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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064138
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】内装構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20240507BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20240507BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20240507BHJP
   A62C 2/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E04B1/94 L
E04B1/94 A
E04B2/74 551F
E04F13/08 H
A62C2/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172502
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸上 昌史
(72)【発明者】
【氏名】山口 純一
【テーマコード(参考)】
2E001
2E110
【Fターム(参考)】
2E001DE03
2E001FA06
2E001HC01
2E001HF12
2E110AA02
2E110AB03
2E110AB04
2E110GA33W
2E110GB01W
2E110GB02W
2E110GB06W
2E110GB16W
2E110GB23W
2E110GB32W
2E110GB62W
(57)【要約】
【課題】内装材に可燃材料を使用しつつ、室内の火炎の燃え広がりを抑制可能な内装構造を提供すること。
【解決手段】室内の壁又は天井部において、可燃材料である第1内装材と、前記第1内装材に近接して配置された、可燃材料である第2内装材と、が設けられており、前記第1内装材と前記第2内装材との間に、壁面又は天井面から室内側に突出する突出部材が設けられていることを特徴とする内装構造。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の壁又は天井部において、可燃材料である第1内装材と、前記第1内装材に近接して配置された、可燃材料である第2内装材と、が設けられており、
前記第1内装材と前記第2内装材との間に、壁面又は天井面から室内側に突出する突出部材が設けられていることを特徴とする内装構造。
【請求項2】
請求項1に記載の内装構造であって、
前記突出部材は、不燃材料であることを特徴とする内装構造。
【請求項3】
請求項1に記載の内装構造であって、
前記突出部材の前記室内側の表面部は、可燃材料であることを特徴とする内装構造。
【請求項4】
請求項3に記載の内装構造であって、
前記突出部材の前記表面部の内側は、難燃材料であることを特徴とする内装構造。
【請求項5】
室内の壁又は天井部において、可燃材料である第1内装材と、前記第1内装材に近接して配置された、可燃材料である第2内装材と、が設けられており、
前記第1内装材と、前記第2内装材とが、離間していることを特徴とする内装構造。
【請求項6】
請求項5に記載の内装構造であって、
前記第1内装材と前記第2内装材の少なくとも一方は、前記壁の面又は前記天井部の面に対して傾斜して設けられており、
前記第1内装材の前記第2内装材側の端と、前記第2内装材の前記第1内装材側の端とが、前記壁の面又は前記天井部の面に直交する方向に離間していることを特徴とする内装構造。
【請求項7】
請求項5に記載の内装構造であって、
前記第1内装材、及び、前記第2内装材は、前記壁の面又は前記天井部の面に沿って設けられており、
前記第1内装材の前記第2内装材側の端と、前記第2内装材の前記第1内装材側の端とが、前記壁の面又は前記天井部の面に沿う方向に離間していることを特徴とする内装構造。
【請求項8】
請求項7に記載の内装構造であって、
前記第1内装材の前記第2内装材側の端と、前記第2内装材の前記第1内装材側の端との間に、準不燃材料が設けられていることを特徴とする内装構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築基準法では、火災時における急激な火炎拡大防止を目的として、所定の建築物に対して、内装制限が定められている。特許文献1には、内装制限が適用される木造建築物(例えば自動車車庫等)において、複数の構造木材(例えば柱等)の間を覆うように、不燃材又は準不燃材である屋内面材(例えば鋼板等)を設置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-63395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、室内側から視認される内装材として、木材等の可燃材料の使用が望まれることがある。ただし、可燃材料である木材を無処理のまま内装材に使用してしまうと、内装材に着火した火炎が燃え広がりやすくなる。一方、木材に薬剤を含浸させて、木材に難燃性を付与することで、火炎の燃え広がりを抑制できるが、コストが増大したり、木材に薬剤が浮き出る現象(白華現象)が生じたりしてしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、内装材に可燃材料を使用しつつ、室内の火炎の燃え広がりを抑制可能な内装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の内装構造は、室内の壁又は天井部において、可燃材料である第1内装材と、前記第1内装材に近接して配置された、可燃材料である第2内装材と、が設けられており、前記第1内装材と前記第2内装材との間に、壁面又は天井面から室内側に突出する突出部材が設けられていることを特徴とする内装構造。
