(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064224
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240507BHJP
A63F 13/24 20140101ALI20240507BHJP
A63F 13/285 20140101ALI20240507BHJP
【FI】
G06F3/01 560
A63F13/24
A63F13/285
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172654
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光一
(72)【発明者】
【氏名】坂下 裕啓
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA20
5E555BB20
5E555CA21
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】多様なフォースフィードバックを行うことのできる操作装置を提供する。
【解決手段】操作者が所持または装着して、操作対象の操作の用に供する操作装置において、回転軸S1を回転中心として回転する回転ホイール151と、回転ホイール151を回転させるモータ155とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者が所持または装着して、操作対象の操作の用に供する操作装置であって、
回転軸を回転中心として回転する回転体と、
前記回転体を、前記回転軸を中心に回転させる回転駆動部とを備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置であって、
前記回転軸を中心として回転している前記回転体を、前記回転軸に直交する第1の回動軸を中心に回動可能であることを特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置であって、
前記回転軸を中心として回転している前記回転体を、前記回転軸および前記第1の回動軸の両方に直交する第2の回動軸を中心に回動可能であることを特徴とする操作装置。
【請求項4】
請求項3に記載の操作装置であって、
前記回転体を、前記回転軸を回転中心として回転可能に支持する第1フレームと、
前記第1フレームを、前記第2の回動軸を回動中心として回動可能に支持するとともに、前記第1の回動軸を回動中心として回動可能である第2フレームと、
前記第1の回動軸を回動中心として回動可能であり、自身の回動を前記第1フレームに伝達することで、前記第1フレームを前記第2の回動軸を回動中心として回動させることが可能であるガイドフレームとを備えることを特徴とする操作装置。
【請求項5】
請求項2から4の何れか1項に記載の操作装置であって、
前記回転駆動部は、前記回転体の回転方向および回転速度を制御可能であることを特徴とする操作装置。
【請求項6】
請求項1に記載の操作装置であって、
前記回転駆動部は、前記回転体の回転方向および回転速度を制御可能であり、
前記回転体として、前記回転軸がそれぞれ直交する複数の回転体を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項7】
請求項3に記載の操作装置であって、
前記回転体を、前記回転軸を回転中心として回転可能に支持する第1フレームと、
前記第1フレームを、前記第1の回動軸を回動中心として回動可能に支持する第2フレームと、
前記第2フレームを、前記第2の回動軸を回動中心として回動可能に支持する第3フレームとを備えることを特徴とする操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者が所持または装着して、操作対象の操作の用に供する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム機、コンピュータ等の電子機器と通信可能に接続され、操作対象の操作の用に供するマウス、キーボード等の様々な操作装置が普及している。また、VR(仮想現実)、体感型ゲーム等のゲームコンテンツが多様化することに伴い、操作者が所持または装着するタイプの操作装置が普及している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-91904号公報
