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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064214
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172635
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】安武 陽介
(72)【発明者】
【氏名】石川 道明
(72)【発明者】
【氏名】大野 拓也
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB47
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BA02
5F157BA13
5F157BA31
5F157BB23
5F157BB45
5F157CE29
5F157CE82
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF50
5F157DC21
(57)【要約】
【課題】予め撮影した基準洗浄面画像に関する洗浄処理後の変化に応じて判断することにより、簡単な手順でブラシの交換タイミングを正確に判断できる。
【解決手段】ステップS5にて、新規のブラシを洗浄処理に使う前に、ブラシの洗浄面を基準洗浄面画像として撮影する。洗浄処理にて、ブラシの洗浄面を基板に作用させて洗浄処理を行う。洗浄処理の後に、ステップS6にて、洗浄に用いたブラシの洗浄面を現在洗浄面画像として撮影する。このように予め基準となる基準洗浄面画像を撮影しておき、ステップS7にて、基準洗浄面画像からの変化に応じてブラシの交換タイミングを決定する。したがって、ブラシの種類が変わっても同様の処理にて交換タイミングを決定できるので、簡単な手順でブラシの交換タイミングを正確に判断できる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対してブラシを作用させて洗浄処理を行う基板処理方法において、
新規のブラシに交換した後、洗浄処理の前にブラシの洗浄面を基準洗浄面画像として撮影する第1の撮影過程と、
基板の上面に前記ブラシの洗浄面を作用させて洗浄処理を行う洗浄処理過程と、
前記洗浄処理の後、前記ブラシの洗浄面を現在洗浄面画像として撮影する第2の撮影過程と、
前記基準洗浄面画像に対する前記現在洗浄面画像の差異に基づいて、前記ブラシの交換タイミングを決定する決定過程と、
を実施することを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法において、
前記第1の撮影過程及び前記第2の撮影過程は、前記ブラシの洗浄面が処理液で濡れた状態で行われることを特徴とする基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理方法において、
前記第2の撮影過程は、前記ブラシが収容される待機ポットと、前記基板の側方を囲うガードとの間を前記ブラシが移動している際に際に行われることを特徴とする基板処理方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板処理方法において、
前記決定過程は、前記基準洗浄面画像の特徴量と、前記現在洗浄面画像の特徴量とを比較することにより行われることを特徴とする基板処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理方法において、
前記特徴量は、輝度値に基づいて求められることを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】
請求項4に記載の基板処理方法において、
前記特徴量は、コントラストであることを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の基板処理方法において、
前記第2の撮影過程は、前記基板に対する洗浄処理が行われるごとに実施されることを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
請求項1に記載の基板処理方法において、
前記洗浄処理ごとに収集された各現在洗浄面画像と、前記基準洗浄面画像とに基づいて、何回目の洗浄処理で前記交換タイミングに到達するかを推測する推測過程をさらに実施することを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
基板に対してブラシを作用させて洗浄処理を行う基板処理装置において、
基板を水平姿勢で保持するとともに、基板を回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持された基板の上面に処理液を供給する処理液ノズルと、
前記回転保持部に保持された基板の上面に洗浄面が作用することで洗浄を行うブラシと、
前記回転保持部の側方にあたる待機位置に配置され、前記ブラシを収容して処理液を前記ブラシに供給する待機ポットと、
前記ブラシを先端部に備え、前記待機位置と、前記回転保持部に保持されている基板の上面における処理位置と間で、前記ブラシを基板の径方向に移動する洗浄アームと、
前記ブラシの洗浄面を撮影する撮影部と、
新規のブラシに交換した後、洗浄処理の前に前記撮影部により撮影されたブラシの洗浄面を基準洗浄面画像として記憶する第1の記憶部と、
洗浄処理の後に前記撮影部により撮影されたブラシの洗浄面を現在洗浄面画像として記憶する第2の記憶部と、
前記基準洗浄面画像と前記現在洗浄面画像との差異に基づいて、前記ブラシの交換タイミングを決定する決定部と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示用や有機EL(Electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板を洗浄処理する際に基板にブラシを作用させて洗浄処理を行う基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転されている基板の上面に処理液を供給させつつ、ブラシを自転させながらブラシを基板の径方向に移動させることにより、基板の上面に対して洗浄処理を行う基板処理方法がある。洗浄処理に用いられるブラシは消耗品であるので、寿命(以下、ライフと称する)がある。ライフは、例えば、摩耗や変形、あるいは基板からのゴミが付着することに起因してブラシの洗浄面が劣化し、基板にブラシを作用させても清浄度が高くならない時点までである。ライフに達した時点で速やかにブラシを交換、あるいはライフに達する前にブラシを交換することが好ましい。
【0003】
一般的には、代表的な処理を実際に行って得られた基板の清浄度合いにより、ライフに伴うブラシの交換タイミングを決定しておき、その交換タイミング、あるいは、余裕をもってその前にブラシの交換が行われる。但し、洗浄処理への悪影響を考慮すると、一般的には早めの交換が行われる。しかしながら、ブラシの交換があまりに早過ぎると、コストが嵩む上、環境負荷が大きくなる。さらに、交換に伴う装置の停止により、スループットが低下する。そのため、ブラシの適切な交換タイミングを決定することは、非常に重要である。
【0004】