本発明の他の特徴については、本明細書および添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、内装材に可燃材料を使用しつつ、室内の火炎の燃え広がりを抑制可能な内装構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】建築物1が有する居室2の見取図である。
図2図1に示すAA線の概略断面図である。
図3】突出部材30を説明する概略斜視図である。
図4図4A及び図4Bは、突出部材30の変形例を示す図である。
図5図5A及び図5Bは、第1実施形態の内装構造2Iの変形例を示す図である。
図6図6A及び図6Bは、第2実施形態の突出部材30を説明する概略断面図である。
図7図7Aは、第3実施形態の内装材20を説明する概略断面図であり、図7Bは、第3実施形態の内装材20を説明する概略斜視図である。
図8図8A図8Cは、内装材30の変形例を説明する概略断面図である。
図9】第3実施形態の内装構造2Iの変形例を示す図である。
図10図10A及び図10Bは、第4実施形態の内装材20を説明する概略断面図である。
図11図11A図11Cは、第4実施形態の内装構造2Iの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
(態様1)
室内の壁又は天井部において、可燃材料である第1内装材と、前記第1内装材に近接して配置された、可燃材料である第2内装材と、が設けられており、前記第1内装材と前記第2内装材との間に、壁面又は天井面から室内側に突出する突出部材が設けられていることを特徴とする内装構造。
【0010】
態様1によれば、突出部材によって、第1内装材を燃やす火炎から、第2内装材を離隔できる。よって、内装材に可燃材料を使用しつつ、第2内装材、及び、室内の燃え広がりを抑制(遅延)できる。
【0011】
(態様2)態様1に記載の内装構造であって、
前記突出部材は、不燃材料であることを特徴とする内装構造。
【0012】
態様2によれば、第1内装材を燃やす火炎が突出部材に燃え移り難いため、第1内装材を燃やす火炎から第2内装材を離隔した状態が維持されやすい。そして、第1内装材を燃やす火炎が、室内側に突出する突出部材の周囲を回り込んで第2内装材に至るまで、第2内装材への燃え移りを抑制(遅延)できる。
【0013】
(態様3)態様1に記載の内装構造であって、
前記突出部材の前記室内側の表面部は、可燃材料であることを特徴とする内装構造。
【0014】
態様3によれば、突出部材が室内側に突出する長さ分、突出部材の表面部を燃やす火炎から第2内装材を離隔でき、第2内装材への燃え移りを抑制(遅延)できる。また、突出部材の表面部を、第1内装材や第2内装材と同じ材料(素材)にすることができ、突出部材を目立ち難くすることができる。
【0015】
(態様4)態様3に記載の内装構造であって、
前記突出部材の前記表面部の内側は、難燃材料であることを特徴とする内装構造。
【0016】
態様4によれば、突出部材の表面部を燃やす火炎が、内側の難燃材料に燃え移り難いため、表面部を燃やす火炎から第2内装材を離隔した状態が維持されやすい。よって、第2内装材への燃え移りを抑制(遅延)できる。
【0017】
(態様5)
室内の壁又は天井部において、可燃材料である第1内装材と、前記第1内装材に近接して配置された、可燃材料である第2内装材と、が設けられており、前記第1内装材と、前記第2内装材とが、離間していることを特徴とする内装構造。
【0018】
態様5によれば、第1内装材を燃やす火炎から第2内装材を離隔でき、第2内装材、及び、室内の燃え広がりを抑制(遅延)できる。
【0019】
(態様6)態様5に記載の内装構造であって、
前記第1内装材と前記第2内装材の少なくとも一方は、前記壁の面又は前記天井部の面に対して傾斜して設けられており、前記第1内装材の前記第2内装材側の端と、前記第2内装材の前記第1内装材側の端とが、前記壁の面又は前記天井部の面に直交する方向に離間していることを特徴とする内装構造。
【0020】
態様6によれば、第1内装材及び第2内装材の配置を工夫して、壁内装の意匠性を高めつつ、第1内装材を燃やす火炎から第2内装材を離隔でき、第2内装材への燃え移りを抑制(遅延)できる。
【0021】
(態様7)態様5に記載の内装構造であって、
前記第1内装材、及び、前記第2内装材は、前記壁の面又は前記天井部の面に沿って設けられており、前記第1内装材の前記第2内装材側の端と、前記第2内装材の前記第1内装材側の端とが、前記壁の面又は前記天井部の面に沿う方向に離間していることを特徴とする内装構造。
【0022】
態様7によれば、第1内装材及び第2内装材が壁又は天井部の面に沿うため、室内の空間をより広く確保しつつ、第1内装材を燃やす火炎から第2内装材を離隔でき、第2内装材への燃え移りを抑制(遅延)できる。
【0023】
(態様8)態様7に記載の内装構造であって、
前記第1内装材の前記第2内装材側の端と、前記第2内装材の前記第1内装材側の端との間に、準不燃材料が設けられていることを特徴とする内装構造。
【0024】
