(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064283
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】計量システム
(51)【国際特許分類】
G01G 23/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
G01G23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172755
(22)【出願日】2022-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 和博
(57)【要約】 (修正有)
【課題】噴射部が噴射するエアによる計量槽内の被計量物の重量の計量への影響を抑えることが可能な計量装置を提供する。
【解決手段】計量システム1は、計量ホッパ6と計量ホッパ6内に供給された被計量物Fの重量に対応する荷重を検出する荷重検出部8とを有する計量装置2と、第1内部空間A1及び第2内部空間A2から被計量物Fを含む空気を吸入して濾過するフィルタ4cとフィルタ4cに堆積した被計量物Fを除去するためのエアを噴射する噴射部4dとを有するバグフィルタ4と、荷重検出部8の検出値に基づいて被計量物Fの重量を計量しているときに、噴射部4dによるエアの噴射を制限する制限部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量槽と、前記計量槽内に供給された被計量物の重量に対応する荷重を検出する荷重検出部と、を有する計量装置と、
前記計量装置の内部空間から前記被計量物を含む空気を吸入して濾過するフィルタと、前記フィルタに堆積した前記被計量物を除去するためのエアを噴射する噴射部と、を有する集塵装置と、を備える計量システムであって、
前記荷重検出部の検出値に基づいて前記被計量物の重量を計量しているときに、前記噴射部によるエアの噴射を制限する制限部を備えていることを特徴とする計量システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計量システムにおいて、
前記計量槽に前記被計量物を供給後に、前記荷重検出部の検出値に基づいて前記計量槽内の前記被計量物の重量を計量する重量計量部を備え、
前記制限部は、前記重量計量部が前記被計量物の重量を計量しているときに、前記噴射部によるエアの噴射を制限することを特徴とする計量システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計量システムにおいて、
前記計量装置の上方に配設され、かつ、前記被計量物を貯留可能なタンクと、
前記タンクの下部に配設されるとともに、上方に開口する前記計量槽に向けて前記タンク内の前記被計量物を排出可能な供給ゲートと、
前記計量槽に前記被計量物を供給するとき、前記供給ゲートを開状態に制御する一方、前記重量計量部が前記荷重検出部の検出値に基づいて前記計量槽内の前記被計量物の重量を計量するとき、前記供給ゲートを閉状態に制御する供給ゲート制御部と、を備え、
前記制限部は、前記供給ゲートが開状態のとき、前記噴射部によるエアの噴射の制限を行わない一方、前記供給ゲートが閉状態のとき、前記噴射部によるエアの噴射の制限を行うことを特徴とする計量システム。
【請求項4】
請求項3に記載の計量システムにおいて、
前記計量装置の内部空間と前記タンクの内部空間とを連通させる連通路部を備え、
前記集塵装置の内部には、濾過室が設けられ、
前記濾過室は、前記タンクの内部空間から前記被計量物を含む空気を吸入するとともに、前記濾過室において回収された前記被計量物を前記タンクの内部空間に排出するよう該タンクの内部空間と接続されていることを特徴とする計量システム。
【請求項5】
請求項4に記載の計量システムにおいて、
前記集塵装置は、前記タンクの上面に取り付けられていることを特徴とする計量システム。
【請求項6】
請求項4に記載の計量システムにおいて、
前記計量装置は、1つだけ設けられていることを特徴とする計量システム。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか1つに記載の計量システムにおいて、
前記荷重検出部の検出値に基づいて前記被計量物の排出後の前記計量槽の空重量を計量する空重量計量部を備え、
前記制限部は、前記空重量計量部が前記空重量を計量しているときには、前記噴射部によるエアの噴射を制限することを特徴とする計量システム。
【請求項8】
請求項7に記載の計量システムにおいて、
前記計量槽の下部に配設されるとともに、前記計量槽から前記被計量物を排出可能な排出ゲートと、
前記計量槽から前記被計量物を排出するとき、前記排出ゲートを開状態に制御する一方、前記空重量計量部が前記荷重検出部の検出値に基づいて前記計量槽の空重量を計量するとき、前記排出ゲートを閉状態に制御する排出ゲート制御部と、を備え、
前記制限部は、前記排出ゲートが開状態のとき、前記噴射部によるエアの噴射の制限を行わない一方、前記排出ゲートが閉状態のとき、前記噴射部によるエアの噴射の制限を行うことを特徴とする計量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米や小麦粉等の粉粒体の重量を計量可能な計量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製粉工場等の製粉設備(例えば、ロール製粉機、計量装置)で発生した粉塵を回収する集塵装置が知られている。例えば、特許文献1に開示されている集塵装置は、集中配管を介して複数の製粉設備と接続されており、各製粉設備で発生した粉塵を大型の集塵装置にまとめて回収している。
【0003】
また、集塵装置は、使用を続けると次第に濾布等のフィルタに粉塵が堆積するようになるので、該堆積した粉塵を定期的に除去することが求められている。該粉塵の除去は、噴射ノズル等の噴射部から噴射したエアをフィルタに当てることで、該フィルタから粉塵を払い落とすのが一般的である。
