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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064181
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】屋上配管ボックス
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20240507BHJP
   E04F 17/08 20060101ALI20240507BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20240507BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
F16L1/00 A
E04F17/08 Z
F16L5/00 N
F16L57/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172586
(22)【出願日】2022-10-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】592119890
【氏名又は名称】岩谷テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】蔵前 一貴
(57)【要約】
【課題】取り扱い易く、設置が容易で、メンテナンス性に優れる屋上配管ボックスを提供すること。
【解決手段】上部および下部が開口されたベースユニットと、前記ベースユニットの上に載置され、上面が閉塞されるとともに下面に開口を有するアッパーユニットと、を備える屋上配管ボックスである。前記アッパーユニットは、前記ベースユニットに対して固定される第1部材と、前記第1部材に対して固定される第2部材と、を含む。前記第1部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する第1側壁を含む。前記第2部材は、前記アッパーユニットの前記側壁を構成する第2側壁と、前記アッパーユニットの上面の少なくとも一部を構成する蓋部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部および下部が開口されたベースユニットと、
前記ベースユニットの上に載置され、上面が閉塞されるとともに下面に開口を有するアッパーユニットと、
を備え、
前記アッパーユニットは、
前記ベースユニットに対して固定される第1部材と、
前記第1部材に対して固定される第2部材と、
を含み、
前記第1部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する第1側壁を含み、
前記第2部材は、前記アッパーユニットの前記側壁を構成する第2側壁と、前記アッパーユニットの上面の少なくとも一部を構成する蓋部と、を含む、
屋上配管ボックス。
【請求項2】
前記アッパーユニットの全体がFRPで構成されている、
請求項1に記載の屋上配管ボックス。
【請求項3】
前記アッパーユニットにおいて、
前記第1部材と前記第2部材との組み合わせ部は、水平方向に対して斜めに延びる斜行部を含む、
請求項1または請求項2に記載の屋上配管ボックス。
【請求項4】
前記ベースユニットの側壁は、互いに対向する2組の主側壁と、隣り合う前記主側壁の間を接続する隅壁と、を含み、
前記主側壁と前記隅壁とがなす内角の角度は、90°よりも大きく180°未満である、
請求項1または請求項2に記載の屋上配管ボックス。
【請求項5】
前記ベースユニットは、前記側壁の上端に、前記側壁に対して外側に突出するフランジ部を有する、
請求項4に記載の屋上配管ボックス。
【請求項6】
前記ベースユニットは、
前記側壁の上端に、前記側壁に対して直角に延び、中央部に開口が形成された上壁を有し、
前記上壁は、前記開口の周縁に、前記上壁に対して上方に延びる立ち上がり部を有する、
請求項4に記載の屋上配管ボックス。
【請求項7】
前記アッパーユニットは、前記アッパーユニットの下部に備えられたスカートを含み、
前記スカートは、
前記ベースユニットの側壁よりも外方に突出するとともに、前記ベースユニットの上部を覆うように垂下する部分を有する、
請求項1または請求項2に記載の屋上配管ボックス。
【請求項8】
前記アッパーユニットにおいて、
前記第1部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する前記第1側壁の上端から外方に突出する第1縁部を有し、
前記第2部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する前記第2側壁の下端から外方に突出する第2縁部を有し、
前記第1縁部および前記第2縁部のそれぞれに孔が設けられ、
前記第1縁部と前記第2縁部とが組み合わされた状態で、前記孔に挿通されるボルトが締結されることによって、前記第1部材と前記第2部材とが互いに固定される、
請求項1または請求項2に記載の屋上配管ボックス。
【請求項9】
前記ベースユニットと前記アッパーユニットとを分離した状態で、
前記アッパーユニットの内部に前記ベースユニットの全体を収容可能である、
請求項1または請求項2に記載の屋上配管ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、屋上配管ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
