(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064211
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ブラシ及びそれを備えた基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H01L21/304 644G
H01L21/304 644B
H01L21/304 644C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172632
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】安武 陽介
(72)【発明者】
【氏名】石川 道明
(72)【発明者】
【氏名】大野 拓也
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB47
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BA03
5F157BA07
5F157BA13
5F157BA31
5F157BB22
5F157BB45
5F157CF42
5F157CF44
5F157DA21
5F157DB02
5F157DB37
(57)【要約】
【課題】ブラシが基板に作用する面を瞬間的に基板の傾斜に沿わせることにより、基板の洗浄面にダメージを与えることなく洗浄できる。
【解決手段】洗浄部77が基板の周縁部に位置している場合には、周縁部の傾斜に応じて外周ブラシ515が中央ブラシ513に対して垂直方向へ移動する。外周ブラシ515は、圧縮コイルバネ517の付勢力より強い目標荷重に応じた基板Wからの反力により瞬間的に上方へ移動する。したがって、ブラシ99は、その作用面が基板の傾斜に沿う形状となる。その結果、外周ブラシ515がいびつな変形を生じず、ほぼ中央ブラシ513だけが基板に作用するので、基板の洗浄面にダメージが加わることがない。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に作用して洗浄処理を行うブラシにおいて、
基板に作用するブラシ本体と、
前記ブラシ本体を取り付けられるブラシホルダと、
を備え、
前記ブラシ本体は、
平面視における中央部を構成する中央ブラシと、
前記中央ブラシの外周側に配置され、前記中央ブラシに対して垂直方向において摺動可能に取り付けられる少なくとも一つの外周ブラシと、
前記ブラシ本体が基板の中央部に位置している状態では、前記中央ブラシの下面と前記外周ブラシの下面とがほぼ一致する高さとなり、前記ブラシ本体が基板の周縁部に位置している状態では、前記周縁部の傾斜に応じて前記外周ブラシが前記中央ブラシに対して垂直方向へ移動するのを許容するように、前記中央ブラシに対して前記外周ブラシを基板側へ付勢する付勢手段と、
を備えていることを特徴とするブラシ。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシにおいて、
前記中央ブラシは、上部フランジと、前記上部フランジの中央部から垂直方向に突出した柱状部材とを備え、
前記外周ブラシは、前記上部フランジの下面に臨んだ下部フランジと、前記柱状部材の外周部を覆って前記下部フランジから垂直方向に突出した中空部材とを備えていることを特徴とするブラシ。
【請求項3】
請求項2に記載のブラシにおいて、
前記付勢手段は、前記上部フランジの下面と、前記下部フランジの上面との間に配置されていることを特徴とするブラシ。
【請求項4】
請求項3に記載のブラシにおいて、
前記付勢手段は、前記上部フランジと前記下部フランジとの間に上端と下端とが配置された圧縮コイルバネであることを特徴とするバネ。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載のブラシにおいて、
前記付勢手段の付勢力は、前記ブラシを基板に向けて付勢する押し圧よりも小さいことを特徴とするブラシ。
【請求項6】
請求項2記載のブラシにおいて、
前記ブラシホルダは、取付部と、前記取付部の外周面から前記下部フランジの外周面に沿って延出された外周部と、前記外周部の下面から前記下部フランジの下面に沿って延出された規制部とを備えていることを特徴とするブラシ。
【請求項7】
基板に対してブラシを作用させて洗浄処理を行う基板処理装置において、
基板を水平姿勢で保持するとともに、基板を回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された基板の上面に作用するものであって、基板に作用するブラシ本体と、前記ブラシ本体を取り付けられるブラシホルダとを備えたブラシと、
前記ブラシを先端部に備えた洗浄アームと、
前記ブラシが前記回転保持部に保持されている基板の回転中心と周縁部との間で、基板の径方向へ移動するように、前記洗浄アームを駆動するアーム駆動部と、
を備え、
前記ブラシ本体は、
平面視における中央部を構成する中央ブラシと、
前記中央ブラシの外周側に配置され、前記中央ブラシに対して鉛直方向において摺動可能に取り付けられる少なくとも一つの外周ブラシと、
前記ブラシ本体が基板の中央部に位置している状態では、前記中央ブラシの下面と前記外周ブラシの下面とがほぼ一致する高さとなり、前記ブラシ本体が基板の周縁部に位置している状態では、前記周縁部の傾斜に応じて前記外周ブラシが前記中央ブラシに対して垂直方向へ移動するのを許容するように、前記中央ブラシに対して前記外周ブラシを基板側へ付勢する付勢手段と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示用や有機EL(Electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板を洗浄処理する際に基板に作用させるブラシ及びそれを備えた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の第1の装置として、自転しつつ基板の径方向に移動され、基板の上面に作用して洗浄処理を行うブラシがある(例えば、特許文献1参照)。このブラシは、中心部と外周部とで異なる硬度の部材を備えている。具体的には、外周部には、中心部より硬度が低い部材を備えている。これにより、基板の面が反っていて、基板の径方向において傾斜を有する場合も、その形状にブラシの洗浄面が変形する。したがって、中央部から周縁部に向かって径方向に傾斜を有する基板であっても、未洗浄部をなくして、高い清浄度で洗浄できる。
【0003】
また、この種の第2の装置として、内筒と外筒とを有するブラシがある(例えば、特許文献2参照)。内筒と外筒には、それぞれ下面に洗浄ブラシを有する。洗浄ブラシの一方を使って径方向へ移動しつつ洗浄した後、次の径方向への移動の際には、他方を使って洗浄を行う。つまり、内筒と外筒のブラシを使い分けることにより、異物が付着したブラシにより基板が傷つくことを防止し、ブラシ交換の時間や手間を省くことができる。但し、この第2の装置は、基板の反りに応じて内筒と外筒とを切り換える構成については、何ら記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-38178号公報
