(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064294
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】制御装置、通信システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/022 20170101AFI20240507BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20240507BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240507BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20240507BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20240507BHJP
H04W 72/20 20230101ALI20240507BHJP
H04B 7/15 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H04B7/022
H04L27/26 114
H04W16/28 130
H04W16/28 150
H04W84/06
H04W56/00 130
H04W72/04 136
H04B7/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172779
(22)【出願日】2022-10-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G研究開発促進事業/次世代の5次元モバイルインフラ技術の研究開発」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】若藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】船田 純一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昂平
(72)【発明者】
【氏名】小野 真和
(72)【発明者】
【氏名】林 和幸
【テーマコード(参考)】
5K067
5K072
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD25
5K067EE02
5K067EE07
5K067EE10
5K067EE71
5K067KK03
5K072DD01
5K072DD13
5K072EE24
5K072FF24
5K072FF25
(57)【要約】
【課題】地上系通信装置と非地上系通信装置とを用いたハイブリッドなモバイル通信システムにおいてダイバーシティ効果を発揮することができる制御装置を提供すること。
【解決手段】本開示に係る制御装置10は、非地上系通信装置及び地上系通信装置と通信する通信部11と、地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する非地上系通信装置を介した通信端末との通信の遅延時間を推定する推定部12と、非地上系通信装置及び地上系通信装置を用いて通信端末とMIMO通信を行う場合に、遅延時間に基づいて、非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する制御部13と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非地上系通信装置及び地上系通信装置と通信する通信部と、
前記地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する前記非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定する推定部と、
前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する制御部と、を備える制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列のいずれか一方に前記参照信号を挿入して送信しているタイミングには、前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列の他方には前記参照信号を挿入しない、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記遅延時間に基づいて、前記通信端末が実質的に同一のタイミングに受信する、前記第1の信号系列に含まれる第1のデータと、前記第2の信号系列に含まれる第2のデータとを特定し、前記第1のデータと、前記第2のデータとのいずれか一方に前記参照信号を挿入する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列は、それぞれ複数のフレームによって構成され、
前記制御部は、
前記フレーム単位に前記参照信号を挿入する信号系列を切り替える、請求項2又は3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列は、時間軸方向の通信リソースを有する信号系列であり、
前記制御部は、
時間軸方向において、前記非地上系通信装置へ送信する前記参照信号と、前記地上系通信装置へ送信する前記参照信号とを交互に配置する、請求項2又は3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列は、それぞれ複数のフレームによって構成され、
前記制御部は、
前記通信端末が受信する、前記第1の信号系列に含まれる第1のフレームと前記第2の信号系列に含まれる第2のフレームとのそれぞれの先頭タイミングを一致させるように、前記第1の信号系列を前記非地上系通信装置へ送信するタイミングと、及び前記第2の信号系列を前記地上系通信装置へ送信するタイミングと、を制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記推定部は、
前記非地上系通信装置と前記地上系通信装置との間におけるデータの伝搬時間に関する情報に基づいて、前記遅延時間を推定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
非地上系通信装置と、
地上系通信装置と、
前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置と通信する通信部と、前記地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する前記非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定する推定部と、前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する制御部と、を有する制御装置と、を備える通信システム。
【請求項9】
地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定し、
前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する、制御方法。
【請求項10】
地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定し、
前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する、ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は制御装置、通信システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上系通信装置と非地上系通信装置とを用いたハイブリッドなモバイル通信システムの適用が検討されている。通信端末が地上系通信装置及び非地上系通信装置から信号を受信することによって、ダイバーシティ効果が発生することが期待されている。これにより、通信端末が受信する信号品質の向上が期待されている。
【0003】