態様8によれば、準不燃材料によって壁又は天井部の露出を抑制でき、壁又は天井部に設けられる内装材の面を平坦にできる。また、第1内装材と第2内装材の間に可燃材料や難燃材料が設けられる場合に比べて、第1内装材を燃やす火炎が準不燃材料に燃え移り難く、第2内装材への燃え移りを抑制(遅延)できる。
【0025】
===第1実施形態===
図1は、建築物1が有する居室2の見取図である。図2は、図1に示すAA線の概略断面図である。図3は、突出部材30を説明する概略斜視図である。
【0026】
建築物1は、屋外空間と内部空間を区画する外壁3と、内部空間を区画する仕切り壁4と、床5と、天井(不図示)と、それらで囲まれた空間である居室2を有する。居室2には、人の出入り口となる開口部6(扉)が設けられている。以下、居室2の内装構造2Iについて説明する。また、以下の説明では、外壁3と仕切り壁4を合わせて「壁」ともいう。また、本明細書の内装構造2Iは、居室2の内装構造に限定されることなく、例えば、廊下、階段、車庫、倉庫等の非居室の内装構造にも適用できる。
【0027】
居室2の壁3,4の室内側の壁面には、内装材20(仕上げ材)が設置されている。内装材20は、難燃処理が施されていない板状の木材である。居室2を囲う四方の壁3,4の壁面全域(開口部6は除く)に、木材の内装材20が設置されている。
【0028】
図2図3に示すように、床5から天井までの高さ方向における壁3,4の途中には、その壁面3a,4aから室内側に突出する突出部材30が設けられている。突出部材30は、板状の部材であり、板厚方向が高さ方向に沿うように壁3,4に設置されている。また、図1に示すように、各壁3,4の面内水平方向(高さ方向及び面外方向に直交するX方向又はY方向)の全域に亘り、突出部材30が設置されている(開口部6は除く)。
【0029】
突出部材30よりも下側に配置された木材の内装材20を第1内装材21と称し、突出部材30よりも上側に配置された木材の内装材20を第2内装材22と称す。突出部材30は、第1内装材21及び第2内装材22よりも室内側に突出する。
【0030】
なお、各図面において、第1内装材21及び第2内装材22を壁3,4に設置する接続部材や、突出部材30を壁3,4等に設置する接続部材の図示を省略する。後述する実施形態の図面においても同様である。また、接続部材は難燃材料であっても可燃材料であってもよい。
【0031】
以上のように、第1実施形態の内装構造2Iでは、室内の壁3,4において、可燃材料(無処理の木材)である第1内装材21と、第1内装材21に近接して、第1内装材21よりも上側に配置された、可燃材料(無処理の木材)である第2内装材22と、が設けられている。そして、高さ方向における、第1内装材21と第2内装材22との間に、壁3,4の壁面から室内側に庇のように突出する突出部材30が設けられている。
【0032】
そのため、図3に示すように、第1内装材21(壁面下部)に火炎が着火してしまっても、突出部材30によって、第2内装材22(壁面上部)を火炎から離隔できる。ゆえに、火炎は上方へと燃え広がり易くとも、火炎が第2内装材22に接触し難く、また火炎の熱が第2内装材22に伝わり難くなる。よって、第2内装材22、及び、室内上方への燃え広がりを抑制(遅延)でき、天井に火炎が伝播した後のフラッシュオーバーの発生前に、居室2内の人が避難したり、消火活動を行ったりすることができる。
【0033】
なお、図2では、突出部材30の平面部(下面部30a及び上面部30b)が水平に設置されているが、これに限らず、突出部材30が床5や天井に対して傾斜して設置されてもよい。また、突出部材30の形状についても、第1内装材21を燃やす火炎を上から覆うことができれば、特に限定されるものではない。
【0034】
また、突出部材30を設置する高さh、詳しくは、床面から突出部材30の下面部30aまでの高さhも、特に限定されるものではない。一例として、居室2内に設置される可燃性の什器(例えば、机、棚等)や床上に設置される暖房器具等の最大高さと同程度の高さ、つまり、火災の発生源となり得るものの高さを、前記高さhに設定することが挙げられる。また、例えば、建築基準法及び建築基準法施行令において内装仕上げに難燃材料の使用が求められる高さである1.2mを、前記高さhに設定してもよい。
【0035】
また、突出部材30は、不燃材料でありことが好ましい。つまり、突出部材30は、不燃材料のみから構成されることが好ましい。
そうすることで、突出部材30が不燃材料よりも燃えやすい材料である場合に比べて、第1内装材21を燃やす火炎が、突出部材30の下面部30aに接近、接触しても、突出部材30の燃焼を抑制(遅延)できる。また、突出部材30の下面部30aに火炎が燃え移った後も、突出部材30の側面部30b及び上面部30cも不燃材料であるため、それらへの火炎の燃え移りを抑制(遅延)できる。よって、第1内装材21を燃やす火炎から第2内装材22を離隔した状態が維持されやすく、第2内装材22への燃え移りを抑制(遅延)できる。
【0036】
このように突出部材30が不燃材料である場合、第1内装材21に着火した火炎は、室内側に突出する突出部材30の周囲を回り込んで第2内装材22に至る。よって、火炎(現在の燃焼範囲)から第2内装材22(次の燃焼範囲)までの離隔距離、つまり、火炎から次の燃焼範囲に至る経路の最短距離として、図2の矢印Rに示す長さが確保される。具体的には、離隔距離(矢印R)として、突出部材30の下面部30aと、側面部30bと、上面部30cを合計した長さが確保される。このように離隔距離がしっかりと確保されることで、第2内装材22及び室内上方への燃え移りを抑制(遅延)できる。