【特許文献2】特開2006-319279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の第1の装置は、ブラシを構成する部材の硬度差により基板の傾斜に沿わせるので、ブラシを瞬間的に基板の傾斜に沿わせることはできない。そのため、ブラシの外周側がいびつな形状となって基板に作用する状態が生じる。具体的には、ブラシが作用する面に基板の面が直線的に一方に傾斜している場合、例えば、右肩下がりに傾斜している場合について説明する。この場合、ブラシの外周側のうち基板の周縁側(左方)はブラシが弱く圧縮され、基板の中央側(右方)はブラシが強く圧縮される。そのため、ブラシの外周側がいびつな形状となって自転する。これにより、基板の洗浄面がダメージを受ける恐れがある。
【0006】
また、第2の装置は、基板の反りに応じて内筒と外筒の切り換えるものではない。したがって、反りを有する基板に用いたとしても、基板の中央部と周縁部とで好適なタイミングで切り換えることができない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ブラシが基板に作用する面を瞬間的に基板の傾斜に沿わせることにより、基板の洗浄面にダメージを与えることなく洗浄できるブラシ及びそれを備えた基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に作用して洗浄処理を行うブラシにおいて、基板に作用するブラシ本体と、前記ブラシ本体を取り付けられるブラシホルダと、を備え、前記ブラシ本体は、平面視における中央部を構成する中央ブラシと、前記中央ブラシの外周側に配置され、前記中央ブラシに対して垂直方向において摺動可能に取り付けられる少なくとも一つの外周ブラシと、前記ブラシ本体が基板の中央部に位置している状態では、前記中央ブラシの下面と前記外周ブラシの下面とがほぼ一致する高さとなり、前記ブラシ本体が基板の周縁部に位置している状態では、前記周縁部の傾斜に応じて前記外周ブラシが前記中央ブラシに対して垂直方向へ移動するのを許容するように、前記中央ブラシに対して前記外周ブラシを基板側へ付勢する付勢手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、ブラシ本体が基板の中央部に位置している状態では、中央ブラシの下面と外周ブラシの下面とがほぼ一致する高さとなるように付勢手段が付勢する。ブラシ本体が基板の周縁部に位置している状態では、周縁部の傾斜に応じて外周ブラシが中央ブラシに対して垂直方向へ移動することを許容するように付勢手段が付勢する。したがって、基板の中央部では、ブラシ本体の下面全体が基板に作用する。基板の周縁部では、外周ブラシが中央ブラシに対して瞬間的に垂直方向に移動して基板の傾斜に沿う。その結果、外周ブラシがいびつな変形を生じず、ほぼ中央ブラシだけが基板に作用するので、基板の洗浄面にダメージが加わることがない。
【0010】
また、本発明において、前記中央ブラシは、上部フランジと、前記上部フランジの中央部から垂直方向に突出した柱状部材とを備え、前記外周ブラシは、前記上部フランジの下面に臨んだ下部フランジと、前記柱状部材の外周部を覆って前記下部フランジから垂直方向に突出した中空部材とを備えていることが好ましい(請求項2)。
【0011】
中央ブラシの柱状部材に沿って、外周ブラシの中空部材が移動する。したがって、外周ブラシの垂直方向への移動を円滑に行うことができる。
【0012】
また、本発明において、前記付勢手段は、前記上部フランジの下面と、前記下部フランジの上面との間に配置されていることが好ましい(請求項3)。
【0013】
付勢手段の付勢力を上部フランジから下部フランジに効率的に伝えることができる。
【0014】
また、本発明において、前記付勢手段は、前記上部フランジと前記下部フランジとの間に上端と下端とが配置された圧縮コイルバネであることが好ましい(請求項4)。
【0015】
圧縮コイルバネを上部フランジと下部フランジとの間に配置するだけで付勢手段を構成できる。したがって、簡易な構成で外周ブラシを移動させることができる。
【0016】
また、本発明において、前記付勢手段の付勢力は、前記ブラシを基板に向けて付勢する押し圧よりも小さいことが好ましい(請求項5)。
【0017】
ブラシの押し圧による反力を受けた外周ブラシが付勢手段の付勢力に逆らって垂直方向に移動できる。したがって、基板の周縁部において、基板の傾斜に応じて外周ブラシを適切に移動させることができる。
【0018】
また、本発明において、前記ブラシホルダは、取付部と、前記取付部の外周面から前記下部フランジの外周面に沿って延出された外周部と、前記外周部の下面から前記下部フランジの下面に沿って延出された規制部とを備えていることが好ましい(請求項6)。
【0019】
取付部から延出された外周部により、外周ブラシが基板の面方向に移動することを規制できる。規制部により、外周ブラシがブラシホルダから下方へ突出することを規制できる。したがって、中央ブラシに対して移動する外周ブラシを安定した状態で保持できる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、基板に対してブラシを作用させて洗浄処理を行う基板処理装置において、基板を水平姿勢で保持するとともに、基板を回転させる回転保持部と、前記回転保持部に保持された基板の上面に作用するものであって、基板に作用するブラシ本体と、前記ブラシ本体を取り付けられるブラシホルダとを備えたブラシと、前記ブラシを先端部に備えた洗浄アームと、前記ブラシが前記回転保持部に保持されている基板の回転中心と周縁部との間で、基板の径方向へ移動するように、前記洗浄アームを駆動するアーム駆動部と、を備え、前記ブラシ本体は、平面視における中央部を構成する中央ブラシと、前記中央ブラシの外周側に配置され、前記中央ブラシに対して鉛直方向において摺動可能に取り付けられる少なくとも一つの外周ブラシと、前記ブラシ本体が基板の中央部に位置している状態では、前記中央ブラシの下面と前記外周ブラシの下面とがほぼ一致する高さとなり、前記ブラシ本体が基板の周縁部に位置している状態では、前記周縁部の傾斜に応じて前記外周ブラシが前記中央ブラシに対して垂直方向へ移動するのを許容するように、前記中央ブラシに対して前記外周ブラシを基板側へ付勢する付勢手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0021】
