(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064331
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】感光性着色組成物、光学フィルタ、画像表示装置、及び固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
G03F 7/038 20060101AFI20240507BHJP
G03F 7/033 20060101ALI20240507BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20240507BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240507BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G03F7/038 501
G03F7/033
G03F7/031
G03F7/004 504
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172838
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新戸 翔
(72)【発明者】
【氏名】山川 珠希
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
【Fターム(参考)】
2H148BE09
2H148BE22
2H148BE23
2H148BF15
2H148BF16
2H148BG02
2H148BG06
2H148BG11
2H148BH13
2H148BH18
2H148BH21
2H148BH22
2H225AC35
2H225AC36
2H225AC37
2H225AC42
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC47
2H225AC58
2H225AC72
2H225AD02
2H225AD06
2H225AD14
2H225AD15
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM25P
2H225AM32P
2H225AM66P
2H225AM86P
2H225AM92P
2H225AM95P
2H225AM96P
2H225AN23P
2H225AN33P
2H225AN37P
2H225AN38P
2H225AN39P
2H225AN42P
2H225AN49P
2H225AN51P
2H225AN58P
2H225AN66P
2H225AN80P
2H225AN82P
2H225AN94P
2H225AN95P
2H225AN96P
2H225AN97P
2H225AN98P
2H225BA02P
2H225BA05P
2H225BA09P
2H225BA16P
2H225BA32P
2H225BA33P
2H225CA17
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】未露光部の現像性が良好で、優れた形状や密着性および耐熱性や耐溶剤性を有するパターンを形成できる感光性組成物の提供。
【解決手段】着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び光重合開始剤(D)を含む感光性着色組成物であって、前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、下記一般式で表される単量体に基づく単量体単位(b1)を含有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含み、光重合開始剤(D)が特定の式で表される化合物(D1)を含む、感光性着色組成物。
(R
1は水素原子など、R
2は炭素数2または3のアルキレン基、R
3は水素など、nは1~15の整数である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び分散剤(E)(ただし、下記一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)を含有するアルカリ可溶性樹脂(B1)である場合を除く)を含む感光性着色組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、下記一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)を含有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含み、
光重合開始剤(D)が、下記一般式(2)で表される化合物(D1)を含む、感光性着色組成物。
一般式(1)
【化1】
一般式(1)において、R
1は水素原子またはメチル基、R
2は炭素数2または3のアルキレン基、R
3は水素、またはベンゼン環を含んでいてもよい炭素数1~20のアルキル基、nは1~15の整数である。
一般式(2)
【化2】
(一般式(2)中、R
4、R
5は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~8のアルキル基を表す。R
6は、水素原子、または1価の置換基を表す。)
【請求項2】
分散剤(E)が、酸性基を有する分散剤(E1)を含む、請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
酸性基を有する分散剤(E1)が、ポリエステル分散剤(E1a)であり、
前記ポリエステル分散剤(E1a)は、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物、および水酸基を2つ以上有する化合物をエステル化反応させてなるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖、ならびにビニル重合体部位を含む側鎖を有し、前記水酸基1モルに対する前記酸無水物基は、0.9~1.5モルであり、前記芳香族カルボン酸エステル部を含む主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位を有することを特徴とする、請求項2に記載の感光性着色組成物。
【請求項4】
一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(B1)の全単量体単位中、10~70質量%である、請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項5】
酸性基を有する分散剤(E1)の酸価が、40~140mgKOH/gである、請求項2に記載の感光性着色組成物。
【請求項6】
基板、及び請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを有する、カラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタを有する、画像表示装置。
【請求項8】
請求項6に記載のカラーフィルタを有する、固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色組成物、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置や固体撮像素子等に使用する光学フィルタの1種であるカラーフィルタは、例えば、感光性組成物を、ガラス等の透明基板に塗布し、乾燥によってこの塗膜から溶剤を除去する工程、この塗膜を、所望するパターン形状を有するフォトマスクを介して放射線を照射・硬化(以下、露光という)する工程、次いで、この塗膜の未露光部を洗浄・除去(以下、現像という)する工程、その後、必要に応じて硬化膜を十分に硬化させるために加熱処理(以下、ポストベークという)する工程により1色目のフィルタセグメントパターンを得る。そして、これと同様の操作を行うことにより他の色のフィルタセグメントパターンを形成して作製できる。
【0003】
上記現像工程は、現像液としてアルカリ性の現像液を用いて、未露光部分を洗浄・除去する。塗膜が現像液に対して溶解性が不十分であると、塗膜から脱離した現像液に溶けきらない膜が製造装置に付着して汚染する場合があり、その洗浄のため製造工程を止める必要が生じる生産性の問題があった。また、近年コストや環境負荷低減のため、生産時間の短縮化が求められており、現像時間の短縮化が望まれている。一方、露光部においてはアルカリ性現像液への耐性が不十分であると、パターン形状や密着性不良が発生する問題があった。そのため、現像工程において塗膜が現像液に均一に溶解し、かつ生産性に影響しない現像時間に収まることとパターン形状や密着性不良が発生しない感光性組成物が求められている。さらに、他の色のフィルタセグメントパターンの形成もしくはオーバーコート膜等の形成時に塗液の溶剤や加熱工程にて色が変化するといった課題もあった。
【0004】
現像性改善の取り組みとして、特許文献1には、着色剤、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)に由来する構造単位を含むバインダ樹脂、重合性化合物、および重合開始剤を含む感光性着色組成物が開示されている。また、特許文献2には、現像時のパターン欠け改善の取り組みとして、特許文献2には、アルキレンオキサイド構造を有する重合性化合物を含む着色組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-145977号公報
【特許文献2】特開2014-142582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2に記載のいずれの組成物も、現像液溶解性、パターン形状や密着性、及び耐熱性や耐溶剤性の全てを一定以上の水準で満たすことはできなかった。
【0007】
本発明は、未露光部の現像液溶解性が良好で、優れた形状や密着性・耐性を有するパターンを形成できる感光性着色組成物の提供を目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び分散剤(E)(ただし、下記一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)を含有するアルカリ可溶性樹脂(B1)である場合を除く)を含む感光性着色組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、下記一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)を含有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含み、
光重合開始剤(D)が、下記一般式(2)で表される化合物(D1)を含む、感光性着色組成物に関する。
【0009】
【0010】
一般式(1)において、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数2または3のアルキレン基、R3は水素、またはベンゼン環を含んでいてもよい炭素数1~20のアルキル基、nは1~15の整数である。
【0011】
【0012】
一般式(2)中、R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~8のアルキル基を表す。R6は、水素原子、または1価の置換基を表す。
【0013】
また、本発明は、酸性基を有する分散剤(E1)を含むことを特徴とする上記感光性着色組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、酸性基を有する分散剤(E1)が、ポリエステル分散剤(E1a)であり、前記ポリエステル分散剤(E1a)は、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物、および水酸基を2つ以上有する化合物をエステル化反応させてなるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖、ならびにビニル重合体部位を含む側鎖を有し、前記水酸基1モルに対する前記酸無水物基は、0.9~1.5モルであり、前記芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位を有することを特徴とする上記感光性着色組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(B1)の全単量体単位中、10~70質量%であることを特徴とする上記感光性着色組成物に関する。
【0016】
また、酸性基を有する分散剤(E1)の酸価が、40~140mgKOH/gであることを特徴とする上記感光性着色組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、基板と、該基板上に上記感光性着色組成物を用いて形成された色材層とを具備するカラーフィルタに関する。
【0018】
また、本発明は、上記カラーフィルタを備える、表示装置に関する。
【0019】
また、本発明は、上記カラーフィルタを備える、固体撮像素子に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、未露光部の現像性(現像液溶解性、現像時間)が良好で、優れた形状、密着性、耐熱性及び耐溶剤性を有するパターンを形成できる感光性着色組成物を提供できる。また、本発明は、光学フィルタ、画像表示装置、及び固体撮像素子を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の感光性組成物を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0022】
本発明において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、または「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/またはメタアクリロイル」、「アクリル及び/またはメタアクリル」、「アクリル酸及び/またはメタアクリル酸」、「アクリレート及び/またはメタクリレート」、または「アクリルアミド及び/またはメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)を意味する。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合である。
