(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064236
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】反射型フォトマスク及び反射型フォトマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/24 20120101AFI20240507BHJP
G03F 1/26 20120101ALI20240507BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G03F1/24
G03F1/26
C23C16/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172678
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】522212882
【氏名又は名称】株式会社トッパンフォトマスク
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】市川 顯二郎
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中野 秀亮
【テーマコード(参考)】
2H195
4K030
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BB03
2H195CA01
2H195CA07
2H195CA12
2H195CA15
2H195CA16
2H195CA17
2H195CA22
2H195CA23
4K030AA11
4K030AA14
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA44
4K030BA46
4K030BA47
4K030CA06
4K030CA17
4K030HA01
4K030JA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、優れたウェハ転写性能(特に解像性)を備え、且つ優れた耐久性(水素ラジカル耐性)を備えた反射型フォトマスク及び反射型フォトマスクの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態に係る反射型マスク10は、基板1と、基板1上に形成されてEUV光を反射する反射部6と、反射部6上の少なくとも一部に形成されてEUV光を吸収する吸収部4と、吸収部4の最表面及び吸収部4の側面をそれぞれ覆うように形成されてEUV光を透過する被覆膜5と、を備え、吸収部4のEUV反射光の位相と、反射部6のEUV反射光の位相とは、200度以上280度以下の範囲内の位相差を有し、被覆膜5は、EUV光に対して消衰係数kが0.04以下であり、屈折率nが0.94以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されてEUV光を反射する反射部と、
前記反射部上の少なくとも一部に形成されてEUV光を吸収する吸収部と、
前記吸収部の最表面及び前記吸収部の側面をそれぞれ覆うように形成されてEUV光を透過する被覆膜と、を備え、
前記吸収部のEUV反射光の位相と、前記反射部のEUV反射光の位相とは、200度以上280度以下の範囲内の位相差を有し、
前記被覆膜は、EUV光に対して消衰係数kが0.04以下であり、屈折率nが0.94以上であることを特徴とする反射型フォトマスク。
【請求項2】
前記被覆膜は、水素ラジカルに対して耐性を有していることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスク。
【請求項3】
前記反射部上にも前記被覆膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスク。
【請求項4】
前記被覆膜は、均一な膜厚で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスク。
【請求項5】
前記被覆膜は、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びイットリウム(Y)のうち少なくとも1種類の元素を含む金属酸化膜で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスク。
【請求項6】
前記吸収部は、215度以上270度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスク。
【請求項7】
前記吸収部は、230度以上260度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスク。
【請求項8】
前記吸収部は、EUV光に対する屈折率nが0.93より小さいことを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスク。
【請求項9】
前記吸収部は、EUV光に対する屈折率nが0.92より小さいことを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスク。
【請求項10】
前記吸収部は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及びレニウム(Re)のうち少なくとも1種類の元素を含む材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の反射型フォトマスク。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクの製造方法であって、
原子層堆積法によって前記被覆膜を形成する工程を含むことを特徴とする反射型フォトマスクの製造方法。
【請求項12】
前記被覆膜を形成する工程において、材料ガスとして金属水素化物、金属ハロゲン化物、または有機金属化合物を用いて、原子層堆積法によって前記被覆膜を形成することを特徴とする請求項11に記載の反射型フォトマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型フォトマスク及び反射型フォトマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体デバイスの微細化に伴い、フォトリソグラフィ技術の微細化に対する要求が高まっている。フォトリソグラフィにおいては、転写パターンの最小解像寸法は、露光光源の波長に大きく依存し、波長が短いほど最小解像寸法を小さくできる。このため、半導体デバイスの製造プロセスにおいて、従来の波長193nmのArFエキシマレーザー光を用いた露光光源から、波長13.5nmのEUV(Extreme UltraViolet)露光光源に置き換わってきている。
【0003】
ほとんどの物質がEUVに対して高い光吸収性をもつため、従来の光の透過を利用する屈折光学系が使用できないことから、露光機の光学系部材はレンズではなく、ミラーとなる。そのため、フォトマスクも従来の透過型から反射型のEUVフォトマスクとなる。また、EUVフォトマスクへの入射光とEUVフォトマスクで反射した反射光とが同軸上に設計できないことから、通常、EUVリソグラフィでは光軸をEUVフォトマスクの垂直方向から6°傾けてEUV光を入射し、マイナス6°の角度で反射する反射光を半導体基板に照射する手法が採用されている。
【0004】
しかし、光軸を傾斜させることから、EUVフォトマスクに入射するEUV光がEUVフォトマスクのパターン(吸収層に形成された転写パターン、所謂吸収層パターン)の影を作ることにより、転写性能が悪化する問題が発生し得る。このように、今後、更なる微細化を行う為には、転写性能の改善が課題となる。
現在のEUVフォトマスクでは、光吸収層として膜厚60~90nmのタンタル(Ta)を主成分とした膜が用いられている。このEUVフォトマスクでパターン転写の露光を行った場合、入射方向とマスクパターンの向きとの関係によっては、マスクパターンの影となるエッジ部分で、コントラストの低下を引き起こす恐れがある。これに伴い、半導体基板上の転写パターンのラインエッジラフネスの増加や、線幅が狙った寸法に形成できないなどの問題が生じ、転写性能が悪化する場合もある。
【0005】
この課題に対し、吸収層に消衰係数kが高い材料を用いてEUV反射率を抑える手法[例えば、特許文献1を参照]や、位相シフト効果を用いた手法[例えば、特許文献2を参照]が提案されている。
反射型位相シフトマスクでは、吸収層を通り減光した反射光は、吸収層が形成されていない開口部で反射される光と位相差を持つ。このような反射型位相シフトマスクは、透過型位相シフトマスクと同様に、位相シフト効果を用いることにより、ウェハ上の光学像のコントラストが向上し、転写パターンの解像性を向上させることができる。
【0006】
例えば、特許文献2に記載の位相シフト効果を用いた反射型マスクは、位相差の最適値を175~185度としている。これは従来の透過型位相シフトマスクの位相差の最適値である180度を含んだ値である。
しかし、反射型位相シフトマスクの場合、EUV光が傾いて入射するため、反射光の一部は吸収層パターンのエッジ部分を通る。エッジ部分に当たった反射光はパターン中心部の反射光と位相がずれてしまうため、吸収層の最適な位相差は180度と異なる。
また、EUV露光装置では、コンタミ(不純物の混入)によるチャンバー内の汚染を防ぐため、水素ラジカルによるクリーニングが行われる。つまり、反射型位相シフトマスクは、水素ラジカル還元に対して耐性を有する材料を用いて形成する必要がある。
【0007】
しかし、反射型位相シフトマスクの中には水素ラジカル耐性が低い材料もあり、水素ラジカル耐性が低い材料により形成された反射型位相シフトマスクは長期間の使用に耐えられないという問題があった。
なお、EUV露光装置の技術分野においては、特許文献3の方法で、露光装置内のミラー部分である多層ミラーを水素ガスや原子状水素(水素ラジカル)から保護する目的として、多層ミラー上に保護膜を形成している。これと同様に、反射型位相シフトマスクでもマスク表面に保護膜を形成することで水素ラジカル耐性を向上させることができるとも考えられる。
【0008】