【0037】
以上のように、第1実施形態の内装構造2Iでは、突出部材30の設置により、壁3,4に設置する内装材20を可燃材料にしても、室内上方への火炎の燃え広がりを抑制(遅延)できる。よって、ユーザーが目にする内装材20を、ユーザーが所望する材料にすることができる。例えば、本実施形態のように木材を内装材20に適用することで、居室2を利用するユーザーは、木のぬくもりや自然を感じることができる。また、天井についても、ユーザーが所望する材料(例えば木材等の可燃材料)を適用できる。
【0038】
本明細書では、建築基準法、及び、建築基準法施行令において定められる要件を満たしている材料を「難燃材料」「準不燃材料」「不燃材料」と称す。具体的には、ISO5660-1に準拠し、コーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において、放射熱強度50kW/mにて加熱したときに、難燃材料、準不燃材料、不燃材料は、それぞれ加熱開始後、5分間、10分間、20分間において、以下の要件を満たす。1つ目は、燃焼しないものであること(総発熱量が8MJ/m以下であること)、2つ目、防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること、3つ目は、避難上有害な煙又はガスを発生しないものであることである。
よって、難燃材料には、準不燃材料、及び、不燃材料の性能を満たす材料も含まれる。準不燃材料には、不燃材料の性能を満たす材料も含まれる。
【0039】
「不燃材料」としては、コンクリート、鉄鋼、アルミニウム、金属板、ガラス、せっこうボード(厚さ12mm以上、ボード用原紙の厚さが0.6mm以下のもの)等、国土交通省の告示1400号に定められたもの等を例示できる。
「準不燃材料」としては、上記の不燃材料、せっこうボード(厚さ9mm以上、ボード用原紙の厚さが0.6mm以下のもの)、硬質木片セメント板(厚さ9mm以上、かさ比重0.9以上)等、国土交通省の告示1401号に定められたもの等を例示できる。
「難燃材料」としては、上記の準不燃材料、難燃合板(厚さ5.5mm以上)、せっこうボード(厚さ7mm以上、ボード用原紙の厚さが0.5mm以下のもの)等、国土交通省の告示1402号に定められたもの等を例示できる。
【0040】
また、本明細書における「可燃材料」とは、難燃性能(難燃材料相当の性能)を満たさない材料である。よって、難燃処理が施された可燃材料(例えば木材)は、可燃材料に含まない。木材に難燃処理を施す方法としては、難燃処理用薬剤に木材を含浸させる方法が挙げられる。難燃処理された木材では、湿度の変化等によって、木材の表面に薬剤が浮き出る現象(白華現象)が生じ、内装材20の外観が低下してしまう。そのため、難燃処理された木材を内装材20に適用する場合、処理されていない木材を内装材20に適用する場合に比べて、難燃処理や、白華現象が生じた際の内装材20の交換処理等、コストや手間が増大してしまう。
【0041】
これに対して、第1実施形態の内装構造2Iでは、突出部材30の設置によって、可燃材料である難燃処理されていない木材を内装材20に使用しても、室内上方への燃え広がりを抑制(遅延)できる。よって、難燃処理された木材を使用する場合に比べて、コストや手間を抑えられる。
【0042】
なお、本明細書では、可燃材料である内装材20として無処理の木材を例示するが、これに限らず、他の可燃材料(例えば、紙や合成樹脂等)から構成される内装材20を壁3,4に設置してもよい。また、第1内装材21と第2内装材22に違う種類の可燃材料を使用してもよい。
【0043】
また、突出部材30は、壁3,4の壁面3a,4aから室内側に突出することが望ましい。そうすることで、第1内装材21と第2内装材22が突出部材30を間に挟んで離間する。よって、第1内装材21を燃やす火炎が、第1内装材21の面に沿って上方(第2内装材22)へと燃え広がることを防止できる。そのため、第1内装材21を燃やす火炎は、図2の矢印Rに示すように突出部材30を回り込む必要があり、より確実に、火炎と第2内装材22との離隔距離(矢印R)が確保される。
【0044】
また、可燃材料である内装材20が設置される壁3,4の、面内水平方向(X方向又はY方向)の全域に亘り突出部材30が設けられていることが望ましい(扉が設けられた開口部6は除く)。そうすることで、壁3,4の位置に関係なく、第1内装材21に着火した火炎の室内上方への燃え広がりを抑制(遅延)できる。
【0045】
また、図1に例示した居室2には、窓(開口部)が設けられていないが、窓を有する内装構造2Iであってもよい。窓が設けられた壁3,4の部分に、可燃材料である内装材20が設置される場合であっても、窓や窓枠を構成する材料(ガラスやアルミサッシ等)によって室内上方への燃え広がりを抑制できる。そのため、窓が設けられた壁3,4の部分には、突出部材30を設けてもよいし、設けなくともよい。
【0046】
また、図1に例示した居室2では、居室2を囲う全ての壁3,4に対して、木材の内装材20を設置するが、これに限らない。一部の壁3,4には、難燃材料の内装材を使用してもよく、その壁には突出部材30を設置しなくてもよい。
【0047】
また、1つの壁3,4に設ける突出部材30は1つに限らず、高さ方向に間隔を空けて複数の突出部材30を配置してもよい。この場合、高さ方向に並ぶ突出部材30の間の内装材20に着火しても、その内装材20よりも上側に設置された突出部材30によって、室内上方への燃え広がりを抑制(遅延)できる。
【0048】
(突出部材30の変形例)
図4A及び図4Bは、突出部材30の変形例を示す図である。
