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特開2024-64209ブラシ及びそれを備えた基板処理装置並びにブラシの押し圧制御方法
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  • 特開-ブラシ及びそれを備えた基板処理装置並びにブラシの押し圧制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064209
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ブラシ及びそれを備えた基板処理装置並びにブラシの押し圧制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644B
H01L21/304 644C
H01L21/304 644G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172630
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】安武 陽介
(72)【発明者】
【氏名】石川 道明
(72)【発明者】
【氏名】大野 拓也
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB47
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC12
5F157BA02
5F157BA13
5F157BA31
5F157BB23
5F157BB45
5F157CD23
5F157CD27
5F157CE07
5F157CE27
5F157CE83
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB37
(57)【要約】
【課題】ブラシの面内における圧力分布を考慮することにより、基板の面内における清浄度の均一性を向上できる。
【解決手段】制御部は、面内圧力分布検出部SPDによる圧力分布に基づいて、基板の径方向におけるブラシ99の位置に応じて、押し圧機構により押し圧を調整するように制御する。これにより、ブラシ99が基板の径方向におけるブラシ99の位置に応じて偏って作用していても、ブラシ99の位置に関わらず、基板の上面から見たブラシ99により作用する力をほぼ均等にできる。よって、基板の面内における清浄度の均一性を向上できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対する洗浄処理を行うブラシにおいて、
基板に作用するブラシ本体と、
前記ブラシ本体を取り付けられるブラシホルダと、
前記ブラシ本体と前記ブラシホルダとの間に配置され、前記ブラシ本体への圧力を検出するものであって、基板に作用する前記ブラシ本体の面内における圧力分布を検出する面内圧力分布検出部と、
を備えていることを特徴とするブラシ。
【請求項2】
基板に対してブラシを作用させて洗浄処理を行う基板処理装置において、
基板を水平姿勢で保持するとともに、基板を回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された基板の上面に作用するものであって、基板に作用するブラシ本体と、前記ブラシ本体を取り付けられるブラシホルダとを備えたブラシと、
前記ブラシを先端部に備え、前記回転保持部に保持されている基板の回転中心と周縁部との間で、前記ブラシを基板の径方向に移動させる洗浄アームと、
前記ブラシを基板に向けて押し圧で付勢する押し圧機構と、
前記ブラシ本体と前記ブラシホルダとの間に配置され、前記ブラシ本体への圧力を検出するものであって、基板に作用する前記ブラシ本体の面内における圧力分布を検出する面内圧力分布検出部と、
前記圧力分布に基づいて、基板の径方向における前記ブラシの位置に応じて、前記押し圧機構により前記押し圧を調整するように制御する制御部と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記ブラシにより基板に付与される単位面積当たりの荷重が基板の径方向において一定となるように前記押し圧を調整することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記圧力分布のうち、ほぼ同じ圧力である面積を同圧面積とし、前記ブラシが基板の中央に位置している場合における同圧面積を基準同圧面積とし、前記同圧面積が前記基準同圧面積よりも減少している場合には、前記押し圧機構を操作して、前記同圧面積の減少度合いに応じて前記ブラシへの押し圧を減少させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記基準同圧面積が所定値を下回る場合には、前記ブラシ本体が前記ブラシホルダに対して正常に取り付けられていないと判断することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記回転保持部による基板の回転速度と、前記ブラシの自転速度と、前記洗浄アームの移動速度とのうち、少なくとも一つをさらに調整することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
基板に作用するブラシ本体と、前記ブラシ本体を取り付けられるブラシホルダとを備えたブラシと、前記ブラシを先端部に備え、基端部で移動可能な洗浄アームとにより、前記ブラシに押し圧を付与して基板の中心と周縁部との間で移動させて基板を洗浄する際のブラシの押し圧制御方法において、
基板に作用する前記ブラシ本体の面内における圧力分布を検出する圧力分布検出過程と、
前記圧力分布に基づいて、基板の径方向における前記ブラシの位置に応じて、前記押し圧を調整する押し圧調整過程と、
を実施することを特徴とするブラシの押し圧制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示用や有機EL(Electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板を洗浄処理する際に基板に作用させるブラシ及びそれを備えた基板処理装置並びにブラシの押し圧制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、回転保持部と、ノズルと、ブラシと、重量センサと、洗浄アームとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。回転保持部は、基板を保持し、基板を水平面内で回転する。ノズルは、基板の上面に洗浄液を供給する。洗浄アームは、ブラシを先端部に備え、ブラシを鉛直軸周りに回転させる。洗浄アームは、基端部を軸にブラシを基板の上面で揺動する。このとき、洗浄アームが内蔵する押し圧機構により、ブラシに目標荷重を付与して洗浄が行われる。重量センサは、ブラシに内蔵されている。重量センサは、ブラシの押し圧を検出する。これにより、ブラシによる押し圧が目標荷重となるように押し圧機構を操作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-40943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
【0005】
ところで、基板には、種々の熱処理を含むプロセスを経てデバイスが形成される。その過程において、基板は、面方向における熱膨張率に差異が生じることなどが主な原因となって、中央部に対して周縁部が一方面側に反ることがある。このように反った基板をブラシで洗浄すると、基板の中央部と周縁部とで清浄度に差異が生じる。つまり、基板の径方向において清浄度に差異が生じる。
【0006】
基板の中央部では、ブラシの下面全体が基板面に作用する。その一方、基板の周縁部では、基板面が傾斜しているので、ブラシの下面の一部のみが基板面に作用する。つまり、周縁部におけるブラシの接触面積は、中央部におけるブラシの接触面積よりも小さくなる。そのため、重量センサによりブラシによる押し圧が目標荷重となるように押し圧機構を操作すると、単位面積当たりの荷重が周縁部において中央部よりも大きくなる。換言すると、基板面から見た場合に、ブラシ本体が作用する力が周縁部ほど大きくなる。基板面から見た場合に、ブラシ本体により作用する力が基板の径方向において差異を生じる。
【0007】
