(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006430
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/08 20060101AFI20240110BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240110BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20240110BHJP
F24F 9/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F24F7/08 Z
F24F7/007 B
F24F13/02 D
F24F9/00 A
F24F9/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107271
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】水澤 竜也
(72)【発明者】
【氏名】宮越 智也
【テーマコード(参考)】
3L056
3L080
【Fターム(参考)】
3L056BD02
3L056BD04
3L080AA03
3L080AA04
3L080AC01
(57)【要約】
【課題】室内における快適性が低下することを抑制しながら、冷却装置の電力消費量の増加を抑制することが可能な換気システムを提供する。
【解決手段】この換気システム100は、室外の外気を取り入れるとともに、室内に設置されているショーケース1の上方に配置された第1給気口部24から取り入れた外気を室内に送風する給気装置2と、ショーケース1の上方に配置され、第1給気口部24からの外気をショーケース1に向かって導く分配ダクト部23と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外の外気を取り入れるとともに、室内に設置されている冷却装置の上方に配置された第1給気口部から取り入れた外気を室内に送風する給気装置と、
前記冷却装置の上方に配置され、前記第1給気口部からの外気を前記冷却装置に向かって導く導風部と、を備える、換気システム。
【請求項2】
前記冷却装置は、内部に冷却対象物を収納する収納部を有し、
前記導風部は、前記冷却装置において前記収納部に対してアクセス可能な開口部が設けられている前面側に向かって、前記冷却装置の上方から下方に外気を導く、請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
室内における少なくとも温度を測定する室内センサと、
室外における少なくとも温度を測定する室外センサと、
前記給気装置の給気動作を制御する制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記室内センサによる測定に基づいて、室内における温度または単位量あたりのエンタルピーを含む室内測定値を取得し、
前記室外センサによる測定に基づいて、室外における温度または単位量あたりのエンタルピーを含む室外測定値を取得し、
取得された前記室内測定値および前記室外測定値に基づいて、前記給気装置の給気動作を制御するように構成されている、請求項1または2に記載の換気システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記室内測定値が前記室外測定値よりも大きい場合に、前記給気装置により前記第1給気口部から外気を室内に送風させるとともに、
前記室内測定値が前記室外測定値よりも小さい場合に、前記給気装置による前記第1給気口部からの給気を停止するように構成されている、請求項3に記載の換気システム。
【請求項5】
前記給気装置は、前記第1給気口部とは別個に、前記冷却装置に対して前記第1給気口部よりも離間して設けられ、室内に外気を送風するための第2給気口部を有し、
前記制御部は、前記室内測定値が前記室外測定値よりも小さい場合に、前記給気装置による前記第1給気口部からの給気を停止するとともに、前記第2給気口部から外気を室内に送風させるように構成されている、請求項4に記載の換気システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記室内測定値が前記室外測定値よりも大きい場合に、前記給気装置により前記第1給気口部および前記第2給気口部から外気を室内に送風させるとともに、
前記室内測定値が前記室外測定値よりも小さい場合に、前記給気装置による前記第1給気口部からの給気を停止するとともに、前記第1給気口部からの給気を停止した分だけ、前記第2給気口部から外気を室内に送風させる風量を大きくするように構成されている、請求項5に記載の換気システム。
【請求項7】
前記給気装置は、前記第1給気口部と前記第2給気口部との各々に外気を導く流路において、前記第1給気口部と前記第2給気口部との各々に供給される外気の流量を調整する流量調整部を含み、
前記制御部は、前記室内測定値が前記室外測定値よりも小さい場合に、前記流量調整部により外気の流量を調整することによって、前記給気装置による前記第1給気口部からの給気を停止するとともに、前記第2給気口部から外気を室内に送風させるように構成されている、請求項5に記載の換気システム。
【請求項8】
前記室内センサは、室内において、前記給気装置により前記第1給気口部から送風された外気が直接的に当たらない位置に配置されている、請求項3に記載の換気システム。
【請求項9】
前記第1給気口部は、前記冷却装置の上方における室内の天井部分に設けられており、
前記導風部は、前記冷却装置の天面と前記天井部分との間に配置され、前記第1給気口部からの外気を前記冷却装置に向かって導くダクト部を含む、請求項1または2に記載の換気システム。
【請求項10】
前記冷却装置は、所定方向に沿って並ぶように複数配置されており、
前記ダクト部は、前記第1給気口部からの外気を複数の前記冷却装置に分配するように、前記冷却装置の天面と前記天井部分との間において前記所定方向に延びるように配置されている、請求項9に記載の換気システム。
【請求項11】
前記ダクト部は、空気の吐き出し口である吐出部を有し、前記吐出部に配置され、吐き出された外気が前記冷却装置の前面において所定方向に広がるように整流する整流部を有する、請求項9に記載の換気システム。
【請求項12】
室内の空気を室外に排気する排気装置をさらに備え、
前記制御部は、室内を室外に対して、正圧、負圧、または、均圧に保つように、前記給気装置による給気量と前記排気装置による排気量との少なくとも一方を制御する、請求項3に記載の換気システム。
【請求項13】
前記冷却装置は、店舗の室内に設置されているショーケースを含み、
