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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064230
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電着装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 13/00 20060101AFI20240507BHJP
   C25D 13/24 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
C25D13/00 307E
C25D13/24 301
C25D13/00 307B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172670
(22)【出願日】2022-10-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000149790
【氏名又は名称】株式会社大気社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竿尾 増利
(72)【発明者】
【氏名】林 慶一
(57)【要約】
【課題】濾過装置のコストを低減する。
【解決手段】対象物を電着塗装する電着槽と、前記電着槽に対して前記対象物の搬送方向の下流に設けられ、前記対象物を水洗する複数段の水洗槽と、液体を濾過する濾過動作を行い、前記濾過動作によって濃縮された濃縮液を前記電着槽へ供給可能な濾過装置と、を備える電着装置であって、前記濾過装置は、前記電着槽から液体を取得することなく、前記複数段の水洗槽の少なくとも1つから液体を取得して前記濾過動作を行う。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を電着塗装する電着槽と、
前記電着槽に対して前記対象物の搬送方向の下流に設けられ、前記対象物を水洗する複数段の水洗槽と、
液体を濾過する濾過動作を行い、前記濾過動作によって濃縮された濃縮液を前記電着槽へ供給可能な濾過装置と、を備える電着装置であって、
前記濾過装置は、前記電着槽から液体を取得することなく、前記複数段の水洗槽の少なくとも1つから液体を取得して前記濾過動作を行うことを特徴とする電着装置。
【請求項2】
前記複数段の水洗槽は、前記電着槽の下流に設けられた第1の水洗槽と、前記第1の水洗槽よりも下流に設けられた最終段の水洗槽とを含み、
前記濾過装置は、前記第1の水洗槽から供給される水洗液を濾過することを特徴とする請求項1に記載の電着装置。
【請求項3】
前記濾過装置は、前記濾過動作によって濃度が低くなった濾過液を前記最終段の水洗槽へ供給することを特徴とする請求項2に記載の電着装置。
【請求項4】
前記最終段の水洗槽の下流に設けられた純水水洗槽をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の電着装置。
【請求項5】
前記電着槽の液面の高さを検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段の検知結果に基づいて、前記濾過装置から前記電着槽への濃縮液の供給を制御する制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電着装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記電着槽の前記液面の高さが第1の閾値以上である場合に、前記濾過装置から前記電着槽への濃縮液の供給を抑制するように制御することを特徴とする請求項5に記載の電着装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記電着槽の前記液面の高さが前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上である場合に、前記濾過装置から前記電着槽への濃縮液の供給を遮断するように制御することを特徴とする請求項6に記載の電着装置。
【請求項8】
前記複数段の水洗槽は、前記電着槽の下流に設けられた第1の水洗槽と、前記第1の水洗槽よりも下流に設けられた最終段の水洗槽とを含み、
前記濾過装置から前記第1の水洗槽へ濃縮液を供給可能であり、
前記制御手段により前記濃縮液の前記電着槽への供給が抑制又は遮断されたことによって増加した濃縮液は、前記第1の水洗槽へ供給されることを特徴とする請求項6に記載の電着装置。
【請求項9】
前記第1の水洗槽の液面の高さを検知する第2の検知手段をさらに備え、
前記制御手段はさらに、前記第2の検知手段の検知結果に基づいて、前記濃縮液の前記第1の水洗槽への供給を制御することを特徴とする請求項8に記載の電着装置。
【請求項10】
前記制御手段はさらに、前記第1の水洗槽の前記液面の高さが第3の閾値以下である場合に、前記濃縮液の前記電着槽への供給を抑制又は遮断するように制御し、