その結果、従来の装置は、基板の径方向においてパーティクルの除去率に差異が生じるという問題がある。換言すると、清浄度が基板の面内において不均一となる。また、ブラシの接触面積が小さいときには、単位面積当たりの荷重が過剰となる。そのためブラシの傷みが激しくなってブラシが使用できる時間(ブラシライフ)が短くなる別異の問題も生じる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ブラシの面内における圧力分布を考慮することにより、基板の面内における清浄度の均一性を向上できるブラシ及びそれを備えた基板処理装置並びにブラシの押し圧制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に対する洗浄処理を行うブラシにおいて、基板に作用するブラシ本体と、前記ブラシ本体を取り付けられるブラシホルダと、前記ブラシ本体と前記ブラシホルダとの間に配置され、前記ブラシ本体への圧力を検出するものであって、基板に作用する前記ブラシ本体の面内における圧力分布を検出する面内圧力分布検出部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、面内圧力分布検出部により、ブラシ本体の面内における圧力分布を検出する。これによりブラシ本体が基板面に対して偏って作用しているか否かを判断できる。そして 、その判断結果をブラシ本体の基板面に対する押し圧の調整に利用することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、基板に対してブラシを作用させて洗浄処理を行う基板処理装置において、基板を水平姿勢で保持するとともに、基板を回転させる回転保持部と、前記回転保持部に保持された基板の上面に作用するものであって、基板に作用するブラシ本体と、前記ブラシ本体を取り付けられるブラシホルダとを備えたブラシと、前記ブラシを先端部に備え、前記回転保持部に保持されている基板の回転中心と周縁部との間で、前記ブラシを基板の径方向に移動させる洗浄アームと、前記ブラシを基板に向けて押し圧で付勢する押し圧機構と、前記ブラシ本体と前記ブラシホルダとの間に配置され、前記ブラシ本体への圧力を検出するものであって、基板に作用する前記ブラシ本体の面内における圧力分布を検出する面内圧力分布検出部と、前記圧力分布に基づいて、基板の径方向における前記ブラシの位置に応じて、前記押し圧機構により前記押し圧を調整するように制御する制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
[作用・効果]請求項2に記載の発明によれば、制御部は、面内圧力分布検出部による圧力分布に基づいて、基板の径方向におけるブラシの位置に応じて、押し圧機構により押し圧を調整するように制御する。これにより、ブラシ本体が径方向におけるブラシの位置に応じて偏って作用していても、ブラシの位置に関わらず、基板面から見たブラシ本体により作用する力をほぼ均等にできる。よって、基板の面内における清浄度の均一性を向上できる。
【0013】
また、本発明において、前記制御部は、前記ブラシにより基板に付与される単位面積当たりの荷重が基板の径方向において一定となるように前記押し圧を調整することが好ましい(請求項3)。
【0014】
基板に付与される単位面積当たりの荷重が基板の径方向において一定となるように押し圧を調整する。したがって、ブラシの位置に関わらず、基板面から見たブラシ本体により作用する力をほぼ均等にできる。
【0015】
また、本発明において、前記制御部は、前記圧力分布のうち、ほぼ同じ圧力である面積を同圧面積とし、前記ブラシが基板の中央に位置している場合における同圧面積を基準同圧面積とし、前記同圧面積が前記基準同圧面積よりも減少している場合には、前記押し圧機構を操作して、前記同圧面積の減少度合いに応じて前記ブラシへの押し圧を減少させることが好ましい(請求項4)。
【0016】
同圧面積が基準同圧面積よりも減少している場合には、ブラシ本体の基板面へ作用している面積(接触面積)が減少していることを示す。これは、単位面積当たりの荷重が大きくなっていることを示す。そこで、押し圧機構を操作して、同圧面積の減少度合いに応じてブラシへの押し圧を減少させる。これにより、ブラシの位置に関わらず、基板面から見たブラシ本体により作用する力をほぼ均等にできる。
【0017】
また、本発明において、前記制御部は、前記基準同圧面積が所定値を下回る場合には、前記ブラシ本体が前記ブラシホルダに対して正常に取り付けられていないと判断することが好ましい(請求項5)。
【0018】
ブラシ本体がブラシホルダに傾斜した姿勢で誤って取り付けられると、基板の中央における基準同圧面積が所定値を下回る。そこで、制御部は、ブラシ本体が正常に取り付けられていないと判断できる。これにより、正常に洗浄が行われないと判断できるので、処理を停止するなどの対策を行うことができる。
【0019】
また、本発明において、前記制御部は、前記回転保持部による基板の回転速度と、前記ブラシの自転速度と、前記洗浄アームの移動速度とのうち、少なくともいずれか一つをさらに調整することが好ましい(請求項6)。
【0020】
押し圧機構による押し圧の調整に加え、回転保持部による基板の回転速度と、ブラシの自転速度と、洗浄アームの移動速度とのうち、少なくとも一つをさらに調整する。したがって、押し圧の調整だけでは調整しきれない清浄度の不均一さを抑制できる。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、基板に作用するブラシ本体と、前記ブラシ本体を取り付けられるブラシホルダとを備えたブラシと、前記ブラシを先端部に備え、基端部で移動可能な洗浄アームとにより、前記ブラシに押し圧を付与して基板の中心と周縁部との間で移動させて基板を洗浄する際のブラシの押し圧制御方法において、基板に作用する前記ブラシ本体の面内における圧力分布を検出する圧力分布検出過程と、前記圧力分布に基づいて、基板の径方向における前記ブラシの位置に応じて、前記押し圧を調整する押し圧調整過程と、を実施することを特徴とするものである。
【0022】
[作用・効果]請求項7に記載の発明によれば、圧力分布検出過程では、ブラシ本体の面内における圧力分布を検出する。押し圧調整過程では、検出された圧力分布に基づいて、基板の径方向におけるブラシの位置に応じて前記押し圧を調整する。したがって、ブラシの面内における圧力分布の偏りに関わらず、基板面から見た場合に、ブラシ本体が基板面に均等に作用するように押し圧を調整する。その結果、基板面から見たブラシ本体により作用する力をほぼ均等にできる。よって、基板の面内における清浄度の均一性を向上できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る基板処理装置によれば、制御部は、面内圧力分布検出部による圧力分布に基づいて、基板の径方向におけるブラシの位置に応じて、押し圧機構により押し圧を調整するように制御する。これにより、ブラシ本体が径方向におけるブラシの位置に応じて偏って作用していても、ブラシの位置に関わらず、基板面から見たブラシ本体により作用する力をほぼ均等にできる。よって、基板の面内における清浄度の均一性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図2図1の基板処理装置を後方Xから見た図である。
図3】実施例に係る裏面洗浄ユニットの概略構成を示す平面図である。
図4】裏面洗浄ユニットの概略構成を示す側面図である。
図5】洗浄アームの縦断面図である。
図6】面内圧力分布検出部の構成を示す図である。
図7】裏面洗浄ユニットの制御系を示すブロック図である。
図8】反った基板の中央部と周縁部とにおけるブラシの作用状態を説明する模式図である。
図9】予め行う前処理を示すフローチャートである。
図10】(a)は、電空レギュレータの開度と電子天秤の荷重の関係を示し、(b)は、電空レギュレータの二次側圧力と開度の関係を示し、(c)は、押し圧用アクチュエータの荷重と電空レギュレータの二次側圧力との関係を示すグラフである。
図11】洗浄処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。図2は、図1の基板処理装置を後方Xから見た図である。
【0026】
<1.全体構成>
【0027】
基板処理装置1は、搬入出ブロック3と、インデクサブロック5と、処理ブロック7とを備えている。
【0028】
基板処理装置1は、基板Wを処理する。基板処理装置1は、例えば、基板Wに対して洗浄処理を行う。基板処理装置1は、処理ブロック7において枚葉式で基板Wを処理する。枚葉式は、一枚の基板Wを水平姿勢の状態で一枚ずつ処理する。
【0029】
本明細書では、便宜上、搬入出ブロック3と、インデクサブロック5と、処理ブロック7とが並ぶ方向を、「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは水平である。前後方向Xのうち、処理ブロック7から搬入出ブロック3に向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前後方向Xと直交する水平方向を、「幅方向Y」と呼ぶ。「幅方向Y」の一方向を適宜に「右方」と呼ぶ。右方とは反対の方向を「左方」と呼ぶ。水平方向に対して垂直な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。各図では、参考として、前、後、右、左、上、下を適宜に示す。
