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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006417
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】建具用部品及び建具
(51)【国際特許分類】
   E05B 15/02 20060101AFI20240110BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20240110BHJP
   E06B 3/16 20060101ALI20240110BHJP
   E06B 3/22 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E05B15/02 E
E06B3/46
E06B3/16
E06B3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107248
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 征生
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA02
2E014BA08
(57)【要約】
【課題】作業の煩雑化を招来することなく形材の中空部に容易に取り付けること。
【解決手段】ブラケット基部46aから側方に向けて取付板部46bが突出するように設けられ、取付板部46bの突出端部が外召し合わせ框23の側方開口23dから中空部23bに挿入された状態で中空部23bの窓孔23eから取付板部46bのネジ挿通孔46eを介して外召し合わせ框23にネジ部材Sを螺合することによりブラケット基部46aが外部に露出した状態で外召し合わせ框23に取り付けられるクレセント受け42であって、取付板部46bの突出端部には、外召し合わせ框23の長手に沿って延在し、外召し合わせ框23の側方開口23dから中空部23bに挿入可能となる係合部46cが設けられているとともに、取付板部46bのネジ挿通孔46eよりも下方となる部分には中空部23bの隙間を減少させるように突出部46dが設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品本体から側方に向けて取付板部が突出するように設けられ、前記取付板部の突出端部が形材の側方開口から中空部に挿入された状態で前記中空部の窓孔から前記取付板部のネジ挿通孔を介して前記形材にネジ部材を螺合することにより前記部品本体が外部に露出した状態で前記形材に取り付けられる建具用部品であって、
前記取付板部の突出端部には、前記形材の長手に沿って延在し、前記形材の側方開口から前記中空部に挿入可能となる係合部が設けられているとともに、前記取付板部のネジ挿通孔よりも下方となる部分には前記中空部の隙間を減少させるように突出部が設けられていることを特徴とする建具用部品。
【請求項2】
前記係合部は、前記取付板部から前記形材の上方に向けて突出されていることを特徴とする請求項1に記載の建具用部品。
【請求項3】
前記突出部は、前記取付板部において前記中空部に挿入される部分の下縁部を屈曲させることによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の建具用部品。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一つに記載の建具用部品が障子を構成する框の中空部に取り付けられていることを特徴とする建具。
【請求項5】
前記突出部は、前記中空部の隙間が前記ネジ部材における頭部の外径寸法よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の建具。
【請求項6】
前記建具用部品は、外障子の召し合わせとなる縦框に設けられたクレセント受けであり、前記部品本体には、内障子の召し合わせとなる縦框に設けられたクレセントの皿部材に係合するフック部材が設けられているとともに、前記内障子の召し合わせとなる縦框に設けられたピン部材に係合するアーム部材が支持されていることを特徴とする請求項4に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具用部品及び建具に関する。
【背景技術】
【0002】
