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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064208
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】車両用アンダーカバー
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20240507BHJP
   B62D 21/00 20060101ALI20240507BHJP
   B62D 25/24 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B62D25/20 N
B62D21/00 Z
B62D25/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172627
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】神谷 健太郎
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BA13
3D203BB03
3D203CA07
3D203CA08
3D203CA65
3D203CB24
3D203CB25
3D203CB34
(57)【要約】
【課題】カバー本体から外れ難い蓋部材を備えた車両用アンダーカバーを提供する。
【解決手段】車両用アンダーカバーは、開口30を有するカバー本体22と、開口30を下方から開閉する蓋部材40とを備えている。蓋部材40の外縁部は、段状に上方へ持ち上がり、カバー本体22の下面に対向する段上部を備えている。また、カバー本体22における開口30の開口縁部は、蓋部材40の段上部を開口30の内側方向に越える延長部54を備えている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するカバー本体と、前記開口を下方から開閉する蓋部材と、を備える車両用アンダーカバーであって、
前記蓋部材の外縁部は、段状に上方へ持ち上がり、前記カバー本体の下面に対向する段上部を備え、
前記カバー本体における前記開口の開口縁部は、前記段上部を前記開口の内側方向に越える延長部を備える
ことを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項2】
前記延長部は、前記段上部よりも下方へ延びる請求項1記載の車両用アンダーカバー。
【請求項3】
前記延長部は、前記段上部を形成する段形状に沿って延びている請求項1記載の車両用アンダーカバー。
【請求項4】
前記開口縁部は、前記延長部の変形を抑制する補強壁を備える請求項1記載の車両用アンダーカバー。
【請求項5】
前記カバー本体は、前記蓋部材が締結される締結部を複数備え、
前記延長部は、前記開口縁部に沿って隣り合う前記締結部を結ぶ直線よりも前記開口の外側方向に配置される請求項1記載の車両用アンダーカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用アンダーカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両における車体の下側には、エンジンアンダーカバーが取り付けられている(例えば特許文献1参照)。特許文献1のエンジンアンダーカバーには、エンジンオイルを交換するなど、メンテナンスのための作業用開口が設けられている。そして、作業用開口の開口縁に、蓋板の外縁部を下側から重ね合わせて、蓋板が蝶ナットによってエンジンアンダーカバーに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57-80373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両が雪や氷塊や縁石などの障害物に乗り上げて、障害物が蓋板を下側から押し上げるように当たったり、跳ね石が蓋板の下側から当たったりすることがある。このような場合、蓋板が上方へ大きく変形すると、蓋板の外縁部が作業用開口の開口縁から脱落して、これによりエンジンアンダーカバーが破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、カバー本体の開口に取り付けられた蓋部材が、下側からの押圧により脱落し難い車両用アンダーカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用アンダーカバーの第1態様は、
開口を有するカバー本体と、前記開口を下方から開閉する蓋部材と、を備える車両用アンダーカバーであって、
前記蓋部材の外縁部は、段状に上方へ持ち上がり、前記カバー本体の下面に対向する段上部を備え、