【0030】
<2.搬入出ブロック>
【0031】
搬入出ブロック3は、投入部9と払出部11とを備えている。投入部9と払出部11は、幅方向Yに配置されている。基板Wは、複数枚(例えば、25枚)が一つのキャリアC内に水平姿勢で一定の間隔をおいて積層収納されている。未処理の基板Wを収納したキャリアCは、投入部9に載置される。投入部9は、例えば、キャリアCが載置される載置台13を二つ備えている。キャリアCは、基板Wの面同士を離間して、基板Wを一枚ずつ収容する溝(図示省略)が複数個形成されている。キャリアCは、例えば、基板Wの表面を上に向けた姿勢で収容する。キャリアCとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unify Pod)がある。FOUPは、密閉型容器である。キャリアCは、開放型容器でもよく、種類を問わない。
【0032】
払出部11は、基板処理装置1における幅方向Yの中央部を挟んだ投入部9の反対側に配備されている。払出部11は、投入部9の左方Yに配置されている。払出部11は、処理済みの基板WをキャリアCに収納してキャリアCごと払い出す。このように機能する払出部11は、投入部9と同様に、例えば、キャリアCを載置するための二つの載置台13を備えている。投入部9と払出部11とは、ロードポートとも呼ばれる。
【0033】
<3.インデクサブロック>
【0034】
インデクサブロック5は、基板処理装置1における搬入出ブロック3の後方Xに隣接して配置されている。インデクサブロック5は、インデクサロボットIRと、受渡部15とを備えている。
【0035】
インデクサロボットIRは、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。インデクサロボットIRは、幅方向Yに移動可能に構成されている。インデクサロボットIRは、第1のハンド19と、第2のハンド21とを備えている。図1では、図示の関係上、一つのハンドのみを示す。第1のハンド19と、第2のハンド21とは、それぞれ1枚の基板Wを保持する。第1のハンド19と第2のハンド21とは、独立して前後方向Xに進退可能に構成されている。インデクサロボットIRは、幅方向Yに移動するとともに鉛直方向Z周りに回転し、第1のハンド19や第2のハンド21を進退させて各カセットCとの間で基板Wを受け渡す。同様にして、インデクサロボットIRは、受渡部15との間で基板Wを受け渡す。
【0036】
受渡部15は、インデクサブロック5のうち、処理ブロック7との境界に配置されている。受渡部15は、例えば、幅方向Yの中央部に配置されている。図2に示すように、受渡部15は、鉛直方向Zに長く形成されている。
【0037】
受渡部15は、鉛直方向Zの下方から上方に向かって、第1反転ユニット23と、パス部25と、パス部27と、第2反転ユニット29とを備えている。
【0038】
第1反転ユニット23は、インデクサブロック5から受け取った基板Wの上下を反転させる。第1反転ユニット23は、基板Wの水平姿勢を反転させる。具体的には、第1反転ユニット23は、表面が上に向けられた基板Wを、表面が下に向けられた姿勢に変換する。換言すると、裏面が上に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。
【0039】
第2反転ユニット29は、その逆の動作を行う。つまり、第2反転ユニット29は、処理ブロック7から受け取った基板Wの上下を反転させる。第2反転ユニット29は、表面が下に向けられた基板Wを、表面が上に向けられた姿勢に変換する。換言すると、裏面が下に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。
【0040】
上記の第1反転ユニット23と第2反転ユニット29の反転方向は、互いに逆であってもよい。つまり、第1反転ユニット23は、表面が上に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。第2の反転ユニット29は、裏面が上に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。
【0041】
パス部25,27は、インデクサロブロック5と処理ブロック7との間で基板Wの受け渡しを行うために利用される。パス部25は、例えば、処理ブロック7からインデクサブロック5に基板Wを搬送するために用いられる。パス部27は、例えば、インデクサブロック5から処理ブロック7に基板Wを搬送するために用いられる。なお、パス部25,27における基板Wの搬送方向は、互いに逆方向であってもよい。
【0042】
<4.処理ブロック>
【0043】
処理ブロック7は、例えば、基板Wに対して洗浄処理を行う。洗浄処理は、例えば、処理液に加えてブラシを用いた処理である。処理ブロック7は、図1に示すように、例えば、幅方向Yにおいて、第1列R1と、第2列R2と、第3列R3に分けられる。詳細には、第1列R1は、左方Yに配置されている。第2列R2は、幅方向Yの中央部に配置されている。換言すると、第2列R2は、第1列R1の右方Yに配置されている。第3列R3は、第2列R2の右方Yに配置されている。
【0044】
<4-1.第1列>
【0045】
処理ブロック7の第1列R1は、複数個の処理ユニット31を備えている。第1列R1は、例えば、4個の処理ユニット31を備えている。第1列R1は、4個の処理ユニット31を鉛直方向Zに積層して配置されている。各処理ユニット31については、詳細を後述する。各処理ユニット31は、例えば、洗浄ユニットである。洗浄ユニットは、基板Wを洗浄処理する。洗浄ユニットとしては、基板Wの表面を洗浄処理する表面洗浄ユニットと、基板Wの裏面を洗浄処理する裏面洗浄ユニットとがある。本実施例では、処理ユニット31として裏面洗浄ユニットSSRを例にとって説明する。
【0046】
<4-2.第2列>
【0047】
処理ブロック7の第2列R2は、センターロボットCRを備えている。センターロボットCRは、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。センターロボットCRは、鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。センターロボットCRは、例えば、第1のハンド33と第2のハンド35とを備えている。第1のハンド33と第2のハンド35とは、それぞれ1枚の基板Wを保持する。第1のハンド33と第2のハンド35とは、独立して前後方向X及び幅方向Yに進退可能に構成されている。
【0048】
<4-3.第3列>
【0049】
処理ブロック7の第3列R3は、第1列R1と同様の構成である。つまり、第3列R3は、複数個の処理ユニット31を備えている。第3列R3は、例えば、4個の処理ユニット31を備えている。第3列R3は、4個の処理ユニット31を鉛直方向Zに積層して配置されている。第1列R1の各処理ユニット31と第3列R3の各処理ユニット31とは、幅方向Yにおいて対向して配置されている。これにより、センターロボットCRが鉛直方向Zの同じ高さにおいて第1列R1と第3列R3との対向する各処理ユニット31にアクセスできる。
【0050】
処理ブロック7は、上述したように構成されている。ここで、センターロボットCRの動作例を簡単に説明する。センターロボットCRは、例えば、第1反転ユニット23から基板Wを受け取る。センターロボットCRは、第1列R1及び第3列R3のいずれかの裏面洗浄ユニットSSRに基板Wを搬送して基板Wの裏面に洗浄処理を行わせる。センターロボットCRは、第1列R1及び第3列Rのいずれかの裏面洗浄ユニットSSRで洗浄処理が行われた基板Wを受け取る。センターロボットCRは、第2反転ユニット29に基板Wを搬送する。
【0051】
<4-4.処理ユニット>
【0052】
ここで、図3図5を参照して、裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)について説明する。図3は、実施例に係る裏面洗浄ユニットの概略構成を示す平面図である。図4は、裏面洗浄ユニットの概略構成を示す側面図である。図5は、洗浄アームの縦断面図である。
【0053】
なお、ここでは、第1列R1が備えている裏面洗浄ユニットSSRを例にとって説明する。第3列R3の裏面洗浄ユニットSSRは、幅方向Yにおける配置を入れ換えたような構成となる。
【0054】
裏面洗浄ユニットSSRは、回転保持部37と、ガード39と、第1の処理液アーム41と、第2の処理液アーム43と、洗浄アーム45と、待機ポット47とを備えている。
【0055】