マンションやビル等の大規模建築において、配管や電線類が建屋内から屋上スラブを貫通し、屋上に取り出されることがある。このとき、貫通部や配管の保護や防水のために、貫通部を覆うように箱型の構造物が設置されることが知られている。一般的にハト小屋と称される構造物である。ハト小屋、すなわち屋上配管ボックスは、屋上スラブ打設に引き続いて、コンクリートで造設されることがある。また、あらかじめユニット化されたユニットタイプの屋上配管ボックスも知られている。ユニットタイプの屋上配管ボックスについて、例えば以下の提案がされている。
【0003】
特許文献1は、箱状のベースと、ベースの上方に配置されるアッパーと、アッパーの上部開口を閉鎖する蓋部材と、を備える屋上配管ボックスを開示している。特許文献1は、アッパーの底板がベースの上部の周囲に張り出した鍔部を構成することを開示している。当該鍔部には複数の取り出し孔が設けられる。また、取り出し孔を使用しない場合には、取り出し孔をキャップで封止することが記載されている。
【0004】
特許文献2は、下部ユニットと、中間ユニットと、中間ユニットとの上部開口を塞ぐ上部ユニットと、を備える屋上配管ボックスを開示している。特許文献2の屋上配管ボックスの下部ユニットは、側壁の下端から外方に突出するフランジ部が設けられず、側壁の下端から内方に延びる脚部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-78746号公報
【特許文献2】特開2018-87444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユニットタイプの屋上配管ボックスは、取り扱い易く、設置が容易で、メンテナンス性に優れることが望まれる。このため、本開示の目的は、取り扱い易く、設置が容易で、メンテナンス性に優れる屋上配管ボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる屋上配管ボックスは、上部および下部が開口されたベースユニットと、前記ベースユニットの上に載置される、上面が閉塞されるとともに下面に開口を有するアッパーユニットと、を備える。前記アッパーユニットは、前記ベースユニットに対して固定される第1部材と、前記第1部材に対して固定される第2部材と、を含む。前記第1部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する第1側壁を含む。前記第2部材は、前記アッパーユニットの前記側壁を構成する第2側壁と、前記アッパーユニットの上面の少なくとも一部を構成する蓋部と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、取り扱い易く、設置が容易で、メンテナンス性に優れる屋上配管ボックスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる屋上配管ボックスの斜視図である。
図2図1に示す屋上配管ボックスの断面斜視図である。
図3図1に示す屋上配管ボックスから一部の部材を取り外した状態の断面斜視図である。
図4図1に示す屋上配管ボックスのアッパーユニットの側面図である。
図5図1に示す屋上配管ボックスを一部分解し、収納する状態を示す模式図である。
図6図1に示す屋上配管ボックスの一部を拡大して示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
まず、本開示にかかる屋上配管ボックスの実施形態の概要を列挙して説明する。
本開示にかかる屋上配管ボックスは、上部および下部が開口されたベースユニットと、前記ベースユニットの上に載置され、上面が閉塞されるとともに下面に開口を有するアッパーユニットと、を備える。前記アッパーユニットは、前記ベースユニットに対して固定される第1部材と、前記第1部材に対して固定される第2部材と、を含む。前記第1部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する第1側壁を含む。前記第2部材は、前記アッパーユニットの前記側壁を構成する第2側壁と、前記アッパーユニットの上面の少なくとも一部を構成する蓋部と、を含む。
【0011】
従来、ユニットタイプのハト小屋が知られている。建築工事においてユニットタイプのハト小屋を用いる場合、コンクリート打設によってハト小屋を建造する場合に比べて、工期を短縮できるメリットがある。また、ユニットタイプのハト小屋であって、コンクリートからなるハト小屋と比較して軽量であるものも知られている。しかしながら、さらなる軽量化に対するニーズは継続している。
【0012】
また、ユニットタイプのハト小屋として、屋上スラブに固定されるベースユニットと、ベースユニットの上部に載置されるアッパーユニットとから構成される2段構造であるものが知られている(例えば特許文献1,2)。さらに、アッパーユニットの上面が取り外し可能な蓋で閉塞されており、必要に応じて蓋を取り外してハト小屋に収容される配管等のメンテナンスを実施できるものが知られている。しかしながら、配管等のメンテナンスがさらに容易であるとともに、ハト小屋設置時における位置決めや配管の取り付けもより容易にできることが望ましい。
【0013】
このような背景の下、取り扱い易く、設置が容易で、メンテナンス性に優れる屋上配管ボックスの構成が検討された。そして、ベースユニットとアッパーユニットの2段構造とし、さらに、アッパーユニットの側壁を2つの部材で構成されるものとすることが想到された。本開示にかかる屋上配管ボックス(ハト小屋)は、アッパーユニットが、ベースユニットに対して固定される第1部材と、第1部材に対して固定される第2部材と、を含む。また、第1部材は、アッパーユニットの側壁を構成する第1側壁を含み、第2部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する第2側壁を含む。つまり、アッパーユニットの側壁が、第1部材と、第1部材に対して固定される第2部材とから構成される。また、第2部材はアッパーユニットの上面の少なくとも一部を構成する蓋部を含む。この構成によれば、第1部材から第2部材を取り外すと、アッパーユニットの上面および側面の一部が取り外されることとなる。このため、屋上配管ボックスの内部に容易にアクセスできる。このことから、ボックス内部に収容される配管の設置およびメンテナンスが容易である。ボックスを設置する際にも、ベースユニットとアッパーユニットの固定が容易にできる。また、アッパーユニットの重量の多くを占める側壁を分割する構成とすることによって、各部材の軽量化が実現され、取り扱い性にも優れる。