しかしながら、反射型位相シフトマスクではマスク表面に保護膜を形成する場合、保護膜によるEUV光の吸収に起因して吸収層と反射層との位相が変化し、所望の位相シフト効果が得られずパターン転写性が低下する問題が発生することがある。従って、保護膜としてはEUV光に対する透過率が高い材料を選択する必要がある。さらに位相差を制御するためにはパターン毎に保護膜の膜厚が異なると、転写性に悪影響を及ぼす可能性が考えられるため、転写パターンの表面及び側面に沿って保護膜を均一に形成する必要がある。
以上のように、従来技術に係る反射型位相シフトマスクには、優れたウェハ転写性能(特に解像性)を備え、且つ優れた耐久性(水素ラジカル耐性)を備えたものが少なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4926523号
【特許文献2】国際公開第2010/007955号
【特許文献3】特許第6527154号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、優れたウェハ転写性能(特に解像性)を備え、且つ優れた耐久性(水素ラジカル耐性)を備えた反射型フォトマスク及び反射型フォトマスクの製造方法を提供することを目的とする。より具体的には、位相シフト効果を最大限に活用し、高い転写性(特に解像性)を有し、かつEUV透過率が高く、水素ラジカル耐性を十分に備え、転写パターンの最表面及び側面に沿って均一に形成された被覆膜を有する反射型フォトマスク及び反射型フォトマスクの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る反射型フォトマスクは、基板と、前記基板上に形成されてEUV光を反射する反射部と、前記反射部上の少なくとも一部に形成されてEUV光を吸収する吸収部と、前記吸収部の最表面及び前記吸収部の側面をそれぞれ覆うように形成されてEUV光を透過する被覆膜と、を備え、前記吸収部のEUV反射光の位相と、前記反射部のEUV反射光の位相とは、200度以上280度以下の範囲内の位相差を有し、前記被覆膜は、EUV光に対して消衰係数kが0.04以下であり、屈折率nが0.94以上である。
【0012】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける被覆膜は、水素ラジカルに対して耐性を有している。
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクは、反射部上に被覆膜が形成されていてもよい。
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける被覆膜は、均一な膜厚で形成されていてもよい。
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける被覆膜は、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びイットリウム(Y)のうち少なくとも1種類の元素を含む金属酸化膜で形成されていてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける吸収部は、215度以上270度以下の範囲内の位相差を有していてもよい。
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける吸収部は、230度以上260度以下の範囲内の位相差を有していてもよい。
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける吸収部は、EUV光に対する屈折率nが0.93より小さくてもよい。
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける吸収部は、EUV光に対する屈折率nが0.92より小さくてもよい。
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクにおける吸収部は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及びレニウム(Re)のうち少なくとも1種類の元素を含む材料から構成されていてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクの製造方法は、上述した反射型フォトマスクの製造方法であって、原子層堆積法によって被覆膜を形成する工程を含む。
また、本発明の一態様に係る反射型フォトマスクの製造方法における被覆膜を形成する工程では、材料ガスとして金属水素化物、金属ハロゲン化物、または有機金属化合物を用いて、原子層堆積法によって被覆膜を形成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、優れたウェハ転写性能(特に解像性)を備え、且つ優れた耐久性(水素ラジカル耐性)を備えた反射型フォトマスク及び反射型フォトマスクの製造方法を提供することができる。より詳しくは、本発明の一態様によれば、EUV透過率が高く、且つ水素ラジカル耐性が高い材料で吸収部の最表層及び側面を均一に被覆することで、十分な位相シフト効果とウェハ転写性能(特に解像性)の向上効果を維持し、長期間マスクを使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクの構造を示す概略断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクの位相差とNILSとの関係を示すグラフである。
【
図3】本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクにおける吸収層の膜厚と位相差との関係を示すグラフである。
【
図4】EUV光の波長における各金属材料の光学定数を示すグラフである。
【
図5】本実施形態に係る水素ラジカル耐性評価方法を示す概念図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクにおける被覆膜の膜厚とNILSとの関係を示すグラフである。
【
図7】本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクにおける位相差とNILSとの関係を示すグラフである。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る反射型フォトマスクの構造を示す概略断面図である。
【
図9】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクブランクの構造を示す概略断面図である。
【
図10】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの製造工程を示す概略断面図である。
【
図11】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの製造工程を示す概略断面図である。
【
図12】本発明の実施例に係る反射型フォトマスクの構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の一実施形態について図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る反射型フォトマスクの構造及び反射型フォトマスクの製造方法について説明する。
ここで、図面に示す構成は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率などは現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造などが下記のものに限定されるものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
(全体構造)
図1は、本発明の実施形態に係る被覆膜付き反射型フォトマスク(以下、単に「反射型マスク」とも称する)10の構成を示す概略断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る反射型マスク10は、基板1と、基板1上に形成されてEUV光を反射する反射部6と、反射部6上の少なくとも一部に形成されてEUV光を吸収する吸収層(吸収部)4と、吸収層4の最表面及び吸収層4の側面をそれぞれ覆うように形成されてEUV光を透過する被覆膜5と、を備えている。反射部(反射層)6は、多層反射膜2とキャッピング層3とで構成される。また、反射型マスク10は、吸収層4によって形成された微細パターンである吸収層パターン(転写パターン)を備えている。
以下、上述した各層の詳細について説明する。
【0019】
(基板)
本実施形態に係る基板1は、例えば、低熱膨張性の基板である。具体的には、基板1として、平坦なSi基板や合成石英基板等を用いることができる。また、基板1として、チタンを添加した低熱膨張ガラスを用いることができる。このように、基板1は、熱膨張率の小さい材料であればよく、これらの材料に限定されるものではない。
【0020】
(多層反射膜)
本実施形態に係る多層反射膜2は、基板1上に形成された膜(層)である。この多層反射膜2は、露光光であるEUV光(極端紫外光)を反射するための膜であり、例えば、EUV光に対する屈折率が互いに大きく異なる材料を組み合わせて構成した多層反射膜である。多層反射膜2としては、例えば、Mo(モリブデン)を含む層とSi(シリコン)を含む層が積層した積層膜、またはMo(モリブデン)を含む層とBe(ベリリウム)を含む層とが積層した積層膜を40周期程度繰り返し積層することにより形成された膜が好ましい。
【0021】
(キャッピング層)
本実施形態に係るキャッピング層3は、多層反射膜2上に形成された層である。キャッピング層3は、吸収層4に転写パターンを形成する際に行われるドライエッチングに対して耐性を有する材質で形成されている。つまり、キャッピング層3は、吸収層4をエッチングして、転写パターン(低反射部パターン)を形成する際に、多層反射膜2へのダメージを防ぐエッチングストッパとして機能するものである。ここで、多層反射膜2の材質やエッチング条件によっては、キャッピング層3は設けなくてもかまわない。
【0022】
(吸収層)
図1に示すように、吸収層4は、保護層であるキャッピング層3上に形成される層であり、露光光であるEUV光を吸収する層である。