また、本発明における化合物の分子量に関しては、分子量が特定できる低分子化合物については、計算により算出した値(式量)、若しくはESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により測定した分子量であり、分子量の分布を持つ化合物については、テトラヒドロフランを溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
単量体は、重合により樹脂を形成する化合物である。単量体は、重合前の状態であり、単量体単位は樹脂を形成していて、単量体に由来する、つまり単量体に基づく部分構造である。後述するように、重合直後の単量体単位が官能基を有し、当該官能基を変性する場合であっても、変性後の単量体単位の側鎖というべき部分構造と、その由来である原料である単量体の対応する部分構造は同じでないが、原料である単量体に基づく単量体単位とする。
重合性化合物(C)は、感光性着色組成物に含まれ、重合により被膜を形成する化合物である。
【0023】
<感光性着色組成物>
本発明の一実施形態は、感光性着色組成物(以下、感光性組成物ともいう)に関する。本発明の感光性組成物は、着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び光重合開始剤(D)を含む感光性着色組成物であって、前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、下記一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)を含有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含み、光重合開始剤(D)が下記一般式(2)で表される化合物(D1)を含むことを特徴とする。
【0024】
【0025】
一般式(1)において、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数2または3のアルキレン基、R3は水素、またはベンゼン環を含んでいてもよい炭素数1~20のアルキル基、nは1~15の整数である。
【0026】
【0027】
一般式(2)中、R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~8のアルキル基を表す。R6は、水素原子、または1価の置換基を表す。
【0028】
上記構成の感光性組成物で、本発明の課題を解決できるメカニズムは明らかではないが、以下のように推測している。
一般式(2)で表される化合物(D1)は、従来からカラーフィルタ分野で広く使用されてきた光重合開始剤の2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンや2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルフォリノフェニル)-2-ベンジル-1-ブタノンと比較して、硬直で疎水性・耐熱性が高いフルオレン骨格を有するため、耐性の高い硬化膜が得られると推測する。一方で、硬直なフルオレン骨格を有していることから、現像液への溶解に時間がかかる。一般式(1)は適度な柔軟性に富むアルキレンオキシド鎖を有している。また、一般式(1)はベンゼン環を含むため、一般式(2)のフルオレン骨格とのπ-π相互作用が働き、2つの化合物は近接すると推測する。一般式(2)がアルカリ可溶性樹脂(B)の近傍に位置することで、現像液への溶解時間が大幅に短縮されると推測する。そして、酸性基を有する分散剤(E1)を併用することで、塗膜の硬化性を維持したまま、現像性をさらに向上すると推測する。
【0029】
以下、一実施形態の感光性組成物に含まれるか、または含まれ得る成分を詳細に説明する。
【0030】
本発明の感光性組成物は、着色剤(A)を含む。
【0031】
着色剤(A)は、顔料及び染料のいずれでもよく、併用できる。
【0032】
(顔料)
顔料は、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物である。
赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、C.I.ピグメントレッド48:1,122,177,224,242,269,254,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料がさらに好ましい。
【0033】
橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,64,71,73等が挙げられる。
【0034】
黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,126,127,128,129,138,139,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、特開2012-226110号公報に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー138,139,150,185,231,233、特開2012-226110号公報に記載された顔料が好ましい。
【0035】
緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,37,45,48,50,51,54,55,58,59,62,63等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントグリーン36,58,59,62,63が好ましい。
【0036】
青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6が好ましい。
【0037】
紫色顔料は、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントバイオレット19,23が好ましい。
【0038】
黒色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブラック1,6,7,12,20,31等が挙げられる。また、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、及び紫色顔料から選ばれる少なくとも2種の顔料を用いて黒色着色剤としてもよい。
【0039】
顔料の中で無機顔料は、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。
【0040】
(染料)
染料は、例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料も挙げられる。
【0041】
酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有することが好ましい。また、酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物等の含窒素化合物との塩である造塩化合物が好ましい。また、これらの官能基を有する樹脂成分と酸性染料との塩である造塩化合物も好ましい。また、造塩化合物は、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物に変性することで耐性(耐光性、耐溶剤性)に優れた感光性組成物を得やすい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、耐性(耐光性、溶剤耐性)に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、カチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0042】
塩基性染料は、そのままでも使用できるが、有機酸や過塩素酸またはその金属塩と塩を形成する造塩化合物が好ましい。塩基性染料の造塩化合物は、耐性(耐光性、耐溶剤性)や、顔料との親和性が優れているため好ましい。また、塩基性染料の造塩化合物で、カウンタイオンとしてはたらくアニオン成分は、有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、酸性染料とを造塩した造塩化合物が好ましい。なお、造塩化合物は、分子中に重合性不飽和基を含有すると耐性がより向上する。
【0043】
染料の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造が挙げられる。
【0044】
これらの中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。
【0045】
着色剤(A)は、単独、または2種類以上を併用して使用することができる。
【0046】
着色剤(A)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0047】
(顔料の微細化)
顔料は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用できる。これらの中でも、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性、コントラスト比の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0048】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0049】
水溶性無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。水溶性無機塩は、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対して、50~2,000質量部が好ましく、300~1,000質量部がより好ましい。
【0050】
水溶性有機溶剤は、顔料および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しない溶剤である。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対して、5~1,000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
【0051】
ソルトミリング処理には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。前記樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることが好ましい。樹脂の添加量は、顔料100質量部に対して、2~200質量部が好ましい。
【0052】
[アルカリ可溶性樹脂(B)]
アルカリ可溶性樹脂(B)は、アルカリ現像液に溶解する樹脂であればよく、公知の樹脂を用いることができる。アルカリ可溶性樹脂(B)は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、フェノール性ヒドロキシル基などのアルカリ可溶性基を有することが好ましい。これらの中でも、カルボキシル基が好ましい。
具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、またはイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。また、アルカリ可溶性樹脂(A)は、ビニル基、(メタ)アリル基や(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和基、エポキシ基やオキセタニル基等の熱硬化性基を含有できる。
【0053】
(一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)を含有するアルカリ可溶性樹脂(B1))
本発明の感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(B)として、下記一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)を含有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含む。
【0054】
【0055】
一般式(1)において、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数2または3のアルキレン基、R3は水素、またはベンゼン環を含んでいてもよい炭素数1~20のアルキル基、nは1~15の整数である。
【0056】
一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)としては、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEOまたはプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0057】
アルカリ可溶性樹脂(B1)は、さらに、重合性不飽和基含有単量体単位(b2)を含有することが好ましい。
【0058】
〔重合性不飽和基含有単量体単位(b2)〕
アルカリ可溶性樹脂(B1)に、重合性不飽和基含有単量体単位(b2)を含有させる方法は、例えば、以下に示す(i)~(iii)の方法がある。
【0059】
<方法(i)>
方法(i)は、例えば、まず、エポキシ基含有単量体を含む単量体の重合体(前駆体)を合成する。次いで、前記前駆体のエポキシ基に、カルボキシル基含有単量体(変性化合物)のカルボキシル基を付加する。
【0060】
エポキシ基含有単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0061】
カルボキシル基含有単量体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0062】
現像性の観点から、エポキシ基含有単量体単位のエポキシ基に、カルボキシル基含有単量体のカルボキシル基を付加させたものに、更に、酸無水物を反応させたものも重合性不飽和基含有単量体単位(b2)として有用である。
【0063】
酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0064】
<方法(ii)>
方法(ii)は、例えば、まず、カルボキシル基含有単量体を含む単量体の重合体(前駆体)を合成する。次いで、前記前駆体のカルボキシル基にエポキシ基含有単量体(変性化合物)のエポキシ基を付加する。
【0065】
<方法(iii)>
方法(iii)は、例えば、まず、水酸基含有単量体、及びカルボキシル基含有単量体を含む単量体の重合体(前駆体)を合成する。次いで、前記前駆体の水酸基に、イソシアネート基含有単量体(変性化合物)のイソシアネート基を反応させる。