前記カバー本体における前記開口の開口縁部は、前記段上部を前記開口の内側方向に越える延長部を備えることを要旨とする。
【0007】
本発明に係る車両用アンダーカバーの第2態様は、前記第1態様において、
前記延長部は、前記段上部よりも下方へ延びていてもよい。
【0008】
本発明に係る車両用アンダーカバーの第3態様は、前記第1態様又は第2態様において、
前記延長部は、前記段上部を形成する段形状に沿って延びていてもよい。
【0009】
本発明に係る車両用アンダーカバーの第4態様は、前記第1態様、前記第2態様又は前記第3態様の何れかにおいて、
前記開口縁部は、前記延長部の変形を抑制する補強壁を備えていてもよい。
【0010】
本発明に係る車両用アンダーカバーの第5態様は、前記第1態様、前記第2態様、前記第3態様又は前記第4態様の何れかにおいて、
前記カバー本体は、前記蓋部材が締結される締結部を複数備え、
前記延長部は、前記開口縁部に沿って隣り合う前記締結部を結ぶ直線よりも前記開口の外側方向に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車両用アンダーカバーによれば、カバー本体の開口に取り付けられた蓋部材が、下側からの押圧により脱落し難い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る車両用アンダーカバーを示す平面図である。なお、サスペンションメンバーを二点鎖線で示している。
図2】実施例の車両用アンダーカバーの要部を示す平面図である。なお、カバー本体の開口の開口縁部に沿って隣り合う締結部を結ぶ直線を、二点鎖線で示している。
図3】実施例の車両用アンダーカバーの要部を、蓋部材を取り外して示す平面図である。なお、カバー本体の開口の開口縁部に沿って隣り合う締結部を結ぶ直線を、二点鎖線で示している。
図4】実施例の蓋部材を示す平面図である。
図5図1のA-A線で切断した端面図である。
図6図1のB-B線で切断した端面図である。
図7図5のC部を示す拡大図である。
図8図2のD-D線で切断した端面図である。
図9図2のE-E線で切断した端面図である。
図10図5のC部に対応する箇所を示す延長部の別例である。
図11】補強壁の別例を示す概略斜視図である。
図12】変更例1のカバー本体における開口の開口縁部及び蓋部材の外縁部を示す概略斜視図である。
図13】変更例2のカバー本体における開口の開口縁部及び蓋部材の外縁部を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る車両用アンダーカバーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例0014】
図5及び図6に示すように、実施例に係る車両用アンダーカバー20は、自動車などの車両における車体10の下側に配置されるものである。実施例の車両用アンダーカバー20は、車体10を構成するサスペンションメンバー14の下側に取り付けられ、左右の車輪12,12の間に配置される(図1参照)。サスペンションは、車両における車体10と車輪12をつないで、路面より受ける衝撃や振動を車室に伝わらないようにする装置である。サスペンションメンバー14は、サスペンションの中で骨格となるパーツである。サスペンションメンバー14は、枠状である。具体的には、実施例のサスペンションメンバー14は、車前後方向に延びる2本の第1部材14a,14aを、車幅方向に延びる2本の第2部材14b,14bで接続して構成されている(図1参照)。サスペンションメンバー14において、左右の第1部材14a,14a及び前後の第2部材14b,14bに囲われる開口部分が、パワーユニット16の下側に位置する。なお、サスペンションメンバー14において、第1部材14aをサイドメンバーと呼び、前側の第2部材14bをフロントクロスメンバーと呼び、後側の第2部材14bをリアクロスメンバーと呼ぶことがある。
【0015】
図5及び図6に示すように、車両用アンダーカバー20は、パワーユニットルーム15の下側に配置される。パワーユニットルーム15には、エンジンやモータやコンプレッサなどの駆動時に音が発生するパワーユニット16が設置される。実施例のパワーユニット16は、シリンダーブロックの下側にエンジンオイルを溜めるオイルパン18(メンテナンス対象)を有するエンジンを例示している。なお、車両用アンダーカバー20は、特にエンジンが設置されたエンジンルーム(パワーユニットルームに相当)の下側に取り付けるものを、エンジンアンダーカバーと呼ぶ場合がある。なお、パワーユニット16のメンテナンス対象が、オイルパン18に限らず、他の装置や部品などであってもよい。
【0016】