【非特許文献1】スカイ技術研究所,”スカイ技術研究所ブログ ジャイロモーメントとは?~独楽(こま)が倒れない理由”,[令和4年10月19日検索],インターネット,<URL:https://www.sky-engin.jp/blog/gyroscopic-moment/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、ゲーム操作に使用されるコントローラが開示されている。特許文献1のコントローラは、内部にバイブレータを備えており、バイブレータの駆動によってコントローラに振動を生じさせることができる。これにより、ゲームをプレイ中の操作者の手に振動を感じさせるように力のフィードバック(フォースフィードバック)を与えることができる。
【0005】
近年、VR、体感型ゲーム等のゲームコンテンツでは、よりリアルな臨場感の再現が求められるようになっている。しかしながら、バイブレータの振動によるフォースフィードバックでは、臨場感の再現性が限定的である。このため、操作装置においても、振動以外の感触を与えることができるような、多様なフォースフィードバックが求められるようになっている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、多様なフォースフィードバックを行うことのできる操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の操作装置は、操作者が所持または装着して、操作対象の操作の用に供する操作装置であって、回転軸を回転中心として回転する回転体と、前記回転体を、前記回転軸を中心に回転させる回転駆動部とを備えることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、回転駆動部によって回転させられている回転体に対し、その姿勢、あるいは回転速度を変化させることにより、特定の方向の慣性力を生じさせることができる。この慣性力を利用することにより、操作装置において(単なる振動ではない)多様なフォースフィードバックを行うことができる。
【0009】
また、上記操作装置は、前記回転軸を中心として回転している前記回転体を、前記回転軸に直交する第1の回動軸を中心に回動可能である構成とすることができる。
【0010】
上記の構成によれば、回転体の姿勢を変化させることで、特定の方向の慣性力(ジャイロモーメント)を発生させることができる。
【0011】
また、上記操作装置は、前記回転軸を中心として回転している前記回転体を、前記回転軸および前記第1の回動軸の両方に直交する第2の回動軸を中心に回動可能である構成とすることができる。
【0012】
上記の構成によれば、回転体の回転軸に対してそれぞれ直交する異なる2方向に対してジャイロモーメントを発生させることができる。
【0013】
また、上記操作装置は、前記回転体を、前記回転軸を回転中心として回転可能に支持する第1フレームと、前記第1フレームを、前記第2の回動軸を回動中心として回動可能に支持するとともに、前記第1の回動軸を回動中心として回動可能である第2フレームと、前記第1の回動軸を回動中心として回動可能であり、自身の回動を前記第1フレームに伝達することで、前記第1フレームを前記第2の回動軸を回動中心として回動させることが可能であるガイドフレームとを備える構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、ジャイロモーメントを発生させる機構において、回転体を回動させる駆動源の自重の影響を無くすことができ、応答性の高いものとすることができる。
【0015】
また、上記操作装置では、前記回転駆動部は、前記回転体の回転方向および回転速度を制御可能である構成とすることができる。
【0016】
上記の構成によれば、ジャイロモーメントを発生させる機構において、回転体の回転方向および回転速度を制御することで、リアクションホイールとしての機能も持たせることができる。
【0017】
また、上記操作装置では、前記回転駆動部は、前記回転体の回転方向および回転速度を制御可能であり、前記回転体として、前記回転軸がそれぞれ直交する複数の回転体を備える構成とすることができる。
【0018】
上記の構成によれば、回転体および回転駆動部をリアクションホイールの一部として利用し、回転体の回転速度を変化させることで、特定の方向の慣性力を発生させることができる。
【0019】