障子の召し合わせとなる縦框にクレセント及びクレセント受けを設ける場合には、外観品質の向上を図るため、クレセント受けを縦框に取り付けるためのネジ部材を縦框の中空部に収容させるようにしたものがある。すなわち、クレセント受けの取付板部を縦枠の中空部に対して側方の開口から内部に挿入し、中空部の室内に臨む見付け面に設けられた窓孔から取付板部を介して縦框にネジ部材を螺合することによりクレセント受けを縦框に取り付けたものである。中空部の窓孔に対しては、例えばキャップを装着すれば、ネジ部材を覆い隠すことが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-229827号公報(図2図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、窓孔を介してネジ部材を螺合する場合には、ネジ部材の位置を保持することが困難となり、作業が煩雑化する事態を招来する懸念がある。例えば、ネジ部材を螺合する以前においてネジ挿通孔が脱落した場合には、縦枠の中空部に落下することになり、中空部からネジ部材を取り出すことが困難となるおそれがある。また、ネジ部材を螺合することに注力してクレセント受けから手を離した場合には、クレセント受けが落下してしまうおそれがある。特に、クレセント受けを交換する場合には、建具が枠体に取り付けられた状態で上述の作業を実施しなければならず、如何にして作業の容易化を図るかが重要な課題となる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、作業の煩雑化を招来することなく形材の中空部に容易に取り付けることのできる建具用部品及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具用部品は、部品本体から側方に向けて取付板部が突出するように設けられ、前記取付板部の突出端部が形材の側方開口から中空部に挿入された状態で前記中空部の窓孔から前記取付板部のネジ挿通孔を介して前記形材にネジ部材を螺合することにより前記部品本体が外部に露出した状態で前記形材に取り付けられる建具用部品であって、前記取付板部の突出端部には、前記形材の長手に沿って延在し、前記形材の側方開口から前記中空部に挿入可能となる係合部が設けられているとともに、前記取付板部のネジ挿通孔よりも下方となる部分には前記中空部の隙間を減少させるように突出部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、取付板部を形材の中空部に配置した場合に突出部によって中空部の隙間が減少されることになる。従って、ネジ部材が脱落した場合にも突出部よりも下方に落下する事態を防止することが可能となる。また、取付板部を形材の中空部に配置した状態で建具用部品から手を離したとしても、中空部に挿入された係合部が中空部の内壁に当接することで形材から脱落する事態を防止することができる。これらの結果、取付作業を煩雑化することなく中空部において建具用部品を取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である建具用部品を備えた建具を室内側から見た姿図である。
図2図1に示した建具において外召し合わせ框と内召し合わせ框との間に設けたクレセント錠及びスライド制限装置を示すもので、(a)は室内側から見た要部斜視図、(b)は室外側から見た要部斜視図である。
図3図1に示した建具において外召し合わせ框と内召し合わせ框との間に設けたクレセント錠及びスライド制限装置を示す要部横断面図である。
図4図1に示した建具において外召し合わせ框に設けたクレセント受けを室内側から見た要部拡大図である。
図5図1に示した建具において外召し合わせ框に設けたクレセント受けを室内側から見たもので、(a)は要部斜視図、(b)は一部を破断した要部斜視図である。
図6図1に示した建具に適用するクレセント受けを示すもので、(a)は室内側から見た斜視図、(b)は室外側から見た斜視図である。
図7図1に示した建具の外召し合わせ框を示すもので、(a)は分解横断面図、(b)は横断面図である。
図8図1に示した建具において外召し合わせ框を室内側から見たもので、(a)はクレセント受けが取り付けられた状態を一部破断して示す図、(b)はクレセント受けを側方開口から挿入している状態を一部破断して示す図、(c)はクレセント受けを外召し合わせ框に係止させた状態を一部破断して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具用部品及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1図4は、本発明の実施の形態である建具用部品を備えた建具を示すものである。ここで例示する建具は、枠体10に室外側の外障子20及び室内側の内障子30を左右方向に沿ってスライド可能に配設した引き違い窓である。枠体10は、左右の縦枠11,12、上枠13及び下枠14を四周組することによって構成したものである。外障子20は、長方形状を成す面材21の四周に左右の縦框22,23、上框24及び下框25を備えて構成したものであり、内障子30は、長方形状を成す面材31の四周に左右の縦框32,33、上框34及び下框35を備えて構成したものである。これら外障子20及び内障子30は、枠体10の開口を閉じた状態において、室内側から見て外障子20の右側に配置される縦框(以下、外召し合わせ框23(形材)という)と内障子30の左側に配置される縦框(以下、内召し合わせ框33という)とが互いに見込み方向に並設される大きさに構成してある。
【0011】
