(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064165
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電子情報記憶媒体、ICチップ、非接触型ICカード、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20240507BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G06K19/07 120
G06K19/07 090
G06K19/07 230
H04B1/59
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172551
(22)【出願日】2022-10-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】上村 義永
(57)【要約】
【課題】外部から供給される電力の電力レベルが変化した場合であっても、所定の応答期間内にレスポンスを送信することが可能な電子情報記憶媒体、ICチップ、非接触型ICカード、処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】非接触型ICカード1は、端末2のリーダライタ21が発した電磁波により誘起された電力の供給を受け、当該電力の電力レベルを検出し、当該電力が供給された際に実行する処理の内容を、当該検出された電力レベルに応じて変える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体であって、
前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、
前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、
前記電力が供給された際に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、
を備えることを特徴とする電子情報記憶媒体。
【請求項2】
前記処理手段は、前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変えることを特徴とする請求項1に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項3】
前記処理手段は、前記アンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行されなかった処理の内容を、前記アンチコリジョン処理が完了した後、前記外部装置から所定のコマンドを受信した際に実行することを特徴とする請求項2に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項4】
前記処理の内容は複数の処理項目から構成され、
前記電力が供給された際に前記電力レベルが閾値以上である場合に実行される前記処理項目の数は、前記電力が供給された際に前記電力レベルが閾値未満である場合に実行される前記処理項目の数より多いことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項5】
前記処理の内容は、自己診断処理及びスタートアップ処理を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項6】
外部装置との間で非接触通信を行うことが可能なICチップであって、
前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、
前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、
前記電力が供給された際に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、
を備えることを特徴とするICチップ。
【請求項7】
外部装置との間で非接触通信を行う非接触型ICカードであって、
前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、
前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、
前記電力が供給された際に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、
を備えることを特徴とする非接触型ICカード。
【請求項8】
外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体により実行される処理方法であって、
前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受けるステップと、
前記電力の電力レベルを検出するステップと、
前記電力が供給された際に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変えるステップと、
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項9】
外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体に含まれるコンピュータを、
前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、
前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、