[作用・効果]請求項7に記載の発明によれば、回転保持部で回転されている基板に対して、ブラシを基板に作用させながら、洗浄アームでブラシを中央部と周縁部との間で移動させる。このとき、ブラシ本体が基板の中央部に位置している状態では、中央ブラシの下面と外周ブラシの下面とがほぼ一致する高さとなるように付勢手段が付勢する。ブラシ本体が基板の周縁部に位置している状態では、周縁部の傾斜に応じて外周ブラシが中央ブラシに対して垂直方向へ移動することを許容するように付勢手段が付勢する。したがって、基板の中央部では、ブラシ本体の下面全体が基板に作用する。基板の周縁部では、外周ブラシが中央ブラシに対して瞬間的に垂直方向に移動して基板の傾斜に沿う。その結果、外周ブラシがいびつな変形を生じず、ほぼ中央ブラシだけが基板に作用するので、基板の洗浄面にダメージが加わることがない。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るブラシによれば、ブラシ本体が基板の中央部に位置している状態では、中央ブラシの下面と外周ブラシの下面とがほぼ一致する高さとなるように付勢手段が付勢する。ブラシ本体が基板の周縁部に位置している状態では、周縁部の傾斜に応じて外周ブラシが中央ブラシに対して垂直方向へ移動することを許容するように付勢手段が付勢する。したがって、基板の中央部では、ブラシ本体の下面全体が基板に作用する。基板の周縁部では、外周ブラシが中央ブラシに対して付勢手段により瞬間的に垂直方向に移動して基板の傾斜に沿う。その結果、外周ブラシがいびつな変形を生じず、ほぼ中央ブラシだけが基板に作用するので、基板の洗浄面にダメージが加わることがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【
図2】
図1の基板処理装置を後方Xから見た図である。
【
図3】実施例に係る裏面洗浄ユニットの概略構成を示す平面図である。
【
図4】裏面洗浄ユニットの概略構成を示す側面図である。
【
図7】中央部と周縁部でのブラシの状態を説明する図である。
【
図8】変形例1に係る洗浄部の詳細を示す縦断面図である。
【
図9】変形例2に係る洗浄部の詳細を示す縦断面図である。
【
図10】変形例3に係る洗浄部の詳細を示す縦断面図である。
【
図11】変形例4に係る洗浄部の詳細を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図2は、
図1の基板処理装置を後方Xから見た図である。
【0025】
<1.全体構成>
【0026】
基板処理装置1は、搬入出ブロック3と、インデクサブロック5と、処理ブロック7とを備えている。
【0027】
基板処理装置1は、基板Wを処理する。基板処理装置1は、例えば、基板Wに対して洗浄処理を行う。基板処理装置1は、処理ブロック7において枚葉式で基板Wを処理する。枚葉式は、一枚の基板Wを水平姿勢の状態で一枚ずつ処理する。
【0028】
本明細書では、便宜上、搬入出ブロック3と、インデクサブロック5と、処理ブロック7とが並ぶ方向を、「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは水平である。前後方向Xのうち、処理ブロック7から搬入出ブロック3に向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前後方向Xと直交する水平方向を、「幅方向Y」と呼ぶ。「幅方向Y」の一方向を適宜に「右方」と呼ぶ。右方とは反対の方向を「左方」と呼ぶ。水平方向に対して垂直な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。各図では、参考として、前、後、右、左、上、下を適宜に示す。
【0029】
<2.搬入出ブロック>
【0030】
搬入出ブロック3は、投入部9と払出部11とを備えている。投入部9と払出部11は、幅方向Yに配置されている。基板Wは、複数枚(例えば、25枚)が一つのキャリアC内に水平姿勢で一定の間隔をおいて積層収納されている。未処理の基板Wを収納したキャリアCは、投入部9に載置される。投入部9は、例えば、キャリアCが載置される載置台13を二つ備えている。キャリアCは、基板Wの面同士を離間して、基板Wを一枚ずつ収容する溝(図示省略)が複数個形成されている。キャリアCは、例えば、基板Wの表面を上に向けた姿勢で収容する。キャリアCとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unify Pod)がある。FOUPは、密閉型容器である。キャリアCは、開放型容器でもよく、種類を問わない。
【0031】
払出部11は、基板処理装置1における幅方向Yの中央部を挟んだ投入部9の反対側に配備されている。払出部11は、投入部9の左方Yに配置されている。払出部11は、処理済みの基板WをキャリアCに収納してキャリアCごと払い出す。このように機能する払出部11は、投入部9と同様に、例えば、キャリアCを載置するための二つの載置台13を備えている。投入部9と払出部11とは、ロードポートとも呼ばれる。
【0032】
<3.インデクサブロック>
【0033】
インデクサブロック5は、基板処理装置1における搬入出ブロック3の後方Xに隣接して配置されている。インデクサブロック5は、インデクサロボットIRと、受渡部15とを備えている。
【0034】
インデクサロボットIRは、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。インデクサロボットIRは、幅方向Yに移動可能に構成されている。インデクサロボットIRは、第1のハンド19と、第2のハンド21とを備えている。
図1では、図示の関係上、一つのハンドのみを示す。第1のハンド19と、第2のハンド21とは、それぞれ1枚の基板Wを保持する。第1のハンド19と第2のハンド21とは、独立して前後方向Xに進退可能に構成されている。インデクサロボットIRは、幅方向Yに移動するとともに鉛直方向Z周りに回転し、第1のハンド19や第2のハンド21を進退させて各カセットCとの間で基板Wを受け渡す。同様にして、インデクサロボットIRは、受渡部15との間で基板Wを受け渡す。
【0035】
受渡部15は、インデクサブロック5のうち、処理ブロック7との境界に配置されている。受渡部15は、例えば、幅方向Yの中央部に配置されている。
図2に示すように、受渡部15は、鉛直方向Zに長く形成されている。
【0036】
受渡部15は、鉛直方向Zの下方から上方に向かって、第1反転ユニット23と、パス部25と、パス部27と、第2反転ユニット29とを備えている。
【0037】
第1反転ユニット23は、インデクサブロック5から受け取った基板Wの上下を反転させる。第1反転ユニット23は、基板Wの水平姿勢を反転させる。具体的には、第1反転ユニット23は、表面が上に向けられた基板Wを、表面が下に向けられた姿勢に変換する。換言すると、裏面が上に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。
【0038】
第2反転ユニット29は、その逆の動作を行う。つまり、第2反転ユニット29は、処理ブロック7から受け取った基板Wの上下を反転させる。第2反転ユニット29は、表面が下に向けられた基板Wを、表面が上に向けられた姿勢に変換する。換言すると、裏面が下に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。
【0039】
上記の第1反転ユニット23と第2反転ユニット29の反転方向は、互いに逆であってもよい。つまり、第1反転ユニット23は、表面が上に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。第2の反転ユニット29は、裏面が上に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。
【0040】