【0014】
前記アッパーユニットの全体がFRP(繊維強化プラスチック)で構成されていてもよい。側壁を含めてアッパーユニットの全体をFRPで構成することによって、アッパーユニットの一部がコンクリートや鋼板で構成されるものと比較して、アッパーユニットの重量を大幅に軽減できる。また、前述のとおり、本開示にかかる屋上配管ボックスは、アッパーユニットの側壁が2つの部材から構成される。このためアッパーユニットを作製する際に筒状の側壁部材を準備する必要がなく、FRP成形が容易である。
【0015】
前記アッパーユニットにおいて、前記第1部材と前記第2部材との組み合わせ部は、水平方向に対して斜めに延びる斜行部を含んでよい。組み合わせ部を斜行部とすることによって、側壁の組み合わせ部分に垂直部分を設ける必要がなくなるため、組み合わせ部からの水分の侵入を防止する効果が高い。また、第2部材を取り外した場合の開口部を大きく確保することが可能になる。このため、第2部材を取り外した状態でのボックス内部へのアクセスがより容易となり、メンテナンス性に優れる。さらに、シンプルな形状の部材によって側壁が分割されたアッパーユニットを構成することが可能となり、取り扱い性および設置の容易さがより向上する。
【0016】
本開示にかかる屋上配管ボックスにおいて、前記ベースユニットの側壁は、互いに対向する2組の主側壁と、隣り合う前記主側壁の間を接続する隅壁と、を含んでよい。前記主側壁と前記隅壁がなす内角の角度は、90°よりも大きく180°未満であってよい。この構成によれば、ベースユニットの側壁の外周面に直角ないし鋭角の角を作ることなくベースユニットを構成できる。この構成によれば、ベースユニットの外周面に防水処理を実施する場合、防水シートの施工がしやすく、防水シートとベースユニットとの間を確実に接着させて防水性を確実なものとできる。
【0017】
前記ベースユニットは、前記側壁の上端に、前記側壁に対して外側に突出するフランジ部を有してもよい。ベースユニットの側壁の上端にフランジ部を設けることで、ベースユニットの側壁に貼付される防水シートの上端の処理が容易かつ確実にできる。このため、防水効果の向上、長寿命化が図られる。
【0018】
前記ベースユニットは、前記側壁の上端に、前記側壁に対して直角に延び、中央部に開口が形成された上壁を有し、前記上壁は、前記開口の周縁に、前記上壁に対して上方に延びる立ち上がり部を有してもよい。この構成によれば、アッパーユニットからボックス内部に水分が侵入した場合でも、アッパーユニットからベースユニットに水分が移動することを防止できる。このため、屋上配管ボックスの内部に位置するスラブ面に水分の影響が及ぶ可能性を低減し、より防水性と防水効果の耐久性を向上させることができる。
【0019】
前記アッパーユニットは、前記アッパーユニットの下部に備えられたスカートを含んでよい。前記スカートは、前記ベースユニットの側壁よりも外方に突出するとともに、前記ベースユニットの上部を覆うように垂下する部分を有してよい。アッパーユニットの下部にスカートを備えることで、防水処理の長寿命化、より確実な防水性が得られる。
【0020】
前記アッパーユニットにおいて、前記第1部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する前記第1側壁の上端から外方に突出する第1縁部を有してよい。前記第2部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する前記第2側壁の下端から外方に突出する第2縁部を有してよい。前記第1縁部および前記第2縁部のそれぞれに孔が設けられてよい。前記第1縁部と前記第2縁部とが組み合わされた状態で、前記孔に挿通されるボルトが締結されることによって、前記第1部材と前記第2部材とが互いに固定されてよい。この構成によって、側壁面に孔を設けることなく第1部材と第2部材とを互いに固定し、第1部材と第2部材との組み合わせ部からボックス内部に水分が侵入することを確実に防止できる。また、第1部材と第2部材との固定および取り外しが容易になり、設置が容易でメンテナンス性にも優れた屋上配管ボックスとなる。
【0021】
[実施形態の具体例]
次に、本開示にかかる屋上配管ボックスの具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0022】
本開示にかかる屋上配管ボックスの実施形態の一例である屋上配管ボックス1の構成を、図1図6に基づいて説明する。なお、いずれの図面も模式図であり、ボルトやビス等の構成を一部省略している。図1は、実施の形態1にかかる屋上配管ボックス1の斜視図である。
【0023】
図1を参照して、屋上配管ボックス1は、ベースユニット11と、ベースユニット11の上に載置されるアッパーユニット81とを備える。ベースユニット11は、側壁12と、側壁12の下端に備えられる脚部13と、を含む。アッパーユニット81は、ベースユニット11に対して固定される第1部材21と、第1部材21に対して固定される第2部材51と、を含む。なお、本明細書では、説明のために、図1に示す屋上配管ボックス1におけるアッパーユニット側(図1において、高さ方向を示す矢印Hの+側)を「上」、屋上配管ボックス1の脚部13の側(図1において、高さ方向を示す矢印Hの-側)を「下」と称する。
【0024】