前記電力が供給された際に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードの自己診断処理及びスタートアップ処理を効率的に実行する方法等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のIC(Integrated Circuit)カードは電力が供給されると、当該ICカードが故障していないかどうか自己診断処理を実行し、ICカードを動作可能にするためスタートアップ処理を実行する。これらの処理はICカードに電力供給(電源投入)後はプログラムを正常に処理させるために、ただちに完了する必要がある。このようなICカードには、ISO/IEC 7816規格準拠の接触型ICカードとISO/IEC 14443規格準拠の非接触型ICカードとがあるが、非接触型ICカードでは、電力が供給されると、例えば特許文献1に開示されるように、衝突を防止するためのアンチコリジョン処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ICカードは電力供給後にクロック生成回路によって内部クロックを生成し、その内部クロックに基づいてプログラムを実行する。このとき、接触型ICカードは接触端子から電力が供給されるため電力レベルが安定しており、安定した高速の内部クロックが生成される。一方で、非接触型ICカードはリーダライタからの搬送波(電磁波)を受けて、該非接触型ICカードのアンテナに流れる誘導電流により内部クロックが生成されるので、例えば、リーダライタとICカード間の距離に応じて電力レベルが変化し、高速の内部クロックが生成されることもあれば、低速の内部クロックが生成されることもある。ISO/IEC 14443規格(仕様)によれば、アンチコリジョン処理において、リーダライタからの搬送波出力が所定の条件で、リーダライタがREQA(Request Command TypeA)またはREQB(Request Command TypeB)コマンドを送信した場合、非接触型ICカードは所定の応答期間(例えば5ms)以内にATQA(Answer To Request TypeA)またはATQB(Answer To Request TypeB)レスポンスを送信する必要がある。しかしながら、低速の内部クロックが生成された場合において、非接触型ICカードが自己診断処理及びスタートアップ処理を全て実行すると所定の応答期間内にレスポンスを送信できない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題等に鑑みてなされたものであり、外部から供給される電力の電力レベルが変化した場合であっても、所定の応答期間内にレスポンスを送信することが可能な電子情報記憶媒体、ICチップ、非接触型ICカード、処理方法、及びプログラムを提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体であって、前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、前記電力が供給された際に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子情報記憶媒体において、前記処理手段は、前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子情報記憶媒体において、前記処理手段は、前記アンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行されなかった処理の内容を、前記アンチコリジョン処理が完了した後、前記外部装置から所定のコマンドを受信した際に実行することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子情報記憶媒体において、前記処理の内容は複数の処理項目から構成され、前記電力が供給された際に前記電力レベルが閾値以上である場合に実行される前記処理項目の数は、前記電力が供給された際に前記電力レベルが閾値未満である場合に実行される前記処理項目の数より多いことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子情報記憶媒体において、前記処理の内容は、自己診断処理及びスタートアップ処理を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、外部装置との間で非接触通信を行うことが可能なICチップであって、前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、前記電力が供給された際に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、外部装置との間で非接触通信を行う非接触型ICカードであって、前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、前記電力が供給された際に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体により実行される処理方法であって、前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受けるステップと、前記電力の電力レベルを検出するステップと、前記電力が供給された際に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変えるステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体に含まれるコンピュータを、前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、前記電力が供給された際に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外部から供給される電力の電力レベルが変化した場合であっても、所定の応答期間内にレスポンスを送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】非接触型ICカード1の概要構成例を示す図である。
【
図2】(A)は、ISO/IEC 14443に規定されたタイプAの場合のアンチコリジョン処理を含むシーケンス例を示す図であり、(B)は、ISO/IEC 14443に規定されたタイプBの場合のアンチコリジョン処理を含むシーケンス例を示す図である。
【
図3】自己診断処理及びスタートアップ処理の分類例を示す図である。
【
図4】電力レベルが閾値以上である場合における取引処理に係るシーケンス例を示す図である。
【
図5】電力レベルが閾値未満である場合における取引処理に係るシーケンス例を示す図である。