図1に示すように、車両用アンダーカバー20は、カバー本体22と、車体10に取り付けるための取付部28とを備えている。取付部28がサスペンションメンバー14に取り付けられることで、車両用アンダーカバー20が車体10に設置される。
【0017】
図1に示すように、カバー本体22は、板状である。カバー本体22は、多孔質の板状部24を有している。実施例のカバー本体22は、複数の板状部24が前後及び左右に並べて配置されている。カバー本体22は、板状部24を支持する支持部26を有している。支持部26は、カバー本体22の外縁部に設けられている。また、支持部26は、隣り合う板状部24の間に設けられている。カバー本体22は、下面が凸凹を少なくして平らに形成されており、板状部24がカバー本体22の下面(路面側)に露出する。
【0018】
板状部24は、多孔質材料で構成される。多孔質材料としては、例えば、繊維体や発泡体などを用いることができる。板状部24は、多孔質材料に由来する特性によって、吸音や断熱などの所要の機能を発揮するものである。板状部24を構成する繊維体としては、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維などからなる不織布や織布などを用いることができる。また、板状部24を構成する発泡体としては、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系などの発泡体を用いることができる。なお、板状部24は、吸音性の観点から通気性を有する多孔質材料が好ましい。
【0019】
板状部24は、1層で構成してもよいが、2層以上で構成してもよい。例えば、板状部24は、板状部24に求められる主機能(実施例では吸音)を担保するための第1層と、第1層に重ねて配置されて、板状部24に付加する補助機能(実施例では撥水)を担保するための第2層とを含む複層構造にすることができる。この場合、第2層を第1層よりも密度を高く設定したり、第2層をシリコーン樹脂やフッ素樹脂などの撥水材料を付与することで撥水性を確保したりするなどができる。このように、板状部24において車両外側となる第2層に撥水性を付与することで、板状部24に水が浸入したり、板状部24に雪が付いたり、板状部24に着氷したりすることを防止できるので好ましい。
【0020】
支持部26は、合成樹脂の射出成形等による成形品である。合成樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)などの熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
【0021】
支持部26を構成する合成樹脂材料は、ソリッドである。ここで、ソリッドとは、発泡体や不織布などの繊維体のような多孔質と異なり、多数の気泡や多数の空隙や多数の孔を有していない密な状態をいう。実施例の支持部26は、板状部24と比べて密度が高い。また、支持部26は、板状部24と比べて通気性が低い、又は通気性がないことが、遮音性向上の観点から好ましい。
【0022】
支持部26は、カバー本体22の剛性を向上するための補強形状を有している。図1に示すように、実施例の支持部26は、補強形状として、第1補強部32と、第1補強部32と交差する方向へ延びる第2補強部34と、カバー本体22の外縁部に形成された第3補強部36とを備えている。第1補強部32は、カバー本体22において下方へ開口する溝形状に形成されている。第1補強部32を左右方向に切断した断面が、「コ」字形状を呈している(図5参照)。また、第1補強部32の溝形状が、前後方向へ延びている。板状部24が、第1補強部32の下端部に繋がる。第1補強部32が、板状部24の上面よりも高くなっている。第2補強部34は、平板部分から上方へ突出するリブを有する断面「T」字形状に形成されている(図6参照)。また、第2補強部34のリブ形状が、左右方向へ延びている。板状部24が、第2補強部34の平板部分に繋がる。第3補強部36は、カバー本体22において下方へ開口する溝形状に形成されている。第3補強部36における溝形状が延びる方向と交差する方向に切断した断面が、「コ」字形状を呈している(図5及び図6参照)。なお、実施例の第3補強部36は、第1補強部32よりも低く、第1補強部32よりも側壁間の幅が狭く設定されている。
【0023】
図1及び図5に示すように、車両用アンダーカバー20は、カバー本体22から上方へ突出する取付部28を備えている。取付部28は、支持部26に形成されて、板状部24の上面よりも高く形成されている。また、取付部28が、カバー本体22に複数設けられている(図1参照)。複数の取付部28は、互いに間隔をあけてカバー本体22に分散して配置されている。実施例の取付部28は、支持部26の成形と合わせて形成された合成樹脂成形部である。実施例では、取付部28に設けられた孔に、ボルトやクリップなどの締結部材を通して、車両用アンダーカバー20をサスペンションメンバー14に取り付けている。車両用アンダーカバー20は、板状部24の上面又は補強部32,34,36が、サスペンションメンバー14の下面に当たらないように間隔があいている。