従来、この種の方法として、洗浄処理と、表面データ取得処理と、決定処理とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。洗浄処理では、ブラシを基板の表面に作用させる。表面データ取得処理では、所定回数の洗浄処理の後、ウエット状態のブラシについて表面性状を表す表面データを原子間力顕微鏡で取得する。決定処理では、予め設定された閾値と、表面データとを比較して、ブラシの交換タイミングを決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-61469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の方法は、予め設定された閾値と表面データとを比較するので、閾値によっては交換タイミングを正確に判断できない。また、ブラシの種類ごとに適切な閾値を予め設定しておく必要があるので、交換タイミングを正確に判断するための手順が煩雑となるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、予め撮影した基準洗浄面画像に関する洗浄処理後の変化に応じて判断することにより、簡単な手順でブラシの交換タイミングを正確に判断できる基板処理方法及び基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に対してブラシを作用させて洗浄処理を行う基板処理方法において、新規のブラシに交換した後、洗浄処理の前にブラシの洗浄面を基準洗浄面画像として撮影する第1の撮影過程と、基板の上面に前記ブラシの洗浄面を作用させて洗浄処理を行う洗浄処理過程と、前記洗浄処理の後、前記ブラシの洗浄面を現在洗浄面画像として撮影する第2の撮影過程と、前記基準洗浄面画像に対する前記現在洗浄面画像の差異に基づいて、前記ブラシの交換タイミングを決定する決定過程と、を実施することを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、第1の撮影過程にて、新規のブラシを洗浄処理に使う前に、ブラシの洗浄面を基準洗浄面画像として撮影する。その後、洗浄処理過程にて、ブラシの洗浄面を基板に作用させて洗浄処理を行う。第2の撮影過程にて、洗浄処理の後に、洗浄に用いたブラシの洗浄面を現在洗浄面画像として撮影する。現在洗浄面画像は、洗浄処理を行うにつれて基準洗浄面画像から差異が生じていく。その差異に基づいて、ブラシの交換タイミングを決定する。このように予め基準となる基準洗浄面画像を撮影しておき、基準洗浄面画像からの変化に応じて交換タイミングを決定する。したがって、ブラシの種類が変わっても同様の処理にて交換タイミングを決定できるので、簡単な手順でブラシの交換タイミングを正確に判断できる。
【0010】
また、本発明において、前記第1の撮影過程及び前記第2の撮影過程は、前記ブラシの洗浄面が処理液で濡れた状態で行われることが好ましい(請求項2)。
【0011】
ブラシは、洗浄処理の際に処理液で濡れた状態となっている。したがって、第1の撮影過程と第2の撮影過程とで洗浄処理時と同じ状態としておくことで、ブラシの劣化を正確に判断できる。
【0012】
また、本発明において、前記第2の撮影過程は、前記ブラシが収容される待機ポットと、前記基板の側方を囲うガードとの間を前記ブラシが移動している際に際に行われることが好ましい(請求項3)。
【0013】
洗浄処理を開始する際には、ブラシは、必ず待機ポットからガードを越えて基板の上方へ移動する。その際に、ブラシの洗浄面の撮影を行うので、通常の洗浄処理と何ら変わりがない。したがって、洗浄処理のスループットを低下させることがない。
【0014】
また、本発明において、前記決定過程は、前記基準洗浄面画像の特徴量と、前記現在洗浄面画像の特徴量とを比較することが好ましい(請求項4)。
【0015】
現在洗浄面画像の特徴量には、ブラシの洗浄面の劣化度合いが反映されている。したがって、基準洗浄面画像の特徴量と現在洗浄面画像の特徴量とを比較することで、ブラシの劣化度合いを正確に判断できる。
【0016】
また、本発明において、前記特徴量は、輝度値に基づいて求められることが好ましい(請求項5)。
【0017】
基準洗浄面画像及び現在洗浄面画像洗浄面の輝度値を処理することで、特徴量の比較を容易に行うことができる。
【0018】
また、本発明において、前記特徴量は、コントラストであることが好ましい(請求項6)。
【0019】
基準洗浄面画像及び現在洗浄面画像洗浄面の輝度値からコトンラストを求めることにより、ブラシの劣化度合いを比較的容易に判断できる。
【0020】
また、本発明において、前記第2の撮影過程は、前記基板に対する洗浄処理が行われるごとに実施されることが好ましい(請求項7)。
【0021】
洗浄処理を行うごとに第2の撮影過程を実施する。したがって、一度の洗浄処理で急激にブラシが劣化した場合や、ブラシに損傷が生じた場合であっても適切な交換タイミングを決定できる。
【0022】
また、本発明において、前記洗浄処理ごとに収集された各現在洗浄面画像と、前記基準洗浄面画像とに基づいて、何回目の洗浄処理で前記交換タイミングに到達するかを推測する推測過程をさらに実施することが好ましい(請求項8)。
【0023】
基準洗浄面画像と、現在洗浄面画像とを時系列的に比較できる。したがって、推測過程において、このまま洗浄処理を続けていくと何回目で交換タイミングになるかを推測できる。したがって、洗浄度合いが低下する前に余裕を持って交換するのではなく、洗浄度合いが低下する直前に交換することができる。その結果、一つのブラシによる洗浄処理のスケジュールを立てやすくできる。
【0024】
また、請求項9に記載の発明は、基板に対してブラシを作用させて洗浄処理を行う基板処理装置において、基板を水平姿勢で保持するとともに、基板を回転させる回転保持部と、前記回転保持部に保持された基板の上面に処理液を供給する処理液ノズルと、前記回転保持部に保持された基板の上面に洗浄面が作用することで洗浄を行うブラシと、前記回転保持部の側方にあたる待機位置に配置され、前記ブラシを収容して処理液を前記ブラシに供給する待機ポットと、前記ブラシを先端部に備え、前記待機位置と、前記回転保持部に保持されている基板の上面における処理位置と間で、前記ブラシを基板の径方向に移動する洗浄アームと、前記ブラシの洗浄面を撮影する撮影部と、新規のブラシに交換した後、洗浄処理の前に前記撮影部により撮影されたブラシの洗浄面を基準洗浄面画像として記憶する第1の記憶部と、洗浄処理の後に前記撮影部により撮影されたブラシの洗浄面を現在洗浄面画像として記憶する第2の記憶部と、前記基準洗浄面画像と前記現在洗浄面画像との差異に基づいて、前記ブラシの交換タイミングを決定する決定部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0025】
[作用・効果]請求項9に記載の発明によれば、新規のブラシを洗浄処理に使う前に、撮影部によりブラシの洗浄面を撮影し、基準洗浄面画像として第1の記憶部に記憶する。洗浄処理の後に撮影部によりブラシの洗浄面を撮影し、現在洗浄面画像として第2の記憶部に記憶する。決定部は、基準洗浄面画像と現在洗浄面画像との差異に基づいて、ブラシの交換タイミングを決定する。このように予め基準となる基準洗浄面画像を撮影しておき、基準洗浄面画像からの変化に応じて交換タイミングを決定する。したがって、ブラシの種類が変わっても同様の処理にて交換タイミングを判断できるので、簡単な手順でブラシの交換タイミングを正確に判断できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る基板処理方法によれば、第1の撮影過程にて、新規のブラシを洗浄処理に使う前に、ブラシの洗浄面を基準洗浄面画像として撮影する。その後、洗浄処理過程にて、ブラシの洗浄面を基板に作用させて洗浄処理を行う。第2の撮影過程にて、洗浄処理の後に、洗浄に用いたブラシの洗浄面を現在洗浄面画像として撮影する。現在洗浄面画像は、洗浄処理を行うにつれて基準洗浄面画像から差異が生じていく。その差異に基づいて、ブラシの交換タイミングを決定する。このように予め基準となる基準洗浄面画像を撮影しておき、基準洗浄面画像からの変化に応じて交換タイミングを決定する。したがって、ブラシの種類が変わっても同様の処理にて交換タイミングを決定できるので、簡単な手順でブラシの交換タイミングを正確に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図2図1の基板処理装置を後方Xから見た図である。
図3】実施例に係る裏面洗浄ユニットの概略構成を示す平面図である。
図4】裏面洗浄ユニットの概略構成を示す側面図である。
図5】洗浄アームの縦断面図である。
図6】要部の制御系を示すブロック図である。
図7】新規のブラシにおける洗浄面の画像(基準洗浄面画像)の一例を示す図である。
図8】所定回数の洗浄処理を終えたブラシにおける洗浄面の画像(現在洗浄面画像)の一例を示す図である。
図9図7のブラシにおける基準洗浄面画像の特徴量を示す輝度値の分布の一例を示す図である。
図10図8のブラシにおける現在洗浄面画像の特徴量を示す輝度値の分布の一例を示す図である。
図11】洗浄処理の一例を示すフローチャートである。
図12】(a)は、基準洗浄面画像の一例を示す輝度分布であり、(b)は、1回目の洗浄処理後の現在洗浄面画像の一例を示す輝度分布であり、(c)は、n-1回目の洗浄処理後の現在洗浄面画像の一例を示す輝度分布であり、(d)は、n回目の洗浄処理後の現在洗浄面画像の一例を示す輝度分布である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。図2は、図1の基板処理装置を後方Xから見た図である。
