(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064216
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ファイル及びポケットシート
(51)【国際特許分類】
B42F 7/00 20060101AFI20240507BHJP
B42F 13/20 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B42F7/00 A
B42F7/00 E
B42F13/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172641
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000115821
【氏名又は名称】株式会社リヒトラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(74)【代理人】
【識別番号】100149478
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 竜也
(72)【発明者】
【氏名】真田 珠樹
(72)【発明者】
【氏名】北原 英理
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA01
2C017QA17
2C017QB03
2C017UD08
2C017UD11
(57)【要約】
【解決手段】表紙体12にポケット状の収容部14を有するファイル10であって、収容部14は表紙体12の外表面12aを覆う透明な樹脂シート140と、樹脂シート140の第1側部143を外表面12aに溶着する第1溶着部146と、樹脂シート140を表紙体12の側端部122aに沿って内表面12bに向けて折り返す第1折返部147と、折り返された第2側部144を内表面12bに溶着する第2溶着部148と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表表紙と、裏表紙と、背表紙とを有する表紙体と、
前記表紙体に取り付けられた綴じ具と、
前記表紙体の外表面の上に設けられ、上端に開口部を有するポケット状の収容部と、を備え、
前記収容部は、
前記外表面を覆う透明な樹脂シートと、
前記樹脂シートの第1側部を前記外表面に溶着する第1溶着部と、
前記樹脂シートを前記表紙体の側端部で前記表紙体の内表面に向けて折り返す第1折返部と、
前記樹脂シートの第2側部を前記表紙体の内表面に溶着する第2溶着部と、を有する、ファイル。
【請求項2】
請求項1記載のファイルであって、前記樹脂シートは、上辺部に、前記第1溶着部の近くの上辺部に位置して下方に向けて切欠いた第1切欠部と、前記第1折返部に位置して下方に切欠いた第2切欠部とを有する、ファイル。
【請求項3】
請求項1記載のファイルであって、前記表表紙と前記背表紙とは、前記外表面を凸にして前記側端部が内側に向かうように湾曲し、前記樹脂シートは、湾曲した前記表紙体に沿うように配置される、ファイル。
【請求項4】
請求項1記載のファイルであって、前記樹脂シートは、前記表紙体の底部に沿って前記樹脂シートの前記内表面に向けて折り返す第2折返部と、前記樹脂シートの底辺部を前記内表面に溶着する第3溶着部を有する、ファイル。
【請求項5】
一対の樹脂シートを重ねて両側部及び底辺部を閉塞し、上辺部に開口部を形成した袋状のポケットと、
前記ポケットの一方の側部に繋がって形成され、複数の綴じ穴を有する綴じ部と、を備え、
複数の前記綴じ穴の上下方向の中心位置が、前記ポケットの上下方向の中心位置よりも下方にずれて位置し、
前記綴じ部の上端の前記綴じ穴と前記ポケットの前記開口部との上下方向の距離が、前記綴じ部の下端の前記綴じ穴と前記ポケットの底部との上下方向の距離よりも大きい、ポケットシート。
【請求項6】
請求項5記載のポケットシートであって、さらに、
上端の前記綴じ穴の上方の前記綴じ部を幅方向に切欠いた第1切欠部と、
下端の前記綴じ穴の下方の前記綴じ部を幅方向に切欠いた第2切欠部と、を備え、
前記第1切欠部の上下方向の長さが、前記第2切欠部の上下方向の長さよりも長い、ポケットシート。
【請求項7】
表紙体と、
前記表紙体に取り付けられ、複数の綴じ竿を有する綴じ具と、を備え、
前記綴じ具は、複数の前記綴じ竿の上下方向の中心位置が、前記表紙体の上下方向の中心よりも下方にずれて配置されており、
前記綴じ具の上端の前記綴じ竿と前記表紙体の上辺との上下方向の距離が、前記綴じ具の下端の前記綴じ竿と前記表紙体の底辺との上下方向の距離よりも大きい、ファイル。
【請求項8】
一対の塩化ビニルシートを重ね合わせ、周囲を閉塞した袋状の収容部と、
前記収容部の側部に繋がって形成され、2穴式綴じ具、4穴式綴じ具及び30穴式綴じ具に取り付け可能な複数の綴じ穴を有する綴じ部と、を備え、
前記綴じ部は、
前記4穴式綴じ具の綴じ竿を通す円形の4穴の丸穴と、