パス部25,27は、インデクサロブロック5と処理ブロック7との間で基板Wの受け渡しを行うために利用される。パス部25は、例えば、処理ブロック7からインデクサブロック5に基板Wを搬送するために用いられる。パス部27は、例えば、インデクサブロック5から処理ブロック7に基板Wを搬送するために用いられる。なお、パス部25,27における基板Wの搬送方向は、互いに逆方向であってもよい。
【0041】
<4.処理ブロック>
【0042】
処理ブロック7は、例えば、基板Wに対して洗浄処理を行う。洗浄処理は、例えば、処理液に加えてブラシを用いた処理である。処理ブロック7は、
図1に示すように、例えば、幅方向Yにおいて、第1列R1と、第2列R2と、第3列R3に分けられる。詳細には、第1列R1は、左方Yに配置されている。第2列R2は、幅方向Yの中央部に配置されている。換言すると、第2列R2は、第1列R1の右方Yに配置されている。第3列R3は、第2列R2の右方Yに配置されている。
【0043】
<4-1.第1列>
【0044】
処理ブロック7の第1列R1は、複数個の処理ユニット31を備えている。第1列R1は、例えば、4個の処理ユニット31を備えている。第1列R1は、4個の処理ユニット31を鉛直方向Zに積層して配置されている。各処理ユニット31については、詳細を後述する。各処理ユニット31は、例えば、洗浄ユニットである。洗浄ユニットは、基板Wを洗浄処理する。洗浄ユニットとしては、基板Wの表面を洗浄処理する表面洗浄ユニットと、基板Wの裏面を洗浄処理する裏面洗浄ユニットとがある。本実施例では、処理ユニット31として裏面洗浄ユニットSSRを例にとって説明する。
【0045】
<4-2.第2列>
【0046】
処理ブロック7の第2列R2は、センターロボットCRを備えている。センターロボットCRは、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。センターロボットCRは、鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。センターロボットCRは、例えば、第1のハンド33と第2のハンド35とを備えている。第1のハンド33と第2のハンド35とは、それぞれ1枚の基板Wを保持する。第1のハンド33と第2のハンド35とは、独立して前後方向X及び幅方向Yに進退可能に構成されている。
【0047】
<4-3.第3列>
【0048】
処理ブロック7の第3列R3は、第1列R1と同様の構成である。つまり、第3列R3は、複数個の処理ユニット31を備えている。第3列R3は、例えば、4個の処理ユニット31を備えている。第3列R3は、4個の処理ユニット31を鉛直方向Zに積層して配置されている。第1列R1の各処理ユニット31と第3列R3の各処理ユニット31とは、幅方向Yにおいて対向して配置されている。これにより、センターロボットCRが鉛直方向Zの同じ高さにおいて第1列R1と第3列R3との対向する各処理ユニット31にアクセスできる。
【0049】
処理ブロック7は、上述したように構成されている。ここで、センターロボットCRの動作例を簡単に説明する。センターロボットCRは、例えば、第1反転ユニット23から基板Wを受け取る。センターロボットCRは、第1列R1及び第3列R3のいずれかの裏面洗浄ユニットSSRに基板Wを搬送して基板Wの裏面に洗浄処理を行わせる。センターロボットCRは、第1列R1及び第3列Rのいずれかの裏面洗浄ユニットSSRで洗浄処理が行われた基板Wを受け取る。センターロボットCRは、第2反転ユニット29に基板Wを搬送する。
【0050】
<4-4.処理ユニット>
【0051】
ここで、
図3~
図5を参照して、裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)について説明する。
図3は、実施例に係る裏面洗浄ユニットの概略構成を示す平面図である。
図4は、裏面洗浄ユニットの概略構成を示す側面図である。
図5は、洗浄アームの縦断面図である。
【0052】
なお、ここでは、第1列R1が備えている裏面洗浄ユニットSSRを例にとって説明する。第3列R3の裏面洗浄ユニットSSRは、幅方向Yにおける配置を入れ換えたような構成となる。
【0053】
裏面洗浄ユニットSSRは、回転保持部37と、ガード39と、第1の処理液アーム41と、第2の処理液アーム43と、洗浄アーム45と、待機ポット47とを備えている。
【0054】
<4-4-1.回転保持部>
【0055】
回転保持部37は、平面視において裏面洗浄ユニットSSRのほぼ中央に配置されている。回転保持部37は、基板Wを水平姿勢に保持した状態で、基板Wを水平面内で回転させる。回転保持部37は、電動モータ49と、回転軸51と、スピンチャック53と、支持ピン55とを備えている。
【0056】
電動モータ49は、回転軸51が鉛直方向Zに向けられた姿勢で配置されている。回転軸51は、上端にスピンチャック53が取り付けられている。スピンチャック53は、基板Wの直径よりやや大きな直径を有する。スピンチャック53は、円形状の板状部材である。スピンチャック53は、複数個の支持ピン55を備えている。この実施例では、例えば、6個の支持ピン55を備えている。6個の支持ピン55は、基板Wの外周縁に当接して基板Wを水平姿勢で支持する。複数個の支持ピン55は、基板Wを水平姿勢で安定して支持できれば、支持ピン55の個数は6個に限定されない。6個の支持ピン55は、スピンチャック53における基板Wの外周縁付近に立設されている。6個の支持ピン55は、基板Wをスピンチャック53に搬入する際と、基板Wをスピンチャック53から搬出する際には、基板Wの周縁の保持を解除する。そのため、各支持ピン55は、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。その動作を行うための具体的な構成の説明については省略する。回転保持部37は、電動モータ49を回転すると、回転中心P1周りにスピンチャック53を回転する。回転中心P1は、鉛直方向Zである。
【0057】
<4-4-2.ガード>
【0058】
ガード39は、平面視にて回転保持部37を囲うように配置されている。詳細には、ガード39は、円筒状の胴部57と、傾斜部59とを備える。ガード39は、鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。ガード39は、下降した待機位置と、待機位置より上方の処理位置とに昇降可能である。ガード39を昇降する具体的な構成の説明については省略する。
【0059】
ガード39の胴部57は、筒状を呈する。胴部57は、内周面が回転保持部37の外周側から外方に離間して配置されている。傾斜部59は、胴部57の上部から回転軸51側に近づくように絞り込まれている。傾斜部59は、上部に開口部61を有する。開口部61は、傾斜部59の中央部に形成されている。開口部61は、基板Wの直径より大きい。開口部61は、スピンチャック53の直径より大きい。基板Wの搬入出の際には、ガード39は、鉛直方向Zにおいて、スピンチャック53が開口部61から上方へ突出する位置にまで下降される。基板Wの洗浄処理の際には、ガード39は、スピンチャック53に保持された基板Wの高さ付近に傾斜部59が位置する。傾斜部59は、傾斜した内周面にて基板Wから周囲に飛散した処理液などをガード39の下方へ案内する。