また、上記操作装置では、前記回転体を、前記回転軸を回転中心として回転可能に支持する第1フレームと、前記第1フレームを、前記第1の回動軸を回動中心として回動可能に支持する第2フレームと、前記第2フレームを、前記第2の回動軸を回動中心として回動可能に支持する第3フレームとを備える構成とすることができる。
【0020】
上記の構成によれば、回転体にモーメンタムホイールとしての機能を持たせる場合に、モーメンタムホイールによって保持される回転軸の向きを任意に設定することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の操作装置は、特定の方向の慣性力を生じさせることができる。この慣性力を利用することにより、操作装置において(単なる振動ではない)多様なフォースフィードバックを行うことができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本願開示の操作装置の一実施形態を示すものであり、ゲーム用コントローラの外観例を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るゲーム用コントローラの機能ブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係るフォースフィードバック部の斜視図である。
【
図4】
図3のフォースフィードバック部を第2軸回転モータ側から見た側面図である。
【
図5】
図3のフォースフィードバック部を第1軸回転モータ側から見た側面図である。
【
図6】
図3のフォースフィードバック部で発生させることのできるジャイロモーメントを説明する図である。
【
図7】
図3のフォースフィードバック部で発生させることのできるジャイロモーメントを説明する図である。
【
図8】
図3のフォースフィードバック部で発生させることのできるジャイロモーメントを説明する図である。
【
図9】
図3のフォースフィードバック部で発生させることのできるジャイロモーメントを説明する図である。
【
図10】本願開示の操作装置の他の実施形態を示すものであり、ゲーム用コントローラの外観例を示す斜視図である。
【
図11】実施の形態2に係るゲーム用コントローラの機能ブロック図である。
【
図12】実施の形態2に係るフォースフィードバック部の斜視図である。
【
図13】実施の形態4に係るフォースフィードバック部の斜視図である。
【
図14】実施の形態5に係る操作装置の一例を示す斜視図である。
【
図15】フォースフィードバック部の他の適用例である電動草刈り機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔実施の形態1〕
以下、本願開示の操作装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態1では、本願開示の操作装置をゲーム用コントローラの適用する場合を例示する。
図1は、本実施の形態1に係るゲーム用コントローラ(以下、単にコントローラと称する)10の外観例を示す斜視図である。
図2は、コントローラ10の機能ブロック図である。
【0024】
図1に例示したコントローラ10は、操作者が両手で持って操作するものであり、操作者が操作入力を行うための操作入力部12(操作スティック12A、十字ボタン12B、キーボタン12C等)を有している。尚、ここでは説明の便宜上、
図1に示す直交3軸(X軸、Y軸およびZ軸)の各方向を、コントローラ10における左右方向、前後方法および上下方向にそれぞれ対応させている。
【0025】
コントローラ10は、
図2に示すように、制御部11、操作入力部12、通信部13、駆動部14およびフォースフィードバック部15を備えている。通信部13は、無線または有線によってコントローラ10がゲーム機本体(図示省略)と通信を行うための手段である。フォースフィードバック部15は、駆動部14からの駆動を受けて、コントローラ10を手に持つ操作者に対して力を感得させるようなフィードバックを与える手段としてコントローラ10に内蔵される。制御部11は、コントローラ10に対する全体的な制御(操作入力部12からの入力信号に対する処理制御、通信部13を介してのゲーム機本体との通信制御、駆動部14の駆動制御)を行う手段である。
【0026】
コントローラ10において、フォースフィードバック部15は、従来のバイブレータのような単なる振動を発生させる手段ではなく、慣性力によって特定方向に力が加わることを操作者に感得させるように力を発生させることができる。本実施の形態1では、ジャイロモーメントを利用したフォースフィードバック部15を例示する。
【0027】