前記丸穴の上方及び下方に配置され、前記30穴式綴じ具の綴じ竿を通す、複数の長穴と、を有し、
前記長穴は、上下に隣接する複数本の綴じ竿を挿通可能な長さを有する、ポケットシート。
【請求項9】
請求項8記載のポケットシートであって、前記丸穴は、上から順に第1丸穴と、第2丸穴と、第3丸穴と、第4丸穴とを有し、前記第1丸穴と前記第2丸穴との間の区間及び前記第3丸穴と前記第4丸穴との間の区間とには、それぞれ2つの前記長穴が配置され、前記第2丸穴と前記第3丸穴との間の区間には、3つの前記長穴が配置されている、ポケットシート。
【請求項10】
請求項9記載のポケットシートであって、前記第1丸穴と前記第2丸穴との間の区間及び前記第3丸穴と前記第4丸穴との間の区間における前記綴じ穴が形成されていない部分の長さが、前記第2丸穴と前記第3丸穴の間の区間における前記綴じ穴が形成されていない部分の長さよりも長い、ポケットシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング状の綴じ具を有するファイル及びポケットシートに関する。
【背景技術】
【0002】
リング状の綴じ具を有するファイルに、交換式のポケットシートを取り付けたファイルが広く使用される。例えば、特許文献1は、交換用のポケットシートを開示する。また、特許文献2は、ポケットシートを綴じ込むファイルを開示する。ファイル及びポケットシートの形状は、互換性の観点から一定の寸法範囲に収まるように製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3177545号公報
【特許文献2】特開2010-52397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ユーザのニーズが多様化し、ポケットシートに定型サイズの書類以外の物を収容する場合が増えている。また、ファイルに、物品の整理収納用品としての機能を越えた機能が求められる場合が増えている。例えば、ファイルは、ユーザが収集した物品を、他人に積極的に見せることでコミニュケーションツールの一つとして使用する、いわゆる“見せる収納”として使用される場合がある。そのため、ユーザの多様なニーズに応えるファイル及びポケットシートが求められている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の開示の一観点は、表表紙と、裏表紙と、背表紙とを有する表紙体と、前記表紙体に取り付けられた綴じ具と、前記表紙体の外表面の上に設けられ、上端に開口部を有するポケット状の収容部と、を備え、前記収容部は、前記外表面を覆う透明な樹脂シートと、前記樹脂シートの第1側部を前記外表面に溶着する第1溶着部と、前記樹脂シートを前記表紙体の側端部で前記表紙体の内表面に向けて折り返す第1折返部と、前記樹脂シートの第2側部を前記表紙体の内表面に溶着する第2溶着部と、を有する、ファイルにある。
【0007】
別の一観点は、一対の樹脂シートを重ねて両側部及び底辺部を閉塞し、上辺部に開口部を形成した袋状のポケットと、前記ポケットの一方の側部に繋がって形成され、複数の綴じ穴を有する綴じ部と、を備え、複数の前記綴じ穴の上下方向の中心位置が、前記ポケットの上下方向の中心位置よりも下方にずれて位置し、前記綴じ部の上端の前記綴じ穴と前記ポケットの前記開口部との上下方向の距離が、前記綴じ部の下端の前記綴じ穴と前記ポケットの底部との上下方向の距離よりも大きい、ポケットシートにある。
【0008】
別の一観点は、表紙体と、前記表紙体に取り付けられ、複数の綴じ竿を有する綴じ具と、を備え、前記綴じ具は、複数の前記綴じ竿の上下方向の中心位置が、前記表紙体の上下方向の中心よりも下方にずれて配置されており、前記綴じ具の上端の前記綴じ竿と前記表紙体の上辺との上下方向の距離が、前記綴じ具の下端の前記綴じ竿と前記表紙体の底辺との上下方向の距離よりも大きい、ファイルにある。
【0009】
別の一観点は、一対の塩化ビニルシートを重ね合わせ、周囲を閉塞した袋状の収容部と、前記収容部の側部に繋がって形成され、2穴式綴じ具、4穴式綴じ具及び30穴式綴じ具に取り付け可能な複数の綴じ穴を有する綴じ部と、を備え、前記綴じ部は、前記4穴式綴じ具の綴じ竿を通す円形の4穴の丸穴と、前記丸穴の上方及び下方に配置され、前記30穴式綴じ具の綴じ竿を通す、複数の長穴と、を有し、前記長穴は、上下に隣接する複数本の綴じ竿を挿通可能な長さを有する、ポケットシートにある。
【発明の効果】
【0010】
上述の観点のファイル及びポケットシートは、ユーザの多様なニーズに応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るファイルの斜視図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係るポケットシートの平面図である。
【
図6】
図6Aは、
図5のポケットシートをファイルに綴じた状態の斜視図であり、
図6Bは比較例に係るポケットシートをファイルに綴じた状態の斜視図である。
【
図7】
