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  • 特開-水素ガス濃度センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064282
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】水素ガス濃度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/407 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
G01N27/407
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172754
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】802000019
【氏名又は名称】株式会社新潟TLO
(74)【代理人】
【識別番号】240000903
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人明倫国際法律事務所
(74)【代理人】
【識別番号】230110397
【弁護士】
【氏名又は名称】田中 雅敏
(74)【代理人】
【識別番号】230128875
【弁護士】
【氏名又は名称】原 慎一郎
(74)【代理人】
【識別番号】230131945
【弁護士】
【氏名又は名称】山腰 健一
(72)【発明者】
【氏名】原田 修治
(72)【発明者】
【氏名】高木 克己
(72)【発明者】
【氏名】藤原 憲一
(72)【発明者】
【氏名】結城 洋司
【テーマコード(参考)】
2G004
【Fターム(参考)】
2G004BB04
2G004BE22
2G004BE25
2G004ZA01
(57)【要約】
【課題】気体中や液体中に存在する水素ガス濃度を検出することが可能な新規な構成の水素ガス濃度センサを提供する。
【解決方法】第1電極片及び第2電極片と、これら電極片が離隔して配設された電解質と、前記第1電極片、前記第2電極片及び前記電解質を収容する容器と、を備え、前記第1電極片は、H2(-)|50mol/m32SO4|物質試料(+)で構成したセルの標準起電力値が0.8V以上の値を示す第1電極材料を含み、前記第2電極は、同構成でのセルでの標準起電力値が0.8V未満の値を示す第2電極材料を含み、前記第1電極片は、前記電解質を貫通し、端部が前記容器から外部に露出しており、前記第1電極片と前記容器端部との間には空隙が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極片及び第2電極片と、これら電極片が離隔して配設された電解質と、前記第1電極片、前記第2電極片及び前記電解質を収容する容器と、を備え、
前記第1電極片は、H2(-)|50mol/m32SO4|物質試料(+)で構成したセルの標準起電力値が0.8V以上の値を示す第1電極材料を含み、
前記第2電極は、同構成でのセルでの標準起電力値が0.8V未満の値を示す第2電極材料を含み、
前記第1電極片は、前記電解質を貫通し、前記第1電極片の電極端部が前記容器の容器端部から外部に露出しており、
前記第1電極片と前記容器端部との間には空隙が形成されていることを特徴とする、水素ガス濃度センサ。
【請求項2】
前記空隙を介して、前記容器内に水素ガスが拡散し、水素ガス/電解質/第1電極片の3相界面が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の水素ガス濃度センサ。
【請求項3】
前記空隙の大きさは、前記容器の、前記容器端部の反対側を大気圧に開放した際に、前記容器の当該反対側の容器内を大気圧及び85vol%の水素濃度としたとき、前記空隙を拡散して容器外部に漏洩する水素ガスの平衡水素ガス濃度量が0.01vol%以上10vol%以下となることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水素ガス濃度センサ。
【請求項4】
前記空隙は、前記容器の前記容器端部を閉塞する多孔質材料の気孔によって形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の水素ガスセンサ。
【請求項5】
前記第1電極材料は、白金、白金合金及びこれらを含む材料の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の水素ガス濃度センサ。
【請求項6】
前記第2電極材料は、タングステン、タングステン合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金及びこれらを含む材料の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の水素ガス濃度センサ。
【請求項7】
前記容器内に収容され、前記電解質に配設された第3電極片を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水素ガス濃度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガス濃度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