前記導風部は、前記店舗の室内に設置された前記ショーケースの上方に配置され、前記第1給気口部からの外気を前記ショーケースに向かって導く、請求項1または2に記載の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、換気システムに関し、冷却装置が設置されている室内を換気する換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却装置が設定されている室内を換気する換気システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の換気システムは、冷設機器(冷却装置)が設けられた店舗の売り場の換気を行う換気ユニットを備えている。冷設機器は、商品を収納する収納空間を有し、収納された商品を冷蔵または冷凍する。また、換気ユニットは、吸気ファンにより店舗の外の空気を店舗の売り場に入れることと、排気ファンにより店舗の売り場の空気を店舗の外に出すこととの少なくとも一方を行うことによって、店舗の換気を行う。そして、上記特許文献1に記載の換気システムは、外気温が閾値温度以下である場合に換気量を増加させることによって、冷設機器の周辺の温度を低下させて冷設機器の電力消費量を削減するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の換気システムでは、冷設機器(冷却装置)の電力消費量を削減するために換気量を増加させることによって、店内(室内)全体の温度を低下させている。これにより、冬場などにおいて室内が寒くなるため室内における快適性が低下するという不都合がある。そのため、室内温度の低下を抑制して室内における快適性が低下することを抑制しながら、冷却装置の電力消費量の増加を抑制することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、室内における快適性が低下することを抑制しながら、冷却装置の電力消費量の増加を抑制可能な換気システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による換気システムは、室外の外気を取り入れるとともに、室内に設置されている冷却装置の上方に配置された第1給気口部から取り入れた外気を室内に送風する給気装置と、冷却装置の上方に配置され、第1給気口部からの外気を冷却装置に向かって導く導風部と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面による換気システムは、上記のように、冷却装置の上方に配置され、第1給気口部からの外気を冷却装置に向かって導く導風部を備える。これにより、冷却装置の上方から、外気を冷却装置に向かって導くことができるため、室内の空調機器などによって暖められる前の外気を直接的に冷却装置の周囲に導くことができる。そのため、冷却装置の周囲の温度(単位量あたりのエンタルピー)を室内の平均よりも小さくすることができるため、冷却装置の周囲の温度(単位量あたりのエンタルピー)が室内の平均と略等しい場合に比べて、冷却装置の熱負荷を小さくすることができる。そして、第1給気口部からの外気を冷却装置に向かって導くことによって、室内全体の給気量(換気量)を変更させることなく冷却装置の周囲の温度(単位量あたりのエンタルピー)を小さくすることができる。そのため、冷却装置の周囲の温度を低下させるために換気が過度に行われることを抑制することができるので、冬場などに外気の温度が低い場合にも室内全体の平均の温度が低下することを抑制することができる。これらの結果、室内全体の温度の低下を抑制しながら、冷却装置の熱負荷を小さくすることができるため、室内における快適性が低下することを抑制しながら、冷却装置の電力消費量の増加を抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による換気システムにおいて、好ましくは、冷却装置は、内部に冷却対象物を収納する収納部を有し、導風部は、冷却装置において収納部に対してアクセス可能な開口部が設けられている前面側に向かって、冷却装置の上方から下方に外気を導く。ここで、収納部に対してアクセス可能な開口部を介して、室内の空気と冷却装置の内部の空気との間で熱交換が行われる。この点を考慮して、本発明では、導風部は、冷却装置において収納部に対してアクセス可能な開口部が設けられている前面側に向かって、冷却装置の上方から下方に外気を導く。このように構成すれば、冷却装置の前面側における室内の空気の温度(エンタルピー)を室内の平均よりも小さくすることができるので、冷却装置の熱負荷を効果的に小さくすることができる。そのため、冷却装置の電力消費量の増加を効果的に抑制することができる。なお、ここで言う「収納部にアクセス可能な開口部」は、扉部が設けられておらず常に開口している開口部と、扉部が設けられており扉部の開放により開口する開口部との両方を含む広い概念として記載している。
【0010】
上記一の局面による換気システムにおいて、好ましくは、室内において少なくとも温度を測定する室内センサと、室外において少なくとも温度を測定する室外センサと、給気装置の給気動作を制御する制御部と、をさらに備え、制御部は、室内センサによる測定に基づいて、室内における温度または単位量あたりのエンタルピーを含む室内測定値を取得し、室外センサによる測定に基づいて、室外における温度または単位量あたりのエンタルピーを含む室外測定値を取得し、取得された室内測定値および室外測定値に基づいて、給気装置の給気動作を制御するように構成されている。このように構成すれば、制御部により、室内センサおよび室外センサによる測定に基づいて、室内および室外の温度または単位量あたりのエンタルピーを測定することができるとともに、給気装置の給気動作を自動的に制御することができる。そのため、室内および室外の温度または単位量あたりのエンタルピーに基づいて、給気装置の給気動作を制御部により制御することができるので、室内温度の低下を抑制しながら、冷却装置の電力消費量の増加を容易に抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合に、給気装置により第1給気口部から外気を室内に送風させるとともに、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、給気装置による第1給気口部からの給気を停止するように構成されている。このように構成すれば、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、外気が冷却装置の周囲に導かれることを抑制することができる。そのため、室外の温度または単位量あたりのエンタルピーが室内よりも大きい場合に、温度または単位量あたりのエンタルピーの大きい外気が冷却装置の周囲に導かれることを抑制することができる。その結果、温度または単位量あたりのエンタルピーの大きい外気が冷却装置の周囲に導かれることに起因して、冷却装置の電力消費量が大きくなることを抑制することができる。なお、ここでいう「給気を停止する」とは、第1給気口部からの外気の流量が完全にゼロである状態のみならず、第1給気口部から、冷却装置の電力消費量に影響を及ぼさない程度に外気が僅かに侵入してくる状態をも含む広い概念として記載している。
【0012】
上記室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に第1給気口部からの給気を停止する換気システムにおいて、好ましくは、給気装置は、第1給気口部とは別個に、冷却装置に対して第1給気口部よりも離間して設けられ、室内に外気を送風するための第2給気口部を有し、制御部は、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、給気装置による第1給気口部からの給気を停止するとともに、第2給気口部から外気を室内に送風させるように構成されている。このように構成すれば、第1給気口部からの給気を停止する場合に、冷却装置に対して第1給気口部よりも離間して設けられている第2給気口部から外気を室内に送風させることができる。そのため、温度または単位量あたりのエンタルピーの大きい外気が冷却装置の周囲に導かれることを抑制することができるとともに、冷却装置からの距離が大きい第2給気口部を用いて室内の給気量を確保することができる。その結果、冷却装置の電力消費量が大きくなることを抑制することができるとともに、室内の換気量を確保することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、制御部は、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合に、給気装置により第1給気口部および第2給気口部から外気を室内に送風させるとともに、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、給気装置による第1給気口部からの給気を停止するとともに、第1給気口部からの給気を停止した分だけ、第2給気口部から外気を室内に送風させる風量を大きくするように構成されている。このように構成すれば、第1給気口部からの給気を停止する場合に、第2給気口部からの風量を大きくすることによって、換気システム全体の給気量が変化することを抑制することができる。そのため、第1給気口部からの給気を停止する場合にも、室内の換気を十分に行うことができる。