吸収層4(吸収パターン層4a)では、EUV光がパターン開口部を通り吸収層4を経由せずに入射、及び反射をする際、その反射光はキャッピング層3及び多層反射膜2の影響を受けて、元の入射光と位相を変化させる。一方、EUV光が吸収層4を経由して入射、及び(あるいは)反射をする際、その反射光はキャッピング層3及び多層反射膜2の影響に加え、吸収層4の影響を受けて元の入射光と位相を変化させる。即ち、EUV光が吸収層4を経由して生じた反射光は、パターン開口部のみを経由して生じた反射光との間で、吸収層4の膜特性に基づく所望の位相差を生じる。
【0023】
一般に、吸収層4の、反射率及びパターニングした結果生じる開口部との位相差は、反射型マスクの各層の光学定数(屈折率n、消衰係数k)と膜厚、使用する光の波長が決まれば、一意に定まり、光学理論により計算で求めることができる(詳細は、例えば、応用物理工学選書3、吉田貞史「薄膜」、培風館、1990を参照)。つまり、本実施形態における「位相差」とは、吸収層4の反射光の位相と、反射層6を構成する多層反射膜2の(開口部での)反射光の位相と、の差を意味する。なお、本実施形態では、上記反射率及び上記位相差の算出に用いた屈折率n及び消衰係数kの各値は、EUV光を用いた実測値を用いた。
【0024】
NILS(規格化空間像対数傾斜)は、
NILS=w×dln(I)/dx ・・・式(1)
で求められるコントラストの値であり、反射型マスク10を用いてウェハパターンを形成した際のウェハパターンの解像性の指標になる。ここで「w」は線幅を表し、「I」はエネルギー潜像の強度を表す。なお、NILSの値が大きい程、転写パターンの解像性が高いことを意味する。
【0025】
反射型マスク10を用いてウェハ転写した際のウェハパターンのNILS(規格化空間像対数傾斜)は、反射型マスク10の位相差に依存する。
図2は、被覆膜5を備えず、吸収層4(吸収パターン層4a)を、ロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)の混合材料を用いた単層膜として、開口数NAが0.33の露光条件で、ウェハ上の19nmのホールパターンを露光した場合のNILS(規格化空間像対数傾斜)を、膜厚38nm、41nm、47nm、54nmの4水準で求めたグラフである。Rhは屈折率n=0.875、消衰係数k=0.03であり、Alは屈折率n=1.03、消衰係数k=0.03であるので、RhAlの組成を変えたとき、その屈折率は0.875<n<1.03の範囲内で変化し、消衰係数はおよそk=0.03で一定である。また、同じ膜厚で比べた場合、RhAlの組成を変えたとき、すなわち屈折率nを変えたとき、位相差が変化する。なお、
図2では、横軸に位相差をとり、縦軸にNILSをとることで、位相差とNILSとの関係を示している。
【0026】
図2に示すように、位相差とNILSとの間には関係性があり、位相差が230度から260度近傍の範囲内でNILSの値は最大になる。
また、
図2に示すように、膜厚が54nmであり、且つRhAlで形成された吸収パターン層4aの位相差が180度である場合のNILSの値は2.49である。
これに対し、位相差が200度である場合のNILSの値は2.60であり、位相差が280度である場合のNILSの値は2.60であり、いずれも位相差が180度である場合に比べてその値は約5%高くなっている。
【0027】
また、位相差が215度である場合のNILSの値は2.68であり、位相差が270度である場合のNILSの値は2.67であり、いずれも位相差が180度である場合に比べてその値は約7%高くなっている。
また、位相差が230度である場合のNILSの値は2.72であり、位相差が260度である場合のNILSの値は2.71であり、いずれも位相差が180度である場合に比べてその値は約9%高くなっている。
さらに、位相差が240度である場合にNILSは最大となり、その値は2.74であり、位相差が180度である場合に比べてその値は約10%高くなっている。
【0028】
このように位相差が180度である場合よりも、位相差が200度以上280度以下の範囲内であれば5%以上、位相差が215度以上270度以下の範囲内であれば7%以上、位相差が230度以上260度以下の範囲内であれば9%以上、NILSの値が向上する。
これらのことから、解像性を向上させるためには、吸収層4の位相差は、200度以上280度以下の範囲内が好ましく、215度以上270度以下の範囲内がさらに好ましく、230度以上260度以下の範囲内が最も好ましいことが分かる。
【0029】
また、
図2に示すように、吸収パターン層4aの膜厚が47nmであり、位相差が240度である場合のNILSの値は2.76であり、位相差が180度である場合に比べてその値は約12%高くなっている。
また、
図2に示すように、吸収パターン層4aの膜厚が41nmであり、位相差が240度である場合のNILSの値は2.78であり、位相差が180度である場合に比べてその値は約13%高くなっている。
また、
図2に示すように、吸収パターン層4aの膜厚が38nmであり、位相差が240度である場合のNILSの値は2.71であり、位相差が180度である場合に比べてその値は約31%高くなっている。
このように、反射型マスクにおける吸収層(吸収パターン層)の最適な位相差は、従来の設計思想で用いられてきた「180度」とは異なる値であることを本発明者は見出した。
【0030】
EUVリソグラフィにおいて、EUV光は斜めに入射し、反射層6で反射されるが、吸収パターン(転写パターン)が形成された吸収層4が光路の妨げとなる射影効果により、ウェハ(半導体基板)上への転写性能が悪化することがある。この転写性能の悪化は、EUV光を吸収する吸収層4の厚さを薄くすることで低減できることが知られている
吸収層4の膜厚は、60nm以下であることが好ましい。吸収層4の膜厚が60nm以下である場合、従来のTa系吸収膜と比較して十分に射影効果を低減し、転写性能を向上させることができる。射影効果の更なる低減には吸収層4の膜厚が50nm以下であることが好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。なお、吸収層4において、その下限値は特に制限されないが、20nm以上であると好ましく、25nm以上であるとさらに好ましい。
【0031】
図3は、EUV光に対する吸収層4の屈折率nが0.90、0.91、0.92、0.93、0.94である場合における吸収層4の膜厚と位相差との関係をシミュレーションで算出したグラフである。
図3に示すように、EUV光に対する吸収層4の屈折率nが小さければ小さいほど、所望の位相差を得るための膜厚を薄くすることができる。EUV光に対する吸収層4の屈折率nが0.93の場合、230~260度の位相差を得るための最低膜厚は60nmであり、従来のTa系吸収膜の膜厚と同程度である。そのため、EUV光に対する吸収層4の屈折率nは0.93より小さければ、膜厚を60nmより薄くすることができるので、好ましい。また、EUV光に対する吸収層4の屈折率nが0.92より小さければ、230~260度の位相差を得るための最低膜厚が50nm以下になるため、さらに好ましい。
【0032】
図4は、各金属材料のEUV光の波長13.5nmに対する光学定数を示すグラフである。
図4のグラフの横軸は屈折率nを表し、縦軸は消衰係数kを示している。
図4に示すように、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及びレニウム(Re)のそれぞれは、屈折率nが0.93より小さいため、吸収層4の材料として、これらの材料群を用いることにより射影効果を低減できることが分かる。なお、上述した「Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、Re」を、以下便宜的に「第1の材料群」と定義する。
【0033】
吸収層4の材料は、第1の材料群の元素を含んでいれば混合物であってもよい。混合物であれば、組成を変えることによって吸収層4の光学定数(屈折率n、消衰係数k)を制御することができ、所望の位相差と反射率を得ることができる。つまり、吸収層4は、Ru、Rh、Mo、Pd、Ag、Pt、Au、Os、Ir、及びReのうち少なくとも1種類の元素を含む材料で構成されていれば好ましい。
吸収層4の材料は、上述した第1の材料群に加えて、錫(Sn)、インジウム(In)、及びタンタル(Ta)で表される「第2の材料群」のうち少なくとも1種類の元素をさらに含んでいても良い。Sn、In、Taの酸化物、窒化物もしくは酸窒化物であれば、高融点の為、耐熱性の更なる改善と既存エッチング装置での加工性向上が期待できる。
【0034】
吸収層4は、第1の材料群の元素のみで構成されていてもよいし、第1の材料群の元素と、第2の材料群の元素とで構成されていてもよい。また、吸収層4は、第1の材料群の元素と、第2の材料群の元素以外の他の元素とで構成されていてもよいし、第1の材料群の元素と、第2の材料群の元素と、第2の材料群の元素以外の他の元素とで構成されていてもよい。なお、吸収層4が第1の材料群の元素と第2の材料群の元素とで構成されている場合には、第1の材料群の元素の含有率が吸収層4全体の元素の70原子%以上であれば好ましく、80原子%以上であればより好ましく、90原子%以上であればさらに好ましい。
吸収層4は、所望の位相差が得られ、且つ被覆膜5を形成することができれば第1の材料群を含む層が1層以上あればよく、多層膜であってもよい。例えば、吸収層4の下層がロジウム、上層が酸化錫で構成されるような吸収層であってもよい。
【0035】
(被覆膜)
本実施形態において、反射型マスク10を構成する吸収層4そのものに、水素ラジカル耐性を付与しようとすると、吸収層4の材料種が制限される。しかし、水素ラジカル耐性の高い被覆膜5で吸収層4の最表面及び吸収層4の側面をそれぞれ覆うことで、水素ラジカル耐性に乏しい材料も吸収層4の構成材料として使用することができる。また、吸収層4の構成材料が水素ラジカル耐性を持つ材料であっても、被覆膜5により保護されることにより、吸収層4は水素ラジカルに触れないため、より長時間の使用に耐えることができる。なお、本実施形態では、被覆膜5は最表面及び吸収層4の側面の全面を覆う構成について説明したが、本発明では、被覆膜5は最表面及び吸収層4の側面の少なくとも一部を覆う構成であっても良い。覆う面積が多い方が好ましく、全面を覆う構成が好ましい。
このように、本実施形態に係る被覆膜5は、水素ラジカルに対して耐性を備えた膜であればよい。
【0036】