屋上配管ボックス1は、ビルやマンション等の建築物の屋上に設置される。具体的には、脚部13が屋上の床面上に固定されるか、もしくはベースユニット11の下部が屋上スラブに埋設されることによって、建築物に対して屋上配管ボックス1が固定される。屋上配管ボックス1は、脚部13が水平となるように設置されることが好ましい。
【0025】
(ベースユニットの概要)
図1を参照して、ベースユニット11の側壁12は、脚部13に対して垂直に立ち上がる。側壁12は、開口部を有さない、筒状の壁である。側壁12の高さ方向に垂直な断面は、角が切り取られた矩形である。言い換えると、側壁12の高さ方向に垂直な断面は、相対的に長い4つの長辺と、隣り合う長辺の間を接続する相対的に短い4つの短辺とからなる、不等辺の8角形である。側壁12は、4面の主側壁12Aと、主側壁12Aの間を接続する隅壁12Bと、を含む。主側壁12Aは互いに対向する2組の壁面を含む。なお、図1に示す例では、4面の主側壁12Aは互いに同じ寸法を有し、角のない正方形を構成するが、この形態に制限されない。例えば、主側壁12Aが、互いに異なる大きさである2対の長方形の面からなり、角のない長方形を構成してもよい。
【0026】
主側壁12Aと隅壁12Bとがなす内角の角度は135°である。すなわち、側壁12は、高さ方向に垂直な断面において、正方形の四隅から直角二等辺三角形を切り取った形状をなしている。なお、本開示の全体を通じて、数値で表される角度や「垂直」、「正方形」等の文言は数学的に厳密な意味において角度や形状を規定するものではなく、実用上同様の効果を有し、許容可能な誤差範囲を含む。当然ながら、製造や施工の中で生じる誤差やぶれの範囲を含むものである。
【0027】
従来のハト小屋では、ベースユニットが四角柱状に構成され、隣り合う側壁は互いに直角に交わっていた。このため、側壁の外面に防水処理を実施する際、角部を確実に密着させるための技術が必要とされていた。また、施工後には角部から防水シートの劣化が生じ、防水性が損なわれる可能性があった。これに対して本開示にかかる屋上配管ボックス1では、四角形の四隅を落とした形状とすることで、防水シートの施工を容易にするとともに、防水処理の長寿命化も図られる。
【0028】
ベースユニット11は、典型的にはステンレス鋼板や亜鉛メッキ鋼板等の鋼板で構成される。しかしながら、ベースユニット11の素材は特に制限されず、FRPやエンジニアリングプラスチック(高強度プラスチック)等の樹脂含有材料であってもよく、コンクリート等の無機材料であってもよい。
【0029】
(アッパーユニットの概要)
図1を参照して、アッパーユニット81は、全体がFRPで構成されることが好ましい。つまり、第1部材21および第2部材51の両方がFRPからなることが好ましい。第1部材21および第2部材51をFRPからなるものとすることによって、アッパーユニット81の軽量化を図ることができる。しかしながら、アッパーユニット81の素材はFRPに限定されず、一部または全体が鋼板やエンジニアリングプラスチック等からなるものとしてもよい。
【0030】
アッパーユニット81は、上面81aが閉塞された箱型のユニットである。アッパーユニット81の側壁81Aは、配管を挿通するための開口27(図2)を除いて開口部を有さない、四角筒状の壁である。側壁81Aの高さ方向に垂直な断面は、略正方形をなす。アッパーユニット81の側壁81Aの幅方向の寸法W2は、ベースユニット11の幅方向の寸法W1よりも大きい。すなわち、アッパーユニット81は、ベースユニット11よりも外側に張り出す形態である。なお、開口27は、屋上配管ボックスを屋上に設置する際に設けられてもよい。すなわち、屋上配管ボックスの製造時や屋上配管ボックスが市場に流通する時点では、側壁81Aは開口を有していなくてもよい。
【0031】
アッパーユニット81の側壁81Aは、第1部材21の一部である第1側壁21Aと、第2部材51の一部である第2側壁51Aとから構成される。言い換えると、第1側壁21Aと第2側壁51Aとが組み合わされることによって、四周を覆う側壁81Aが構成されるということである。第1側壁21Aと第2側壁51Aとが当接する箇所である組み合わせ部Cは、側壁81Aの上端近傍に位置し、水平方向に延在する上部組み合わせ部C1と、側壁81Aの下端近傍に位置し、水平方向に延在する下部組み合わせ部C2と、上部組み合わせ部C1と下部組み合わせ部C2との間を接続し、水平方向に対して斜めに延びる斜行部C3と、を含む。斜行部C3は、4面からなる側壁81Aのうち、開口部を有さずかつ対向する2面である側面81cに設けられている。
【0032】
(ベースユニットの詳細)
図2図3を参照して、ベースユニット11の構成をより詳しく説明する。図2は、屋上配管ボックス1の断面斜視図である。図3は、屋上配管ボックス1から第2部材51を取り外した状態の断面斜視図であり、図2とは異なる箇所で屋上配管ボックス1を切断した状態を示す。図2図3ともに、屋上配管ボックス1がコンクリートの屋上スラブS上に設置された状態を示す。また、図3は、屋上配管ボックス1の外面に防水シート110を施工した状態を示す。
【0033】
図2を参照して、ベースユニット11は、側壁12の下端から外方および内方に、側壁12に対して直角に延びる脚部13を有する。脚部13は、一定の厚みを有する鋼板で構成されてよい。脚部13の厚みは、例えば0.5~20mm程度、典型的には0.5mm~5mm程度であってよい。脚部13は、側壁12の全周にわたって設けられる。脚部13は、側壁12から外方に延びる外側脚部13Aと、側壁12から内方に延びる内側脚部13Bと、を含む。側壁12から内方および外方の両方に脚部13が張り出す構成とすることによって、屋上配管ボックス1を屋上床面に対して確実に安定して固定できる。また、強風等の環境に対する耐久性を高めることができる。
【0034】