【0029】
<1.全体構成>
【0030】
基板処理装置1は、搬入出ブロック3と、インデクサブロック5と、処理ブロック7とを備えている。
【0031】
基板処理装置1は、基板Wを処理する。基板処理装置1は、例えば、基板Wに対して洗浄処理を行う。基板処理装置1は、処理ブロック7において枚葉式で基板Wを処理する。枚葉式は、一枚の基板Wを水平姿勢の状態で一枚ずつ処理する。
【0032】
本明細書では、便宜上、搬入出ブロック3と、インデクサブロック5と、処理ブロック7とが並ぶ方向を、「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは水平である。前後方向Xのうち、処理ブロック7から搬入出ブロック3に向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前後方向Xと直交する水平方向を、「幅方向Y」と呼ぶ。「幅方向Y」の一方向を適宜に「右方」と呼ぶ。右方とは反対の方向を「左方」と呼ぶ。水平方向に対して垂直な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。各図では、参考として、前、後、右、左、上、下を適宜に示す。
【0033】
<2.搬入出ブロック>
【0034】
搬入出ブロック3は、投入部9と払出部11とを備えている。投入部9と払出部11は、幅方向Yに配置されている。基板Wは、複数枚(例えば、25枚)が一つのキャリアC内に水平姿勢で一定の間隔をおいて積層収納されている。未処理の基板Wを収納したキャリアCは、投入部9に載置される。投入部9は、例えば、キャリアCが載置される載置台13を二つ備えている。キャリアCは、基板Wの面同士を離間して、基板Wを一枚ずつ収容する溝(図示省略)が複数個形成されている。キャリアCは、例えば、基板Wの表面を上に向けた姿勢で収容する。キャリアCとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unify Pod)がある。FOUPは、密閉型容器である。キャリアCは、開放型容器でもよく、種類を問わない。
【0035】
払出部11は、基板処理装置1における幅方向Yの中央部を挟んだ投入部9の反対側に配備されている。払出部11は、投入部9の左方Yに配置されている。払出部11は、処理済みの基板WをキャリアCに収納してキャリアCごと払い出す。このように機能する払出部11は、投入部9と同様に、例えば、キャリアCを載置するための二つの載置台13を備えている。投入部9と払出部11とは、ロードポートとも呼ばれる。
【0036】
<3.インデクサブロック>
【0037】
インデクサブロック5は、基板処理装置1における搬入出ブロック3の後方Xに隣接して配置されている。インデクサブロック5は、インデクサロボットIRと、受渡部15とを備えている。
【0038】
インデクサロボットIRは、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。インデクサロボットIRは、幅方向Yに移動可能に構成されている。インデクサロボットIRは、第1のハンド19と、第2のハンド21とを備えている。図1では、図示の関係上、一つのハンドのみを示す。第1のハンド19と、第2のハンド21とは、それぞれ1枚の基板Wを保持する。第1のハンド19と第2のハンド21とは、独立して前後方向Xに進退可能に構成されている。インデクサロボットIRは、幅方向Yに移動するとともに鉛直方向Z周りに回転し、第1のハンド19や第2のハンド21を進退させて各カセットCとの間で基板Wを受け渡す。同様にして、インデクサロボットIRは、受渡部15との間で基板Wを受け渡す。
【0039】
受渡部15は、インデクサブロック5のうち、処理ブロック7との境界に配置されている。受渡部15は、例えば、幅方向Yの中央部に配置されている。図2に示すように、受渡部15は、鉛直方向Zに長く形成されている。
【0040】
受渡部15は、鉛直方向Zの下方から上方に向かって、第1反転ユニット23と、パス部25と、パス部27と、第2反転ユニット29とを備えている。
【0041】
第1反転ユニット23は、インデクサブロック5から受け取った基板Wの上下を反転させる。第1反転ユニット23は、基板Wの水平姿勢を反転させる。具体的には、第1反転ユニット23は、表面が上に向けられた基板Wを、表面が下に向けられた姿勢に変換する。換言すると、裏面が上に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。
【0042】
第2反転ユニット29は、その逆の動作を行う。つまり、第2反転ユニット29は、処理ブロック7から受け取った基板Wの上下を反転させる。第2反転ユニット29は、表面が下に向けられた基板Wを、表面が上に向けられた姿勢に変換する。換言すると、裏面が下に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。
【0043】
上記の第1反転ユニット23と第2反転ユニット29の反転方向は、互いに逆であってもよい。つまり、第1反転ユニット23は、表面が上に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。第2の反転ユニット29は、裏面が上に向いた姿勢となるように基板Wの姿勢を変換する。
【0044】
パス部25,27は、インデクサロブロック5と処理ブロック7との間で基板Wの受け渡しを行うために利用される。パス部25は、例えば、処理ブロック7からインデクサブロック5に基板Wを搬送するために用いられる。パス部27は、例えば、インデクサブロック5から処理ブロック7に基板Wを搬送するために用いられる。なお、パス部25,27における基板Wの搬送方向は、互いに逆方向であってもよい。
【0045】
<4.処理ブロック>
【0046】
処理ブロック7は、例えば、基板Wに対して洗浄処理を行う。洗浄処理は、例えば、処理液に加えてブラシを用いた処理である。処理ブロック7は、図1に示すように、例えば、幅方向Yにおいて、第1列R1と、第2列R2と、第3列R3に分けられる。詳細には、第1列R1は、左方Yに配置されている。第2列R2は、幅方向Yの中央部に配置されている。換言すると、第2列R2は、第1列R1の右方Yに配置されている。第3列R3は、第2列R2の右方Yに配置されている。
【0047】
<4-1.第1列>
【0048】
処理ブロック7の第1列R1は、複数個の処理ユニット31を備えている。第1列R1は、例えば、4個の処理ユニット31を備えている。第1列R1は、4個の処理ユニット31を鉛直方向Zに積層して配置されている。各処理ユニット31については、詳細を後述する。各処理ユニット31は、例えば、洗浄ユニットである。洗浄ユニットは、基板Wを洗浄処理する。洗浄ユニットとしては、基板Wの表面を洗浄処理する表面洗浄ユニットと、基板Wの裏面を洗浄処理する裏面洗浄ユニットとがある。本実施例では、処理ユニット31として裏面洗浄ユニットSSRを例にとって説明する。
【0049】
<4-2.第2列>
【0050】
処理ブロック7の第2列R2は、センターロボットCRを備えている。センターロボットCRは、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。センターロボットCRは、鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。センターロボットCRは、例えば、第1のハンド33と第2のハンド35とを備えている。第1のハンド33と第2のハンド35とは、それぞれ1枚の基板Wを保持する。第1のハンド33と第2のハンド35とは、独立して前後方向X及び幅方向Yに進退可能に構成されている。
【0051】
<4-3.第3列>
【0052】
処理ブロック7の第3列R3は、第1列R1と同様の構成である。つまり、第3列R3は、複数個の処理ユニット31を備えている。第3列R3は、例えば、4個の処理ユニット31を備えている。第3列R3は、4個の処理ユニット31を鉛直方向Zに積層して配置されている。第1列R1の各処理ユニット31と第3列R3の各処理ユニット31とは、幅方向Yにおいて対向して配置されている。これにより、センターロボットCRが鉛直方向Zの同じ高さにおいて第1列R1と第3列R3との対向する各処理ユニット31にアクセスできる。
