(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064140
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】排ガス処理用の制御装置及び方法並びにCO2回収システム
(51)【国際特許分類】
F01N 9/00 20060101AFI20240507BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20240507BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20240507BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20240507BHJP
B01D 53/92 20060101ALI20240507BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20240507BHJP
C01B 32/50 20170101ALN20240507BHJP
【FI】
F01N9/00
F01N3/08 B
F01N3/20 N
F01N3/20 M
F01N3/20 P
F01N3/24 C
B01D53/92 240
B01D53/22 ZAB
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172505
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】上出 英行
(72)【発明者】
【氏名】本城 匠
(72)【発明者】
【氏名】奥原 誠
【テーマコード(参考)】
3G091
4D002
4D006
4G146
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AB02
3G091AB03
3G091AB04
3G091AB13
3G091CA12
3G091CA13
3G091CA17
3G091EA17
3G091FB03
3G091FB07
3G091GB09
3G091HA16
3G091HA35
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA20
4D002FA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB02
4D002GB03
4D002GB20
4D006GA41
4D006KA01
4D006KB12
4D006KB30
4D006KE12P
4D006KE16P
4D006KE22Q
4D006KE24Q
4D006PA05
4D006PB19
4D006PB64
4D006PC80
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC11
4G146JC18
4G146JC33
(57)【要約】
【課題】排ガスの処理過程で用いられる装置の劣化を抑制する。
【解決手段】排ガスを発生させる熱機関(11)とCO
2分離装置(30)との間に、尿素を還元剤として含む第1浄化装置(15)と、多孔質材料を含む第2浄化装置(15)と、が設けられる。処理部は、第1浄化装置の通過前における排ガスの検出温度(T
DET)を所定の基準温度と比較し、検出温度が基準温度より低いとき、熱機関からの排ガスを第1浄化装置及び第2浄化装置に通す第1制御を実行し、検出温度が基準温度より高いとき、熱機関からの排ガスを第1浄化装置に通しつつ第2浄化装置を迂回させる第2制御を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器に設けられた熱機関からの排ガスをCO2分離膜を含むCO2分離装置に導く制御を行う処理部を備え、
前記対象機器において前記熱機関と前記CO2分離装置との間に、尿素を還元剤として含む第1浄化装置と、多孔質材料を含む第2浄化装置と、が設けられ、
前記処理部は、前記第1浄化装置の通過前における排ガスの検出温度を所定の基準温度と比較し、前記検出温度が前記基準温度より低いとき、前記熱機関からの排ガスを前記第1浄化装置及び前記第2浄化装置に通す第1制御を実行し、前記検出温度が前記基準温度より高いとき、前記熱機関からの排ガスを前記第1浄化装置に通しつつ前記第2浄化装置を迂回させる第2制御を実行する
、排ガス処理用の制御装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第1制御を実行するとき、前記第1浄化装置及び前記第2浄化装置を通過した後の排ガスを前記CO2分離装置に導き、前記第2制御を実行するとき、前記第1浄化装置の通過後であって且つ前記第2浄化装置を迂回した排ガスを前記CO2分離装置に導く
、請求項1に記載の排ガス処理用の制御装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記第2浄化装置及び前記CO2分離装置間における排ガス中の特定物質の濃度を所定の閾濃度と比較し、
前記第1制御を実行する場合において、前記特定物質の濃度が前記閾濃度よりも低いときには、前記第1浄化装置及び前記第2浄化装置を通過した後の排ガスを前記CO2分離装置に導き、前記特定物質の濃度が前記閾濃度よりも高いときには、前記第1浄化装置及び前記第2浄化装置を通過した後の排ガスを前記対象機器の外部に放出し、
前記第2制御を実行する場合において、前記特定物質の濃度が前記閾濃度よりも低いときには、前記第1浄化装置の通過後であって且つ前記第2浄化装置を迂回した排ガスを前記CO2分離装置に導き、前記特定物質の濃度が前記閾濃度よりも高いときには、前記第1浄化装置の通過後であって且つ前記第2浄化装置を迂回した排ガスを前記対象機器の外部に放出する
、請求項1に記載の排ガス処理用の制御装置。
【請求項4】
前記特定物質は窒素酸化物を含む
、請求項3に記載の排ガス処理用の制御装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記熱機関及び前記第1浄化装置間における排ガス中の特定物質の濃度を所定の閾濃度と比較し、
前記特定物質の濃度が前記閾濃度よりも高いときには、前記検出温度と前記基準温度との高低関係に依らず、前記熱機関からの排ガスを少なくとも前記第1浄化装置を通過させた後に前記対象機器の外部に放出する第3制御を行う
、請求項1に記載の排ガス処理用の制御装置。
【請求項6】
前記特定物質は窒素酸化物を含む
、請求項5に記載の排ガス処理用の制御装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れかに記載の排ガス処理用の制御装置と、
前記第1浄化装置と、
前記第2浄化装置と、
前記CO2分離装置と、
CO2貯留装置と、を備え、
前記CO2分離装置は、前記第1制御を通じて前記第1浄化装置及び前記第2浄化装置を通過した後の排ガスの供給を受け、又は、前記第2制御を通じて前記第1浄化装置の通過後であって且つ前記第2浄化装置を迂回した排ガスの供給を受け、
前記CO2貯留装置は、前記CO2分離装置への供給ガスの内、前記CO2分離膜を通過したCO2を貯留する
、CO2回収システム。
【請求項8】
対象機器に設けられた熱機関からの排ガスをCO2分離膜を含むCO2分離装置に導く排ガス処理用の制御方法であって、
前記対象機器において前記熱機関と前記CO2分離装置との間に、尿素を還元剤として含む第1浄化装置と、多孔質材料を含む第2浄化装置と、が設けられ、