【0060】
<4-4-3.第1の処理液アーム>
【0061】
第1の処理液アーム41は、平面視で回転保持部37の後方Xに配置されている。第1の処理アーム41は、基端部側に電動モータ42を備えている。第1の処理液アーム41は、電動モータ42によって基端部側の回転中心P2周りに揺動される。回転中心P2は、鉛直方向Zである。第1の処理液アーム41は、1本のノズル63を備えている。ノズル63は、下方に吐出口を備えている。ノズル63は、処理液を吐出する。第1の処理液アーム41は、ノズル63の先端部が
図3に示す待機位置と、回転中心P1付近の供給位置とにわたって揺動可能に構成されている。第1の処理液アーム41は、処理液を基板Wに供給する際には、ノズル63の先端部が供給位置に移動される。第1の処理液アーム41は、処理液を基板Wに供給しない場合には、ノズル63の先端部が待機位置に移動される。第1の処理液アーム41は、処理液を基板Wに供給する際に、洗浄アーム45と干渉しないように、ノズル63を基板Wの上方で揺動移動するようにしてもよい。
【0062】
ノズル63から吐出する処理液としては、例えば、リンス液が挙げられる。リンス液としては、例えば、純水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水などが挙げられる。
【0063】
<4-4-4.第2の処理液アーム>
【0064】
第2の処理液アーム43は、平面視で回転保持部37の左方Yに配置されている。第2の処理液アーム41は、基端部側に電動モータ44を備えている。第2の処理液アームは、電動モータ44によって基端部側の回転中心P3周りに揺動される。回転中心P3は、鉛直方向Zである。第2の処理液アーム43は、3本のノズル65,67,69を備えている。各ノズル65,67,69は、下方に吐出口を備えている。ノズル65,67,69は、処理液を吐出する。第2の処理液アーム43は、ノズル65,67,69の先端部が
図3に示す待機位置と、回転中心P1付近の供給位置とにわたって揺動可能に構成されている。第2の処理液アーム43は、処理液を基板Wに供給する際には、ノズル65,67,69の先端部が供給位置に移動される。第2の処理液アーム43は、処理液を基板Wに供給しない場合には、ノズル65,67,69の先端部が待機位置に移動される。第2の処理液アーム43は、処理液を基板Wに供給する際に、洗浄アーム45と干渉しないように、ノズル65,67,69を基板Wの上方で揺動移動するようにしてもよい。
【0065】
ノズル65,67,69から吐出する処理液としては、例えば、薬液が挙げられる。薬液としては、例えば、硫酸、硝酸、酢酸、塩酸、フッ化水素酸、アンモニア水、過酸化水素水のうち少なくとも1つを含む薬液である。より具体的な薬液としては、例えば、アンモニア水と過酸化水素水との混合液であるSC-1などを用いることができる。
【0066】
<4-4-5.洗浄アーム>
【0067】
洗浄アーム45は、次のように構成されている。
【0068】
洗浄アーム45は、回転昇降機構71と、支柱73と、筐体75と、洗浄部77とを備えている。
【0069】
回転昇降機構71は、支柱73と、筐体75と、洗浄部77とを鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。回転昇降機構71は、支柱73と、筐体75と、洗浄部77とを回転中心P4周りに揺動可能に構成されている。具体的には、回転昇降機構71は、例えば、電動モータとエアシリンダとを組み合わせて構成されている。回転昇降機構71は、待機位置において洗浄部77を待機ポット47から鉛直方向Zに上昇させる。回転昇降機構71は、洗浄部77が回転中心P1付近を通るように洗浄部77を揺動(移動)させる。
【0070】
なお、上述した回転昇降機構71が、本発明における「アーム駆動部」に相当する。
【0071】
支柱73は、円柱状を呈する。支柱73は、回転昇降機構71に下部が連結されている。支柱73は、上部が筐体75の一方の下部に連結されている。筐体75は、水平面内に長軸を有する。筐体75は、他方の下部に洗浄部77を備えている。洗浄部77は、回転中心P5周りに回転される。回転中心P5は、鉛直方向Zである。
【0072】
筐体75は、下部筐体75aと、上部筐体75bとを備えている。下部筐体75aは、筐体75の下部を構成する。上部筐体75bは、筐体75の上部を構成する。上部筐体75bと下部筐体75aとは、互いに連結されている。
【0073】
筐体75は、押し圧機構81と、回転機構83とを備えている。具体的には、下部筐体75aは、押し圧機構81と、回転機構83とを搭載している。
【0074】
押し圧機構81は、支点部材85と、シーソー部材87と、押し圧用アクチュエータ89と、支持機構91とを備えている。
【0075】
支点部材85は、下部筐体75aの上面に取り付けられている。支点部材85は、下部筐体75aの前後方向Xにおけるほぼ中央部に立設されている。支点部材85は、上部に揺動軸85aを備えている。揺動軸85aは、幅方向Y周りに回転可能である。シーソー部材87は、中央部87cが揺動軸85aを介して支点部材85に揺動可能に取り付けられている。シーソー部材87は、一方側87l(作用点部)と他方側87r(力点部)の両端が鉛直方向Zに交互に昇降可能である。シーソー部材87は、揺動軸85aが支点となる。
【0076】
押し圧用アクチュエータ89は、作動片89aが鉛直方向Zに向けて配置されている。押し圧用アクチュエータ89は、作動軸89aを伸長させることでシーソー部材87の一方側87lを上昇させる。押し圧用アクチュエータ89は、例えば、エアベアリングアクチュエータが好ましい。
【0077】
エアベアリングアクチュエータは、作動軸89aが空気により微小隙間をおいて進退可能に支持されている。そのため、理論上は、作動軸89aの摺動抵抗がゼロになり摩擦が生じない。そのため、エアベアリングアクチュエータは、通常のエアシリンダに比較して、微小な空気圧でも作動軸89aを進退させることができる。したがって、空気圧に応じてリニアに進退させることが可能である。但し、押し圧用アクチュエータ89として、通常のエアシリンダを使用することもできる。
【0078】
前後方向Xにおいて、支点部材85を挟んだ押し圧用アクチュエータ89の反対側には、支持機構91が設けられている。支持機構91は、洗浄部77を支持する。支持機構91は、筐体75の下方に洗浄部77を懸垂支持する。
【0079】
支持機構91は、保持部材93と、付勢部95と、ガイド部97とを備えている。
【0080】
支持機構91は、洗浄部77を懸垂支持する。洗浄部77は、ブラシ99と、ブラシホルダ101とを備えている。ブラシ99は、基板Wに作用して洗浄を行う。ブラシホルダ101は、ブラシ99を保持する。ブラシホルダ101は、ブラシ99を着脱自在に保持する。ブラシホルダ101は、平面視における中心部に回転軸103が取り付けられている。回転軸103は、ブラシホルダ101から鉛直方向Zに延出されている。ブラシ99は、洗浄アーム45に保持されて、基板Wの回転中心P1付近を通る様に水平面内で移動する。
【0081】