回転保持部37は、平面視において裏面洗浄ユニットSSRのほぼ中央に配置されている。回転保持部37は、基板Wを水平姿勢に保持した状態で、基板Wを水平面内で回転させる。回転保持部37は、電動モータ49と、回転軸51と、スピンチャック53と、支持ピン55とを備えている。
【0056】
電動モータ49は、回転軸51が鉛直方向Zに向けられた姿勢で配置されている。回転軸51は、上端にスピンチャック53が取り付けられている。スピンチャック53は、基板Wの直径よりやや大きな直径を有する。スピンチャック53は、円形状の板状部材である。スピンチャック53は、複数個の支持ピン55を備えている。この実施例では、例えば、6個の支持ピン55を備えている。6個の支持ピン55は、基板Wの外周縁に当接して基板Wを水平姿勢で支持する。複数個の支持ピン55は、基板Wを水平姿勢で安定して支持できれば、支持ピン55の個数は6個に限定されない。6個の支持ピン55は、スピンチャック53における基板Wの外周縁付近に立設されている。6個の支持ピン55は、基板Wをスピンチャック53に搬入する際と、基板Wをスピンチャック53から搬出する際には、基板Wの周縁の保持を解除する。そのため、各支持ピン55は、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。その動作を行うための具体的な構成の説明については省略する。回転保持部37は、電動モータ49を回転すると、回転中心P1周りにスピンチャック53を回転する。回転中心P1は、鉛直方向Zである。
【0057】
<4-4-2.ガード>
【0058】
ガード39は、平面視にて回転保持部37を囲うように配置されている。詳細には、ガード39は、円筒状の胴部57と、傾斜部59とを備える。ガード39は、鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。ガード39は、下降した待機位置と、待機位置より上方の処理位置とに昇降可能である。ガード39を昇降する具体的な構成の説明については省略する。
【0059】
ガード39の胴部57は、筒状を呈する。胴部57は、内周面が回転保持部37の外周側から外方に離間して配置されている。傾斜部59は、胴部57の上部から回転軸51側に近づくように絞り込まれている。傾斜部59は、上部に開口部61を有する。開口部61は、傾斜部59の中央部に形成されている。開口部61は、基板Wの直径より大きい。開口部61は、スピンチャック53の直径より大きい。基板Wの搬入出の際には、ガード39は、鉛直方向Zにおいて、スピンチャック53が開口部61から上方へ突出する位置にまで下降される。基板Wの洗浄処理の際には、ガード39は、スピンチャック53に保持された基板Wの高さ付近に傾斜部59が位置する。傾斜部59は、傾斜した内周面にて基板Wから周囲に飛散した処理液などをガード39の下方へ案内する。
【0060】
<4-4-3.第1の処理液アーム>
【0061】
第1の処理液アーム41は、平面視で回転保持部37の後方Xに配置されている。第1の処理アーム41は、基端部側に電動モータ42を備えている。第1の処理液アーム41は、電動モータ42によって基端部側の回転中心P2周りに揺動される。回転中心P2は、鉛直方向Zである。第1の処理液アーム41は、1本のノズル63を備えている。ノズル63は、下方に吐出口を備えている。ノズル63は、処理液を吐出する。第1の処理液アーム41は、ノズル63の先端部が図3に示す待機位置と、回転中心P1付近の供給位置とにわたって揺動可能に構成されている。第1の処理液アーム41は、処理液を基板Wに供給する際には、ノズル63の先端部が供給位置に移動される。第1の処理液アーム41は、処理液を基板Wに供給しない場合には、ノズル63の先端部が待機位置に移動される。第1の処理液アーム41は、処理液を基板Wに供給する際に、洗浄アーム45と干渉しないように、ノズル63を基板Wの上方で揺動移動するようにしてもよい。
【0062】
ノズル63から吐出する処理液としては、例えば、リンス液が挙げられる。リンス液としては、例えば、純水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水などが挙げられる。
【0063】
<4-4-4.第2の処理液アーム>
【0064】
第2の処理液アーム43は、平面視で回転保持部37の左方Yに配置されている。第2の処理液アーム41は、基端部側に電動モータ44を備えている。第2の処理液アームは、電動モータ44によって基端部側の回転中心P3周りに揺動される。回転中心P3は、鉛直方向Zである。第2の処理液アーム43は、3本のノズル65,67,69を備えている。各ノズル65,67,69は、下方に吐出口を備えている。ノズル65,67,69は、処理液を吐出する。第2の処理液アーム43は、ノズル65,67,69の先端部が図3に示す待機位置と、回転中心P1付近の供給位置とにわたって揺動可能に構成されている。第2の処理液アーム43は、処理液を基板Wに供給する際には、ノズル65,67,69の先端部が供給位置に移動される。第2の処理液アーム43は、処理液を基板Wに供給しない場合には、ノズル65,67,69の先端部が待機位置に移動される。第2の処理液アーム43は、処理液を基板Wに供給する際に、洗浄アーム45と干渉しないように、ノズル65,67,69を基板Wの上方で揺動移動するようにしてもよい。
【0065】
ノズル65,67,69から吐出する処理液としては、例えば、薬液が挙げられる。薬液としては、例えば、硫酸、硝酸、酢酸、塩酸、フッ化水素酸、アンモニア水、過酸化水素水のうち少なくとも1つを含む薬液である。より具体的な薬液としては、例えば、アンモニア水と過酸化水素水との混合液であるSC-1などを用いることができる。
【0066】
<4-4-5.洗浄アーム>
【0067】
洗浄アーム45は、次のように構成されている。
【0068】
洗浄アーム45は、回転昇降機構71と、支柱73と、筐体75と、洗浄部77とを備えている。
【0069】
回転昇降機構71は、支柱73と、筐体75と、洗浄部77とを鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。回転昇降機構71は、支柱73と、筐体75と、洗浄部77とを回転中心P4周りに揺動可能に構成されている。具体的には、回転昇降機構71は、例えば、電動モータとエアシリンダとを組み合わせて構成されている。回転昇降機構71は、待機位置において洗浄部77を待機ポット47から鉛直方向Zに上昇させる。回転昇降機構71は、洗浄部77が回転中心P1付近を通るように水平面内で洗浄部77を揺動(移動)させる。
【0070】
支柱73は、円柱状を呈する。支柱73は、回転昇降機構71に下部が連結されている。支柱73は、上部が筐体75の一方の下部に連結されている。筐体75は、水平面内に長軸を有する。筐体75は、他方の下部に洗浄部77を備えている。洗浄部77は、回転中心P5周りに回転される。回転中心P5は、鉛直方向Zである。
【0071】
筐体75は、下部筐体75aと、上部筐体75bとを備えている。下部筐体75aは、筐体75の下部を構成する。上部筐体75bは、筐体75の上部を構成する。上部筐体75bと下部筐体75aとは、互いに連結されている。
【0072】
筐体75は、押し圧機構81と、回転機構83とを備えている。具体的には、下部筐体75aは、押し圧機構81と、回転機構83とを搭載している。
【0073】
押し圧機構81は、支点部材85と、シーソー部材87と、押し圧用アクチュエータ89と、支持機構91とを備えている。
【0074】
支点部材85は、下部筐体75aの上面に取り付けられている。支点部材85は、下部筐体75aの前後方向Xにおけるほぼ中央部に立設されている。支点部材85は、上部に揺動軸85aを備えている。揺動軸85aは、幅方向Y周りに回転可能である。シーソー部材87は、中央部87cが揺動軸85aを介して支点部材85に揺動可能に取り付けられている。シーソー部材87は、一方側87l(作用点部)と他方側87r(力点部)の両端が鉛直方向Zに交互に昇降可能である。シーソー部材87は、揺動軸85aが支点となる。
【0075】
押し圧用アクチュエータ89は、作動片89aが鉛直方向Zに向けて配置されている。押し圧用アクチュエータ89は、作動軸89aを伸長させることでシーソー部材87の一方側87lを上昇させる。押し圧用アクチュエータ89は、例えば、エアベアリングアクチュエータが好ましい。
【0076】
エアベアリングアクチュエータは、作動軸89aが空気により微小隙間をおいて進退可能に支持されている。そのため、理論上は、作動軸89aの摺動抵抗がゼロになり摩擦が生じない。そのため、エアベアリングアクチュエータは、通常のエアシリンダに比較して、微小な空気圧でも作動軸89aを進退させることができる。したがって、空気圧に応じてリニアに進退させることが可能である。但し、押し圧用アクチュエータ89として、通常のエアシリンダを使用することもできる。