【
図6】電源投入された時に制御部18により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】SELECTコマンドが受信された時に制御部18により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】(A)は、初回NVM書き込み実行時に制御部18により実行される処理の一例を示すフローチャートであり、(B)は、初回暗号演算実行時に制御部18により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、通信システムで用いられる非接触型ICカードに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0018】
[1.非接触型ICカード1の構成及び機能]
先ず、
図1を参照して、本実施形態に係る非接触型ICカード1の構成及び機能について説明する。
図1は、非接触型ICカード1の概要構成例を示す図である。
図1に示すように、非接触型ICカード1は、端末2との間で非接触通信を行うことが可能になっている。非接触型ICカード1は、電子情報記憶媒体の一例であり、例えば、クレジットカードやキャッシュカードとして利用される。端末2は、例えば、リーダライタ21を備える決済端末であり、非接触型ICカード1との間で通信を行いつつ、例えば、EMV(登録商標)仕様に準じた取引(オフライン取引、またはオンライン取引)に係る処理を実行することが可能になっている。端末2には、図示しないがイシュアホストが接続される。イシュアホストは、イシュア(発行者)のホストコンピュータであり、非接触型ICカード1のホルダ(所有者)の個人情報を管理しており、オンライン取引に係る処理を実行することが可能になっている。
【0019】
図1に示すように、非接触型ICカード1は、アンテナ部11、電力(電源)供給部12、クロック生成部(クロック生成回路)13、変復調部(変復調回路)14、センサ部15、乱数生成部(乱数生成回路)16、暗号演算部(暗号演算回路)17、及び制御部18(コンピュータの一例)等を含んで構成される。なお、少なくとも、電力供給部12、クロック生成部13、及び制御部18は1つのICチップで構成されてもよい。
【0020】
アンテナ部11は、アンテナコイル(図示せず)を備え、端末2のリーダライタ21から発せられた搬送波(電磁波)を受信し、また、変復調部14から出力された変調信号を電磁波として発信する。これにより、非接触型ICカード1は、端末2との間で非接触通信を行うことができる。
【0021】
電力供給部12は、アンテナ部11で受信された搬送波により誘起された電力(誘導起電力)に係る誘導電流を整流及び平滑化して制御部18を含む各機能部へ電力を供給する。クロック生成部13は、アンテナ部11で受信された搬送波により誘起された電力に係る誘導電流から内部クロックを生成して制御部18を含む各機能部へ出力する。
【0022】
変復調部14は、アンテナ部11で受信された搬送波からデータを復調し制御部18へ出力する。また、変復調部14は、制御部18からのデータを変調し変調信号としてアンテナ部11へ出力する。センサ部15は、光センサ、電圧センサ、磁界強度センサなどを備え、非接触型ICカード1の異常(例えば、外部からの攻撃を含む)を検知し、検知したデータを制御部18へ出力する。
【0023】
乱数生成部16は、制御部18からの指令に応じて、乱数を生成し、生成した乱数を制御部18に出力する。暗号演算部17は、制御部18からの指令に応じて、データを暗号化し、暗号化されたデータを制御部18へ出力する。また、暗号演算部17は、制御部18からの指令に応じて、暗号化されたデータを復号し、復号されたデータを制御部18へ出力する。
【0024】
制御部18は、RAM(Random Access Memory)、NVM(Nonvolatile Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びCPU(Central Processing Unit)等を備える。ここで、NVMは、フラッシュメモリ、または、Electrically Erasable Programmable Read-Only Memoryなどの不揮発性メモリである。NVMまたはROMには、オペレーティングシステム、アプリケーション、及び本発明のプログラム等が記憶される。ここで、アプリケーションには、例えば、取引に係る処理を実行するためのアプリケーションが含まれる。
【0025】
また、NVMには、EMV(登録商標)仕様に準じた取引に係る処理に用いられる各種データが記憶される。各種データには、AIP(Application Interchange Profile)、AFL(Application File Locator)、イシュア公開鍵証明書、及びICC公開鍵証明書などが含まれる。AIPは、非接触型ICカード1がサポートするオフラインデータ認証などの機能を示す。AFLは、オフラインデータ認証などで用いられるアプリケーションデータの格納場所を示す。アプリケーションデータには、ホルダの氏名、ホルダの会員番号、イシュア公開鍵証明書、及びICC公開鍵証明書などが含まれる。
【0026】
制御部18は、本発明のプログラムにしたがって、本発明における受電手段、検出手段、及び処理手段として機能する。具体的には、制御部18は、上述したように搬送波(電磁波)により誘起された電力の供給を電力供給部12から受け、当該誘起された電力の電力レベルを検出し、当該電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンス(例えば、ATQAまたはATQB)を送信するまでの間に実行する処理の内容を、当該検出された電力レベルに応じて変えるように動作する。なお、電力レベルは、磁界強度センサにより検知された磁界強度であってもよいし、クロック生成部13により生成された内部クロックから算出されてもよい。
【0027】
図2(A)は、ISO/IEC 14443に規定されたタイプAの場合のアンチコリジョン処理を含むシーケンス例を示す図であり、
図2(B)は、ISO/IEC 14443に規定されたタイプBの場合のアンチコリジョン処理を含むシーケンス例を示す図である。