前記制御手段により前記濃縮液の前記電着槽への供給が抑制又は遮断されたことによって増加した濃縮液は、前記第1の水洗槽へ供給されることを特徴とする請求項9に記載の電着装置。
【請求項11】
前記対象物が前記電着槽で電着塗装された後、前記第1の水洗槽で水洗される前に、前記第1の水洗槽の水洗液を用いて水洗するためのスプレー装置と、
前記スプレー装置により前記対象物に吹き付けられて落下した水洗液を、前記第1の水洗槽に戻すための戻り経路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の電着装置。
【請求項12】
前記対象物に吹き付けられて落下した水洗液が自重によって前記第1の水洗槽に戻るように、前記戻り経路は傾斜を有することを特徴とする請求項11に記載の電着装置。
【請求項13】
前記複数段の水洗槽は、前記電着槽の下流に設けられた第1の水洗槽と、前記第1の水洗槽の下流に設けられた第2の水洗槽とであることを特徴とする請求項1に記載の電着装置。
【請求項14】
前記濾過装置は、前記電着槽と直接接続されていないことを特徴とする請求項1に記載の電着装置。
【請求項15】
前記複数段の水洗槽の少なくとも1つから液体を取得して濾過動作を行う濾過装置を複数含むことを特徴とする請求項1に記載の電着装置。
【請求項16】
前記電着槽から液体を取得して濾過動作を行う濾過装置を含まないことを特徴とする請求項1に記載の電着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電着塗装が自動車の車体、自動車部品や建材等の塗装に広く用いられている。一般に、電着塗装の処理は、対象物に電気化学的に塗膜を形成させる電着工程、未電着塗料等を洗い落とすための水洗工程、塗膜を硬化させるための乾燥工程を含む。
【0003】
特許文献1は、電着塗料の損失を低減するために、電着槽と接続されたUF(Ultra Filtration)装置(濾過装置)に加えて、水洗槽と接続されたUF装置を配置する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-224397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、水洗槽の低濃度液を電着槽に戻すことで電着塗料を回収しているため、電着槽に戻す液量が増加する分、電着槽の電着液から濾過液を抽出して水洗側へ供給する必要がある。そのため、水洗槽側に濾過装置を設けた場合でも、電着槽側に濾過装置が必要となり、濾過装置の導入コストが高くなるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、濾過装置のコストを低減するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様による電着装置は、
対象物を電着塗装する電着槽と、
前記電着槽に対して前記対象物の搬送方向の下流に設けられ、前記対象物を水洗する複数段の水洗槽と、
液体を濾過する濾過動作を行い、前記濾過動作によって濃縮された濃縮液を前記電着槽へ供給可能な濾過装置と、を備える電着装置であって、
前記濾過装置は、前記電着槽から液体を取得することなく、前記複数段の水洗槽の少なくとも1つから液体を取得して前記濾過動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、濾過装置のコストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る電着装置の全体構成の一例を示す図である。
図2】一実施形態に係る電着装置が備える制御部のハードウェア構成例を示す図である。
図3】一実施形態に係る電着装置が備える制御部と接続される構成要素の説明図である。
図4】実施形態2に係る電着装置の制御部が実施する処理の手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態3に係る電着装置の制御部が実施する処理の手順を示すフローチャートである。
図6】実施形態4に係る電着装置の全体構成の一例を示す図である。
図7】比較例に係る電着装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(実施形態1)
まず、図1を参照して、本実施形態に係る電着装置の全体構成の一例を説明する。本実施形態では、電着塗装を行う対象物として自動車の車体を例に説明する。自動車の車体は、生産ラインにおいて、まず電着槽で電着塗装された後に水洗層に搬送され、水洗層で水洗される。
【0012】
図1において、10は電着装置である。15は、車体の搬送方向を示す。車体が搬送方向15に沿って上流から下流に向かって搬送され、電着塗装工程及び水洗工程が順次実行される。101は、車体を電着塗装する電着槽である。102は、車体が電着槽101で電着塗装された後、第1の水洗槽103で水洗される前に、第1の水洗槽103の水洗液を用いて水洗するためのスプレー装置である。スプレー装置102により車体に吹き付けられて落下した水洗液を、第1の水洗槽103に戻すための戻り経路を設けてもよい。例えば、車体に吹き付けられて落下した水洗液が自重によって第1の水洗槽103に戻るように、戻り経路が傾斜を有するように構成してもよい。すなわち、電着槽101側が高く、水洗槽103側が低くなるように傾斜面或いは傾斜流路を形成してもよい。ただし、スプレー装置102は、追加的な洗浄機能を提供するものであり、必須の構成ではない。