【0004】
ところで、例えば、製粉工場では、小麦から小麦粉に製粉する工程において計量装置による中間生成物等の計量が行われている。該計量装置は、本体フレーム部に支持された計量槽が組み付けられており、該計量槽を下方から支持するロードセル等の荷重検出部により、計量槽に供給された被計量物の重量を計量するようになっている。また、計量装置は、計量槽内への被計量物の供給時等の衝撃によって、被計量物が計量装置内において舞い上がり粉塵となるので、粉塵を集塵するための集塵装置が計量装置に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、集塵装置の噴射部は、例えば、所定の周期でエアを噴射するようになっているので、該エアの噴射時期と、荷重検出部が計量槽内の被計量物の重量を計量する時期とが重なることがある。該計量する時期と上記エアの噴射時期とが重なると、噴射部から噴射されたエアが衝撃波となって計量槽に作用して、計量槽を振れさせる、或いは、その振れを悪化させてしまう場合がある。この場合、計量槽が荷重検出部に支持されているため、上記計量槽の振れによって荷重検出部の検出値が変動し、該荷重検出部に基づく上記被計量物の重量の計量に影響を与えてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、噴射部が噴射するエアによる計量槽内の被計量物の重量の計量への影響を抑えることが可能な計量システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、荷重検出部の検出値に基づき計量槽に供給された被計量物の重量の計量中は噴射部によるエアの噴射を制限するようにしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、計量槽と、前記計量槽内に供給された被計量物の重量に対応する荷重を検出する荷重検出部と、を有する計量装置と、前記計量装置の内部空間から前記被計量物を含む空気を吸入して濾過するフィルタと、前記フィルタに堆積した前記被計量物を除去するためのエアを噴射する噴射部と、を有する集塵装置と、を備える計量システムを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明では、前記荷重検出部の検出値に基づいて前記被計量物の重量を計量しているときに、前記噴射部によるエアの噴射を制限する制限部を備えていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、前記計量槽に前記被計量物を供給後に、前記荷重検出部の検出値に基づいて前記計量槽内の前記被計量物の重量を計量する重量計量部を備え、前記制限部は、前記重量計量部が前記被計量物の重量を計量しているときに、前記噴射部によるエアの噴射を制限することを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第2の発明において、前記計量装置の上方に配設され、かつ、前記被計量物を貯留可能なタンクと、前記タンクの下部に配設されるとともに、上方に開口する前記計量槽に向けて前記タンク内の前記被計量物を排出可能な供給ゲートと、前記計量槽に前記被計量物を供給するとき、前記供給ゲートを開状態に制御する一方、前記重量計量部が前記荷重検出部の検出値に基づいて前記計量槽内の前記被計量物の重量を計量するとき、前記供給ゲートを閉状態に制御する供給ゲート制御部と、を備え、前記制限部は、前記供給ゲートが開状態のとき、前記噴射部によるエアの噴射の制限を行わない一方、前記供給ゲートが閉状態のとき、前記噴射部によるエアの噴射の制限を行うことを特徴とする。
【0013】
第4の発明では、第3の発明において、前記計量装置の内部空間と前記タンクの内部空間とを連通させる連通路部を備え、前記集塵装置の内部には、濾過室が設けられ、前記濾過室は、前記タンクの内部空間から前記被計量物を含む空気を吸入するとともに、前記濾過室において回収された前記被計量物を前記タンクの内部空間に排出するよう該タンクの内部空間と接続されていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明では、第4の発明において、前記集塵装置は、前記タンクの上面に取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
第6の発明では、第4の発明において、前記計量装置は、1つだけ設けられていることを特徴とする。
【0016】
第7の発明では、第2~第6のいずれか1つの発明において、前記荷重検出部の検出値に基づいて前記被計量物の排出後の前記計量槽の空重量を計量する空重量計量部を備え、前記制限部は、前記空重量計量部が前記空重量を計量しているときには、前記噴射部によるエアの噴射を制限することを特徴とする。
【0017】
第8の発明では、第7の発明において、前記計量槽の下部に配設されるとともに、前記計量槽から前記被計量物を排出可能な排出ゲートと、前記計量槽から前記被計量物を排出するとき、前記排出ゲートを開状態に制御する一方、前記空重量計量部が前記荷重検出部の検出値に基づいて前記計量槽の空重量を計量するとき、前記排出ゲートを閉状態に制御する排出ゲート制御部と、を備え、前記制限部は、前記排出ゲートが開状態のとき、前記噴射部によるエアの噴射の制限を行わない一方、前記排出ゲートが閉状態のとき、前記噴射部によるエアの噴射の制限を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明では、荷重検出部の検出値に基づいて計量槽内の被計量物の重量が計量されているときは、制限部により噴射部からの粉塵除去用のエアの噴射が制限されるようになる。これにより、該エアが生成する衝撃波による計量槽の振れが抑えられるようになるので、上記計量槽内の被計量物の重量の計量への影響を低減することが可能となる。
【0019】