現在のEUV露光装置では、コンタミによるチャンバー内の汚染を防ぐため、水素ラジカルによるクリーニングが行われる。このため、反射型マスクは水素ラジカルに対する耐久性が低いと、マスクの寿命が短くなってしまう。反射型マスクの長寿命化を図るために、反射型マスクは水素ラジカル耐性の高い化合物材料で形成される必要がある。
水素ラジカルに対して耐性のある材料としては、例えば
図5に示す装置を用い、水素の流量100sscm、2.45GHzのMWP(Micro Wave Plasma:マイクロ波プラズマ)を使って電極301間の距離を18mmに設定した条件で励起された水素ラジカル環境下で、膜減り量が1nm以下(膜減り速さ0.01nm/s以下)となる化合物材料が好ましい。なお、
図5では、サンプル(試験対象)を「302」で示し、チャンバーを「300」で示している。
【0037】
本実施形態に係る反射型マスク10の場合、被覆膜5は、反射型マスク10における最表層となるため、入射光及び反射光の各光路の妨げとならないことが好ましい。
図6には膜厚が47nm、屈折率nが0.93、消衰係数kが0.03の材料を用いて形成された吸収層4上に、被覆膜5をその膜厚が10nmに達するまで成膜した場合のNILSとの関係を示した。被覆膜5としてはSiO
2(n=0.974、k=0.013)、ZrO
2(n=0.946、k=0.015)、Al
2O
3(n=0.968、k=0.038)、ZnO(n=0.964、k=0.044)、W(n=0.933、k=0.033)、Ru(n=0.886、k=0.017)、Pt(n=0.891、k=0.060)を使用した場合の例を示した。
【0038】
図6に示すように被覆膜5の形成によりNILSが変化した場合でも従来のTa系吸収膜より高いNILSを保つためには、最表層である被覆膜5の消衰係数kは0.04以下であり、屈折率は0.94以上であり、被覆膜5の膜厚は9nm以内であることが望ましい。被覆膜5の膜厚のより好ましい範囲は、水素ラジカル耐性の観点から1nm以上であることが好ましく、NILS変動と水素ラジカル耐性とのバランスの観点からさらに好ましくは、2nm以上4nm以下の範囲内である。つまり、吸収層4の表面(上面部)に形成された被覆膜5の平均膜厚は1nm以上9nm以下の範囲内であることが望ましく、2nm以上4nm以下の範囲内であればさらに好ましい。上記数値範囲内であれば、水素ラジカル耐性を十分に有し、且つ入射光及び反射光の各光路の妨げをさらに低減することができる。
【0039】
なお、被覆膜5は屈折率nが1に近く、消衰係数kが0に近い材料、例えばSiO2を被覆膜5の材料として使用し、NILSが従来のTa系吸収膜より高ければ、被覆膜5の膜厚が10nm以上であっても良い。被覆膜5の膜厚が10nm以上であれば、膜厚が薄い場合と比較して、マスク洗浄時の薬液による被覆膜の浸食に対してより耐えることができ、反射型マスクを長時間使用することができる。
【0040】
反射型マスク10を用いてウェハ転写した際のウェハパターンのNILS(規格化空間像対数傾斜)と位相差との関係を
図7に示す。
図7は、吸収層4としてロジウム(Rh)と錫(Sn)の混合材料を使用し、被覆膜5として酸化アルミニウム(Al
2O
3)を使用し、開口数NAが0.33の露光条件で、ウェハ上の19nmのホールパターンを露光した場合のNILS(規格化空間像対数傾斜)と位相差とを、吸収層4の膜厚が47nm、吸収層4の屈折率が0.85~0.95、被覆膜5の膜厚が2~8nmの条件で求めたグラフである。
【0041】
図7に示すように従来のTa系吸収膜より高いNILSを保つためには、位相差が200度以上280度以下の範囲内であればよく、215度以上270度以下の範囲内がさらに好ましく、230度以上260度以下の範囲内が最も好ましいことが分かる。
これは、
図2で示した被覆膜5を備えない反射型マスクにおける位相差範囲と同等である。従って、酸化アルミニウム(Al
2O
3)のようなEUV光の光路の妨げにならない材料であれば被覆膜5を形成しなかった場合と同等の効果を得ることができる。
【0042】
このように、被覆膜5は、水素ラジカル耐性を備え、且つEUV光の光路の妨げとならないよう、EUV光に対する消衰係数kは小さく、且つ屈折率nは1に近い化合物材料で形成されていることが好ましい。そのため、被覆膜5は、例えば、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びイットリウム(Y)のうち少なくとも1種類の元素を含む金属酸化膜で形成されていることが好ましい。被覆膜5を形成する金属酸化膜は、上記金属元素に対して酸素原子が原子数比率で1以上であれば好ましく、2以上であればより好ましい。また、EUV光に対する消衰係数kや屈折率nの条件を満たしていれば、金属酸化膜中に上記金属元素や酸素以外の元素(例えば窒素)を含んでいてもよい。
【0043】
例えば、被覆膜5を形成する金属酸化膜中における上記金属元素の合計含有量は、被覆膜5全体の金属原子数に対し50原子%以上であれば好ましく、70原子%以上であればより好ましく、90原子%以上であればさらに好ましい。勿論、被覆膜5は、上記金属元素のみで形成されていてもよい。
上記材料で形成された被覆膜5であれば、十分な位相シフト効果とウェハ転写性能(特に解像性)の向上効果を維持し、長期間マスクを使用することが可能となる。
なお、
図1では図示しないが、本実施形態に係る反射型マスク10では、基板1の多層反射膜2が形成された面とは反対側の面に裏面導電膜を形成することができる。裏面導電膜は、反射型マスク10を露光機に設置するときに静電チャックの原理を利用して固定するための膜である。
【0044】
(被覆膜の形成方法)
本実施形態に係る反射型マスク10に備わる被覆膜5は、材料ガスとして金属水素化物、金属ハロゲン化物、または有機金属化合物を用いた原子層堆積法によって形成することができる。より詳しくは、本実施形態では、被覆膜5を、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びイットリウム(Y)を少なくとも1種類含むガスと、酸素(O)を含むガスとを交互に供給する原子層堆積法を用いて形成してもよい。
原子層堆積法は、原子層単位で薄膜を形成することができる。このため、この方法により形成された被覆膜5は、高い膜厚均一性、及び高い形状追従性を有している。
【0045】
被覆膜5は、水素ラジカルによる転写性能の悪化を防ぐため、吸収層4の表面(最表面)及び側面をそれぞれ覆うように形成されていればよい。また、吸収層4の表面(最表面)及び側面、さらにキャッピング層3上または多層反射膜2上に形成された転写パターンに沿って、即ち表面が露出した反射層6上(キャッピング層3上または多層反射膜2上)に被覆膜5が形成されていればより好ましい。なお、
図8には、吸収層4の表面(最表面)及び側面、並びにキャッピング層3(反射層6)上に被覆膜5を形成した反射型マスク10の形態を示す。
【0046】
さらに前述のように被覆膜5による転写性の悪化をより低減するためには被覆膜5の膜厚を制限することが好ましく、形成される被覆膜5が均一な膜厚であればより好ましい。従って膜厚均一性、形状追従性に優れる原子層堆積法により被覆膜5を形成することで、パターン転写性の悪化を伴わず高い水素ラジカル耐性を有する反射型マスク10を製造することが可能である。ここで、「均一な膜厚」とは、吸収層4の表面及び側面にそれぞれ形成された被覆膜5の平均厚み(平均膜厚)に対して、最も薄い部分の厚さが-2nm以内の範囲内であり、最も厚い部分の厚さが+2nm以内の範囲内であることをいう。つまり、本実施形態では、吸収層4の表面に形成された被覆膜5の膜厚は、その平均厚みに対して±2nmの範囲内に収まっている。また、吸収層4の側面に形成された被覆膜5の膜厚は、その平均厚みに対して±2nmの範囲内に収まっている。
【0047】
なお、吸収層4の側面に形成された被覆膜5の平均膜厚は、上述した吸収層4の表面に形成された被覆膜5の平均膜厚と同じであることが好ましいが、吸収層4の表面に形成された被覆膜5の平均膜厚に比べて薄くてもよい。つまり、吸収層4の側面に形成された被覆膜5の平均膜厚は、吸収層4の表面に形成された被覆膜5の平均膜厚と同様に、1nm以上9nm以下の範囲内であることが望ましく、2nm以上4nm以下の範囲内であればさらに好ましいが、吸収層4の表面に形成された被覆膜5の平均膜厚に比べて薄くてもよい。
【0048】
なお、吸収層4の側面に形成された被覆膜5の平均膜厚が、吸収層4の表面に形成された被覆膜5の平均膜厚よりも薄い形態では、吸収層4の側面に形成された被覆膜5の平均膜厚は、吸収層4の表面に形成された被覆膜5の平均膜厚に対して、0.5倍以上1.0倍未満の範囲内であれば好ましく、0.8倍以上1.0倍未満の範囲内であればさらに好ましい。吸収層4の側面に形成された被覆膜5の平均膜厚が上記数値範囲内であれば、優れたパターン転写性を維持しつつ、水素ラジカル耐性をさらに向上させることができる。
【0049】
また、
図8に示すように、キャッピング層3上にも被覆膜5が形成されている形態では、キャッピング層3上に形成された被覆膜5の平均膜厚は、上述した吸収層4の表面あるいは側面に形成された被覆膜5の平均膜厚と同じであることが好ましいが、吸収層4の表面あるいは側面に形成された被覆膜5の平均膜厚に比べて薄くてもよい。つまり、キャッピング層3上に形成された被覆膜5の平均膜厚は、吸収層4の表面あるいは側面に形成された被覆膜5の平均膜厚と同様に、1nm以上9nm以下の範囲内であることが望ましく、2nm以上4nm以下の範囲内であればさらに好ましいが、吸収層4の表面あるいは側面に形成された被覆膜5の平均膜厚に比べて薄くてもよい。
【0050】
なお、キャッピング層3上に形成された被覆膜5の平均膜厚が、吸収層4の表面あるいは側面に形成された被覆膜5の平均膜厚よりも薄い形態では、キャッピング層3上に形成された被覆膜5の平均膜厚は、吸収層4の表面あるいは側面に形成された被覆膜5の平均膜厚に対して、0.5倍以上1.0倍未満の範囲内であれば好ましく、0.8倍以上1.0倍未満の範囲内であればさらに好ましい。キャッピング層3上に形成された被覆膜5の平均膜厚が上記数値範囲内であれば、優れたパターン転写性を維持しつつ、水素ラジカル耐性をさらに向上させることができる。
【0051】
このように、本実施形態に係る反射型マスク10においては、原子層堆積法により吸収層4の表面及び側面に水素ラジカル耐性の高い被覆膜5が形成されている。このため、反射型マスク10への露光時に用いられる水素ラジカルによる吸収層4へのダメージが低減され、パターン転写性の悪化を抑制することができる。
