斜案内受け面となって傾斜面での摺動案内を受ける状態で抜け出ることになり、この結果、係止部8、9の係止受け部7から抜け出ることが容易となる。
【0033】
このように係止部8、9が係止受け部7から抜け出る復帰工程において傾斜面での摺動案内は、図16に示す第二の実施の形態のように、前後係止受け部7の上下方向内側片部7aのカーテン芯Zに対する角度αと、前後係止部8、9の上下方向内側片部8aa、9aaのカーテン芯Zに対する角度βとが、前記第一の実施の形態のものとは逆に、前後係止部8、9側の角度βの方が小さい(α>β)設定とすることもできるが、この場合には、係止受け部7の先端縁部7cが、係止部8の傾斜した左右方向内側片部8ba、8caが傾斜案内面となって傾斜状態での円滑な復帰案内がなされるものとなる。
【0034】
叙述のごとく構成された本発明の実施の形態において、強風を受けてシャッターカーテン3が撓んだ場合に、該撓んだシャッターカーテン3は、スラット6に形成した係止部8、9がガイドレール2に設けた係止受け部7に係止することで抜け止めされることになるが、この場合に、前記係止部8、9が、スラット面部8g側だけでなく、上下結合半部6a、6b同士が連結されたインターロック結合部Y側の前後二か所に形成されたものとなり、しかも該前後の係止部8、9は、左右方向略同位置かつ平面視で略同形状に形成されたものとなっている結果、シャッターカーテン3が強風を受けて前後方向何れに撓んだ場合でも、抜け止め係止が前後において同じ状態となったシャターカーテン3の抜け止めが、別部材を設けることなくできることになる。
【0035】
しかもこのものでは、スラット面部6g側に形成される前側係止部8は、スラット面部6gから該スラット面部6gと傾斜面部6c、6dとのあいだの折曲部6e、6fを越えて傾斜面部6c、6dの中間部にまで至る縦長状の係止孔であって平面視で前方が開口した凹溝状をしたものとなっている。
これに対しインターロック結合部Y側の後側係止部9は、上側結合半部6aに形成された第一係止孔9aが基本形状に形成されたものであって平面視で後方が開口した凹溝状をしたものとなっている結果、スラット6に設けられる前後の係止部8、9の構造を簡略化したものにできる。
そのうえ後側係止部9は、上側結合半部6aに形成の第一係止孔9aに、下側結合半部6bに形成される第二係止孔9bが重合することで、後側係止受け部7が下側結合半部6b内に嵌入可能な状態で形成されたものとなり、そして該第二係止孔9bは、左右幅が第一係止孔9aの左右幅よりも幅広に形成されている結果、隣接するスラット6同士が左右に位置ずれした状態でも後側係止部9の凹溝形状を維持できることになってシャッターカーテン3の抜け止め機能が、スラット同士が左右方向に横ずれした場合であっても損なわれることを回避できることになる。
【0036】
またスラット6同士のインターロック結合は、上下両側の結合半部6a、6b同士がシャッターカーテン3のカーテン芯Zに沿う平常状態の結合姿勢から前後方向に相対移動可能な遊嵌状の結合となっていて、巻き取り体4に対する巻き取り巻き降ろし巻装が円滑に行われる結合となっており、この結果、スラット6同士は、閉鎖姿勢において平常となる垂下姿勢に対して前後方向に相対移動することになる。
そこで本実施の形態のものではこのようなスラット6同士の前後相対移動を考慮し、第二係止孔9bに形成される後側係止孔9の溝底部(第二底片部)となる上下孔片部9ba、9bbを、第一係止孔9aに形成される後側係止部9の溝底部となる第一底片部9acに対し、平常状態で後側係止部9の溝浅側に位置する状態で設け、そして強風を受ける等してスラット6同士が前後方向に相対移動した場合に、前記第一、第二係止孔9a、9bの前記底片部となるもの同士が略同一位置に位置するものとなる結果、特に第二底片部となる上孔片部9baと下側結合半部6bの先端縁6baとのあいだの幅を、平常状態において第一、第二底片部同士が一致するように設けた場合に比して広く確保できることになって、後側係合部9の溝底部となる第二底片部となる上孔片部9baの強度アップが図れることになる。
【0037】
さらにこのものでは、強風を受けて撓んでいた抜け止め状態のシャッターカーテン3が、風が弱くなる等して抜け止め係止が解除されて元状態に復帰する際に係止部8または9の係止受け部7からの係止解除がなされるが、この場合に、本実施の形態のものでは、係止部8または9の左右方向内側片8aa、9aaがカーテン芯Zに対して角度βを存した傾斜案内片になっていて、係止受け部7の先端縁7cが、前記傾斜案内片になる左右方向内側片8aaまたは9aaによる傾斜案内によって係止解除が促進されることになつて円滑な元状態への復帰がなされることになる。
【0038】
このように本実施の形態においては、シャッターカーテン3を構成するスラット6に、凹溝状をした前後係止部8、9が切り欠き形成されたものとなっているが、このようなスラット6をロール成形する場合の製造方法として、帯鋼板Sをロール成形してスラット形状に加工する最初の工程で、前側係止部8に相当する係止孔8xと、後側係止部9を構成する第一、第二係止孔9a、9bに相当する第一、第二係止孔9x、9yとを打ち抜き加工(プレス加工)により形成し、しかる後、必要な形状にロール成形をしてスラット6を形成するようにした結果、ロール成形されることで三次元構造となったスラットであっても、係止部を簡単かつ確実に形成することができる。
【0039】
尚、本発明は前記実施の形態にに限定されないものであることは勿論であって、例えば図18に示す第三の実施の形態のように、係止部8、9が平面視でV形状をしたものでなく凵形状をしたものであってもよく、また係止受け部7についても平面視で三角形状をしたものでなく、四角形状をしたものであってもよく、これらの形状については係止部、係止受け部としての機能を備えたものであれば必要において各種の形状のものにできることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置におけるスラットおよびスラットの製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 シャッター装置
2 ガイドレール
2c 緩衝材取り付け部
2ca 内側片部
2cb 外側片部
2cc 取り付け溝
2cd 先端縁部
3 シャッターカーテン
3a前側カーテン面
3b後側カーテン面
4 巻き取り体
5 緩衝材
6 スラット
6a 上側結合半部
6b 下側結合半部
6c 上側傾斜面部
6d 下側傾斜面部
6e 上側折曲部
6f 下側折曲部
6g スラット面部
7 係止受け部
7a 内側片部
7b 外側片部
7c 先端部
8 前側係止部
8a 中間側係止片部
8aa、8ab 左右方向内外側片部
8b、8c 上下側係止片部
8ba、8ca 左右方向内側片部
8bb、8cb 左右方向外側片部
8bc、8cc 上下底片部
9 後側係止部
9a 第一係止孔
9aa 左右方向内側片部
9ab 左右方向外側片部
9ac 底片部
9b 第二係止孔
9ba、9bb 上下孔片部
9bc、9bd左右孔片部
X ガイド溝
Y インターロック結合部
Z カーテン芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18