【0024】
図1及び図2に示すように、車両用アンダーカバー20は、開口30を有するカバー本体22と、開口30を下方から開閉する蓋部材40とを備えている。実施例の開口30は、メンテナンス対象であるオイルパン18の下側に配置され、蓋部材40を取り外すことで、オイルパン18に対して開口30を介して車両用アンダーカバー20の下側からアクセス可能である。
【0025】
図2及び図4に示すように、蓋部材40は、板状である。蓋部材40の外縁部は、段状に上方へ持ち上がり、カバー本体22の下面に対向する段上部42を備えている(図7参照)。段上部42は、蓋部材40の外縁部において上向きに突出する段形状の上段部分である。段上部42は、蓋部材40の本体部分よりも上方に位置している。実施例の段形状は、蓋部材40の外縁部において蓋部材40の内側から外側へ向かうにつれて上方傾斜する段壁部43と、段壁部43の上端から段壁部43と角度を変えて延びる段上部42とを有している。なお、実施例の段上部42は、水平に延びている。このように、実施例の段上部42は、斜めに持ち上がってから屈曲して水平に延びる段形状の上段部分である。段壁部43は、蓋部材40の外縁部において、段形状の下段部分から屈曲して上方へ立ち上がる部分である。実施例の段上部42は、後述する掛止部52の形成位置を除いて、蓋部材40の外周部全周に設けられている。そして、蓋部材40をカバー本体22に取り付けた際に、段上部42が、カバー本体22における開口30の開口縁部の下側に配置される。ここで、蓋部材40における本体部分下面の上下位置が、カバー本体22の下面と揃っている。
【0026】
図4に示すように、蓋部材40は、カバー本体22の締結部58に取り付けられる蓋取付部44を備えている。蓋取付部44は、蓋部材40の外縁部よりも更に外側へ張り出している。蓋部材40には、複数の蓋取付部44が設けられている。
【0027】
図2及び図4に示すように、蓋部材40は、多孔質の蓋板状部46を有している。実施例の蓋部材40は、複数の蓋板状部46が前後及び左右に並べて配置されている。実施例の蓋板状部46を構成する多孔質材料としては、前述の板状部24と同じ多孔質材料のグループから選択でき、蓋板状部46と板状部24とが同じ多孔質材料であっても、異なる多孔質材料であっても、何れであってもよい。また、蓋部材40における隣り合う蓋板状部46の間が、蓋支持部48で構成されている。実施例の蓋支持部48は、平板部分から上方へ突出するリブを有する断面「T」字形状に形成されている(図5参照)。蓋部材40において、蓋板状部46が外縁部及び蓋支持部48で支持されている。蓋部材40の下面は、凸凹が少なく平らに形成されており、蓋板状部46が蓋部材40の下面(路面側)に露出する。
【0028】
図2及び図4に示すように、蓋部材40は、蓋部材40の外縁部から上方へ突出する蓋立壁50を備えている。蓋立壁50は、段上部42を形成する段形状の下段部分に配置されている。蓋立壁50は、蓋壁部43より蓋部材40の内側に配置されている。また、蓋立壁50は、蓋部材40の外縁部(蓋壁部43の根元)に沿って連続的に延びており、環状に形成されている。蓋部材40は、蓋支持部48及び蓋立壁50によって補強されている。
【0029】
図2図4及び図9に示すように、蓋部材40の外縁部は、カバー本体22における開口30の開口縁部の上側に引っ掛かる掛止部52を備えている。掛止部52は、段上部42よりも外側へ張り出している。また、掛止部52は、カバー本体22における開口30の開口縁部の下側に対向する段上部42と異なり、開口縁部の上側に重なる。蓋部材40をカバー本体22に取り付ける際、掛止部52を開口縁部に引っ掛けることで、蓋部材40を取り付け易くなる。
【0030】
実施例では、蓋部材40の外縁部、段上部42を形成する段形状、蓋取付部44、蓋支持部48及び蓋立壁50が、合成樹脂成形部である。蓋部材40は、蓋部材40の外縁部、段上部42を形成する段形状、蓋取付部44、蓋支持部48及び蓋立壁50を一体成形した成形品に、蓋板状部46を取り付けたり、蓋板状部46をセットした成形型において、蓋部材40の外縁部、段上部42を形成する段形状、蓋取付部44、蓋支持部48及び蓋立壁50を形成するインサート成形を行ったりするなど、様々な方法で製造可能である。
【0031】