今後の水素エネルギー利用社会において水素爆発の危険性を払拭し安全性が高く、利便性に優れた水素エネルギー利用システムの構築が望まれる。水素ガスセンサの仕様は、大気中に漏れた水素量を瞬時に高精度で検出でき、構造がきわめて単純、信頼性が高いことが求められる。
【0003】
一方で、自動車・重機などの水素燃料電池の制御用水素濃度センサ(水素ガスの効率利用)、発電機軸受用の潤滑油やトランスオイルなど液中用の水素濃度センサ(水素ガスの溶解量やオイル劣化による水素ガス量の検知)や腎臓透析などの医療薬液中の水素濃度センサ(水素を溶存することで治療効果を促進)、水素水など溶液中の水素濃度センサ、化学工業などでのプロセス制御用水素濃度センサの開発が望まれている。
【0004】
従来の水素ガス濃度センサは半導体型、電離型、燃焼型などの検出方法に基づいている。これらの測定原理は「示量性の物理量」である"キャリア濃度(半導体型)"、"イオ
ン濃度(電離型)"、あるいは"反応熱(燃焼型または燃焼させてその水蒸気圧を測定す
る)"として間接的な検出方法で水素量を検知し、それらを電気的な量に変換してセンサ
とするものであった。
【0005】
したがって、高温高湿度環境下での水素濃度検知やオイルや薬液などの液体に適用することはできず、当然にこれら液体中に溶存した水素ガスの濃度の検出に適用することはできなかった。
【0006】
検出時間を短縮化する水素ガス濃度センサとしては、例えば、互いに水素に対する化学ポテンシャルが異なる材料からなる第1の電極及び第2の電極と、これらの電極と接触する電解質とを備え、これら電極間に発生する起電力値に基づいて水素ガスを検出する水素ガスセンサが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4035848号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の当該水素ガスセンサは、第1電極、第2電極及び電解質が外皮で覆われているため、当該水素ガスセンサを液体中の溶存水素ガス濃度を測定するようにするためには、少なくとも検出電極である第1電極を外皮から露出させて上記液体中に浸漬させる必要がある一方、電解質は液体からシールしなければならない。したがって、水素ガスセンサの構造が複雑になるとともに、シール方法に技術的及び経済的な課題があった。
【0009】
本発明は、高温高湿度環境下、化学工業などでの特殊ガス中や液体中などの環境に存在する水素ガス濃度を検出することが可能な新規な構成の水素ガス濃度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に示す通りである。
(1)第1電極片及び第2電極片と、これら電極片が離隔して配設された電解質と、前記第1電極片、前記第2電極片及び前記電解質を収容する容器と、を備え、
前記第1電極片は、H2(-)|50mol/m32SO4|物質試料(+)で構成したセルの標準起電力値が0.8V以上の値を示す第1電極材料を含み、
前記第2電極は、同構成でのセルでの標準起電力値が0.8V未満の値を示す第2電極材料を含み、
前記第1電極片は、前記電解質を貫通し、前記第1電極片の電極端部が前記容器の容器端部から外部に露出しており、
前記第1電極片と前記容器端部との間には空隙が形成されていることを特徴とする、水素ガス濃度センサ。
(2)前記空隙を介して、前記容器内に水素ガスが拡散することにより、水素ガス/電解質/第1電極片の3相界面が形成されていることを特徴とする、(1)に記載の水素ガス濃度センサ。
(3)前記空隙の大きさは、前記容器の、前記容器端部の反対側を大気圧に開放した際に、前記容器の当該反対側の容器内を大気圧及び85vol%の水素濃度としたとき、前記空隙を拡散して容器外部に漏洩する水素ガスの平衡水素ガス濃度量が0.01vol%以上10vol%以下となることを特徴とする(1)又は(2)に記載の水素ガス濃度センサ。
(4)前記空隙は、前記容器の前記容器端部を閉塞する多孔質材料の気孔によって形成されていることを特徴とする(3)に記載の水素ガスセンサ。
(5)前記第1電極材料は、白金、白金合金及びこれらを含む材料の少なくとも1つを含むことを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれか一つに記載の水素ガス濃度センサ。
(6)前記第2電極材料は、タングステン、タングステン合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金及びこれらを含む材料の少なくとも1つを含むことを特徴とする、(1)ないし(5)のいずれか一つに記載の水素ガス濃度センサ。
(7)前記容器内に収容され、前記電解質に配設された第3電極片を備えることを特徴とする、(1)ないし(6)のいずれか一つに記載の水素ガス濃度センサ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水素燃料電池の制御用水素濃度センサで用いられる高温高湿度環境下、化学工業などの特殊ガス中や液体中に存在する水素ガス濃度を検出することが可能な新規な構成の水素ガス濃度センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における水素ガス農度センサの概略構成図である。