保持部材93は、回転軸103を回転自在に保持する。回転軸103は、例えば、スプライン軸で構成されている。回転軸103は、スプラインナット103aを介して保持部材93に取り付けられている。回転軸103は、スプラインナット103aに対して鉛直方向Zに移動可能である。保持部材93は、鉛直方向Z周りに回転可能な状態でスプラインナット103aを保持する。スプラインナット103aは、図示しないベアリングを介して保持部材93に取り付けられている。回転軸103は、回転中心P5周りに回転可能である。保持部材93の上部に突出したスプラインナット103aには、プーリ105が取り付けられている。プーリ105は、スプラインナット103aの外周面に固定されている。プーリ105が回転すると、スプラインナット103aが回転し、これとともに回転軸103も同じ方向に回転する。
【0082】
プーリ105の上部には、付勢部95が配置されている。付勢部95は、上部保持部107と、下部保持部109と、コイルバネ111とを備えている。上部保持部107は、回転軸103の上部側にベアリング(不図示)を介して取り付けられている。換言すると、上部保持部107は、回転軸103が回転しても静止したままである。下部保持部109は、上部保持部107から離間して配置されている。下部保持部109は、上部保持部107の下方であって、プーリ105の上部に配置されている。下部保持部109は、内周面が回転軸103の外周面から離間して配置されている。したがって、下部保持部109は、回転軸103が回転しても静止したままである。また、下部保持部109は、プーリ105の上面にベアリングを介して取り付けられている。したがって、下部保持部109は、プーリ105の回転に影響を受けない。
【0083】
コイルバネ111は、上部保持部107と下部保持部109とに取り付けられている。コイルバネ111は、上部保持部107に上端が固定されている。コイルバネ111は、下部保持部109に下端が固定されている。コイルバネ111は、例えば、円筒形状を呈する。コイルバネ111は、圧縮コイルバネである。したがって、プーリ105の上面及び下部保持部109から上方に上部保持部107が付勢される。その結果、回転軸103が鉛直方向Zの上方へ付勢される。そのため、押し圧用アクチュエータ89が作動していない通常状態においては、ブラシ99は、下部筐体75aの下面から一定の高さに維持される。換言すると、通常状態においては、ブラシ99による荷重はゼロである。
【0084】
支持機構91は、鉛直方向Zへ昇降する回転軸103を支持する。支持機構91は、リニアガイド113と、軸保持部115とを備えている。リニアガイド113は、保持部材93に隣接して配置されている。リニアガイド113は、鉛直方向Zに立設されている。リニアガイド113は、レール113aとキャリッジ113bとを備えている。レール113aは、鉛直方向Zに長手方向が配置されている。レール113aは、キャリッジ113bが鉛直方向Zへ移動可能に取り付けられている。キャリッジ113bは、シーソー部材87の他方側87rの下方に配置されている。キャリッジ113bは、シーソー部材87の他方側87rが下降した際に当接する位置に配置されている。
【0085】
軸保持部115は、回転軸103の上部を保持する。軸保持部115は、回転軸103が回転することを許容した状態で保持する。軸保持部115は、例えば、図示しないベアリングを介して回転軸103を保持する。キャリッジ113bは、軸保持部115に連結されている。コイルバネ111の付勢力より強い駆動力で押し圧用アクチュエータ89が作動軸89aを上昇させると、一方側87l(作用点部)が上昇する。一方側87lが上昇すると、他方側87r(力点部)が下降する。このとき、他方側87rがキャリッジ113bを軸保持部115とともに下降させる。すると、回転軸103が下降し、ブラシ99が所定位置から下方へ移動する。このようにして押し圧用アクチュエータ89を駆動すると、押し圧用アクチュエータ89の駆動力に応じた押し圧がブラシ99に付与される。
【0086】
支持機構91に隣接して回転機構83が配置されている。回転機構83は、支点部材85側に配置されている。回転機構83は、取付部材117と、電動モータ119とを備えている。取付部材117は、下部筐体75aの底面から電動モータ119を上方に離間して配置する。電動モータ119は、回転軸が鉛直方向Zの下方に向けて配置されている。電動モータ119は、回転中心P6周りに回転軸を回転する。回転中心P6は、鉛直方向Zにおいて回転中心P5とほぼ平行である。電動モータ119は、回転軸にプーリ121が取り付けられている。プーリ121とプーリ105とには、タイミングベルト123が架け渡されている。したがって、電動モータ119が回転されると、タイミングベルト123と、プーリ105,121と、スプラインナット103aとを介して回転軸103が回転中心P5周りに回転される。このように回転軸103が回転されても、回転軸103は鉛直方向Zに昇降可能である。
【0087】
上述したように洗浄アーム45が構成されている。つまり、押し圧用アクチュエータ89の動作がシーソー部材87の一方側87l(力点部)を介して他方側87r(作用点部)に付与される。したがって、シーソー部材87を備えることにより、押し圧用アクチュエータ89の配置の自由度が高められる。したがって、基板処理装置1の高さを抑制できる。その結果、基板処理装置1を多段に積層する配置を容易に実現できる。
【0088】
上述したブラシ99は、次のように昇降される。シーソー部材87は、押し圧用アクチュエータ89によって揺動される。例えば、押し圧用アクチュエータ89は、後述するように目標荷重に応じて操作される。この操作により、ブラシ99が鉛直方向Zに移動される。具体的には、ブラシ99は、無荷重高さと、作用高さと、最大押し込み高さとに昇降される。無荷重高さは、最も高い。洗浄処理時を除いた通常時は、この無荷重高さにブラシ99が位置している。作用高さは、無荷重高さより低い高さである。最大押し込み高さは、作用高さよりも低い高さである。
【0089】
<4-5.制御系>
【0090】
制御部161は、図示しないCPU及びメモリを備えている。制御部161は、上述した各部を統括的に制御する。具体的には、制御部161は、投入部9及び払出部11における搬送動作、インデクサロボットIRの搬送動作、第1反転ユニット23及び第2反転ユニット29の反転動作、センターロボットCRの搬送動作などを制御する。制御部161は、裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)における電動モータ49の回転制御、ガード39の昇降動作、スピンチャック53における支持ピン55の開閉動作、電動モータ42,44の揺動動作、押し圧用アクチュエータ89を制御対象として操作を行う。制御部161は、洗浄処理に指定された目標荷重に応じて、押し圧用アクチュエータ89を操作し、ブラシ99から基板Wに作用する押し圧を制御する。
【0091】
<4-6.洗浄部77>
【0092】
ここで、
図6を参照して、洗浄部77の詳細について説明する。
図6は、洗浄部の詳細を示す縦断面図である。
【0093】
なお、洗浄部77が本発明における「ブラシ」に相当し、ブラシ99が本発明における「ブラシ本体」に相当する。