【0013】
103は、電着槽101に対して車体の搬送方向の下流に設けられ、車体を水洗するための第1の水洗槽である。103aは、スプレー装置102により水洗された後に第1の水洗槽103側へ搬送されてきた車体をさらに水洗するためのスプレー装置である。104は、第1の水洗槽103に対して車体の搬送方向の下流に設けられ、車体を水洗するための第2の水洗槽である。
【0014】
105は、第2の水洗槽104に対して車体の搬送方向の下流に設けられ、車体を水洗するための第3の水洗槽である。105aは、第2の水洗槽104により水洗された後に第3の水洗槽105側へ搬送されてきた車体をさらに水洗するためのスプレー装置である。106は、第3の水洗槽105に対して車体の搬送方向の下流に設けられ、純水を用いて車体を水洗するための純水水洗槽である。
【0015】
107は、液体を濾過するとともに、液体の濾過に応じて濃縮された濃縮液を電着槽へ供給可能な濾過装置である。図示の例では、濾過装置107は、第1の水洗槽103と接続されており、第1の水洗槽103から液体(水洗液)を取得して濾過する構成である。あるいは、第2の水洗槽104又は第3の水洗槽105と接続されて、第2の水洗槽104又は第3の水洗槽105から液体(水洗液)を取得して濾過する構成としてもよい。あるいは、第1の水洗槽103、第2の水洗槽104、第3の水洗槽105のうちの2つ以上と接続されてそれぞれの水洗槽から液体(水洗液)を取得して濾過する構成としてもよい。
【0016】
108は、濾過装置107により濾過されて濃度が低下した濾過液を一次的に貯留する貯留槽である。濾過装置107は、貯留槽108を介して第3の水洗槽105と接続されており、濾過されて濃度が低下した濾過液を第3の水洗槽105へ供給する。
【0017】
109は、第3の水洗槽105と第2の水洗槽104とを接続し、第3の水洗槽105の液体(水洗液)を第2の水洗槽104へ供給する流路である。110は、第2の水洗槽104と第1の水洗槽103とを接続し、第2の水洗槽104の液体(水洗液)を第1の水洗槽103へ供給する流路である。なお、第1の水洗槽103と電着槽101とを接続し、第1の水洗槽103の液体(水洗液)を電着槽101へ供給する流路をさらに設けてもよい。
【0018】
各水洗槽は、例えば、第3の水洗槽105の液面高さ > 第2の水洗槽104の液面高さ > 第1の水洗槽103の液面高さとなるように構成してもよい。これにより、第3の水洗槽105から第2の水洗槽104へ、第2の水洗槽104から第1の水洗槽103へ液体(水洗液)が流れる。
【0019】
111は、濾過装置107と電着槽101とを接続する流路上に設けられた電着槽側バルブである。電着槽側バルブ111の開閉動作によって、濾過装置107による濾過動作の結果として生じる濃縮された濃縮液が電着槽101へ供給されることを抑制又は遮断することができる。開閉動作では、開状態と閉状態との間を連続的に遷移することができ、開度に応じて流量を制御(調整)することが可能である。後述する制御部300によって電着槽側バルブ111の開閉動作が制御される。
【0020】
112は、濾過装置107と第1の水洗槽103とを接続する流路上に設けられた水洗槽側バルブである。水洗槽側バルブ112の開閉動作によって、濾過装置107による濾過動作の結果として生じる濾過液が第1の水洗槽103へ供給されることを抑制又は遮断することができる。開閉動作では、開状態と閉状態との間を連続的に遷移することができ、開度に応じて流量を制御(調整)することが可能である。後述する制御部300によって水洗槽側バルブ112の開閉動作が制御される。
【0021】
151は、電着槽101の液面の高さを検知する電着槽液面センサである。152は、第1の水洗槽103の液面の高さを検知する水洗槽液面センサである。
【0022】
201は、電着槽101への電着塗料の供給を示す。電着塗料を含む電着液(電着塗料液)は、車体への電着動作によって車体に付着した分、電着槽101内の電着塗料が減少する。また、車体を電着槽101から持ち上げて第1の水洗槽103へ搬送する際に、車体からこぼれ落ちる分の電着塗料も減少する。このように、電着槽101の外部への持ち出しが発生する。この持ち出し分の電着塗料が電着槽101に随時補充されている。
【0023】
202は、電着槽101への純水の供給を示す。本実施形態では、4.3L/minで純水が供給される。203は、第3の水洗槽105への純水の供給を示す。本実施形態では、4.3L/minで純水が供給される。
【0024】