図2図3及び図7に示すように、カバー本体22における開口30の開口縁部は、段上部42を開口30の内側方向に越える延長部54を備えている。実施例において、カバー本体22における開口30の開口縁部が、段状に上方へ持ち上がるように形成されている(図7参照)。開口縁部の段形状の下側に、段上部42が配置される。延長部54は、段上部42よりも下方へ延びている。延長部54は、前記開口縁部において、段上部42に沿って延びる水平部分から下方へ屈曲することで、段上部42よりも下方へ延びている。また、延長部54は、段上部42を形成する段形状に沿って延びている。実施例の延長部54は、蓋部材40の外側から内側へ向かうにつれて下方傾斜する段壁部43に沿って、開口30の内側へ向かうにつれて下方傾斜している。そして、実施例の延長部54の先端が、段上部42と蓋立壁50との間に配置される。延長部54は、締結部58や、開口縁部における掛止部52の配置位置を除いて、開口30の開口縁部に設けられている。
【0032】
図2図3及び図7に示すように、カバー本体22における開口30の開口縁部は、延長部54の変形を抑制する補強壁56を備えている。補強壁56は、開口縁部から上方へ突出している。また、補強壁56は、締結部58や、開口縁部における掛止部52の配置位置を除いて、開口30の形状に沿って延びている。補強壁56は、断続的に形成してもよいが、実施例においては、補強壁56が一繋がりの環状に形成されている。
【0033】
図2及び図3に示すように、カバー本体22は、蓋部材40が締結される締結部58を複数備えている。締結部58は、カバー本体22における開口30の開口縁部に設けられている。また、締結部58は、延長部54よりもカバー本体22の内側に設けられている。締結部58は、上方へ突出すると共に下方へ開口する凸形状であり、締結部58の下側に蓋取付部44が配置される。そして、蓋取付部44及び締結部58に設けられた孔に、ネジやボルトやリベットなどの締結具60を下側から通して、蓋部材40がカバー本体22に取り付けられる。実施例では、締結部58の孔に合わせてクリップナット62が取り付けられて、クリップナット62に締結具60がねじ込まれる(図8参照)。
【0034】
図2及び図3に示すように、延長部54は、カバー本体22における開口30の開口縁部に沿って隣り合う締結部58を結ぶ仮想直線よりも開口30の外側方向に配置するとよい。実施例では、延長部54が、締結部58の位置及び掛止部52の配置位置を除いて設けられている。
【0035】
実施例では、カバー本体22における開口30の開口縁部、延長部54、補強壁56及び締結部58が、合成樹脂成形部である。カバー本体22は、支持部26、取付部28、開口縁部、延長部54、補強壁56及び締結部58を一体成形した成形品に、板状部24を取り付けたり、板状部24をセットした成形型において、支持部26、取付部28、開口縁部、延長部54、補強壁56及び締結部58を形成するインサート成形を行ったりするなど、様々な方法で製造可能である。
【0036】
車両が雪や氷塊や縁石などの障害物に乗り上げた際に、障害物に当たった蓋部材40が上方へ押されることがある。車両用アンダーカバー20は、カバー本体22における開口30の開口縁部に、蓋部材40の段上部42を開口30の内側方向に越える延長部54を備えているので、延長部54が蓋部材40に当たって、蓋部材40の上方への変形を抑えることができる。ここで、延長部54は、蓋部材40の段上部42を開口30の内側方向に越えており、カバー本体22における開口30の開口縁部と蓋部材40とのラップ量が大きくなっているので、蓋部材40の上方への変形を適切に防止できる。これにより、蓋部材40の外縁部が、カバー本体22における開口30の開口縁部から外れることを防止できる。このように、車両用アンダーカバー20によれば、カバー本体22の開口30に取り付けられた蓋部材40が下側からの押圧によって脱落し難い。
【0037】
カバー本体22の延長部54が、蓋部材40の段上部42よりも下方へ延びていることで、段上部42が延長部54に当たって、蓋部材40の外縁部における開口30の内側へ向けた変位を抑えることができる。これにより、蓋部材40の外縁部が、カバー本体22における開口30の開口縁部から外れることを防止できる。このように、車両用アンダーカバー20によれば、カバー本体22の開口30に取り付けられた蓋部材40が下側からの押圧によって脱落し難い。
【0038】
カバー本体22の延長部54が、蓋部材40の段上部42を形成する段形状に沿って延びていることで、延長部54が蓋部材40に当たって、蓋部材40の上方への変形を抑えることができる。これにより、蓋部材40の外縁部が、カバー本体22における開口30の開口縁部から外れることを防止できる。このように、車両用アンダーカバー20によれば、カバー本体22の開口30に取り付けられた蓋部材40が下側からの押圧によって脱落し難い。
【0039】