図2(A)及び
図2(B)の何れの場合も端末2のリーダライタ21が放射する動作磁界領域に非接触型ICカード1が進入することにより開始される。
【0028】
図2(A)の例では、非接触型ICカード1の制御部18は、端末2のリーダライタ21からのREQAコマンドをアンテナ部11及び変復調部14介して受信すると、電力レベルに応じた処理の内容を実行し、ATQAレスポンスを端末2のリーダライタ21へ送信する。その後、非接触型ICカード1の制御部18は、端末2のリーダライタ21からのANTICOLLISION(SELECT)コマンドをアンテナ部11及び変復調部14介して受信すると、SAK(Select Acknowledge, Type A)レスポンスを端末2のリーダライタ21へ送信する。
【0029】
一方、
図2(B)の例では、非接触型ICカード1の制御部18は、端末2のリーダライタ21からのREQBコマンドをアンテナ部11及び変復調部14介して受信すると、電力レベルに応じた処理の内容を実行し、ATQBレスポンスを端末2のリーダライタ21へ送信する。その後、非接触型ICカード1の制御部18は、端末2のリーダライタ21からのATTRIBコマンドをアンテナ部11及び変復調部14介して受信すると、ATA(Answer To ATTRIB)レスポンスを端末2のリーダライタ21へ送信する。
【0030】
ここで、処理の内容は、非接触型ICカード1の自己診断処理及びスタートアップ処理を含む。自己診断処理及びスタートアップ処理は、電力供給(電源投入)直後にすぐに実行することが必要な処理項目(以下、「必須の処理項目」という)と、上記機能部により提供される機能を使用する直前まで先延ばし可能な処理項目とに分類できる。
図3は、自己診断処理及びスタートアップ処理の分類例を示す図である。
図3に示すように、処理の内容は自己診断処理及びスタートアップ処理を含み、自己診断処理及びスタートアップ処理は、それぞれ、複数の処理項目から構成される。
【0031】
図3の例では、自己診断処理を構成する処理項目のうち、“RAM、NVMの故障確認”、“周辺回路の故障確認(通信、乱数生成)”、及び“センサ異常検知確認”は、必須の処理項目であるが、“周辺回路の故障確認(暗号演算)”は、先延ばし可能な処理項目である。ここで、“RAM、NVMの故障確認”では、RAM及びNVMに対して単位データの読み書きが実施されることでRAM及びNVMが故障していないことが確認される。“周辺回路の故障確認”では、周辺回路を動作させることで周辺回路が故障していないことが確認される。“周辺回路の故障確認(通信、乱数生成)”における周辺回路とは、変復調回路及び乱数生成回路を含む周辺回路を意味する。“周辺回路の故障確認(暗号演算)”における周辺回路とは、暗号演算回路を含む周辺回路を意味する。“センサ異常検知確認”では、センサ部15におけるセンサが異常を検知していないことが確認される。
【0032】
一方、スタートアップ処理を構成する処理項目のうち、“RAMの初期化”、“ライブラリ初期化(通信)”、及び“セキュリティ機能の有効化”は、必須の処理項目であるが、“ライブラリ初期化(NVM書き込み)”、“ライブラリ初期化(暗号演算)”、及び“パッチプログラムの確認”は、先延ばし可能な処理項目である。ここで、“RAMの初期化”では、例えば、RAMのメモリ領域における不定値が“00”(h)へ初期化される。“ライブラリ初期化”では、ライブラリを呼び出すことが可能な状態(オープンライブラリ)にセットされる。なお、ライブラリは、例えばベンダーから提供されたプログラムであり、通信用、NVM書き込み用、及び暗号演算用がある。“パッチプログラムの確認”では、パッチプログラム(例えば、修正プログラム)がNVMに保存されているかを確認し、保存されていればパッチプログラムをアプリケーションに適用するようにセットされる。例えば、アプリケーションにおける関数の呼出アドレスに関連付けてパッチプログラムの呼出アドレスが記憶される。
【0033】
例えば、電力が供給された際に電力レベルが閾値以上である場合に実行される処理項目の数は、電力が供給された際に電力レベルが閾値未満である場合に実行される処理項目の数より多くなる。制御部18は、アンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行されなかった処理の内容(つまり、先延ばし可能な処理項目)を、アンチコリジョン処理が完了した後、端末2のリーダライタ21から所定のコマンドを受信した際に実行することになる。ただし、先延ばしされた処理項目は、アプリケーションがその機能を実行する前までには実施しておく必要があるため、例えばクレジットカードのようにパフォーマンス要求がある場合、ISO/IEC 14443規格の要求を満たし、パフォーマンスの良い非接触型ICカード1とするために、可能な限りの処理項目を電力供給直後に実行できることが望ましい。
【0034】
図4は、電力レベルが閾値以上である場合における取引処理に係るシーケンス例を示す図である。
図5は、電力レベルが閾値未満である場合における取引処理に係るシーケンス例を示す図である。なお、
図4及び
図5に示す取引処理(つまり、コマンドとレスポンスのやり取り)については公知であるので詳しい説明を省略する。電力レベルが閾値以上である場合、
図4に示すように、電力供給直後(アンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間)に、
図3に示される全ての処理項目(つまり、必須の処理項目と先延ばし可能な処理項目との双方)について実行される。
【0035】
一方、電力レベルが閾値未満である場合、
図5に示すように、電力供給直後に、
図3に示される全ての処理項目のうちの必須の処理項目について実行される。そして、先延ばしされた処理項目のうち、“パッチプログラムの確認”は、
図5に示すように、非接触型ICカード1に取引に係る処理を実行するためのアプリケーションを選択させるためのSELECTコマンド(所定のコマンドの一例)が受信されたときに(SELECTコマンド実行前に)実行される。また、“ライブラリ初期化(NVM書き込み)”は、