【0066】
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、またはシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0067】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、または1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0068】
重合性不飽和基含有単量体単位(b2)の含有量は、耐熱性及び耐溶剤性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B1)の全構成単位中、5~80モル%が好ましく、10~80モル%がより好ましい。
【0069】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、密着性、耐熱性及び耐溶剤性の観点から、脂環式炭化水素含有単量体単位(b3)を含有するアルカリ可溶性樹脂(B2)を含むことが好ましい。疎水性が高く、柔軟性と剛直性を兼ね備えた脂環式炭化水素構造は、強靭な膜を形成できると推測する。そして、重合性不飽和基を有することで、露光により樹脂同士が架橋することでより強靭な硬化膜を形成でき、耐熱性及び耐溶剤性が良好なパターンが得られると推測する。
【0070】
アルカリ可溶性樹脂(B2)は、脂環式炭化水素含有単量体単位(b3)を含有する樹脂であれば特に制限がなく、公知の樹脂を用いることができる。例えば、重合性不飽和基含有単量体単位(b2)を形成する単量体と、脂環式炭化水素含有単量体単位(b3)を形成する単量体との共重合体や、脂環式炭化水素含有単量体単位(b3)を形成する単量体と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体に、重合性不飽和基を有する化合物を反応させて重合性不飽和基含有単量体単位(b2)を導入した共重合体や、特開2008-165059号公報に記載の方法で得られた共重合体等が挙げられる。
【0071】
〔脂環式炭化水素含有単量体単位(b3)〕
脂環式炭化水素含有単量体単位(b3)を形成する単量体は、例えば、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、水しみの抑制、パターン形状の観点から、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0072】
脂環式炭化水素含有単量体単位(b3)の含有量は、密着性、耐熱性及び耐溶剤性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B2)の全構成単位中、1~60モル%が好ましく、1~40モル%がより好ましい。
【0073】
重合性不飽和基含有単量体単位(b2)の含有量は、耐熱性及び耐溶剤性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B2)の全構成単位中、5~80モル%が好ましく、10~80モル%がより好ましい。
【0074】
〔ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下である単量体単位(b4)〕
アルカリ可溶性樹脂(B2)は、パターン形状の観点から、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下である単量体単位(b4)を含有することが好ましい。より好ましくは、ホモポリマーのガラス転移温度が-10℃以下である単量体単位(b4)であり、特に好ましくは、ホモポリマーのガラス転移温度が-30℃以下である単量体単位(b4)である。なお、ホモポリマーとは、各単量体の単独重合体のことであり、ガラス転移温度の値は、Brandrup,J.Immergut,E.H.編集「Polymer Handbook,Third edition,John wiley & sons,1989」に示された値を使用する。
【0075】
ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下である単量体単位(b4)を形成する単量体は、例えば、フェノキシエチルアクリレート(-22℃)、ラウリルアクリレート(-3℃)、2-エチルヘキシルアクリレート(-50℃)、n-ヘキシルアクリレート(-57℃)、n-ブチルアクリレート(-48℃)、イソブチルアクリレート(-40℃)、エチルアクリレート(-24℃)、ラウリルメタクリレート(-65℃)、n-ヘキシルメタクリレート(-5℃)、2-エチルヘキシルメタクリレート(-10℃)、2-メトキシエチルアクリレート(-50℃)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(-12℃)等が挙げられる。これらの中でも、2-エチルヘキシルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレートが好ましい。
【0076】
ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下である単量体単位(b4)の含有量は、断面形状の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B2)の全構成単位中、1~50モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましい。
【0077】
〔その他単量体単位(b5)〕
アルカリ可溶性樹脂(B1)は、(b1)~(b2)以外の単量体単位を含有できる。
アルカリ可溶性樹脂(B2)は、(b3)~(b4)以外の単量体単位を含有できる。
(b1)~(b4)以外の単量体単位(その他単量体単位(b5)ともいう)を以下に例示する。
【0078】
その他単量体単位(b5)を形成する単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;
2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;
グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート類;
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、またはアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、またはイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、またはプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエ-ト、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナ-ト、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラ-ト、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノア-ト、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、上述した水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基に、たとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応させた化合物等のリン酸エステル基含有(メタ)アクリレート類等;
2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1,1-ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート等のイソシアネート類;
ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。これらの単量体は、単独または2種以上併用して使用できる。
【0079】
イソシアネート基を有する単量体は、イソシアネート基を、熱で離脱する化合物(ブロック剤)で保護したブロックイソシアネート基含有単量体であってもよい。
【0080】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、イミド化合物、尿素化合物、イミン化合物、及び重亜硫酸塩化合物等が挙げられる。
【0081】
オキシム化合物としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等が挙げられる。これらの中でも、メチルエチルケトオキシムが好ましい。
ラクタム化合物としては、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等が挙げられる。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、2,6-キシレノール、3,5-キシレノール、エチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、2-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ナフトール、p-ニトロフェノール等が挙げられる。これらの中でも、3,5-キシレノール、2-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチルが好ましい。
アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブ、フルフリルアルコールが挙げられる。
アミン化合物としては、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾール等が挙げられる。
活性メチレン化合物としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等が挙げられ、マロン酸ジエチルが好ましい。
ピラゾール化合物としては、ピラゾール、メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等が挙げられ、3,5-ジメチルピラゾールが好ましい。
メルカプタン化合物としては、ブチルメルカプタン、チオフェノール、tert-ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール等が挙げられる。
イミド化合物としては、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、マレイミド、フタルイミド等が挙げられる。
尿素化合物としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。
イミン化合物としては、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
重亜硫酸塩化合物としては、重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0082】
ブロック剤は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0083】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、及びイミド化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、保護反応、脱保護反応の観点から、オキシム化合物、フェノール化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0084】
ブロックイソシアネート基含有単量体は、例えば、以下の化合物が挙げられる。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0085】
【0086】
ブロックイソシアネート基含有単量体の市販品としては、昭和電工社製のカレンズMOI-DEM(ブロック剤の脱離温度:85~95℃),MOI-BP(ブロック剤の脱離温度:105~115℃),MOI-BM(ブロック剤の脱離温度:125~135℃)等が挙げられる。これらの単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0087】
アルカリ可溶性樹脂(B2)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0088】
アルカリ可溶性樹脂(B2)の含有量は、現像性、耐熱性及び耐溶剤性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B)100質量%中、10~90質量%が好ましく、20~60質量%がより好ましい。
【0089】
アルカリ可溶性樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、2,000~40,000が好ましく、3,000~30,000がより好ましく、4,000~25,000が特に好ましい。
【0090】
アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価は、現像性の観点から、30~200mgKOH/gが好ましく、40~180mgKOH/gがより好ましい。
【0091】
アルカリ可溶性樹脂(B)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~80質量%が好ましく、5~60質量%がより好ましい。
【0092】
本発明の感光性組成物は、重合性化合物(C)を含む。
【0093】
重合性化合物(C)は、重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマーが挙げられる。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合のビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。なお、重合性化合物(C)の重量平均分子量または式量は、2000未満が好ましい。
【0094】
重合性化合物(C)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0095】