当該制御方法において、前記第1浄化装置の通過前における排ガスの検出温度を所定の基準温度と比較し、前記検出温度が前記基準温度より低いとき、前記熱機関からの排ガスを前記第1浄化装置及び前記第2浄化装置に通す第1制御を実行し、前記検出温度が前記基準温度より高いとき、前記熱機関からの排ガスを前記第1浄化装置に通しつつ前記第2浄化装置を迂回させる第2制御を実行する
、排ガス処理用の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理用の制御装置及び方法並びにCO2回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃機関にて生じた排ガスからCO2を分離して回収する技術がある。CO2分離膜を用いて排ガスからCO2を分離することができる。
【0003】
尚、内燃機関の排気通路に選択還元型触媒装置を備えるシステムが下記特許文献1に開示されている。当該システムでは、選択還元型触媒装置より下流側の排気通路に、アンモニアスリップ触媒装置及びアンモニア吸着除去装置を設けて、それらの何れか一方に排ガス(排気ガス)を通過させる(下記特許文献1の請求項1参照)。この際、選択還元型触媒装置の入口の排気通路に温度検出装置を設ける。そして、温度検出装置の検出値が閾値以上であれば、排気ガスの流れをアンモニアスリップ触媒装置からアンモニア吸着除去装置に切り替える。逆に、温度検出装置の検出値が閾値未満であれば、排気ガスの流れをアンモニア吸着除去装置からアンモニアスリップ触媒装置に切り替える(下記特許文献1の請求項4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱機関にて生じる排ガスにはCO2分離膜にとっての被毒物質が含まれる。そこで、熱機関とCO2分離膜を含むCO2分離装置との間に、被毒物質を除去するための浄化装置を配置する。尿素を還元剤として含む浄化装置を利用すれば、被毒物質としてのNOXを除去可能である。但し、上記浄化装置による被毒物質の除去能力は、低温化において低下する。被毒物質の除去能力が低下した状態で排ガスをCO2分離装置に供給すると、CO2分離装置の劣化が促進されるおそれがある。排ガスの流路上に、単純に他の浄化装置を追加挿入すれば、被毒物質を十分に除去可能となる。但し、システム全体の寿命を考慮すれば、他の浄化装置の劣化にも気を配る必要がある。
【0006】
本発明は、排ガスの処理過程で用いられる装置の劣化を抑制する排ガス処理用の制御装置及び方法並びにCO2回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る排ガス処理用の制御装置は、対象機器に設けられた熱機関からの排ガスをCO2分離膜を含むCO2分離装置に導く制御を行う処理部を備え、前記対象機器において前記熱機関と前記CO2分離装置との間に、尿素を還元剤として含む第1浄化装置と、多孔質材料を含む第2浄化装置と、が設けられ、前記処理部は、前記第1浄化装置の通過前における排ガスの検出温度を所定の基準温度と比較し、前記検出温度が前記基準温度より低いとき、前記熱機関からの排ガスを前記第1浄化装置及び前記第2浄化装置に通す第1制御を実行し、前記検出温度が前記基準温度より高いとき、前記熱機関からの排ガスを前記第1浄化装置に通しつつ前記第2浄化装置を迂回させる第2制御を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、排ガスからCO2を分離する過程で用いられる装置の劣化を抑制する排ガス処理用の制御装置及び方法並びにCO2回収システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両及び車両内部の概略的な平面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係り、多段浄化制御が行われる場合の排ガスの流れを示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係り、後段バイパス制御が行われる場合の排ガスの流れを示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係り、貯留制御が行われる場合の排ガスの流れを示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係り、CO
2分離装置の概略構成図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係り、直接排出制御が行われる場合の排ガスの流れを示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係り、制御装置の内部構成図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係り、制御装置の機能ブロック図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係り、CO
2回収システムの動作フローチャートである。
【
図10】本発明の第1実施形態に係り、複数の状況下における排ガスの流れを示す図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係り、CO
2回収システムの変形動作フローチャートである。
【
図12】本発明の第2実施形態に係り、CO
2回収システムの他の変形動作フローチャートである。
【
図13】本発明の第2実施形態に係り、CO
2回収システムの更に他の変形動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“15”によって参照される前段浄化装置は(
図1参照)、前段浄化装置15と表記されることもあるし、浄化装置15と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0011】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。
図1は本実施形態に係る車両1の概略的な平面図である。車両1にはCO
2回収システムが搭載される。CO
2は二酸化炭素を指す。尚、本明細書においてCO
2とCO2は同じものを指す。車両1は例えば路面上を走行可能な自動車であるが、車両1の種類は任意である。
【0012】
車両1には、内燃機関11、排気マニホールド12、排気管13、フィルタ装置14、前段浄化装置15、三方弁16、後段浄化装置17、三方弁18、三方弁19、マフラ20、貯留用接続路21及び排気用接続路22が設けられる。三方弁16、18及び19は三方性の電磁弁である。車両1には更に、CO2分離装置30、分離ガス路36、残ガス排出路37、CO2貯留装置40及び制御装置100が設けられる。CO2回収システムは、内燃機関11からの排ガス中のCO2をCO2貯留装置40にて貯留(換言すれば回収)する。以下、各部の構成及び機能を説明する。
【0013】
内燃機関11は、熱機関の例であり、燃料を内部で燃焼させることによって車両1を駆動するための駆動力を発生させる。内燃機関11に加えて電動機(不図示)が車両1に設けられていて良い。この場合、内燃機関11と電動機を併用して車両1を駆動するための駆動力を発生させる。
【0014】