図3は、フォースフィードバック部15の斜視図である。
図4は、フォースフィードバック部15を第2軸回転モータ157側から見た側面図である。
図5は、フォースフィードバック部15を第1軸回転モータ156側から見た側面図である。
【0028】
フォースフィードバック部15は、
図3~5に示すように、ジャイロモーメントを発生させる機構の主要構成として、回転ホイール(回転体)151、内側フレーム(第1フレーム)152、中間フレーム(第2フレーム)153、ガイドフレーム154を有している。また、フォースフィードバック部15は、
図2の駆動部14に相当する構成としてモータ(回転駆動部)155、第1軸回転モータ156および第2軸回転モータ157を有しており、さらに、フォースフィードバック部15を土台101に固定するための支持脚158a~158dを有している。尚、モータ155は、回転ホイール151をロータとし、その内側にステータ155aを配置した構成とされている。また、フォースフィードバック部15においては、後述する中間フレーム153の回転軸S2を軸支する支持脚158a,158bが外側フレームの機能を有する。また、
図3~5において、便宜上、フォースフィードバック部15が取り付けられている土台101は平板として記載しているが、土台101はコントローラ10のフレーム部材の一部であってもよい。
【0029】
回転ホイール151は、内側フレーム152によって軸支されており、かつ内側フレーム152に取り付けられたモータ155によって回転軸S1(
図4,5参照)周りの回転駆動が可能となっている。また、内側フレーム152の両端部は、中間フレーム153に対して回転自在に取り付けられている。
【0030】
中間フレーム153は、対向配置された2つの支持脚158a,158bによって軸支されており、第1軸回転モータ156によって回転軸S2(第1の回動軸:
図4参照)周りの回動(
図5における矢印A方向の回動)が可能となっている。尚、第1軸回転モータ156は、中間フレーム153の回動制御に使用されるサーボモータまたはステッピングモータであり、支持脚158aにおいて固定的に取り付けられている。
【0031】
中間フレーム153が矢印A方向に回動するとき、中間フレーム153に取り付けられた内側フレーム152、および内側フレーム152に軸支された回転ホイール151も同時に矢印A方向に回動する。尚、ここでの回動とは、両方向に回転可能で角度範囲が制限されている回転運動を意味するものとする。すなわち、フォースフィードバック部15において、中間フレーム153および第1軸回転モータ156は、回転ホイール151における回転軸S1の傾きを矢印A方向に沿って変化させる役割を有する。
【0032】
ガイドフレーム154は対向配置された2つの支持脚158c,158dによって軸支されており、第2軸回転モータ157によって回転軸S3(第2の回動軸:
図5参照)周りの回動(
図4における矢印B方向の回動)が可能となっている。尚、第2軸回転モータ157は、ガイドフレーム154の回動制御に使用されるサーボモータまたはステッピングモータであり、支持脚158cにおいて固定的に取り付けられている。
【0033】
ガイドフレーム154には、回転軸S3と平行な方向を長手方向とする長孔形状のガイド穴154aが形成されており、ガイド穴154aには回転ホイール151における回転軸部材の一端が挿通されている。ガイドフレーム154が矢印B方向に回動するとき、回転ホイール151は、ガイド穴154aに挿通された回転軸部材を介して力を受ける。これにより、ガイドフレーム154が矢印B方向に回動するとき、回転ホイール151および内側フレーム152も同時に矢印B方向に回動する。すなわち、フォースフィードバック部15において、ガイドフレーム154および第2軸回転モータ157は、回転ホイール151における回転軸S1の傾きを矢印B方向に沿って変化させる役割を有する。
【0034】
尚、回転ホイール151が矢印B方向に回動するときは、回転ホイール151を軸支する内側フレーム152が中間フレーム153に対して相対的に回動する。これにより、中間フレーム153が回転ホイール151の矢印B方向の回動を阻害することはない。一方、回転ホイール151が矢印A方向に回動するときは、回転ホイール151の回転軸部材がガイド穴154aに沿って移動する。これにより、ガイドフレーム154が回転ホイール151の矢印A方向の回動を阻害することはない。
【0035】