【0053】
処理ブロック7は、上述したように構成されている。ここで、センターロボットCRの動作例を簡単に説明する。センターロボットCRは、例えば、第1反転ユニット23から基板Wを受け取る。センターロボットCRは、第1列R1及び第3列R3のいずれかの裏面洗浄ユニットSSRに基板Wを搬送して基板Wの裏面に洗浄処理を行わせる。センターロボットCRは、第1列R1及び第3列Rのいずれかの裏面洗浄ユニットSSRで洗浄処理が行われた基板Wを受け取る。センターロボットCRは、第2反転ユニット29に基板Wを搬送する。
【0054】
<4-4.処理ユニット>
【0055】
ここで、図3図5を参照して、裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)について説明する。図3は、実施例に係る裏面洗浄ユニットの概略構成を示す平面図である。図4は、裏面洗浄ユニットの概略構成を示す側面図である。図5は、洗浄アームの縦断面図である。
【0056】
なお、ここでは、第1列R1が備えている裏面洗浄ユニットSSRを例にとって説明する。第3列R3の裏面洗浄ユニットSSRは、幅方向Yにおける配置を入れ換えたような構成となる。
【0057】
裏面洗浄ユニットSSRは、回転保持部37と、ガード39と、第1の処理液アーム41と、第2の処理液アーム43と、洗浄アーム45と、待機ポット47とを備えている。
【0058】
<4-4-1.回転保持部>
【0059】
回転保持部37は、平面視において裏面洗浄ユニットSSRのほぼ中央に配置されている。回転保持部37は、基板Wを水平姿勢に保持した状態で、基板Wを水平面内で回転させる。回転保持部37は、電動モータ49と、回転軸51と、スピンチャック53と、支持ピン55とを備えている。
【0060】
電動モータ49は、回転軸51が鉛直方向Zに向けられた姿勢で配置されている。回転軸51は、上端にスピンチャック53が取り付けられている。スピンチャック53は、基板Wの直径よりやや大きな直径を有する。スピンチャック53は、円形状の板状部材である。スピンチャック53は、複数個の支持ピン55を備えている。この実施例では、例えば、6個の支持ピン55を備えている。6個の支持ピン55は、基板Wの外周縁に当接して基板Wを水平姿勢で支持する。複数個の支持ピン55は、基板Wを水平姿勢で安定して支持できれば、支持ピン55の個数は6個に限定されない。6個の支持ピン55は、スピンチャック53における基板Wの外周縁付近に立設されている。6個の支持ピン55は、基板Wをスピンチャック53に搬入する際と、基板Wをスピンチャック53から搬出する際には、基板Wの周縁の保持を解除する。そのため、各支持ピン55は、鉛直方向Z周りに回転可能に構成されている。その動作を行うための具体的な構成の説明については省略する。回転保持部37は、電動モータ49を回転すると、回転中心P1周りにスピンチャック53を回転する。回転中心P1は、鉛直方向Zである。
【0061】
<4-4-2.ガード>
【0062】
ガード39は、平面視にて回転保持部37を囲うように配置されている。詳細には、ガード39は、円筒状の胴部57と、傾斜部59とを備える。ガード39は、鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。ガード39は、下降した待機位置と、待機位置より上方の処理位置とに昇降可能である。ガード39を昇降する具体的な構成の説明については省略する。
【0063】
ガード39の胴部57は、筒状を呈する。胴部57は、内周面が回転保持部37の外周側から外方に離間して配置されている。傾斜部59は、胴部57の上部から回転軸51側に近づくように絞り込まれている。傾斜部59は、上部に開口部61を有する。開口部61は、傾斜部59の中央部に形成されている。開口部61は、基板Wの直径より大きい。開口部61は、スピンチャック53の直径より大きい。基板Wの搬入出の際には、ガード39は、鉛直方向Zにおいて、スピンチャック53が開口部61から上方へ突出する位置にまで下降される。基板Wの洗浄処理の際には、ガード39は、スピンチャック53に保持された基板Wの高さ付近に傾斜部59が位置する。傾斜部59は、傾斜した内周面にて基板Wから周囲に飛散した処理液などをガード39の下方へ案内する。
【0064】
<4-4-3.第1の処理液アーム>
【0065】
第1の処理液アーム41は、平面視で回転保持部37の後方Xに配置されている。第1の処理アーム41は、基端部側に電動モータ42を備えている。第1の処理液アーム41は、電動モータ42によって基端部側の回転中心P2周りに揺動される。回転中心P2は、鉛直方向Zである。第1の処理液アーム41は、1本のノズル63を備えている。ノズル63は、下方に吐出口を備えている。ノズル63は、処理液を吐出する。第1の処理液アーム41は、ノズル63の先端部が図3に示す待機位置と、回転中心P1付近の供給位置とにわたって揺動可能に構成されている。第1の処理液アーム41は、処理液を基板Wに供給する際には、ノズル63の先端部が供給位置に移動される。第1の処理液アーム41は、処理液を基板Wに供給しない場合には、ノズル63の先端部が待機位置に移動される。第1の処理液アーム41は、処理液を基板Wに供給する際に、洗浄アーム45と干渉しないように、ノズル63を基板Wの上方で揺動移動するようにしてもよい。
【0066】
ノズル63から吐出する処理液としては、例えば、リンス液が挙げられる。リンス液としては、例えば、純水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水などが挙げられる。
【0067】
<4-4-4.第2の処理液アーム>
【0068】
第2の処理液アーム43は、平面視で回転保持部37の左方Yに配置されている。第2の処理液アーム41は、基端部側に電動モータ44を備えている。第2の処理液アームは、電動モータ44によって基端部側の回転中心P3周りに揺動される。回転中心P3は、鉛直方向Zである。第2の処理液アーム43は、3本のノズル65,67,69を備えている。各ノズル65,67,69は、下方に吐出口を備えている。ノズル65,67,69は、処理液を吐出する。第2の処理液アーム43は、ノズル65,67,69の先端部が図3に示す待機位置と、回転中心P1付近の供給位置とにわたって揺動可能に構成されている。第2の処理液アーム43は、処理液を基板Wに供給する際には、ノズル65,67,69の先端部が供給位置に移動される。第2の処理液アーム43は、処理液を基板Wに供給しない場合には、ノズル65,67,69の先端部が待機位置に移動される。第2の処理液アーム43は、処理液を基板Wに供給する際に、洗浄アーム45と干渉しないように、ノズル65,67,69を基板Wの上方で揺動移動するようにしてもよい。
【0069】
ノズル65,67,69から吐出する処理液としては、例えば、薬液が挙げられる。薬液としては、例えば、硫酸、硝酸、酢酸、塩酸、フッ化水素酸、アンモニア水、過酸化水素水のうち少なくとも1つを含む薬液である。より具体的な薬液としては、例えば、アンモニア水と過酸化水素水との混合液であるSC-1などを用いることができる。
【0070】
<4-4-5.洗浄アーム>
【0071】
洗浄アーム45は、次のように構成されている。
【0072】
洗浄アーム45は、回転昇降機構71と、支柱73と、筐体75と、洗浄部77とを備えている。
【0073】
回転昇降機構71は、支柱73と、筐体75と、洗浄部77とを鉛直方向Zに昇降可能に構成されている。回転昇降機構71は、支柱73と、筐体75と、洗浄部77とを回転中心P4周りに揺動可能に構成されている。具体的には、回転昇降機構71は、例えば、電動モータとエアシリンダとを組み合わせて構成されている。回転昇降機構71は、待機位置において洗浄部77を待機ポット47から鉛直方向Zに上昇させる。回転昇降機構71は、駆動モータの回転駆動によって、支柱73と筐体75とを通じて洗浄部77が回転中心P1付近を通るように水平面内で洗浄部77を揺動(移動)させる。
【0074】
支柱73は、円柱状を呈する。支柱73は、回転昇降機構71に下部が連結されている。支柱73は、上部が筐体75の一方の下部に連結されている。筐体75は、水平面内に長軸を有する。筐体75は、他方の下部に洗浄部77を備えている。洗浄部77は、回転中心P5周りに回転される。回転中心P5は、鉛直方向Zである。
【0075】