第2の発明では、被計量物を計量槽に供給後において、重量計量部が荷重検出部の検出値に基づいて該被計量物の重量を計量する際、制限部により噴射部からのエアの噴射が制限されるようになる。これにより、被計量物供給時の衝撃により振れている計量槽に噴射部から噴射されたエアが生成する衝撃波が作用することで、計量槽の振れが更に悪化してしまい、該振れによって荷重検出部の検出値が不安定になるのを防ぐことができる。したがって、例えば、重量計量部が計量開始から所定時間経過時点の荷重検出部の検出値を計量値として確定させる場合、上記エアの噴射制限により、所定時間経過時点の検出値が安定し易くなるので、計量誤差が生じるのを抑えることができる。また、例えば、重量計量部が所定の変動幅に収まった時点の荷重検出部の検出値を計量値として確定させる場合、上記エアの噴射制限により、検出値が早期に所定の変動幅に収まるようになるので、重量計量部による計量時間が長くなってしまうのを防ぐことができる。
【0020】
第3の発明では、計量槽内に被計量物を供給する際に供給ゲートが開状態とされると、該供給ゲートの開状態にあわせて噴射部からエアが噴射される一方、計量槽内の被計量物の重量を計量する際に供給ゲートが閉状態とされると、該供給ゲートの閉状態にあわせて噴射部からのエアの噴射が制限されるようになる。つまり、供給ゲートの開閉状態に応じて、噴射部からのエアの噴射の制限する状態と、該制限をしない状態とが切り替えられるようになるので、制限部の制御システムや制御処理が複雑になるのを抑制することができる。
【0021】
第4の発明では、集塵部を動作させると、計量槽内等の計量装置の内部空間で発生した粉塵を含む空気が連通路部、タンクの内部空間を介して集塵部の濾過室に吸入されるようになる。該濾過室に吸入された空気に含まれる被計量物は、フィルタによって空気と分離されて回収された後、直接タンクの内部空間に排出されるようになる。これにより、集塵部が回収した被計量物をタンクに戻すことが可能となるので、歩留まりの悪化を抑制することができる。
【0022】
第5の発明では、噴射部から噴射されたエアがフィルタに当たると、該フィルタに堆積した被計量物が重力によって落下して、直接タンク内に戻されるようになる。これにより、重力を利用して、集塵部において回収した被計量物をタンクに戻すことが可能となる。したがって、集塵部からタンクに被計量物を送るための装置等が別途不要になるので、計量システムのコスト上昇を抑えることができる。
【0023】
第6の発明では、集塵部が1つの計量装置にのみ接続されるようになるので、集塵部において回収される被計量物が他の計量装置、つまり、異なる等級の被計量物と混ざらなくなる。これにより、等級の異なる被計量物が混ざることで、集塵部からタンクに戻された被計量物から生産される製品が等級の低いものとなってしまうのを防ぐことが可能となる。
【0024】
第7の発明では、計量槽から被計量物を排出後において、空重量計量部が荷重検出部の検出値に基づいて該被計量物の空重量を計量する際には、制限部により噴射部からのエアの噴射が制限されるようになる。これにより、例えば、計量槽からの被計量物の急激な排出による計量槽の振れが上記エアから生成される衝撃波によって更に悪化して、荷重検出部の検出値が不安定となるのを防ぐことができる。したがって、空重量の計量誤差が生じることや空重量計量部による計量時間が長くなるのを抑えられるようになる。
【0025】
第8の発明では、計量槽から被計量物を排出する際に排出ゲートが開状態とされると、該排出ゲートの開状態にあわせて噴射部からのエアの噴射が実行される一方、計量槽の空重量を計量する際に排出ゲートが閉状態とされると、該排出ゲートの閉状態にあわせて噴射部からのエアの噴射が制限されるようになる。つまり、排出ゲートの開閉状態に応じて、噴射部からのエアの噴射の制限する状態と、該制限をしない状態とが切り替えられるようになるので、制限部の制御システムや制御処理が複雑になるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る計量システムを示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る計量システムに備えられた制御システムを示すブロック図である。
【
図4】制御部の制御処理の前半部分を示すフローチャートである。
【
図5】制御部の制御処理の後半部分を示すフローチャートである。
【
図6】供給工程が実行されている状態を示す図である。
【
図7】重量計量工程が実行されている状態を示す図である。
【
図8】排出工程が実行されている状態を示す図である。
【
図9】空重量計量工程が実行されている状態を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る計量システム1を示す。該計量システム1は、例えば、製粉工場における小麦粉の製粉工程に備えられ、粉粒体である被計量物F(例えば、小麦粉の製粉工程において生産される中間生産物、小麦粉)の重量を計量する際に用いられるようになっている。また、計量システム1は、計量装置2と、該計量装置2の上部に取り付けられたタンク3と、該タンク3の上面に取り付けられたバグフィルタ4とによって構成されている。
【0029】
計量装置2は、一対の本体フレーム部2aを備えている。該本体フレーム部2aは、
図2に示すように、筒中心線方向が上下に延びる略角筒状をなしており、その下側端部には、第1内部空間A1を有する排出シュート部2bが接続されている。また、該排出シュート部2bの側面部から吸気管部2cが分岐しており、該吸気管部2cは、分岐部分から上方に延びるとともに、その上端に吸気口2dが設けられている。また、吸気管部2cには、図示しないエアシリンダにより開閉駆動されるダンパー5が配設されている。
【0030】
一対の本体フレーム部2aの間、かつ、排出シュート部2bの上方には、計量ホッパ6が配設されている。該計量ホッパ6は、円筒状をなすとともに、本体フレーム部2aに組み付けられている。該計量ホッパ6の上部には、上方に開口する上側開口部6aが設けられている。
【0031】