また、被覆膜5は、EUV透過率及び屈折率が高い材料によって均一に形成されているため、被覆膜5の形成による転写性悪化を抑制することができる。そのため、吸収層4に水素ラジカル耐性が低い材料を用いた場合であっても、高いパターン転写精度を実現することが可能である。
【0052】
<実施例1>
以下、本発明の実施例に係る反射型マスクについて、図と表を用いて説明する。
図9に示すように、低熱膨張性を有する合成石英の基板11の上に、シリコン(Si)とモリブデン(Mo)とを一対とする積層膜が40枚積層されて形成された多層反射膜12を形成した。多層反射膜12の膜厚は280nmとした。
図9では、便宜的に、多層反射膜12が有する積層構造の記載は省略している。
【0053】
次に、多層反射膜12上に、中間膜としてルテニウム(Ru)で形成されたキャッピング層13を、膜厚が2.5nmになるように成膜した。これにより、基板11上には多層反射膜12及びキャッピング層13を有する反射層(反射部)16が形成されている。
キャッピング層13の上に、酸化錫(SnO)とルテニウム(Ru)とを含む吸収層(吸収部)14を膜厚が42nmになるよう成膜した。吸収層14における酸化錫(SnO)とルテニウム(Ru)との原子数比率をXPS(X線光電子分光法)で測定したところ、20:80であった。また、吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
【0054】
次に、基板11の多層反射膜12が形成されていない側に窒化クロム(CrN)で形成された裏面導電膜15を100nmの厚さで成膜した。
基板11上へのそれぞれの膜の成膜は、多元スパッタリング装置を用いた。各々の膜の膜厚は、スパッタリング時間で制御した。
次に、吸収層14上にポジ型化学増幅型レジスト(SEBP9012:信越化学社製)を120nmの膜厚にスピンコートで成膜し、110度で10分間ベークし、レジスト膜17を形成した。
【0055】
次いで、電子線描画機(JBX3030:日本電子社製)によってポジ型化学増幅型レジストに所定のパターンを描画した。
その後、110度、10分間ベーク処理を施し、次いでスプレー現像(SFG3000:シグマメルテック社製)した。これにより、
図10に示すように、レジストパターン17aを形成した。
次に、レジストパターン17aをエッチングマスクとして、塩素系ガスを主体としたドライエッチングにより吸収層14のパターニングを行い、吸収パターン層14aを形成した。
次に、残ったレジストパターン17aの剥離を行った。こうして、
図11に示すように、吸収層14の表面及び側面が露出した吸収パターン層14aを形成した。なお、
図11には、後述する被覆膜18が形成される前の形態である反射型フォトマスク100が示されている。
【0056】
次に、シリコンガス(ビスジエチルアミノシラン)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の露出した表面及び側面、並びに反射層16上に、二酸化珪素で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるようにそれぞれ成膜した。珪素(Si)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、1:1.9であった。こうして、
図12に示すような反射型フォトマスク(以下、単に「反射型マスク」とも称する)200を作製した。
【0057】
なお、実施例1の吸収層14について、吸収部領域の反射率、屈折率n及び消衰係数kを、EUV光による反射率測定装置で測定した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.896、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.974、消衰係数kが0.013に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜5の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が3.7%、位相差が235度であり、被覆膜5の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率は3.5%、位相差が245度であり、被覆膜5の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が3.0%、位相差が236度であった。
【0058】
<実施例2>
有機アルミニウム系ガス(トリメチルアルミニウム)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化アルミニウム(Al2O3)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。アルミニウム(Al)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、2:2.8であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例2の反射型フォトマスク200を作製した。
【0059】
なお、実施例2の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.896、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.968、消衰係数kが0.039に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が4.3%、位相差が235度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が2.9%、位相差が254度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が2.2%、位相差が232度であった。
【0060】
<実施例3>
有機ニオブ系ガス(ニオブエトキシド)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化ニオブ(Nb2O5)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。ニオブ(Nb)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、2:4.7であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例3の反射型フォトマスク200を作製した。
【0061】
なお、実施例3の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.896、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.954、消衰係数kが0.010に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が4.0%、位相差が228度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.3%、位相差が245度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が2.9%、位相差が233度であった。
【0062】
<実施例4>
有機チタン系ガス(オルトチタン酸テトライソプロピル)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化チタン(TiO2)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。チタン(Ti)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、1:1.9であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例4の反射型フォトマスク200を作製した。
【0063】
なお、実施例4の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.896、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.942、消衰係数kが0.022に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が4.4%、位相差が225度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.3%、位相差が249度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が2.4%、位相差が231度であった。
【0064】
<実施例5>
有機ジルコニウム系ガス(テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化ジルコニウム(ZrO2)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。ジルコニウム(Zr)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、1:1.9であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例5の反射型フォトマスク200を作製した。
【0065】
なお、実施例5の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.896、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.946、消衰係数kが0.015に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が4.2%、位相差が226度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.4%、位相差が247度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が2.7%、位相差が232度であった。