フォースフィードバック部15においては、回転ホイール151の回転軸S1がZ軸(上下方向)と平行に配置された状態を初期状態とする。また、初期状態のフォースフィードバック部15においては、回転軸S2がコントローラ10におけるX軸およびY軸の一方(
図3~5の例ではX軸)と平行に配置され、回転軸S3がX軸およびY軸の他方(
図3~5の例ではY軸)と平行に配置されるものとする。
【0036】
上記構成のフォースフィードバック部15では、モータ155によって回転ホイール151を高速回転させた状態で、第1軸回転モータ156または第2軸回転モータ157によって回転ホイール151の回転軸S1の傾きを変化させることにより、慣性的な回転力(いわゆるジャイロモーメント)を発生させることができる。
【0037】
図6~9は、フォースフィードバック部15で発生させることのできるジャイロモーメントを説明する図である。尚、
図6~9においては、第1軸回転モータ156または第2軸回転モータ157によって加えられる回動力をF1とし、その結果としてフォースフィードバック部15に生じるジャイロモーメントをF2としている。また、このときの回転ホイール151の回転方向は、コントローラ10の上側から見て反時計方向である。
【0038】
図6に示すように、第1軸回転モータ156によって回転軸S2周りに前回転方向(コントローラ10の右側から見て時計方向)の回動力F1を与えた場合は、回転軸S3周りに左回転方向(コントローラ10の後側から見て反時計方向)のジャイロモーメントF2が発生する。
図7に示すように、第1軸回転モータ156によって回転軸S2周りに後回転方向(コントローラ10の右側から見て反時計方向)の回動力F1を与えた場合は、回転軸S3周りに右回転方向(コントローラ10の後側から見て時計方向)のジャイロモーメントF2が発生する。
図8に示すように、第2軸回転モータ157によって回転軸S3周りに左回転方向の回動力F1を与えた場合は、回転軸S2周りに後回転方向のジャイロモーメントF2が発生する。そして、
図9に示すように、第2軸回転モータ157によって回転軸S3周りに右回転方向の回動力F1を与えた場合は、回転軸S2周りに前回転方向のジャイロモーメントF2が発生する。
【0039】
尚、
図6~9に示されるジャイロモーメントF2は、以下の式(1)にて示される。すなわち、
図6~9の例に式(1)を適用する場合、軸対称な剛体(ここでは、回転ホイール151)が対称軸(ここでは、Z軸)上の固定点または重心の点Oを中心として回転運動しており、剛体の対称軸周りに角速度を持たないような座標系O-xyzを考える。座標系O-xyzは、x軸周りとy軸周りには剛体と連動して回転するが、Z軸周りには回転しない中間的な座標系となる。式(1)において、剛体(回転ホイール151)の対称軸(Z軸)周りの慣性モーメントをIa、x,y,z軸周りの角速度をそれぞれωx,ωy,Ωとすると、座標系O-xyzにおいて見かけのモーメント(すなわちジャイロモーメント)Mgyro(ここでは、ジャイロモーメントF2)が発生する。また、ジャイロモーメントの発生原理および計算式については、例えば、非特許文献1等に開示されているように公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0040】
【0041】
コントローラ10では、フォースフィードバック部15で発生させるジャイロモーメントにより、操作者の手に力を感得させるようなフィードバックを与えることができる。上述したように、発生するジャイロモーメントは、操作者の手に対して特定の方向を有する回転力を与えるような感触となり、かつ、その方向も複数の方向に対して発生可能となる。これにより、フォースフィードバック部15を備えたコントローラ10は、多様なフォースフィードバックを行うことができるようになる。例えば、レーシングゲームを行っている場合に左右回転方向のジャイロモーメントを生じさせることで、ハンドルの回転反力を模することができる。
【0042】
また、上述したフォースフィードバック部15では、回動力F1を発生させるために内側フレーム152、中間フレーム153およびガイドフレーム154に対する回動制御が行われるが、この回動制御の駆動源である第1軸回転モータ156および第2軸回転モータ157自体はこれらフレームと共に変位するものではない。特に、第2軸回転モータ157は、中間フレーム153の外側から内側フレーム152に回動力を伝える必要があるが、ガイドフレーム154を介して内側フレーム152に回動力を伝える構成とすることで第2軸回転モータ157を中間フレーム152に対して取り付ける必要がなくなる。これにより、フォースフィードバック部15は、第1軸回転モータ156および第2軸回転モータ157の自重の影響を受けることなく、内側フレーム152、中間フレーム153およびガイドフレーム154を回動可能となっており、応答性の高いものとすることができる。