【0094】
洗浄部77は、ブラシホルダ101にブラシ99が取り付けられている。ブラシホルダ101は、取付部501と、外周部503と、規制部505とを備えている。
【0095】
取付部501は、ブラシホルダ101の上部を構成する。取付部501は、平面視で円形状を呈する。取付部501は、上面に取付穴507が形成されている。取付穴507は、平面視で取付部501の中心部に形成されている。取付穴507は、回転軸103の下端部がねじ込まれる。ブラシホルダ101は、上面で回転軸103に連結される。
【0096】
取付部501の外周面は、鉛直方向Zにおける下方へ延出されている。この延出された部分は、外周部503を構成する。外周部503は、下面が取付部501の中心部へ延出されている。この部分は、規制部505を構成する。規制部505は、平面視における中心部に開口509が形成されている。取付部501の下面と、外周部503の内周面と、規制部505との上面とは、空間511を形成する。
【0097】
空間511には、ブラシ99が配置されている。ブラシ99は、中央ブラシ513と、外周ブラシ515と、複数個の圧縮コイルバネ517とを備えている。ブラシ99は、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)で構成されている。ブラシ99は、材料を問わない。
【0098】
中央ブラシ513は、上部フランジ519と、柱状部材521とを備えている。上部フランジ519は、平面視で円形状を呈する。上部フランジ519は、ブラシホルダ101より小径である。中央ブラシ513は、空間511の天井面に取り付けられている。柱状部材521は、上部フランジ519の下面中心部から鉛直方向Zの下方へ延出されている。柱状部材521は、下面が開口509から下方へ突出している。柱状部材521は、外径が開口509の内径より小さい。
【0099】
外周ブラシ515は、下部フランジ523と、中空部材525とを備えている。外周ブラシ515は、下部フランジ523の上面が上部フランジ519の下面に臨むように配置されている。換言すると、外周ブラシ515は、下部フランジ523の上面が上部フランジ519の下面と対向するように、離間した位置に配置されている。下部フランジ523は、外径が空間511の内径より小さい。中空部材525は、下部フランジ523の下面中心部から鉛直方向Zの下方へ延出されている。中空部材525は、中心部が空洞になっている。中空部材525は、下部フランジ523の上面から中空部材525の下面に貫通した貫通穴527を形成されている。貫通穴527の内径は、柱状部材521の外径よりやや大きい。外周ブラシ515は、中空部材525の貫通穴527に柱状部材521が挿通されている。外周ブラシ515は、中央ブラシ513に対して鉛直方向Zに昇降可能な状態で取り付けられている。
【0100】
複数個の圧縮コイルバネ517は、中央ブラシ513と外周ブラシ515との間に配置されている。具体的には、複数個の圧縮コイルバネ517は、中央ブラシ513の上部フランジ519と、外周ブラシ515の下部フランジ523との間に配置されている。上部フランジ519の下面と、下部フランジ523の上面との間には、複数個の圧縮コイルバネ517が配置されている。複数個の圧縮コイルバネ517は、例えば、4個である。複数個の圧縮コイルバネ517は、例えば、平面視で中心部から等角度となるように各々が配置されていることが好ましい。複数個の圧縮コイルバネ517は、平面視で柱状部材521を囲うように配置されている。複数個の圧縮コイルバネ517は、上下端が上部フランジ519と下部フランジ523に固定されている必要はない。上部フランジ519と下部フランジ523との間に配置されていればよい。
【0101】
圧縮コイルバネ517は、鉛直方向Zの下方へ外周ブラシ515を付勢している。圧縮コイルバネ517の付勢力は、目標荷重の押し圧より小さい。これにより、ブラシ99が目標荷重で基板Wに押し圧され、基板Wの傾斜により目標荷重に応じた反力を受けた際に外周ブラシ515だけが上方へ移動することができる。付勢されている外周ブラシ515は、下部フランジ523の下面が規制部505の上面に当接して一定以上の下方への移動が規制される。これにより、外周ブラシ515の下面の高さが規制される。また、圧縮コイルバネ517は、鉛直方向Zの下方へ外周ブラシ515を付勢している。そのため、ブラシ99が周縁部から中央部に戻った際には、外周ブラシ515が元の位置へ戻ることができる。圧縮コイルバネ517がない場合には、外周ブラシ515が元の位置へ戻ることができない。
【0102】
図6において実線で示した外周ブラシ515の下面の高さは、ブラシ99が基板Wの中央部に位置している場合の位置を示す。圧縮コイルバネ517は、ブラシ99が荷重を付加されず反力を受けていない状態や、ブラシ99が目標荷重に応じた反力を受けているものの、基板Wに傾斜がない状態では、中央ブラシ513の下面と、外周ブラシ515の下面とが段差がない状態にする。換言すると、中央ブラシ513の下面と、外周ブラシ515の下面とが前後方向X及び幅方向Yで一致する。
図6において二点鎖線で示した外周ブラシ515の下面の高さは、ブラシ99が基板Wの周縁部に位置している場合の位置を示す。圧縮コイルバネ517は、ブラシ99が目標荷重に応じた反力を受け、基板Wに傾斜がある状態では、中央ブラシ513の下面より外周ブラシ515の下面が上方へ移動する。
【0103】
次に、
図7を参照して、上述した構成の洗浄部77の動作について説明する。
図7は、中央部と周縁部でのブラシの状態を説明する図である。なお、実際の洗浄処理時には、処理液の供給が行われるが、以下の説明においては省略する。
【0104】
上述した裏面洗浄装置SSRでは、基板Wを洗浄する際には、回転保持部37で回転されている基板Wに対して、押し圧機構81でブラシ99を目標荷重で基板Wに押圧する。さらに、洗浄アーム45でブラシ99を中央部CPと周縁部PPとの間で移動させる。この例では、基板Wの中央部CPにおいて傾斜がなく水平である。この例では、基板Wの周縁部PPにおいて中央部CPに対して傾斜を有する。この例では、傾斜が右肩下がりである。
【0105】
洗浄部77が基板Wの中央部CPに位置している場合には、ブラシ99の中央ブラシ513と外周ブラシ515との下面同士が一致した状態で基板Wの上面に作用する。したがって、基板Wの中央部CPでは、ブラシ99の下面全体が基板Wに作用する。
【0106】
一方、洗浄部77が基板Wの周縁部PPに位置している場合には、周縁部PPの傾斜に応じて外周ブラシ515が中央ブラシ513に対して垂直方向へ移動する。外周ブラシ515は、圧縮コイルバネ517の付勢力より強い目標荷重に応じた基板Wからの反力により瞬間的に上方へ移動する。したがって、ブラシ99は、その作用面が基板Wの傾斜に沿う形状となる。その結果、外周ブラシ515がいびつな変形を生じず、ほぼ中央ブラシ513だけが基板Wに作用するので、基板Wの洗浄面にダメージが加わることがない。また、洗浄部77が中央部CPに移動すると、外周ブラシ515が圧縮コイルバネ517で下方へ付勢されているので、中央ブラシ513と一致する位置にまで確実に瞬時に移動する。
【0107】
<変形例1>
【0108】