市販品としては、日本化薬社製のKAYARAD R-128H、R526、PEG400DA、MAND、NPGDA、R-167、HX-220、R-551、R712、R-604、R-684、GPO-303、TMPTA、DPHA、DPEA-12、DPHA-2C、D-310、D-330、東亞合成社製のアロニックスM-303、M-305、M-306、M-309、M-310、M-321、M-325、M-350、M-360、M-313、M-315、M-400、M-402、M-403、M-404、M-405、M-406、M-450、M-452、M-408、M-211B、M-101A、大阪有機社製のビスコート#310HP、#335HP、#700、#295、#330、#360、#GPT、#400、#405、共栄社化学社製のAH-600、AT-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、新中村化学社製のNKエステルA-9300,ABE-300,A-DOG,A-DCP,A-BPE-4、UA-160TM、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd社製のMiramer HR6060,6100,6200、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL40,130,140,145、大阪ガスケミカル社製のOGSOL EA-0200,0300等が挙げられる。
【0096】
重合性化合物(C)は、単独または2種以上を併用して使用できる。
【0097】
重合性化合物(C)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0098】
(ラクトン変性された重合性化合物(C1))
重合性化合物(C)は、耐熱性及び耐溶剤性の抑制の観点から、ラクトン変性された重合性化合物(C1)を含むことが好ましい。
【0099】
ラクトン変性された重合性化合物(C1)は、分子内にラクトンで変性された構造を有する化合物である。ラクトン変性された重合性化合物(C1)は、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエチスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、またはトリメトロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε-カプロラクトンもしくはその他のラクトン化合物をエステル化することにより得られる。ラクトン変性された重合性化合物(C1)は、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0100】
【0101】
一般式(4)中、6個のRは全て下記一般式(5)で表される基、または6個のRのうち1~5個が下記一般式(5)で表される基であり、残りが下記一般式(6)で表される基である。
【0102】
【0103】
一般式(5)中、R1は水素原子、またはメチル基を表し、mは1、または2の整数であり、*は一般式(4)の酸素原子と結合する結合手である。
【0104】
【0105】
一般式(6)中、R1は水素原子、またはメチル基を表し、*は一般式(4)の酸素原子と結合する結合手である。
【0106】
ラクトン変性された重合性化合物(C1)は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD DPCAシリーズとして市販されている。例えば、DPCA-20(上記一般式(4)~(6)において、m=1、一般式(5)に表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA-30(上記一般式(4)~(6)において、m=1、一般式(5)に表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA-60(上記一般式(4)~(6)において、m=1、一般式(5)に表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA-120(上記一般式(4)~(6)において、m=2、一般式(5)に表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等が挙げられる。
【0107】
ラクトン変性された重合性化合物(C1)は、耐熱性及び耐溶剤性の観点から、上記一般式(4)~(6)において、m=1、一般式(5)に表される基の数=2~6、R1が全て水素原子である化合物が好ましく、上記一般式(4)~(6)において、m=1、一般式(5)に表される基の数=2または3、R1が全て水素原子である化合物がより好ましい。
【0108】
ラクトン変性された重合性化合物(C1)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0109】
ラクトン変性された重合性化合物(C1)の含有量は、現像性及び耐熱性の観点から、重合性化合物(C)100質量%中、5~90質量%が好ましく、10~85質量%がより好ましい。
【0110】
(酸性基を有する重合性化合物(C2))
重合性化合物(C)は、現像性の観点から、酸性基を有する重合性化合物(C2)を含むことが好ましい。酸性基を有する重合性化合物(C2)の酸基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基が好ましい。
【0111】
酸性基を有する重合性化合物(C2)は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げられる。
多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
ジカルボン酸類は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、フタル酸イタコン酸等が挙げられる。
多価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0112】
酸性基を有する重合性化合物(C2)の市販品は、大阪有機社製のビスコート#2500P、東亞合成社製アロニックスM-5300,M-5400,M-5700,M-510,M-520,M-521等が挙げられる。
【0113】
酸性基を有する重合性化合物(C2)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0114】
酸性基を有する重合性化合物(C2)の含有量は、現像性及びパターン形状の観点から、重合性化合物(C)100質量%中、5~90質量%が好ましく、10~85質量%がより好ましい。
【0115】
(ウレタン基結合を有する重合性化合物(C3))
重合性化合物(C)は、密着性の観点から、ウレタン結合を有する重合性化合物(C3)を含むことが好ましい。ウレタン結合を有する重合性化合物(C3)は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートや、多価アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0116】
上記水酸基含有(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド(EO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド(PO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0117】
上記多官能イソシアネートは、例えば、芳香族ジイソシアネートであるトリレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートであるトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるイソホロンジイソシアネートや、これらのビュレット体、イソシアネートヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。
【0118】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C3)は、更に、酸性基を含有できる。酸性基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。なかでも、カルボキシル基が好ましい。
【0119】
ウレタン結合を有する重合性化合物に酸性基を導入する方法は、例えば、まず、上記水酸基含有(メタ)アクリレートと上記多官能イソシアネートとを反応させる。次いで、生成物にカルボキシル基を有するメルカプト化合物を付加させる方法で合成できる。
【0120】
上記カルボキシル基を有するメルカプト化合物は、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、o-メルカプト安息香酸、2-メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸等が挙げられる。
【0121】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C3)の市販品は、例えば、共栄社化学社製のAH-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、新中村化学社製のUA-1100H、U-6LPA、UA-33H、U-10HA、U-15HA、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL1290、KRM8452等が挙げられる。
【0122】
(水酸基を有する重合性化合物(C4))
重合性化合物(C)は、現像性や密着性の観点から、水酸基を有する重合性化合物(C4)を含むことが好ましい。
【0123】
水酸基を有する重合性化合物(C4)は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル、エポキシ化合物のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0124】
水酸基を有する重合性化合物(C4)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H,R-167、日油製のブレンマーGLM,GLM-R,GMR-M,GMR-R,GAM,GAM-R,G-FA80、東亞合成社製のアロニックスM-5700,M-920、新中村化学社製のNKエステル701A、共栄社化学社製のライトエステルHOP(N)、HOA(N),HOP-A(N),HOB(N),G-201P、エポキシエステルM-600A,40EM,70PA,200PA,80MFA,3002M(N),3002A(N),3000A、大阪ガスケミカル社製のOGSOL GA-5060P,GA-2800等が挙げられる。
【0125】
重合性化合物(C)は、3級アミン構造を有する重合性化合物やデンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物を含むことができる。
【0126】
(3級アミン構造を有する重合性化合物)
3級アミン構造を有する重合性化合物は、例えば、トリス(アクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(メタアクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピル)アミンや、(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物等が挙げられる。
【0127】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジペンエリスリトールアルキレンオキサイド変性テトラ、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド変性における、アルキレンオキサイド単位は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等が挙げられる。
また、(メタ)アクリレート化合物(X)としては、酸性基を有する(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
【0128】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0129】
アミン化合物(Y)は、例えば、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、アミノカプロン酸、モノエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、o-アミノフェノール、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール等の1級アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、モルフォリン、ピペリジン、1-メチルピペラジン、プロリン、N-メリルエタノールアミン、N-アセチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アニリンフェノール、4-アニリンフェノール等の2級アミン等が挙げられる。
【0130】
アミン化合物(Y)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0131】
(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用できる。例えば、国際公開第2006/075754号、特表2008-545859号公報、特開2017-066347号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0132】
3級アミン構造を有する重合性化合物は、酸性基又は/及び水酸基を有してもよい。酸性基又は/及び水酸基を導入する方法は、例えば、(メタ)アクリレート化合物(X)やアミン化合物(Y)に、酸性基又は/及び水酸基を有する化合物を使用する方法や、マイケル付加反応後に、酸無水物を付加させる方法等が挙げられる。
【0133】
3級アミン構造を有する重合性化合物の市販品は、例えば、東亞合成社製のアロニックスMT-3041,3042等が挙げられる。
【0134】
(デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物)
デンドリマー構造を有する重合性化合物は、コアを構成する化学構造(以下、コア部ともいう)から、その外側へ規則的に分岐を繰り返し、その末端に重合性不飽和基が結合した化学構造を有するものであり、球状の高度に制御された化学構造及び分子量を有している。ハイパーブランチ構造は、デンドリマー構造と類似の化学構造を有する。