特許文献1には、衛星送信機、地上基地局、衛星受信機、及び地上ユーザ送受信機を含む通信システムが開示されている。特許文献1に開示されている通信システムにおいては、地上ユーザ送受信機は、地上基地局との間においてMIMO(Multiple Input Multiple Output)通信を行う。地上ユーザ送受信機は、地上基地局から受信するMIMO地上信号を最大化し、衛星送信機から受信する衛星信号を最小化し、MIMO地上信号に対する衛星信号の干渉を減少させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている通信システムにおいては、地上ユーザ送受信機は、衛星送信機から受信する衛星信号を最小化している。そのため、地上ユーザ送受信機は、地上基地局から受信するMIMO地上信号と、衛星信号とを受信することによって期待されるダイバーシティ効果を得ることができないという問題がある。
【0006】
本開示の目的の一つは、上述した課題に鑑み、地上系通信装置と非地上系通信装置とを用いたハイブリッドなモバイル通信システムにおいてダイバーシティ効果を発揮することができる制御装置、通信システム、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様にかかる制御装置は、非地上系通信装置及び地上系通信装置と通信する通信部と、前記地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する前記非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定する推定部と、前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する制御部と、を備える。
【0008】
本開示の第2の態様にかかる通信システムは、非地上系通信装置と、地上系通信装置と、前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置と通信する通信部と、前記地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する前記非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定する推定部と、前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する制御部と、を有する制御装置と、を備える。
【0009】
本開示の第3の態様にかかる制御方法は、地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定し、前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する。
【0010】
本開示の第4の態様にかかるプログラムは、地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定し、前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する、ことをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、地上系通信装置と非地上系通信装置とを用いたハイブリッドなモバイル通信システムにおいてダイバーシティ効果を発揮することができる制御装置、通信システム、制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1にかかる制御装置の構成図である。
【
図2】実施の形態1にかかる制御装置において実行される通信処理の流れを示す図である。
【
図3】実施の形態2にかかる通信システムの構成図である。
【
図4】実施の形態2にかかるCU/DUの構成図である。
【
図5】実施の形態2にかかるUEが、NTN RUを介して受信した信号系列と、地上RUを介して受信した信号系列を示す図である。
【
図6】実施の形態2にかかるUEが、NTN RUを介して受信した信号系列と、地上RUを介して受信した信号系列を示す図である。
【
図7】実施の形態2にかかるCU/DUからNTN RU及び地上RUへ送信される信号系列を示す図である。
【
図8】実施の形態2にかかるOFDM信号におけるパイロット信号の配置例を示す図である。
【
図9】実施の形態2にかかるNTN RUの構成図である。
【
図10】実施の形態2にかかる地上RUの構成図である。
【
図11】実施の形態2にかかるUEの構成図である。
【
図12】実施の形態2にかかるCU/DUにおける通信処理の流れを示す図である。
【
図13】実施の形態2にかかるUEにおける受信処理の流れを示す図である。
【
図14】それぞれの実施の形態にかかるNTN RU及び地上RUの構成図である。
【
図15】それぞれの実施の形態にかかるUEの構成図である。
【
図16】それぞれの実施の形態にかかる制御装置10構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図1を用いて実施の形態1にかかる制御装置10の構成例について説明する。制御装置10は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。
【0014】
制御装置10は、通信部11、推定部12、及び制御部13を有している。通信部11、推定部12、及び制御部13は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信部11、推定部12、及び制御部13は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0015】
通信部11は、非地上系通信装置及び地上系通信装置と通信する。非地上系通信装置は、NTN(Non Terrestrial Network)を構成する通信装置であり、衛星通信をサポートする通信装置であってもよい。もしくは、非地上系通信装置は、HAPS(High Altitude Platform Station)と称される無人飛行装置であってもよい。
【0016】
地上系通信装置は、例えば、モバイル通信に用いられる基地局であってもよい。無線アクセスネットワークは、無線周波数を処理するRRH(Remote Radio Head)、及び、ベースバンド処理を行うBBU(Baseband Unit)によって構成される。ここで、地上系通信装置は、RRH及びBBUを含む処理を実行する通信装置であってもよく、RRHを含む処理のみを実行する通信装置であってもよい。
【0017】
推定部12は、地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する、非地上系通信装置を介した通信端末との通信の遅延時間を推定する。通信端末は、例えば、携帯電話端末、スマートフォン端末、もしくはIoT(Internet Of Things)端末等であってもよい。もしくは、通信端末は、通信機能を有する車両等であってもよい。もしくは、通信端末は、移動せずに固定的に設置される端末であってもよい。
【0018】
遅延時間は、例えば、通信端末が地上系通信装置を介して信号もしくはメッセージを受信したタイミングと、非地上系通信装置を介して信号もしくはメッセージを受信したタイミングとの差を示す時間であってもよい。通信端末が時間差を有して受信する信号もしくはメッセージは、制御装置10から、非地上系通信装置及び地上系通信装置へ実質的に同時に送信された信号もしくはメッセージとする。実質的に同時とは、非地上系通信装置及び地上系通信装置へそれぞれ信号を送信するタイミングに所定の差が発生する場合も含む。例えば、所定の差とは、制御装置10から送信された信号が、非地上系通信装置もしくは地上系通信装置を介して通信端末へ到達する時間よりも十分に短い程度の時間の差である場合を含んでもよい。
【0019】
例えば、推定部12は、通信端末から遅延時間を示す情報を受信してもよい。もしくは、推定部12は、通信端末における遅延時間を推定する測定装置等から通信端末における遅延時間を示す情報を受信してもよい。測定装置は、例えば、地上系通信装置であってもよい。
【0020】