【0066】
<実施例6>
有機イットリウム系ガス(トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)イットリウム)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化イットリウム(Y2O3)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。イットリウム(Y)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、2:2.9であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例6の反射型フォトマスク200を作製した。
【0067】
なお、実施例6の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.896、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.957、消衰係数kが0.011に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が4.0%、位相差が229度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.2%、位相差が246度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が2.9%、位相差が233度であった。
【0068】
<実施例7>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が47nmになるように吸収層14を成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、75:25であった。また、吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例7の反射型フォトマスク200を作製した。
【0069】
なお、実施例7の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.912、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.974、消衰係数kが0.013に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が3.7%、位相差が233度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.4%、位相差が235度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が3.3%、位相差が236度であった。
【0070】
<実施例8>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が47nmになるように吸収層14を成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、75:25であった。吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、有機アルミニウム系ガス(トリメチルアルミニウム)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化アルミニウム(Al2O3)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。アルミニウム(Al)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、2:2.8であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例8の反射型フォトマスク200を作製した。
【0071】
なお、実施例8の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.912、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.968、消衰係数kが0.039に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が3.4%、位相差が225度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.4%、位相差が235度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が1.9%、位相差が233度であった。
【0072】
<実施例9>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が47nmになるように吸収層14を成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)、アルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、75:25であった。吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、有機ニオブ系ガス(ニオブエトキシド)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化ニオブ(Nb2O5)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。ニオブ(Nb)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、2:4.7であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例9の反射型フォトマスク200を作製した。
【0073】
なお、実施例9の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.912、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.954、消衰係数kが0.010に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が3.1%、位相差が228度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.6%、位相差が229度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が3.1%、位相差が237度であった。
【0074】
<実施例10>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が47nmになるように吸収層14を成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、75:25であった。また、吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、有機チタン系ガス(オルトチタン酸テトライソプロピル)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化チタン(TiO2)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。チタン(Ti)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、1:1.9であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例10の反射型フォトマスク200を作製した。
【0075】
なお、実施例10の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.912、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.942、消衰係数kが0.022に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が2.8%、位相差が223度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.7%、位相差が227度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が2.5%、位相差が237度であった。
【0076】
<実施例11>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が47nmになるように吸収層14を成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、75:25であった。吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、有機ジルコニウム系ガス(テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化ジルコニウム(ZrO2)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。ジルコニウム(Zr)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、1:1.9であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例11の反射型フォトマスク200を作製した。
【0077】
なお、実施例11の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.912、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.946、消衰係数kが0.015に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が2.9%、位相差が225度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.7%、位相差が227度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が2.8%、位相差が237度であった。