内燃機関11内での燃料の燃焼によって生じた排ガス(排気ガス)は排気マニホールド12を通じて排気管13に流入する。排気管13に対して、フィルタ装置14、前段浄化装置15、三方弁16、後段浄化装置17及び三方弁18が設けられる。排気管13にて形成される排ガスの流路に、上流側から下流側に向けて、フィルタ装置14、前段浄化装置15、三方弁16、後段浄化装置17及び三方弁18が、この順番で挿入される。フィルタ装置14、前段浄化装置15及び後段浄化装置17の夫々にて、排ガスを浄化することができる。
【0015】
排気管13は、連結路13a、13b、13c、13d、13e及び13gと、バイパス路13fと、を有する。
【0016】
連結路13aは、排気マニホールド12とフィルタ装置14との間に設けられ、排気マニホールド12とフィルタ装置14とを連結する。内燃機関11から送出された排ガスは連結路13aを通ってフィルタ装置14に流れ込む。内燃機関11から送出された排ガスの内、フィルタ装置14に流れ込む前の排ガス(即ちフィルタ装置14を通過する前の排ガス)を、特に排ガスG0と称する。
【0017】
フィルタ装置14は自身に流入した排ガスG0を浄化する。フィルタ装置14による浄化後の排ガスを、特に排ガスG1と称する。フィルタ装置14、前段浄化装置15及び後段浄化装置17の内、フィルタ装置14のみの浄化を排ガスG0に施して得られる排ガスが、排ガスG1に相当する。排ガスG1はフィルタ装置14から連結路13bに流れ込む。フィルタ装置14はディーゼル微粒子捕集フィルタ(Diesel Particulate Filter)を備える。フィルタ装置14は更にディーゼル酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst, DOC)を有していて良い。フィルタ装置14は三元触媒を有していても良い。フィルタ装置14での浄化により排ガスG0中の粒子状物質が除去される。加えて、フィルタ装置14での浄化により排ガスG0中のSOXが除去される。フィルタ装置14での浄化により排ガスG0中の他の有害物質(炭化水素及び一酸化炭素など)も除去され得る。尚、フィルタ装置14の除去対象物質が完全にフィルタ装置14にて除去されるとは限らず、フィルタ装置14の除去対象物質の幾らかはフィルタ装置14を通過し得る。SOXは硫黄酸化物を指し、例えばSO2又はSO3である。
【0018】
連結路13bは、フィルタ装置14と前段浄化装置15との間に設けられ、フィルタ装置14と前段浄化装置15とを連結する。フィルタ装置14からの排ガスG1が連結路13bを通って前段浄化装置15に流れ込む。
【0019】
前段浄化装置15は自身に流入した排ガスG1を浄化する。前段浄化装置15による浄化後の排ガスを、特に排ガスG2と称する。前段浄化装置15及び後段浄化装置17の内、前段浄化装置15のみの浄化を排ガスG1に施して得られる排ガスが、排ガスG2に相当する。排ガスG2は前段浄化装置15から連結路13cに流れ込む。前段浄化装置15は尿素を還元剤として使用した選択還元型触媒装置(いわゆる尿素SCR)である。前段浄化装置15の除去対象物質はNOXを含む。故に、前段浄化装置15での浄化により、前段浄化装置15に流入する排ガスG1中のNOXが除去される。前段浄化装置15の除去対象物質はNOX以外の物質を含み得る。尚、前段浄化装置15の除去対象物質が完全に前段浄化装置15にて除去されるとは限らず、前段浄化装置15の除去対象物質の幾らかは前段浄化装置15を通過し得る。NOXは窒化酸化物を指し、例えばNO、NO2、N2O4、N2O3又はN2Oである。
【0020】
連結路13cは、前段浄化装置15と三方弁16との間に設けられ、前段浄化装置15と三方弁16とを連結する。前段浄化装置15からの排ガスG2が連結路13cを通って三方弁16に流れ込む。
【0021】
三方弁16は、連結路13cを通じて自身に流れ込む排ガスG2を、制御装置100の制御の下で、連結路13d及びバイパス路13fの何れか一方に送り出す。CO
2回収システムにて行われる制御として、
図2の多段浄化制御と、
図3の後段バイパス制御と、がある。制御装置100により多段浄化制御及び後段バイパス制御が切り替え実行される。多段浄化制御が実行されるとき、前段浄化装置15からの排ガスG2が三方弁16を介して後段浄化装置17に送られる(
図2参照)。後段バイパス制御が実行されるとき、前段浄化装置15からの排ガスG2が、後段浄化装置17を通過することなく、三方弁16を介してバイパス路13fに送られる(
図3参照)。パイパス路13fは後段浄化装置17を迂回する迂回路である。
【0022】
多段浄化制御において、後段浄化装置17は自身に流入した排ガスG2を浄化する。後段浄化装置17による浄化後の排ガスを、特に排ガスG3と称する(
図2参照)。排ガスG3は、排ガスG0に対し、フィルタ装置14、前段浄化装置15及び後段浄化装置17での浄化を全て施して得られる排ガスである。多段浄化制御において、排ガスG3は後段浄化装置17から連結路13eに流れ込む。後段浄化装置17は多孔質材料を含む浄化装置である。多孔質材料は例えば活性炭、ゼオライト又はケイ酸塩である。後段浄化装置17に設けられる多孔質材料は、活性炭、ゼオライト及びケイ酸塩の内、少なくとも2つの組み合わせであっても良い。後段浄化装置17の除去対象物質はNO
Xを含む。故に、後段浄化装置17での浄化により、後段浄化装置17に流入する排ガスG2中のNO
Xが除去される。後段浄化装置17の除去対象物質はNO
X以外の物質を含み得る。尚、除去対象物質が完全に後段浄化装置17にて除去されるとは限らず、後段浄化装置17の除去対象物質の幾らかは後段浄化装置17を通過し得る。
【0023】
三方弁18は、制御装置100の制御の下、連結路13e又はバイパス路13fから送られる排ガスを連結路13gに送る。従って、多段浄化制御が行われるときには、
図2に示す如く、後段浄化装置17からの排ガスG3が三方弁18を通じて連結路13gに送られる。後段バイパス制御が行われるときには、
図3に示す如く、排ガスG2が、後段浄化装置17を通過することなく、バイパス路13f及び三方弁18を通じて連結路13gに送られる。
【0024】
三方弁19は、制御装置100の制御の下、連結路13gから送られる排ガス(G2又はG3)を貯留用接続路21及び排気用接続路22の何れか一方に送り出す。
【0025】
制御装置100は、上述の多段浄化制御及び後段バイパス制御とは別に、貯留制御と直接排出制御を切り替え実行できる。
【0026】
図4に貯留制御が行われる場合の排ガスの流れを概略的に示す。貯留制御では、連結路13gを通じて三方弁19に流れ込む排ガスが三方弁19から貯留用接続路21に送り出される。貯留用接続路21は、三方弁19とCO
2分離装置30との間に設けられ、三方弁19とCO
2分離装置30とを連結する。貯留制御において三方弁19から貯留用接続路21に送り出された排ガスはCO
2分離装置30に供給される。従って多段浄化制御及び貯留制御が行われるとき、浄化装置15及び17を通過した後の排ガスである排ガスG3がCO
2分離装置30に供給される。一方、後段バイパス制御及び貯留制御が行われるとき、前段浄化装置15を通過した後であって且つ後段浄化装置17を迂回した排ガスである排ガスG2がCO
2分離装置30に供給される。
【0027】
図5にCO
2分離装置30の構造を示す。CO
2分離装置30は、CO
2分離膜31、入力空間32及び出力空間33を備える。入力空間32と出力空間33との間にCO
2分離膜31が設けられる。即ち、CO
2分離装置30内の空間はCO
2分離膜31を境界に入力空間32と出力空間33に分離される。CO