一対の本体フレーム部2a及び計量ホッパ6の上方には、一対の本体フレーム部2aの上側端部が接続されたルーフ部2eが設けられている。ルーフ部2eの内側は、上側開口部6aを介して計量ホッパ6内と通じている。これにより、ルーフ部2eの内部空間と計量ホッパ6の内部空間とで、第2内部空間A2が形成されている。該第2内部空間A2は、各本体フレーム部2a内に設けられた通気路2fを介して排出シュート部2bの内側に設けられた第1内部空間A1とつながっている。
【0032】
また、計量ホッパ6の下部には、下方に開口する下側開口部6bが設けられている。
【0033】
該下側開口部6bには、該下側開口部6bの開口面積を調整可能な排出ゲート7が配設されている。該排出ゲート7は、図示しないエアシリンダにより駆動されることで、下側開口部6bを開閉するよう構成されている。そして、排出ゲート7が閉状態にされると、計量ホッパ6内に被計量物Fを貯留することが可能な状態になるようになっている。一方、排出ゲート7が開状態にされると、計量ホッパ6内の被計量物Fを排出シュート部2bの第1内部空間A1に向けて下方に排出することが可能な状態になるようになっている。
【0034】
計量ホッパ6は、荷重検出部8により支持されている。該荷重検出部8は、本体フレーム部2aに固定されている。これにより、計量ホッパ6は、荷重検出部8を介して本体フレーム部2aに支持されている。本実施形態における計量ホッパ6の支持構造についてより詳細に説明すると、計量ホッパ6には、該計量ホッパ6の外面から水平方向かつ外側に延びる第1フレーム部6cが設けられ、該第1フレーム部6cが荷重検出部8に載架されるようになっている。そして、荷重検出部8の下部には、水平方向に延びる第2フレーム部8aが設けられ、該第2フレーム部8aの外側端部が本体フレーム部2aに固定されている。
【0035】
また、荷重検出部8(例えば、ロードセル)は、計量ホッパ6の重量、つまり、計量ホッパ6に被計量物Fが供給された状態の重量、及び、該計量ホッパ6から被計量物Fが排出された状態の重量(空重量)に対応する荷重を検出し、該検出した荷重に対応する電圧信号を検出値として出力するようになっている。本実施形態では、計量ホッパ6が荷重検出部8に載架されているため、計量ホッパ6の重量が重いほど、荷重検出部8に作用する荷重が大きくなっている。該荷重検出部8は、作用する荷重が大きいほど、高い電圧を示す電圧信号を出力するように構成されている。
【0036】
タンク3は、上半部分が略直方体形状をなす一方、下半部分が略逆四角錘状をなしており、その内部に第3内部空間A3を有している。また、タンク3の上面中央には、筒中心線が上下に延びる投入管部3aが取り付けられており、該投入管部3aを介して上流工程から被計量物Fが第3内部空間A3に投入されるようになっている。
【0037】
また、タンク3の下部には、筒中心線が上下に延びる供給管部3bが設けられ、該供給管部3bを介してタンク3の第3内部空間A3が計量装置2の第2内部空間A2と接続されている。
【0038】
供給管部3bの下端には、供給ゲート9が配設されている。該供給ゲート9は、図示しないエアシリンダにより駆動されることで、供給管部3bの下側開口を開閉するようになっている。そして、供給ゲート9が閉状態にされると、タンク3の第3内部空間A3に被計量物Fを貯留する状態、つまり、供給管部3bを介して第3内部空間A3の被計量物Fを第2内部空間A2の計量ホッパ6に供給しない状態になるようになっている。一方、供給ゲート9が開状態にされると、タンク3の第3内部空間A3の被計量物Fを排出する状態、つまり、供給管部3bを介して第3内部空間A3の被計量物Fを第2内部空間A2の計量ホッパ6に供給する状態になるようになっている。
【0039】
タンク3の側方には、上下方向に延びるダクト10が配設されている。該ダクト10は、その一端がルーフ部2eに設けられた第1開口部2gに接続されているとともに、他端がタンク3の上面に設けられた第2開口部3cに接続されている。これにより、ダクト10を介して、計量装置2の第2内部空間A2とタンク3の第3内部空間A3とが連通している。また、計量装置2の第2内部空間A2は、各本体フレーム部2aの通気路2fを介して第1内部空間A1と連通しているため、計量装置2の第1内部空間A1は、通気路2f、第2内部空間A2及びダクト10を介してタンク3の第3内部空間A3に連通している。
【0040】
バグフィルタ4は、ファン部4aと、該ファン部4aの下部に取り付けられるとともに、略八角柱状をなす本体部4bとを備えている。該本体部4bの内部には、濾過室Rが設けられている。該濾過室Rは、その下部が開口していて、該開口を介してタンク3の第3内部空間A3と接続されるようになっている。
【0041】
濾過室Rには、外面濾過方式のフィルタ4c(例えば、フェルト製の濾布)が配設されている。該フィルタ4cは、略円筒状をなし、かつ、その筒中心線が上下方向に延びる姿勢で濾過室Rの天井から吊設されている。
【0042】
フィルタ4cの上方には、エア(例えば、パルスエア)を噴射可能な噴射部4dが配設されている。該噴射部4dの噴射口は、該噴射口から噴射したエアをフィルタ4cに当てることができるよう下方を向いている。
【0043】
図3を用いて、計量システム1に備えられた制御システム11について説明する。
【0044】
制御システム11は、ファン部4a、噴射部4d、ダンパー5、排出ゲート7、荷重検出部8及び供給ゲート9に接続された制御部12を備えている。本実施形態では、制御部12は、計量装置2に備えられている。
【0045】
制御部12には、図示しないプロセッサが設けられ、該プロセッサが、荷重検出部8から受信した検出値(荷重に対応する電圧信号)から重量値(計量ホッパ6の重量)に変換して計量値を算出する計量処理、かつ、ファン部4a、噴射部4d、ダンパー5、排出ゲート7及び供給ゲート9の制御処理を実行するよう構成されている。
【0046】
また、制御部12には、制限部12a、排出ゲート制御部12b、及び、供給ゲート制御部12c、重量計量部12d、及び、空重量計量部12eが備えられている。
【0047】
該制限部12aは、排出ゲート7及び供給ゲート9の開閉状態に応じて、噴射部4dからのエアの噴射を制限する状態(エアを噴射する時期であっても、エアの噴射を実行しない状態)と噴射部4dからのエアの噴射を制限しない状態、つまり、エアの噴射を許可する状態(エアを噴射する時期の場合、エアの噴射を実行する状態)とを切り替えるよう構成されている。