【0078】
<実施例12>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が47nmになるように吸収層14を成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、75:25であった。吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、有機イットリウム系ガス(トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)イットリウム)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化イットリウム(Y2O3)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。イットリウム(Y)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、2:2.9であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例12の反射型フォトマスク200を作製した。
【0079】
なお、実施例12の反射型フォトマスク200は、吸収層14の屈折率nが0.912、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.957、消衰係数kが0.011に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が3.2%、位相差が229度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.6%、位相差が230度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が3.1%、位相差が237度であった。
【0080】
<比較例1>
吸収層4上における被覆膜18の形成を行わなかった。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例1の反射型フォトマスクを作製した。
なお、比較例1の反射型フォトマスクは、吸収層14の屈折率nが0.896、消衰係数kが0.030に作製されていることが分かった。
また、EUV反射率が3.3%、位相差が241度であった。
【0081】
<比較例2>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が47nmになるように変更して成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、75:25であった。吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、有機白金系ガス(ビス(アセチルアセトナト)白金)とオゾンガスを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、白金(Pt)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。成膜した被覆膜18の組成をXPS(X線光電子分光法)で測定したところ、白金(Pt)のみで形成されていた。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例2の反射型フォトマスクを作製した。
【0082】
なお、比較例2の反射型フォトマスクは、吸収層14の屈折率nが0.912、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.891、消衰係数kが0.060に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が1.9%、位相差が201度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が5.3%、位相差が217度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が1.3%、位相差が246度であった。
【0083】
<比較例3>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が47nmになるように吸収層14を成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、75:25であった。吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、有機ルテニウム系ガス(ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム)とアンモニアガスを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、ルテニウム(Ru)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。成膜した被覆膜18の組成をXPS(X線光電子分光法)で測定したところ、ルテニウム(Ru)のみで形成されていた。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例3の反射型フォトマスクを作製した。
【0084】
なお、比較例3の反射型フォトマスクは、吸収層14の屈折率nが0.912、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.886、消衰係数kが0.017に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が1.7%、位相差が212度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が5.3%、位相差が209度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が2.9%、位相差が241度であった。
【0085】
<比較例4>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が47nmになるように吸収層14を成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、75:25であった。吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、ハロゲン化タングステン系ガス(塩化タングステン)と還元性ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、タングステン(W)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。成膜した被覆膜18の組成をXPS(X線光電子分光法)で測定したところ、タングステン(W)のみで形成されていた。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例4の反射型フォトマスクを作製した。
【0086】
なお、比較例4の反射型フォトマスクは、吸収層14の屈折率nが0.912、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.933、消衰係数kが0.033に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が2.6%、位相差が218度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.8%、位相差が226度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が2.0%、位相差が237度であった。
【0087】
<比較例5>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が47nmになるように変更して成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、75:25であった。吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、有機亜鉛系ガス(ジメチル亜鉛)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化亜鉛(ZnO)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。亜鉛(Zn)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、1:1であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例5の反射型フォトマスクを作製した。
【0088】
なお、比較例5の反射型フォトマスクは、吸収層14の屈折率nが0.912、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.964、消衰係数kが0.044に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が3.4%、位相差が223度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が4.4%、位相差が235度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が1.7%、位相差が232度であった。
【0089】
<比較例6>