2分離装置30に対して供給された排ガスは入力空間32に入る。
【0028】
CO2分離膜31は、入力空間32中の排ガスの内、気体の二酸化炭素のみを選択的に通過させる膜である。CO2分離膜31を通過したガス(即ち気体の二酸化炭素)は出力空間33に入る。貯留制御において、CO2分離膜31を通過したガスは分離ガスとして分離ガス路36を通じCO2貯留装置40に送られる。貯留制御において、CO2分離膜31を通過しなかったガスは残ガスとして残ガス排出路37に送られる。残ガス排出路37はマフラ20に連結されており、残ガスはマフラ20を介して車外に排出される。車外とは車両1の外部を指す。
【0029】
図6に直接排出制御が行われる場合の排ガスの流れを示す。直接排出制御では、連結路13gを通じて三方弁19に流れ込む排ガスが三方弁19から排気用接続路22に送り出される。排気用接続路22は、三方弁19とマフラ20との間に設けられ、三方弁19とマフラ20とを連結する。直接排出制御において、三方弁19から排気用接続路22に送り出された排ガスは、CO
2分離装置30を経由(通過)することなくマフラ20を介して車外に排出される。
【0030】
マフラ20は排ガスの排気口である。尚、残ガスは排ガスの一部である。マフラ20は排気用接続路22及び残ガス排出路37に連結される。マフラ20は排気用接続路22内の排ガス又は残ガス排出路37内の残ガスにおける温度及び圧力を低下させて排気騒音を低減させる機能を持つ。
【0031】
CO2貯留装置40は、分離ガス路36に連結され、CO2分離膜31を通過した分離ガス中のCO2を捕捉して貯留する。CO2貯留装置40におけるCO2の捕捉及び貯留の方法として、公知の方法を含む任意の方法を利用することができる。例えば、CO2の捕捉及び貯留の方法として、物理吸着法、物理吸収法、化学吸収法又は深冷分離法を利用できる。一例として、物理吸着法を採用される場合のCO2貯留装置40の構造及び機能を説明する。この場合、CO2貯留装置40は、活性炭又はゼオライト等から成り且つCO2の吸着に適したCO2吸着剤と、CO2吸着剤を収容する容器と、を備える。CO2吸着剤に対しCO2を含んだガス(上述の分離ガス)を接触させることによりCO2をCO2吸着剤に吸着させることができる。
【0032】
貯留制御が行われるとき、出力空間33内のガスを引き込んでCO2貯留装置40に送る真空ポンプ(不図示)が作動する。貯留制御において、当該真空ポンプが作動することで出力空間33内のCO2の分圧が入力空間32内のCO2の分圧よりも低く維持される。入力空間32と出力空間33との間におけるCO2の分圧差に基づき、入力空間32から出力空間33に向けてCO2がCO2分離膜31を通過する。
【0033】
尚、CO2分離膜31を通過した分離ガスの主成分はCO2であるが、CO2以外の成分も不純物として分離ガスに含まれ得る。CO2貯留装置40に送られた分離ガスの内、CO2貯留装置40にて捕捉及び貯留されなかったガス(上記不純物を含む)は、マフラ20又は図示されない排出口を介して車外に排出される。
【0034】
車両1には、更に、温度センサTS並びに濃度センサCS1及びCS2が設けられる(
図1参照)。温度センサTSは連結路13bに対して設けられ、連結路13b内の排ガスG1の温度を検出する。尚、温度センサTSは連結路13aに対して設けられていても良い。この場合。温度センサTSは連結路13a内の排ガスG0の温度を検出する。温度センサTSにて検出された温度を検出温度T
DETと称する。検出温度T
DETは、内燃機関11及び前段浄化装置15間における排ガスの温度であり、故に前段浄化装置15の通過前における排ガスの温度検出値である。温度センサTSは検出温度T
DETを示す信号を制御装置100に出力する。
【0035】
濃度センサCS1は連結路13bに対して設けられ、連結路13b内における排ガスG1中の特定物質の濃度を検出する。濃度センサCS1にて検出された濃度を検出濃度CDET1と称する。検出濃度CDET1は、内燃機関11及び前段浄化装置15間における排ガスG1中の特定物質の濃度検出値であり、故に前段浄化装置15の通過前における排ガスG1中の特定物質の濃度検出値である。濃度センサCS1は検出濃度CDET1を示す信号を制御装置100に出力する。
【0036】
濃度センサCS2は連結路13gに対して設けられ、連結路13g内における排ガス中の特定物質の濃度を検出する。連結路13g内における排ガスは、上述したように、多段浄化制御が行われるときには排ガスG3であり、後段バイパス制御が行われるときには排ガスG2である。濃度センサCS2にて検出された濃度を検出濃度CDET2と称する。検出濃度CDET2は、後段浄化装置17及びCO2分離装置30間における排ガス中の特定物質の濃度検出値である。濃度センサCS2は検出濃度CDET2を示す信号を制御装置100に出力する。
【0037】
本実施形態において上記特定物質はNOXである。特定物質としてのNOXは、NO、NO2、N2O4、N2O3及びN2Oの内、全部又は一部を含む。NOXがNO、NO2、N2O4、N2O3及びN2Oを含むと解した場合、NOXの濃度は、NO、NO2、N2O4、N2O3及びN2Oの各濃度の合算である。或いは、NOXの濃度とは、NO、NO2、N2O4、N2O3及びN2Oの何れかの濃度を指すと解しても良い。本実施形態において濃度とは、任意の定義による濃度であって良いが、例えば質量パーセント濃度又は体積パーセント濃度である。
【0038】
図7に制御装置100の内部構成図を示す。制御装置100は、ハードウェア資源として演算処理部110、メモリ120及びインターフェース130を備える。演算処理部110は、MPU(Micro Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等を含む。制御装置100にて実行される任意の制御、動作及び処理は、演算処理部110にて実行される制御、動作及び処理であると解されて良い。演算処理部110においてMPUとGPUが一体に形成されていても良い(例えばMPUにGPUが内蔵されていても良い)。
【0039】
メモリ120は、ROM(Read only memory)又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、及び、RAM(Random access memory)等の揮発性メモリを含む。メモリ120に格納されたプログラムを演算処理部110にて実行することで、制御装置100の各機能が実現されて良い。ここにおけるプログラムは複数のプログラムを含んでいて良い。演算処理部110に複数のMPUを設けておき、当該複数のMPUにて複数のプログラムが実行されることで、制御装置100の各機能が実現されても良い。制御装置100は1以上のECU(Electronic Control Unit)にて構成されていて良い。2以上のECUにおける2以上のMPUにより演算処理部110が構成されていても良い。
【0040】
インターフェース130は相手側装置と通信を行う。通信は双方向通信又は一方向通信である。車両1においてCAN(Controller Area Network)を含む通信網が形成される。相手側装置は車両1に設置され且つ上記通信網に接続された任意の装置を含む。制御装置100及び相手側装置は上記通信網を介して任意の情報及び信号の送受信が可能である。本実施形態において、相手側装置は、三方弁16、18及び19、温度センサTS、並びに、濃度センサCS1及びCS2を含む。インターフェース130にとっての相手側装置は、車両1の外部に設けられた外部装置(サーバ装置等)を含み得る。制御装置100及び相手側装置間の通信は、インターフェース130を用いて実現されるが、以下では、インターフェース130の記述が省略されることがある。