【0048】
排出ゲート制御部12bは、排出ゲート7の開閉状態を制御するように構成されている。また、供給ゲート制御部12cは、供給ゲート9の開閉状態を制御するように構成されている。
【0049】
重量計量部12dは、計量ホッパ6に被計量物Fを供給後に、荷重検出部8の検出値に基づいて計量ホッパ6内の被計量物Fの重量を計量するように構成されている。また、空重量計量部12eは、荷重検出部8の検出値に基づいて被計量物Fの排出後の計量ホッパ6の空重量を計量するように構成されている。
【0050】
次に、
図4~
図11を用いて、制御部12が実行する制御処理について説明する。なお、
図10及び
図11は、縦軸が計量ホッパ6の重量(荷重検出部8の検出値)、横軸が時間をそれぞれ表している。
【0051】
ステップS1では、計量装置2の運転中であるか否かを判断する。該判断がYesの場合(計量装置2が運転状態)は、ステップS2に進む一方、上記判断がNoの場合(計量装置2が運転停止状態)は、ステップS1の判断がYesとなるまで、繰り返しステップS1の判断処理を実行する。なお、計量装置2が運転を停止している状態では、
図2に示すように、ファン部4aがOFF状態、噴射部4dがエアを噴射していない状態、ダンパー5が開状態、排出ゲート7が閉状態、及び、供給ゲート9が閉状態となっている。このとき、ファン部4aがOFF状態(吸引していない状態)、かつ、ダンパー5が開状態、つまり、吸気管部2cを介して計量装置2の内部空間(第1内部空間A1及び第2内部空間A2)と計量装置2の外部とが連通しているため、該計量装置2の内部空間(該第1内部空間A1及び第2内部空間A2)は略大気圧の状態となっている。
【0052】
ステップS2の供給工程では、
図6に示すように、ファン部4aをOFF状態からON状態に切替、噴射部4dによるエアの噴射を許可(エアを噴射する時期の場合、エアの噴射を実行)、ダンパー5を開状態から閉状態に切替、排出ゲート7を閉状態に維持、及び、供給ゲート9を閉状態から開状態に切り替わるよう制御する。排出ゲート7が閉状態に維持されるとともに、供給ゲート9が閉状態から開状態に切り替えられることで、第3内部空間A3の被計量物Fが、供給管部3bを介して第2内部空間A2の計量ホッパ6に供給され、該計量ホッパ6に貯められるようになる。これにより、
図10に示すように、時間が経過するにしたがって、荷重検出部8により検出される計量ホッパ6の重量(検出値)が増加していくようになる。
【0053】
また、ステップS2の供給工程では、被計量物Fがタンク3から計量ホッパ6に供給する際の落下の衝撃で粉塵となる。該粉塵を含む第2内部空間A2の空気は、ファン部4aがON状態であるので、ダクト10、タンク3の第3内部空間A3を順に通って、バグフィルタ4の濾過室Rに吸入される。該吸入された空気は、フィルタ4cを通過する際に濾過、つまり、清浄な空気と粉塵とに分離される。そして、清浄な空気はファン部4aから外部に排出される一方、粉塵はフィルタ4cの外面に付着するようになる。ここで、バグフィルタ4の使用を続けると、フィルタ4cの外面に粉塵が堆積するようになるので、該堆積した粉塵を除去すべく、噴射部4dが定期的(例えば、3分に1回の周期)にフィルタ4cに向けてエアを噴射するよう構成されている。該噴射されたエアがフィルタ4cに当たると、該フィルタ4cの外面に堆積した粉塵が払い落とされる。該粉塵は、濾過室Rからタンク3の第3内部空間A3に落下することで、該第3内部空間A3に戻された後、該タンク3から計量ホッパ6に供給される。
【0054】
ステップS3では、荷重検出部8の検出値、つまり、計量ホッパ6に供給された被計量物Fの重量が第1所定重量以上であるか否かを判断する。該判断がYesの場合(第1所定重量以上)は、ステップS4へ進む一方、上記判断がNoの場合(第1所定重量未満)は、ステップS3の判断がYesとなるまで、ステップS3の判断処理を繰り返し行う。本実施形態では、第1所定重量は、計量ホッパ6が計量可能な上限重量の約80%の重量に設定されている。
【0055】
ステップS4の重量計量工程では、
図7に示すように、ファン部4aをON状態に維持、噴射部4dによるエアの噴射を許可する状態(エアを噴射する時期の場合、エアの噴射を実行する状態)から制限部12aにより噴射部4dによるエアの噴射を禁止する状態(エアを噴射する時期であっても、エアの噴射を実行しない状態)に切替、ダンパー5を閉状態から開状態に切替、排出ゲート7を閉状態に維持、及び、供給ゲート9を開状態から閉状態に切り替わるよう制御する。供給ゲート9が開状態から閉状態に切り替えられても、
図10に示すように、荷重検出部8の検出値は安定せず、暫時増減を繰り返すが、時間の経過とともにその増減が小さくなる。また、ステップS4では、ファン部4aがON状態であるため、該ファン部4aの吸引により、第2内部空間A2の圧力が変動し、荷重検出部8の検出値に基づく計量ホッパ6の重量の計量に影響を与えてしまうおそれがある。これに対して、本実施形態では、ステップS4においてダンパー5を閉状態から開状態に切り替えることで、吸気管部2cから第1内部空間A1に導入された外気が通気路2fを介して第2内部空間A2にも導入されるようになる。これにより、上記第2内部空間A2の圧力の変動を防ぐことができる。
【0056】
ステップS5では、荷重検出部8の検出値の変動が所定範囲内であるか否かを判断する。該判断がYesの場合(検出値の変動が所定範囲内)、ステップS7へ進む一方、上記判断がNoの場合(検出値の変動が所定範囲外)、ステップS6へ進む。本実施形態では、荷重検出部8の検出値の変動幅が10g以下の状態が1秒以上継続した場合に、検出値の変動が安定検出幅に入った、つまり、所定範囲内になったと判断するようになっている。
【0057】