図2】実施例における水素ガス濃度センサの、第1電極片として白金線を用いた場合のEMF値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態における水素ガス濃度センサの概略構成図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の水素ガス濃度センサ10は、線状の第1電極片11及び線状の第2電極片12と、これら電極片が離隔して配設された電解質14と、第1電極片11、第2電極片12及び電解質14とを収容する、一端(容器端部)に開口部15Aが形成された容器15とを備えている。第1電極片11の端部、すなわち電極端部11Aは、開口部15Aから外部に露出している。また、第1電極片11と容器端部である開口部15Aとの間には空隙Hが形成されている。ここで、第1電極端部11Aの露出させる長さは限りなく短く、例えば数μmから数十μm程度であってもよく、第1電極端部11Aに水素ガスなどを透過する多孔質材料が配設されていてもよい。
【0015】
したがって、容器15、すなわち水素ガス濃度センサ10は、その先端部、具体的には開口部15Aを測定したい系、すなわち水素ガス含有媒体中に挿入した際において、容器15内には測定したい水素ガス、及び環境に応じてその他のガスが拡散するようになっている。この結果、容器15内には、水素ガス/電解質/第1電極片の3相界面が形成されるようになる。
【0016】
第1電極片11は、水素ガスに対する検出電極として機能し、水素ガスと接触することによって、(原子状)水素の化学ポテンシャルが大きく変化する。第2電極片12は、水素ガスに対する基準電極として機能し、水素ガスと接触することによって、その化学ポテンシャルがほとんど変化しないか、変化するとしても極微小である。
【0017】
第1電極片11は、相対的に化学ポテンシャルの高い第1電極材料から構成することができ、具体的にはH2(-)|50mol/m32SO4|物質試料(+)で構成したセルの標準起電力値が0.8V以上の値を示す第1電極材料を含む。
【0018】
上述した材料としては、白金、白金合金等の、相対的に水素ガスに対する吸着活性度の高い材料を挙げることができる。第1電極片11は、これら材料自身から構成することもできるが、これらの材料を所定の基体上に担持させて用いることができる。但し、本発明の範疇を逸脱せず、水素ガスに対する検出電極として機能する限り、任意の態様で使用することができる。
【0019】
第1電極片11を白金系の材料から構成した場合は、水素分子を解離することから、第1電極片11に吸着した水素ガスの離脱が早く、燃料電池の制御用センサや医療薬液等に溶存する水素ガス濃度センサなど、応答性の早い水素ガス濃度センサの検出電極として適している。
【0020】
第2電極片12は、相対的に化学ポテンシャルの低い材料から構成することができ、具体的には、H2(-)|50mol/m32SO4|物質試料(+)で構成したセルの標準起電力値が0.8V未満の値を示す第2電極材料を含む。
【0021】
上述した材料としては、タングステン、タングステン合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銅、銅合金、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金及び有機導電材料などの、相対的に水素ガスに対する吸着活性度合いの低い材料を挙げることができる。第2電極片12は、これら材料自身から構成することもできるが、これらの材料を所定の基体上に担持させて用いることができる。但し、本発明の範疇を逸脱せず、水素ガスに対する基準電極として機能する限り、任意の態様で使用することができる。
【0022】
電解質14は、燐タングステン酸などの、第1電極21及び第2電極22との密着性に優れた電解質から構成することができる。電解質14は、燐タングステンなどの電解質材料に加えてグラスウールなどの構造補強材を含むことができる。この場合、電解質14の強度を増大させることができるとともに、第1電極片11及び第2電極片12との密着性をさらに増大させることができる。
【0023】
容器15は、第1電極片11及び第2電極片12との絶縁を担保すべく、ガラスや樹脂、セラミックス等から構成することが好ましい。
【0024】
なお、容器15を金属等の電気伝導性の材料から構成した場合は、第1電極片11を樹脂やセラミック被覆等して容器15と絶縁することが好ましい。
【0025】
本実施形態の水素ガス濃度センサ10によれば、第1電極片11及び第2電極片12と、これら電極片が離隔して配設された電解質14と、第1電極片11、第2電極片12及び電解質14を収容する容器15と、を備え、第1電極片11は、H2(-)|50mol/m32SO4|物質試料(+)で構成したセルの標準起電力値が0.8V以上の値を示す第1電極材料を含む。第2電極片12は、同構成でのセルでの標準起電力値が0.8V未満の値を示す第2電極材料を含み、第1電極片11は、電解質14を貫通し、端部が容器15から外部に露出している。また、容器15内には測定したい水素ガス含有媒体からの水素ガスが拡散し、容器15内には、水素ガス/電解質/第1電極片の3相界面が形成されている。上述のように、第1電極端部11Aの露出させる長さは限りなく短く、例えばミクロン程度であってもよく、第1電極端部11Aに水素ガスなどを透過する多孔質材料が配設されていてもよい。
【0026】
したがって、容器15内において、第1電極片11及び第2電極片12の起電力差を計測することにより、水素ガス含有媒体中の水素ガス濃度を検出することができる。換言すれば、容器15の開口部15Aを水素ガス含有媒体中に挿入するのみで、当該媒体中の水素ガス、及び環境に応じてその他のガスが容器15内に拡散し、当該水素ガスの濃度を測定することができる。