図7Aは、第3実施形態に係るファイルの表紙体を開いた状態で示す平面図であり、
図7Bは
図7Aのファイルに
図5のポケットシートを綴じ込んだ状態の平面図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係るポケットシートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態に係るファイル10は、
図1に示すように、表紙体12の外表面12aに、透明なポケット状の収容部14を有している。収容部14には、例えば、印刷物やクリアホルダ等の薄手の被収容物を、外から見える状態で収容できる。収容部14は、いわゆる“見せる収納”としての使用に好適である。
【0013】
以下、本実施形態のファイル10の各部について説明する。なお、本明細書の「ファイル」との用語には、綴じ具のついたバインダも含まれる。
【0014】
ファイル10は、表紙体12と、収容部14と、綴じ具16と、を主に有する。表紙体12は、表表紙122と、背表紙124と、裏表紙126とを有する。表表紙122は、ファイル10に綴じられる冊子体の表側を覆う板状の部材であり、その外表面12aに収容部14が形成される。裏表紙126は、表表紙122と向かい合って配置され、冊子体の裏側を覆う板状の部材である。背表紙124は、表表紙122と裏表紙126とを接続する。
【0015】
図1に示されるように、表紙体12は、表表紙122と背表紙124との境界及び裏表紙126と背表紙124との境界に、それぞれ肉薄の溝状のヒンジ部127を有する。ヒンジ部127は、表表紙122及び裏表紙126の開閉を容易にする。外部から力が加えられていない自然状態では、表紙体12及び裏表紙126は、
図1に示すように互いの側端部122a、126aが重なって閉じるように形付けられている。表表紙122は、外表面12aが凸となるように緩やかな曲率で湾曲しており、背表紙124から離れた側端部122aが、裏表紙126に接近するように形付けられている。裏表紙126も、表表紙122と同様に、外表面12aが凸となるように湾曲し、側端部126aが表表紙122に接近するように形付けられている。
【0016】
このような表紙体12は、例えば、
図2A~
図2Cに示す工程により形成される。まず、
図2Aに示されるように、Tダイ128による押し出し成形で樹脂板120を形成する。成形された樹脂板120をセンターロール129aとバックロール129bとの間に通す。センターロール129a及びバックロール129bは所定温度に加温されている。このようなセンターロール129a及びバックロール129bを通した後に、樹脂板120の一方の面と他方の面とで異なる冷却速度で冷却する。すると、
図2Bに示されるように、樹脂板120の外表面12aが凸となる湾曲形状を形成できる。
【0017】
その後、
図2Cに示されるように、樹脂板120にヒンジ部127を形成すると共に、表表紙122と背表紙124とが互いに向かい合うように形付ける加工を施して表紙体12を形成する。これにより、
図1に示されるような表表紙122及び裏表紙126の外表面12aに凸の湾曲を有するファイル10を形成できる。
【0018】
表紙体12は、例えば、ポリプロピレン樹脂等の撓みやすい樹脂板によって形成されており、表表紙122又は裏表紙126は、外表面12aから押圧すると、容易に変形する。
【0019】
図3に示されるように、綴じ具16は、表紙体12の内表面12bに接合されている。特に限定されないが、図示の例では、綴じ具16は裏表紙126の内表面12b(裏表紙126の裏面)に取り付けられている。なお、綴じ具16は、背表紙124の内表面12b又は表表紙122の内表面12bに接合されてもよい。綴じ具16は、例えば、リング式の金具であり、リング状の綴じ竿162を複数有している。図示の綴じ具は、4穴式の綴じ具であり、4本の綴じ竿162を有する。本実施形態はこれに限定されず、例えば、綴じ具16は、2本の綴じ竿162を有しても良く、また、綴じ具16は、30本の綴じ竿162を有してもよい。
【0020】
図1に示されるように、収容部14は、表表紙122の外表面12aに設けられる。収容部14は、矩形状のポケット構造を有し、上辺部141に開口部142を有する。収容部14は、樹脂シート140を表表紙122に溶着して形成される。樹脂シート140は、例えばポリプロピレン樹脂等の樹脂によって形成された透明又は半透明な可撓性フィルムである。樹脂シート140は、略矩形状に形成されており、上辺部141、第1側部143、第2側部144及び底辺部145を有する。
【0021】
上辺部141は、樹脂シート140の上端に位置し、収容部14の幅方向に延びる辺である。上辺部141は、収容部14の開口部142の前縁を形成する。上辺部141は、第1切欠部141aと第2切欠部141bとを有する。第1切欠部141aは、後述する第1溶着部146の近くに位置し、上辺部141から下方に向けてV字状に浅く切欠いた形状を有する。第2切欠部141bは、後述する第1折返部147に位置し、上辺部141から下方に向けてV字状に浅く切欠いた形状を有する。第1切欠部141a及び第2切欠部141bは、樹脂シート140の上辺部141を厚さ方向に撓み易くする。すなわち、第1切欠部141a及び第2切欠部141bは、開口部142を広げることを容易とし、収容部14への被収容物の挿入を容易にする。