ステップS6では、ステップS4の開始から第1所定時間(例えば、2.5秒)が経過したか否かを判断する。該判断がYesの場合(第1所定時間が経過している)、ステップS7に進む一方、上記判断がNoの場合(第1所定時間が経過していない)、ステップS5に進む。本実施形態では、ステップS5又はステップS6の判断がYesとなるまで、ステップS5及びステップS6の判断処理が繰り返し実行されるようになっている。
【0058】
ステップS7では、重量計量部12dが、ステップS5又はステップS6においてYesの判断がなされた時点の荷重検出部8の検出値を第1重量に設定する。該第1重量は、タンク3から計量ホッパ6に供給された被計量物Fの量、つまり、計量ホッパ6内にある被計量物Fの重量である。ここで、
図11の比較例に示すように、ステップS4~S6(重量計量工程)において、噴射部4dからエアが噴射されると、該エアによって生成される衝撃波が、濾過室R、第3内部空間A3及びダクト10を介して、第2内部空間A2の計量ホッパ6に作用して、該計量ホッパ6の振れを発生させる、或いは、該振れを悪化させる。すると、該振れによって、ステップS5の判断がNOの状態(荷重検出部8の検出値の変動が所定範囲外の状態)がステップS6の第1所定時間を経過するまで継続するようになる。これにより、該第1所定時間経過時点の不安定な荷重検出部8の検出値が第1重量として設定されるようになるので、計量誤差が生じ得るおそれがある。これに対して、本実施形態では、ステップS4~S6(重量計量工程)において、噴射部4dによるエアの噴射が禁止されている。したがって、該エアによって生成される衝撃波が計量ホッパ6に作用して、該計量ホッパ6の振れを発生させる、或いは、該振れが悪化することを抑えられるので、荷重検出部8の検出値に基づいて計量される第1重量の計量誤差が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0059】
図5に示すステップS8の排出工程では、
図8に示すように、ファン部4aをON状態に維持、制限部12aにより噴射部4dによるエアの噴射を禁止する状態(エアを噴射する時期であっても、エアの噴射を実行しない状態)から該エアの噴射を許可する状態(エアを噴射する時期の場合、エアの噴射を実行する状態)に切替、ダンパー5を開状態から閉状態に切替、排出ゲート7を閉状態から開状態に切替、及び、供給ゲート9を閉状態に維持されるよう制御する。排出ゲート7が閉状態から開状態に切替られることにより、計量ホッパ6内の被計量物Fが各下側開口部6bから排出ゲート部2b(第1内部空間A1)に向けて排出される。これにより、
図10に示すように、時間が経過するにしたがって、荷重検出部8により検出される計量ホッパ6の重量(検出値)が減少していくようになる。ここで、被計量物Fが計量ホッパ6から排出する際の落下の衝撃で粉塵となるが、該粉塵は、ファン部4aによりバグフィルタ4の濾過室Rに吸引されて回収されるようになっている。
【0060】
ステップS9では、荷重検出部8の検出値、つまり、計量ホッパ6の重量が第2所定重量未満であるか否かを判断する。該判断がYesの場合(第2所定重量未満)は、ステップS10へ進む一方、上記判断がNoの場合(第2所定重量以上)は、ステップS9の判断がYesとなるまで、ステップS9処理を繰り返し行う。本実施形態では、第2所定重量は、50gに設定されている。
【0061】
ステップS10の空重量計量工程では、
図9に示すように、ファン部4aをON状態に維持、噴射部4dによるエアの噴射を許可する状態(エアを噴射する時期の場合、エアの噴射を実行する状態)から制限部12aにより噴射部4dによるエアの噴射を禁止する状態(エアを噴射する時期であっても、エアの噴射を実行しない状態)に切替、ダンパー5を閉状態から開状態に切替、排出ゲート7を開状態から閉状態に切替、及び、供給ゲート9を閉状態に維持されるよう制御する。排出ゲート7が開状態から閉状態に切り替えられても、
図10に示すように、荷重検出部8の検出値は安定せず、暫時増減を繰り返すが、時間の経過とともにその増減が小さくなる。
【0062】
ステップS11では、荷重検出部8の検出値の変動が所定範囲内であるか否かを判断する。該判断がYesの場合(検出値の変動が所定範囲内)、ステップS13へ進む一方、上記判断がNoの場合(検出値の変動が所定範囲外)、ステップS12へ進む。
【0063】
ステップS12では、ステップS10の開始から第2所定時間(例えば、1.5秒)が経過したか否かを判断する。該判断がYesの場合(第2所定時間が経過している)、ステップS13に進む一方、上記判断がNoの場合(第2所定時間が経過していない)、ステップS11に進む。本実施形態では、ステップS11又はステップS12の判断がYesとなるまで、ステップS11及びステップS12の判断処理が繰り返し実行されるようになっている。
【0064】
ステップS13では、空重量計量部12eが、ステップS11又はステップS12においてYesの判断がなされた時点の荷重検出部8の検出値を第2重量に設定する。該第2重量は、計量ホッパ6から被計量物Fが排出された状態の重量、つまり、計量ホッパ6の空重量である。ここで、
図11の比較例に示すように、ステップS10~S12(空重量計量工程)において、噴射部4dからエアが噴射されると、該エアによって生成される衝撃波が、濾過室R、第3内部空間A3及びダクト10を介して、第2内部空間A2の計量ホッパ6に作用して、該計量ホッパ6の振れを発生させる、或いは、該振れを悪化させる。すると、該振れによって、ステップS11の判断がNOの状態(荷重検出部8の検出値の変動が所定範囲外の状態)がステップS12の第2所定時間が経過するまで継続するようになる。これにより、該第2所定時間経過時点の安定していない荷重検出部8の検出値が第2重量として設定されるようになり、計量誤差が生じ得るおそれがある。これに対して、本実施形態では、ステップS10~S12(空重量計量工程)において、噴射部4dによるエアの噴射が禁止されている。したがって、該エアによって生成される衝撃波が計量ホッパ6に作用して、該計量ホッパ6の振れを発生させる、或いは、該振れが悪化することを抑えられるので、荷重検出部8の検出値により計量される計量ホッパ6の空重量(第2重量)の計量誤差が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0065】