【0014】
上記第1給気口部とは別個に第2給気口部が設けられている換気システムにおいて、好ましくは、給気装置は、第1給気口部と第2給気口部との各々に外気を導く流路において、第1給気口部と第2給気口部との各々に供給される外気の流量を調整する流量調整部を含み、制御部は、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、流量調整部により外気の流量を調整することによって、給気装置による第1給気口部からの給気を停止するとともに、第2給気口部から外気を室内に送風させるように構成されている。このように構成すれば、流量調整部の動作を制御することによって、第1給気口部と第2給気口部との各々に供給される外気の流量を容易に調整することができる。
【0015】
上記室内センサ、室外センサ、および、制御部を備える換気システムにおいて、好ましくは、室内センサは、室内において、給気装置により第1給気口部から送風された外気が直接的に当たらない位置に配置されている。このように構成すれば、第1給気口部から送風された外気が直接的に当たらない位置に室内センサが配置されているため、室内に取り入れた外気が拡散された状態における室内の平均的な温度を室内センサによって測定することができる。その結果、室内の温度または単位量あたりのエンタルピーの平均的な大きさを測定することができるので、室内測定値に基づく給気装置の動作をより正確に制御することができる。
【0016】
上記一の局面による換気システムにおいて、好ましくは、第1給気口部は、冷却装置の上方における室内の天井部分に設けられており、導風部は、冷却装置の天面と天井部分との間に配置され、第1給気口部からの外気を冷却装置に向かって導くダクト部を含む。このように構成すれば、冷却装置の天面と天井部分との間に配置されたダクト部によって、冷却装置に向かって効率的に外気を導くことができる。
【0017】
この場合、好ましくは、冷却装置は、所定方向に沿って並ぶように複数配置されており、ダクト部は、第1給気口部からの外気を複数の冷却装置に分配するように、冷却装置の天面と天井部分との間において所定方向に延びるように配置されている。このように構成すれば、複数の冷却装置が所定方向に沿って並んで配置されている場合にも、ダクト部によって、複数の冷却装置の全体に対して外気を導くことができる。そのため、所定方向に並んで配置されている複数の冷却装置の各々における熱負荷を小さくすることができる。その結果、複数の冷却装置が所定方向に沿って並んで配置されている場合にも、室内における快適性が低下することを抑制しながら、複数の冷却装置の電力消費量の増加を抑制することができる。
【0018】
上記導風部がダクト部を含む換気システムにおいて、好ましくは、ダクト部は、空気の吐き出し口である吐出部を有し、吐出部に配置され、吐き出された外気が冷却装置の前面において所定方向に広がるように整流する整流部を有する。このように構成すれば、整流部により外気が所定方向に広がるように整流されるため、所定方向に並んで配置されている複数の冷却装置の全体に対して外気を導くことができる。そのため、複数の冷却装置のうちの一部分において電力消費量が大きくなることを抑制することができる。
【0019】
上記室内センサ、室外センサ、および、制御部を備える換気システムにおいて、好ましくは、室内の空気を室外に排気する排気装置をさらに備え、制御部は、室内を室外に対して、正圧、負圧、または、均圧に保つように、給気装置による給気量と排気装置による排気量との少なくとも一方を制御する。このように構成すれば、室内が正圧の場合は、給気装置により給気される外気の量が大きくなるため、冷却装置に対して導かれる外気の量を多くすることができる。そのため、冷却装置の電力消費量が大きくなることをより抑制することができる。また、室内が負圧の場合は、給気装置以外の部分からも外気が室内に導かれるため、室内の空気における温度の偏りを抑制することができるので、空調機器における電力消費量が大きくなることを抑制することができる。また、室内が室外に対して均圧の場合は、室内と外部との間において空気の流れが発生しにくいため、温度の低い外気が給気装置以外から室内に入りにくく、室内の温度の高い空気が外部に流出しにくくなる。これにより、冷却装置における冷却負荷が大きくなることを抑制しながら、室内の温度を一定に保ちやすくなるため、室内における快適性の低下をより抑制することができる。なお、ここで言う「正圧」とは、室内の気圧が室外に比べて大きい状態を意味する。また、ここで言う「負圧」とは、室内の気圧が室外に比べて小さい状態を意味する。また、ここで言う「均圧」とは、室内の気圧が室外に比べて略等しい状態を意味する。
【0020】
上記一の局面による換気システムにおいて、好ましくは、冷却装置は、店舗の室内に設置されているショーケースを含み、導風部は、店舗の室内に設置されたショーケースの上方に配置され、第1給気口部からの外気をショーケースに向かって導く。このように構成すれば、店舗内に設置されたショーケースに向かって外気を直接的に導くことができるので、店舗内に設置されたショーケースにおいて電力消費量の増加を抑制することができる。その結果、店舗内における快適性の低下を抑制しながら、ショーケースの電力消費量の増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、室内における快適性が低下することを抑制しながら、冷却装置の電力消費量の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】換気システムを配置した店舗の模式図である。
【
図2】店舗内の空気の流れを説明するための図である。
【
図4】分配ダクト部によって分配された空気の流れを説明するための図である。
【
図5】実施例による店舗の熱収支を説明するための図である。
【
図6】比較例による店舗の熱収支を説明するための図である。
【
図7】本発明の変形例による導風部を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態による換気システム100の構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、換気システム100は、ショーケース1と、給気装置2と、排気装置3と、室外センサ4と、室内センサ5と、制御部6とを含む。換気システム100は、店舗50を換気するために用いられる。なお、店舗内は、特許請求の範囲に記載した「室内」の一例である。また、ショーケース1は、特許請求の範囲に記載した「冷却装置」の一例である。
【0026】
店舗50の室内には、ショーケース1と、扉付きショーケース11と、商品棚12とが設置されている。