制御部13は、非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、地上系通信装置へ送信する第2の信号系列とに参照信号を挿入する。参照信号は、通信端末において、無線区間の伝送路の状態、例えば、伝送路の品質を推定するために用いられる。
【0021】
ここで、通信端末は、非地上系通信装置及び地上系通信装置とMIMO(Multiple Input Multiple Output)通信を行うことを前提とする。MIMO通信は、送信装置及び受信装置が、複数のアンテナ素子を用いて通信する通信方式である。例えば、通信端末を受信装置とすると、送信装置として、非地上系通信装置及び地上系通信装置によって構成される通信システムを、複数のアンテナ素子を有する通信装置とみなすことができる。また、通信端末を送信装置とすると、受信装置として、非地上系通信装置及び地上系通信装置によって構成される通信システムを、複数のアンテナ素子を有する通信装置とみなすことができる。つまり、制御装置10、非地上系通信装置、及び地上系通信装置は、非地上系通信装置及び地上系通信装置をアンテナとする通信システムとみなされる。
【0022】
MIMO通信においては、例えば、Scattered型を用いた場合、送信側の装置が、各アンテナから参照信号を送信する。この時、あるアンテナが参照信号を送信するタイミングにおいては、他のアンテナは参照信号を送信しない。つまり、受信側においては、所定のタイミングにおいて、送信側の特定のアンテナから送信された信号にのみ、参照信号が設定されており、特定のアンテナ以外のアンテナから送信された信号には、参照信号が設定されていない。そのため、制御部13は、遅延時間を用いて、通信端末が、非地上系通信装置及び地上系通信装置のそれぞれから、実質的に同一のタイミングに参照信号を受信することが無いように、参照信号を第1の信号系列及び第2の信号系列へ挿入するタイミングを制御する。言い換えると、制御部13は、遅延時間を用いて、通信端末が、所定の期間内において非地上系通信装置及び地上系通信装置のいずれか一方から参照信号を受信するように、参照信号を第1の信号系列及び第2の信号系列へ挿入するタイミングを制御する。
【0023】
続いて、
図2を用いて実施の形態1にかかる制御装置10において実行される通信処理の流れについて説明する。はじめに、推定部12は、地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定する(S11)。次に、制御部13は、遅延時間に基づいて、非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する(S12)。ここで、通信端末は、地上系通信装置及び非地上系通信装置とMIMO通信を行っていることを前提とする。
【0024】
以上説明したように、実施の形態1にかかる制御装置10は、通信端末とMIMO通信を行う非地上系通信装置及び地上系通信装置へ、参照信号を挿入した信号系列を送信する。さらに、制御装置10は、非地上系通信装置及び地上系通信装置へ送信する信号系列に参照信号を挿入するタイミングを制御する。これにより、通信端末は、信号を受信するタイミングにおいて、非地上系通信装置及び地上系通信装置のいずれか一方から送信された信号にのみ設定された参照信号を受信することができる。その結果、通信端末は、参照信号を用いて、MIMO通信を行う非地上系通信装置及び地上系通信装置との間の無線空間の伝送路の状態を推定することができるため、MIMO通信によるダイバーシティ効果を得ることができる。
【0025】
(実施の形態2)
続いて
図3を用いて実施の形態2にかかる通信システムの構成例について説明する。
図3の通信システムは、CU/DU(Centralized Unit/Distributed Unit)装置20(以下、CU/DU20とする)、NTN RU(Radio Unit)装置30(以下、NTN RU30とする)、地上RU装置40(以下、地上RU40とする)、及びUE(User Equipment)50を有している。
【0026】
CU/DU20、NTN RU30、地上RU40、及びUE50は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。
【0027】
CU/DU20は、無線周波数以外の処理、つまり、ベースバンド処理を行うBBUを有する。NTN RU30及び地上RU40は、無線周波数に関する処理を行うRRHを有する。
図3においては、CU/DU20、NTN RU30、及び地上RU40がそれぞれ1つであることが示されているが、例えば、CU/DU20は、NTN RU30及び地上RU40を含む複数のNTN RU及び地上RUと通信を行ってもよい。さらに、NTN RU30及び地上RU40は、複数のUE50と通信を行ってもよい。また、NTN RU30及び地上RU40は、CU/DU20を含む複数のCU/DUと通信を行ってもよい。
【0028】
図3における破線は、無線通信が行われることを示している。また、
図3における実線は、主に固定通信が行われることを示しているが、実線で示される区間においても、無線通信が行われてもよい。
【0029】
NTN RU30は、通信衛星であってもよく、もしくは、無人飛行装置であるHAPSであってもよい。NTN RU30は、通信エリアを形成する際に地理的な制約を受けない空間において、地上に設置される基地局装置よりも広い通信エリアを形成することが可能な装置である。NTN RU30が形成する通信エリアは、地上に限定されず、空、海、宇宙空間等に拡張されてもよい。NTN RU30は、CU/DU20及びUE50と無線通信を行う。さらに、NTN RU 30は、地上RU 40とも無線通信を行う。CU/DU20とNTN RU30との無線通信に用いられる周波数帯は、NTN RU30とUE50との無線通信に用いられる周波数帯と異なってもよい。地上RU40とNTN RU30との無線通信に用いられる周波数帯は、NTN RU30とUE50との無線通信に用いられる周波数帯と同じであってもよく、異なってもよい。
【0030】
地上RU40は、地上に配置される装置であり、RRHを有する基地局装置であってもよい。地上RU40は、CU/DU20と無線通信を行ってもよく、光通信等の固定通信を行ってもよい。地上RU40は、例えば、3GPP(3rd Generation Partnership Project)において定められている無線通信規格である、5Gをサポートしてもよい。5Gは、NRと称されてもよい。地上RU40は、UE50と5Gを用いて無線通信を行ってもよい。
【0031】
UE50は、3GPPにおいて通信端末の総称として用いられる。UE50は、複数のアンテナを有し、NTN RU30及び地上RU40とMIMO通信を行う。UE50を受信装置とする場合、CU/DU 20、NTN RU30、及び地上RU40を含む通信システムは、複数のアンテナを有する送信装置とみなされる。また、UE50を送信装置とする場合、CU/DU 20、NTN RU30、及び地上RU40を含む通信システムは、複数のアンテナを有する受信装置とみなされる。
【0032】
続いて、
図4を用いて実施の形態2にかかるCU/DU20の構成例について説明する。CU/DU20は、通信部21、推定部22、信号系列複製部23、及びパイロット信号挿入部24を有している。通信部21、推定部22、信号系列複製部23、及びパイロット信号挿入部24は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信部21、推定部22、信号系列複製部23、及びパイロット信号挿入部24は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0033】
通信部21は、
図1の通信部11に相当する。また、推定部22は、
図1の推定部12に相当する。信号系列複製部23及びパイロット信号挿入部24は、
図1の制御部13に相当する。
【0034】
通信部21は、NTN RU30及び地上RU40と通信を行う。通信部21は、NTN RU30と無線通信を行い、地上RU40とケーブル等を介した固定通信を行ってもよい。もしくは、通信部11は、NTN RU30及び地上RU40と無線通信を行ってもよい。通信部11は、NTN RU30との通信を行うための通信制御部及び地上RU40と通信を行うための通信制御部をそれぞれ有してもよい。通信制御部は、例えば、変調、復調、符号化処理等を実行してもよい。