【0077】
前後方向Xにおいて、支点部材85を挟んだ押し圧用アクチュエータ89の反対側には、支持機構91が設けられている。支持機構91は、洗浄部77を支持する。支持機構91は、筐体75の下方に洗浄部77を懸垂支持する。
【0078】
支持機構91は、保持部材93と、付勢部95と、ガイド部97とを備えている。
【0079】
支持機構91は、洗浄部77を懸垂支持する。洗浄部77は、ブラシ99と、ブラシホルダ101とを備えている。ブラシ99は、基板Wに作用して洗浄を行う。ブラシホルダ101は、ブラシ99を保持する。ブラシホルダ101は、ブラシ99を着脱自在に保持する。ブラシホルダ101は、平面視における中心部に回転軸103が取り付けられている。回転軸103は、ブラシホルダ101から鉛直方向Zに延出されている。ブラシ99は、洗浄アーム45に保持されて、基板Wの回転中心P1付近を通る様に水平面内で移動する。
【0080】
保持部材93は、回転軸103を回転自在に保持する。回転軸103は、例えば、スプライン軸で構成されている。回転軸103は、スプラインナット103aを介して保持部材93に取り付けられている。回転軸103は、スプラインナット103aに対して鉛直方向Zに移動可能である。保持部材93は、鉛直方向Z周りに回転可能な状態でスプラインナット103aを保持する。スプラインナット103aは、図示しないベアリングを介して保持部材93に取り付けられている。回転軸103は、回転中心P5周りに回転可能である。保持部材93の上部に突出したスプラインナット103aには、プーリ105が取り付けられている。プーリ105は、スプラインナット103aの外周面に固定されている。プーリ105が回転すると、スプラインナット103aが回転し、これとともに回転軸103も同じ方向に回転する。
【0081】
プーリ105の上部には、付勢部95が配置されている。付勢部95は、上部保持部107と、下部保持部109と、コイルバネ111とを備えている。上部保持部107は、回転軸103の上部側にベアリング(不図示)を介して取り付けられている。換言すると、上部保持部107は、回転軸103が回転しても静止したままである。下部保持部109は、上部保持部107から離間して配置されている。下部保持部109は、上部保持部107の下方であって、プーリ105の上部に配置されている。下部保持部109は、内周面が回転軸103の外周面から離間して配置されている。したがって、下部保持部109は、回転軸103が回転しても静止したままである。また、下部保持部109は、プーリ105の上面にベアリングを介して取り付けられている。したがって、下部保持部109は、プーリ105の回転に影響を受けない。
【0082】
コイルバネ111は、上部保持部107と下部保持部109とに取り付けられている。コイルバネ111は、上部保持部107に上端が固定されている。コイルバネ111は、下部保持部109に下端が固定されている。コイルバネ111は、例えば、円筒形状を呈する。コイルバネ111は、圧縮コイルバネである。したがって、プーリ105の上面及び下部保持部109から上方に上部保持部107が付勢される。その結果、回転軸103が鉛直方向Zの上方へ付勢される。そのため、押し圧用アクチュエータ89が作動していない通常状態においては、ブラシ99は、下部筐体75aの下面から一定の高さに維持される。換言すると、通常状態においては、ブラシ99による荷重はゼロである。
【0083】
支持機構91は、鉛直方向Zへ昇降する回転軸103を支持する。支持機構91は、リニアガイド113と、軸保持部115とを備えている。リニアガイド113は、保持部材93に隣接して配置されている。リニアガイド113は、鉛直方向Zに立設されている。リニアガイド113は、レール113aとキャリッジ113bとを備えている。レール113aは、鉛直方向Zに長手方向が配置されている。レール113aは、キャリッジ113bが鉛直方向Zへ移動可能に取り付けられている。キャリッジ113bは、シーソー部材87の他方側87rの下方に配置されている。キャリッジ113bは、シーソー部材87の他方側87rが下降した際に当接する位置に配置されている。
【0084】
軸保持部115は、回転軸103の上部を保持する。軸保持部115は、回転軸103が回転することを許容した状態で保持する。軸保持部115は、例えば、図示しないベアリングを介して回転軸103を保持する。キャリッジ113bは、軸保持部115に連結されている。コイルバネ111の付勢力より強い駆動力で押し圧用アクチュエータ89が作動軸89aを上昇させると、一方側87l(作用点部)が上昇する。一方側87lが上昇すると、他方側87r(力点部)が下降する。このとき、他方側87rがキャリッジ113bを軸保持部115とともに下降させる。すると、回転軸103が下降し、ブラシ99が所定位置から下方へ移動する。このようにして押し圧用アクチュエータ89を駆動すると、押し圧用アクチュエータ89の駆動力に応じた押し圧がブラシ99に付与される。
【0085】
支持機構91に隣接して回転機構83が配置されている。回転機構83は、支点部材85側に配置されている。回転機構83は、取付部材117と、電動モータ119とを備えている。取付部材117は、下部筐体75aの底面から電動モータ119を上方に離間して配置する。電動モータ119は、回転軸が鉛直方向Zの下方に向けて配置されている。電動モータ119は、回転中心P6周りに回転軸を回転する。回転中心P6は、鉛直方向Zにおいて回転中心P5とほぼ平行である。電動モータ119は、回転軸にプーリ121が取り付けられている。プーリ121とプーリ105とには、タイミングベルト123が架け渡されている。したがって、電動モータ119が回転されると、タイミングベルト123と、プーリ105,121と、スプラインナット103aとを介して回転軸103が回転中心P5周りに回転される。このように回転軸103が回転されても、回転軸103は鉛直方向Zに昇降可能である。
【0086】
上述したように洗浄アーム45が構成されている。つまり、押し圧用アクチュエータ89の動作がシーソー部材87の一方側87l(力点部)を介して他方側87r(作用点部)に付与される。したがって、シーソー部材87を備えることにより、押し圧用アクチュエータ89の配置の自由度が高められる。したがって、基板処理装置1の高さを抑制できる。その結果、基板処理装置1を多段に積層する配置を容易に実現できる。
【0087】
ここで、ブラシ99が昇降する高さについて説明する。
【0088】
上述したシーソー部材87は、押し圧用アクチュエータ89によって揺動される。例えば、押し圧用アクチュエータ89は、後述するように目標荷重に応じて操作される。この操作により、ブラシ99が鉛直方向Zに移動される。具体的には、ブラシ99は、次のような高さに昇降される。
【0089】
(1)無荷重高さH1:ブラシ99が基板Wに作用しない鉛直方向Zの高さである。この無荷重高さH1は、以下の他の高さよりも高い。洗浄時を除いた通常時は、この無荷重高さH1にブラシ99が位置している。
【0090】
(2)作用高さH2:ブラシ99を所定の荷重で基板Wに作用させるための鉛直方向Zの高さである。無荷重高さH1より低い高さである。基板Wに対して洗浄処理を行う際には、この作用高さH2にブラシ99を下降させる。但し、この位置は、ブラシ99に所定の荷重を付与し、基板Wからの反力と荷重とが釣り合った際の高さである。
【0091】
(3)最大押し込み高さH3:作用高さH2よりも低い高さである。ブラシ99が鉛直方向Zにおいて最も低く移動した位置である。この最大押し込み高さH3は、押し圧機構81の構造により決まる位置である。ブラシ99は、この最大押し込み高さH3より下方に移動できない。
【0092】
<4-4-6.面内圧力分布検出部>
【0093】
ここで、図4図6を参照する。図6は、面内圧力分布検出部の構成を示す図である。
【0094】
上述したように洗浄部77は、ブラシ99とブラシホルダ101とを備えている。ブラシ99は、中央部が下方へ突出した先端部99aを備える。ブラシ99は、下方へ凸状の形状を呈する。先端部99aは、ブラシ99と同心円となるように形成されている。
【0095】
なお、上述したブラシ99が本発明における「ブラシ本体」に相当する。
【0096】
図4及び図5に示すように、洗浄部77は、面内圧力分布検出器SPDを備えている。ブラシホルダ101は、その下面に面内圧力分布検出器SPDを備えている。ブラシ99は、その上面に面内圧力分布検出器SPDを備えている。面内圧力検出器SPDは、ブラシホルダ101とブラシ99との間に設けられている。詳細には、ブラシホルダ101の天井面であって、ブラシ99の上面に臨む位置に面内圧力分布検出部SPDを取り付けられている。
【0097】