図1の例では、ショーケース1が入口扉51から離れた位置に配置されている。店舗50は、ショーケース1が配置される店舗50であれば特に限定されないが、たとえば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストアである。なお、本明細書において、店舗50の天井52(
図2参照)と床とを結ぶ上下方向をZ方向とし、天井52側をZ1側とし、床側をZ2側とする。なお、
図1は、換気システム100の配置を模式的に示している。なお、天井52は、特許請求の範囲における「天井部分」の一例である。
【0027】
図2に示すように、ショーケース1には、商品を配置する複数の棚1aが配置されている。棚1aは、ショーケース1の内部において商品を収納する。そして、ショーケース1は、複数の棚1aに配置された商品を冷却するように構成されている。なお、
図2は、図を分かりやすくするために、給気ファン21をショーケース1の上方に配置している。なお、ここで言う「商品」は、特許請求の範囲における「冷却対象物」の一例である。また、複数の棚1aは、特許請求の範囲における「収納部」の一例である。
【0028】
図3に示すように、ショーケース1には、冷凍サイクル60が設けられている。冷凍サイクル60は、圧縮機61と、凝縮器62と、膨張部63と、蒸発器64とから構成される。圧縮機61は、冷媒を圧縮する。具体的には、低圧の冷媒蒸気が、高圧の気相冷媒に圧縮される。圧縮機61において圧縮された冷媒は、凝縮器62に供給される。凝縮器62は、冷媒を凝縮する。具体的には、高圧の冷媒蒸気が、高圧の液相冷媒に凝縮される。凝縮器62において凝縮された冷媒は、膨張部63に供給される。膨張部63は、冷媒を膨張させる。具体的には、高圧の液相冷媒が、膨張されて低圧低温の気液二相の冷媒に変化する。膨張部63は、たとえば、膨張弁である。膨張部63で膨張された冷媒は、蒸発器64に供給される。蒸発器64は、冷媒を蒸発させる。具体的には、低温低圧の冷媒が、低圧の気相冷媒に変化する。このとき、空気の熱を奪って冷媒が蒸発するため、空気は冷却される。気相冷媒は、圧縮機61に戻る。冷却された空気によって、ショーケース1内の商品が冷却される。
【0029】
図2に示すように、ショーケース1は、商品を取り出すまたは商品を収容するために、前面側において棚1aに対してアクセス可能な開口部1bが設けられている。ショーケース1の開口部1bには、エアカーテンを形成するための吹き出し口1cと吸込み口1dとが配置されている。吹き出し口1cと吸込み口1dはZ方向に対向して配置される。
図2では、エアカーテンを破線の矢印で表している。エアカーテンは、上方から下方に冷却された空気が流れる。吹き出し口1cから、ショーケース1内を冷却する空気の一部が上方から下方に向かって吹出され、吸込み口1dに吸い込まれる。ショーケース1は、店舗50内において左右方向に沿って並ぶように複数配置されている。なお、ここで言う左右方向は、特許請求の範囲における「所定方向」の一例である。
【0030】
扉付きショーケース11は、ショーケース1と異なり、扉が開口部分に取り付けられている。商品棚12は、ショーケース1および扉付きショーケース11以外の商品を収容可能な部材である。商品棚12は、商品を常温で保存する収納棚でもよい。
【0031】
図1に示すように、給気装置2は、給気ファン21と、天井ダクト部22と、分配ダクト部23と、第1給気口部24と、第2給気口部25と、流量調整部26とを含む。給気装置2は、室外の外気を取り入れるとともに、第1給気口部24および第2給気口部25から取り入れた外気を室内に送風する。
【0032】
図1および
図2に示すように、給気ファン21は、たとえば、店舗50の天井52と屋根53との間に配置される。給気ファン21は、駆動することにより、店舗50の外壁面に設けられた換気口部22aから室外の外気を取り入れるとともに、取り入れた外気を室内に送風することによって、外気を室内に供給する。給気ファン21は、たとえば、ファンボックスを含む。
【0033】
天井ダクト部22は、給気ファン21により供給された外気を室内に導く。具体的には、天井ダクト部22は、第1給気口部24および第2給気口部25を介して取り入れた外気を室内に導く。天井ダクト部22は、たとえば、配管、ダクトなどを含む。
【0034】
分配ダクト部23は、ショーケース1の上方(Z1方向側)に配置されている。具体的には、分配ダクト部23は、ショーケース1の天面(Z1方向側の面)と室内の天井52との間に配置されている。そして、分配ダクト部23は、第1給気口部24からの外気をショーケース1に向かって導く。具体的には、分配ダクト部23は、ショーケース1において開口部1bが設けられている前面側に向かって、ショーケース1の上方から下方に外気を導く。分配ダクト部23は、特許請求の範囲における「導風部」および「ダクト部」の一例である。
【0035】
図2および
図4に示すように、分配ダクト部23によって導かれた外気は、ショーケース1の前面側の開口部1bに沿って上方から下方に向かって導かれる。すなわち、分配ダクト部23によって取り入れた外気は、ショーケース1のエアカーテンに沿って流れるように導かれる。なお、
図2および
図4では、外気の流れを実線の矢印によって表している。また、
図4において、
図2と同様にエアカーテンを破線の矢印で表している。
【0036】
分配ダクト部23は、第1給気口部24からの外気を、左右方向に沿って並ぶ複数のショーケース1に分配するように、ショーケース1の天面と天井52との間において左右方向に沿って延びるように配置されている。また、分配ダクト部23は、空気の吐き出し口である吐出部23aを有する。そして、分配ダクト部23は、整流部23bを有する。整流部23bは、吐出部23aに配置されている。整流部23bは、吐き出された外気がショーケース1の前面において左右方向に広がるように整流する。整流部23bは、たとえば、板状のルーバーを含む。また、第1給気口部24からの外気は、整流部23bにおける圧力損失によって、複数のショーケース1に分配される。
【0037】
図2に示すように、第1給気口部24は、店舗50の室内に設置されているショーケース1の上方に配置されている。具体的には、第1給気口部24は、ショーケース1の上方における室内の天井52に設けられている。第1給気口部24は、天井ダクト部22によって導かれた外気を分配ダクト部23に流す。第1給気口部24は、複数のショーケース1ごとに各々配置されていてもよく、複数のショーケース1に対して1つ配置されていてもよい。
【0038】
図1に示すように、第2給気口部25は、第1給気口部24とは別個に、ショーケース1に対して第1給気口部24よりも離間して設けられている。第2給気口部25は、たとえば、ショーケース1が配置されない店舗50の入口扉51側に配置される。第2給気口部25は、室内に外気を送風するために設けられている。第2給気口部25は、第1給気口部24よりも後述する排気装置3の排気口部33側に配置されている。
【0039】
図1に示すように、流量調整部26は、給気ファン21の下流側の天井ダクト部22に配置される。流量調整部26は、第1給気口部24と第2給気口部25との各々に外気を導く流路である天井ダクト部22において、第1給気口部24と第2給気口部25との各々に供給される外気の流量を調整する。流量調整部26は、たとえば、ダンパである。
【0040】
排気装置3は、室内の空気を室外に排気する。排気装置3は、排気用ファン31と、排気用ダクト部32と、排気口部33とを備えている。排気装置3は、たとえば、店舗50内に2つ設けられている。
【0041】
図2に示すように、排気用ファン31は、天井52と屋根53との間に配置される。排気用ファン31により、店舗50内の空気が排気口部33を介して吸引され、排気用ダクト部32を介して室外に排気される。