筐体75は、下部筐体75aと、上部筐体75bとを備えている。下部筐体75aは、筐体75の下部を構成する。上部筐体75bは、筐体75の上部を構成する。上部筐体75bと下部筐体75aとは、互いに連結されている。
【0076】
筐体75は、押し圧機構81と、回転機構83とを備えている。具体的には、下部筐体75aは、押し圧機構81と、回転機構83とを搭載している。
【0077】
押し圧機構81は、支点部材85と、シーソー部材87と、押し圧用アクチュエータ89と、支持機構91とを備えている。
【0078】
支点部材85は、下部筐体75aの上面に取り付けられている。支点部材85は、下部筐体75aの前後方向Xにおけるほぼ中央部に立設されている。支点部材85は、上部に揺動軸85aを備えている。揺動軸85aは、幅方向Y周りに回転可能である。シーソー部材87は、中央部87cが揺動軸85aを介して支点部材85に揺動可能に取り付けられている。シーソー部材87は、一方側87l(作用点部)と他方側87r(力点部)の両端が鉛直方向Zに交互に昇降可能である。シーソー部材87は、揺動軸85aが支点となる。
【0079】
押し圧用アクチュエータ89は、作動片89aが鉛直方向Zに向けて配置されている。押し圧用アクチュエータ89は、作動軸89aを伸長させることでシーソー部材87の一方側87lを上昇させる。押し圧用アクチュエータ89は、例えば、エアベアリングアクチュエータが好ましい。
【0080】
エアベアリングアクチュエータは、作動軸89aが空気により微小隙間をおいて進退可能に支持されている。そのため、理論上は、作動軸89aの摺動抵抗がゼロになり摩擦が生じない。そのため、エアベアリングアクチュエータは、通常のエアシリンダに比較して、微小な空気圧でも作動軸89aを進退させることができる。したがって、空気圧に応じてリニアに進退させることが可能である。但し、押し圧用アクチュエータ89として、通常のエアシリンダを使用することもできる。
【0081】
前後方向Xにおいて、支点部材85を挟んだ押し圧用アクチュエータ89の反対側には、支持機構91が設けられている。支持機構91は、洗浄部77を支持する。支持機構91は、筐体75の下方に洗浄部77を懸垂支持する。
【0082】
支持機構91は、保持部材93と、付勢部95と、ガイド部97とを備えている。
【0083】
支持機構91は、洗浄部77を懸垂支持する。洗浄部77は、ブラシ99と、ブラシホルダ101とを備えている。ブラシ99は、基板Wに作用して洗浄を行う。ブラシホルダ101は、ブラシ99を保持する。ブラシホルダ101は、ブラシ99を着脱自在に保持する。ブラシホルダ101は、平面視における中心部に回転軸103が取り付けられている。回転軸103は、ブラシホルダ101から鉛直方向Zに延出されている。ブラシ99は、洗浄アーム45に保持されて、基板Wの回転中心P1付近を通るように水平面内で移動する。
【0084】
保持部材93は、回転軸103を回転自在に保持する。回転軸103は、例えば、スプライン軸で構成されている。回転軸103は、スプラインナット103aを介して保持部材93に取り付けられている。回転軸103は、スプラインナット103aに対して鉛直方向Zに移動可能である。保持部材93は、鉛直方向Z周りに回転可能な状態でスプラインナット103aを保持する。スプラインナット103aは、図示しないベアリングを介して保持部材93に取り付けられている。回転軸103は、回転中心P5周りに回転可能である。保持部材93の上部に突出したスプラインナット103aには、プーリ105が取り付けられている。プーリ105は、スプラインナット103aの外周面に固定されている。プーリ105が回転すると、スプラインナット103aが回転し、これとともに回転軸103も同じ方向に回転する。
【0085】
プーリ105の上部には、付勢部95が配置されている。付勢部95は、上部保持部107と、下部保持部109と、コイルバネ111とを備えている。上部保持部107は、回転軸103の上部側にベアリング(不図示)を介して取り付けられている。換言すると、上部保持部107は、回転軸103が回転しても静止したままである。下部保持部109は、上部保持部107から離間して配置されている。下部保持部109は、上部保持部107の下方であって、プーリ105の上部に配置されている。下部保持部109は、内周面が回転軸103の外周面から離間して配置されている。したがって、下部保持部109は、回転軸103が回転しても静止したままである。また、下部保持部109は、プーリ105の上面にベアリングを介して取り付けられている。したがって、下部保持部109は、プーリ105の回転に影響を受けない。
【0086】
コイルバネ111は、上部保持部107と下部保持部109とに取り付けられている。コイルバネ111は、上部保持部107に上端が固定されている。コイルバネ111は、下部保持部109に下端が固定されている。コイルバネ111は、例えば、円筒形状を呈する。コイルバネ111は、圧縮コイルバネである。したがって、プーリ105の上面及び下部保持部109から上方に上部保持部107が付勢される。その結果、回転軸103が鉛直方向Zの上方へ付勢される。そのため、押し圧用アクチュエータ89が作動していない通常状態においては、ブラシ99は、下部筐体75aの下面から一定の高さに維持される。換言すると、通常状態においては、ブラシ99による荷重はゼロである。
【0087】
支持機構91は、鉛直方向Zへ昇降する回転軸103を支持する。支持機構91は、リニアガイド113と、軸保持部115とを備えている。リニアガイド113は、保持部材93に隣接して配置されている。リニアガイド113は、鉛直方向Zに立設されている。リニアガイド113は、レール113aとキャリッジ113bとを備えている。レール113aは、鉛直方向Zに長手方向が配置されている。レール113aは、キャリッジ113bが鉛直方向Zへ移動可能に取り付けられている。キャリッジ113bは、シーソー部材87の他方側87rの下方に配置されている。キャリッジ113bは、シーソー部材87の他方側87rが下降した際に当接する位置に配置されている。
【0088】
軸保持部115は、回転軸103の上部を保持する。軸保持部115は、回転軸103が回転することを許容した状態で保持する。軸保持部115は、例えば、図示しないベアリングを介して回転軸103を保持する。キャリッジ113bは、軸保持部115に連結されている。コイルバネ111の付勢力より強い駆動力で押し圧用アクチュエータ89が作動軸89aを上昇させると、一方側87l(作用点部)が上昇する。一方側87lが上昇すると、他方側87r(力点部)が下降する。このとき、他方側87rがキャリッジ113bを軸保持部115とともに下降させる。すると、回転軸103が下降し、ブラシ99が所定位置から下方へ移動する。このようにして押し圧用アクチュエータ89を駆動すると、押し圧用アクチュエータ89の駆動力に応じた押し圧がブラシ99に付与される。
【0089】
支持機構91に隣接して回転機構83が配置されている。回転機構83は、支点部材85側に配置されている。回転機構83は、取付部材117と、電動モータ119とを備えている。取付部材117は、下部筐体75aの底面から電動モータ119を上方に離間して配置する。電動モータ119は、回転軸が鉛直方向Zの下方に向けて配置されている。電動モータ119は、回転中心P6周りに回転軸を回転する。回転中心P6は、鉛直方向Zにおいて回転中心P5とほぼ平行である。電動モータ119は、回転軸にプーリ121が取り付けられている。プーリ121とプーリ105とには、タイミングベルト123が架け渡されている。したがって、電動モータ119が回転されると、タイミングベルト123と、プーリ105,121と、スプラインナット103aとを介して回転軸103が回転中心P5周りに回転される。このように回転軸103が回転されても、回転軸103は鉛直方向Zに昇降可能である。
【0090】
上述したように洗浄アーム45が構成されている。つまり、押し圧用アクチュエータ89の動作がシーソー部材87の一方側87l(力点部)を介して他方側87r(作用点部)に付与される。したがって、シーソー部材87を備えることにより、押し圧用アクチュエータ89の配置の自由度が高められる。したがって、基板処理装置1の高さを抑制できる。その結果、基板処理装置1を多段に積層する配置を容易に実現できる。
【0091】