ここで、NV(Non Volatile)値とは、塗料の不揮発分を示す値であり、(乾燥後の塗料分質量)/(乾燥前の塗料分質量)×100で求めることができる。本実施形態では、電着槽101ではNV=20%、第1の水洗槽103ではNV=4.6%、第2の水洗槽104ではNV=1.3%、第3の水洗槽105ではNV=0.6%、貯留槽108ではNV=0.5%となっている。そして、第1の水洗槽103から濾過装置107へ向かう流路では、47.3L/minで水洗液が流れている。濾過装置107で濾過された結果として生じる濃縮液はNV=46%であり、4.3L/minの流量で、電解槽101と第1の水洗槽103との少なくとも一方へ供給される。一方、貯留槽108から第3の水洗槽105へ向かう流路では、濾過液が43L/minの流量で第3の水洗槽105へ流れている。
【0025】
したがって、濾過装置107による濃縮倍率は、46%(濾過装置107から電着槽101及び第1の水洗槽103の少なくとも一方へ供給される濃縮後のNV)÷4.6%(第1の水洗槽103における濃縮前のNV)=10倍となる。
【0026】
一方、図7の比較例を参照して、NV=20%である電着槽101の液を直接濾過する場合を説明する。図7において、本実施形態と同じ構成には同じ参照符号を付しており、説明を省略する。図7の比較例では、電着槽101と濾過装置701とが接続されており、1000L/minで電着槽101の液体(NV=20%)が濾過装置701へ供給されている。濾過装置701により濾過されて濃縮された濃縮液(NV=20.8%)は、950L/minで電着槽101へ戻される。一方、濾過装置701により濾過されて濃度が低くなった濾過液は、貯留槽108を介して50L/minで第3の水洗槽105へ供給される。このような構成の場合、車体に付着して電着槽101から持ち出された電着塗料液は、流路702を介して回収される。
【0027】
図7の比較例の場合、濾過装置107による濃縮倍率は、20.8%(濾過装置701から電着槽101へ供給される濃縮後のNV)÷20%(電着槽101から濾過装置107へ供給される濃縮前のNV)=1.04倍となる。
【0028】
このように、NV=20%である電着槽101の液を直接濾過する場合は、濃縮倍率は通常1.02~1.04倍程度(図7の比較例では1.04倍)となる。一方、NV=2%~5%(本実施形態では4.6%)である第1の水洗槽103の液を濾過する場合は、通常、濃縮倍率は10倍程度(本実施形態では10倍)となる。このように、濾過する対象の液体のNVが低い場合、濃縮倍率を大きくすることができる。これは、濃度が高い液体を濾過するよりも、濃度が低い液体を濾過するほうが効率的であるためである。
【0029】
なお、濾過装置107は、1つ以上のUF膜を含んで構成することができる。このUF膜は、濾過する対象の液体のNV値に応じて、濾過液の採取速度が変化するという特性を持っている。例えば、あるUF膜は、NV=20%である電着槽101の液体を直接濾過する場合は、濾過により濃度が低下した濾過液は、5L/min/本、すなわち、UF膜1本あたり、5L/minで採取できるという特性を有する。一方、NV=2%~5%(本実施形態では4.6%)である第1の水洗槽103の液を濾過する場合は、濾過により濃度が低下した濾過液は、20~25L/min/本、すなわち、UF膜1本あたり、20~25L/minで採取できるという特性を有する。
【0030】
本実施形態では、このUF膜を3本配置すれば60~75L/minとなり、濾過装置107から貯留槽108を介して第3の水洗槽105に流れ込む流量(43L/min)を上回る。よって、本実施形態ではUF膜は3本配置すればよい。
【0031】
これに対して、NV=20%である電着槽101の液を直接濾過する図7の比較例の場合は、濾過により濃度が低下した濾過液は5L/min/本の流量となる。このことを考慮すると、濾過装置701から貯留槽108を介して第3の水洗槽105に流れ込む流量が50L/min以上となるためには、UF膜を10本配置する必要がある。
【0032】
このように、本実施形態の構成によれば、図7の比較例と比較して、高い濃縮倍率を実現できるとともに、必要なUF膜の本数を削減し、濾過装置の導入コストの低減を実現することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態では、第1の水洗槽103から取得した(NV値が比較的低い)液体を濾過装置107で濾過し、濃縮液を電着槽に戻す。そして、濾過装置107は、電着槽101の液体(電着塗料液)を取得しない。すなわち、電着槽101から液体(電着塗料液)を取得して濾過する構成を設けない。
【0034】
これにより、電着塗料の損失を低減しつつ、UF膜の必要本数を減らすことができる。あるいは、UF膜の本数を変えない場合には、UF膜の交換頻度を下げることができる。また、電着槽101から取得した液体を濾過するための濾過装置が不要となる。従って、電着塗料の損失を低減しつつ、UF装置(UF膜)のコストを低減することが可能となる。
【0035】
(実施形態2)
本実施形態では、実施形態1に示した電着装置10を用いた液面高さの制御例を説明する。