面内圧力検出器SPDは、ブラシ99の先端部99a(突出部)へ付与される圧力を検出する。詳細には、面内圧力検出器SPDは、ブラシ99に付与される圧力について、ブラシ99の下面に付与される圧力分布を検出する。面内圧力検出部SPDは、荷重を測定するものではなく、圧力分布を検出するものである。上述した押し圧機構81によって目標荷重がブラシ99に付与されると、基板Wの上面から先端部99aが受ける反力に応じて面内圧力検出器SPDが圧力分布を検出する。
【0098】
面内圧力検出器SPDは、例えば、図6に示すように構成されている。
【0099】
面内圧力検出器SPDは、検出部301と、読み出し部303と、A/D変換器305と、信号線307とを備えている。
【0100】
検出部301は、例えば、矩形状を呈する。検出部301は、ブラシ99の先端部99aの横断面を構成する円形状の円より大きく、ブラシ99の横断面を構成する円形状の円より小さい大きさを有する。検出部301は、先端部99aの横断面の面積より大きな面積を有する。検出部301は、例えば、次のように構成されている。
【0101】
検出部301は、柔軟性があるフィルムにインクで印刷されている。インクは、フィルムの行方向及び列方向に線状に印刷されている。換言すると、インクは、マトリクス状に印刷されている。インクは、感圧抵抗物質を含む材料で構成されている。フィルムの行方向及び列方向の交点は、感圧部分となる。行列方向の交点に圧力が加わると、圧力の大きさに応じてインクの抵抗値が変化する。ここでいう圧力は、圧力の絶対値ではない。ここでいう圧力は、圧力の強弱を表す数値である。検出部301から読み出される圧力は、圧力分布の傾向である。
【0102】
読み出し部303は、行方向及び列方向に配置されている。読み出し部303は、A/D変換器305に接続されている。A/D変換器305は、行列方向の読み出し部303を介しフィルムの各交点の圧力を順次に読み出す。読み出された各圧力に応じた信号は、信号線307により出力される。
【0103】
信号線307に読み出された信号は、回転軸103の縦穴103b及びスリップリング309を介して伝送される。縦穴103bは、回転軸103に形成されている。縦穴103bは、回転軸103の長軸に沿って穿たれている。信号線307は、縦穴103bに挿入されている。信号線307は、回転軸103の外周側に設けられたスリップリング309を介して洗浄アーム45に電気的に接続されている。これにより、圧力分布を示す信号は、自転しているブラシ99から静止している洗浄アーム45に伝達される。
【0104】
<4-5.制御系>
【0105】
ここで図7を参照する。図7は、裏面洗浄ユニットの制御系を示すブロック図である。
【0106】
上述したノズル63には、配管125の一端側が連通接続されている。配管125の他端側には、リンス液供給源127に連通接続されている。リンス液供給源127は、上述したリンス液を供給する。配管125は、流量制御弁129を備えている。流量制御弁129は、配管125におけるリンス液の流量を制御する。
【0107】
上述したノズル65には、配管131の一端側が連通接続されている。配管131の他端側には、処理液供給源133に連通接続されている。処理液供給源133は、上述した各種薬液のいずれかを供給する。配管131は、流量制御弁135を備えている。流量制御弁135は、配管131における薬液の流量を制御する。
【0108】
上述したノズル67には、配管137の一端側が連通接続されている。配管137の他端側には、処理液供給源139に連通接続されている。処理液供給源139は、上述した各種薬液のいずれかを供給する。配管137は、流量制御弁141を備えている。流量制御弁141は、配管139における薬液の流量を制御する。
【0109】
上述したノズル69には、配管143の一端側が連通接続されている。配管143の他端側には、処理液供給源145に連通接続されている。処理液供給源145は、上述した各種薬液のいずれかを供給する。配管143は、流量制御弁147を備えている。流量制御弁147は、配管143における薬液の流量を制御する。
【0110】
上述した押し圧用アクチュエータ89には、エア供給管149の一端側が連通接続されている。なお、押し圧用アクチュエータ89には、作動軸89aを微小な隙間で支持するためのエアが供給されるが、この配管等については省略する。エア供給管149の他端側には、エア供給源151が連通接続されている。エア供給源151は、例えば、エアを供給する。エアは、好ましくはドライエアである。エア供給源151は、他の装置にも連通接続されている。エア供給源151の供給圧力は、他の装置の稼動状態の影響を受ける。つまり、他の装置の稼働率が高くなると供給圧力が低下することがある。エア供給管149は、エア供給源151側から順に、開閉弁153と、一次側圧力計155と、電空レギュレータ157と、二次側圧力計159とを備えている。
【0111】
開閉弁153は、エア供給管149におけるエアの流通を許容または遮断する。一次側圧力計155は、電空レギュレータ157の上流側におけるエアの圧力を測定する。電空レギュレータ157は、入力信号に応じて内蔵する弁の開度を調整する。これにより、電空レギュレータ157は、エア供給管149におけるエアの圧力を調整する。詳細には、電空レギュレータ157は、与えられた入力信号に応じて弁開度を調整して一次側圧力を減じ、エア供給管149における二次側圧力とする。電空レギュレータ157は、エア供給管149における一次側圧力より高い二次側圧力に調整することはできない。電空レギュレータ157は、エア供給管149の一次側圧力以下に二次側圧力を調整する。電空レギュレータ157は、一次側圧力が所定値を越えている場合に、二次側圧力を所定値以下の範囲で調整できる。換言すると、電空レギュレータ157は、一次側圧力が所定値以下である場合には、二次側圧力を一定値以上に正確に調整できない事態が生じ得る。
【0112】
制御部161は、上述した各部を統括的に制御する。具体的には、制御部161は、投入部9及び払出部11における搬送動作、インデクサロボットIRの搬送動作、第1反転ユニット23及び第2反転ユニット29の反転動作、センターロボットCRの搬送動作などを制御する。制御部161は、裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)における電動モータ49の回転制御、ガード39の昇降動作、スピンチャック53における支持ピン55の開閉動作、電動モータ42,44の揺動動作、流量制御弁129,135,141,147の開閉動作、回転昇降機構71の揺動及び昇降動作、電動モータ119の回転動作、開閉弁153の開閉動作、電空レギュレータ157の開度動作を制御対象として操作を行う。
【0113】
制御部161は、図示しないCPU及びメモリを備えている。制御部161には、指示部163が接続されている。指示部163は、基板処理装置1のオペレータによって操作される。指示部163は、基板Wの処理の内容等を規定したレシピや、処理の開始や停止などをオペレータが指示するために用いられる。制御部161には、報知部165が接続されている。報知部165は、基板処理装置1に問題が生じた際にアラームを発生して、オペレータに問題の発生を報知する。報知部165は、例えば、表示装置、ランプ、ブザー、スピーカなどである。報知部165は、発生した問題の種別を確認できることが好ましい。制御部161は、入力ポートIPを備えている。入力ポートIPは、各種電子機器のデータを入力される。入力ポートIPから入力されたデータは、制御部161で処理されたり、記憶されたりする。
【0114】
制御部161は、面内圧力検出部SPDからブラシ99の面内における圧力に係る信号を受信する。制御部161は、例えば、面内圧力検出部SPDからの信号に基づいて、同じ圧力の交点及び交点の位置に基づいて、同じ圧力である面積(圧力分布)を算出する。詳細は後述するが、制御部161は、ある基板Wに対して洗浄処理が開始された際に、一度だけ圧力分布に基づくブラシ99の取付状態のチェックを行うことが好ましい。
【0115】
制御部161は、ブラシ99に目標荷重が付与されて洗浄処理が行われる際に、所定の周期で面内における圧力分布を受信する。所定の周期は、ブラシ99が基板Wの中央部から周縁部に移動する周期より非常に短い。所定の周期は、例えば、数十ms~数百msである。圧力分布を受信した制御部161は、圧力分布に応じて押し圧機構81を操作して、基板Wの径方向の位置に応じてブラシ99への押し圧を調整するために押し圧機構81を操作する。
【0116】
ここで、図8を参照する。図8は、反った基板の中央部と周縁部とにおけるブラシの作用状態を説明する模式図である。
【0117】
基板Wが反っていると、中央部CPと周縁部PPとでは、ブラシ99の作用状態に差異が生じる。ここでは、基板Wは、例えば、図8に示すように、基板Wの中央部CPに対して、基板Wの径方向に離れた周縁部PPが下方に垂れ下がっているものとする。換言すると、基板Wは、周縁部PPが中央部CPに対して下方に反っている。