【0041】
図8に制御装置100の機能ブロック図を示す。制御装置100には機能ブロックF1~F3が設けられる。演算処理部110において、単一のプログラム又は複数のプログラムが実行されることで機能ブロックF1~F3が実現されて良い。演算処理部110に複数のMPUを設けておき、当該複数のMPUにて複数のプログラムが個別に実行されることで任意の複数の機能ブロックが実現されて良い。機能ブロックF1、F2、F3、夫々、温度情報取得部、濃度情報取得部、流路制御部である。尚、機能ブロックF1及びF2はインターフェース130にて実現されると考えても良い。
【0042】
温度情報取得部F1は、温度センサTSの出力信号に基づき検出温度TDETの情報を取得する。濃度情報取得部F2は、濃度センサCS1及びCS2の出力信号に基づき検出濃度CDET1及びCDET2の情報を取得する。流路制御部F3は、取得部F1及びF2にて取得された各情報(TDET、CDET1及びCDET2の情報)に基づき三方弁16、18及び19を制御することにより、内燃機関11が送出した排ガスの流路を制御する。当該流路の制御において、流路制御部F3は、多段浄化制御及び後段バイパス制御を切り替え実行し、且つ、貯留制御及び直接排出制御を切り替え実行する。
【0043】
内燃機関11からの排ガスにはNOX及びSOXが含まれる。NOX又はSOXが水分で凝縮される際に発生する凝縮水は強酸であり、当該凝縮水がCO2分離膜31に触れるとCO2分離膜31の劣化が促進される。排ガス中のSOXはフィルタ装置14にて十分な程度に除去されることが期待される。一方で前段浄化装置15はNOXの除去に適した構成を有する。前段浄化装置15を構成する選択還元型触媒装置(いわゆる尿素SCR)は、尿素水を排ガス中に噴射することによりアンモニアガスを生成し、生成したアンモニアガスによりNOXを還元することでN2(窒素ガス)とH2O(水蒸気)を得る。但し、選択還元型触媒装置にてNOXを還元するための化学反応は、比較的高い温度の条件下で促進され、比較的低い温度では当該化学反応が進みにくい。このように、前段浄化装置15におけるNOXの除去能力は、前段浄化装置15に供給される排ガスの温度に依存する。
【0044】
そこで、本実施形態では、前段浄化装置15とは別に後段浄化装置17を設けておく。そして、排ガスの温度が低いことに由来して前段浄化装置15でのNOXの除去が不十分と判断される場合には、後段浄化装置17でも排ガス浄化を行う。これにより、NOXを十分に除去することができ、以ってCO2分離装置30(特にCO2分離膜31)の劣化が抑制される。この際、排ガスを後段浄化装置17に常時通すと、後段浄化装置17の寿命が短くなる。このため、低温時にのみ多段浄化制御により後段浄化装置17に排ガスを通し、高温時には後段バイパス制御により排ガスを後段浄化装置17に通さない。これにより、後段浄化装置17の劣化も抑制される(後段浄化装置17の寿命が延びる)。
【0045】
図9に本実施形態に係るCO
2回収システムの動作フローチャートを示す。
図9を参照して、CO
2回収システムの動作の流れを説明する。まずステップS11にて内燃機関11が作動開始する。するとステップS12にて内燃機関11からの排ガスの送出が開始される。ステップS12の後、ステップS13に進む。尚、ステップS12以降、最新の検出温度T
DET、最新の検出濃度C
DET1及び最新の検出濃度C
DET2を示す信号が、順次、温度センサTS並びに濃度センサCS1及びCS2から制御装置100に送られる。流路制御部F3は最新の検出温度T
DETに基づき後述のステップS14の分岐処理を実行する。流路制御部F3は最新の検出濃度C
DET1に基づき後述のステップS13の分岐処理を実行する。流路制御部F3は最新の検出濃度C
DET2に基づき後述のステップS17の分岐処理を実行する。
【0046】
ステップS13において、流路制御部F3は検出濃度C
DET1を所定の閾濃度C
TH1と比較する。閾濃度C
TH1は、CO
2分離膜31の保護の観点から予め定められた濃度であり、例えば数10ppm(Parts per million)である。
図9の例では、ステップS13にて検出濃度C
DET1が閾濃度C
TH1より高いかが判断される。検出濃度C
DET1が閾濃度C
TH1よりも高いとき(ステップS13のY)、ステップS13からステップS20に進む。検出濃度C
DET1が閾濃度C
TH1以下であるとき(ステップS13のN)、ステップS13からステップS14に進む。尚、ステップS13において“C
DET1=C
TH1”であるとき、ステップS14に進むようにしても良い。
【0047】
ステップS14において、流路制御部F3は検出温度T
DETを所定の基準温度T
REFと比較する。基準温度T
REFは、上記の化学反応が十分に行われるか否かの境界となる温度であり、予め定められる。ここでは、基準温度T
REFは200℃である。但し、基準温度T
REFは200℃と相違しうる。
図9の例では、ステップS14にて検出温度T
DETが基準温度T
REFより低いかが判断される。検出温度T
DETが基準温度T
REFより低いとき(ステップS14のY)、ステップS14からステップS15に進む。検出温度T
DETが基準温度T
REF以上であるとき(ステップS14のN)、ステップS14からステップS16に進む。尚、ステップS14において“T
DET=T
REF”であるとき、ステップS15に進むようにしても良い。
【0048】
ステップS15において、流路制御部F3は多段浄化制御(
図2参照)を実行する。即ちステップS15において、流路制御部F3は、前段浄化装置15からの排ガス(G2)が後段浄化装置17を通過して連結路13gに向かうよう三方弁16及び18を制御する。ステップS15の後、ステップS17に進む。
【0049】
ステップS16において、流路制御部F3は後段パイパス制御(
図3参照)を実行する。即ちステップS16において、流路制御部F3は、前段浄化装置15からの排ガス(G2)が後段浄化装置17を通過することなくバイパス路13fを通過して連結路13gに向かうよう三方弁16及び18を制御する。ステップS16の後、ステップS17に進む。
【0050】
ステップS17において、流路制御部F3は検出濃度C
DET2を所定の閾濃度C
TH2と比較する。閾濃度C
TH2は、CO
2分離膜31の保護の観点から予め定められた濃度であり、例えば数10ppmである。閾濃度C
TH2は閾濃度C
TH1と一致していても良いし、不一致でも良い。
図9の例では、ステップS17にて検出濃度C
DET2が閾濃度C
TH2より高いかが判断される。検出濃度C
DET2が閾濃度C
TH2よりも高いとき(ステップS17のY)、ステップS17からステップS19に進む。検出濃度C
DET2が閾濃度C
TH2以下であるとき(ステップS17のN)、ステップS17からステップS18に進む。尚、ステップS17において“C
DET2=C
TH2”であるとき、ステップS19に進むようにしても良い。
【0051】
ステップS18において、流路制御部F3は貯留制御(
図4参照)を実行する。即ちステップS18において、流路制御部F3は、連結路13を通過する排ガス(G2又はG3)が貯留用接続路21を通じてCO
2分離装置30に送られるよう三方弁19を制御する。ステップS18の後、ステップS21に進む。