【0135】
デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物の市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のビスコート#1000LT(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数14)、Miwon Specialty Chemical社製のMiramer SP-1106(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数18)、Miramer SP-1108(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数13)、SARTOMER社製のCN2301(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数9)、CN2302(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16)、CN2303(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数6)、CN2304(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数18)、Eternal Materials社製のEtercure6361-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数8)、Etercure6362-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数12)、Etercure6363(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16)、EtercureDR-E522(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数15)等が挙げられる。
【0136】
(その他重合性化合物(C5))
本発明の感光性組成物は、重合性化合物(C)として、ラクトン変性された重合性化合物(C1)、酸性基を有する重合性化合物(C2)、ウレタン結合を有する重合性化合物(C3)、水酸基を有する重合性化合物(C4)、3級アミン構造を有する重合性化合物及びデンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物以外の重合性化合物(以下、その他重合性化合物(C5)ともいう)を含むことができる。
【0137】
(その他重合性化合物(C5))
その他重合性化合物(C5)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0138】
その他重合性化合物(C5)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD NPGDA,PEG400DA,FM-400,HX-200,HX-620,R-551,R-712,R-604,R-684,GPOD-303,TMPTA,T-1420(T),RP-1040,DPEA-12,D-310、東亞合成社製のアロニックスM-101A,M-102,M-111,M-113,M-120,M-140,M-208,M-211B,M-220,M-225,M-270,M-240,M-309,M-310,M-321,M-350,M-360,M-408,M-460,M-930、大阪有機化学工業社製のビスコート#150,#155,#160,#192,#MTG,#200,#196,#195、#230、#260、#310、#700HV、#295、大阪ガスケミカル社製のOGSOL EA-0200,EA-0300、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd社製のMiramer HR6060,6100,6200、新中村化学工業社製のNKエステルA-HD-N,A-NPG,A-200,A-400,APG-200,APG-400,A-DCP,ABE-300,A-BPE-4,A-BPE-10,A-TMPT,A-TMPT-9EO,A-GLY-3E,A-GLY-9E,A-TMMT,ATM-35E,AD-TMP等が挙げられる。
【0139】
その他重合性化合物(C5)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0140】
重合性化合物(C)は、ラクトン変性された重合性化合物(C1)、酸性基を有する重合性化合物(C2)、ウレタン結合を有する重合性化合物(C3)、及び水酸基を有する重合性化合物(C4)からなる群から選択される重合性化合物を1つ以上含むことが好ましい。
【0141】
[光重合開始剤(D)]
(一般式(2)で表される化合物(D1))
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤(D)として、一般式(2)で表される化合物(D1)を含む。
【0142】
一般式(2)
【化2】
(一般式(2)中、R
4、R
5は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~8のアルキル基を表す。R
6は、水素原子、または1価の置換基を表す。)
【0143】
R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~8のアルキル基を表す。
炭素原子数1~8のアルキル基としては、直鎖状でも、分岐状でも、環状でも、それらが結合したものであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。なかでも、水しみの抑制、パターン形状の観点から、炭素原子数3~8の直鎖のアルキル基が好ましく、炭素原子数4~6の直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0144】
R6は、水素原子、または任意の1価の置換基を表す。
1価の置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素原子数1~20のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素原子数1~20のアルコキシ基;F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;炭素原子数1~20のアシル基;炭素原子数1~20のアルキルエステル基;炭素原子数1~20のアルコキシカルボニル基;炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数4~20の芳香族環基;アミノ基;炭素原子数1~20のアミノアルキル基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;置換基を有してよいベンゾイル基;置換基を有してよいテノイル基等が挙げられる。ベンゾイル基、またはテノイル基が有してよい置換基としては、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。なかでも、ラジカル生成効率の観点から、水素原子、ニトロ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0145】
一般式(2)で表される化合物(D1)の製造方法は、例えば、特表2019-507108号公報、特表2019-528331号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0146】
以下、一般式(2)で表される化合物(D1)の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0147】
【0148】
化学式(7)~(9)の化合物の中でも、現像性、パターン形状、密着性、耐熱性及び耐溶剤性の観点から、化学式(7)の化合物が好ましい。
【0149】
一般式(2)で表される化合物(D1)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0150】
(オキシム系光重合開始剤(D2))
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤(D)として、オキシム系光重合開始剤(D2)を含んでもよい。オキシム系光重合開始剤(D2)は、1分子中にオキシム基を1つ含有する化合物(D2a)、1分子中にオキシム基を2つ含有する化合物(D2b)が挙げられる。
【0151】
〔1分子中にオキシム基を1つ含有する化合物(D2a)〕
1分子中にオキシム基を1つ含有する化合物(D2a)の市販品は、例えば、BASF社製のIRGACURE OXE-01,02,03、ADEKA社製のアデカアークルズN-1919,NCI-831,930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-301,304,305,309,314,358,380,365,610,3054,3057、IGM Resins社製のOMNIRAD1312,1314,1316、サムヤンコーポレーション社製のSPI-02,03,04,06,07、ダイトーケミックス社製のDFI-020,EOX-01等が挙げられる。
【0152】
1分子中にオキシム基を1つ含有する化合物(D2a)の具体例は、例えば、以下のものが挙げられる。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0153】
【0154】
化学式(10)~(13)の化合物の製造方法は、例えば、特表2004-534797号公報、特開2008-80068号公報、特表2012-526185号公報、国際公開第2015/036910号、国際公開第2015/152153号、特表2016-504270号公報、特表2017-512886号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0155】
1分子中にオキシム基を1つ含有する化合物(D2a)は、パターン形状、耐熱性および耐熱性の観点から、化学式(10)~(13)の化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0156】
1分子中にオキシム基を1つ含有する化合物(D2a)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0157】
〔1分子中にオキシム基を2つ含有する化合物(D2b)〕
1分子中にオキシム基を2つ含有する化合物(D2b)は、例えば、特開2005-215378号公報、特開2011-105713号公報、特表2017-523465号公報、特開2021-011486号公報等に記載の化合物等が挙げられる。なかでも、下記一般式(14)で表される化合物が好ましい。
【0158】
【0159】
一般式(14)中、X1及びX2は、それぞれ独立にカルボニル結合(-CO-)または単結合を表す。X3は、単結合または硫黄原子を表す。R1は、炭素数1~20のアルキル基を表し、R2及びR3は、個々独立に水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~30の複素環、炭素数6~30のアリール基、または炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。R4及びR5は、各々独立に炭素数1~20のアルキル基、炭素原子数2~30の複素環基、炭素数6~30のアリール基、または炭素数7~30のアリールアルキル基を表す。
【0160】
一般式(14)中、X1及びX2は、それぞれ独立にカルボニル結合(-CO-)または単結合を表す。なかでも、有機溶剤への溶解性の観点から、X1及びX2の少なくとも1つはカルボニル結合(-CO-)であることが好ましく、X1及びX2がカルボニル結合(-CO-)であることがより好ましい。
【0161】
一般式(14)中、X3は、単結合または硫黄原子であり、単結合が好ましい。
【0162】
一般式(14)中、R1は、炭素数1~20のアルキル基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、またはこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
【0163】
一般式(14)中、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~30の複素環、炭素数6~30のアリール基、または炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、またはこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基が好ましい。
炭素数2~30の複素環基は、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、イミダゾリジル基、オキサゾリジル基、ピペリジル基、モルホリニル基等が挙げられる。
炭素数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。アリール基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。
炭素数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α―メチルベンジル、α,α―ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。アリールアルキル基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。
【0164】
これらの中でも、R2及びR3は、有機溶剤への溶解性の観点から、少なくとも1つは炭素数1~20の直鎖状のアルキル基であることが好ましく、有機溶剤への溶解性、及び水しみの抑制の観点から、炭素数1~20の直鎖状のアルキル基と炭素数1~20の環状のアルキル基であることがより好ましい。
【0165】
一般式(14)中、R4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1~20のアルキル基、炭素原子数2~30の複素環基、炭素数6~30のアリール基、または炭素数7~30のアリールアルキル基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、またはこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