【0118】
このような反りの基板Wに対して洗浄処理を行う場合、ブラシ99の先端部99aは、中央部CPでは下面のほぼ全面が基板Wの上面に作用する。つまり、目標荷重がブラシ99に付与されている場合、先端部99aのほぼ全面で目標荷重に応じた反力を受ける。換言すると、先端部99aのほぼ全面が同程度の圧力を受ける。
【0119】
ここで、図8中に、基板Wに作用するブラシ99の先端部99aにおける下面の面積を同圧面積として符号CAで表す(ハッチング領域)。中央部CPの場合を同圧面積CA1とする。一方、周縁部PPでは、ブラシ99の先端部99aのうち、中央部CP寄りの一部だけが基板Wの上面に作用する。つまり、目標荷重がブラシ99に付与されている場合、先端部99aの一部だけで目標荷重に応じた反力を受ける。換言すると、先端部99aの一部だけが同じ圧力を受ける。この場合における基板Wの上面に作用する面積を同圧面積CA2とする。この例では、同圧面積CA1>同圧面積CA2となる。
【0120】
上述した同圧面積CAは、ほぼ同じ圧力が付与されている領域である。ここでいう同じ圧力とは、例えば、制御部161が検出部301の全交点における圧力の平均値を算出し、例えば、その平均値から所定値範囲内(例えば±10%)のものをいう。
【0121】
ブラシ99に対して中央部CPと周縁部PPとで同じ目標荷重が付与された状態であると、基板Wの上面に作用している同圧面積が異なるので、基板Wの上面に作用する単位面積当たりの荷重が中央部CPと周縁部PPとで異なることになる。つまり、基板Wの径方向においてブラシ99が基板Wの上面に作用する力が異なる。そこで、制御部161は、基板Wの径方向においてブラシ99が基板Wの上面に作用する力が同じになるようにブラシ99の圧力分布、つまり同圧面積CAに応じて押し圧機構81を操作して、押し圧を調整する。
【0122】
制御部161は、洗浄処理の最初に、ブラシ99を無荷重高さH1に維持したまま、洗浄アーム45を基板Wの回転中心P1に位置させる。次に、制御部161は、押し圧機構81によりブラシ99に目標荷重を付与する。さらに、制御部161は、ブラシ99を荷重高さH2に下降させる。このとき、制御部161は、面内圧力分布検出部SPDの出力に基づいて、同圧面積を求める。この同圧面積を基準同圧面積とする。制御部161は、基準同圧面積が所定値を下回る場合には、ブラシ99がブラシホルダ101に正常に取り付けられていないと判断してアラームを発することが好ましい。なお、基準同圧面積と比較する所定値は、ブラシ99ごとに設定されていることが好ましい。これにより、ブラシ99の種類に応じてブラシの取付状態を正確に判断できる。
【0123】
なお、上述した裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)が本発明における「基板処理装置」に相当する。
【0124】
<5.処理ユニットにおける前処理>
【0125】
図9及び図10を参照して、上述した裏面洗浄装置SSRにおける前処理について説明する。図9は、予め行う前処理を示すフローチャートである。図10(a)は、電空レギュレータの開度と電子天秤の荷重の関係を示し、図10(b)は、電空レギュレータの二次側圧力と開度の関係を示し、図10(c)は、押し圧用アクチュエータの荷重と電空レギュレータの二次側圧力との関係を示すグラフである。
【0126】
基板処理装置1のオペレータは、指示部163を操作して、一つの裏面洗浄ユニットSSRについて前処理を指示する。
【0127】
ステップS1
電子天秤を配置する。具体的には、図示しない電子天秤を回転保持部37に配置する。電子天秤は、荷重を測定する装置である。電子天秤は、データ出力端子を備えていることが好ましい。電子天秤は、データ出力端子が入力ポートIPに接続される。電子天秤は、データ出力端子から測定値を出力する。測定値は、例えば、荷重(g)である。
【0128】
ステップS2
荷重を測定する。具体的には、例えば、制御部161は、開閉弁153を開放した状態において、電空レギュレータ157への入力信号を可変し、そのときの入力信号ごとに電子天秤の荷重X(g)を測定する。なお、オペレータが実際に処理においてブラシ99で付与したいいくつかの荷重(目標荷重X(g))を指示部163から指示し、電子天秤の測定値が各目標荷重X(g)となるように電空レギュレータ157への入力信号を可変し、その際の各目標荷重X(g)に対応する入力信号を得るようにしてもよい。このとき、制御部161は、荷重ごとの二次側圧力計159の測定値である二次側圧力を受信する。
【0129】
ステップS3
実測荷重の対応関係を記憶する.制御部161は、ステップS2の測定により、図10(a)のような電空レギュレータ157の開度(入力信号)と電子天秤の荷重(目標荷重X(g))の関係と、図10(b)のような電空レギュレータ157の二次側圧力と開度の関係を得る。制御部161は、上記の関係とともに、図10(c)のような押し圧用アクチュエータ89の荷重と電空レギュレータ157の二次側圧力との関係をメモリに記憶する。
【0130】
ステップS4
基板処理装置1のオペレータは、指示部163を操作して、一つの裏面洗浄ユニットSSRについて前処理の終了を指示する。基板処理装置1のオペレータは、電子天秤を回転保持部37から片付ける。必要に応じて、他の裏面洗浄ユニットSSRについても同様の前処理を行う
【0131】
<6.処理ユニットにおける洗浄処理>
【0132】
次に、図11を参照して、洗浄処理について説明する。図11は、洗浄処理を示すフローチャートである。
【0133】
ステップS11
オペレータが処理開始を指示する。具体的には、目標荷重X(g)を含むレシピも指示する。すると、インデクサブロック5から基板Wが受渡部15に搬送され、第1反転ユニット23で裏面が上に向けられるように姿勢が変換される。
【0134】
ステップS12
裏面が上に向けられた基板Wは、センターロボットCRによって一つの裏面洗浄ユニットSSRに搬送される。裏面洗浄ユニットSSRは、洗浄処理を開始する。
【0135】
ステップS13
制御部161は、ブラシ99を移動させる。具体的には、制御部161は、まず、洗浄アーム45を基板Wの回転中心P1上方に移動させる。制御部161は、ブラシ99に押し圧を付与する。具体的には、制御部161は、予め取得した上記の関係(図10(c))を参照し、二次側圧力計159の二次側圧力が、目標荷重X(g)に対応する二次側圧力Z(Pa)となるように電空レギュレータ157への入力信号を調整する。これにより、押し圧用アクチュエータ89に対して電空レギュレータ157からエアが供給され、ブラシ99から基板Wに目標荷重X(g)で荷重が付与される。換言すると、制御部161は、ブラシ99を無荷重高さH1から作用高さH2に移動させる。
【0136】
ステップS14
基準同圧面積を求める。具体的には、制御部161は、面内圧力分布検出部SPDからの信号に基づいて、上述したようにして基準同圧面積を算出する。
【0137】
ステップS15
基準同圧面積が所定値より小さいかを判断する。具体的には、制御部161は、ステップS14で求めた基準同圧面積と所定値とを比較する。その結果に応じて処理を分岐する。基準同圧面積が所定値以上であれば、ステップS16に分岐する。基準同圧面積が所定値より小さければ、ステップS21に分岐する。
【0138】
ここでは、まず基準同圧面積が所定値以上であるとして、以下に説明する。
【0139】
ステップS16
制御部161は、回転昇降機構71を操作して、洗浄アーム45を移動する。具体的には、制御部161は、回転駆動機構71を操作して、ブラシ99が回転中心P1と基板Wの端面で反転するように、基板Wの洗浄アーム45を移動させる。このとき、第1の処理液アーム41が移動され、洗浄アーム45と干渉しない位置において、純水が基板Wの表面全体に供給される。これにより、ブラシ99が基板Wの裏面に作用して洗浄処理が行われる。
【0140】
ステップS17
制御部161は、同圧面積を求める。具体的には、制御部161は、上述したようにして、面内圧力分布検出部SPDからの信号に基づいて、ブラシ99の同圧面積を求める。この同圧面積は、洗浄アーム45が所定角度だけ移動するごとに行われる。換言すると、この同圧面積の算出は、ブラシ99が基板Wの径方向に所定距離移動するごとに行われる。この同圧面積の算出は、ブラシ99が作用高さH2に位置し、洗浄アーム45が移動されている間、所定周期で行われる。
【0141】
ステップS18
制御部161は、押し圧を調整する。具体的には、制御部161は、基準同圧面積と同圧面積との比率に応じて、押し圧を調整する。より詳細には、同圧面積が小さくなった割合に応じて、押し圧が小さくなるように調整する。これにより、基板Wに作用する単位面積当たりの荷重が基板Wの径方向で同じになる。
【0142】
ステップS19