上述したブラシ99は、次のように昇降される。シーソー部材87は、押し圧用アクチュエータ89によって揺動される。例えば、押し圧用アクチュエータ89は、後述するように目標荷重に応じて操作される。この操作により、ブラシ99が鉛直方向Zに移動される。具体的には、ブラシ99は、無荷重高さと、作用高さと、最大押し込み高さとに昇降される。無荷重高さは、最も高い。洗浄処理時を除いた通常時は、この無荷重高さにブラシ99が位置している。作用高さは、無荷重高さより低い高さである。最大押し込み高さは、作用高さよりも低い高さである。
【0092】
<4-4-6.待機ポット>
【0093】
待機ポット47は、洗浄アーム45のブラシ99を収容する。待機ポット47は、図3に示すように、回転保持部37及びガード39の側方に配置されている。待機ポット47は、図示しないノズルを備え、待機位置にあるブラシ99に対して処理液を供給する。待機ポット47は、ブラシ99を濡れた状態に維持する。待機ポット47は、図示しない排出口を底部に備えている。ブラシ99が待機ポット47に位置している際には、図示しないノズルからブラシ99に向けて処理液が供給され、図示しない排出口から排出される。
【0094】
<4-4-7.撮影部>
【0095】
ここで、図3及び図4を参照する。
【0096】
裏面洗浄ユニットSSRは、撮影部801を備えている。撮影部801は、撮影視野が鉛直方向Zの上方に向けられている。撮影部801は、側面視において、洗浄アーム45の下方に配置されている。詳細には、平面視において、洗浄アーム45の洗浄部77の移動軌跡上に配置されている。撮影部801は、平面視において、待機ポット47とガード39との間に配置されている。撮影部801の撮影視野は、ブラシ99の洗浄面CSに対向している。ブラシ99の洗浄面CSは、ブラシ99の下面である。撮影部801は、例えば、ブラシ99の洗浄面CSを鉛直方向Zの直下から撮影する。
【0097】
撮影部801は、ブラシ99の移動中に、洗浄面CSを下方から撮影する。撮影部801は、カラー画像やグレースケール画像(多階調画像)を出力する。本実施例では、撮影部801は、例えば、洗浄面CSを撮影して、グレースケール画像として出力するものとして説明する。
【0098】
<4-5.制御系>
【0099】
制御部161は、図示しないCPU及びメモリを備えている。制御部161は、上述した各部を統括的に制御する。具体的には、制御部161は、投入部9及び払出部11における搬送動作、インデクサロボットIRの搬送動作、第1反転ユニット23及び第2反転ユニット29の反転動作、センターロボットCRの搬送動作などを制御する。制御部161は、裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)における電動モータ49の回転制御、ガード39の昇降動作、スピンチャック53における支持ピン55の開閉動作、電動モータ42,44の揺動動作、押し圧用アクチュエータ89を制御対象として操作を行う。制御部161は、洗浄処理に指定された目標荷重に応じて、押し圧用アクチュエータ89を操作し、ブラシ99から基板Wに作用する押し圧を制御する。
【0100】
制御部161は、回転昇降機構71を操作して、洗浄部77を基板Wの中央部と周縁部とにわたって揺動させる。この動作をスキャン動作とも呼ぶ。
【0101】
ここで、図6を参照する。図6は、要部の制御系を示すブロック図である。
【0102】
制御部161には、指示部163と、報知部165と、撮影部801と、第1の記憶部803と、第2の記憶部805とが接続されている。
【0103】
指示部163は、基板Wを処理する手順などを規定したレシピを指示する。指示部163は、装置の始動/停止を指示する。指示部163は、ブラシ99が新規なものであることを指示する。指示部163は、ブラシ99がライフに達したことを示すライフ値を指示する。ライフ値の具体例については、詳細を後述する。
【0104】
報知部165は、装置に問題が発生した際に報知を行う。報知部165は、ブラシ99がライフに達したことを報知する。換言すると、報知部165は、ブラシ99を新規のブラシ99に交換するように促すための報知を行う。
【0105】
制御部161は、撮影部801を操作して、ブラシ99の洗浄面CSを撮影する。制御部161は、ブラシ99が新規であることを指示部163から指示された直後である場合には、待機ポット45で処理液によりブラシ99が濡らされた後、洗浄アーム45が待機位置から基板Wの上方に移動する際に洗浄面CSを撮影する。このときの洗浄面CSの画像は、1つのブラシ99につき1つだけのものである。制御部161は、指示部163から新規のブラシ99であることを指示された場合には、このときの洗浄面CSの画像を基準洗浄面画像として第1の記憶部803に記憶する。制御部161は、このように第1の記憶部803に基準洗浄面画像を記憶した後、指示部163から指示された新規のブラシ99であることを示す情報、例えば、フラグを削除する。基準洗浄面画像は、ブラシ99が洗浄処理に使用される前の画像である。基準洗浄面画像は、ブラシ99が一度も洗浄処理に使用されたことがない状態の洗浄面CSの画像である。制御部161は、第1の記憶部803に記憶された基準洗浄面画像について画像処理を行う。制御部161は、画像処理により基準洗浄面画像についての特徴量を抽出して、第1の記憶部803に記憶する。
【0106】
上記のように、洗浄面CSの撮影は、通常の洗浄処理と何ら変わりがないシーケンス中に実施される。したがって、洗浄処理のスループットを低下させることがない。
【0107】
制御部161は、ブラシ99について基準洗浄面画像が撮影された後、ブラシ99で洗浄処理が行われるごとに、ブラシ99の洗浄面CSを撮影する。具体的には、洗浄アーム45が基板Wの上方から待機ポット47の待機位置に戻るために移動する際に洗浄面CSを撮影する。このとき、ブラシ99は、基板Wに対する洗浄処理の後であるので、処理液で濡れた状態である。つまり、基準洗浄面画像の撮影時とほぼ同じ状態のブラシ99について洗浄面CSを撮影する。このときの洗浄面CSの画像は、現在洗浄面画像として第2の記憶部805に記憶される。制御部161は、第2の記憶部805に記憶された現在洗浄面画像について画像処理を行う。制御部161は、画像処理により現在洗浄面画像についての特徴量を抽出して、第2の記憶部805に記憶する。第2の記憶部805には、ブラシ99が交換されるまでの間、洗浄処理が行われるごとに、ブラシ99の現在洗浄面画像と特徴量とが記憶される。
【0108】
上記のようにブラシ99の洗浄面CSの撮影は、処理液で濡れた状態で行われる。したがって、基準洗浄面画像と現在洗浄面画像とを洗浄処理時と同じ状態での画像としておくことで、ブラシ99の洗浄面CSの劣化を正確に判断できる。
【0109】
なお、洗浄面CSの現在洗浄面画像の撮影は、洗浄アーム45が待機ポット47の待機位置から基板Wの処理位置に移動する際に行うようにしてもよい。
【0110】
ここで、図7から図10を参照する。図7は、新規のブラシにおける洗浄面の画像(基準洗浄面画像)の一例を示す図である。図8は、所定回数の洗浄処理を終えたブラシにおける洗浄面の画像(現在洗浄面画像)の一例を示す図である。図9は、図7のブラシにおける基準洗浄面画像の特徴量を示す輝度値の分布の一例を示す図である。図10は、図8のブラシにおける現在洗浄面画像の特徴量を示す輝度値の分布の一例を示す図である。
【0111】
なお、図9及び図10においては、横軸が輝度値であり、縦軸が度数である。輝度値は、左側(輝度値が小さい)が黒色であり、右(輝度値が大きい)が白色である。
【0112】
図7及び図8に示すように、ブラシ99が処理液を含んだ状態の洗浄面CSを撮影すると、グレースケール画像において、白色系の領域と黒色系の領域とが生じる。白色系の領域は、処理液を充分に含んでいる部分である。黒色系の領域は、処理液をほぼ含んでいない部分である。白色系と黒色系との中間的な色の領域は、それらの中間的な部分である。
【0113】
新規のブラシ99は、ブラシ99の洗浄面CSが整っており、清浄である。そのため、洗浄面CSの画像である基準洗浄面画像FRFは、図7に示すように、白色系の領域が多く、その他は黒色系と白色系の中間的な領域である。換言すると、新規のブラシ99は、洗浄面CSが処理液等の液体を充分に、かつ、ほぼ全面において均等に吸収する。
【0114】