外側脚部13Aは、側壁12から例えば1~50mm程度、典型的には1mm~15mm程度、外方に張り出すものとできる。外側脚部13Aの四隅のそれぞれに、外側脚部13Aを厚み方向に貫通する孔45が形成されている。孔45はビス孔として利用できる。孔45にビスを挿入し、屋上配管ボックス1を設置する際の位置決めや仮固定等に利用できる。内側脚部13Bは、側壁12から例えば10~200mm程度、典型的には10mm~100mm程度、内方に張り出すものとできる。内側脚部13Bの少なくとも四隅に孔が形成され、この孔に固定用ボルト42が挿入されることによって、ベースユニット11が屋上スラブSに対して固定される。当然ながら、固定用ボルト42の数や配置間隔は屋上配管ボックス1のサイズや必要な強度に応じて適宜変更できる。
【0035】
内側脚部13Bの内周が、開口14を規定している。すなわち、脚部13はベースユニット11の底面を構成し、底面の中央部に開口14が形成されている。開口14を通じて、配管100が屋上スラブSから屋上配管ボックス1の内部へと挿通されている。
【0036】
ベースユニット11は、側壁12の上端から側壁12に対して外方に突出するフランジ部15を有する。フランジ部15は側壁12に対して直角に突出する。すなわち、フランジ部15は水平方向に延びる部分である。フランジ部15は、側壁12の全周にわたって設けられている。フランジ部15は、側壁12から5mm~50mm程度、外方に突出するように構成される。
【0037】
フランジ部15の上面は、側壁12に対して直角に延びる上壁16を構成する。上壁16は、側壁12の上部に側壁12の全周にわたって設けられる。上壁16は、水平方向に側壁12の内方に延びる壁面である。上壁16の内周が、開口18を規定している。すなわち、上壁16はベースユニット11の上面を構成し、上面の中央部に開口18が形成されている。開口18を通じて、配管100がベースユニット11からアッパーユニット81と挿通されている。上壁16(開口18)の周縁に、上壁16に対して上方に延びる立ち上がり部17が設けられている。立ち上がり部17は、上壁16の内周の全周にわたって設けられている。
【0038】
上壁16の少なくとも四隅に孔が形成され、この孔にボルト41が挿入されることによって、ベースユニット11と、アッパーユニット81の第1部材21とが互いに固定される。当然ながら、ボルト41の数や配置間隔は屋上配管ボックス1のサイズや必要な強度に応じて適宜変更されうる。
【0039】
屋上配管ボックス1は、屋上スラブSに設置された後、屋上防水加工に伴って防水処理が実施されてもよい。防水処理の方法はシート防水、塗膜防水等特に制限されないが、図3では防水シート110を施工した状態を示している。図3を参照して、防水シート110は、屋上スラブSの床面上から引き続いて、側壁12の外面を覆うように立ち上げられる。防水シート110の上端は、フランジ部15の下面15bの近傍まで施工される。防水シート110の上端とフランジ部15の下面15bとの間はシーリング111で埋められる。さらにアングル112によって防水シート110と側壁12が固定される。ベースユニット11にフランジ部15が備えられることによって、防水シート110の施工を確実に行うことができる。このため、防水加工を容易かつ確実にできるとともに、防水加工の長寿命化を図ることができる。
【0040】
ベースユニット11において、側壁12、フランジ部15および上壁16は、鋼板のプレス加工によって成形されている。このため、フランジ部15は、側壁12を構成する鋼板が外方に曲げられて形成される。また、フランジ部15を構成する鋼板が逆方向に折り曲げられて、上壁16を構成している。ベースユニット11では、フランジ部15の下面15bと、上壁16との間は周壁19によって隔てられている。さらに、上壁16が上方に曲げられて立ち上がり部17を構成している。しかしながら、この形態に制限されることはなく、側壁12、フランジ部15、上壁16、立ち上がり部17のそれぞれを、あるいはいくつかを、別の部材から構成してもよい。周壁19は必須の構成ではなく、周壁19はなくてもよい。すなわち、周壁19の部分が潰され、フランジ部15の下面15bと上壁16が接する形態でもよい。また、フランジ部15、上壁16および立ち上がり部17を1つの部材で構成し、側壁12に対して固定する構成としてもよい。
【0041】
(アッパーユニットの詳細)
前述の図面に加えて、図4を参照してアッパーユニット81の構成をより詳しく説明する。図4は、アッパーユニット81の側面図である。図4において点線で示す部分は、外面に表れない内部の構造ないし材料の厚みを示す。
【0042】
前述のとおり、アッパーユニット81は第1部材21および第2部材51を含んでなる。まず第1部材21について説明する。図2図3を参照して、第1部材21は、第1シェル22と、第1シェル22の下部に固定されたスカート23と、を含む。第1シェル22とスカート23は、互いに固定されている。
【0043】
図3図4を参照して、第1シェル22は、中央部に開口28が形成された四角形の底壁22bと、底壁22bの外方端から立ち上がる側壁22aと、側壁22aの上端から外方に突出する第1縁部22eと、を含む。開口28が、アッパーユニット81の下面の開口である。側壁22aが、第1側壁21Aを構成する。第1縁部22eは、側壁22aの上端の全周に形成されている。開口28は、ベースユニット11の立ち上がり部17よりもわずかに大きく、立ち上がり部17の周囲に嵌め込むようにして、ベースユニット11に第1シェル22(第1部材21)を載置できる。この構成によって、ベースユニット11に対する第1部材21の位置決めを容易にできる。第1シェル22は、FRPの一体成型物である。
【0044】