外召し合わせ框23及び内召し合わせ框33は、アルミニウム合金等の金属や樹脂によって成形した押し出し形材であり、それぞれ長手に沿った全長にわたる部分が一様の断面形状を有するように構成してある。図示の例では、それぞれ断面が長方形の中空状を成す框基部23a,33aを有して外召し合わせ框23及び内召し合わせ框33が構成してある。さらに外召し合わせ框23には、框基部23aの室内側に位置する部分に断面が長方形の中空部23bが設けてある。また、外召し合わせ框23及び内召し合わせ框33には、互いに見込み方向に並設された場合に相互に係合するように煙返し23c,33cが設けてある。
【0012】
図2からも明らかなように、この建具には、内召し合わせ框33と外召し合わせ框23との間に、クレセント錠40及びスライド制限装置50が設けてある。クレセント錠40は、外障子20及び内障子30が閉じた位置に配置された状態で施錠した場合に、これら外障子20及び内障子30の相対的なスライドを阻止することで枠体10の開口を閉塞した状態に維持するものである。スライド制限装置50は、クレセント錠40が解錠された状態において外障子20及び内障子30の相対的なスライド量を制限するためのものである。クレセント錠40は、内召し合わせ框33にクレセント41を設けるとともに、外召し合わせ框23にクレセント受け(建具用部品)42を設けることによって構成してある。同様に、スライド制限装置50は、内召し合わせ框33にピン部材51を設けるとともに、外召し合わせ框23にアーム部材52を設けることによって構成してある。
【0013】
クレセント41は、台座43に対して皿部材44が回転可能に配設されたもので、皿部材44の回転軸心が見付け方向に沿ってほぼ水平となる状態で台座43を介して内召し合わせ框33の内周側となる見込み面に取り付けてある。皿部材44には、これを回転操作するための操作ハンドル45が設けてある。ピン部材51は、クレセント41の台座43において下方となる部分に配設したもので、見込み方向に沿って移動可能となる状態で台座43に支持してある。図には明示していないが、ピン部材51において室外側に位置する先端部には、基端の軸部よりも太径の頭部が設けてある。このピン部材51は、台座43の室内に臨む部分に設けたキー孔53にキー部材(図示せず)を差し込んで操作することにより、台座43から室外に向けて突出した状態と、台座43に収納された状態とに移動することが可能である。
【0014】
クレセント受け42は、図5図8に示すように、ブラケット46の一端部にフック部材47を設けることによって構成したものである。ブラケット46は、上下方向に沿って延在するブラケット基部(部品本体)46aと、ブラケット基部46aの一側縁から側方に向けて延在した平板状を成す取付板部46bとを一体に成形したものである。取付板部46bの上下に沿った寸法は、ブラケット基部46aよりも小さい。フック部材47は、平板状を成す受けフック基板47aの一端部にフック部47bを設けたもので、フック基板47aを介してブラケット基部46aの他側縁部に固定してある。
【0015】
アーム部材52は、幅に比べて長さの大きな板状部材であり、見込み方向に沿った支承軸54を介してブラケット基部46aの下端部に回転可能に取り付けてある。アーム部材52には、ガイド孔55が設けてある。ガイド孔55は、アーム部材52の長手方向に沿って延在し、かつ両端が閉塞した溝状の切欠であり、ピン部材51の軸部を挿通可能、かつピン部材51の頭部を挿通不可とする幅に形成してある。ガイド孔55において支承軸54に近接する端部には、ピン部材51の頭部を挿通可能とする幅の広い挿入部55aが設けてある。このアーム部材52は、外力を加えていない場合、自重によってブラケット基部46aから垂下し、支承軸54から鉛直下方に沿って延在した状態となる。
【0016】
ブラケット46の取付板部46bには、係合部46c、突出部46d、ネジ挿通孔46eが設けてある。係合部46cは、取付板部46bの延在縁部において上方となる部分から上方に向けて突出したものである。この係合部46cは、外召し合わせ框23に設けた中空部23bの見込み方向に沿った内部寸法よりもわずかに短い幅となるように構成してあり、中空部23bに挿入することが可能である。係合部46cと取付板部46bとの入隅となる部分には、取付板部46bの幅を減少させるように切欠46fが形成してある。より具体的には、図8(b)に示すように、切欠46fから取付板部46bの延在縁部までの最大寸法d1が取付板部46bの幅d2とほぼ同じとなるように切欠46fが形成してある。
【0017】
突出部46dは、取付板部46bの延在縁部において下方となる部分を屈曲させることによって構成したものである。この突出部46dは、係合部46cと同様、中空部23bの見込み方向に沿った内部寸法よりもわずかに短い幅を有するように構成してある。突出部46dの取付板部46bからの突出寸法は、中空部23bの見込み方向に沿った内部寸法よりも短い長さとなるように構成してある。より具体的に説明すると、取付板部46bを中空部23bの見付け面に当接させた場合に、もう一方の見付け面との間の隙間が、後述するネジ部材Sの頭部S1の外径寸法よりも小さくなるように突出部46dが構成してある。なお、突出部46dを中空部23bに配置した場合には、突出部46dと中空部23bの見込み面との間の隙間も、後述するネジ部材Sの頭部S1の外径寸法よりも小さくなるように、突出部46dが構成してある。