【0042】
室外センサ4は、室外における外気の少なくとも温度を測定するためのセンサである。室外センサ4は、店舗50の外に配置されてもよく、店舗50内の給気ファン21近傍の天井ダクト部22に配置されてもよい。室外センサ4は、たとえば、温度センサまたは温度と湿度とを測定できるセンサである。室外センサ4は、たとえば、換気口部22aの近傍に配置される。
【0043】
室内センサ5は、室内における少なくとも温度を測定する。室内センサ5は、たとえば、温度センサまたは温度と湿度とを測定できるセンサである。室内センサ5は、店舗50内に配置される。室内センサ5は、室内において、給気装置2により第1給気口部24および第2給気口部25から送風された外気が直接的に当たらない位置に配置されている。また、室内センサ5は、たとえば、水平方向においてショーケース1のエアカーテンが影響しない位置に配置され、かつ、上下方向(Z方向)において天井52と床との間に配置される。ショーケース1のエアカーテンが影響しない位置とは、エアカーテンの風が当たらない位置である。天井52と床との間とは、好ましくは、天井52付近と床付近とを除いた中央領域である。室内センサ5は、たとえば、店舗50の室内において、ショーケース1が配置されている側と反対側の壁面に配置されている。
【0044】
制御部6は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部6は、給気装置2の給気動作を制御する。また、制御部6は、室内センサ5による測定に基づいて室内における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室内測定値を取得する。制御部6は、室外センサ4の測定に基づいて室外における温度または単位量当たりのエンタルピーを含む室外測定値を取得する。たとえば、制御部6は、室内センサ5による測定に基づいて、店舗50の室内における温度および湿度を取得する。そして、制御部6は、取得された室内の温度および湿度に基づいて、室内の空気の単位量あたりのエンタルピーを室内測定値として算出する。同様に、制御部6は、室外センサ4による測定に基づいて、室外の外気の温度および湿度を取得する。そして、制御部6は、室外の外気の温度および湿度に基づいて、室外の空気の単位量あたりのエンタルピーを室外測定値として算出する。
【0045】
そして、制御部6は、取得された室内測定値および室外測定値に基づいて、給気装置2の動作を制御するように構成されている。制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合に、給気装置2により第1給気口部24から外気を室内に送風させる。そして、制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、給気装置2による第1給気口部24からの給気を停止するように構成されている。具体的には、制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合に、給気装置2により第1給気口部24および第2給気口部25から外気を室内に送風させる。そして、制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、流量調整部26により外気の流量を調整することによって、給気装置2による第1給気口部24からの給気を停止するとともに、第2給気口部25から外気を室内に送風させるように構成されている。
【0046】
また、制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、第1給気口部24からの給気を停止した分だけ、第2給気口部25から外気を室内に送風させる風量を大きくするように構成されている。すなわち、第2給気口部25の給気量の増加は、第1給気口部24の停止された風量に相当する分である。制御部6は、第1給気口部24からの風量と第2給気口部25からの風量の合計が、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合と室内測定値が室外測定値よりも大きい場合とにおいて略等しくなるように流量調整部26を制御する。たとえば、制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合には、給気ファン21の風量を変更せずに、天井ダクト部22のうちの第1給気口部24に外気を導く流路を塞ぐことによって第1給気口部24からの送風を略ゼロになる(停止させる)とともに、第2給気口部25のみから給気するように、流量調整部26を動作させる。
【0047】
制御部6は、室内を室外に対して、正圧、負圧、または、均圧に保つように、給気装置2による給気量と排気装置3による排気量との少なくとも一方を制御する。正圧とは、店舗50内の圧力(気圧)が外部(室外)の圧力よりも大きい場合である。この場合、制御部6は、給気量が排気量を上回るように、給気装置2の給気量を大きくする制御または排気装置3の排気量を小さくする制御のうち少なくとも一方を行う。均圧とは、店舗50内の圧力(気圧)と外部(室外)の圧力とが同じ場合である。この場合、制御部6は、給気量が排気量と同じになるように、給気装置2の給気量の制御または排気装置3の排気量の制御のうち少なくとも一方を行う。負圧とは、店舗50内の圧力(気圧)が外部(室外)の圧力よりも小さい場合である。この場合、制御部6は、給気量が排気量を下回るように、給気装置2の給気量を小さくする制御または排気装置3の排気量を大きくする制御のうち少なくとも一方を行う。
【0048】
(換気システムによる熱収支)
図5および
図6を参照して、本発明の換気システム100が設けられた実施例による店舗50と、比較例による店舗250との換気時における熱収支を説明する。なお、
図5に示す実施例による店舗50では、第2給気口部25から給気される外気を省略している。また、実施例による店舗50では、室内の圧力(気圧)と外部(室外)の圧力とが互いに略同じである均圧の場合の例について説明する。
【0049】
図5に示す実施例による店舗50における換気システム100では、給気装置2および分配ダクト部23から外気が導かれることにより、ショーケース1の周囲の比エンタルピーΔh
s1(kJ/kg)が室内の平均比エンタルピーΔh
s(kJ/kg)よりも低下する。実施例によるショーケース1の熱負荷は式(1)のように表される。
Q
sc=m
sc(Δh
s1-Δh
sc)、Δh
s1>Δh
sc ・・・(1)
なお、ショーケース1の熱負荷をQ
sc(kJ/s)、ショーケース1の侵入空気量をm
sc(kg/s)、ショーケース1の比エンタルピーをΔh
sc(kJ/kg)と表す。なお、実施例による店舗50では、室内の圧力が室外に対して均圧であるため入口扉51における空気の流れは無視することができる。すなわち、実施例による店舗50では、入口扉51における熱交換は略ゼロであると考える。
【0050】
これに対して、
図6に示す比較例の店舗250では、給気装置2および分配ダクト部23が設けられておらず、排気装置3による排気に伴って入口扉51から、外気が流入してくる。したがって、ショーケース1の周囲の空気の比エンタルピーは、店内の平均の比エンタルピーであるΔh
s(kJ/kg)と同等となるため、比較例によるショーケース1の熱負荷は式(2)のように表される。
Q
sc=m
sc(Δh
s-Δh
sc)、Δh
s>Δh
sc ・・・(2)
実施例によるショーケース1の周囲の比エンタルピーΔh
s1(kJ/kg)は、室内の平均比エンタルピーΔh
s(kJ/kg)よりも小さいため、比較例に比べてショーケース1における消費電力量が小さくなる。