第1シェル22の側壁22aは、配管100の取り出し口である開口27が形成された正面側部分22sと、正面側部分22sの両端のそれぞれに接続する2面の側面側部分22tと、正面側部分22sに対向する背面側部分22uとを含む。正面側部分22sの上端は、側壁81A(図1)における上端近くに位置し、水平に延びる。背面側部分22uの上端は、側壁81Aにおける下端近くに位置し、水平に延びる。側面側部分22tの上端は、正面側部分22sに接続し、正面側部分22sと同じ高さで水平に延びる部分と、背面側部分22uに接続し、背面側部分22uと同じ高さで水平に延びる部分と、それらの間を接続し、斜行する部分と、を含む。斜行する部分は、水平方向に対して約50°の角度をなす。なお、図示していないが、側壁22aの第1縁部22eには、第1縁部22eの厚み方向にボルトを挿通するための孔が形成される。孔は、第1縁部22eの周方向に互いに離隔して複数設けられることが好ましい。
【0045】
スカート23は、アッパーユニット81の下部に備えられる。スカート23は、アッパーユニット81の側壁81Aよりも外方、また、ベースユニット11の側壁12よりも外方に突出する。スカート23は、開口28とほぼ同じ大きさの開口が形成された四角形の上壁24と、上壁24の外方端から下向き(第1シェル22が固定される側と反対の向き)に延びる側壁25と、を含む。上壁24と第1シェル22の底壁22bとが互いに固定されている。上壁24は、第1シェル22の底壁22bよりも外方まで伸びている。上壁24の外方端(側壁25)は、第1シェル22の第1縁部22eよりも内方に位置する。また、側壁25はベースユニット11の上部を覆うように垂下している。側壁25は、ベースユニット11のフランジ部15、シーリング111、アングル112を覆うように位置する。側壁25がベースユニット11の上部を覆うことによって、防水処理部の末端を保護し、防水処理の長寿命化、より確実な防水性が得られる。なお、アッパーユニット81では、第1シェル22とスカート23とが別部材として構成されているが、第1シェルとスカートは一体の部材であってもよい。
【0046】
次に、第2部材51について説明する。図2図4を参照して、第2部材51は、一体の成形物である第2シェル52からなる。第2シェル52は、FRPの一体成型物である。第2シェル52は、アッパーユニット81の上部部材であり、取り外し可能なカバーとしての機能も有する。
【0047】
図2図4を参照して、第2シェル52は、中央部に隆起部56が形成された四角形の上壁52bと、上壁52bの周縁から垂下する側壁52aと、側壁52aの下端から外方に突出する第2縁部52eとを含む。第2縁部52eは、側壁52aの下端の全周に形成されている。上壁52bが、アッパーユニット81の上面81a(図1)を構成する。側壁52aが、アッパーユニット81の第2側壁51Aを構成する。
【0048】
第2シェル52の側壁52aは、開口を有さない一連の壁面である。側壁52aは、正面側部分52sと、正面側部分52sの両端のそれぞれに接続する2面の側面側部分52tと、正面側部分52sに対向する背面側部分52uとを含む。正面側部分52sは、上部組み合わせ部C1(図1)において第1シェル22の正面側部分22sと突き合せとなる。正面側部分22sと正面側部分52sとが合わさって、アッパーユニット81の正面壁を構成する。側面側部分52tは、斜行部C3(図1)において第1シェル22の側面側部分22tと突き合せとなる。側面側部分22tと側面側部分52tとが合わさって、アッパーユニット81の側面81cを構成する。背面側部分52uは、下部組み合わせ部C2(図1)において第1シェル22の背面側部分22uと突き合せとなる。背面側部分22uと背面側部分52uとが合わさって、アッパーユニット81の背面81d(図1)を構成する。
【0049】
第2シェル52の第2縁部52eは、第1シェル22の第1縁部22eと対向するように設けられる。第2縁部52eは第1縁部22eよりも幅が広い。すなわち、第2縁部52eは、第1縁部22eよりも外方まで延びる。さらに、第2縁部52eの外方端には、第2縁部52eの外方端から垂下するスカート部52fが設けられている。スカート部52fによって、第1縁部22eおよび第2縁部52eが保護され、第1縁部22eと第2縁部52eとの間からの水分の侵入や、飛来物による破損等が防止される。図示していないが、第2縁部52eには、第1縁部22eに設けられた孔に対応する位置に、第2縁部52eの厚み方向に貫通する孔が形成される。この孔にボルト43(図6)を挿通し、締結することによって、第1縁部22eと第2縁部52e(第1部材21と第2部材51)とを互いに固定する。
【0050】
図6は、図2中のVIの部分を拡大し、別角度から見た状態を示す断面模式図である。図6においては、図2等において省略されているパッキン等を示している。第1シェル22と第2シェル52の間(すなわち、第1部材21と第2部材51の間)に、パッキン31が備えられる。より詳しくは、パッキン31は、第1シェル22の第1縁部22eと、第2シェル52の第2縁部52eとの間に設けられる。パッキン31は第1縁部22eに、両面テープや接着によって固定される。パッキン31は、ボルト43よりも内方に設けられる。ボルト43よりも内方にパッキン31を配置することによって、ボルト43の周囲から水が浸入した場合であっても、屋上配管ボックス1の内部まで水が浸入することを阻止できる。
【0051】
第1部材21とベースユニット11との間(すなわち、アッパーユニット81とベースユニット11との間)に、パッキン32が備えられる。より詳しくは、パッキン32は、スカート23とベースユニット11の上壁16との間に設けられる。パッキン32は、城壁16に両面テープや接着によって固定される。パッキン32は、ボルト41よりも外方に設けられる。ボルト41よりも外方にパッキン32を配置することによって、スカート23と上壁16の間から水が浸入した場合であっても、屋上配管ボックス1の内部まで水が浸入することを阻止できる。