【0022】
第1側部143は、背表紙124の近くに位置し、上下方向に延在する辺である。第2側部144は、第1側部143に対して収容部14の幅方向の反対側に位置し、上下方向に延びる辺である。底辺部145は、樹脂シート140の下端に位置し、幅方向に延びる辺である。
【0023】
樹脂シート140は、第1側部143が、ファイル10の上下方向に延在する第1溶着部146によって表表紙122の外表面12aに溶着されている。また、樹脂シート140は、第2側部144の近くに、第1折返部147を有する。第1折返部147は、第2側部144と平行に延びる。
図4Bに示されるように、第1折返部147は、表表紙122の側端部122aを覆うように配置されている。第1折返部147は、第1屈曲部147aと、第2屈曲部147bとを有する。第1屈曲部147a及び第2屈曲部147bは、それぞれ略直角に屈曲する屈曲部である。第1屈曲部147a及び第2屈曲部147bは、樹脂シート140の第2側部144の外に配置される。第2側部144は、第1折返部147を通じて、表表紙122の上に配置される部分の樹脂シート140に対して180°反転する。第1折返部147は、表表紙122の側端部122aに接合されていない。したがって、樹脂シート140又は表表紙122を撓ませると、第1折返部147は、側端部122aから離れてずれることができる。
【0024】
図4Aに示されるように、第2側部144は、第1折返部147を通じて表表紙122の内表面12bに折り返されており、内表面12bの上に配置される。第2側部144は、第2溶着部148によって内表面12bに溶着される。
図3に示されるように、第2溶着部148は、第2側部144に沿って上下方向に延びる。
【0025】
樹脂シート140は、底辺部145の近くに第2折返部149を有する。第2折返部149は、底辺部145と平行に延びる。第2折返部149は、表紙体12の底部12cを覆うように配置される。樹脂シート140の底辺部145の近くの隣接部145aは、第2折返部149を通じて表表紙122の内表面12bに向けて折り返されている。第2折返部149は、表表紙122の底部12cに接合されていない。したがって、樹脂シート140又は表表紙122を撓ませると、第2折返部149は、表紙体12の底部12cから離れ、或いは、ずれることができる。樹脂シート140の底辺部145は表表紙122の内表面12bに位置し、第3溶着部150によって表表紙122の内表面12bに溶着されている。
【0026】
本実施形態のファイル10は以上のように構成され、以下その作用について説明する。
図1に示されるように、樹脂シート140は、第1側部143が第1溶着部146によって表表紙122の外表面12aに接合され、第2側部144及び底辺部145が表表紙122の内表面12bに接合されて、ポケット状の収容部14を形成する。
図4Aに示されるように、樹脂シート140は外表面に向けて凸に湾曲した表表紙122の外表面12aに沿って、弛むことなく配置される。表表紙122が外に凸に湾曲するため、樹脂シート140が内表面12bに巻きとられるように変形する。そのため、収容部14の樹脂シート140は表表紙122の湾曲によって非収容物を押圧して保持することができ、被収容物の脱落を防止できる。
【0027】
一方、被収容物を収容部14に挿入する場合には、ユーザの押圧操作によって、表表紙122の湾曲の曲率が変化する。樹脂シート140は、第2側部144が第1折返部147を介して内表面12bに配置されるため、表表紙122の湾曲の変化に随従しにくくなっている。そのため、表表紙122を押圧すると、樹脂シート140が表表紙122から離れて、被収容物を容易に挿入可能な隙間を形成できる。
【0028】
従来、ファイルに、樹脂シートよりなるポケット状の収容部を設ける場合、表表紙の同一面に樹脂シートが溶着されており、樹脂シートの両側部及び底辺部は、表表紙の同一面に配置する構造が採用されていた。ところが、従来のポケット状の収容部の構造では、樹脂シートが表表紙に張り付いてしまい、被収容物の挿入が容易ではなく、表表紙の外表面のポケットが使いにくいという問題がある。また、樹脂シートの両側部及び底辺部を、表表紙の同一の面に溶着する構造では、樹脂シートと表表紙との間が広がりにくく、収容スペースが限られるという問題がある。
【0029】
上述の収容スペースの減少を回避するために、本願出願人は、ポケット状の収容部の形成面内に折返部を設ける構造を提案した(特開2019-198992号公報)。ところが、このような収容部は、収容部を構成する樹脂シートが折返部の弾性復元力によって常に厚さ方向に膨らんでしまう。表紙体の外表面にこのような収容部を設けると、表紙体に対して収容部が常に厚さ方向に膨らんでしまい、外観を損なうと共に、取扱の際に、収容部が突起物などに引っ掛かるなどして、利便性が低下する問題がある。