図5に示すように、非接触型ICカード1からAIP及びAFLを取得するためのGPO(Get Processing Options)コマンド(所定のコマンドの一例)が受信されたときに(GPOコマンド実行前に)実行される。
【0036】
また、“周辺回路の故障確認(暗号演算)”及び“ライブラリ初期化(暗号演算)”は、
図5に示すように、非接触型ICカード1にリスクチェック及びアクション分析を実行させるための第1GENERATE ACコマンド(所定のコマンドの一例)が受信されたときに(第1GENERATE ACコマンド実行前に)実行される。なお、
図5において、PIN(暗証番号)を含むVERIFYコマンドに応じた処理で暗号演算が実施される場合、“周辺回路の故障確認(暗号演算)”及び“ライブラリ初期化(暗号演算)”は、VERIFYコマンド(所定のコマンドの一例)が受信されたときに(VERIFYコマンド実行前に)実行される。
【0037】
[2.非接触型ICカード1の動作]
次に、
図6~
図8を参照して、非接触型ICカード1の動作について説明する。
図6は、電源投入(POWER ON)された時に制御部18により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図7は、SELECTコマンドが受信された時に制御部18により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図8(A)は、初回NVM書き込み実行時に制御部18により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図8(B)は、初回暗号演算実行時に制御部18により実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の動作説明においては、一例として、電圧レベルを、“1”(電力レベルが低い範囲)、“2”(電力レベルが中程度の範囲)、“3”(電力レベルが高い範囲)の3段階に分けるものとする。
【0038】
先ず、
図6に示す処理は、電源投入(POWER ON)されることで開始される。
図6に示す処理が開始されると、制御部18は、アンチコリジョン処理において端末2のリーダライタ21から送信されたATQAまたはATQBコマンドを受信する(ステップS1)。次いで、制御部18は、端末2のリーダライタ21から発せられた搬送波(電磁波)により誘起された電力の電力レベルを検出する(ステップS2)。次いで、制御部18は、
図6に示すように、必須の処理項目を実行する(ステップS3)。次いで、制御部18は、ステップS2で検出された電力レベルが“3”であるか否かを判定する(ステップS4)。電力レベルが“3”であると判定された場合(ステップS4:YES)、処理はステップS5ヘ進む。一方、電力レベルが“3”でないと判定された場合(ステップS4:NO)、処理はステップS6ヘ進む。
【0039】
ステップS5では、制御部18は、先延ばし可能な処理項目を全て実行し、先延ばし可能な処理項目のそれぞれに対応するフラグ(パッチプログラム確認済フラグ、NVMライブラリ初期化済フラグ、暗号演算回路チェック済フラグ、暗号演算ライブラリ初期化済フラグ)を“true”(実行済)にセットし、処理をステップS7に進める。一方、ステップS6では、制御部18は、先延ばし可能な処理項目を実行せず、先延ばし可能な処理項目のそれぞれに対応するフラグを“false”(実行未)にセットし、処理をステップS7に進める。ステップS7では、制御部18は、ATQAまたはATQBレスポンスを端末2のリーダライタ21へ送信し、処理を終了する。
【0040】
次に、
図7に示す処理は、端末2のリーダライタ21からのSELECTコマンドが受信されることで開始される。
図7に示す処理が開始されると、制御部18は、パッチプログラム確認済フラグが“false”であるか否かを判定する(ステップS21)。パッチプログラム確認済フラグが“false”であると判定された場合(ステップS21:YES)、ステップS22へ進む。一方、パッチプログラム確認済フラグが“false”でないと判定された場合(ステップS21:NO)、ステップS23へ進む。
【0041】
ステップS22では、制御部18は、“パッチプログラムの確認”を実行し、パッチプログラム確認済フラグを“true”にセットし、ステップS23へ進む。ステップS23では、制御部18は、ステップS2で検出された電力レベルが“2”であるか否かを判定する。電力レベルが“2”であると判定された場合(ステップS23:YES)、処理はステップS24へ進む。一方、電力レベルが“2”でないと判定された場合(ステップS23:NO)、処理はステップS30へ進む。
【0042】
ステップS24では、制御部18は、NVMライブラリ初期化済フラグが“false”であるか否かを判定する。NVMライブラリ初期化済フラグが“false”であると判定された場合(ステップS24:YES)、ステップS25へ進む。一方、NVMライブラリ初期化済フラグが“false”でないと判定された場合(ステップS24:NO)、ステップS26へ進む。ステップS25では、制御部18は、“ライブラリ初期化(NVM書き込み)”を実行し、NVMライブラリ初期化済フラグを“true”にセットし、ステップS26へ進む。
【0043】
ステップS26では、制御部18は、暗号演算回路チェック済フラグが“false”であるか否かを判定する。暗号演算回路チェック済フラグが“false”であると判定された場合(ステップS26:YES)、ステップS27へ進む。一方、暗号演算回路チェック済フラグが“false”でないと判定された場合(ステップS26:NO)、ステップS28へ進む。ステップS27では、制御部18は、“周辺回路の故障確認(暗号演算)”を実行し、暗号演算回路チェック済フラグを“true”にセットし、ステップS28へ進む。
【0044】
ステップS28では、制御部18は、暗号演算ライブラリ初期化済フラグが“false”であるか否かを判定する。暗号演算ライブラリ初期化済フラグが“false”であると判定された場合(ステップS28:YES)、ステップS29へ進む。一方、暗号演算ライブラリ初期化済フラグが“false”でないと判定された場合(ステップS28:NO)、ステップS30へ進む。ステップS29では、制御部18は、“ライブラリ初期化(暗号演算)”を実行し、暗号演算ライブラリ初期化済フラグを“true”にセットし、ステップS30へ進む。ステップS30では、制御部18は、SELECTコマンドを実行することでアプリケーションを選択し、SELECTコマンドに対するレスポンスを端末2のリーダライタ21へ送信し、処理を終了する。