炭素数2~30の複素環基は、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、イミダゾリジル基、オキサゾリジル基、ピペリジル基、モルホリニル基等が挙げられる。
炭素数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。アリール基は、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。これらの中でも、反応性の観点から、フェニル基が好ましい。
炭素数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α―メチルベンジル、α,α―ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。アリールアルキル基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。
【0166】
これらの中でも、R4及びR5は、反応性の観点から、メチル基、エチル基、またはフェニル基が好ましく、メチル基、またはエチル基がより好ましい。
【0167】
一般式(14)で表される化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、特表2017-523465号公報、特開2021-011486号公報等に記載の方法を用いることができる。
【0168】
以下、1分子中にオキシム基を2つ含有する化合物(D2b)の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0169】
【0170】
化学式(15)~(18)の中でも、耐熱性及び耐溶剤性の抑制の観点から、化学式(15)の化合物が好ましい。
【0171】
1分子中にオキシム基を2つ含有する化合物(D2b)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0172】
オキシム系光重合開始剤(D2)の含有量は、光重合開始剤(D)100質量部に対して、現像性、断面形状、密着性、耐熱性及び耐溶剤性の観点から、80質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
【0173】
(その他光重合開始剤(D3))
本発明の感光性組成物は、一般式(2)で表される化合物(D1)、及びオキシム系光重合開始剤(D2)以外の光重合開始剤(D3)(以下、その他光重合開始剤(D3)ともいう)を含むことができる。
【0174】
その他光重合開始剤(D3)は、光により重合性化合物(C)の重合を開始可能な化合物であれば、特に制限はなく、公知の光重合開始剤を使用できる。例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、または2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、または2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、またはジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン系化合物;
9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
【0175】
その他光重合開始剤(D3)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0176】
光重合開始剤(D)の含有量は、重合性化合物(C)100質量部に対して、光硬化性の観点から、1~100質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましく、15~30質量部が特に好ましい。
【0177】
[分散剤(E)]
本発明の感光性組成物は、分散剤(E)を含有する。ただし、分散剤(E)は、一般式(1)で表される単量体に基づく単量体単位(b1)を含有するアルカリ可溶性樹脂(B1)である場合を除く。
【0178】
(酸性基を有する分散剤(E1))
分散剤(E)は、着色剤(A)に親和性が高い吸着基を有している樹脂が好ましい。吸着基は、塩基性基、および酸性基のうち1種以上有していることが好ましく、現像性の観点から、酸性基を有する分散剤(E1)であることが好ましい。
【0179】
酸性基は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。これらの中でも、顔料への吸着性、現像性の観点からカルボキシル基、リン酸基が好ましい。
【0180】
(ポリエステル分散剤(E1a))
酸性基を有する分散剤(E1)の中でも、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物、および水酸基を2つ以上有する化合物をエステル化反応させてなるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖、ならびにビニル重合体部位を含む側鎖を有し、前記水酸基1モルに対する前記酸無水物基は、0.9~1.5モルであり、前記芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位を有することを特徴とするポリエステル分散剤(E1a)であることが好ましい。
【0181】
ポリエステル分散剤(E1a)は、前駆体である酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と、前駆体である水酸基を2つ以上有する化合物との開環反応によりエステル結合が生成すると同時に芳香族カルボン酸が生成する。
ポリエステル分散剤(E1a)のビニル重合体部位は、例えば、下記2つの方法で重合できる。1つ目の方法は、チオール基を有し水酸基を2つ以上有する化合物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合する方法である。チオール基を有し水酸基を2つ以上有する化合物は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物がより好ましい。
2つ目の方法は、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と、チオール基を有し水酸基を2つ以上有する化合物の水酸基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合する方法である。中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物の水酸基と、芳香族テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体が好ましい。
上記2つの方法は、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なることがあるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じものができる。
【0182】
芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖のうち、芳香族カルボン酸は、顔料吸着基として作用する。なお、芳香族カルボン酸とは、カルボキシル基と芳香環が直接結合する構造である。また、ビニル重合体部位を含む側鎖は、顔料担体親和部位として作用する。これにより顔料の凝集を抑え分散体の安定性に優れている。
芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖は、水酸基を2つ以上有する化合物1モル、および酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物0.9~1.5モルのエステル化反応で生成する。さらに、芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖の末端の酸無水物基の少なくとも一方は、モノアルコールに由来する封止部位を有する。すなわち、酸無水物基がモノアルコールで開環し、アルコールエステルおよびカルボキシル基が生成する。これにより着色組成物のろ過性が向上し、着色組成物を塗工して形成する塗膜上の異物を抑制し、更には着色組成物を塗工する際、塗工装置に形成する着色組成物に由来する固化物物のPGMAcに対する再溶解性が向上する。なお、前記エステル化反応の際、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物の使用量は、1.0~1.3モルが好ましい。
【0183】
〔酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物〕
本発明に使用する酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物の無水物基は、前駆体である水酸基を2つ以上有する化合物との開環反応によって、ポリエステル分散剤(E1a)の主鎖に顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、顔料分散性に寄与する。
【0184】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
【0185】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、一般式で示すと下記一般式(19)又は一般式(20)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0186】
一般式(19):
【0187】
【化10】
[一般式(19)中、kは1又は2である。]
【0188】
一般式(20):
【化11】
[一般式(20)中、Q1は、直接結合、-O-、-CO-、-COOCH
2CH
2OCO-、-SO
2-、-C(CF
3)
2-、下記一般式(21)で表される基、又は下記一般式(22)で表される基である。]
【0189】
【0190】
【0191】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、顔料に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、ピロメリット酸二無水物がより好ましい。
【0192】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、酸無水物基を2つ以上有する脂肪族化合物を併用できる。
【0193】
〔水酸基を2つ以上有する化合物〕
水酸基を2つ以上有する化合物は、上記の通り、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物が好ましく、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物がより好ましい。
【0194】
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物は、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリン)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0195】
エチレン性不飽和単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、又はイソステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、又はメトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、又はテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、又は3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、又はノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、又はω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート類;
スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等のビニル類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はN,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;あるいは、これらの混合物が挙げられる。
【0196】
また、上記(メタ)アクリル単量体と併用できる単量体として、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。
【0197】
また、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などから1種又は2種以上を選択することができる。
【0198】
上記ビニル重合体部位は、片末端領域に2つの水酸基を有するビニル重合体から形成できる。その合成は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物の存在下にエチレン性不飽和単量体をラジカル重合する方法に加え、以下の方法が挙げられる。
【0199】
〔1〕片末端領域に(メタ)アクリル基を1つ有する樹脂と、1つのアミンと2つの水酸基とを有する化合物とをマイケル付加させる方法
〔2〕片末端領域にカルボン酸基を1つ有する樹脂と、1つのエポキシ基と1つの水酸基とを有する化合物とをエポキシ付加させる方法
〔3〕片末端領域にビニルエーテル基を1つ有する樹脂と、1つのカルボン酸基と2つの水酸基とを有する化合物とを付加させる方法
〔4〕重合開始剤に2つの水酸基を有する重合開始剤を用いて、ラジカル重合又は、原子移動型ラジカル重合(リビングラジカル重合)を行う方法とがある。
これらの方法を用いることで片末端領域に2つの水酸基を有する樹脂の合成が可能であるが、多段階反応になってしまう場合が多いことや、分子量の制御が困難である場合が多く、生産性の面からも2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物の存在下にエチレン性不飽和単量体をラジカル重合する方法がもっとも好ましい。
【0200】