【0030】
これに対し、本実施形態の収容部14は、樹脂シート140の第1側部143を表表紙122の外表面12aに溶着する一方で、樹脂シート140の第2側部144の隣接部144aを、第1折返部147を通じて内表面12bに折り返し、第2側部144を内表面12bに溶着する。この構造では、被収容物を収容していない状態の樹脂シート140を、表紙体12の外表面12aに対して膨らまない状態に保て、収容部14に収容した被収容物を樹脂シート140で押圧することで被収容物の脱落を防止できる。その一方で、本実施形態の収容部14は、第1折返部147を設けることで、樹脂シート140を表表紙122から離れる方向に変位しやすい。そのため、収容部14は、被収容物の容易に挿入できると共に、より厚手の被収容物の収容も可能である。
【0031】
なお、上述の説明は、ファイル10の収容部14を表表紙122に設ける例を示すが、本実施形態はこれに限定されない。ファイル10は、同様の構造を有する収容部14を裏表紙126に設けてもよい。
【0032】
(第2実施形態)
以下に説明する本実施形態は、
図5に示されるように、リング式の綴じ具に脱着可能な綴じ穴を有するポケットシート20に関する。本実施形態のポケットシート20は、例えばファイル10(
図1参照)に綴じ込まれた状態でユーザに提供され、或いは、交換用のポケットシート20としてユーザに提供される。
【0033】
一般的なポケットシートは、収容する用紙のサイズによって大きさが決まっている。例えばA4版の用紙を収容するためのポケットシートの場合には、縦方向の寸法L(
図5参照)が、300~305mmであり、横方向の寸法W1(
図5参照)が230~235mmとなっている。また、ポケットシートは、B5版等の他の寸法の用紙に合わせたものも提供されており、それぞれ用紙の規格寸法に合わせた所定寸法に形成されている。
【0034】
近年、ユーザのニーズが多様化し、ファイルが定型的な用紙以外の物品を収容して保管する用途で使用される場合が増加している。したがって、ポケットシートの寸法も、定型的な用紙のサイズによって決まった寸法では不足する場合がある。そこで、従来の用紙の規格によって定められた寸法のポケットシートよりも、より大きな寸法を有するポケットシート20が求められている。
【0035】
ただし、ポケットシート20の寸法を大きくする場合において、専用のファイルを必要とするのでは、ユーザが所有するファイル10A(
図6A)を有効利用できなくなってしまい、ユーザの利便性を損なってしまう。そのため、綴じ穴の数及びピッチについては、従来のポケットシートとの互換性の維持が求められる。
【0036】
綴じ穴の数及びピッチを従来のポケットシートと共通化しつつ、ポケットのみを大型化する比較例のポケットシート20Aが考えられる。ところが、比較例のポケットシート20Aは、ユーザが所有している通常のファイル10Aに挟み込むと、
図6Bに示されるように、ファイル10Aの上部と底部とから、ポケットシート20Aの上辺部及び底辺部がはみ出してしまう。このようなファイル10Aを棚等に収納すると、ポケットシート20Aの底辺部が潰れるようにして折れ曲がってしまい、ポケットに収容された被収容物を損傷させてしまうという問題がある。
【0037】
そこで、本実施形態は、ポケット22を大型化し、かつ従来のファイル10Aとの互換性を維持しつつも、被収容物の損傷を防止可能とするポケットシート20を提供することを目的としている。以下、ポケットシート20の各部について説明する。
【0038】
図5に示されるように、本実施形態のポケットシート20は、袋状のポケット22と、ポケット22の側部に繋がって形成された綴じ部24とを備える。ポケット22及び綴じ部24は、重ね合わされた一対の樹脂シート200を互いに溶着することによって一体的に形成される。ポケット22は、矩形状で有り、上辺部221、底辺部222、第1側部223及び第2側部224を有する。第1側部223、第2側部224及び底辺部222は、一対の樹脂シート200の折り目又は溶着部として閉じられている。一対の樹脂シート200の間にポケット22の収納空間225が形成される。上辺部221は、一対の樹脂シート200が離間可能であり、収納空間225に被収容物を出し入れする開口部226を形成する。
【0039】
図5に示される本実施形態のポケットシート20の縦方向の寸法Lは、例えば310~330mmであり、市販されているA4サイズのポケットシートの縦方向の寸法Lの300~305mmよりも大きな値となっている。また、ポケットシート20の横方向の寸法W1は、例えば245~250mmである。またポケット22の横方向の内寸W2は、例えば230~235mmである。したがって、ポケットシート20の一態様は、市販のポケットシートをポケット22の中に収容することができる。
【0040】