突出部材30は不燃材料であることが望ましいが、これに限らず、突出部材30は、準不燃材料であっても、難燃材料であっても、可燃材料であってもよい。ただし、突出部材30が可燃材料(例えば木材等)である場合、突出部材30が難燃材料である場合に比べて、図4Aに示すように、第1内装材21を燃やす火炎が、突出部材30の下面部に接近、接触した際に、下面部に燃え移りやすい。この場合であっても、突出部材30の下面部から側面部に回り込んだ火炎を、第2内装材22から水平方向に離隔できる。具体的には、突出部材30の上面部の面外方向の長さが、火炎から第2内装材22までの離隔距離(矢印R)として確保され、室内上方への火炎の燃え広がりを抑制(遅延)できる。
【0049】
また、突出部材30に難燃処理された木材を適用してもよい。そうすることで、突出部材30を目立ち難くすることができる。また、内装材20全体に難燃処理された木材を適用する場合に比べて、コストや手間を抑えられる。
【0050】
また、突出部材30は図2に示すように壁3,4の壁面3a,4aから室内側に突出するに限らない。例えば、図4Bに示すように、突出部材30は、内装材20の室内側の面(壁面)から室内側に突出してもよい、すなわち、内装材20を介して壁3,4の壁面3a,4aから室内側に突出してもよい。
【0051】
この場合、高さ方向に連続した内装材20を壁3,4に設けることができ、内装材20を第1内装材21と第2内装材22に切断する必要がなくなるため、内装材20の施工が容易となる。なお、高さ方向に連続する内装材20のうち、突出部材30よりも下側の部分が第1内装材21に相当し、突出部材30よりも上側の部分が第2内装材22に相当する。また、コンクリートや石膏ボード等で構成される壁3,4に突出部材30を設ける場合に比べて、木材等の内装材20に突出部材30を設ける方が、施工が容易となる。ただし、前述の図2のように、第1内装材21と第2内装材22が突出部材30を間に挟んで離間する方が、より確実に火炎と第2内装材22の離隔距離(矢印R)が確保される。
【0052】
(内装構造2Iの変形例)
図5A及び図5Bは、第1実施形態の内装構造2Iの変形例を示す図である。図5Bは、天井部7を下から見た概略図である。ここまで壁3,4に突出部材30を設ける場合を例示したが、図5Aに示すように突出部材30を天井部7に設けてもよい。
つまり、室内の天井部7(例えば上階床スラブの下面)において、可燃材料である第1内装材51と、第1内装材51に近接して、第1内装材21よりも室内側に配置された、可燃材料である第2内装材52とを設ける。そして、水平方向(X方向又はY方向)における第1内装材51と第2内装材との間に、天井面(図5Aでは天井部7の下面7a)から室内側(下側)に突出する突出部材30が設けられた内装構造2Iであってもよい。
【0053】
上記の場合も、壁から第1内装材51(天井仕上げ材)に燃え移った火炎から、突出部材30によって、第2内装材52(天井仕上げ材)を離隔でき、天井全体への燃え広がりを抑制(遅延)できる。そのため、天井面にユーザーが所望する可燃材料(例えば無処理の木材)を使用でき、室内の意匠性が向上する。
【0054】
また、上記実施形態と同様に、突出部材30は、不燃材料であることが好ましい。また、突出部材30は、内装材からではなく天井部7の下面7aから突出する方が好ましい。ただし上記に限定されるものではない。
また、図5Bに示すように、X方向及びY方向に各々延びる突出部材30によって、天井部7の中心部(第2内装材52)を囲うように、突出部材30を配置することで、X方向及びY方向への火炎の燃え広がりを抑制できる。ただし、天井部7における突出部材30の配置は、図5Bに例示する配置に限定されるものではない。
【0055】
===第2実施形態===
図6A及び図6Bは、第2実施形態の突出部材30を説明する概略断面図である。第2実施形態の内装構造2Iでは、内装材20の一部分を突出させた突出部材30を設ける。そのため、第2実施形態の突出部材30は、内装材20と同じ木材で構成された表面部31と、表面部31の内側に配置された難燃性を満たす芯部32を有する。
【0056】
第2実施形態の内装構造2Iにおいても、第1実施形態と同様に、室内の壁3,4において、可燃材料(例えば木材)である第1内装材21と、第1内装材21に近接して、第1内装材21よりも上側に配置された、可燃材料(例えば木材)である第2内装材22とが設けられる。そして、高さ方向における、第1内装材21と第2内装材22との間に、壁3,4の壁面3a,4aから室内側に突出する突出部材30(31,32)が設けられる。
そのため、第1内装材21(壁面下部)に火炎が着火してしまっても、突出部材30によって、火炎を第2内装材22(壁面上部)から離隔でき、室内上方への燃え広がりを抑制(遅延)できる。また、内装材20(21,22)や天井にユーザーが所望する材料(例えば無処理の木材等)を使用できる。
【0057】
なお、第2実施形態の突出部材30の設置高さh(床面から突出部材30の下面部までの高さ)については、第1実施形態の説明と同様である。また、1つの壁3,4に設けられる突出部材30は1つに限らず、高さ方向に間隔を空けて複数の突出部材30を配置してもよい。
【0058】
また、第2実施形態の突出部材30の室内側の表面部31は、内装材20と同じ木材であり、可燃材料である。この場合、図6Bに示すように、第1内装材21を燃やす火炎が、突出部材30の表面部31の下面部31aに接近、接触した際に、下面部31aに燃え移りやすいが、表面部31の下面部31aから側面部31bに回り込んだ火炎を、第2内装材22から水平方向に離隔できる。具体的には、第2内装材22から室内側に突出する突出部材30の水平方向の長さが、火炎から第2内装材22までの離隔距離(矢印R)として確保される。よって、第2内装材22、及び、室内上方への火炎の燃え広がりを抑制(遅延)できる。