【0018】
ネジ挿通孔46eは、後述するネジ部材Sの軸部S2を挿通可能、かつ頭部S1を挿通不可とする内径の貫通孔であり、取付板部46bにおいて係合部46cと突出部46dとの間に位置する部分に上下に2つ並設してある。
【0019】
上記の構成を有するクレセント受け42は、外召し合わせ框23の中空部23bに取付板部46bを挿入し、かつフック部材47及びアーム部材52が中空部23bの外部に露出した状態で外召し合わせ框23に取り付けられることになる。すなわち、外召し合わせ框23には、中空部23bにおいて内周側となる部分に側方開口23dが設けてあるとともに、室内に臨む部分に窓孔23eが設けてある。
【0020】
側方開口23dは、内召し合わせ框33に取り付けたクレセント41に対応する高さ位置に設けたもので、上下に沿った寸法がブラケット46の取付板部46bを挿入可能、かつ係合部46cから突出部46dまでの幅寸法よりも小さくなるように構成してある。側方開口23dの幅は、取付板部46bから突出部46dまでの寸法よりも大きく構成してある。この側方開口23dに対しては、図8(b)に示すように、クレセント受け42を傾斜させることで先に係合部46cを挿入することができる。その後、この状態から側方開口23dの上縁を切欠46fに挿入した状態で、側方開口23dの上縁を中心としてクレセント受け42を図中において左回りに回転させれば、突出部46dを中空部23bに挿入することができる。
【0021】
窓孔23eは、上下に沿った長孔状を成すものである。本実施の形態では、側方開口23dから中空部23bに挿入したブラケット46の取付板部46bを所望の位置に配置した場合に、取付板部46bに設けた2つのネジ挿通孔46eを同時に外部に露出させることのできるように窓孔23eが形成してある。従って、中空部23bに対して側方開口23dから取付板部46bを内部に挿入すれば、窓孔23eから取付板部46bのネジ挿通孔46eを介して外召し合わせ框23にネジ部材Sを螺合することができ、フック部材47及びアーム部材52が中空部23bの外部に露出した状態でクレセント受け42を外召し合わせ框23に取り付けることが可能となる。
【0022】
ここで、上述のクレセント受け42では、側方開口23dの上下に沿った寸法が、取付板部46bにおいて係合部46cから突出部46dまでの寸法よりも小さく構成してあるため、取付板部46bを中空部23bに挿入した状態において係合部46cが側方開口23dよりも上方となる部分に挿入された状態となっている。従って、クレセント受け42から手を離したとしても、図8(c)に示すように、取付板部46bが側方開口23dの下縁に当接した状態で係合部46cが中空部23bにおいて内周側となる見込み面に当接する。このため、下方に脱落することなくクレセント受け42を外召し合わせ框23に係止した状態に維持することができる。しかも、突出部46dが中空部23bに挿入された状態においては、中空部23bと突出部46dとの間の隙間がネジ部材Sの頭部S1の外径寸法よりも小さくなる。従って、窓孔23eからネジ部材Sを螺合する際に、仮にネジ部材Sが脱落したとしても、突出部46dにおいてネジ部材Sが受け止められることになり、中空部23bの下端まで落下することがない。これにより、ネジ部材Sを取り出して直ちに螺合作業を再開することが可能となり、クレセント受け42の取付作業が容易となる。
【0023】
また、上述のスライド制限装置50を備えたクレセント錠40を、既設された引き違い窓のクレセント錠と交換する場合には、既設クレセント錠を取り外す際にネジ部材Sが中空部23bに落下するおそれがある。従って、既設クレセント錠のネジ部材Sを弛緩させる際には、上述した新たなクレセント受け42の係合部46cを窓孔23eから中空部23bに挿入した状態で行えば、中空部23bにネジ部材Sが落下する事態を防止することが可能となる。
【0024】
上記のようにして取り付けたクレセント受け42は、障子20,30が閉じた状態でクレセント41を操作することで、フック部材47のフック部47bに皿部材44が係合し、クレセント錠40が施錠状態となる。これにより、外障子20及び内障子30の相対的なスライドを阻止することで枠体10の開口を閉塞した状態に維持することができる。
【0025】
一方、クレセント錠40が解錠された状態においてキー孔53にキー部材(図示せず)を差し込んで操作し、ピン部材51を突出させると、アーム部材52に設けたガイド孔55の挿入部55aにピン部材51の頭部が貫通することになる。従って、この状態から外障子20及び内障子30を相対移動させると、アーム部材52が適宜回転した状態でピン部材51がガイド孔55の端部においてアーム部材52に当接する。この結果、外障子20及び内障子30の以降の相対的なスライドが制限され、例えば人の出入りができない状態で室内の換気を行うことが可能となる。
【0026】