【0035】
推定部22は、実質的に同一のタイミングにNTN RU30及び地上RU40へ送信されたデータが、UE50へ到達する時間差を推定する。言い換えると、実質的に同一のタイミングに送信された二つのデータがUE50へ到達した際に、一方のデータが到達してから他方のデータが到達するまでの遅延時間を推定する。ここでは、NTN RU30を経由する通信経路は、地上RU40を経由する通信経路よりも長い。そのため、NTN RU30を経由してUE50へ到達したデータは、地上RU40を経由してUE50へ到達したデータに対して遅延する。
【0036】
推定部22は、地上RU40から、遅延時間の計測結果を受信し、受信した遅延時間を、実質的に同一のタイミングに送信された二つのデータがUE50へ到達した際の遅延時間と推定してもよい。例えば、地上RU40は、測定用の信号をNTN RU30へ送信してから、NTN RU30から応答信号を受信するまでの時間を測定してもよい。
【0037】
または、地上RU40が屋内に設置され、地上RU40がNTN RU30から送信される測定用の信号を受信できない場合、推定部22は、屋外に設置された地上RUから、遅延時間の計測結果を受信してもよい。
【0038】
推定部22は、このように測定された時間を、実質的に同一のタイミングに送信された二つのデータがUE50へ到達した際の遅延時間と推定してもよい。ここでは、CU/DU20から地上RU40を経由してUE50へ到達する通信経路の長さは、CU/DU20からNTN RU30を経由してUE50へ到達する通信経路の長さと比較して、十分に短いことを前提としている。十分に短いとは、無視できるほどに短いと言い換えられてもよい。
【0039】
もしくは、推定部22は、NTN RU30の軌道情報を有していてもよい。この場合、推定部22は、軌道情報に従って、ある時刻におけるNTN RU30と地表との間の距離を算出してもよい。推定部22は、NTN RU 30と地表との間の距離の2倍を、CU/DU20から、NTN RU30を経由してUE50へ到達するまでの距離と推定し、NTN RU 30と地表との間の2倍の距離を伝搬するデータの伝搬時間を算出してもよい。推定部22は、地上RU40を経由するCU/DU20とUE50との間の距離を無視できるほど小さいとみなして、算出した伝搬時間を、実質的に同一のタイミングに送信された二つのデータがUE50へ到達した際の遅延時間と推定してもよい。
【0040】
図5は、UE50が、NTN RU30を介して受信した信号系列と、地上RU40を介して受信した信号系列とを示している。
図5は、それぞれの信号系列を構成するデータとして、複数のフレームが用いられていることを示している。
図5において、それぞれの信号系列を構成する数字は、フレームの識別番号を示している。CU/DU20は、フレーム#1を先頭とする信号系列を、実質的に同一のタイミングに、NTN RU30及び地上RU40へ送信する。
図5においては、地上RU40を介して伝搬された信号系列が、NTN RU30を介して伝搬された信号系列よりも早くUE50へ到達したことを示している。具体的には、地上RU40を介して伝搬された信号系列は、NTN RU30を介して伝搬された信号系列よりも2フレーム分早くUE50へ到達したことを示している。
図5の横軸は、時刻を示しており、右側へ行くほどフレームを受信した時刻が古いことを示している。
図6においても同様である。UE50は、フレーム#1から順番にそれぞれの信号系列を受信する。
【0041】
図5においては、UE50は、時刻T1において、地上RU40を介してフレーム#3を受信し、NTN RU30を介してフレーム#1を受信したことを示している。
【0042】
推定部22は、フレーム単位の時間を遅延時間として推定してもよい。例えば、
図5の例においては、推定部22は、実質的に同一のタイミングに送信された二つのデータがUE50へ到達した際の遅延時間が2フレームであると推定してもよい。フレームの長さは、予め定められており、例えば、1msもしくは0.5msのように定められていてもよい。
【0043】
図4に戻り、信号系列複製部23は、通信部21を介してNTN RU30及び地上RU40へデータを送信するために、送信するデータである信号系列を複製する。信号系列複製部23は、信号系列を複製した後に、パイロット信号挿入部24へ、NTN RU30へ送信するための信号系列と地上RU40へ送信するための信号系列とを出力する。NTN RU30へ送信するための信号系列と地上RU40へ送信するための信号系列とは、同じ信号系列である。同じ信号系列は、同じフレームの構成を有する信号系列である。
【0044】
パイロット信号挿入部24は、NTN RU30へ送信するための信号系列と地上RU40へ送信するための信号系列とのそれぞれにパイロット信号を挿入する。パイロット信号は、参照信号に相当する。また、パイロット信号は、既知信号と称されてもよい。例えば、パイロット信号は、信号系列を構成するそれぞれのフレーム、もしくは、フレームに含まれるパケットの先頭に配置されるプリアンブルに設定される信号であってもよい。
【0045】
パイロット信号は、NTN RU30及び地上RU40から、UE50へ送信された信号系列を、UE50が分離するために用いられる。具体的には、パイロット信号は、NTN RU30及び地上RU40とUE50との間の空間に関するチャネル行列を構成するそれぞれの要素を推定するために用いられる。推定するとは、特定する、もしくは決定すると言い換えられてもよい。例えば、UE50が2つのアンテナを有する場合、NTN RU30及び地上RU40から、UE50へ送信される信号は、2×2のチャネル行列を用いて表される。UE50は、NTN RU30及び地上RU40のそれぞれから受信したパイロット信号を用いてチャネル行列を推定する。UE50は、推定したチャネル行列を用いてそれぞれのアンテナにおいて受信したデータを分離し、NTN RU30から受信した信号系列及び地上RU40から受信した信号系列を得る。チャネル行列は、伝達係数行列、伝達関数等と称されてもよい。
【0046】
Scattered型のMIMO通信においては、送信側の装置が複数のアンテナを有する場合、いずれかのアンテナからパイロット信号が送信されるタイミングにおいては、他のアンテナからパイロット信号は送信されない。一方、
図3の通信システムは、CU/DU20から、アンテナとみなされるNTN RU30までの距離と、CU/DU20からアンテナとみなされる地上RU40までの距離とは大きく離れている。そのため、CU/DU20からNTN RU30及び地上RU40へ実質的に同一のタイミングに送信された信号系列がNTN RU30へ到達するタイミングは、地上RU40へ到達するタイミングよりも遅延する。
【0047】
図3の通信システムにおいてScattered型のMIMO通信を適用する場合、パイロット信号挿入部24は、CU/DU20から、NTN RU30及び地上RU40へ実質的に同一のタイミングに送信されるフレームのうち、一方のフレームへパイロット信号を挿入する。例えば、CU/DU20から、NTN RU30及び地上RU40へ、実質的に同一のタイミングに、フレーム#1が送信される場合について説明する。このような場合、パイロット信号挿入部24は、NTN RU30へ送信するフレーム#1にパイロット信号を挿入した場合、地上RU40へ送信するフレーム#1にはパイロット信号を挿入しない。また、パイロット信号挿入部24は、他のフレームにおいては、NTN RU30へ送信するフレームへパイロット信号を挿入せずに、地上RU40へ送信するフレームへパイロット信号を挿入してもよい。
【0048】
さらに、パイロット信号挿入部24は、推定部22において推定された遅延時間を用いて、パイロット信号を挿入するフレームを制御する。制御するとは、調整する、選択する、決定する等と言い換えられてもよい。
【0049】
具体的には、パイロット信号挿入部24は、UE50が、NTN RU30及び地上RU40から信号系列を受信する際に、所定のタイミングにおいては、いずれか一方の信号系列に含まれるフレームにのみパイロット信号が挿入された状態とする。