【0052】
また、第1部材21において、第1シェル22とスカート23との間は、接着剤35によって接着固定されるとともに、第1シェル22とスカート23との間にパッキン33が備えられる。パッキン33を備えることによって、第1シェル22とスカート23との間からの水分の侵入を阻止できる。また、第1シェル22とスカート23との間の密着性を高めることができる。パッキン33は、ボルト41よりも内方に設けられる。ただし、パッキン33の位置は、ボルト41よりも外方であってもよい。パッキン31、32、33はいずれも、例えばクロロプレン等のゴム材からなるものを用いることができるが、効果を発揮しうる限り、素材は特に制限されない。
【0053】
(屋上配管ボックスの使用および運搬)
本開示にかかる屋上配管ボックス1は屋上に固定して設置され、設置後には基本的に移動されない。屋上配管ボックス1の設置後、内部に収容される配管のメンテナンス等を実施する際には、第2部材51を取り外すことができる。第2部材51を取り外すと、アッパーユニット81の上面、背面および両側面の一部が開いた状態となる(図3参照)。従来の屋上配管ボックスでは、上面を覆う蓋が取り外し可能であることと比較して、本開示にかかる屋上配管ボックスは、ボックス内部へのアクセス性が格段に向上している。
【0054】
さらに、本開示にかかる屋上配管ボックスは、ベースユニット11の上部にフランジ部15が設けられており、屋上の床面から引き続く屋上防水処理をベースユニット11までで完結できる。このため、仮にアッパーユニット全体を交換する必要が生じた場合であっても、施工済みの屋上防水処理に影響を及ぼすことなく、アッパーユニットの交換工事を行うことができる。
【0055】
本開示にかかる屋上配管ボックスは、運搬時にコンパクトな形態となり、運搬が容易かつ運搬コストを削減できる。図5は、屋上配管ボックス1を一部分解し、収納する状態を示す模式図である。図5(a)に示すとおり、屋上配管ボックス1は、ベースユニット11とアッパーユニット81とが組み合わされてなる。また、図5(b)に示すとおり、ベースユニット11とアッパーユニット81とを分割することができる。そして、図5(c)に示す通り、運搬時等には、アッパーユニット81の内部に、ベースユニット11の全体を収容することができる。ベースユニット11は、設置時とは上下を逆にした態様で、アッパーユニット81の内部に収容される。アッパーユニット81内にベースユニット11を収納する際には、アッパーユニット81の第2部材51を取り外して、アッパーユニット81の上部からベースユニット11を入れるようにしてもよい。既述のとおり、アッパーユニット81から第2部材51を取り外すと上面の全体に加えて側面のうち半分が取り外されることとなる。このため、アッパーユニット81の内部にベースユニット11を収納し、取り出す作業が容易にできる。
【0056】
(製造方法)
本開示にかかる屋上配管ボックスの製造方法は特に制限されず、既存の製造技術および製造機械を用いて製造できる。例えば、ベースユニット11は、既存の鋼板加工技術であるプレス加工および溶接等を利用して製造できる。アッパーユニット81は、既存のFRP成形手法を用いて製造できる。
【0057】
アッパーユニット81の製造では、第1部材21および第2部材51を同一の金型を用いて製造することも好ましい。具体的には、第2部材51の形状を含む金型を用いて、FRP材料パネルを成形、後処理を行って第2部材51を得る。また、第2部材51における隆起部56に相当する部分と、第2縁部52eの外方端およびスカート部52fに相当する部分とを切除する。さらに、第1部材21の側壁の開口27に相当する部分に穴を形成することによって、第1部材21を得ることが可能である。アッパーユニット81の側壁81Aは、上下方向に対称な形状を有する第1部材21および第2部材51から構成されている。このため、同じ金型から第1部材21および第2部材51の両方を作製することが可能であり、製造上の利点が大きい。
【0058】
(変形例)
屋上配管ボックス1は本開示にかかる屋上配管ボックスの一例であり、様々な変形が可能である。例えば、ベースユニットの側壁は、角が切除された四角柱状(八角柱状)に限定されない。例えば、ベースユニットの側壁は、角が丸く成形された角丸矩形であってもよく、五角柱状、六角柱状や円柱状であってもよい。ベースユニットにおいて、隣り合う側壁がなす内角の角度は、90°よりも大きく、180°未満の範囲で変更可能である。また、ベースユニットの上部に形成されるフランジ部は、側壁の上端から直角に外方に突出するものに限られない。例えば、側壁の上端がテーパ状に広がるとともに鍔状部が形成されることによって、フランジ部が形成されていてもよい。
【0059】
アッパーユニットにおける側壁の開口は1つに限定されず、複数の開口が設けられていてもよい。開口の位置および数は変更可能である。また例えば、アッパーユニットにおいて、側壁と上壁とが別部材で構成されていてもよい。アッパーユニットの第2部材は単一の部材から構成されるものに限定されず、上面あるいは側面の一部が着脱可能とされていてもよい。アッパーユニットの上面は、全体が傾斜を有する形態とされてもよい。アッパーユニットの組み合わせ部の形態は、上述したものに限定されない。斜行部の角度ないし長さは適宜変更できる。斜行部の角度は特に制限されないが、例えば水平に対して約15°~80°の角度としてもよく、典型的には45°~60°程度にできる。また、第1部材と第2部材の組み合わせ部は、斜行部を備えず、水平方向に延びる部分と垂直方向に延びる部分とから構成される組み合わせ部であってもよい。例えば、斜行部に替えて階段状の組み合わせ部を構成してもよい。また、4つの側面を含む側壁のうちの2面または3面の全体が第1部材で構成され、残る面が第2部材で構成されるようにしてもよい。また、組み合わせ部に水平部分を含まず、斜行する部分のみで組み合わせ部が構成されてもよい。