【0036】
<ハードウェア構成>
図2は、一実施形態に係る電着装置が備える制御部のハードウェア構成例を示す図である。制御部300は、CPU3001と、ROM3002と、RAM3003と、I/F3004と、入力装置3005と、出力装置3006とを備える。
【0037】
CPU3001は、ROM3002やRAM3003に格納されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより処理を実行する。なお、CPU211による処理の少なくとも一部を専用のハードウェアが実行してもよい。専用のハードウェアの例としては、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、およびPLC(プログラマブルロジックコントローラ)などがある。
【0038】
ROM3002は、変更を必要としないコンピュータプログラムなどを格納する。RAM3003は、各種データを一時記憶する。I/F3004は、例えば、各種センサ(電着槽液面センサ151、水洗槽液面センサ152等)及び/又は各種バルブ(電着槽側バルブ111、水洗槽側バルブ112等)との通信に用いられる通信インタフェースである。入力装置3005は、各種入力を受け付けることができ、例えばキーボードやマウス等の入力装置、あるいはタッチパネルである。出力装置3006は、各種出力を行うことができ、例えば表示部やスピーカ等で構成することができる。
【0039】
なお、図2に示した構成要素はすべて必須の構成ではない。例えば、入力装置3005や出力装置3006を設けない構成であってもよい。
【0040】
<制御部とセンサ類、バルブ類との関係>
続いて、図3は、一実施形態に係る電着装置が備える制御部と接続される構成要素の説明図である。制御部300は、電着槽液面センサ151、水洗槽液面センサ152、電着槽側バルブ151、水洗槽側バルブ112と接続されている。
【0041】
制御部300は、電着槽液面センサ151の検知結果及び/又は水洗槽液面センサ152の検知結果を取得する。そして、検知結果に基づいて電着槽側バルブ111及び/又は水洗槽側バルブ112の開閉動作を制御する。すなわち、制御部300は、電着槽101の液面高さ及び/又は第1の水洗槽103の液面高さに基づいて、濾過装置107から電着槽101及び/又は第1の水洗槽103へ供給される濃縮液の流量を制御する。制御部300は、電着槽側バルブ111及び/又は水洗槽側バルブ112の開度を連続的に制御することにより濃縮液の流量を抑制又は遮断することができる。
【0042】
<処理>
次に、図4のフローチャートを参照して、本実施形態に係る制御部が実施する処理の手順を説明する。
【0043】
S401において、制御部300は、電着槽液面センサ151の検知結果を取得する。S402において、制御部300は、電着槽液面センサ151の検知結果に基づいて、電着槽101の液面高さが第1の閾値以上であるか否かを判定する。本ステップがYESの場合、S403へ進む。一方、本ステップがNOの場合、S406へ進む。
【0044】
S403において、制御部300は、電着槽側バルブ111の開度を下げる制御を行うことにより、濃縮液の電着槽への供給を抑制する。S404において、制御部300は、電着槽101の液面高さが、第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上であるか否かを判定する。本ステップがYESの場合、S405へ進む。一方、本ステップがNOの場合、S406へ進む。
【0045】
S405において、制御部300は、電着槽側バルブ111の開度をゼロにする制御を行うことにより、濃縮液の電着槽への供給を遮断する。
【0046】
S406において、制御部300は、一連の処理を継続するか否かを判定する。本ステップがYESの場合、S401に戻る。一方、本ステップがNOの場合、処理を終了する。なお、車体の電着塗装のラインが稼働中はもちろん、未稼働状態であっても電着槽や水洗槽において塗料が沈降しないように絶えず攪拌しておく必要があることから、通常は液面高さの調整は常時行われることになり、一連の処理が繰り返されることになる。一方、機器の故障など、一時的に処理を停止する必要があるような事態が発生したような場合には、処理を終了してもよい。また、何らかのエラーが生じたような場合には、制御部300は、出力装置3006を介してアラートを報知してもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態では、電着槽の液面高さを監視し、電着槽の液面高さが上昇した場合には、電着槽への濃縮液の供給を抑制又は遮断し、液面高さを下降させるための制御を行う。これにより、電着槽の液面を適切な高さに維持することが可能となる。
【0048】
なお、本実施形態では、電着槽の液面高さが上昇した場合に、電着槽への濃縮液の供給を抑制又は遮断するために、電着槽側バルブ111の開度を調整する例を説明したが、水洗槽側バルブ112の開度を上げるように構成してもよい。あるいは、電着槽側バルブ111と水洗槽側バルブ112との両方を制御してもよい。