【0045】
次に、
図8(A)に示す処理は、NVMへの初回の(つまり、電源投入後の最初の)書き込みが行われる前に開始される。例えば、端末2のリーダライタ21からNVMの初回書き込みが発生する所定のコマンド(例えば、WRITEコマンド)が受信されることで
図8(A)に示す処理が開始される。
図8(A)に示す処理が開始されると、制御部18は、NVMライブラリ初期化済フラグが“false”であるか否かを判定する(ステップS41)。NVMライブラリ初期化済フラグが“false”であると判定された場合(ステップS41:YES)、ステップS42へ進む。
【0046】
一方、NVMライブラリ初期化済フラグが“false”でないと判定された場合(ステップS41:NO)、ステップS43へ進む。ステップS42では、制御部18は、“ライブラリ初期化(NVM書き込み)”を実行し、NVMライブラリ初期化済フラグを“true”にセットし、ステップS43へ進む。ステップS43では、制御部18は、NVM書き込み処理を実行し、処理を終了する。かかるNVM書き込み処理において、NVMへデータが書き込まれ、必要に応じて、レスポンスが端末2のリーダライタ21へ送信される。
【0047】
次に、
図8(B)に示す処理は、初回の暗号演算が行われる前に開始される。例えば、端末2のリーダライタ21から初回暗号演算が発生する所定のコマンド(例えば、VERIFYコマンドまたは第1GENERATE ACコマンド)が受信されることで
図8(B)に示す処理が開始される。
図8(B)に示す処理が開始されると、制御部18は、暗号演算回路チェック済フラグが“false”であるか否かを判定する(ステップS51)。暗号演算回路チェック済フラグが“false”であると判定された場合(ステップS51:YES)、ステップS52へ進む。一方、暗号演算回路チェック済フラグが“false”でないと判定された場合(ステップS51:NO)、ステップS53へ進む。ステップS52では、制御部18は、“周辺回路の故障確認(暗号演算)”を実行し、暗号演算回路チェック済フラグを“true”にセットし、ステップS53へ進む。
【0048】
ステップS53では、制御部18は、暗号演算ライブラリ初期化済フラグが“false”であるか否かを判定する。暗号演算ライブラリ初期化済フラグが“false”であると判定された場合(ステップS53:YES)、ステップS54へ進む。一方、暗号演算ライブラリ初期化済フラグが“false”でないと判定された場合(ステップS53:NO)、ステップS55へ進む。ステップS54では、制御部18は、“ライブラリ初期化(暗号演算)”を実行し、暗号演算ライブラリ初期化済フラグを“true”にセットし、ステップS55へ進む。ステップS55では、制御部18は、暗号演算処理を実行し、処理を終了する。かかる暗号演算処理において、暗号演算部17は、制御部18からの指令に応じて暗号化または復号するために暗号演算を行い、その結果を制御部18に返す。そして、制御部18は、必要に応じて、レスポンスを端末2のリーダライタ21へ送信する。
【0049】
以上説明したように、上記実施形態によれば、非接触型ICカード1は、端末2のリーダライタ21が発した電磁波により誘起された電力の供給を受け、当該電力の電力レベルを検出し、当該電力が供給された際に実行する処理の内容を、当該検出された電力レベルに応じて変えるように構成したので、例えば、リーダライタ21と非接触型ICカード1間の距離に応じて電力レベルが変化した場合であっても、アンチコリジョン処理においてレスポンス(例えば、ATQAまたはATQB)を所定の応答期間内に送信することができる。例えば、非接触型ICカード1に電力供給(電源投入)された際に、電力レベルが低い場合は最低限の自己診断処理及びスタートアップ処理が実行される一方、電力レベルが高くなるにつれて多くの自己診断処理及びスタートアップ処理が実行される。
【0050】
なお、本発明は、非接触型ICカードにおいて行われる様々な処理(例えば、認証処理等)に適用可能であり、
図4及び
図5に示すような取引処理に限定されるものではない。また、上記実施形態において、本発明の電子情報記憶媒体として、非接触型ICカード1を例にとって説明したが、本発明は、例えばスマートフォンなどのモバイルデバイスに搭載されたICチップに対しても適用可能である。かかるICチップは、ICチップ外に設けられたアンテナを介して外部装置との間で非接触通信を行うことができる。また、かかるICチップは、eUICC(Embedded Universal Integrated Circuit Card)としてモバイルデバイスから容易に取り外しや取り換えができないように組み込み基板上に搭載されてもよい。また、本発明は、非接触型ICカードの機能と接触型ICカードの機能とを有するハイブリッド型のICカードに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 非接触型ICカード
2 端末
11 アンテナ部
12 電力供給部
13 クロック生成部
14 変復調部
15 センサ
16 乱数生成部
17 暗号演算部
18 制御部
21 リーダライタ
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体であって、
前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、
前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、
前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、
を備えることを特徴とする電子情報記憶媒体。
【請求項2】