【0050】
ここで、パイロット信号挿入部24におけるパイロット信号の挿入について、
図6を用いてより詳細に説明する。
図6は、
図5と同様に、CU/DU 20から実質的に同一のタイミングに送信されたフレームに関して、UE 50が、NTN RU30を介して送信されたフレームを、地上RU40を介して送信されたフレームに対して、2フレーム遅れて受信することを示している。
図6に示されるように、UE50は、時刻T1において、NTN RU30からフレーム#1を受信するとともに、地上RU40からフレーム#3を受信する。この場合に、パイロット信号挿入部24は、UE50が時刻T1に実質的に同一のタイミングに受信するNTN RU30を経由するフレーム#1及び地上RU40を経由するフレーム#3のいずれか一方にパイロット信号を挿入するように制御する。
【0051】
UE50は、受信したパイロット信号を用いて、MIMO受信処理を行う。具体的には、UE50は、受信したパイロット信号を用いてチャネル行列を推定する。さらに、UE 50は、推定したチャネル行列を用いてNTN RU30から受信したフレーム#1及び地上RU40から受信したフレーム#3を分離する。
【0052】
ここで、パイロット信号挿入部24におけるパイロット信号の挿入について、
図7を用いて説明する。
図7は、CU/DU20からNTN RU30及び地上RU40へ送信される信号系列が示されている。
図7の横軸は時刻を示しており、右側へ行くほど、信号系列を送信した時刻が古いことを示している。
図7に示されるように、CU/DU20から、NTN RU30及び地上RU40へ送信される信号系列は、実質的に同一のタイミングに送信される。
図7の各フレームに向けられている矢印は、パイロット信号挿入部24がパイロット信号を挿入するフレームを示している。例えば、パイロット信号挿入部24は、NTN RU30へ送信する信号系列に含まれるフレーム#1、フレーム#3にパイロット信号を挿入する。さらに、パイロット信号挿入部24は、地上RU40へ送信する信号系列に含まれるフレーム#2、フレーム#4にパイロット信号を挿入する。
【0053】
つまり、パイロット信号挿入部24は、遅延時間がn(nは正の整数)フレームである場合、nフレーム前と同じパターンにてパイロット信号を挿入する信号系列を決定する。具体的には、遅延時間が2フレームである場合、パイロット信号挿入部24は、フレーム#3にパイロット信号を挿入する際には、2フレーム前のフレーム#1と同様に、NTN RU30へ送信する信号系列にパイロット信号を挿入する。また、パイロット信号挿入部24は、フレーム#4にパイロット信号を挿入する際には、2フレーム前のフレーム#2と同様に、地上RU40へ送信する信号系列にパイロット信号を挿入する。
【0054】
ここで、通信部21が、実質的に同一のタイミングに、信号系列をNTN RU30及び地上RU40へ送信した場合に、UE50がNTN RU30及び地上RU40から受信した信号系列に含まれるフレームの先頭位置がずれる場合がある。フレームの先頭位置のずれは、例えば、1フレーム分の時間よりも短く、OFDMシンボルにおけるサイクリックプレフィックスの時間よりも長い時間のずれであってもよい。このようなずれが発生した場合、UE50は、NTN RU30及び地上RU40のそれぞれから受信したフレームを正常に分離することができない可能性がある。そのため、通信部21は、UE50が受信する信号系列に含まれるフレームの先頭位置がずれないように、NTN RU30及び地上RU40のいずれか一方に送信する信号のタイミングを他方に送信する信号のタイミングとずらしてもよい。例えば、CU/DU20は、フレームの先頭位置のずれに関する情報をUE50からフィードバック情報として受信してもよい。または、NTN RU30もしくは地上RU40が、UE50からフィードバック情報を受信し、NTN RU 30もしくは地上RU 40の通信部が、CU/DU20から受信した信号系列をUE50へ送信するタイミングを意図的に遅らせてもよい。
【0055】
図7に示すようにパイロット信号が挿入されることによって、UE50がNTN RU30及び地上RU40から信号系列を受信する際に、実質的に同一のタイミングに受信することとなる2つのフレームのいずれか一方のみにパイロット信号が挿入される。
【0056】
図8は、OFDM信号におけるパイロット信号の配置例について説明する。
図8は、時間及び周波数によって定まる無線リソースを示している。時間は、シンボルを用いて示されてもよい。つまり、OFDM信号における無線リソースは、シンボル及び周波数によって定められてもよい。また、1つのフレームが3シンボルであることが示されている。1つのフレームを構成するシンボル数は、3シンボルに限定されず、様々な値を取り得る。
【0057】
図8は、網掛けされている無線リソースに、パイロット信号が挿入されていることが示されている。例えば、
図8は、NTN RU30を経由して送信されるフレームのうち、フレーム#1、#3、及び#5に割り当てられる無線リソースの先頭シンボルに、パイロット信号が挿入されていることが示されている。また、地上RU40を経由して送信されるフレームのうち、フレーム#2及び#4に割り当てられる無線リソースの先頭シンボルに、パイロット信号が挿入されていることが示されている。パイロット信号が挿入される位置及びパイロット信号の数は、
図8に示される例に限定されない。
【0058】
続いて、
図9を用いて実施の形態2にかかるNTN RU30の構成例について説明する。NTN RU30は、通信部31及び計測部32を有している。通信部31及び計測部32は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信部31及び計測部32は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0059】
通信部31は、CU/DU20、地上RU40、及びUE50と無線通信を行う。通信部31は、CU/DU20との通信を行うための通信制御部、地上RU40と通信を行うための通信制御部、及びUE50と通信を行うための通信制御部をそれぞれ有してもよい。通信部31が、CU/DU20、地上RU40、及びUE50と無線通信を行う際に、全て同じ周波数帯が用いられてもよく、全て異なる周波数帯が用いられてもよい。もしくは、通信部31は、CU/DU20と無線通信を行う際の周波数帯と、地上RU40及びUE50と無線通信を行う際の周波数帯とを分けてもよい。
【0060】
通信部31は、CU/DU20から受信した信号系列を、UE50へ送信する。また、計測部32は、UE50において発生する遅延時間を測定するために用いられる計測用信号を地上RU40へ送信する。計測部32は、地上RU40から計測用信号の送信を要求するための要求信号を受信した場合に、要求信号への応答として計測用信号を地上RU40へ送信してもよい。つまり、計測用信号は、地上RU40から受信した要求新語に対する応答信号であってもよい。もしくは、計測部32は、地上RU40から要求信号を受信したか否かに関わらず、要求信号を地上RU40へ送信してもよい。
【0061】
続いて、
図10を用いて実施の形態2にかかる地上RU40の構成例について説明する。地上RU40は、通信部41及び計測部42を有している。通信部41及び計測部42は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信部41及び計測部42は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0062】
通信部41は、CU/DU20、NTN RU30、及びUE50と無線通信を行う。通信部41は、CU/DU20との通信を行うための通信制御部、NTN RU30と通信を行うための通信制御部、及びUE50と通信を行うための通信制御部をそれぞれ有してもよい。通信部41が、CU/DU20、NTN RU30、及びUE50と無線通信を行う際に、全て同じ周波数帯が用いられてもよく、全て異なる周波数帯が用いられてもよい。もしくは、通信部41は、CU/DU20と無線通信を行う際の周波数帯と、NTN RU30及びUE50と無線通信を行う際の周波数帯とを分けてもよい。