【0052】
ステップS19において、流路制御部F3は直接排出制御(
図6参照)を実行する。即ちステップS19において、流路制御部F3は、連結路13を通過する排ガス(G2又はG3)がCO
2分離装置30に送られることなく排気用接続路22を通じてマフラ20に送られるよう三方弁19を制御する。ステップS19の後、ステップS21に進む。
【0053】
ステップS20において、流路制御部F3は後段バイパス制御及び直接排出制御を実行する。即ちステップS20において、流路制御部F3は、前段浄化装置15からの排ガス(G2)が後段浄化装置17を通過することなくバイパス路13fを通過して連結路13gに向かうよう三方弁16及び18を制御する。更にステップS20において、流路制御部F3は、連結路13を通過する排ガス(従って連結路13gを通過する排ガス)がCO2分離装置30に送られることなく排気用接続路22を通じてマフラ20に送られるよう三方弁19を制御する。但し、ステップS20において、流路制御部F3は多段浄化制御及び直接排出制御を実行するようにしても良い。この場合、前段浄化装置15からの排ガス(G2)が後段浄化装置17を通過して連結路13gに向かった後、CO2分離装置30に送られることなく排気用接続路22を通じてマフラ20に送られる。ステップS20の後、ステップS21に進む。
【0054】
ステップS21において、演算処理部110は内燃機関11が停止したか否かをチェックする。内燃機関11の停止とは内燃機関11の作動が停止することを意味し、内燃機関11の停止により内燃機関11からの排ガスの送出が停止される。内燃機関11が停止した場合には(ステップS21のY)
図9の動作を終了する。内燃機関11が停止していない場合には(ステップS21のN)、ステップS13に戻って、上述の各処理が繰り返される。
【0055】
“C
DET1<C
TH1”、“T
DET<T
REF”及び“C
DET2<C
TH2”が成立する第1状況を考える。第1状況は、端的に言えば、排ガスが低温であって且つ排ガスの浄化が十分な状況である。第1状況では、ステップS15を経由してステップS18に至るため、多段浄化制御及び貯留制御が実行される。故に、第1状況では、
図10(a)に示す如く、内燃機関11からの排ガスが浄化装置15及び17を通過し、浄化装置15及び17を通過した後の排ガス(即ち排ガスG3)がCO
2分離装置30に供給される。
【0056】
第1状況では、検出温度TDETが比較的低いことから前段浄化装置15での特定物質の除去能力が比較的低くなる。このため、第1状況では、前段浄化装置15に加えて後段除荷装置17でも排ガスの浄化を行う。これにより、CO2分離装置30に劣化を与えない程度にまで排ガス中の特定物質の濃度が低減される。そして、第1状況では“CDET2<CTH2”が成立するため貯留制御を行う(ステップS18)。尚、CO2分離装置30の劣化とは主にCO2分離膜31の劣化を指す。
【0057】
“C
DET1<C
TH1”、“T
DET>T
REF”及び“C
DET2<C
TH2”が成立する第2状況を考える。第2状況は、端的に言えば、排ガスが高温であって且つ排ガスの浄化が十分な状況である。第2状況では、ステップS16を経由してステップS18に至るため、後段バイパス制御及び貯留制御が実行される。故に、第2状況では、
図10(b)に示す如く、内燃機関11からの排ガスが前段浄化装置15を通過するものの後段浄化装置17を迂回し、前段浄化装置15での浄化後の排ガス(即ち排ガスG2)がCO
2分離装置30に供給される。
【0058】
第2状況では、検出温度TDETが比較的高いことから前段浄化装置15での特定物質の除去能力が比較的高くなる。このため、第2状況では、排ガスの流路において後段除荷装置17を迂回させる。そして、第2状況では“CDET2<CTH2”が成立するため貯留制御を行う(ステップS18)。
【0059】
“C
DET1<C
TH1”、“T
DET<T
REF”及び“C
DET2>C
TH2”が成立する第3状況を考える。第3状況は、端的に言えば、排ガスが低温であって且つ排ガスの浄化が不十分な状況である。第3状況では、ステップS15を経由してステップS19に至るため、多段浄化制御及び直接排出制御が実行される。故に、第3状況では、
図10(c)に示す如く、内燃機関11からの排ガスが浄化装置15及び17を通過し、浄化装置15及び17を通過した後の排ガス(即ち排ガスG3)がCO
2分離装置30に供給されることなくマフラ20を通じて車外に排出される。
【0060】
第3状況では、検出温度TDETが比較的低いことから前段浄化装置15での特定物質の除去能力が比較的低くなる。このため、第3状況では、前段浄化装置15に加えて後段除荷装置17でも排ガスの浄化を行う。但し、第3状況では何らかの浄化不足要因により“CDET2>CTH2”が成立する。“CDET2>CTH2”を成立させる排ガスをCO2分離装置30に供給することは、CO2分離装置30の劣化抑制の観点から好ましくない。このため、第3状況では直接排出制御を行う(ステップS19)。第3状況での浄化不足要因として、内燃機関11が送出する排ガス中の特定物質の濃度が相当に高い、又は、前段浄化装置15若しくは後段浄化装置17の劣化が挙げられる。
【0061】
“C
DET1<C
TH1”、“T
DET>T
REF”及び“C
DET2>C
TH2”が成立する第4状況を考える。第4状況は、端的に言えば、排ガスが高温であって且つ排ガスの浄化が十分な状況である。第4状況では、ステップS16を経由してステップS19に至るため、後段バイパス制御及び直接排出制御が実行される。故に、第4状況では、
図10(d)に示す如く、内燃機関11からの排ガスが前段浄化装置15を通過するものの後段浄化装置17を迂回する。更に、第4状況では、前段浄化装置15での浄化後の排ガス(即ち排ガスG2)がCO
2分離装置30に供給されることなくマフラ20を通じて車外に排出される。
【0062】
第4状況では、検出温度TDETが比較的高いことから前段浄化装置15での特定物質の除去能力が比較的高くなる。このため、第4状況では、排ガスの流路において後段除荷装置17を迂回させる。但し、第4状況では何らかの浄化不足要因により“CDET2>CTH2”が成立する。“CDET2>CTH2”を成立させる排ガスをCO2分離装置30に供給することは、CO2分離装置30の劣化抑制の観点から好ましくない。このため、第4状況では直接排出制御を行う(ステップS19)。第4状況での浄化不足要因として、内燃機関11が送出する排ガス中の特定物質の濃度が相当に高い、又は、前段浄化装置15の劣化が挙げられる。
【0063】
“C
DET1>C
TH1”が成立する第5状況を考える。“C
DET1>C
TH1”が成立するとき、排ガスG1中の特定物質の濃度が高すぎることから、多段浄化制御を行ったとしても、CO
2分離装置30の劣化を進めない程度に特定物質を除去しづらい。このため、第5状況ではステップS20に進んで後段バイパス制御及び直接排出制御を行う(
図10(e)参照)。或いは、変形として、第5状況では多段浄化制御及び直接排出制御を行っても良い。少なくとも前段浄化装置15を通過させてから排ガスを車外に放出することで、最低限の浄化は行われる。
【0064】
内燃機関11の作動中において、車両1の状況は上述の第1~第5状況間で刻一刻と変化し得る。例えば、第1状況から第2状況に変化した場合には、実行される制御が多段浄化制御から後段バイパス制御に切り替えられる(この場合、貯留制御は継続実行される)。逆の場合も同様である。また例えば、例えば、第1状況から第3状況に変化した場合には、実行される制御が貯留制御から直接排出制御に切り替えられる(この場合、多段浄化制御は継続実行される)。逆の場合も同様である。