綴じ部24は、ポケット22の第1側部223の側部に隣接して配置される。綴じ部24は、一対の樹脂シート200の間に配置された補強テープ25を有する。補強テープ25は、上下方向に延びる2本の溶着部241を通じて、一対の樹脂シート200に溶着されている。綴じ部24は、溶着部241を介してポケット22と仕切られている。綴じ部24は、ポケット22の上下方向に延びている。綴じ部24は複数の綴じ穴26と切欠部28とを有する。
【0041】
図示の例では、A4版のポケットシートと互換性を有するべく、綴じ部24は、30穴の綴じ穴26を有する。綴じ穴26は、上下方向に並んで配置されている。30穴の綴じ穴26うち、4つの綴じ穴26aは、他の綴じ穴26bよりも大きな内径を有している。4の綴じ穴26aの中心は、互いに上下方向に80mmの間隔を開けて配置されている。4つの綴じ穴26aは、4穴式の綴じ具の綴じ竿及び2穴式の綴じ具の綴じ竿に対応する位置に配置される。残りの26穴の綴じ穴26bは、直径が6mmで、上下方向に9.5mm±1mmのピッチで配置される。4穴の綴じ穴26a及び26穴の綴じ穴26bは、それぞれが30穴式の綴じ具の綴じ竿を挿通可能な位置に配置される。すなわち、ポケットシート20は、2穴式の綴じ具、4穴式の綴じ具、及び30穴式の綴じ具のいずれにも綴じ込むことができる。
【0042】
市販のポケットシートは、複数の綴じ穴26の中心位置が、ポケットシートの上下方向の中央に配置されている。これに対し、本実施形態のポケットシート20は、複数の綴じ穴26の中心位置が、ポケットシート20の上下方向の中央よりも下側(底辺部222)に近い側に偏って位置する。
【0043】
綴じ部24の中で、上端に位置する綴じ穴26の中心とポケットシート20の上辺部221との上下方向の距離をAとする。また、綴じ部24の中で、下端に位置する綴じ穴26の中心とポケットシート20の底辺部222との上下方向の距離をBとする。本実施形態において、距離Aは、距離Bよりも大きい。
【0044】
ポケットシート20が、綴じ部24に30穴の綴じ穴26を有する態様では、綴じ部24の下端の綴じ穴26の中心から、底辺部222までの上下方向の距離は、例えば12~14mm、より好ましくは、13.25mmとすることができる。一方、距離Aは、ポケット22の寸法に応じて適宜設定され得る。
【0045】
切欠部28は、綴じ部24を幅方向に短く切欠いた部分であり、上端の綴じ穴26の上方に設けられる切欠部28の上下方向の長さは、下端の綴じ穴26の下方に設けられる切欠部28の上下方向の長さよりも長い。
【0046】
なお、ポケットシート20は、綴じ部24に2つ又は4つの綴じ穴26のみが形成されてもよい。この場合には、2つ又は4つの綴じ穴26の中心位置が、ポケットシート20の上下方向の中央よりも下側に位置して配置される。綴じ部24の綴じ穴26の具体的な位置は、ポケットシート20の底辺部222がファイル10Aの下端部から突出しない範囲で適宜設定される。
【0047】
本実施形態のポケットシート20は、
図6Aに示されるように、30穴式の綴じ具を有する通常のファイルに綴じ込むと、ファイル10Aの上部からポケットシート20の開口部226とその近傍の一部が突出する。しかしながら、ポケットシート20の底辺部222がファイル10Aの底部から突出するのを防止できる。そのため、ポケットシート20は、ポケット22を大型化し、かつ従来のファイルとの互換性を維持しつつも、被収容物の損傷を防止可能とする。
【0048】
(第3実施形態)
本実施形態は、
図7Aに示すファイル10Bに関する。ファイル10Bは、ポケットシート20(
図5参照)を好適に収納できる。
図7Aに示されるように、ファイル10Bは、表紙体12Bと綴じ具16Bとを有する。表紙体12Bは、表表紙122B、背表紙124B及び裏表紙126Bを有する。表表紙122B及び裏表紙126Bは、矩形状に形成されると共に、ポケットシート20(
図5)の全体を覆い隠すことができるように、ポケットシート20よりも大きな寸法を有する。背表紙124Bは、表表紙122Bと裏表紙126Bとの間に位置し、表表紙122Bと裏表紙126Bとを接続する。
【0049】
綴じ具16Bは、表表紙122B、背表紙124B及び裏表紙126Bのいずれかの内表面12bに取り付けられる。綴じ具16Bは、
図3を参照しつつ説明した綴じ具16と同様である。本実施形態のファイル10Bにおいて、綴じ具16Bは、表紙体12Bの底部12cに近い位置に配置される。綴じ具16の複数の綴じ竿162の上下方向の中心位置は、表紙体12Bの上下方向の中心位置よりも底部12c寄りに偏って位置する。そのため、綴じ具16Bの下端部と表紙体12Bの底部12cとの距離B1は、綴じ具16Bの上端部と表紙体12Bの上端12dとの距離A1よりも狭くなっている。
【0050】
図7Bに示されるように、本実施形態のファイル10Bによれば、ポケットシート20を表紙体12Bの内部に収まるように綴じ込むことができる。
【0051】
(第4実施形態)
本実施形態は、