【0063】
通信部41は、CU/DU20から受信した信号系列を、UE50へ送信する。また、計測部42は、UE50において発生する遅延時間を測定する。例えば、計測部42は、通信部41を介して、NTN RU30へ、計測用信号の送信を要求するための要求信号を送信する。その後、計測部42は、要求信号に対する応答信号として、計測用信号を、通信部41を介して受信する。
【0064】
計測部42は、要求信号を送信してから計測用信号を受信するまでの時間を、遅延時間として推定してもよい。もしくは、計測部42は、要求信号を送信することなく、計測用信号を受信した場合、例えば、計測用信号に含まれる、NTN RU30が計測用信号を送信した時刻を示す情報を用いて、計測用信号のNTN RU30から地上RU40への伝搬時間を算出してもよい。この場合、計測部42は、算出した伝搬時間を2倍した時間を、遅延時間として推定してもよい。計測部42は、推定した遅延時間を、通信部41を介してCU/DU20へ送信する。
【0065】
続いて、
図11を用いて実施の形態2にかかるUE50の構成例について説明する。UE50は、通信部51及びMIMO処理部52を有している。通信部51及びMIMO処理部52は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信部51及びMIMO処理部52は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0066】
通信部51は、NTN RU30及び地上RU40のそれぞれから信号系列を受信する。例えば、通信部51は、二つのアンテナを有し、それぞれのアンテナにおいてNTN RU30及び地上RU40から送信された信号系列を受信する。つまり、通信部51は、一方のアンテナにおいてNTN RU30及び地上RU40から送信された信号系列を受信し、さらに、他方のアンテナにおいてもNTN RU30及び地上RU40から送信された信号系列を受信する。
【0067】
信号系列を受信することは、信号系列に含まれるフレームを受信することと言い換えられてもよい。例えば、通信部51は、
図6に示されるように、時刻T1において、NTN RU30からフレーム#1を受信し、地上RU40からフレーム#3を受信したとする。
【0068】
MIMO処理部52は、フレーム#1及びフレーム#3のいずれかに挿入されたパイロット信号を用いて、チャネル行列を推定する。例えば、CU/DU20が、
図7に示されるようにパイロット信号を挿入した場合、NTN RU30から受信したフレーム#1に挿入されたパイロット信号を用いて、チャネル行列を推定する。
【0069】
さらに、MIMO処理部52は、推定したチャネル行列を用いて、それぞれのアンテナにおいて受信したデータを分離して、フレーム#1及びフレーム#3を得る。
【0070】
続いて、
図12を用いて、実施の形態2にかかるCU/DU20における通信処理の流れについて説明する。はじめに、推定部22は、UE50において、NTN RU30を介して受信されたフレームと、地上RU40を介して受信されたフレームとの遅延時間を推定する(S21)。推定部22は、地上RU 40から受信した遅延情報を用いて、UE 50において生じる遅延時間を推定してもよい。もしくは、推定部22は、NTN RU30の軌道情報を用いて、UE50において生じる遅延時間を算出してもよい。
【0071】
次に、信号系列複製部23は、UE50へ送信すべき信号系列を複製する(S22)。信号系列複製部23は、信号系列を複製して、UE50へ信号系列を送信する際の経路と同じ数の信号系列を生成する。
【0072】
次に、パイロット信号挿入部24は、NTN RU30及び地上RU40へ送信するそれぞれの信号系列にパイロット信号を挿入する(S23)。パイロット信号挿入部24は、遅延時間に基づいて、CU/DU20から実質的に同一のタイミングに送信されたフレームが、UE50において到達する際にどの程度のフレームの差が生じるかを特定する。パイロット信号挿入部24は、UE50において、実質的に同一のタイミングに受信することになるフレームについて、どちらかのフレームにパイロット信号を挿入するように、パイロット信号を送信するフレームを選択する。パイロット信号が挿入されたフレーム及びパイロット信号が挿入されなかったフレームは、NTN RU30及び地上RU40を介してUE50へ送信される。
【0073】
続いて、
図13を用いて、実施の形態2にかかるUE50における信号の受信処理の流れについて説明する。はじめに、通信部51は、NTN RU30及び地上RU40のそれぞれから、信号系列に含まれるフレームを受信する(S31)。次に、MIMO処理部52は、フレームに含まれるパイロット信号を用いてチャネル行列を推定し、フレームの分離処理を行う(S32)。
【0074】
次に、MIMO処理部52は、複数のアンテナ、例えば、2本のアンテナにおいて受信した信号のうち、少なくともいずれかのアンテナにおいて受信した信号の分離処理が成功したか否かを判定する(S33)。例えば、MIMO処理部52は、分離処理後の信号に関するCRCチェックを行い、エラーが発生しなかった場合に、分離処理が成功したと判定し、エラーが発生した場合に、分離処理が失敗したと判定してもよい。
【0075】
MIMO処理部52は、信号の分離処理が成功した場合、分離した信号を保存する(S34)。次に、MIMO処理部52は、受信した信号のダイバーシティ処理を行い、信号の補正等を行う(S35)。例えば、MIMO処理部52は、複数のアンテナにおいて受信した同じ信号を用いて、ダイバーシティ処理を行ってもよい。もしくは、MIMO処理部52は、受信した信号と同じ信号が既に保存されている場合、受信した信号と保存されている信号とを用いてダイバーシティ処理を行ってもよい。MIMO処理部52は、エラーを含まない信号として保存されている信号との間においてダイバーシティ処理を行ってもよく、エラーを含む信号として保存されている信号との間においてダイバーシティ処理を行ってもよい。ここで、MIMO処理部52は、受信した信号と同じ信号が存在しない場合、ダイバーシティ処理を行うことなく、信号の受信処理を終了してもよい。
【0076】
MIMO処理部52は、全てのアンテナにおける信号の分離処理が失敗したと判定した場合、分離処理を失敗したフレームを保存する(S36)。
【0077】
以上説明したように、実施の形態2にかかるCU/DU20は、実質的に同一のタイミングに送信した信号系列が、UE50へ、どの程度遅延して到達するかを推定する。さらに、CU/DU20は、遅延時間を用いて、UE50がNTN RU30及び地上RU40を介して受信するそれぞれのフレームの両方にパイロット信号が挿入されることの無いように、パイロット信号を挿入するフレームを選択する。これにより、UE50は、NTN RU30及び地上RU40とのMIMO通信を行う際に、NTN RU30及び地上RU40のそれぞれから受信した信号系列を分離して受信することができる。その結果、UE50は、MIMO通信を行うことによるダイバーシティ効果を得ることができるため、無線区間における信号品質の劣化を防止することができる。
【0078】
図14は、NTN RU30及び地上RU40(以下、NTN RU30等とする)の構成例を示すブロック図である。
図14を参照すると、NTN RU30等は、RFトランシーバ1001、ネットワークインタフェース1003、プロセッサ1004、及びメモリ1005を含む。RFトランシーバ1001は、UEsと通信するためにアナログRF信号処理を行う。RFトランシーバ1001は、複数のトランシーバを含んでもよい。RFトランシーバ1001は、アンテナ1002及びプロセッサ1004と結合される。RFトランシーバ1001は、変調シンボルデータ(又はOFDMシンボルデータ)をプロセッサ1004から受信し、送信RF信号を生成し、送信RF信号をアンテナ1002に供給する。また、RFトランシーバ1001は、アンテナ1002によって受信された受信RF信号に基づいてベースバンド受信信号を生成し、これをプロセッサ1004に供給する。
【0079】