【0027】
なお、開口部15Aは、第1電極片11で密封するのではなく、上述のように第1電極片11との間で空隙Hを形成する必要がある。空隙Hの大きさは特に限定されるものではないが、例えば、容器15の、容器端部である開口部15Aの反対側15Bを大気圧に開放した際に、容器15の反対側15B内を大気圧及び85vol%の水素濃度としたとき、空隙Hを拡散して開口部15Aから容器15の外部に漏洩する水素ガスの平衡水素ガス濃度量が0.01vol%以上10vol%以下となるようにすることが好ましい。これによって、容器15内に存在する水素ガスの量を、本発明の水素ガス濃度センサ10が適切に駆動する範囲に設定することができる。
【0028】
上述のような空隙Hは、例えば、容器15を構成する材料と、第1電極片11を構成する第1電極材料との熱膨張の差異を利用して形成することができる。また、第1電極片11の側面に溝をつけることや、複数の第1電極片11を準備し、これらを撚り合わせる方法がある。また、第1電極片11の表面に多孔質メッキを施すことや、第1電極片11の表面を多孔質セラミックス・ゼオライト被覆でしたり、セラミックス微粒子被覆したりすることでも形成することができる。他方、空隙Hは、容器15の開口部15Aを閉塞するような多孔質材料の気孔から構成することができる。このような材料として、高分子膜、多孔質セラミックスやゼオライトなどがある。
【0029】
なお、本発明の水素ガス濃度センサ10は、環境温度に依存して検出感度が変化するので、当該環境温度による影響を除去すべく、線状の温度補償用第3電極片13が配設されている。この第3電極片13も電解質14に対して、第1電極片11及び第2電極片12と離隔するようにして配設されている。第3電極片13は、温度補償用の電極片であり、水素ガス濃度センサ10の環境温度、すなわち検出電極である第1電極片11の環境温度変化を相殺するために配設されているものであるので、第1電極片11と同じ材料から構成することが好ましい。なお、第3電極片は、上述のような温度補償用電極片以外に、容器15B内に拡散した水素ガス濃度検知の機能にも奏することができる。
【0030】
第1電極片11、第2電極片12及び第3電極片13は、水素ガス濃度の検出に伴う起電力を測定すべく、容器15の密閉部と反対側の容器15の後端開口部より、容器15の外方に延在するようにして配設されている。
【0031】
なお、本実施形態の水素ガス濃度センサ10の水素濃度は、第1電極片11及び第2電極片12間に発生する起電力によって検出することになるが、当該起電力は以下の関係式に基づいて生成される。
【0032】
【数1】
ここで、Fはファラデー定数、EはEMF値、
【数2】
はそれぞれ金属、水素ガスに対する原子状の水素の電気化学ポテンシャルである。端子〔I〕、〔II〕は同種の銅線のため電子の電気化学ポテンシャルは、
【数3】
となる。また、静電ポテンシャルφと起電力Eとの関係
【数4】
を用いた。ここで、φIは第1の電極の静電ポテンシャルを表し、φIIは第2の電極の静電ポテンシャルを表す。
なお、第3電極片13による温度補償は、
【数5】
(ε:吸着エネルギー、k:ボルツマン定数、T:温度、n:水素濃度)
で表され、このE値を上述のEMF値から差し引くことにより実行することができる。但し、水素濃度が1%を超えるような濃度(nが0.01以上)の場合は、上記E値は極めて小さい値となるので、温度補償は考慮する必要はなく、第3電極片13自体も省略することができる。
【実施例0033】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0034】
図1に示す水素ガス濃度センサ10を準備し、簡易的に水素ガスの検出試験を実施した。なお、第1電極片11は直径0,2mmの白金線を使用し、第2電極片12は直径0.2mmのタングステン線を使用した。また、簡略化のために第3電極片13は省略した。
【0035】
次いで、第1電極片11及び第2電極片12を燐タングステン酸セシウムからなる電解質14に0.2mmの間隔をあけて配設し、さらに、第1電極片11,第2電極片12及び電解質14を、直径6mm及び長さ25mmのガラス管15内に収納して配設し、当該ガラス管15の開口部15Aより、第1電極片11を3mmの長さで露出させた。
【0036】
なお、容器15の開口部15Aにおける空隙Hは、容器端部である開口部15Aの反対側15Bを大気圧に開放した際に、容器15の反対側15B内を大気圧及び85vol%の水素濃度としたとき、空隙Hを拡散して開口部15Aから容器15の外部に漏洩する水素ガスの平衡水素ガス濃度量が0.01vol%以上10vol%以下となっていることを確認した。
【0037】
図2は、第1電極片11として白金線を用いた場合の検出電圧(V)である。図2に示すように、第1電極片11として白金線を用いた場合は、水素ガスの検出濃度が0vol%から100vol%まで増加するにつれて、検出電圧が低下していることが分かるすなわち、応答性の早い水素ガス濃度センサの検出電極として適していることが分かる。
【0038】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
10 水素ガス濃度センサ
11 第1電極片
12 第2電極片
13 第3電極片
14 電解質
15 容器
15A 開口部
15B 開放端
図1
図2