【0051】
なお、実施例による店舗50の室内の平均比エンタルピーΔh
s(kJ/kg)は、式(3)のように表される。
【数1】
ここで、給気装置2により室内に吸気された外気の比エンタルピーをΔh
a(kJ/kg)、排気装置3により排気される空気の質量流量をm
v(kg/s)、空調機器54(暖房)の熱負荷をQ
ac(kJ/s)、室内に配置されたその他の機器55の排熱をQ
0(kJ/s)と表す。また、ショーケース1の周囲以外の比エンタルピーをΔh
s2(kJ/kg)、ショーケース1の周囲の空間の体積をV
s1(m
3)、ショーケース1の周囲以外の空間の体積をV
s2(m
3)と表している。なお、排気装置3により排気される空気の質量流量をm
v(kg/s)は、給気装置2により室内に給気された外気の質量流量m
a(kg/s)と等しいものとする。
【0052】
これに対して、比較例による店舗250の室内の熱収支は、式(4)のように表される。
mvΔhv-maΔha=Qac+Q0-Qsc、Δhv>Δha ・・・(4)
なお、排気装置3による排気の比エンタルピーをΔhv(kJ/kg)、入口扉51から給気された外気の質量流量をma(kg/s)と表す。そして、ma=mv、Δhv=Δhsであるため、式(3)および式(4)から実施例による店舗50の熱収支と比較例による店舗250の熱収支とは、互いに等しくなる。なお、実施例における給気装置2により給気された空気の流量と、比較例による入口扉51から給気された空気の流量とは、互いに等しいものとする。
【0053】
また、実施例および比較例ともに、空調機器54の侵入空気量をmac(kg/s)、空調機器54の比エンタルピーをΔhacと表すと、空調機器54の熱収支は、式(5)のように表される。
Qac=mac(Δhac-Δhs)、Δhac>Δhs ・・・(5)
すなわち、空調機器54の熱収支は、室内の平均比エンタルピーΔhs(kJ/kg)の変数となる。
【0054】
以上のように、実施例および比較例では、店舗50内の熱収支と店舗250内の熱収支とは互いに等しいため、室内温度は互いに等しくなる。したがって、実施例による店舗50と比較例による店舗250とを比較した場合、室内の快適性には変化がない。また、空調機器54の熱収支も互いに等しいため、空調機器54における消費電力量も互いに等しい。加えて、実施例による店舗50では、比較例による店舗250に比べて、ショーケース1における熱負荷が軽減されているため、室内における快適性が低下することを抑制しながら、ショーケース1における電力消費量の増加が抑制されている。
【0055】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0056】
本実施形態では、換気システム100は、ショーケース1(冷却装置)の上方に配置され、第1給気口部24からの外気をショーケース1に向かって導く分配ダクト部23(導風部)を備える。これにより、ショーケース1の上方から、外気をショーケース1に向かって導くことができるため、室内の空調機器54などによって暖められる前の外気を直接的にショーケース1の周囲に導くことができる。そのため、ショーケース1の周囲の温度(単位量あたりのエンタルピー)を室内の平均よりも小さくすることができるため、ショーケース1の周囲の温度(単位量あたりのエンタルピー)が室内の平均と略等しい場合に比べて、ショーケース1の熱負荷を小さくすることができる。そして、第1給気口部24からの外気をショーケース1に向かって導くことによって、室内全体の給気量(換気量)を変更させることなくショーケース1の周囲の温度(単位量あたりのエンタルピー)を小さくすることができる。そのため、冷却装置の周囲の温度を低下させるために換気が過度に行われることを抑制することができるので、冬場などに外気の温度が低い場合にも室内全体の平均の温度が低下することを抑制することができる。これらの結果、室内全体の温度の低下を抑制しながら、ショーケース1の熱負荷を小さくすることができるため、室内における快適性が低下することを抑制しながら、冷却装置の電力消費量の増加を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、ショーケース1(冷却装置)は、内部に商品(冷却対象物)を収納する棚1a(収納部)を有し、分配ダクト部23(導風部)は、ショーケース1において棚1aに対してアクセス可能な開口部1bが設けられている前面側に向かって、ショーケース1の上方から下方に外気を導く。ここで、棚1aに対してアクセス可能な開口部1bを介して、室内の空気とショーケース1の内部の空気との間で熱交換が行われる。この点を考慮して、本実施形態では、分配ダクト部23は、ショーケース1において棚1aに対してアクセス可能な開口部1bが設けられている前面側に向かって、ショーケース1の上方から下方に外気を導く。このように構成すれば、ショーケース1の前面側における室内の空気の温度(エンタルピー)を室内の平均よりも小さくすることができるので、ショーケース1の熱負荷を効果的に小さくすることができる。そのため、ショーケース1の電力消費量の増加を効果的に抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、換気システム100は、室内において少なくとも温度を測定する室内センサ5と、室外において少なくとも温度を測定する室外センサ4と、給気装置2の給気動作を制御する制御部6と、を備え、制御部6は、室内センサ5による測定に基づいて、室内における温度または単位量あたりのエンタルピーを含む室内測定値を取得し、室外センサ4による測定に基づいて、室外における温度または単位量あたりのエンタルピーを含む室外測定値を取得し、取得された室内測定値および室外測定値に基づいて、給気装置2の給気動作を制御するように構成されている。これにより、制御部6により、室内センサ5および室外センサ4による測定に基づいて、室内および室外の温度または単位量あたりのエンタルピーを測定することができるとともに、給気装置2の給気動作を自動的に制御することができる。そのため、室内および室外の温度または単位量あたりのエンタルピーに基づいて、給気装置2の給気動作を制御部6により制御することができるので、室内温度の低下を抑制しながら、ショーケース1(冷却装置)の電力消費量の増加を容易に抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合に、給気装置2により第1給気口部24から外気を室内に送風させるとともに、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、給気装置2による第1給気口部24からの給気を停止するように構成されている。これにより、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、外気がショーケース1(冷却装置)の周囲に導かれることを抑制することができる。そのため、室外の温度または単位量あたりのエンタルピーが室内よりも大きい場合に、温度または単位量あたりのエンタルピーの大きい外気がショーケース1の周囲に導かれることを抑制することができる。その結果、温度または単位量あたりのエンタルピーの大きい外気がショーケース1の周囲に導かれることに起因して、ショーケース1の電力消費量が大きくなることを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、給気装置2は、第1給気口部24とは別個に、ショーケース1(冷却装置)に対して第1給気口部24よりも離間して設けられ、室内に外気を送風するための第2給気口部25を有し、制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、給気装置2による第1給気口部24からの給気を停止するとともに、第2給気口部25から外気を室内に送風させるように構成されている。これにより、第1給気口部24からの給気を停止する場合に、ショーケース1に対して第1給気口部24よりも離間して設けられている第2給気口部25から外気を室内に送風させることができる。そのため、温度または単位量あたりのエンタルピーの大きい外気がショーケース1の周囲に導かれることを抑制することができるとともに、ショーケース1からの距離が大きい第2給気口部25を用いて室内の給気量を確保することができる。その結果、ショーケース1の電力消費量が大きくなることを抑制することができるとともに、室内の換気量を確保することができる。