ここで、
図8を参照して、洗浄部77の変形例について説明する。
図8は、変形例1に係る洗浄部の詳細を示す縦断面図である。
【0109】
洗浄部77Aは、ブラシ99Aが一つの圧縮コイルバネ517Aを備えている。圧縮コイルバネ517Aは、その中空部に柱状部材521が挿通された状態で配置されている。このような構成であっても、上述した実施例と同様の効果を奏する。さらに、変形例1では、圧縮コイルバネ517が一つであるので、実施例より構成を単純化できる。その結果、洗浄部77Aの組み立てを容易に行うことができる。
【0110】
<変形例2>
【0111】
ここで、
図9を参照して、洗浄部77の変形例について説明する。
図9は、変形例2に係る洗浄部の詳細を示す縦断面図である。
【0112】
洗浄部77Bは、ブラシ99Bにおいて、圧縮コイルバネ517に代えて板バネ517Bを備えている点において上述した実施例とは構成が相違する。板バネ517Bは、Lの字状の縦断面形状を有する。板バネ517Bは、圧縮コイルバネ517に比較して構造が単純で軽量である。したがって、洗浄部77Bの軽量化を図ることができる。
【0113】
<変形例3>
【0114】
ここで、
図10を参照して、洗浄部77の変形例について説明する。
図10は、変形例3に係る洗浄部の詳細を示す縦断面図である。
【0115】
洗浄部77Cは、ブラシ99Cがブラシホルダ101と一体となった板バネ517Cを備えている。板バネ517Cは、ブラシホルダ101の外周部503に形成されている。板バネ517Cは、外周部503の内周面から柱状部材521に向かって延出されている。板バネ517Cは、下方に湾曲している。板バネ517Cは、その下面で外周ブラシ515を下方に付勢する。この変形例1では、板バネ517Cがブラシホルダ101と一体的に構成されている。したがって、部品点数を少なくでき、構成を簡易化できる。
【0116】
<変形例4>
【0117】
ここで、
図11を参照して、洗浄部77の変形例について説明する。
図11は、変形例4に係る洗浄部の詳細を示す縦断面図である。
【0118】
洗浄部77Dは、ブラシ99Dが一つの中央ブラシ513と、二つの外周ブラシ515D1,515D2とを備えている。外周ブラシ515D1は、中央ブラシ513の外周側に配置されている。外周ブラシ515D2は、外周ブラシ515D1の外周側に配置されている。外周ブラシ515D1は、筒状を呈する。外周ブラシ515D2は、上述した実施例の外周ブラシ515と同様の形状を呈する。
【0119】
外周ブラシ515D1は、上面に係止部531を形成されている。中央ブラシ513は、上部フランジ519の下面に係止部533を形成されている。係止部531,533には、第1の圧縮コイルバネ535の上下端が固定されている。したがって、筒状の外周ブラシ515D1は、第1の圧縮コイルバネ535で懸垂支持される。外周ブラシ515D2は、中央ブラシ513との間に、第2の圧縮コイルバネ537が配置されている。第1の圧縮コイルバネ535と第2の圧縮コイルバネ537は、上述した実施例と同様に、目標荷重の押し圧に応じた反力より小さな付勢力を有する。
【0120】
この変形例4では、基板Wの傾斜に応じて二段階にブラシ99Dの形状が変形する。したがって、基板Wの傾斜に応じてブラシ99Dの形状を変形させつつも、ブラシ99Dの基板Wに作用する面積を最大限維持させることができる。その結果、洗浄処理を効率的に行わせることができる。
【0121】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0122】
(1)上述した実施例では、上述した実施例では、基板処理装置として裏面洗浄ユニットSSRを例にとって説明した。しかしながら、本発明は、裏面洗浄ユニットSSRに限定されない。例えば、基板の表面をブラシ99で洗浄する表面洗浄ユニットであっても適用できる。
【0123】
(2)上述した実施例では、基板処理装置としての裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)が搬入出ブロック3やインデクサブロック5などを備えた基板処理装置1に備えられた構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)だけで構成されていてもよい。
【0124】
(3)上述した実施例では、洗浄アーム45がブラシ99に加わる荷重を検出する機構を備えていない。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、キャリッジ113bに加わる力をロードセルで検出し、目標荷重との一致度合いを検出する構成としてもよい。
【0125】
(4)上述した実施例では、中央ブラシ513が上部フランジ519を備え、外周ブラシ515が下部フランジ523を備えている。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。
【0126】
(5)上述した実施例及び各変形例では、付勢手段が弾性力を利用したものであるが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、付勢手段として、基板Wの傾斜に応じて積極的に外周ブラシ515の高さを調整する駆動手段を用いてもよい。
【0127】
(6)上述した実施例では、ブラシ99の移動を、洗浄アーム45に搭載された回転昇降機構71によって回転駆動することで行っていた。しかし、このような構成に限られるものではなく、洗浄アーム45をボールねじとリニアガイドとボールねじを回動させるモータなどを用いた直動機構によって直線駆動させ、洗浄アーム45に保持されたブラシ99の移動を、直動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 … 基板処理装置
3 … 搬入出ブロック
5 … インデクサブロック
7 … 処理ブロック
W … 基板
C … キャリア
IR … インデクサロボット
15 … 受渡部
23 … 第1反転ユニット
25,27 … パス部
29 … 第2反転ユニット
31 … 処理ユニット
SSR … 裏面洗浄ユニット
CR … センターロボット
37 … 回転保持部
39 … ガード
41 … 第1の処理液アーム
42 … 電動モータ
43 … 第2の処理液アーム
45 … 洗浄アーム
47 … 待機ポット
53 … スピンチャック
71 … 回転昇降機構
75 … 筐体
77,77A~77D … 洗浄部
81 … 押し圧機構
83 … 回転機構
85 … 支点部材
87 … シーソー部材
87c … 中央部
87l … 一方側
87r … 他方側
89 … 押し圧用アクチュエータ
91 … 支持機構
93 … 保持部材
95 … 付勢部
97 … ガイド部
99,99A~99D … ブラシ
101 … ブラシホルダ
103 … 回転軸
111 … コイルバネ
113 … リニアガイド
501 … 取付部
503 … 外周部
505 … 規制部
513 … 中央ブラシ
515 … 外周ブラシ
517 … 圧縮コイルバネ
519 … 上部フランジ
521 … 柱状部材
523 … 下部フランジ
525 … 中空部材
CP … 中央部
PP … 周縁部