【0059】
このように突出部材30の表面部31を可燃材料とすることで、突出部材30の表面部31を、第1内装材21及び第2内装材22と同じ種類の可燃材料、ここでは無処理の木材にすることができる。そのため、突出部材30が目立ち難くなり、壁内装の統一感や意匠性が高まる。
【0060】
ただし、上記に限らず、突出部材30の表面部31を、第1内装材21及び第2内装材22と異なる種類の可燃材料(例えば異なる種類の木材や紙や合成樹脂等)としてもよい。また、突出部材30の表面部31を難燃材料、例えば難燃処理された木材としてもよい。この場合、突出部材30の表面部31が燃焼し難くなるため、第1実施形態の突出部材30(図2参照)と同様に、火炎から第2内装材22までの離隔距離(矢印R)を長くできる。また、突出部材30のみに難燃処理された木材を使用することで、突出部材30を目立ち難くしつつ、内装材20全体に難燃処理された木材を使用する場合に比べて、コストや手間を抑えることができる。
【0061】
また、突出部材30の表面部31の内側(芯部32)は、難燃材料(準不燃材料及び不燃材料も含む)であることが好ましい。そうすることで、図6Bに示すように、突出部材30の表面部31が燃焼しても、突出部材30の芯部32への燃焼を抑制(遅延)できる。よって、突出部材30の表面部31(側面部31b)を燃やす火炎が、第2内装材22から水平方向に離隔した状態が維持されやすく、第2内装材22への燃え移りを遅延(抑制)できる。ただし、これに限らず、突出部材30全体が可燃材料であってもよい。
【0062】
(変形例)
図示しないが、前述の図5A及び図5Bと同様に、第2実施形態の突出部材30を天井部に設けてもよい。そうすることで、天井全体への燃え広がりを抑制(遅延)しつつ、天井面にユーザーが所望する可燃材料(例えば無処理の木材)を使用でき、室内の意匠性が向上する。特に、第2実施形態の突出部材30では、表面部31を可燃材料とし、天井仕上げ材(第1内装材及び第2内装材)と同じ種類の可燃材料にすることができるので、突出部材30が目立ち難くなる。
【0063】
===第3実施形態===
図7Aは、第3実施形態の内装材20を説明する概略断面図であり、図7Bは、第3実施形態の内装材20を説明する概略斜視図である。図8A図8Cは、内装材30の変形例を説明する概略断面図である。
【0064】
第3実施形態の内装構造2Iにおいても、室内の壁3,4に、可燃材料、例えば木材である第1内装材21と、第1内装材21に近接して、第1内装材21よりも上側に配置された、可燃材料、例えば木材である第2内装材22とが設けられる。そして、第3実施形態の内装構造2Iでは、第1内装材21と第2内装材22とが離間している。
【0065】
そのため、図7Bに示すように、第1内装材21(壁面下部)を燃やす火炎を、第2内装材22(壁面上部)から離隔できる。よって、第2内装材22及び室内上方への燃え広がりを抑制(遅延)できる。また、内装材20や天井にユーザーが所望する材料(例えば無処理の木材等)を使用できる。
【0066】
なお、内装材20を離間する高さh(すなわち床面から第1内装材20の上端までの高さ)については、第1実施形態の説明と同様である。また、高さ方向において内装材20を2つ(第1内装材21及び第2内装材22)に分離するに限らず、3つ以上に分離して各々を離間させてもよい。また、第1内装材21と第2内装材22の傾斜角度が異なっていてもよい。
【0067】
具体的に、第3実施形態の内装構造2Iでは、第1内装材21と第2内装材22の少なくとも一方が、壁3,4の面に対して傾斜して設けられており、第1内装材21の上端21a(第2内装材側の端)と、第2内装材22の下端22a(第1内装材側の端)とが、水平方向(壁3,4の面に直交する方向)に離間している。
【0068】
例えば、図7Aでは、第1内装材21及び第2内装材22は共に上方へ行くにつれて室内側に位置するように傾斜している。この場合、第1内装材21の上端21aのうちの室内側の端から、第2内装材22の下端22aのうちの室内側の端までの水平方向の長さが、火炎から第2内装材22までの離隔距離(矢印R)として確保される。よって、第2内装材22及び室内上方への燃え広がりを抑制(遅延)できる。このように内装材20の配置の工夫によって延焼を抑制することで、壁内装の意匠性も高めることができる。
【0069】
また、図7Aに限らず、例えば、図8Aに示すように、第1内装材21だけが上方へ行くにつれて室内側に位置するように傾斜し、第2内装材22は壁3,4の面に沿って設けられていてもよい。この場合も、図7Aと同様に、第1内装材21の上端のうちの室内側の端から、第2内装材22の下端のうちの室内側の端までの水平方向の長さが、火炎から第2内装材22までの離隔距離(矢印R)として確保される。
【0070】
或いは、図8Bに示すように、第1内装材21及び第2内装材22が共に下側に行くにつれて室内側に位置するように傾斜してもよい。また、図8Cに示すように、第2内装材22だけが下方へ行くにつれて室内側に位置するように傾斜し、第1内装材21は、壁3,4の面に沿って設けられていてもよい。これらの場合、第1内装材21の上端のうちの室内側の端から、第2内装材の下端のうちの壁側の端までの水平方向の長さが、火炎から第2内装材22までの離隔距離(矢印R)として確保される。