【0043】
〔実施の形態2〕
本実施の形態2では、本願開示の操作装置を実施の形態1とは異なるゲーム用コントローラの適用する場合を例示する。
図10は、本実施の形態2に係るゲーム用コントローラ(以下、単にコントローラと称する)20の外観例を示す斜視図である。
図11は、コントローラ20の機能ブロック図である。
【0044】
図10に例示したコントローラ20は、長手方向を有するスティック形状をしており、操作者がスティックの一端(手元側)を片手で持ち、コントローラ自体を振り回すようにして操作するものである。また、コントローラ20は、操作者が操作入力を行うための操作入力部22も有しており、操作入力部22には親指での操作が想定された操作手段22A(
図10ではボタンであるが、さらにスティックを有していてもよい)が含まれる。尚、ここでは説明の便宜上、操作手段22Aを上に向けた姿勢を基本姿勢とし、
図10に示す直交3軸(X軸、Y軸およびZ軸)の各方向を、コントローラ20における左右方向、前後方法および上下方向にそれぞれ対応させている。
【0045】
コントローラ20は、
図11に示すように、制御部21、操作入力部22、動作検出センサ部23、通信部24、駆動部25およびフォースフィードバック部26を備えている。動作検出センサ部23は、操作者によって振り回されるコントローラ20の動きを検出する手段であり、傾きセンサや加速度センサ等のセンサ類が含まれる。コントローラ20では、動作検出センサ部23による検知信号が、操作者による操作入力信号として利用される。通信部24は、無線または有線によってコントローラ20がゲーム機本体(図示省略)と通信を行うための手段である。フォースフィードバック部26は、駆動部25からの駆動を受けて、コントローラ20を手に持つ操作者に対して力を感得させるようなフィードバックを与える手段としてコントローラ20に内蔵される。制御部21は、コントローラ20に対する全体的な制御(操作入力部22からの入力信号に対する処理制御、通信部24を介してのゲーム機本体との通信制御、駆動部25の駆動制御)を行う手段である。
【0046】
コントローラ20において、フォースフィードバック部26は、従来のバイブレータのような単なる振動を発生させる手段ではなく、慣性力により特定方向に力が加わることを操作者に感得させるように力を発生させることができる。本実施の形態2では、リアクションホイールを利用したフォースフィードバック部26を例示する。
【0047】
図12は、フォースフィードバック部26の斜視図である。フォースフィードバック部26は、
図12に示すように、フライホイール(回転体)261と、
図11の駆動部25に相当するサーボモータ(回転駆動部)262とを備えている。尚、262は、ステッピングモータであってもよい。
【0048】
フォースフィードバック部26では、サーボモータ262によってフライホイール261の回転駆動を行い、フライホイール261の回転を加速(停止からの回転を含む)させるとき、もしくは減速(回転からの停止を含む)させるときに発生する回転反力により、操作者の手に力を感得させるようなフィードバックを与えることができる。具体的には、フライホイール261を加速するとき、サーボモータ262はフライホイール261の回転方向と逆向きに力を受ける。また、フライホイール261を減速するとき、サーボモータ262はフライホイール261の回転方向と同じ向きに力を受ける。
【0049】
コントローラ20では、フォースフィードバック部26をコントローラ20の先端付近に設け、フライホイール261の回転軸がコントローラ20の長手軸と直交するような配置とすることで、操作者の手に特定方向の力を与えることできる。具体的には、フライホイール261の回転軸を
図10のZ軸方向(上下方向)に合わせることで、操作者の手にはY軸方向(左右方向)の力を与えることができる。また、フライホイール261の回転軸を
図10のY軸方向に合わせることで、操作者の手にはZ軸方向の力を与えることができる。
【0050】
尚、フライホイール261の加速または減速は、これを継続的に行うことも断続的に行うことも可能である。これにより、例えば、釣りゲームを行っている場合の吊り竿の引きを模することができる。また、フライホイール261の加速度の大小により、操作者の手に与えられる力の大小も変化する。さらに、コントローラ20では、