【0061】
また、本実施形態では、制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合に、給気装置2により第1給気口部24および第2給気口部25から外気を室内に送風させるとともに、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、給気装置2による第1給気口部24からの給気を停止するとともに、第1給気口部24からの給気を停止した分だけ、第2給気口部25から外気を室内に送風させる風量を大きくするように構成されている。これにより、第1給気口部24からの給気を停止する場合に、第2給気口部25からの風量を大きくすることによって、換気システム100全体の給気量が変化することを抑制することができる。そのため、第1給気口部24からの給気を停止する場合にも、室内の換気を十分に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、給気装置2は、第1給気口部24と第2給気口部25との各々に外気を導く流路(天井ダクト部22)において、第1給気口部24と第2給気口部25との各々に供給される外気の流量を調整する流量調整部26を含み、制御部6は、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、流量調整部26により外気の流量を調整することによって、給気装置2による第1給気口部24からの給気を停止するとともに、第2給気口部25から外気を室内に送風させるように構成されている。これにより、流量調整部26の動作を制御することによって、第1給気口部24と第2給気口部25との各々に供給される外気の流量を容易に調整することができる。
【0063】
また、本実施形態では、室内センサ5は、室内において、給気装置2により第1給気口部24から送風された外気が直接的に当たらない位置に配置されている。これにより、第1給気口部24から送風された外気が直接的に当たらない位置に室内センサ5が配置されているため、室内に取り入れた外気が拡散された状態における室内の平均的な温度を室内センサ5によって測定することができる。その結果、室内の温度または単位量あたりのエンタルピーの平均的な大きさを測定することができるので、室内測定値に基づく給気装置2の動作をより正確に制御することができる。
【0064】
また、本実施形態では、第1給気口部24は、ショーケース1(冷却装置)の上方における室内の天井52(天井部分)に設けられており、換気システム100は、ショーケース1の天面と天井52との間に配置され、第1給気口部24からの外気をショーケース1に向かって導く分配ダクト部23(ダクト部)を含む。これにより、ショーケース1の天面と天井52との間に配置された分配ダクト部23によって、ショーケース1に向かって効率的に外気を導くことができる。
【0065】
また、本実施形態では、ショーケース1(冷却装置)は、左右方向(所定方向)に沿って並ぶように複数配置されており、分配ダクト部23(ダクト部)は、第1給気口部24からの外気を複数のショーケース1に分配するように、ショーケース1の天面と天井52(天井部分)との間において左右方向に延びるように配置されている。これにより、複数のショーケース1が左右方向に沿って並んで配置されている場合にも、分配ダクト部23によって、複数のショーケース1の全体に対して外気を導くことができる。そのため、左右方向に並んで配置されている複数のショーケース1の各々における熱負荷を小さくすることができる。その結果、複数のショーケース1が左右方向に沿って並んで配置されている場合にも、室内における快適性が低下することを抑制しながら、複数のショーケース1の電力消費量の増加を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、分配ダクト部23(ダクト部)は、空気の吐き出し口である吐出部23aを有し、吐出部23aに配置され、吐き出された外気がショーケース1(冷却装置)の前面において左右方向(所定方向)に広がるように整流する整流部23bを有する。これにより、整流部23bにより外気が左右方向に広がるように整流されるため、左右方向に並んで配置されている複数のショーケース1の全体に対して外気を導くことができる。そのため、複数のショーケース1のうちの一部分において電力消費量が大きくなることを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、換気システム100は、室内の空気を室外に排気する排気装置3を備え、制御部6は、室内を室外に対して、正圧、負圧、または、均圧に保つように、給気装置2による給気量と排気装置3による排気量との少なくとも一方を制御する。これにより、室内が正圧の場合は、給気装置2により給気される外気の量が大きくなるため、ショーケース1(冷却装置)に対して導かれる外気の量を多くすることができる。そのため、ショーケース1の電力消費量が大きくなることをより抑制することができる。また、室内が負圧の場合は、給気装置2以外の部分からも外気が室内に導かれるため、室内の空気における温度の偏りを抑制することができるので、空調機器54における電力消費量が大きくなることを抑制することができる。また、室内が室外に対して均圧の場合は、室内と外部との間において空気の流れが発生しにくいため、温度の低い外気が給気装置2以外から室内に入りにくく、室内の温度の高い空気が外部に流出しにくくなる。これにより、ショーケース1における冷却負荷が大きくなることを抑制しながら、室内の温度を一定に保ちやすくなるため、室内における快適性の低下をより抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、換気システム100は、店舗50の室内に設置されているショーケース1を含み、分配ダクト部23(導風部)は、店舗50の室内に設置されたショーケース1の上方に配置され、第1給気口部24からの外気をショーケース1に向かって導く。これにより、店舗50内に設置されたショーケース1に向かって外気を直接的に導くことができるので、店舗50内に設置されたショーケース1おいて電力消費量の増加を抑制することができる。その結果、店舗50内における快適性の低下を抑制しながら、ショーケース1の電力消費量の増加を抑制することができる。
【0069】
[変形例]
今回開示された実施形態および実施例は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0070】