一方、複数回の洗浄処理に使われたブラシ99は、新規のブラシ99に比較して洗浄面CSが乱れ、清浄な状態ではなくなっていく。そのため、現在洗浄面画像FPRは、基準洗浄面画像FRF(新規のブラシ99)に比較して白色系の領域が少なくなり、黒色系の領域や、黒色系と白色系の中間的な領域が増える傾向がある。換言すると、ブラシ99を洗浄処理に使用する回数が増加するにしたがって、洗浄面CSが処理液等の液体を充分に吸収できなくなり、吸収できる領域がまばらになって減少していく傾向がある。つまり、ブラシ99の洗浄処理における使用履歴に応じて、洗浄面CSにおける処理液等の液体の吸収度合いが低下していく傾向がある。
【0115】
制御部161は、上述した各部の操作の他、洗浄面CSの撮影画像について次のように処理を行う。制御部161は、第1の記憶部803及び第2の記憶部805に記憶されている画像を対象にして画像処理を行う。
【0116】
本実施例では、例えば、画像の特徴量をコントラストとする。具体的には、制御部161は、新規のブラシ99の基準洗浄面画像FRFについて、例えば、輝度値に基づいてコントラストを求める。例えば、制御部171は、まず、輝度値ごとの出現頻度をグラフ化した度数分布(ヒストグラム)を求める。次に、制御部161は、度数分布における輝度値の最小値と最大値の範囲を求める。制御部161は、この範囲を基準洗浄面画像FRFにおけるコントラストCRFとする。あるいは、制御部161は、度数分布のうち所定値以上の範囲について、輝度値の最小値と最大値の範囲を基準洗浄面FRFにおけるコントラストCRFとする。これにより、輝度値に異常値があっても度数分布から適切に基準洗浄面画像FRFに関するコントラストCRFを求めることができる。
【0117】
制御部161は、洗浄処理に使用したブラシ99の現在洗浄面画像FPRについて、基準洗浄面画像FRFと同様の手法によりコントラストCPRを求める。
【0118】
制御部161は、コントラストCRFとコントラストCPRとのコントラスト差異に基づいて、ブラシ99がライフに達したか否かについて判断する。コントラスト差異は、ブラシ99の使用回数が多くなるにつれて大きくなる。制御部161は、コントラスト差異に基づいてライフに達したと判断した場合には、報知部165により報知する。制御部161は、予め設定されたライフ値と、コントラスト差異とに基づいてブラシ99がライフに達したことを判断する。制御部161は、例えば、コントラスト差異がライフ値に達した時点でライフに至ったと判断する。ライフ値は、ブラシ99とレシピごとに予め洗浄処理を実施し、洗浄度合いに基づいて決定することが好ましい。
【0119】
<5.処理ユニットにおける洗浄処理>
【0120】
次に、図11を参照して、洗浄処理について説明する。図11は、洗浄処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明においては、発明の理解を容易にするため、第1の処理液アーム41及び第2の処理液アーム43による処理液の供給動作の説明については省略する。
【0121】
ステップS1
オペレータが処理開始を指示部163から指示する。具体的には、目標荷重を含むレシピ、ブラシ99の種類に応じたライフ値についても指示する。この指示により、インデクサブロック5から基板Wが受渡部15に搬送され、第1反転ユニット23で裏面が上に向けられるように姿勢が変換される。なお、ブラシ99が新規なものである場合には、指示部163からその旨を指示する。
【0122】
ステップS2
センターロボットCRは、裏面が上となる姿勢に変換された基板Wを一つの裏面洗浄ユニットSSRに搬送する。裏面洗浄ユニットSSRは、基板Wに対して洗浄処理を開始する。
【0123】
ステップS3
制御部161は、撮影部801を操作して、ブラシ99の洗浄面CSを撮影する。具体的には、待機ポット47において処理液を供給されていたブラシ99を基板Wの上方へ移動させる。洗浄アーム45は、ブラシ99を備えた先端部が基板Wの上方へ移動される。このとき、制御部161は、ブラシ99が撮影部801の上方を通過するタイミングに合わせて、撮影部801を操作して洗浄面CSを撮影する。
【0124】
ステップS4
制御部161は、ブラシ99が新規であるか否かに応じて洗浄面CSの撮影画像について記憶先を切り換える。オペレータは、ブラシ99を新規なものに交換した後は、予め指示部163からブラシ99が新規である旨を指示している。したがって、制御部161は、ブラシ99が新規なものであるか否かを判断できる。
【0125】
ステップS5
制御部161は、ブラシ99が新規である場合には、撮影した洗浄面CSの画像を第1の記憶部803に記憶する。この洗浄面CSの画像は、基準洗浄面画像FRFである。制御部161は、基準洗浄面画像FRFに基づいてコントラストCRFを求める。
【0126】
ステップS6
制御部161は、ブラシ99が新規でない場合には、撮影した洗浄面CSの画像を第2の記憶部805に記憶する。撮影は、例えば、洗浄処理が行われるごとに実施される。この洗浄面CSの画像は、現在洗浄面画像FPRである。制御部161は、現在洗浄面画像FPRに基づいてコントラストCPRを求める。このコントラストCPRの算出は、第2の記憶部805に現在洗浄面画像FPRが記憶されるごとに行われる。
【0127】
ステップS7
制御部161は、ブラシ99の交換タイミングであるかを決定する。具体的には、制御部161は、コントラストCRFとコントラストCPRのコトンラスト差分とライフ値とを比較する。制御部161は、コントラスト差分がライフ値に達しているか否かに応じて処理を分岐する。
【0128】
ステップS8
ステップS7において、ブラシ99がライフに達していないと判断された場合には、ステップS8に分岐する。この場合には、制御部161は、通常どおりに基板Wに対する洗浄処理を行う。制御部161は、ブラシ99の洗浄面CSを基板Wの上面に作用させつつ、洗浄アーム45を移動させて、基板Wの上面の全面に対する洗浄処理を行わせる。
【0129】
ステップS9
現在の基板Wに対する処理を終え、次の基板Wの処理に移る。まず、制御部161は、処理を終えた基板WをセンターロボットCRで搬出させる。次に、センターロボットCRによって搬入された次の基板Wに対して洗浄処理を行う。つまり、上述したステップS2に戻る。
【0130】
ステップS10
ステップS7において、ブラシ99がライフに達したと判断された場合には、ステップS10に分岐する。制御部161は、ブラシ99の交換を報知する。具体的には、制御部161は、オペレータにブラシ交換99を促すための報知を行う。これにより、オペレータは、ブラシ99がライフに達したことを知ることができる。
【0131】
ステップS11
制御部161は、現在処理中の基板Wに対する洗浄処理が完了した後、装置の動作を一時的に停止させる。オペレータは、一時的に装置が停止した時点でブラシ99を新規のものに交換し、指示部163から処理の再開を指示する。これにより、ステップS2に戻って次の基板Wに対する洗浄処理を再開させる。なお、ブラシ99の交換後、指示部163からブラシ99が新規なものとなったことを指示する。
【0132】
なお、ステップS7において、ブラシ99がライフに達したと判断された時点で、報知を行い、装置を一時停止させてブラシ99の交換を促すようにしてもよい。
【0133】
上述したステップS3が本発明における「第1の撮影過程」と「第2の撮影過程」に相当する。上述したステップS8が本発明における「洗浄処理過程」に相当する。上述したステップS7が本発明における「決定過程」に相当する。
【0134】
本実施例によると、新規のブラシ99を洗浄処理に使う前に、ブラシ99の洗浄面CSを基準洗浄面画像FRFとして撮影する。その後、洗浄処理にて、ブラシ99の洗浄面CSを基板Wに作用させて洗浄処理を行う。洗浄処理の後に、洗浄に用いたブラシ99の洗浄面CSを現在洗浄面画像FPRとして撮影する。現在洗浄面画像FPRは、洗浄処理を行うにつれて基準洗浄面画像FRFから差異が生じていく。その差異に基づいて、ブラシ99の交換タイミングを決定する。このように予め基準となる基準洗浄面画像FRFを撮影しておき、基準洗浄面画像FRFからの変化に応じてブラシ99の交換タイミングを決定する。したがって、ブラシ99の種類が変わっても同様の処理にて交換タイミングを決定できるので、簡単な手順でブラシ99の交換タイミングを正確に判断できる。
【0135】
また、早期のタイミングでブラシ99を交換することがなくなる。したがって、環境負荷を小さくできる。さらに、適切な交換タイミングにより、ブラシ99の交換に伴う装置の停止回数を少なくできる。したがって、装置のスループットの低下を抑制できる。