ステップS14では、ステップS7において設定した第1重量からステップS13において設定した第2重量を減算することにより、計量値を算出する。該計量値は、計量装置2が計量した重量に対応する値であって、計量ホッパ6の内面に付着している被計量物Fの重量、つまり、ステップS8(排出工程)において排出されなかった被計量物Fの重量は除かれている。これにより、計量ホッパ6の内面に付着しやすい被計量物F(例えば、小麦粉の製粉工程において生産される中間生産物、小麦粉など)を計量する場合であっても、計量値の計量誤差が発生するのを防ぐことができる。
【0066】
ステップS14の後、エンドに進んで処理を終了する。しかる後、
図4のスタートから処理を開始する。
【0067】
以上により、本実施形態によれば、荷重検出部8の検出値に基づいて計量ホッパ6内の被計量物Fの重量が計量されているときは、制限部12aにより噴射部4dからの粉塵除去用のエアの噴射が制限されるようになる。これにより、該エアが生成する衝撃波による計量ホッパ6の振れが抑えられるようになるので、上記計量ホッパ6内の被計量物Fの重量の計量への影響を低減することが可能となる。
【0068】
また、被計量物を計量ホッパ6に供給後において、重量計量部12dが荷重検出部8の検出値に基づいて該被計量物Fの重量を計量する際、制限部12aにより噴射部4dからのエアの噴射が制限されるようになる。これにより、被計量物F供給時の衝撃により振れている計量ホッパ6に噴射部4dから噴射されたエアが生成する衝撃波が作用することで、計量ホッパ6の振れが更に悪化してしまい、該振れによって荷重検出部8の検出値が不安定になるのを防ぐことができる。したがって、例えば、重量計量部12dが計量開始から所定時間経過時点の荷重検出部8の検出値を計量値として確定させる場合、上記エアの噴射制限により、所定時間経過時点の検出値が安定し易くなるので、計量誤差が生じるのを抑えることができる。また、例えば、重量計量部12dが所定の変動幅に収まった時点の荷重検出部8の検出値を計量値として確定させる場合、上記エアの噴射制限により、検出値が早期に所定の変動幅に収まるようになるので、重量計量部12dによる計量時間が長くなってしまうのを防ぐことができる。
【0069】
また、計量ホッパ6内に被計量物Fを供給する際に供給ゲート9が開状態とされると、該供給ゲート9の開状態にあわせて噴射部4dからエアが噴射される一方、計量ホッパ6内の被計量物Fの重量を計量する際に供給ゲート9が閉状態とされると、該供給ゲート9の閉状態にあわせて噴射部4dからのエアの噴射が制限されるようになる。つまり、供給ゲート9の開閉状態に応じて、噴射部4dからのエアの噴射の制限する状態と、該制限をしない状態とが切り替えられるようになるので、制限部12aの制御システムや制御処理が複雑になるのを抑制することができる。
【0070】
また、バグフィルタ4を動作させると、計量ホッパ6内等の計量装置2の第2内部空間A2で発生した粉塵を含む空気がダクト10、タンク3の第3内部空間A3を介してバグフィルタ4の濾過室Rに吸入されるようになる。該濾過室Rに吸入された空気に含まれる被計量物Fは、フィルタ4cによって空気と分離されて回収された後、直接タンク3の第3内部空間A3に排出されるようになる。これにより、バグフィルタ4が回収した被計量物Fをタンクに戻すことが可能となるので、歩留まりの悪化を抑制することができる。
【0071】
また、噴射部4dから噴射されたエアがフィルタ4cに当たると、該フィルタ4cに堆積した被計量物Fが重力によって落下して、直接タンク3内に戻されるようになる。これにより、重力を利用して、バグフィルタ4において回収した被計量物Fをタンク3に戻すことが可能となる。したがって、バグフィルタ4からタンク3に被計量物Fを送るための装置等が別途不要になるので、計量システム1のコスト上昇を抑えることができる。
【0072】
また、バグフィルタ4が1つの計量装置2にのみ接続されるようになるので、バグフィルタ4において回収される被計量物Fが他の計量装置、つまり、異なる等級の被計量物と混ざらなくなる。これにより、等級の異なる被計量物が混ざることで、バグフィルタ4からタンク3に戻された被計量物Fから生産される製品が等級の低いものとなってしまうのを防ぐことが可能となる。
【0073】
また、計量ホッパ6から被計量物Fを排出後において、空重量計量部12eが荷重検出部8の検出値に基づいて該被計量物Fの空重量を計量する際には、制限部12aにより噴射部4dからのエアの噴射が制限されるようになる。これにより、例えば、計量ホッパ6からの被計量物Fの急激な排出による計量ホッパ6の振れが上記エアから生成される衝撃波によって更に悪化して、荷重検出部8の検出値が不安定となるのを防ぐことができる。したがって、空重量の計量誤差が生じることや空重量計量部12eによる計量時間が長くなるのを抑えられるようになる。
【0074】
また、計量ホッパ6から被計量物Fを排出する際に排出ゲート7が開状態とされると、該排出ゲート7の開状態にあわせて噴射部4dからのエアの噴射が実行される一方、計量ホッパ6の空重量を計量する際に排出ゲート7が閉状態とされると、該排出ゲート7の閉状態にあわせて噴射部4dからのエアの噴射が制限されるようになる。つまり、排出ゲート7の開閉状態に応じて、噴射部4dからのエアの噴射の制限する状態と、該制限をしない状態とが切り替えられるようになるので、制限部12aの制御システムや制御処理が複雑になるのを抑制することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、計量システム1は、計量装置2が1つだけ設けられていたが、2つ以上の計量装置2を備えるようにしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、計量システム1には、タンク3が備えられていたが、該タンク3を備えないようにしてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、バグフィルタ4は、タンク3の上面に取り付けられていたが、