洗浄アーム45によるスキャンが所定回数に達したか否かにより処理を分岐する。制御部161は、スキャンが所定回数に達した場合には、ステップS20へ処理を分岐する。一方、スキャンが所定回数に達していない場合には、ステップS16に処理を分岐する。つまり、洗浄アーム45のスキャンを継続する。
【0143】
ステップS20
次の基板Wの処理に移る。制御部161は、センターロボットCRによって搬入された次の基板Wに対して洗浄処理を行う。つまり、上記ステップS12に戻る。
【0144】
ここで、上述したステップS15において、基準同圧面積が所定値より小さい場合について説明する。この場合には、ステップS21に処理を分岐する。
【0145】
ステップS21
制御部161は、アラームを発する。基準同圧面積が所定値より小さい場合には、ブラシ99がブラシホルダ101に対して正しく取り付けられていない恐れがある。そのため、制御部161は、報知部165を操作して、アラームを発する。基板処理装置1のオペレータは、アラームによりブラシ99の取付に問題があると判断できる。オペレータは、例えば、装置を一時的に停止させてブラシ99の取付状態を確認する。これにより、不適切なブラシ99の取付状態で基板Wに継続的に処理が行われることを未然に防止できる。
【0146】
なお、上述したステップS14が本発明における「圧力分布検出過程」に相当する。上述したステップS18が本発明における「押し圧調整過程」に相当する。
【0147】
本実施例によると、制御部161は、面内圧力分布検出部SPDによる圧力分布に基づいて、基板Wの径方向におけるブラシ99の位置に応じて、押し圧機構81により押し圧を調整するように制御する。これにより、ブラシ99が基板Wの径方向におけるブラシ99の位置に応じて偏って作用していても、ブラシ99の位置に関わらず、基板Wの上面から見たブラシ99により作用する力をほぼ均等にできる。よって、基板Wの面内における清浄度の均一性を向上できる。
【0148】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0149】
(1)上述した実施例では、基板処理装置として裏面洗浄ユニットSSRを例にとって説明した。しかしながら、本発明は、裏面洗浄ユニットSSRに限定されない。例えば、基板の表面をブラシ99で洗浄する表面洗浄ユニットであっても適用できる。
【0150】
(2)上述した実施例では、基板処理装置としての裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)が搬入出ブロック3やインデクサブロック5などを備えた基板処理装置1に備えられた構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)だけで構成されていてもよい。
【0151】
(3)上述した実施例では、洗浄アーム45がブラシ99に加わる荷重を検出する機構を備えていない。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、キャリッジ113bに加わる力をロードセルで検出し、目標荷重との一致度合いを検出する構成としてもよい。
【0152】
(4)上述した実施例では、面内圧力分布検出部SPDとして図6に示したような構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、面内圧力分布検出部SPDとしてこのような構成に限定されない。つまり、基板Wに採用するブラシ99の面内における圧力分布を検出できれば、どのような構成であってもよい。
【0153】
例えば、圧力に応じて変色したり模様が生じたりするフィルムをブラシ99とブラシホルダ101の間に介在させ、透明材料でブラシホルダ101を構成する。ブラシホルダ101の上方にあたる洗浄アーム45の下面からカメラで変色度合いを撮影し、この度合いに応じて圧力分布を検出してもよい。
【0154】
(5)上述した実施例では、ブラシ99として、ブラシ99の直径より細い先端部99aを備えた下方に凸形状を呈するものを例にとって説明した。しかしながら、本発明は、このような形状に限定されない。例えば、ブラシ99がそのままの直径で下方に突出した形状のものであってもよい。
【0155】
(6)上述した実施例では、面内圧力検出部SPDの出力に基づいて同圧面積を求めている。そして、同圧面積の割合に応じて押し圧を調整している。しかしながら、本発明は、同圧面積を求めることなく、押し圧の調整を行ってもよい。例えば、面内圧力検出器SPDの同じ圧力となった交点の個数の比率で押し圧を調整するようにしてもよい。
【0156】
(7)上述した実施例では、ブラシ99が基板Wの中央に位置している場合の基準同圧面積を基準として、同圧面積の減少度合いに応じてブラシ99への押し圧を減少させている。しかしながら、本発明は、このような手法に限定されない。例えば、予め設定した基準同圧面積を基準として用いてもよい。これにより基準同圧面積を求める処理を省略でき、制御部161の負荷を軽減できる。
【0157】
(8)上述した実施例では、基準同圧面積が所定値を下回る場合には、ブラシ99がブラシホルダ101に対して正常に取り付けられていないと判断する処理を含んでいる。しかしながら、本発明は、この処理を必須とするものではない。この処理を省略することにより、制御部161の負荷を軽減できる。
【0158】
(9)上述した実施例では、面内圧力分布検出部SPDから信号線307を介して信号を取り出す構成として、スリップリング309を採用している。しかしながら、本発明は、このような構成を必須とするものではない。
【0159】
(10)上述した実施例では、同圧面積の割合に応じて押し圧だけを調整しているが、本発明は、このような調整に限定されない。例えば、基板Wの回転速度を制御する電動モータ49と、ブラシ99の回転数を制御する電動モータ119と、洗浄アーム45の移動速度を制御する回転昇降機構71とのうち、いずれか一つをさらに調整するようにしてもよい。これにより、押し圧の調整だけでは調整しきれない清浄度の不均一さをさらに抑制できる効果が期待できる。
【0160】
例えば、基板Wに関しては、ブラシ99が中央部から周縁部に移動する際に回転速度を調整する。例えば、洗浄アーム45に関しては、移動速度を基板Wの中央部と周縁部とで異なるものとする。例えば、ブラシ99に関しては、自転速度を中央部と周縁部とで異ならせる。
【0161】
(11)上述した実施例では、中央部に対して周縁部が下方へ垂れ下がるように反った基板Wを例にとって説明した。しかしながら、本発明は、そのような基板Wに限定されない。つまり、逆に周縁部が中央部に対して上方へ反った基板Wに対しても適用できる。
【0162】
(12)上述した実施例では、ブラシ99の移動を、洗浄アーム45に搭載された回転昇降機構71によって洗浄アームを揺動させることにより行っていた。しかし、このような構成に限られるものではなく、洗浄アーム45をボールねじとリニアガイドなどを用いた直動機構によって直線駆動させ、洗浄アーム45に保持されたブラシ99の移動を、直動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0163】
1 … 基板処理装置
3 … 搬入出ブロック
5 … インデクサブロック
7 … 処理ブロック
W … 基板
C … キャリア
IR … インデクサロボット
15 … 受渡部
23 … 第1反転ユニット
25,27 … パス部
29 … 第2反転ユニット
31 … 処理ユニット
SSR … 裏面洗浄ユニット
CR … センターロボット
37 … 回転保持部
39 … ガード
41 … 第1の処理液アーム
42 … 電動モータ
43 … 第2の処理液アーム
45 … 洗浄アーム
47 … 待機ポット
53 … スピンチャック
71 … 回転昇降機構
75 … 筐体
77 … 洗浄部
81 … 押し圧機構
83 … 回転機構
85 … 支点部材
87 … シーソー部材
87c … 中央部
87l … 一方側
87r … 他方側
89 … 押し圧用アクチュエータ
91 … 支持機構
93 … 保持部材
95 … 付勢部
97 … ガイド部
99 … ブラシ
99a … 先端部
101 … ブラシホルダ
103 … 回転軸
111 … コイルバネ
113 … リニアガイド
H1 … 無荷重高さ
H2 … 作用高さ
H3 … 最大押し込み高さ
149 … エア供給管
151 … エア供給源
155 … 一次側圧力計
157 … 電空レギュレータ
159 … 二次側圧力計
161 … 制御部
163 … 指示部
165 … 報知部
SPD … 面内圧力分布検出部
301 … 検出部
303 … 読み出し部
305 … A/D変換器
307 … 信号線
CP … 中央部
PP … 周縁部
CA、CA1、CA2 … 同圧面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11