【0136】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0137】
(1)上述した実施例では、上述した実施例では、基板処理装置として裏面洗浄ユニットSSRを例にとって説明した。しかしながら、本発明は、裏面洗浄ユニットSSRに限定されない。例えば、基板の表面をブラシ99で洗浄する表面洗浄ユニットであっても適用できる。
【0138】
(2)上述した実施例では、基板処理装置としての裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)が搬入出ブロック3やインデクサブロック5などを備えた基板処理装置1に備えられた構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、裏面洗浄ユニットSSR(処理ユニット31)だけで構成されていてもよい。
【0139】
(3)上述した実施例では、洗浄アーム45がブラシ99に加わる荷重を検出する機構を備えていない。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、キャリッジ113bに加わる力をロードセルで検出し、目標荷重との一致度合いを検出する構成としてもよい。
【0140】
(4)上述した実施例では、洗浄処理の後に洗浄面CSを撮影して現在洗浄面画像FPRを取得している。つまり、一度の洗浄処理が終わるたびに現在洗浄面画像FPRを取得している。しかしながら、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、所定回数(例えば、2~5回など)の洗浄処理を終えるごとに、現在洗浄面画像FPRを取得するようにしてもよい。これにより、制御部161の負荷を軽減できる。このような方式は、基板Wの上面が円滑な面である場合や、洗浄処理時間が短い場合に有効である。
【0141】
(5)上述した実施例では、基準洗浄面画像FRFと現在洗浄面画像FPRとの差異に基づいて、洗浄処理を終えた現在の時点においてブラシ99の交換タイミングを決定している。しかしながら、本発明は、このような実施に限定されない。例えば、洗浄処理ごとに収集された現在洗浄面画像FPRと、基準洗浄面画像FRFとに基づいて、何回目の洗浄処理で現在のブラシ99の交換タイミングに到達するかという、未来の時点におけるブラシの交換タイミングを決定する推測過程を実施するようにしてもよい。
【0142】
ここで、図12を参照する。図12(a)は、基準洗浄面画像の一例を示す輝度分布であり、図12(b)は、1回目の洗浄処理後の現在洗浄面画像の一例を示す輝度分布であり、図12(c)は、n-1回目の洗浄処理後の現在洗浄面画像の一例を示す輝度分布であり、図12(d)は、n回目の洗浄処理後の現在洗浄面画像の一例を示す輝度分布である。
【0143】
洗浄処理ごとに撮影を行うと、1回目からn回目までの複数個の基準洗浄面画像FRFと、現在洗浄面画像FPRとを時系列的に比較できる。ここでは、例えば、n回目の現在洗浄面画像FPRのコントラストCPR(n)で、基準洗浄面画像FRFのコントラストCRFからライフ値に達するものと想定する。制御部161は基準洗浄面画像FRPのコントラストCRFと、少なくとも2回の現在洗浄面画像FPRのコントラストCPR(1)、CPR(2)とから、補外により何回目の洗浄処理でコントラストCRFとの差分がライフ値に達するかを計算より求めることができる。この計算を行う過程が本発明における「推測過程」に相当する。したがって、ブラシ99の洗浄度合いが低下する前に余裕を持って交換するのではなく、洗浄度合いが低下する直前にブラシ99を交換することができる。その結果、一つのブラシ99による洗浄処理のスケジュールを立てやすくできる。
【0144】
上述したような推測過程を実施する場合には、例えば、ステップS7において交換タイミングであるか否かの判断とともに、現在のブラシ99による洗浄処理の使用可能な回数を報知部165により報知することが好ましい。これにより、装置のオペレータは、新たなブラシ99に交換する準備を予め行うことができる。したがって、ブラシ99の交換を迅速に行うことができる。その結果、装置の停止時間を短縮でき、スループットの低下を抑制できる。
【0145】
(6)上述した実施例では、特徴量としてコトンラストを例にとって説明した。しかしながら、本発明は、他の特徴量を採用してもよい。例えば、撮影した画像を二値化処理し、白黒の度数に関する大小関係を特徴量としてもよい。また、撮像部801をカラー画像で撮影可能なものとし、色彩を特徴量として採用してもよい。
【0146】
(7)上述した実施例では、輝度値の度数分布に基づきコントラストを算出し、コントラストとの差異をライフ値と比較している。しかしながら、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、図12(a)~(d)から明らかなように、洗浄回数が増加するにしたがって、基準洗浄面画像FRFの黒色領域のピークの位置が移動する。したがって、そのピーク位置と、白色領域のピーク位置との間隔に基づいて交換タイミングを判断してもよい。また、洗浄回数が増加するにしたがって、白色領域のピーク高さが低くなる。したがって、そのピーク高さに基づいて交換タイミングを判断してもよい。このような洗浄回数による変化は、ブラシ99の種類によって異なる。したがって、ブラシ99の種類に応じて、ブラシ99の交換タイミングを判断しやすいパラメータをライフ値として採用することが好ましい。
【0147】
(8)上述した実施例では、待機ポット47とガード39との間で洗浄面CSの撮影を行っている。しかしながら、本発明は、このような位置での撮影に限定されるものではない。例えば、待機ポット47内から洗浄面CSを撮影してもよい。また、洗浄面CSの撮影は、鉛直方向Zの直下から撮影することに限定されない。例えば、ノズル99の若干斜め方向から洗浄面CSを撮影してもよい。
【0148】
(9)上述した実施例では、第1の記憶部803と第2の記憶部805とが別体の記憶部とされている。しかしながら、本発明は、このような形態に限定されない。つまり、一つの記憶部について、異なる領域に基準洗浄面画像FRFと現在洗浄面画像FPR等を記憶する構成としてもよい。
【0149】
(10)上述した実施例では、洗浄アーム45を回転昇降機構71によって回転駆動し、ブラシ99を揺動させることによって行っていた。しかしながら、本発明は、このような構成に限られるものではない。例えば、洗浄アーム45をボールねじとリニアガイドとボールねじを回動させるモータなどを用いた直動機構によって直線駆動させ、洗浄アーム45に保持されたフラシ99の移動を、直動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1 … 基板処理装置
3 … 搬入出ブロック
5 … インデクサブロック
7 … 処理ブロック
W … 基板
C … キャリア
IR … インデクサロボット
15 … 受渡部
23 … 第1反転ユニット
25,27 … パス部
29 … 第2反転ユニット
31 … 処理ユニット
SSR … 裏面洗浄ユニット
CR … センターロボット
37 … 回転保持部
39 … ガード
41 … 第1の処理液アーム
42 … 電動モータ
43 … 第2の処理液アーム
45 … 洗浄アーム
47 … 待機ポット
53 … スピンチャック
71 … 回転昇降機構
75 … 筐体
77 … 洗浄部
81 … 押し圧機構
83 … 回転機構
85 … 支点部材
87 … シーソー部材
87c … 中央部
87l … 一方側
87r … 他方側
89 … 押し圧用アクチュエータ
91 … 支持機構
93 … 保持部材
95 … 付勢部
97 … ガイド部
99 … ブラシ
99a … 先端部
101 … ブラシホルダ
103 … 回転軸
111 … コイルバネ
113 … リニアガイド
161 … 制御部
163 … 指示部
165 … 報知部
801 … 撮影部
803 … 第1の記憶部
805 … 第2の記憶部
FRF … 基準洗浄面画像
FPR … 現在洗浄面画像
CRF,CPR … コントラスト
図1
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図10
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図12