【0049】
(実施形態3)
実施形態2では、電着槽の液面高さに基づいて電着槽への濃縮液の供給を制御する例を説明した。これに対して、本実施形態では、第1の水洗槽の液面高さに基づいて電着槽への濃縮液の供給を制御する例を説明する。
【0050】
なお、制御部300の構成は図2及び図3を参照して実施形態2で説明した構成と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
<処理>
図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る制御部が実施する処理の手順を説明する。
【0052】
S501において、制御部300は、水洗槽液面センサ152の検知結果を取得する。S502において、制御部300は、水洗槽液面センサ152の検知結果に基づいて、第1の水洗槽103の液面高さが第3の閾値以下であるか否かを判定する。本ステップがYESの場合、S503へ進む。一方、本ステップがNOの場合、S504へ進む。
【0053】
S503において、制御部300は、電着槽側バルブ111を制御して濃縮液の電着槽への供給を抑制又は遮断する。より具体的には、電着槽側バルブ111の開度を下げる或いはゼロにする制御を行う。
【0054】
S504において、制御部300は、一連の処理を継続するか否かを判定する。本ステップがYESの場合、S501に戻る。一方、本ステップがNOの場合、処理を終了する。なお、車体の電着塗装のラインが稼働中はもちろん、未稼働状態であっても電着槽や水洗槽において塗料が沈降しないように絶えず攪拌しておく必要があることから、通常は液面高さの調整は常時行われることになり、一連の処理が繰り返されることになる。一方、機器の故障など、一時的に処理を停止する必要があるような事態が発生したような場合には、処理を終了してもよい。また、何らかのエラーが生じたような場合には、制御部300は、出力装置3006を介してアラートを報知してもよい。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、第1の水洗槽の液面高さを監視し、第1の水洗槽の液面高さが下降した場合には、電着槽への濃縮液の供給を抑制又は遮断し、その分の液量が第1の水洗槽に流れ込むように制御する。これにより、第1の水洗槽の液面を適切な高さに維持することが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態では、1つの閾値(第3の閾値)との比較に応じて濃縮液の電着槽への供給を抑制又は遮断する例を説明したが、図4のフローチャートと同様に、2つの閾値を設けてもよい。その場合、図4の処理のように、例えば第1の水洗槽の液面高さが第3の閾値以下である場合に濃縮液の電着槽への供給を抑制してもよい。そして、第1の水洗槽の液面高さが第3の閾値よりも小さい第4の閾値以下である場合に濃縮液の電着槽への供給を遮断してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、第1の水洗槽の液面高さが下降した場合に、電着槽への濃縮液の供給を抑制又は遮断するために、電着槽側バルブ111の開度を調整する例を説明したが、水洗槽側バルブ112の開度を上げるように構成してもよい。あるいは、電着槽側バルブ111と水洗槽側バルブ112との両方を制御してもよい。
【0058】
(実施形態4)
本実施形態は、実施形態1よりも水洗槽の数を低減した例である。水洗槽の数を減らすことで、水洗工程を減らし、工程長を削減することができる。
【0059】
図6を参照して、本実施形態に係る電着装置の全体構成の一例を説明する。図6において、実施形態1と同じ参照符号は同じ構成要素を示しているため、重複した説明は省略する。実施形態4の電着装置20は、実施形態1の電着装置10に対して、第3の水洗槽105を削除した点が異なる。すなわち、実施形態4では、自動車の車体は、電着槽101において電着塗装された後、第1の水洗槽103において水洗され、第2の水洗槽104においてさらに水洗された後、純水水洗槽106へ搬送される。
【0060】
実施形態4では、電着槽101に供給される純水は10L/minの流量であり、第3の水洗槽105に供給される純水も10L/minの流量となっている。また、実施形態4では、電着槽101ではNV=20%、第1の水洗槽103ではNV=2.2%、第2の水洗槽104ではNV=0.6%、貯留槽108ではNV=0.5%となっている。そして、第1の水洗槽103から濾過装置107へ向かう流路では、110L/minで水洗液が流れている。濾過装置107で濾過された結果として生じる濃縮液はNV=22%であり、10L/minの流量で、電解槽101と第1の水洗槽103との少なくとも一方へ供給される。一方、貯留槽108から第3の水洗槽105へ向かう流路では、濾過液が100L/minの流量で第3の水洗槽105へ流れている。
【0061】