【0065】
本実施形態に係るCO2回収システムの動作、作用及び効果について説明を加える。流路制御部F3は、前段浄化装置15の通過前における排ガス(G1)の検出温度TDETを基準温度TREFと比較する。そして、“TDET<TREF”の成立時において、流路制御部F3は、内燃機関11からの排ガスを前段浄化装置15及び後段浄化装置17に通す多段浄化制御を行う。一方、“TDET>TREF”の成立時において、流路制御部F3は、内燃機関11からの排ガスを前段浄化装置15に通しつつ後段浄化装置17を迂回させる後段バイパス制御を行う。これにより、前段浄化装置15の除去能力が低くなる低温時においても、後段浄化装置17の利用を通じて排ガスの浄化が十分になると期待される。これは、CO2分離装置30の劣化抑制に繋がる。前段浄化装置15の除去能力が高くなる高温時には、後段バイパス制御が行われるので、後段浄化装置17に対し必要以上に排ガスが投入されることは無い。これは、後段浄化装置17の劣化抑制に繋がる。尚、上述したように、CO2分離装置30の劣化とは主にCO2分離膜31の劣化を指す。
【0066】
検出濃度C
DET1及びC
DET2が十分に低い前提の下、流路制御部F3は、多段浄化制御を行うとき、前段浄化装置15及び後段浄化装置17を通過した後の排ガスG3をCO
2分離装置30に導く制御を行う(
図10(a))。検出濃度C
DET1及びC
DET2が十分に低い前提の下、流路制御部F3は、後段バイパス制御を行うとき、前段浄化装置15の通過後であって且つ後段浄化装置17を迂回した排ガスG2をCO
2分離装置30に導く制御を行う(
図10(b))。これにより、CO
2分離装置30の劣化抑制と、後段浄化装置17の劣化抑制と、を両立させることができる。尚、排ガスをCO
2分離装置30に導く制御は、換言すれば、排ガスをCO
2分離装置30に供給する制御である。
【0067】
検出濃度C
DET1が十分に低い前提の下、流路制御部F3が多段浄化制御を行う第1ケースを考える。第1ケースにおいて“C
DET2<C
TH2”であれば、流路制御部F3は前段浄化装置15及び後段浄化装置17を通過した後の排ガスG3をCO
2分離装置30に導く制御を行う(
図10(a))。第1ケースにおいて“C
DET2>C
TH2”であれば、流路制御部F3は前段浄化装置15及び後段浄化装置17を通過した後の排ガスG3を車外に放出する制御を行う(
図10(c))。
検出濃度C
DET1が十分に低い前提の下、流路制御部F3が後段バイパス制御を行う第2ケースを考える。第2ケースにおいて“C
DET2<C
TH2”であれば、流路制御部F3は前段浄化装置15の通過後であって且つ後段浄化装置17を迂回した排ガスG2をCO
2分離装置30に導く制御を行う(
図10(b))。第2ケースにおいて“C
DET2>C
TH2”であれば、流路制御部F3は前段浄化装置15の通過後であって且つ後段浄化装置17を迂回した排ガスG2を車外に放出する制御を行う(
図10(d))。
検出濃度C
DET2に応じてCO
2分離装置30への排ガスの供給/非供給を切り替えるため、CO
2分離装置30の劣化を抑制することができる。加えて、検出温度T
DETに基づき後段浄化装置17が不要と判断される場合には後段浄化装置17がバイパスされるため、後段浄化装置17の劣化を抑制することができる。
【0068】
検出濃度CDET1が非常に高い場合にあっては、多段浄化制御を行ったとしてもCO2分離装置30に劣化を与えない程度にまで排ガス中の特定物質の濃度を低減し難い。これを考慮し、“CDET1>CTH1”の成立時には検出温度TDETと基準温度TREFとの高低関係に依らず、流路制御部F3は後段バイパス制御又は多段浄化制御と直接排出制御とを行う(ステップS20)。これにより、CO2分離装置30の劣化を抑制することができる。また、排ガスを車外に排出するにあたり、排ガスを選択還元型触媒装置を通すことを要請する規制等に対応することができる。
【0069】
高濃度のNOXはCO2分離装置30の劣化を促進させる。このため、濃度センサCS1、CS2での濃度検出に関わる特定物質にNOXを含める。これにより、CO2分離装置30の劣化を抑制することができる。
【0070】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態並びに後述の第3及び第4実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2~第4実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2~第4実施形態にも適用される。但し、第2実施形態の記載を解釈するにあたり、第1及び第2実施形態間で矛盾する事項については第2実施形態の記載が優先されて良い(後述の第3及び第4実施形態についても同様)。矛盾の無い限り、第1~第4実施形態の内、任意の複数の実施形態を組み合わせても良い。
【0071】
第1実施形態に係る
図9の動作フローチャートにおいて、以下の変形MD2a、MD2b又はMD2cを施すようにしても良い。
【0072】
変形MD2aでは、
図9の動作フローチャートにおいて、ステップS13及びS20の処理を削除する。
図11は変形MD2aに係るCO
2回収システムの動作フローチャートである。変形MD2aでは、ステップS12の後は直接ステップS14に進み、且つ、ステップS21にて内燃機関11が停止していない場合には(ステップS21のN)、ステップS14に戻る。変形MD2aでは、上流側の特定物質の濃度(C
DET1)に依らず、下流側の特定物質の濃度(C
DET2)だけを考慮して貯留制御及び直接排出制御を切り替え実行する(S18、S19)。この場合でも、適正にCO
2分離装置30の劣化を抑制できる。変形MD2aでは車両1において濃度センサCS1を省略可能である。
【0073】
変形MD2bでは、
図9の動作フローチャートにおいて、ステップS17及びS19の処理を削除する。
図12は変形MD2bに係るCO
2回収システムの動作フローチャートである。変形MD2bでは、ステップS15又はS16の後は常にステップS18に進む。変形MD2bでは、下流側の特定物質の濃度(C
DET2)に依らず、上流側の特定物質の濃度(C
DET1)だけを考慮して貯留制御及び直接排出制御を切り替え実行する(S18、S20)。上流側の特定物質の濃度(C
DET1)に基づけば、CO
2分離装置30に悪影響を及ぼさない程度に、多段浄化制御又は後段バイパス制御を通じて特定物質の濃度を低減できるかを予測可能である。このため、変形MD2bでも、適正にCO
2分離装置30の劣化を抑制できる。変形MD2bでは車両1において濃度センサCS2を省略可能である。
【0074】
変形MD2cでは、
図9の動作フローチャートにおいて、ステップS13及びS20の処理並びにステップS17及びS19の処理を削除する。
図13は変形MD2cに係るCO
2回収システムの動作フローチャートである。変形MD2cでは、ステップS12の後は直接ステップS14に進み、且つ、ステップS21にて内燃機関11が停止していない場合には(ステップS21のN)、ステップS14に戻る。加えて変形MD2cでは、ステップS15又はS16の後は常にステップS18に進む。変形MD2cでは特定物質の濃度に依らず、常時、貯留制御が行われる。多段浄化制御又は後段バイパス制御を通じてCO