上記ビニル重合体部位は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物を、エチレン性不飽和単量体と共に重合して合成できる。2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物は、エチレン性不飽和単量体の全単量体質量を基準として、1~10質量%を用い、より好ましくは2~9質量%、更に好ましく3~8質量%である。1質量%以上の場合、ビニル重合体部位の分子量高くなりすぎず、顔料担体及び溶剤に対する親和性部位として、その絶対量を抑えられ、顔料分散性がより向上する。10質量%以下の場合、ビニル重合体部位の分子量が低くなりすぎず、顔料担体及び溶剤に対する親和性部位として、その立体反発の効果を十分に得ることができ、顔料分散性がより向上する。
【0201】
重合温度は、40~150℃、好ましくは50~110℃である。40℃以上であれば重合が進行し易く、150℃以下であれば分子量のコントロールが容易になる。
【0202】
重合の際、エチレン性不飽和単量体の全単量体質量を基準として、0.001~5質量%の重合開始剤を使用できる。重合開始剤は、アゾ系化合物及び有機過酸化物が挙げられる。
【0203】
アゾ系化合物は、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
【0204】
有機過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、又はジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0205】
重合開始剤は、単独または2種類以上組み合わせて使用できる。
【0206】
ビニル重合体の合成は、塊状重合または溶液重合を行うことが好ましい。溶液重合の重合溶媒は、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
【0207】
ポリエステル分散剤(E1a)の側鎖は、ビニル重合体部位以外にその他ポリオールに基づく部位を有することができる。
【0208】
〔その他ポリオール〕
重合の際、その他ポリオールを併用することでカルボン酸基の密度や、溶剤溶解部の割合の調整が容易になる。
【0209】
その他ポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、グリセリン、若しくはヘキサントリオールの如き多価アルコール類;
ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール、若しくはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコールの如き、各種のポリエーテルグリコール類;
上記した各種の多価アルコール類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、若しくはアリルグリシジルエーテルの如き各種の(環状)エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール類;
上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合によって得られるポリエステルポリオール類であって、多価カルボン酸類が、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,4-シクロヘキサンヒカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサトリカルボン酸、若しくは2,5,7-ナフタレントリカルボン酸等で特に代表されるものを用いて得られるポリオール類;
上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、若しくは3-メチル-δ-バレロラクトンの如き各種のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール類、あるいは、上記した各種の多価アルコール類と、多価カルボン酸類、若しくは各種のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポリオール類;
ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、一価及び/若しくは多価アルコール類のグリシジルエーテル、あるいは、一塩基酸及び/又は多塩基酸類のグリシジルエステルの如き各種のエポキシ化合物を、ポリエステルポリオールの合成時に、1種以上併用して得られるエポキシ変性ポリエステルポリオール類;あるいは、
ポリエステルポリアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、ひまし油、ひまし油誘導体、水添ひまし油、水添ひまし油誘導体、水酸基含有アクリル系共重合体、水酸基含有含フッ素化合物、又は水酸基含有シリコン樹脂等が挙げられる。
【0210】
その他ポリオールは、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは勿論であるが、その重量平均分子量としては、相溶性や分散安定性の観点から、40~10,000が好ましく、より好ましくは、100~2,000であり、更に好ましくは、100~1,000である。重量平均分子量が40以上である場合には、カルボン酸基の密度調整をすることができる。重量平均分子量が10,000以下である場合には、他原料との相溶性が良好となる。
【0211】
その他ポリオールとしては、ジオールが好ましい。特に、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と反応することで、主鎖に顔料吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、顔料分散に有利である。水酸基が二つより多いポリオールを多く用いると、ポリエステルの主鎖が分岐して複雑かつ笠高くなり、分散効果が得られにくくなる。ポリエステル分散剤の分子量調整や、分散液の粘度調整のため等、設計の観点から最小限に止めるべきである。配合量に関しては、後述する。
【0212】
〔ポリエステルの合成〕
本発明で用いられるポリエステル分散剤(E1a)のポリエステル合成の過程について、水酸基を2つ以上有する化合物と酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物のそれぞれ好ましい化合物である、2つの水酸基を持つ化合物とテトラカルボン酸二無水物との反応を例に説明する。
【0213】
本発明に使用するテトラカルボン酸二無水物は、水酸基と反応してエステル結合を形成し、かつ、生成するポリエステル主鎖上にペンダントカルボキシル基を残すことができる。2つの水酸基を持つ化合物のモル量をa、テトラカルボン酸二無水物のモル量をbとし、i)a>b、ii)a=b、及びiii)a<bとしたときのテトラカルボン酸二無水物と2つの水酸基を持つ化合物との反応を、下記一般式(23)、(24)、及び(25)に示す。下記一般式(23)~(25)の生成物中に残っている酸無水物基を加水分解またはアルコールによる酸無水物の開環をすれば、この反応による生成物は、構造式中のX1部分にカルボキシル基を2個又は3個を有しており、この複数のカルボキシル基が顔料の吸着部位として有効である。
【0214】
i)a>b
【0215】
【0216】
ii)a=b
【0217】
【0218】
iii)a<b
【0219】
【0220】
Rは、酸無水物基を加水分解する場合は水素原子を示し、モノアルコールによる酸無水物の開環の場合は後述するモノアルコールの構造を示す。
【0221】
本発明におけるX1は、テトラカルボン酸二無水物が水酸基と反応した後の反応残基、Yは、2つの水酸基を持つ化合物が酸無水物基と反応した後の反応残基である。X1の形態として好ましくは、前記一般式(10)又は一般式(11)で示されるテトラカルボン酸二無水物が、2つの水酸基を持つ化合物と反応した後の反応残基である。
【0222】
〔ポリエステル分散剤(E1a)の合成〕
ポリエステル分散剤(E1a)は、前記一般式(23)~(25)に示したポリエステルの合成の説明中、2つの水酸基を持つ化合物中のYに、S原子を介してビニル重合体を導入する方法が好ましい。以下、好ましい2つの合成パターンを示す。
【0223】
合成パターン1)
下記一般式(26)は、片末端に2つの水酸基と一つのチオール基を有する化合物(a1)の存在下、エチレン性不飽和単量体をラジカル重合し、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a2)を生成させ、これとテトラカルボン酸二無水物(b1)を反応させる。
【0224】
一般式(26):
【0225】
【0226】
(a1)のモル比をa(整数)、(b)のモル比をb(整数)とすると、本発明のモル比は2b/2a=b/a=0.9~1.5が好ましい。モル比が1未満の場合でも未反応の酸無水物が残る場合があり、モノアルコールで主鎖末端を封止する。モル比b/aが0.9以上であれば、一分子中の顔料に吸着する部位の割合が十分で異物発生が抑制され、1.5以下であれば、酸無水物基が残らず保存安定性が良好となり、酸無水物を開環しても酸性基が過剰にならず、顔料担体や溶剤への相溶性が良好となる。顔料分散性と安定性の観点から、c/a=1.0~1.3がより好ましい。
【0227】
合成パターン2)
下記一般式(27)および(28)は、片末端に2つの水酸基と一つのチオール基を有する化合物とテトラカルボン酸二無水物を反応させて、ビニル重合体部位を含まない化合物を最初に生成し、続いて、残存しているチオール基を連鎖移動剤としてラジカル重合することでビニル重合体部分を導入できる。
【0228】
一般式(27):
【0229】
【0230】
一般式(28):
【0231】
【0232】
(a1)のモル比をa(整数)、(b)のモル比をb(整数)とすると、本発明のモル比は2b/2a=b/a=0.9~1.5が好ましい。モル比が1未満の場合でも未反応の酸無水物が残る場合があり、モノアルコールで酸無水物を開環する。モノアルコールによる酸無水物の開環反応は、一般式(27)のようにラジカル重合の前でも、一般式(28)のように後でもどちらでもよい。モル比b/aが0.9以上であれば、一分子中の顔料に吸着する部位の割合が十分で異物発生が抑制され、1.5以下であれば、酸無水物基が残らず保存安定性が良好となり、酸無水物を開環しても酸性基が過剰にならず、顔料担体や溶剤への相溶性が良好となる。顔料分散性と安定性の観点から、b/a=1.0~1.3がより好ましい。
【0233】
[反応触媒]
ポリエステル分散剤(E1a)の合成に使用する触媒は、3級アミン系化合物が好ましい。3級アミン系化合物は、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン、又は1,5-ジアザビシクロ-[4.3.0]-5-ノネン等が挙げられる。
【0234】
[反応溶剤]
ポリエステル分散剤(E1a)の合成には、溶剤を使用できる。溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0235】
ポリエステル分散剤(E1a)中の前記芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖は、酸無水物基にモノアルコールを反応させた、モノアルコールに由来する封止部位を有する。
モノアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、1-ペンタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、イソノニルアルコール、1-ノニルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのモノアルコール、
3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル基を有するモノアルコール、
乳酸メチル、乳酸エチル、ダイアセトンアルコール、などのカルボニル基を有するモノアルコール等が挙げられる。これらは単独または2種類以上を使用できる。
【0236】
モノアルコールは、エーテル基またはカルボニル基を有する化合物であることが好ましい。ポリエステル分散剤(E1a)の主鎖の末端にエーテル基またはカルボニル基を有することができ、分散剤のPGMAc再溶解性が向上する。これらの中でも、3-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコールが好ましい。
【0237】
芳香族カルボン酸エステル部位を含む主鎖は、モノアルコールに由来する封止部位に加え、水と反応させた封止部位を有してもよい。
【0238】
封止部位の合成について、酸無水物基に対するモノアルコールの使用量は、主鎖に残る酸無水物基1当量に対して1~30当量が好ましく、1.5~20当量がより好ましい。1当量以上の場合は酸無水物基が残らず保存安定性が良好となり、30当量以下の場合はモノアルコールと分散剤のエステル結合によるエステル交換反応が起こりにくく、分子量の低下が起こりにくい。
【0239】
[反応条件]
ポリエステル合成の開環反応温度は50℃~180℃、好ましくは80℃~140℃の範囲で行う。反応温度が50℃以上の場合は反応が進行し、180℃以下の場合ではカルボキシル基と水酸基がエステル化反応を起こさず、酸価の減少や、ゲル化が起こりにくい。
【0240】
[分子量]
ポリエステル分散剤(E1a)の重量平均分子量は、2,000~35,000が好ましく、4,000~30,000がより好ましく、4,000~25,000がさらに好ましい。分子量が2,000以上である場合、溶媒親和部位による立体反発効果により顔料凝集を抑制でき、顔料分散性がより向上する。分子量が35,000以下である場合に溶媒溶解性が担保され、十分な立体反発効果を保つことができ顔料分散性がより向上する。前記範囲となる場合に、立体反発効果による顔料凝集抑制効果がより良好となる。
【0241】
[酸価]
ポリエステル分散剤(E1a)の酸価は、5~200mgKOH/gが好ましく、20~180mgKOH/gがより好ましく、30~150mgKOH/gがさらに好ましい。酸価が5mgKOH/g以上の場合は、顔料吸着能が向上して顔料分散性がより向上する。一方、200mgKOH/g以下の場合は、樹脂間の相互作用がなく顔料分散組成物の粘度を低く抑えられる。
【0242】
着色組成物中のポリエステル分散剤(E1a)の含有量は、顔料の質量を基準として、好ましくは0.01~100質量%が好ましく、0.01~60質量%がより好ましく、5~40質量%がさらに好ましい。ポリエステル分散剤(E1a)の含有量が0.01質量%以上の場合は良好な分散効果を得られ、100質量%以下の場合は樹脂間の相互作用がなく顔料分散組成物の粘度を低く抑えられる。