ネットワークインタフェース1003は、ネットワークノード(e.g., 他のコアネットワークノード)と通信するために使用される。ネットワークインタフェース1003は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインターフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0080】
プロセッサ1004は、無線通信のためのデジタルベースバンド信号処理を含むデータプレーン処理とコントロールプレーン処理を行う。デジタルベースバンド信号処理は、他の通信装置において実行されてもよい。
【0081】
プロセッサ1004は、複数のプロセッサを含んでもよい。例えば、プロセッサ1004は、デジタルベースバンド信号処理を行うモデム・プロセッサ(e.g., DSP)、及びコントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサ(e.g., CPU又はMPU)を含んでもよい。
【0082】
メモリ1005は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1005は、物理的に独立した複数のメモリデバイスを含んでもよい。揮発性メモリは、例えば、Static Random Access Memory(SRAM)若しくはDynamic RAM(DRAM)又はこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、マスクRead Only Memory(MROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、若しくはハードディスクドライブ、又はこれらの任意の組合せである。メモリ1005は、プロセッサ1004から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1004は、ネットワークインタフェース1003又は図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ1005にアクセスしてもよい。
【0083】
メモリ1005は、上述の複数の実施形態で説明されたNTN RU30等による処理を行うための命令群およびデータを含むソフトウェアモジュール(コンピュータプログラム)を格納してもよい。いくつかの実装において、プロセッサ1004は、当該ソフトウェアモジュールをメモリ1005から読み出して実行することで、上述の実施形態で説明された基地局10等の処理を行うよう構成されてもよい。
【0084】
図15は、UE50の構成例を示すブロック図である。Radio Frequency(RF)トランシーバ1101は、NTN RU30及び地上RU40と通信するためにアナログRF信号処理を行う。RFトランシーバ1101により行われるアナログRF信号処理は、周波数アップコンバージョン、周波数ダウンコンバージョン、及び増幅を含む。RFトランシーバ1101は、アンテナ1102及びベースバンドプロセッサ1103と結合される。すなわち、RFトランシーバ1101は、変調シンボルデータ(又はOFDMシンボルデータ)をベースバンドプロセッサ1103から受信し、送信RF信号を生成し、送信RF信号をアンテナ1102に供給する。また、RFトランシーバ1101は、アンテナ1102によって受信された受信RF信号に基づいてベースバンド受信信号を生成し、これをベースバンドプロセッサ1103に供給する。
【0085】
ベースバンドプロセッサ1103は、無線通信のためのデジタルベースバンド信号処理(データプレーン処理)とコントロールプレーン処理を行う。デジタルベースバンド信号処理は、(a) データ圧縮/復元、(b) データのセグメンテーション/コンカテネーション、(c) 伝送フォーマット(伝送フレーム)の生成/分解、(d) 伝送路符号化/復号化、(e) 変調(シンボルマッピング)/復調、及び(f) Inverse Fast Fourier Transform(IFFT)によるOFDMシンボルデータ(ベースバンドOFDM信号)の生成などを含む。一方、コントロールプレーン処理は、レイヤ1、レイヤ2、及びレイヤ3の通信管理を含む。
【0086】
ベースバンドプロセッサ1103は、デジタルベースバンド信号処理を行うモデム・プロセッサ(e.g., Digital Signal Processor(DSP))とコントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサ(e.g., Central Processing Unit(CPU)、又はMicro Processing Unit(MPU))を含んでもよい。この場合、コントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサは、後述するアプリケーションプロセッサ1104と共通化されてもよい。
【0087】
アプリケーションプロセッサ1104は、CPU、MPU、マイクロプロセッサ、又はプロセッサコアとも呼ばれる。アプリケーションプロセッサ1104は、複数のプロセッサ(複数のプロセッサコア)を含んでもよい。アプリケーションプロセッサ1104は、メモリ1106又は図示されていないメモリから読み出されたシステムソフトウェアプログラム(Operating System(OS))及び様々なアプリケーションプログラム(例えば、通話アプリケーション、WEBブラウザ、メーラ、カメラ操作アプリケーション、音楽再生アプリケーション)を実行することによって、UE50の各種機能を実現する。
【0088】
いくつかの実装において、
図15に破線(1105)で示されているように、ベースバンドプロセッサ1103及びアプリケーションプロセッサ1104は、1つのチップ上に集積されてもよい。言い換えると、ベースバンドプロセッサ1103及びアプリケーションプロセッサ1104は、1つのSystem on Chip(SoC)デバイス1105として実装されてもよい。SoCデバイスは、システムLarge Scale Integration(LSI)またはチップセットと呼ばれることもある。
【0089】
メモリ1106は、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリ又はこれらの組合せである。メモリ1106は、物理的に独立した複数のメモリデバイスを含んでもよい。揮発性メモリは、例えば、Static Random Access Memory(SRAM)若しくはDynamic RAM(DRAM)又はこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、マスクRead Only Memory(MROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、若しくはハードディスクドライブ、又はこれらの任意の組合せである。例えば、メモリ1106は、ベースバンドプロセッサ1103、アプリケーションプロセッサ1104、及びSoC1105からアクセス可能な外部メモリデバイスを含んでもよい。メモリ1106は、ベースバンドプロセッサ1103内、アプリケーションプロセッサ1104内、又はSoC1105内に集積された内蔵メモリデバイスを含んでもよい。さらに、メモリ1106は、Universal Integrated Circuit Card(UICC)内のメモリを含んでもよい。
【0090】
メモリ1106は、上述の複数の実施形態で説明されたUE50による処理を行うための命令群およびデータを含むソフトウェアモジュール(コンピュータプログラム)を格納してもよい。いくつかの実装において、ベースバンドプロセッサ1103又はアプリケーションプロセッサ1104は、当該ソフトウェアモジュールをメモリ1106から読み出して実行することで、上述の実施形態で説明されたUE50の処理を行うよう構成されてもよい。
【0091】
図16は、制御装置10及びCU/DU20(以下、制御装置10等とする)の構成例を示すブロック図である。