図10に示すように、フライホイール261の回転軸の向きが互いに異なる(より詳細には、回転軸のそれぞれが直交する)フォースフィードバック部26が複数内蔵されていてもよい。この場合、1つのコントローラ20において、様々な方向の力を発生させることができる。
【0051】
また、本実施の形態2では、リアクションホイールを利用したフォースフィードバック部26を片手持ちタイプのコントローラ20に搭載する場合を例示したが、フォースフィードバック部26を両手持ちタイプのコントローラ20に搭載することも可能である。同様に、ジャイロモーメントを利用したフォースフィードバック部15は、両手持ちタイプのコントローラ10だけでなく片手持ちタイプのコントローラ20に搭載することも可能である。また、ジャイロモーメントを利用したフォースフィードバック部15において、回転ホイール151の回転数を増減させることで、リアクションホイールとしての機能を実現することも可能である。この場合、ジャイロモーメントによる2軸に、リアクションホイールによる1軸を加え、3軸の回転力を得ることができる。さらには、フォースフィードバック部15または26を、操作者の身体に直接装着させるようなタイプのコントローラに搭載することも可能である。装着タイプのコントローラとしては、例えば、グローブのように操作者の手に嵌めて使用するコントローラ等が考えられる。
【0052】
〔実施の形態3〕
上記実施の形態1,2では、回転体(回転ホイール151またはフライホイール261)に対しては、これを回転駆動する駆動部(モータ155またはサーボモータ262)のみを組み合わせる構成を例示した。しかしながら、本願開示はこれに限定されるものではなく、回転体に対して、その回転を急激に停止させるブレーキを組み合わせることも可能である。この場合に使用されるブレーキには、MR流体(磁気粘性流体)ブレーキやER流体(電気粘性流体)ブレーキが好適に使用できる。
【0053】
例えば、実施の形態2において説明したフォースフィードバック部26において、フライホイール261の回転軸に対してブレーキ(図示省略)を取り付ける構成が考えられる。この構成では、フライホイール261を高速回転させ、その回転をブレーキによって瞬時に停止させることにより、衝撃に近い感触を操作者に体感させることができる。これにより、例えば、テニスゲームを行っている場合のボールを打ち返す(ラケットにボールが当たる)感覚を模することができる。
【0054】
尚、ブレーキを用いての回転停止による衝撃体感は、実施の形態1において説明したフォースフィードバック部15においても適用可能である。この場合のブレーキは、回転軸S1~S3の何れに対しても設けることが可能であるが、特に、回転軸S1に対して設けることが好適である。すなわち、回転軸S1は回転ホイール151の回転軸であり、これにブレーキを設けることで高速回転する回転ホイール151を瞬時に停止させ、衝撃に近い感触を生じさせることができる。
【0055】
〔実施の形態4〕
本実施の形態4では、モーメンタムホイールとして利用可能なフォースフィードバック部31を例示する。モーメンタムホイールでは、高速に回転するホイールがその回転軸を保持しようとする作用を生じる。
【0056】
図13は、フォースフィードバック部31の斜視図である。フォースフィードバック部31は、
図13に示すように、回転ホイール(回転体)311、内側フレーム(第1フレーム)312、中間フレーム(第2フレーム)313、外側フレーム(第3フレーム)314、モータ(回転駆動部)315、第1軸回転モータ316および第2軸回転モータ317を有している。モータ315は、回転ホイール311をロータとし、その内側にステータ315aを配置した構成とされている。第1軸回転モータ316および第2軸回転モータ317には、サーボモータまたはステッピングモータが使用される。
【0057】
フォースフィードバック部31において、内側フレーム312は、回転ホイール311を回転軸S1周りの回転が可能となるように支持する。また、回転ホイール311を回転駆動するためのモータ315も内側フレーム312において固定される。中間フレーム313は、内側フレーム312を回転軸S2(第1の回動軸)周りの回動が可能となるように支持する。また、内側フレーム312を中間フレーム313に対して回動変位させるための第1軸回転モータ316も中間フレーム313において固定される。外側フレーム314は、中間フレーム313を回転軸S3(第2の回動軸)周りの回動が可能となるように支持する。また、中間フレーム313を外側フレーム314に対して回動変位させるための第2軸回転モータ317も外側フレーム314において固定される。