なお、上述した実施の形態では、外障子20の外召し合わせ框23に取り付けられるクレセント受け42を例示しているが、形材の中空部に取付板部を挿入した状態で窓孔からネジ部材を螺合することにより取り付けられる建具用の部品であれば、その他のものであっても良い。また、取付板部46bに形成したネジ挿通孔46eは、取付板部46bの延在方向に沿って長孔状に構成すれば、形材に対してクレセント受け42の取付位置を調整することが可能となり、例えば、見付け方向の寸法が異なる形材に対してクレセント受け42の共用化を図ることも可能である。
【0027】
さらに、上述した実施の形態では、取付板部46bに対して突出部46dを一体に設けるようにしているが、別に構成した部材を取付板部46bに取り付けて突出部を構成しても良い。また、取付板部46bから上方に突出するように係合部46cを設けているが、取付板部46bから下方に向けて係合部を突出させても同様の作用効果を奏することが可能である。
【0028】
以上のように、本発明に係る建具用部品は、部品本体から側方に向けて取付板部が突出するように設けられ、前記取付板部の突出端部が形材の側方開口から中空部に挿入された状態で前記中空部の窓孔から前記取付板部のネジ挿通孔を介して前記形材にネジ部材を螺合することにより前記部品本体が外部に露出した状態で前記形材に取り付けられる建具用部品であって、前記取付板部の突出端部には、前記形材の長手に沿って延在し、前記形材の側方開口から前記中空部に挿入可能となる係合部が設けられているとともに、前記取付板部のネジ挿通孔よりも下方となる部分には前記中空部の隙間を減少させるように突出部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、取付板部を形材の中空部に配置した場合に突出部によって中空部の隙間が減少されることになる。従って、ネジ部材が脱落した場合にも突出部よりも下方に落下する事態を防止することが可能となる。また、取付板部を形材の中空部に配置した状態で建具用部品から手を離したとしても、中空部に挿入された係合部が中空部の内壁に当接することで形材から脱落する事態を防止することができる。これらの結果、取付作業を煩雑化することなく中空部において建具用部品を取り付けることが可能となる。
【0029】
また本発明は、上述した建具用部品において、前記係合部は、前記取付板部から前記形材の上方に向けて突出されていることを特徴としている。
この発明によれば、係合部を中空部において側方開口よりも上方となる部分に当接させることで建具用部品が形材からの脱落するのを防止することができる。
【0030】
また本発明は、上述した建具用部品において、前記突出部は、前記取付板部において前記中空部に挿入される部分の下縁部を屈曲させることによって構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、取付板部と突出部とが一体であるため、別に突出部を用意する必要がない。
【0031】
また本発明に係る建具は、上述した建具用部品が障子を構成する框の中空部に取り付けられていることを特徴としている。
この発明によれば、取付板部を形材の中空部に配置した場合に突出部によって中空部の隙間が減少されることになる。従って、ネジ部材が脱落した場合にも突出部よりも下方に落下する事態を防止することが可能となる。また、取付板部を形材の中空部に配置した状態で建具用部品から手を離したとしても、中空部に挿入された係合部が中空部の内壁に当接することで形材から脱落する事態を防止することができる。これらの結果、取付作業を煩雑化することなく中空部において建具用部品を取り付けることが可能となる。
【0032】
また本発明は、上述した建具において、前記突出部は、前記中空部の隙間が前記ネジ部材における頭部の外径寸法よりも小さくなるように構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、突出部によって中空部の隙間がネジ部材における頭部の外径寸法よりも小さくなるため、ネジ部材が脱落した場合にも突出部よりも下方に落下する事態を確実に防止することが可能となる。
【0033】
また本発明は、上述した建具において、前記建具用部品は、外障子の召し合わせとなる縦框に設けられたクレセント受けであり、前記部品本体には、内障子の召し合わせとなる縦框に設けられたクレセントの皿部材に係合するフック部材が設けられているとともに、前記内障子の召し合わせとなる縦框に設けられたピン部材に係合するアーム部材が支持されていることを特徴としている。
この発明によれば、ネジ部材が外部に露出しない状態で、外障子の召し合わせとなる縦框に中空部を介してクレセント受けを取り付けることが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
23 外召し合わせ框、23b 中空部、23d 側方開口、23e 窓孔、40 クレセント錠、41 クレセント、42 クレセント受け、44 皿部材、46 ブラケット、46a ブラケット基部、46b 取付板部、46c 係合部、46d 突出部、46e ネジ挿通孔、46f 切欠、47 フック部材、52 アーム部材、 ネジ部材、S1 頭部、S2 軸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8