【0060】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 屋上配管ボックス、
11 ベースユニット、12 側壁、12A 主側壁、12B 隅壁、13 脚部、13A 外側脚部、13B 内側脚部、14、18 開口、15 フランジ部、15b 下面、16 上壁、17 立ち上がり部、19 周壁、
21 第1部材、21A 第1側壁、22 第1シェル、22a 側壁、22b 底壁、22e 第1縁部、22s、52s 正面側部分、22t、52t 側面側部分、22u、52u 背面側部分、23 スカート、24 上壁、25 側壁、27、28 開口、31,32,33 パッキン、35 接着剤、41、43 ボルト、42 固定用ボルト、45 孔、51 第2部材、51A 第2側壁、52 第2シェル、52a 側壁、52b 上壁、52e 第2縁部、52f スカート部、56 隆起部、81 アッパーユニット、81A 側壁、81a 上面、81c 側面、81d 背面、
100 配管、110 防水シート、111 シーリング、112 アングル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部および下部が開口されたベースユニットと、
前記ベースユニットの上に載置され、上面が閉塞されるとともに下面に開口を有するアッパーユニットと、
を備え、
前記アッパーユニットは、
前記ベースユニットに対して固定される第1部材と、
前記第1部材に対して固定される第2部材と、
を含み、
前記第1部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する第1側壁を含み、
前記第2部材は、前記アッパーユニットの前記側壁を構成する第2側壁と、前記アッパーユニットの上面の少なくとも一部を構成する蓋部と、を含み、
前記アッパーユニットにおいて、
前記第1部材と前記第2部材との組み合わせ部は、水平方向に延在する上部組み合わせ部と、前記上部組み合わせ部と高さ方向に異なる位置で水平方向に延在する下部組み合わせ部と、を含む、
屋上配管ボックス。
【請求項2】
上部および下部が開口されたベースユニットと、
前記ベースユニットの上に載置され、上面が閉塞されるとともに下面に開口を有するアッパーユニットと、
を備え、
前記アッパーユニットは、
前記ベースユニットに対して固定される第1部材と、
前記第1部材に対して固定される第2部材と、
を含み、
前記第1部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する第1側壁を含み、
前記第2部材は、前記アッパーユニットの前記側壁を構成する第2側壁と、前記アッパーユニットの上面の少なくとも一部を構成する蓋部と、を含み、
前記アッパーユニットにおいて、
前記第1部材と前記第2部材との組み合わせ部は、水平方向に対して斜めに延びる斜行部を含む
上配管ボックス。
【請求項3】
上部および下部が開口されたベースユニットと、
前記ベースユニットの上に載置され、上面が閉塞されるとともに下面に開口を有するアッパーユニットと、
を備え、
前記アッパーユニットは、
前記ベースユニットに対して固定される第1部材と、
前記第1部材に対して固定される第2部材と、
を含み、
前記第1部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する第1側壁を含み、
前記第2部材は、前記アッパーユニットの前記側壁を構成する第2側壁と、前記アッパーユニットの上面の少なくとも一部を構成する蓋部と、を含み、
前記アッパーユニットにおいて、
前記第1部材と前記第2部材との組み合わせ部は、水平方向に延びる部分と垂直方向に延びる部分とを含む、
屋上配管ボックス。
【請求項4】
前記ベースユニットの側壁は、互いに対向する2組の主側壁と、隣り合う前記主側壁の間を接続する隅壁と、を含み、
前記主側壁と前記隅壁とがなす内角の角度は、90°よりも大きく180°未満である、
請求項1または請求項2に記載の屋上配管ボックス。
【請求項5】
前記ベースユニットは、前記側壁の上端に、前記側壁に対して外側に突出するフランジ部を有する、
請求項4に記載の屋上配管ボックス。
【請求項6】
前記ベースユニットは、
前記側壁の上端に、前記側壁に対して直角に延び、中央部に開口が形成された上壁を有し、
前記上壁は、前記開口の周縁に、前記上壁に対して上方に延びる立ち上がり部を有する、
請求項4に記載の屋上配管ボックス。
【請求項7】
前記アッパーユニットは、前記アッパーユニットの下部に備えられたスカートを含み、
前記スカートは、
前記ベースユニットの側壁よりも外方に突出するとともに、前記ベースユニットの上部を覆うように垂下する部分を有する、
請求項1または請求項2に記載の屋上配管ボックス。
【請求項8】
前記アッパーユニットにおいて、
前記第1部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する前記第1側壁の上端から外方に突出する第1縁部を有し、
前記第2部材は、前記アッパーユニットの側壁を構成する前記第2側壁の下端から外方に突出する第2縁部を有し、
前記第1縁部および前記第2縁部のそれぞれに孔が設けられ、
前記第1縁部と前記第2縁部とが組み合わされた状態で、前記孔に挿通されるボルトが締結されることによって、前記第1部材と前記第2部材とが互いに固定される、
請求項1または請求項2に記載の屋上配管ボックス。
【請求項9】
前記ベースユニットと前記アッパーユニットとを分離した状態で、
前記アッパーユニットの内部に前記ベースユニットの全体を収容可能である、
請求項1または請求項2に記載の屋上配管ボックス。
【請求項10】
前記アッパーユニットの全体がFRPで構成されている、
請求項1または請求項2に記載の屋上配管ボックス。