【0058】
フォースフィードバック部31では、モータ315によって回転ホイール311を高速回転させることで、回転軸S1の向き(傾き)を保持しようとする慣性力を発生させることができる。このフォースフィードバック部31を、例えばゲーム用コントローラ(コントローラ10または20)に搭載する場合は、外側フレーム314をコントローラのフレーム部材に固定するように取り付ける。
【0059】
フォースフィードバック部31を搭載したコントローラでは、フォースフィードバック部31の作動中(回転ホイール311の回転中)に操作者によってコントローラが動かされたとき(少なくともコントローラを回動変位させる動きを含む)、コントローラの動きに対して回転軸S1の向きを元に戻そうとする方向の慣性力が発生し、この慣性力が操作者に対するフォースフィードバックとなる。すなわち、上述したフォースフィードバック部15,26では、ジャイロモーメントやリアクションホイールの作用によってコントローラ側から能動的にフォースフィードバックを行うことができるが、モーメンタムホイールの作用によるフォースフィードバック部31は、コントローラに対して操作者側から動きが加えられた場合において、受動的なフォースフィードバックを行うことができる。
【0060】
また、フォースフィードバック部31では、第1軸回転モータ316によって内側フレーム312を回動させたり、第2軸回転モータ317によって中間フレーム313を回動させたりすることで、回転軸S1の向きを変えることが可能である。すなわち、フォースフィードバック部31を搭載したコントローラにおいては、保持しようとする回転軸S1の向きを、任意の向きに設定することが可能である。
【0061】
また、上述したフォースフィードバック部15,16においても、回転ホイール151やフライホイール261を高速回転させることで、モーメンタムホイールとして機能させることは可能である。
【0062】
〔実施の形態5〕
上記実施の形態1~4では、本願開示の操作装置をゲーム用コントローラに適用する場合を例示した。しかしながら、本願開示の操作装置の適用はゲーム用コントローラに限定されるものでなく、他に様々な機器に適用することが可能である。
【0063】
一例として、ハンディドリル等の電動工具において、ジャイロモーメントを利用したフォースフィードバック部15を適用することが可能である。ハンディドリルによる穴あけ作業では、ドリルの回転軸の角度を変化させないように姿勢保持することが重要である。この場合のフォースフィードバック部15は、回転ホイール151の回転軸S1がドリルの回転軸と平行になるように配置し、ハンディドリルの姿勢がずれた場合(ドリルの回転軸が傾いた場合)に、フォースフィードバック部15に上述したジャイロモーメントを発生させ、そのずれを補正する回転力とすることができる。
【0064】
また、他の例として、
図15に示すような電動草刈り機にフォースフィードバック部15を適用することも考えられる。この場合、草を刈る回転ディスクに対して支点(ディスクの回転中心)を中心に前後に首を振る力F1を与えることで、回転ディスクを左右に振る力F2を発生させることができ、作業のサポートとなる力を得ることができる。具体例としては、ディスクが前後に首をふるようなアクチュエータをディスク部分に取り付けてディスクのみ前後に振らせると、体に接触する部分を支点にディスクが左右に振れるようにすることができる。
【0065】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本願開示の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10,20 ゲーム用コントローラ(操作装置)
11,21 制御部
12,22 操作入力部
13,24 通信部
14,25 駆動部
15,26,31 フォースフィードバック部
151 回転ホイール(回転体)
152,312 内側フレーム(第1フレーム)
153,313 中間フレーム(第2フレーム)
154 ガイドフレーム(ガイドフレーム)
155,315 モータ(回転駆動部)
156,316 第1軸回転モータ
157,317 第2軸回転モータ
158a~158d 支持脚
23 動作検出センサ部
261 フライホイール(回転体)
262 サーボモータ(回転駆動部)
314 外側フレーム314(第3フレーム)