したがって、濾過装置107による濃縮倍率は、22%(濾過装置107から電着槽101及び第1の水洗槽103の少なくとも一方へ供給される濃縮後のNV)÷2.2%(第1の水洗槽103における濃縮前のNV)=10倍となる。
【0062】
実施形態1で説明したように、NV=20%である電着槽101の液を直接濾過する場合は、濃縮倍率は通常1.02~1.04倍程度となる。一方、NV=2%~5%(実施形態1では4.6%)である第1の水洗槽103の液を濾過する場合は、実施形態4では濃縮倍率は10倍程度となる。このように、濾過する対象の液体のNVが低い場合、濃縮倍率を大きくすることができる。これは、濃度が高い液体を濾過するよりも、濃度が低い液体を濾過するほうが効率的であるためである。
【0063】
実施形態1で説明したように、濾過装置107は、1つ以上のUF膜を含んで構成することができる。このUF膜は、前述したように、濾過する対象の液体のNV値に応じて、濾過液の採取速度が変化するという特性を持っている。
【0064】
実施形態1で説明したように、あるUF膜は、NV=20%である電着槽101の液を直接濾過する場合は、濾過により濃度が低下した濾過液は、5L/min/本、すなわち、UF膜1本あたり、5L/minで採取できるという特性を有する。一方、NV=2%~5%(実施形態4では2.2%)である第1の水洗槽103の液を濾過する場合は、濾過により濃度が低下した濾過液は、20~25L/min/本、すなわち、UF膜1本あたり、20~25L/minで採取できるという特性を有する。
【0065】
実施形態4では、このUF膜を5本配置すれば100~125L/minとなり、濾過装置107から貯留槽108を介して第3の水洗槽105へ流れ込む100L/minを上回る。よって、実施形態4ではUF膜は5本配置すればよい。これに対して、NV=20%である電着槽101の液を直接濾過する図7の比較例では、UF膜を10本配置する必要がある。
【0066】
このように、本実施形態のように、第1の水洗槽103から取得した(NV値が比較的低い)液体を濾過装置107で濾過し、濃縮液を電着槽に戻すことで、電着塗料の損失を低減しつつ、UF膜の必要本数を減らすことができる。あるいは、本数を変えない場合、UF膜の交換頻度を下げることができる。また、電着槽101から取得した液体を濾過するための濾過装置が不要となる。従って、電着塗料の損失を低減しつつ、UF装置(UF膜)のコストを低減することが可能となる。
【0067】
さらに、本実施形態によれば、水洗槽の数を削減することができるため、工程長を(3つの水洗工程から2つの水洗工程へ)削減することができる。そのため、水洗槽のコストも削減することが可能となる。
【0068】
[変形例]
なお、上述の各実施形態では、電着塗装を行う対象物として自動車の車体を例に説明を行ったが、対象物は自動車の車体に限定されない。例えば、対象物は、自動車部品、建材、その他の任意の工業製品であってもよい。
【0069】
また、上述の各実施形態では、濾過装置107を1つだけ配置して、当該濾過装置107が電着槽101と接続されておらず、電着槽101からは液体が供給されず、複数段の水洗層の少なくとも1つから液体(水洗液)が供給される例を説明した。ただし、この例に限定されない。電着装置は複数の濾過装置を含んでもよい。その場合、複数の濾過装置の全てが電着槽101から液体を取得して濾過することは行わず、電着槽101以外の複数段の水洗層の少なくとも1つから液体を取得して濾過するように構成すればよい。
【0070】
例えば、濾過装置107とは別の第2の濾過装置をさらに設け、第2の濾過装置が、例えば第2の水洗槽104と接続され、第2の水洗槽104の水洗液を取得して濾過してもよい。そして、第2の濾過装置は、濾過動作の結果として生じる濃縮液を電着槽101へ供給し、濾過動作の結果として濃度が低下した濾過液を第3の水洗槽105へ供給してもよい。
【0071】
あるいは、例えば、濾過装置107及び第2の濾過装置とは別の第3の濾過装置を設け、第3の濾過装置が、例えば第3の水洗槽105と接続され、第3の水洗槽105の水洗液を取得して濾過してもよい。そして、第3の濾過装置は、濾過動作の結果として生じる濃縮液を電着槽101へ供給し、濾過動作の結果として濃度が低下した濾過液を第3の水洗槽105へと戻してもよい。また、第2の濾過装置、第3の濾過装置は、濃縮液を直接電着槽へ供給せずに1段以上、上流の水洗槽に供給してもよい。
【0072】
このように、複数段の水洗槽の少なくとも1つから液体を取得して濾過動作を行う濾過装置を複数含んでもよい。複数の濾過装置を設けた場合でも、電着槽101から液体を取得して濾過する構成を設けないことにより、高い濃縮倍率を実現しつつ、濾過装置のUF膜の寿命を延ばすことが可能となるため、濾過装置の導入コストを削減することが可能となる。
【0073】
濾過装置107(及びさらに濾過装置が設けられる場合にはその濾過装置)が、電着槽101と直接(又は間接に)接続されていない構成、あるいは、電着槽101から液体を取得して濾過動作を行う濾過装置を1つも含まない構成とすることで、高い濃縮倍率を実現しつつ、濾過装置のUF膜の寿命を延ばすことが可能となるため、濾過装置の導入コストを削減することが可能となる。