前記処理手段は、前記アンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行されなかった処理の内容を、前記アンチコリジョン処理が完了した後、前記外部装置から所定のコマンドを受信した際に実行することを特徴とする請求項1に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項3】
前記処理の内容は複数の処理項目から構成され、
前記電力が供給された際に前記電力レベルが閾値以上である場合に実行される前記処理項目の数は、前記電力が供給された際に前記電力レベルが閾値未満である場合に実行される前記処理項目の数より多いことを特徴とする請求項1または2に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項4】
前記処理の内容は、自己診断処理及びスタートアップ処理を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項5】
外部装置との間で非接触通信を行うことが可能なICチップであって、
前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、
前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、
前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理
手段と、
を備えることを特徴とするICチップ。
【請求項6】
外部装置との間で非接触通信を行う非接触型ICカードであって、
前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、
前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、
前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、
を備えることを特徴とする非接触型ICカード。
【請求項7】
外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体により実行される処理方法であって、
前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受けるステップと、
前記電力の電力レベルを検出するステップと、
前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変えるステップと、
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項8】
外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体に含まれるコンピュータを、
前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、
前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、
前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体であって、前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、を備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子情報記憶媒体において、前記処理手段は、前記アンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行されなかった処理の内容を、前記アンチコリジョン処理が完了した後、前記外部装置から所定のコマンドを受信した際に実行することを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電子情報記憶媒体において、前記処理の内容は複数の処理項目から構成され、前記電力が供給された際に前記電力レベルが閾値以上である場合に実行される前記処理項目の数は、前記電力が供給された際に前記電力レベルが閾値未満である場合に実行される前記処理項目の数より多いことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の電子情報記憶媒体において、前記処理の内容は、自己診断処理及びスタートアップ処理を含むことを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項5に記載の発明は、外部装置との間で非接触通信を行うことが可能なICチップであって、前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、を備えることを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項6に記載の発明は、外部装置との間で非接触通信を行う非接触型ICカードであって、前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段と、を備えることを特徴とする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項7に記載の発明は、外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体により実行される処理方法であって、前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受けるステップと、前記電力の電力レベルを検出するステップと、前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変えるステップと、を含むことを特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項8に記載の発明は、外部装置との間で非接触通信を行うことが可能な電子情報記憶媒体に含まれるコンピュータを、前記外部装置が発した電磁波により誘起された電力の供給を受ける受電手段と、前記電力の電力レベルを検出する検出手段と、前記電力が供給された後のアンチコリジョン処理においてレスポンスを送信するまでの間に実行する処理の内容を、前記電力レベルに応じて変える処理手段として機能させることを特徴とする。