2分離装置30に悪影響を及ぼさない程度に特定物質の濃度を常時低減できるケースにおいて、変形MD2cは特に有益である。変形MD2cでは車両1において濃度センサCS1及びCS2を省略可能である。
【0075】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。上述したように、前段浄化装置15は排ガスG1中の除去対象物質を除去する。そして、前段浄化装置15による除去対象物質の除去能力は検出温度TDETに応じて変動する。この際、前段浄化装置15において、検出温度TDETに応じ除去能力が変動する除去対象物質はNOX以外の物質であっても良い。例えば、前段浄化装置15の除去対象物質にSOXが含まれる場合、前段浄化装置15において検出温度TDETに応じ除去能力が変動する除去対象物質はSOXであっても良い。
【0076】
そうすると、上記の特定物質はSOXであっても良い。特定物質としてのSOXは、SO2及びSO3の内、全部又は一部を含む。SOXがSO2及びSO3を含むと解した場合、SOXの濃度はSO2及びSO3の各濃度の合算である。或いは、SOXの濃度とは、SO2又はSO3の濃度を指すと解しても良い。
【0077】
更に、上記の特定物質はNOX及びSOXを含んでいても良い。特定物質がNOX及びSOXを含む場合、検出濃度CDET1は連結路13b内の排ガスにおけるNOXの濃度と、連結路13b内の排ガスにおけるSOXの濃度と、の平均、合計又は最小値であって良い。特定物質がNOX及びSOXを含む場合、検出濃度CDET2は連結路13g内の排ガスにおけるNOXの濃度と、連結路13g内の排ガスにおけるSOXの濃度と、の平均、合計又は最小値であって良い。
【0078】
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態では、上述した各事項に対する変形技術又は補足事項等を説明する。
【0079】
CO2貯留装置40にて貯留されたCO2は、例えば、ガソリンスタンド又は車庫等に設置された回収機器(不図示)に対してCO2貯留装置40が接続されたときに、CO2貯留装置40から回収機器に放出される。或いは、CO2貯留装置40全体又はCO2貯留装置40内のカートリッジを車両1から取り外すことで、CO2貯留装置40に貯留されたCO2が車外に取り出されても良い。
【0080】
排ガスに関わる装置として、上述の各図面に示されない装置(以下、追加装置と称する)が車両1に設けられていても良い。追加装置として排ガス冷却装置が車両1に設置されて良い。排ガス冷却装置は、排ガスの流路においてCO2分離装置30の上流側に配置され、CO2分離装置30に流入する排ガスの温度を低下させる。排ガス冷却装置の設置により、熱によるCO2分離装置30の劣化(特にCO2分離膜31の劣化)を抑制することができる。追加装置としてエネルギ変換装置が車両1に設置されて良い。エネルギ変換装置は、排ガスが有する熱エネルギを他のエネルギ(電気エネルギ等)に変換する。変換により得られた他のエネルギ(電気エネルギ等)を車両1にて利用することができる。排ガスをエネルギ変換装置に通すことで排ガスの温度が低下する。このため、エネルギ変換装置は排ガス冷却装置の一種であるともいえる。排ガスの流路においてエネルギ変換装置をCO2分離装置30の上流側に配置し、CO2分離装置30に流入する排ガスの温度をエネルギ変換装置にて低下させて良い。
【0081】
図1に示す構造では貯留制御(
図4参照)が行われるとき、排ガスの一部はCO
2分離装置30を経由してからマフラ20に送られる。しかしながら、貯留制御が行われるとき、CO
2分離装置30に供給される前の排ガスを分離前マフラ(不図示)に供給し、分離前マフラの経由後の排ガスをCO
2分離装置30に供給する変形構成が採用されても良い。分離前マフラは、車両1に対しマフラ20とは別に設置されたマフラであって良い。当該変形構成では、CO
2分離装置30に流入する排ガスの温度を分離前マフラにより下げることができるため、熱によるCO
2分離膜31の劣化を抑制することができる。分離前マフラは上述の排ガス冷却装置の一種であると解しても良い。
【0082】
本実施形態に係るCO2回収システムは、少なくとも制御装置100、前段浄化装置15、後段浄化装置17、CO2分離装置30及びCO2貯留装置40を備えて構成される。但し、車両1に搭載されるものとして上述した任意の部品は、CO2回収システムの構成要素に含まれ得る。CO2回収システムを排ガス処理装置と読み替えても良い。制御装置100は排ガス処理用の制御装置として機能する又は排ガス処理用の制御装置を内包する。
【0083】
車両1は内燃機関11を用いて発生した駆動力にて移動する移動体の例である。本発明において、移動体は車両に分類されないもの(例えばロボット、ドローン)であっても良い。
【0084】
車両1は、本発明に係る排ガス処理用の制御装置及びCO2回収システムが適用される対象機器の例である。本発明に係る排ガス処理用の制御装置及びCO2回収システムを、車載用途とは異なる任意の用途に適用することも可能である。即ち、対象機器は車両に限定されず、本発明に係る排ガス処理用の制御装置及びCO2回収システムを任意の対象機器に適用及び搭載できる。また、上述の車両1に設けられる熱機関は内燃機関(11)であるが、対象機器に設けられる熱機関は内燃機関及び外燃機関の何れであっても良いし、内燃機関及び外燃機関の組み合わせであっても良い。熱機関の作動により熱機関からCO2を含む排ガスが送出される。
【0085】
具体的には、対象機器は化石燃料(石油又はガス等)を燃焼させる装置又は設備であっても良い。化石燃料を燃焼させる装置又は設備の例として、火力発電を行う装置又は設備、溶炉を備えた装置又は設備、コジェネレーションを行う装置又は設備、及び、暖房装置が挙げられる。閉鎖環境の換気システムに対して、本発明に係る排ガス処理用の制御装置及びCO2回収システムを適用及び搭載しても良い。閉鎖環境として、宇宙空間に形成された居住施設(宇宙ステーション等)、及び、深海に形成された居住施設が挙げられる。
【0086】
本発明の実施形態にて述べた任意の方法をコンピュータに実行させるプログラム、及び、そのプログラムを記録した記録媒体であって且つコンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体は、本発明の実施形態の範囲に含まれる。本発明の実施形態における任意の処理は、半導体集積回路等のハードウェア、上記プログラムに相当するソフトウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現されて良い。ここにおけるソフトウェア及びハードウェアは夫々に複数あっても良い。
【0087】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 車両
11 内燃機関
12 排気マニホールド
13、排気管
13a、13b、13c、13d、13e、13g 連結路
13f バイパス路
14 フィルタ装置
15 前段浄化装置
16、18、19 三方弁
17 後段浄化装置
20 マフラ
21 貯留用接続路
22 排気用接続路
30 CO2分離装置
31 CO2分離膜
32 入力空間
33 出力空間
36 分離ガス路
37 残ガス排出路
40 CO2貯留装置
100 制御装置
110 演算処理部
120 メモリ
130 インターフェース
F1 温度情報取得部
F2 濃度情報取得部
F3 流路制御部