図8に示すポケットシート30に関する。本実施形態のポケットシート30は、2枚の塩化ビニルの樹脂シートを重ね合わせて、周囲を溶着することで複数のポケット32を形成した構造を有する。図示の例では、溶着部33が格子状に配置されており、格子の間に複数のポケット32が形成されている。一方の樹脂シートには、切断パターンによって形成された開口部31が形成されている。開口部31の上には、ポケット32を塞ぐフラップ31aが配置されている。このような塩化ビニル樹脂を用いたポケットシート30は、高い透明度が得られる一方で、強度が比較的高いため、缶バッチや、トレーディングカード(トレカ)や、キーホルダー等の小物の収納に好適に使用できる。
【0052】
本実施形態のポケットシート30は、複数のポケット32の側部に、綴じ具に取り付けるための綴じ部34を有する。綴じ部34は、2穴式の綴じ具、4穴式の綴じ具、及び、30穴式の綴じ具に取り付け可能な複数の綴じ穴36を有する。
【0053】
通常、2穴式の綴じ具、4穴式の綴じ具、及び、30穴式の綴じ具に取り付け可能な綴じ部は、
図5のポケットシート20のように、30穴の綴じ穴26を有している。綴じ穴26の形成は、熱したパンチ刃を塩化ビニル樹脂に押し付けて、塩化ビニル樹脂の不要部分を切り抜くと同時に、切断された端部を溶着して行われる。ところが、塩化ビニルの樹脂シートで多数の綴じ穴36を形成すると、綴じ穴36の周囲に、切断の際に取り切れなかった破片状の異物がバリとして高い頻度で発生するという問題がある。そのため、バリの除去の工程が必要とされる。塩化ビニルの樹脂シートに、30穴の綴じ穴36からバリを除去するのは、製造コスト面で見合わないという問題がある。
【0054】
そこで、本実施形態のポケットシート30は、綴じ部34の綴じ穴36において、一部の綴じ穴36を上下方向に長く延びた長孔37に置き換える。長孔37に置き換えることにより、ポケットシート30は、バリの除去が必要な綴じ穴36の数を減らすことができ、製造コストの抑制が可能である。
【0055】
ポケットシート30の綴じ部34は、4穴式綴じ具の綴じ竿を通す円形の4穴の丸穴38と、丸穴38の上方及び下方に配置された複数の長孔37とを有する。丸穴38は、上から順に第1丸穴38aと、第2丸穴38bと、第3丸穴38cと、第4丸穴38dとを有する。第1丸穴38a~第4丸穴38dは、上下方向に80mmのピッチで配置されている。第1丸穴38aと、第2丸穴38bと、第3丸穴38cと、第4丸穴38dには、4穴式の綴じ具の綴じ竿162が挿通可能である。また、中央に位置する第2丸穴38bと第3丸穴38cとには、2穴式の綴じ具の綴じ竿162が挿通可能である。
【0056】
長孔37は、
図9に示されるように、30穴用の2つの綴じ穴26を連結した第1長孔37aと、30穴用の3つの綴じ穴26を連結した第2長穴37bと、30穴用の4つの綴じ穴26を連結した第3長孔37cとを有する。綴じ部34において、第1丸穴38aの上には、1つの第1長孔37aが配置されている。また、第4丸穴38dの下には、1つの第1長孔37aが配置されている。
【0057】
また、第1丸穴38aと第2丸穴38bとの間の区間と、第3丸穴38cと第4丸穴38dとの間の区間とには、それぞれ2つの長孔37として、第2長穴37b及び第3長孔37cが配置されている。これらの区間の綴じ部34には、綴じ具に綴じた際に、比較的大きな荷重がはたらく。そのため、分離した第2長穴37b及び第3長孔37cを設け、長孔37同士の間及び長孔37と丸穴38との間に、綴じ穴36が形成されていない補強部39を設ける。これにより、綴じ部34の強度を確保することができる。
【0058】
また、第2丸穴38bと第3丸穴38cとの間の区間には、2つの第2長穴37bと1つの第1長孔37aとからなる3つの長孔37が配置されている。第1長孔37aは、ポケットシート30の上下方向の中央に配置されており、2つの第2長穴37bは、第1長孔37aの上下に配置される。第2丸穴38bと第3丸穴38cとの間の区間にも長孔37同士の間及び長孔37と丸穴38との間に補強部39が設けられる。なお、第1丸穴38aと第2丸穴38bとの間の区間、及び第3丸穴38cと第4丸穴38dと間の区間における補強部39の上下方向の長さが、第2丸穴38bと第3丸穴38cとの間の補強部39の上下方向の長さよりも長く、より強度が高くなっている。
【0059】
本実施形態のポケットシート30は、以上のように構成される。ポケットシート30は、綴じ穴36の一部を長孔37に置き換えることで、バリの発生箇所を抑制でき、製造コストを抑制できる。また、ポケットシート30は、4つの丸穴38の間に複数の長孔37と補強部39を設けることで、綴じ部34に必要とされる強度を確保できる。
【0060】
以上の開示は、以下のようにまとめられる。
【0061】
1つの観点は、表表紙と、裏表紙と、背表紙とを有する表紙体と、前記表紙体に取り付けられた綴じ具と、前記表紙体の外表面の上に設けられ、上端に開口部を有するポケット状の収容部と、を備え、前記収容部は、前記外表面を覆う透明な樹脂シートと、前記樹脂シートの第1側部を前記外表面に溶着する第1溶着部と、前記樹脂シートを前記表紙体の側端部で前記表紙体の内表面に向けて折り返す第1折返部と、前記樹脂シートの第2側部を前記表紙体の内表面に溶着する第2溶着部と、を有する、ファイルにある。