吸収層14の材料を酸化ルテニウム(RuO)及びゲルマニウム(Ge)とし、吸収層14の膜厚が42nmになるように変更して成膜した。吸収層14における酸化ルテニウム(RuO)とゲルマニウム(Ge)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、93:7であった。吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、有機アルミニウム系ガス(トリメチルアルミニウム)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化アルミニウム(Al2O3)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。アルミニウム(Al)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、2:2.8であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例6の反射型フォトマスクを作製した。
【0090】
なお、比較例6の反射型フォトマスクは、吸収層14の屈折率nが0.870、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.968、消衰係数kが0.039に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が4.4%、位相差が303度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が5.0%、位相差が316度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が2.3%、位相差が309度であった。
【0091】
<比較例7>
吸収層14の材料をロジウム(Rh)及びアルミニウム(Al)とし、吸収層14の膜厚が42nmになるように変更して成膜した。吸収層14におけるロジウム(Rh)とアルミニウム(Al)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、69:31であった。吸収層14の結晶性をXRD(X線回析装置)で測定したところ、わずかに結晶性が見られるものの、アモルファスであることが分かった。
また、有機アルミニウム系ガス(トリメチルアルミニウム)と酸素ガスとを使用した原子層堆積法により、吸収層14の表面及び側面、並びに反射層16上に、酸化アルミニウム(Al2O3)で形成された被覆膜18を膜厚が2nm、5nm、8nmになるように変更して成膜した。アルミニウム(Al)と酸素(O)との原子数比率は、XPS(X線光電子分光法)で測定したところ、2:2.8であった。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例7の反射型フォトマスクを作製した。
【0092】
なお、比較例7の反射型フォトマスクは、吸収層14の屈折率nが0.920、消衰係数kが0.030に、また、被覆膜18の屈折率nが0.968、消衰係数kが0.039に、それぞれ作製されていることが分かった。
また、被覆膜18の膜厚が2nmである場合には、EUV反射率が5.1%、位相差が178度であり、被覆膜18の膜厚が5nmである場合には、EUV反射率が2.4%、位相差が185度であり、被覆膜18の膜厚が8nmである場合には、EUV反射率が3.3%、位相差が171度であった。
【0093】
<評価>
上述した実施例1~12、比較例1~7で得られた反射型マスクについて、以下の方法で転写性能(マスク特性)及び水素ラジカル耐性の評価を行った。なお、転写性能(マスク特性)はウェハ露光評価により確認した。また、ウェハ露光評価は、NILS(Normalized Image Log‐Slope:規格化空間像対数傾斜)値により、その解像性を評価した。なお、上述した「従来のタンタル(Ta)マスク」については、表2において「参考例」として記載した。
【0094】
〔ウェハ露光評価〕
EUV露光装置(NXE3300B:ASML社製)を用いて、EUVポジ型化学増幅型レジストを塗布した半導体ウェハ上に、各実施例、各比較例で作製した反射型フォトマスクの吸収パターンを転写露光した。このとき、露光量は、ホールパターンが設計通りの19nmに転写するように調節した。その後、電子線寸法測定機により転写されたレジストパターンの観察及び線幅測定を実施し、解像性を確認し、以下の「◎」、「○」、「×」の3段階で評価した。
【0095】
<評価基準>
◎:NILS値が2.63より大きい場合
○:NILS値が2.40以上であり、2.63以下である場合
×:NILS値が2.40より小さい場合
以上の評価結果を表1~2に示す。
なお、NILS値については、「○」以上の評価であれば、転写性能に問題はないため、合格とした。
【0096】
〔水素ラジカル耐性〕
2.45GHzのMWP(Micro Wave Plasma:マイクロ波プラズマ)を使って、水素の流量100sscmを励起し、電極間距離18mmの片方の電極上に、作製した反射型フォトマスクを設置した。水素ラジカル処理後での吸収層の膜厚変化を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて確認し、以下の「◎」、「〇」、「×」の3段階で評価した。なお、測定は線幅200nmLSパターンで行った。
【0097】
<評価基準>
◎:水素ラジカルに対して膜厚変化が見られなかった場合
○:水素ラジカルに対して僅かな膜厚変化が見られた場合
×:水素ラジカルに対して顕著な膜厚変化が見られた場合
表1~2の「判定」の欄には、以下の◎、〇、×の3段階で評価した。
<評価基準>
◎:被覆膜の膜厚を変化させた時、マスク特性及び水素ラジカル耐性評価において全ての項目が評価◎である場合、または評価◎が二つある場合
○:被覆膜の膜厚を変化させた時、マスク特性及び水素ラジカル耐性評価において評価〇が二つ以上ある場合
×:被覆膜の膜厚を変化させた時、マスク特性及び水素ラジカル耐性評価において評価×が一つ以上ある場合
【0098】
【0099】
【0100】
表1~2中に表されるように、実施例1~12と比較例2~7の評価結果から、実施例1~12のように被覆膜の屈折率nが0.94より大きく、消衰係数kが0.04より小さい場合には、被覆膜の膜厚変化によるNILSの変動が小さく、既存のTaマスクより高いNILSが得られることが分かった。
また、実施例1~12と比較例1の評価結果から、実施例1~12のように水素ラジカル耐性の強い被覆膜を有する場合には、比較例1のように被覆膜がない場合と比べて水素ラジカル耐性が高いことがわかった。
さらに、実施例1~12と比較例6~7の評価結果から、実施例1~12のように位相差が200~280の範囲であれば、既存のTaマスクより高いNILSが得られることが分かった。
【0101】
なお、本開示の反射型フォトマスク及び反射型フォトマスクの製造方法は、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
【0102】
また、例えば、本発明は以下のような構成を取ることができる。
(1)
基板と、
前記基板上に形成されてEUV光を反射する反射部と、
前記反射部上の少なくとも一部に形成されてEUV光を吸収する吸収部と、
前記吸収部の最表面及び前記吸収部の側面をそれぞれ覆うように形成されてEUV光を透過する被覆膜と、を備え、
前記吸収部のEUV反射光の位相と、前記反射部のEUV反射光の位相とは、200度以上280度以下の範囲内の位相差を有し、
前記被覆膜は、EUV光に対して消衰係数kが0.04以下であり、屈折率nが0.94以上であることを特徴とする反射型フォトマスク。
(2)
前記被覆膜は、水素ラジカルに対して耐性を有していることを特徴とする上記(1)に記載の反射型フォトマスク。
(3)
前記反射部上にも前記被覆膜が形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の反射型フォトマスク。
(4)
前記被覆膜は、均一な膜厚で形成されていることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(5)
前記被覆膜は、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びイットリウム(Y)のうち少なくとも1種類の元素を含む金属酸化膜で形成されていることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(6)
前記吸収部は、215度以上270度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(7)
前記吸収部は、230度以上260度以下の範囲内の位相差を有することを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(8)
前記吸収部は、EUV光に対する屈折率nが0.93より小さいことを特徴とする上記(1)から(7)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(9)
前記吸収部は、EUV光に対する屈折率nが0.92より小さいことを特徴とする上記(1)から(7)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(10)
前記吸収部は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及びレニウム(Re)のうち少なくとも1種類の元素を含む材料から構成されることを特徴とする上記(1)から(9)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスク。
(11)
上記(1)から(10)のいずれか1項に記載の反射型フォトマスクの製造方法であって、
原子層堆積法によって前記被覆膜を形成する工程を含むことを特徴とする反射型フォトマスクの製造方法。
(12)
前記被覆膜を形成する工程において、材料ガスとして金属水素化物、金属ハロゲン化物、または有機金属化合物を用いて、原子層堆積法によって前記被覆膜を形成することを特徴とする上記(11)に記載の反射型フォトマスクの製造方法。
【符号の説明】
【0103】
1…基板
2…多層反射膜
3…キャッピング層
4…吸収層(吸収部)
4a…吸収パターン層
5…被覆膜
6…反射部(反射層)
10…反射型フォトマスク(反射型マスク)
11…基板
12…多層反射膜
13…キャッピング層
14…吸収層(吸収部)
14a…吸収パターン層
15…裏面導電膜
16…反射部(反射層)
17…レジスト膜
17a…レジストパターン
18…被覆膜
100:反射型フォトマスク(反射型マスク)
200:反射型フォトマスク(反射型マスク)
300:チャンバー
301:電極
302:サンプル