【0074】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
10,20:電着装置、101:電着槽、103:第1の水洗槽、104:第2の水洗槽、105:第3の水洗槽、106:純水水洗槽、107:濾過装置、108:貯留槽、111:電着槽側バルブ、112:水洗槽側バルブ、151:電着槽液面センサ、152:水洗槽液面センサ152、制御部:300
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を電着塗装する電着槽と、
前記電着槽に対して前記対象物の搬送方向の下流に設けられ前記対象物を水洗する第1の水洗槽と、前記第1の水洗槽の下流に設けられ前記対象物を水洗する最終段の水洗槽とを含む複数段の水洗槽と、
前記電着槽から液体を取得することなく、前記複数段の水洗槽の少なくとも1つから供給される液体を濾過する濾過動作を行い、前記濾過動作によって濃縮された濃縮液を前記電着槽へ供給可能な濾過装置と、
前記電着槽の液面の高さを検知する第1の検知手段と、
前記電着槽の前記液面の高さが第1の閾値以上である場合に、前記濾過装置から前記電着槽への濃縮液の供給を抑制する制御手段と、
を備える電着装置において、
前記制御手段により前記濃縮液の前記電着槽への供給が抑制されたことによって増加した濃縮液は、前記第1の水洗槽へ供給されることを特徴とする電着装置。
【請求項2】
前記濾過装置は、前記第1の水洗槽から供給される液体を濾過することを特徴とする請求項1に記載の電着装置。
【請求項3】
前記濾過装置は、前記濾過動作によって濃度が低くなった濾過液を前記最終段の水洗槽へ供給することを特徴とする請求項2に記載の電着装置。
【請求項4】
前記最終段の水洗槽の下流に設けられ前記対象物を純水により水洗する純水水洗槽をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の電着装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記電着槽の前記液面の高さが前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上である場合に、前記濾過装置から前記電着槽への濃縮液の供給を遮断するように制御することを特徴とする請求項に記載の電着装置。
【請求項6】
前記第1の水洗槽の液面の高さを検知する第2の検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1の検知手段および前記第2の検知手段の検知結果に基づいて、前記濃縮液の前記第1の水洗槽への供給を制御することを特徴とする請求項に記載の電着装置。
【請求項7】
前記制御手段はさらに、前記第1の水洗槽の前記液面の高さが第3の閾値以下である場合に、前記濃縮液の前記電着槽への供給を抑制又は遮断するように制御し、
前記制御手段により前記濃縮液の前記電着槽への供給が抑制又は遮断されたことによって増加した濃縮液は、前記第1の水洗槽へ供給されることを特徴とする請求項に記載の電着装置。
【請求項8】
前記対象物が前記電着槽で電着塗装された後、前記第1の水洗槽で水洗される前に、前記第1の水洗槽の水洗液を用いて水洗するためのスプレー装置と、
前記スプレー装置により前記対象物に吹き付けられて落下した水洗液を、前記第1の水洗槽に戻すための戻り経路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の電着装置。
【請求項9】
前記対象物に吹き付けられて落下した水洗液が自重によって前記第1の水洗槽に戻るように、前記戻り経路は傾斜を有することを特徴とする請求項に記載の電着装置。
【請求項10】
前記濾過装置前記電着槽から液体を直接取得する経路を有さないことを特徴とする請求項1に記載の電着装置。
【請求項11】
前記複数段の水洗槽の少なくとも1つから液体を取得して濾過動作を行う濾過装置を複数含むことを特徴とする請求項1に記載の電着装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様による電着装置は、
対象物を電着塗装する電着槽と、
前記電着槽に対して前記対象物の搬送方向の下流に設けられ前記対象物を水洗する第1の水洗槽と、前記第1の水洗槽の下流に設けられ前記対象物を水洗する最終段の水洗槽とを含む複数段の水洗槽と、
前記電着槽から液体を取得することなく、前記複数段の水洗槽の少なくとも1つから供給される液体を濾過する濾過動作を行い、前記濾過動作によって濃縮された濃縮液を前記電着槽へ供給可能な濾過装置と、
前記電着槽の液面の高さを検知する第1の検知手段と、
前記電着槽の前記液面の高さが第1の閾値以上である場合に、前記濾過装置から前記電着槽への濃縮液の供給を抑制する制御手段と、
を備える電着装置において、
前記制御手段により前記濃縮液の前記電着槽への供給が抑制されたことによって増加した濃縮液は、前記第1の水洗槽へ供給されることを特徴とする。