たとえば、上記実施形態では、第1給気口部24からの外気が分配ダクト部23(導風部)によりショーケース1(冷却装置)の正面側の開口部1bに沿って流れるように導かれる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図7に示す変形例による導風部323のように、板状の部材を冷却装置の上方に配置することによって、第1給気口部からの外気を冷却装置に向かって導くようにしてもよい。また、ルーバーなどの送風方向を変更させる部材を導風部として用いることによって、第1給気口部からの外気を冷却装置に向かって案内してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、前面側が開口しているショーケース1(冷却装置)に向かって分配ダクト部23(導風部)により外気が導かれる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、導風部を、前面の開口部に扉部が設けられている冷却装置に向かって外気を導くようにしてもよい。この場合にも、扉部を介して、扉部の周囲の空気と冷却装置の内部の空気との間において熱交換が行われるため、給気装置により取り込まれた外気を扉部に導くことによって、冷却装置の熱負荷を小さくすることができる。
【0072】
また、上記実施形態では、室内センサ5および室外センサ4による測定に基づいて取得された室内および室外の単位量あたりのエンタルピーを、それぞれ、室内測定値および室外測定値として取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、室内の温度および室外の温度を、それぞれ、室内測定値および室外測定値として取得するようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、第1給気口部24とは別個に第2給気口部25が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2給気口部を設けず、給気装置による室内に対する給気を第1給気口部のみを用いて行うようにしてもよい。その場合にも、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合には、第1給気口部からの給気を停止する。すなわち、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合と、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合とにおいて、給気装置により室内に給気される外気の流量を互いに異ならせるようにしてもよい。また、第1給気口部に加えて第2給気口部が設けられている場合にも、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合と、室内測定値が室外測定値よりも大きい場合とにおいて、室内に給気される外気の流量を互いに異ならせるようにしてもよい。
【0074】
また、第2給気口部を設けず、給気装置による室内に対する給気を第1給気口部のみを用いて行うように構成されている場合において、第1給気口部からの給気を停止させた場合に、室内の換気の総量を確保するために排気装置の風量(排気量)を大きくするようにしてもよい。すなわち、制御部を、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、第1給気口部からの給気を停止するとともに、室内の空気を室外に排気する排気装置による排気量を大きくする制御を行うように構成してもよい。このように構成すれば、温度または単位量あたりのエンタルピーの大きい外気が冷却装置の周囲に導かれることに起因して冷却装置の電力消費量が大きくなることを抑制することができるとともに、室内の換気量を確保することができる。たとえば、室内測定値が室外測定値よりも小さい場合に、店内の総換気量が法定換気量を下回ることを抑制しながら、冷却装置の電力消費量が大きくなることを抑制することができる。
【0075】
また、上記実施形態では、第1給気口部24と第2給気口部25との各々に供給される外気の流量を調整する流量調整部26を動作させることによって、第1給気口部24と、第2給気口部25とに送られる送風量が調整される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1給気口部用の給気ファンと第2給気口部用の給気ファンとを互いに別個に配置するとともに、第1給気口部用の給気ファンと第2給気口部用の給気ファンとの回転数(風量)を制御することによって、第1給気口部と第2給気口部との各々に供給される外気の流量を調整するようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、室内センサ5は、店舗50の室内において、ショーケース1が配置されている側と反対側の壁面に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、室内センサをショーケース1が配置されている壁面と隣り合う壁面に配置してもよい。また、室内センサは、第1給気口部および第2給気口部からの送風が直接当たらない位置であればいずれの位置に配置してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、左右方向(所定方向)に沿って並ぶように配置された複数のショーケース1(冷却装置)に対して、第1給気口部24からの外気を分配ダクト部23(導風部)によって分配する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、導風部を1つの冷却装置に向かって第1給気口部からの外気を導くようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、分配ダクト部23(ダクト部)の吐出部23aに整流部23bが配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ダクト部に整流部を設けないようにしてもよい。たとえば、導風部ではなく第1給気口部に整流部を配置するようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、室外に対して室内を、正圧、負圧、または、均圧に保つように制御部6が給気装置2による給気量と排気装置3による排気量との少なくとも一方を制御する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、室内の圧力に関係なく制御部により給気装置による給気量と排気装置による排気量との少なくとも一方を制御するように構成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、換気システム100は、店舗50を換気するために用いられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、換気システムは、オフィスまたは病院を含む施設を換気するために用いられてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、ショーケース1(冷却装置)は冷凍サイクル60により冷却される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ショーケースは、冷凍サイクル以外の方法で冷却されてもよく、ベルチェ式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 ショーケース(冷却装置)
1a 棚(収納部)
1b 開口部
2 給気装置
3 排気装置
4 室外センサ
5 室内センサ
6 制御部
23 分配ダクト部(導風部、ダクト部)
23a 吐出部
23b 整流部
24 第1給気口部
25 第2給気口部
26 流量調整部
50 店舗
52 天井(天井部分)
100 換気システム
323 導風部