図16を参照すると、制御装置10等は、ネットワークインタフェース1201、プロセッサ1202、及びメモリ1203を含む。ネットワークインタフェース1201は、ネットワークノード(e.g., eNB、MME、P-GW、)と通信するために使用される。ネットワークインタフェース1201は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。ここで、eNBはevolved Node B、MMEはMobility Management Entity、P-GWはPacket Data Network Gatewayを表す。IEEEは、Institute of Electrical and Electronics Engineersを表す。
【0092】
プロセッサ1202は、メモリ1203からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態においてフローチャートを用いて説明された制御装置10等の処理を行う。プロセッサ1202は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU、又はCPUであってもよい。プロセッサ1202は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0093】
メモリ1203は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1203は、プロセッサ1202から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1202は、図示されていないI/O(Input/Output)インタフェースを介してメモリ1203にアクセスしてもよい。
【0094】
図16の例では、メモリ1203は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ1202は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ1203から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された制御装置10等の処理を行うことができる。
【0095】
図16を用いて説明したように、上述の実施形態における制御装置10等が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。
【0096】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0097】
なお、本開示における技術的思想は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0098】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
非地上系通信装置及び地上系通信装置と通信する通信部と、
前記地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する前記非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定する推定部と、
前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する制御部と、を備える制御装置。
(付記2)
前記制御部は、
前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列のいずれか一方に前記参照信号を挿入して送信しているタイミングには、前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列の他方には前記参照信号を挿入しない、請求項1に記載の制御装置。
(付記3)
前記制御部は、
前記遅延時間に基づいて、前記通信端末が実質的に同一のタイミングに受信する、前記第1の信号系列に含まれる第1のデータと、前記第2の信号系列に含まれる第2のデータとを特定し、前記第1のデータと、前記第2のデータとのいずれか一方に前記参照信号を挿入する、請求項2に記載の制御装置。
(付記4)
前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列は、それぞれ複数のフレームによって構成され、
前記制御部は、
前記フレーム単位に前記参照信号を挿入する信号系列を切り替える、請求項2又は3に記載の制御装置。
(付記5)
前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列は、時間軸方向の通信リソースを有する信号系列であり、
前記制御部は、
時間軸方向において、前記非地上系通信装置へ送信する前記参照信号と、前記地上系通信装置へ送信する前記参照信号とを交互に配置する、請求項2から4のいずれか1項に記載の制御装置。
(付記6)
前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列は、それぞれ複数のフレームによって構成され、
前記制御部は、
前記通信端末が受信する、前記第1の信号系列に含まれる第1のフレームと前記第2の信号系列に含まれる第2のフレームとのそれぞれの先頭タイミングを一致させるように、前記第1の信号系列を前記非地上系通信装置へ送信するタイミングと、及び前記第2の信号系列を前記地上系通信装置へ送信するタイミングと、を制御する、請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置。
(付記7)
前記推定部は、
前記非地上系通信装置と前記地上系通信装置との間におけるデータの伝搬時間に関する情報に基づいて、前記遅延時間を推定する、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
(付記8)
前記推定部は、
前記非地上系通信装置と前記地上系通信装置との間における距離に基づいて、前記遅延時間を推定する、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
(付記9)
非地上系通信装置と、
地上系通信装置と、
前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置と通信する通信部と、前記地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する前記非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定する推定部と、前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する制御部と、を有する制御装置と、を備える通信システム。
(付記10)
前記制御部は、
前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列のいずれか一方に前記参照信号を挿入して送信しているタイミングには、前記第1の信号系列及び前記第2の信号系列の他方には前記参照信号を挿入しない、請求項9に記載の通信システム。
(付記11)
地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定し、
前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する、制御方法。
(付記12)
地上系通信装置を介した通信端末との通信に対する非地上系通信装置を介した前記通信端末との通信の遅延時間を推定し、
前記非地上系通信装置及び前記地上系通信装置を用いて前記通信端末とMIMO通信を行う場合に、前記遅延時間に基づいて、前記非地上系通信装置へ送信する第1の信号系列と、前記地上系通信装置へ送信する第2の信号系列と、に挿入する参照信号の挿入タイミングを制御する、ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【0099】
なお、本開示にかかる技術的思想は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
10 制御装置
11 通信部
12 推定部
13 制御部
20 CU/DU
21 通信部
22 推定部
23 信号系列複製部
24 パイロット信号挿入部
30 NTN RU
31 通信部
32 計測部
40 地上RU
41 通信部
42 計測部
50 UE
51 通信部
52 MIMO処理部