図12に示すように、タンク3の側方に配設されるようにしてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、バグフィルタ4の濾過室Rは、直接タンク3の第3内部空間A3と接続されていたが、
図12に示すように、吸入側は吸入管部4eを介してタンク3の第3内部空間と接続されるとともに、排出側は図示しないロータリバルブを介してタンク3以外の装置に接続してもよい。これにより、例えば、計量システム1が製粉工場における荷受工程や精選工程に備えられる場合において、バグフィルタ4が回収した粉塵に含まれる異物がタンク3に戻されてしまい、該異物とタンク3内の被計量物Fとが混じり合ってしまうのを防ぐことができる。
【0079】
また、本実施形態では、集塵部としてバグフィルタ4を用いた例について説明したが、バグフィルタ4以外の集塵装置を用いてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、制御部12が計量装置2に備えられた例について説明したが、バグフィルタ4に制御部を備えるようにしてもよく、或いは、計量装置2及びバグフィルタ4の各々に制御部を備えるようにしてもよい。バグフィルタ4に制御部が備えられる場合には、該バグフィルタ4の制御部に設けられた制限部により、噴射部4dからのエアの噴射を制御するようにしてもよい。また、計量装置2及びバグフィルタ4の各々に制御部が備えられる場合には、計量装置2の制御部からバグフィルタ4の制御部に噴射部4dの噴射を制限するよう指令する信号を送信することで、噴射部4dによる噴射を制限するようにしてもよく、或いは、計量装置2の制御部には排出ゲート制御部12b、供給ゲート制御部12c、重量計量部12d、及び、空重量計量部12eが備えられるとともに、バグフィルタ4の制御部には制限部12aが備えられるようにしてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、制御部12が重量計量部12d及び空重量計量部12eを備える例について説明したが、重量計量部12d及び空重量計量部12eの機能を有する計量部を制御部12が備えるようにしてもよい。
【0082】
また、本実施形態では、バグフィルタ4は、タンク3及びダクト10を介して計量装置2の第2内部空間A2と接続されていたが、タンク3やダクト10を介さずに第2内部空間A2に直接接続するようにしてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、バグフィルタ4が1つ設けられていたが、計量装置2及びタンク3の各々にバグフィルタ4を設けるようにしてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、計量槽として計量ホッパ6を用いた例について説明したが、被計量物Fを計量可能であれば計量ホッパ6以外の容器を用いてもよい。
【0085】
また、本実施形態の計量システム1では備えられていなかったが、
図13に示すように、一端がバグフィルタ4に接続されるとともに、他端が計量装置2の第2内部空間A2に接続される清掃エア用ダクト13を備えるようにしてもよい。このようにすることで、清掃エア用ダクト13を介してバグフィルタ4から本体フレーム部2aの内面に向けてエアを供給することで、該エアによって本体フレーム部2aの内面に付着した粉塵(被計量物F)を除去することが可能となる。
【0086】
また、本実施形態では、ステップS4(重量計量工程)及びステップS10(空重量計量工程)において、制限部12aが噴射部4dからのエアの噴射を禁止していたが、該エアの噴射を完全に禁止するのではなく、エアの噴射圧力をステップS2(供給工程)やステップS8(排出工程)の場合よりも小さくしてもよく、或いは、ステップS4(重量計量工程)及びステップS10(空重量計量工程)の各工程における荷重検出部8を用いた計量への影響が比較的小さい前半はエアの噴射を許容する一方、該影響が比較的大きい各工程の後半はエアの噴射を禁止するようにしてもよい。このようにすることで、エアの噴射の制限により、フィルタ4cの粉塵の堆積量が多くなるのを抑えることができる。したがって、荷重検出部8を用いた計量への影響を防ぎつつバグフィルタ4の集塵能力を維持することが可能となる。
【0087】
また、本実施形態では、被計量物Fとして小麦の例について説明したが、小麦以外(例えば、米など)を被計量物Fとしてもよい。さらに、本実施形態では、ステップS14において第1重量から第2重量を減算することによって計量値を算出していたが、計量ホッパ6の内面に付着し難い被計量物F(例えば、米など)を計量する場合は、第1重量を計量値としてもよい。
【0088】
また、本実施形態では、
図4のステップS5及びステップS6を実行するようにしていたが、ステップS6のみ実行するようにしてもよい。この場合、荷重検出部8の検出値が安定する(所定範囲内となる)と予測される最短時間を第1所定時間に設定することで、計量ホッパ6の重量の計量時間、つまり、重量計量工程(ステップS4及びステップS6)を短くすることができる。
【0089】
また、本実施形態では、制御部12は、荷重検出部8の検出値を用いて制御処理を行っていたが、該検出値をなまし処理した値を用いて制御処理を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、米や小麦粉等の粉粒体の重量を計量可能な計量システムに適している。
【符号の説明】
【0091】
1 計量システム
2 計量装置
3 タンク
4 バグフィルタ(集塵装置)
4c フィルタ
4d 噴射部
6 計量ホッパ(計量槽)
7 排出ゲート
8 荷重検出部
9 供給ゲート
10 ダクト(連通路部)
12a 制限部
12b 排出ゲート制御部
12c 供給ゲート制御部
12d 重量計量部
12e 空重量計量部
A1 第1内部空間(計量装置の内部空間)
A2 第2内部空間(計量装置の内部空間)
A3 第3内部空間(タンクの内部空間)
R 濾過室