【0071】
図8B及び図8Cにおいても第1内装材21と第2内装材22が離間し、第2内装材22への燃え広がりを抑制(遅延)できる。ただし、図8B及び図8Cでは、第2内装材22の下端部が第1内装材21を燃やす火炎と対向する。これに対して、図7A及び図8Aでは、第1内装材21を燃やす火炎とは反対側に第2内装材22が位置する。よって、より確実に、第2内装材22への燃え広がりを抑制できる。
【0072】
また、第1内装材21の上端と第2内装材22の下端とが、高さ方向において一致、又は重複していることが望ましい。そうすることで、室内側から内装材20を視認した際に、壁3,4が視認され難くなる。つまり、壁3,4をより広範囲に亘り内装材20で覆うことができ、壁内装の意匠性が高まる。
【0073】
ただし、これに限らず、第1内装材21の上端と第2内装材22の下端とが高さ方向に離間していてもよい。この場合、火炎から第2内装材22までの離隔距離をより長くできる(水平方向の離隔距離に高さ方向の離隔距離も加わるため)。よって、第2内装材22への燃え広がりをより抑制できる。特に、図8B及び図8Cのように、第1内装材21を燃やす火炎と対向する側に第2内装材22が位置する場合、第1内装材21の上端と第2内装材22の下端を高さ方向に離間させてもよい。
【0074】
また、第1内装材21と第2内装材22の少なくとも一方が壁3,4の面に対して傾斜して設けられる場合であっても、第1内装材21の上端21aと、第2内装材22の下端22aとが、水平方向に離間せず、水平方向(面外方向)の位置が一致していてもよい。図示しないが、例えば、第1内装材21と第2内装材22が逆方向に傾斜する場合や、壁3,4の面に沿う第1内装材21に対して、第2内装材22が上方に行くにつれて室内側に位置するように傾斜する場合や、壁3,4の面に沿う第2内装材22に対して、第1内装材21が上方に行くにつれて壁側に位置するように傾斜する場合が挙げられる。これらの場合は、第1内装材21の上端と第2内装材22の下端を高さ方向に離間させるとよい。そうすることで、火炎から第2内装材22を離隔でき、第2内装材22への燃え広がりを抑制できる。
【0075】
(変形例)
図9は、第3実施形態の内装構造2Iの変形例を示す図である。壁3,4に設ける第1内装材21及び第2内装材22と同様に、天井部7に設ける内装材(51,52)を配置してもよい。
つまり、室内の天井部7において、可燃材料である第1内装材51と、第1内装材51に近接して、第1内装材21よりも室内側に配置された、可燃材料である第2内装材52とを設ける。そして、第1内装材51と第2内装材52は、近接して配置されるが、高さ方向(天井部7の面7aに直交する方向)に離間している内装構造2Iであってもよい。
【0076】
図9では、第1内装材51及び第2内装材52が共に、天井部7の面7aに対して傾斜し、水平方向(X方向又はY方向)の室内側に行くにつれて下側に位置するように傾斜している。これに限らず、天井に設ける内装材(51,52)を、図8A図8Cに示す壁3,4に設ける内装材(21,22)と同様に配置してもよい。何れの場合であっても、第1内装材51の室内側の端(第2内装材側の端)と、第2内装材52の壁側の端(第1内装材側の端)とを、高さ方向に離間できる。よって、壁から第1内装材51に燃え移った火炎が第2内装材52に燃え移り難く、天井全体への燃え広がりを抑制(遅延)できる。そのため、天井面にユーザーが所望する可燃材料(例えば無処理の木材)を使用でき、室内の意匠性が向上する。
【0077】
特に、図9に示すように、壁に近い第1内装材51の室内側の端部が下方に位置するように、第1内装材51が傾斜しているとよい。この場合、壁から第1内装材51に燃え移った火炎の反対側に第2内装材52が位置するので、第2内装材52への燃え広がりをより抑制できる。
また、天井面において、分離して離間する内装材(51,52)を、X方向又はY方向の一方向に並べて配置してもよいし、X方向に並ぶ内装材(51,52)とY方向に並ぶ内装材(51,52)を混在させて配置してもよい。
【0078】
===第4実施形態===
図10A及び図10Bは、第4実施形態の内装材20を説明する概略断面図である。
第4実施形態の内装構造2Iにおいても、第3実施形態と同様に、室内の壁3,4に、可燃材料、例えば木材である第1内装材21と、第1内装材21よりも上側に配置された、可燃材料、例えば木材である第2内装材22とが設けられる。そして、第1内装材21と第2内装材22とが離間している。
【0079】
そうすることで、第1内装材21(壁面下部)を燃やす火炎を、第2内装材22(壁面上部)から離隔できる。よって、第2内装材22及び室内上方への燃え広がりを抑制(遅延)できる。また、内装材20(21,22)や天井にユーザーが所望する材料(例えば無処理の木材等)を使用できる。
【0080】
具体的に、第4実施形態の内装構造2Iでは、第1内装材21、及び、第2内装材22は、壁3,4の壁面に沿って設けられており、第1内装材21の上端(第2内装材側の端)と、第2内装材22の下端(第1内装材側の端)とが、高さ方向(壁の面に沿う方向)に離間している。
【0081】
この場合、第1内装材21の上端から第2内装材の下端までの高さ方向の長さが、火炎から第2内装材22までの離隔距離(矢印R)として確保される。よって、第2内装材22及び室内上方への燃え広がりを抑制(遅延)できる。また、第4実施形態の内装構造2Iでは、内装材20が壁3,4の面に沿って設けられ、室内側へ突出する突出部材30が存在しない。そのため、居室2内の空間が狭まらず、空間をより広く確保できる。