カバー本体22における開口30の開口縁部に設けた補強壁56により、延長部54の変形を抑制することで、蓋部材40の外縁部に当たった延長部54が、蓋部材40と共に変形することを防止できる。従って、延長部54が蓋部材40に当たった際に、蓋部材40の上方への変形を抑えることができる。これにより、蓋部材40の外縁部が、カバー本体22における開口30の開口縁部から外れることを防止できる。このように、車両用アンダーカバー20によれば、カバー本体22の開口30に取り付けられた蓋部材40が下側からの押圧によって脱落し難い。
【0040】
カバー本体22における開口30の開口縁部に沿って隣り合う締結部58,58を結ぶ直線よりも開口30の外側位置においては、カバー本体22の開口30に取り付けられた蓋部材40が下側から押圧されることによって、蓋部材40の外縁部がカバー本体22の開口縁から抜け出し易くなっている。車両用アンダーカバー20は、延長部54が、カバー本体22における開口30の開口縁部に沿って隣り合う締結部58,58を結ぶ直線よりも開口30の外側方向に配置されていることから、延長部54によって蓋部材40の外縁部がカバー本体22の開口縁から抜け出し難くできる。これにより、蓋部材40の外縁部が、カバー本体22における開口30の開口縁部から外れることを防止できる。このように、車両用アンダーカバー20によれば、カバー本体22の開口30に取り付けられた蓋部材40が下側からの押圧によって脱落し難い。
【0041】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例及び以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)パワーユニットは、エンジンやモータやコンプレッサなどの単体に限らず、エンジン等の稼働時に音を発する装置や機構などを含んでいてもよい。
(2)サスペンションメンバーの形状は、実施例に限らず、例えば、平面視「U」字状や「コ」字状などの枠状であってもよい。
(3)補強部の形状は、実施例に限らず、例えば、前後方向に延びる補強部がリブ形状であったり、左右方向に延びる補強部が凹形状(樋形状)であったり、平板形状であったり、その他の形状であってもよい。
【0042】
(4)延長部は、斜め下方へ延びる形状に限らない。例えば、図10(a)に示すように、延長部54が上下方向に延びていてもよい。
(5)延長部は、段上部を形成する段形状に沿って延びる形状に限らず、延長部が、段上部を形成する段形状と異なる方向へ延びていてもよい。例えば、図10(b)に示すように、延長部54は、段上部42の面に沿った方向(水平方向)へ延びていてもよい。
(6)蓋部材は、蓋板状部もソリッドの合成樹脂の成形体で構成されていてもよい。この場合、蓋部材全体が合成樹脂などの単一材料で形成されていてもよい。
(7)カバー本体は、板状部もソリッドの合成樹脂の成形体で構成されていてもよい。この場、カバー本体全体が合成樹脂などの単一材料で形成されていてもよい。
(8)補強壁は、実施例のように、カバー本体の開口縁部において、開口の開口縁に沿って延びる横リブだけのものに限らない。例えば図11に示すように、補強壁56は、カバー本体22の開口縁部において、開口30へ向けて延びる縦リブ56bを備えていてもよい。また、補強壁56において開口30へ向けて延びる縦リブ56bが、延長部62に達することが好ましい。なお、補強壁56は、開口の開口縁に沿って延びる横リブ56aを省略して、開口30へ向けて延びる縦リブ56bのみで構成してもよい。
(9)延長部は、開口の開口縁に沿う方向において、平面形状に形成することに限らず、波状やジグザグ状などの曲がりが連なる形状であってもよい。このように、延長部が曲がる立体形状であることで、開口の開口縁の強度を向上できる。図12に示す例は、延長部54における開口30の開口縁に沿う方向の形状が、波状である。
(10)段上部を形成する段形状において、段壁部を平面形状に形成することに限らず、波状やジグザグ状などの曲がりが連なる形状であってもよい。このように、段壁部が曲がる立体形状であることで、蓋部材の外縁部の強度を向上できる。図12に示す例は、段壁部43の形状が、波状である。
(11)図13に示すように、カバー本体22における開口30の開口縁部に、本体凹部64が設けられていてもよい。この場合、本体凹部64の立体形状によって、開口30の開口縁の強度を向上できる。また、蓋部材40の外縁部に、蓋凹部66が設けられていてもよい。この場合、蓋凹部66の立体形状によって、蓋部材40の外縁部の強度を向上できる。本体凹部64と蓋凹部66とは、位置を合わせて配置することが好ましく、図13の例では、本体凹部64と蓋凹部66とが嵌まるようになっている。
【符号の説明】
【0043】
20 車両用アンダーカバー,22 カバー本体,30 開口,40 蓋部材,
42 段上部,54 延長部,56 補強壁,58 締結部
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図13