【0062】
上述のファイルは、表紙体に折返部を有するポケット状の収納部を、厚さ方向に膨らまないように設けることができる。このような収容部は、“見せる収納”として好適に使用できる。
【0063】
上述のファイルにおいて、前記樹脂シートは、上辺部に、前記第1溶着部の近くに位置して下方に向けて切欠いた第1切欠部と、前記折返部に位置して下方に切欠いた第2切欠部とを有してもよい。このファイルは、開口部を広げやすくすることで、収容部への被収容物の挿入を容易にする。
【0064】
上述のファイルにおいて、前記表表紙と前記背表紙とは、前記外表面を凸にして前記側端部が内側に向かうように湾曲し、前記樹脂シートは、湾曲した前記表紙体に沿うように配置されてもよい。このファイルは、収容部の膨らみを抑制できる。また、表紙体を押圧して表紙体の湾曲を変えることで、樹脂シートを表紙体から容易に離間させることができ、収容部への被収容物の挿入が容易になる。
【0065】
上述のファイルにおいて、前記樹脂シートは、前記表紙体の底部に沿って前記樹脂シートの前記内表面に向けて折り返す第2折返部と、前記樹脂シートの底辺部を前記内表面に溶着する第3溶着部を有してもよい。このファイルは、底辺部にも折返部が形成されるため、よりフレキシブルに収容空間を広げることができ、より厚手の被収容物を収容部に収容できる。
【0066】
別の一観点は、一対の樹脂シートを重ねて両側部及び底辺部を閉塞し、上辺部に開口部を形成した袋状のポケットと、前記ポケットの一方の側部に繋がって形成され、複数の綴じ穴を有する綴じ部と、を備え、複数の前記綴じ穴の上下方向の中心位置が、前記ポケットの上下方向の中心位置よりも下方にずれて位置し、前記綴じ部の上端の前記綴じ穴と前記ポケットの前記開口部との上下方向の距離が、前記綴じ部の下端の前記綴じ穴と前記ポケットの底部との上下方向の距離よりも大きい、ポケットシートにある。
【0067】
上述のポケットシートは、ポケットを拡張した場合であっても、通常のサイズのファイルに、ポケットの底辺部を突出させることなく綴じ込むことができる。そのため、ユーザが所持するファイルを有効利用しつつ、より大きな被収容物をポケットに収容して保管できる。
【0068】
上述のポケットシートであって、さらに、上端の前記綴じ穴の上方の前記綴じ部を幅方向に切欠いた第1切欠部と、下端の前記綴じ穴の下方の前記綴じ部を幅方向に切欠いた第2切欠部と、を備え、前記第1切欠部の上下方向の長さが、前記第2切欠部の上下方向の長さよりも長くてもよい。
【0069】
別の一観点は、表紙体と、前記表紙体に取り付けられ、複数の綴じ竿を有する綴じ具と、を備え、前記綴じ具は、複数の前記綴じ竿の上下方向の中心位置が、前記表紙体の上下方向の中心よりも下方にずれて配置されており、前記綴じ具の上端の前記綴じ竿と前記表紙体の上辺との上下方向の距離が、前記綴じ具の下端の前記綴じ竿と前記表紙体の底辺との上下方向の距離よりも大きい、ファイルにある。このファイルは、上述の観点のポケットシートの収容に好適である。
【0070】
別の一観点は、一対の塩化ビニルシートを重ね合わせ、周囲を閉塞した袋状の収容部と、前記収容部の側部に繋がって形成され、2穴式綴じ具、4穴式綴じ具及び30穴式綴じ具に取り付け可能な複数の綴じ穴を有する綴じ部と、を備え、前記綴じ部は、4穴式綴じ具の綴じ竿を通す円形の4穴の丸穴と、前記丸穴の上方及び下方に配置され、前記30穴式綴じ具の綴じ竿を通す、複数の長穴と、を有し、前記長穴は、上下に隣接する複数本の綴じ竿を挿通可能な長さを有する、ポケットシートにある。
【0071】
上述のポケットシートは、塩化ビニル樹脂の綴じ孔の数を減らすことで、製造時のバリの発生箇所を抑制できるため、製造コストを抑制できる。
【0072】
上述のポケットシートにおいて、前記丸穴は、上から順に第1丸穴と、第2丸穴と、第3丸穴と、第4丸穴とを有し、前記第1丸穴と第2丸穴との間の区間及び前記第3丸穴と前記第4丸穴との間の区間とには、それぞれ2つの前記長穴が配置され、前記第2丸穴と前記第3丸穴との間の区間には、3つの前記長穴が配置されてもよい。このポケットシートは、4穴の丸穴を利用することで2穴又は4穴の綴じ具への取付を可能とする。また、丸穴の間の区間の長孔を複数に分割することで、綴じ部の強度を向上させることができる。
【0073】
上述のポケットシートにおいて、前記第1丸穴と前記第2丸穴との間の区間及び前記第3丸穴と前記第4丸穴との間の区間における前記綴じ穴が形成されていない部分の長さが、第2丸穴と第3丸穴の間の区間における前記綴じ穴が形成されていない部分の長さよりも長くてもよい。このポケットシートは、綴じ部の耐久性に優れる。
【0074】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0075】
10、10A、10B…ファイル 12、12B…表紙体
14…収容部 16、16B…綴じ具
20、20A、30…ポケットシート 22、32…ポケット