【0082】
また、内装材20を分離する高さh(すなわち床面から第1内装材20の上端までの高さ)については、第1実施形態の説明と同様である。また、図8Aに示すように、高さ方向において内装材20を3つに分離してもよいし、2つに分離しても、4つ以上に分離してもよく、各々を高さ方向に離間させるとよい。
【0083】
また、図10Aに示すように、第1内装材21と第2内装材22の間において、外壁3,4を露出させるとよい。この場合、第1内装材21と第2内装材22が離間する間に空間(隙間)が設けられることになる。そのため、第1内装材21と第2内装材22の間において、部材に火炎が燃え移ることがなく、第2内装材22への燃え広がりをより抑制できる。
【0084】
或いは、図10Bに示すように、第1内装材21の上端と、第2内装材22の下端との間に、準不燃材料(不燃材料も含む)の内装材(以下、準不燃内装材40という)が設けられていてもよい。この場合、準不燃内装材40によって壁3,4の露出を抑制できる。また、可燃材料である内装材20と準不燃内装材40とによって、壁3,4の内装面を平坦にできる。また、第1内装材21と第2内装材22の間に可燃材料や難燃材料が設けられる場合に比べて、第1内装材21から準不燃内装材40に火炎が燃え移るまでの時間を遅らせることができる。よって、第2内装材22への燃え広がりも抑制(遅延)できる。
【0085】
(変形例)
図11A図11Cは、第4実施形態の内装構造2Iの変形例を示す図である。
上記実施形態では、壁3,4の面に沿って設けられる第1内装材21及び第2内装材22が高さ方向に離間しているが、これに限らない。図11Aに示すように、第1内装材21及び第2内装材22が、横方向(X方向又はY方向)に離間していてもよい。この場合、第1内装材21から第2内装材22までの横方向の長さが離隔距離Rとして確保され、横方向への火炎の燃え広がりを抑制できる。
また、図示しないが、第1内装材21と第2内装材22が高さ方向に離間しつつ、横方向(X方向又はY方向)にも離間していてもよい。この場合、高さ方向及び横方向から傾斜した方向における、第1内装材21から第2内装材22までの長さが離隔距離Rとして確保され、高さ方向(上方)及び横方向への火炎の燃え広がりを抑制できる。
【0086】
また、図11Bに示すように、可燃材料である第1内装材51と第2内装材52をそれぞれ天井部7の面7aに沿って設け、第1内装材51の室内側(第2内装材側)の端と、第2内装材52の室外側(第1内装材側)の端とを、天井部7の面に沿って離間して配置してもよい。具体的には、第1内装材51と第2内装材52がX方向に並ぶ場合にはX方向に離間して配置し、第1内装材51と第2内装材52がY方向に並ぶ場合にはY方向に離間して配置する。これらの場合、X方向又はY方向への火炎の燃え広がりを抑制できる。なお、天井面において、分離して離間する内装材をX方向又はY方向の一方向に並べて配置してもよいし、X方向に並ぶ内装材とY方向に並ぶ内装材を混在させて配置してもよい。
【0087】
図11Cは天井部7を下方から見た図である。図11Cに示すように、天井部7において、第1内装材51と第2内装材52がX方向とY方向の両方向に離間していてもよい。この場合、X方向及びY方向から傾斜した方向における、第1内装材51から第2内装材52までの長さが離隔距離Rとして確保され、X方向及びY方向への火炎の燃え広がりを抑制できる。
【0088】
上記のように、天井部7での燃え広がりを抑制することで、天井面7aにユーザーが所望する可燃材料(例えば無処理の木材)を使用できる。なお、第1内装材と第2内装材の間は空間であってもよいし、間に準不燃材料が設けられてもよい。
【0089】
===その他の実施形態===
以上、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0090】
上記実施形態の内装構造2Iでは、壁又は天井部を覆う内装材に可燃材料を使用するが、建築基準法第35条の2、及び、建築基準法施行令第128条の3の2~128条の5に定められる内装制限が適用されない建築物を対象とするに限らない。例えば、内装制限の対象となる建築物であっても、床面積、天井の高さ、消火設備、排煙設備等に応じて内装制限の適用が緩和された建築物を対象にしてもよい。又は、本実施形態の内装構造2Iが避難安全性能を有するものであることについて、避難安全検証法により確かめたり、国土交通大臣の認定を受けたりした建築物を対象にしてもよい。
【0091】
また、居室2を囲う全ての壁に対して同じ内装構造2Iを適用するに限らない。居室2を囲う複数の壁に対して、第1実施形態から第4実施形態の内装構造2Iを複数組み合わせて適用してもよい。また、壁と天井部の一方に、第1実施形態から第4実施形態の内装構造2Iを適用してもよいし、壁と天井部の両方に適用してもよい。両方に適用する場合には、同じ実施形態の内装構造を適用しても、異なる実施形態の内装構造を適用してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 建築物、
2 居室、
2I 内部構造、
3 外壁(壁)、4 仕切り壁(壁)、
5 床、6 開口部、
20 内装材、
21 第1内装材、22 第2内装材、
30 突出部材、
31 表面部、32 芯部、
40 準不燃内装材、
図1
図2
図3
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図5
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