【0243】
本発明の感光性組成物は、分散剤(E)として、ポリエステル分散剤(E1a)以外の重合性化合物の酸性分散剤(E1b)や塩基性基を有する分散剤(E2)でもよい。
【0244】
塩基性基は、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、および含窒素複素環など窒素原子を含有する基等が挙げられる。
【0245】
ポリエステル分散剤(E1a)以外の重合性化合物の酸性分散剤(E1b)や塩基性基を有する分散剤(E2)の樹脂種は、例えば、ウレタン樹脂、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0246】
ポリエステル分散剤(E1a)以外の重合性化合物の酸性分散剤(E1b)や塩基性基を有する分散剤(E2)の分子構造は、例えば、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造、くし型構造、および星型構造等が挙げられる。これらの中でも、分散安定性の観点から、ブロック構造、またはくし型構造が好ましい。
【0247】
ポリエステル分散剤(E1a)以外の重合性化合物の酸性分散剤(E1b)や塩基性基を有する分散剤(E2)の市販品は、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101,103,107,108,110,111,116,130,140,154,161,162,163,164,165,166,167,168,170,171,174,180,181,182,183,184,185,190,2000,2001,2009,2010,2020,2025,2050,2070,2095,2150,2155,2163,2164、またはAnti-Terra-U203,204、またはBYK-P104,P104S,220S、またはLactimon、Lactimon-WS、またはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000,9000,13000,13240,13650,13940,16000,17000,18000,20000,21000,24000,26000,27000,28000,31845,32000,32500,32550,33500,32600,34750,35100,36600,38500,41000,41090,53095,55000,56000,76500等、BASFジャパン社製のEFKA-46,47,48,452,4008,4009,4010,4015,4020,4047,4050,4055,4060,4080,4400,4401,4402,4403,4406,4408,4300,4310,4320,4330,4340,450,451,453,4540,4550,4560,4800,5010,5065,5066,5070,7500,7554,1101,120,150,1501,1502,1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスーパーPA111,PB711,PB821,PB822,PB824等、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、国際公開2008/007776号、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開1996-143651号公報等に記載の樹脂が挙げられる。
【0248】
分散樹脂(E)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0249】
分散樹脂(E)の含有量は、分散安定性の観点から、着色剤(A)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましい。
【0250】
[色素誘導体(F)]
本発明の感光組成物は、色素誘導体(F)を含有できる。
【0251】
色素誘導体(F)は、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する化合物である。色素誘導体(F)は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物、およびこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。
【0252】
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体としては、特開2001-220520号公報、国際公開第2009/081930号、国際公開第2011/052617号、国際公開第2012/102399号、特開2017-156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体としては、特開2007-226161号公報、国際公開第2016/163351号、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体としては、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、国際公開第2009/025325号、キナクリドン系色素誘導体としては、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体としては、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体としては、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体としては、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体としては、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体としては、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体としては、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体としては、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基としては、特開2004-307854号公報、塩基性置換基としては、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報等に記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なお、これらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
【0253】
色素誘導体(F)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0254】
色素誘導体(F)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、1~20質量部が好ましく、2~10質量部がより好ましい。
【0255】
[増感剤(G)]
本発明の感光性組成物は、パターン形状の観点から、増感剤(G)を含むことが好ましい。
【0256】
増感剤(G)は、例えば、カルコン系化合物、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン系化合物、ベンゾイン系化合物、フルオレン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、キサンテン系化合物、チオキサンテン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、クマリン系化合物、ケトクマリン系化合物、シアニン系化合物、メロシアニン系化合物、オキソノール系化合物等のポリメチン色素、アクリジン系化合物、アジン系化合物、チアジン系化合物、オキサジン系化合物、インドリン系化合物、アズレン系化合物、アズレニウム系化合物、スクアリリウム系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラフェニルポルフィリン系化合物、トリアリールメタン系化合物、テトラベンゾポルフィリン系化合物、テトラピラジノポルフィラジン系化合物、フタロシアニン系化合物、テトラアザポルフィラジン系化合物、テトラキノキサリロポルフィラジン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、サブフタロシアニン系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、テトラフィリン系化合物、アヌレン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、チオスピロピラン系化合物、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、またはベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、パターン形状の観点から、チオキサントン系化合物(G1)、またはベンゾフェノン系化合物(G2)が好ましく、チオキサントン系化合物(G1)がより好ましい。
【0257】
(チオキサントン系化合物(G1))
チオキサントン系化合物(G1)は、例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。これらの中でも、2,4-ジエチルチオキサントンが好ましい。
【0258】
(ベンゾフェノン系化合物(G2))
ベンゾフェノン系化合物(G2)は、例えば、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらの中でも、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0259】
増感剤(G)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0260】
増感剤(G)の含有量は、パターン形状の観点から、一般式(2)で表される化合物(D1)100質量部に対して、5~100質量部が好ましく、10~80質量部がより好ましく、15~60質量部が特に好ましい。
【0261】
[熱硬化性化合物(H)]
本発明の感光性組成物は、耐熱性の観点から、熱硬化性化合物(H)を含むことが好ましい。これにより、加熱工程で熱硬化性化合物(H)が反応し、架橋密度が高まるため耐熱性が向上する。
【0262】
熱硬化性化合物(H)は、低分子化合物や、樹脂のような高分子量化合物でもよい。熱硬化性化合物(H)は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、及びフェノール化合物が挙げられる。これらの中でもエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましい。
【0263】
(エポキシ化合物(H1))
エポキシ化合物(H1)は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノールボルナジエン、ビニルノールボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0264】
市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMORE VG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S等が挙げられる。
【0265】
エポキシ化合物(H1)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~50質量%が好ましく、1~40質量%がより好ましい。
【0266】
(オキセタン化合物(H2))
オキセタン化合物(H2)は、オキセタン基を有する公知の化合物である。オキセタン化合物は、1官能オキセタン化合物、2官能オキセタン化合物、3官能以上のオキセタン化合物が挙げられる。
【0267】
1官能オキセタン化合物は、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、 (3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
【0268】
市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のOXE-10,30、東亞合成社製のOXT-101,212等が挙げられる。
【0269】
2官能オキセタン化合物は、例えば、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコ-スビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0270】
市販品は、例えば、宇部興産社製のOXBP、OXTP、東亞合成社製OXT-121,221等が挙げられる。
【0271】
3官能以上のオキセタン化合物は、例えば、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロ-ルプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE-30のような(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0272】
オキセタン化合物(H2)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~50質量%が好ましく、1~40質量%がより好ましい。
【0273】
メラミン化合物は、メラミン環構造を有する化合物である。メラミン化合物は、メチロ-ル型やエーテル型の化合物が好ましく、メラミン環1個当たりのメチロ-ル基および/またはエーテル基数が平均5.0以上のメラミン化合物がより好ましい。適度にメチロ-ル基やエーテル基数を有すると過不足ない耐熱性が得やすい。
【0274】
市販品は、例えば、三和ケミカル社製のニカラックMW-30HM,MW-390,MW-100LM,MX-750LM,MW-30M,MW-30,MW-22,MS-21,MS-11,MW-24X,MS-001,MX-002,MX-730,MX-750,MX-708,MX-706,MX-042,MX-45,MX-500,MX-520,MX-43,MX-417,MX-410、日本サイテックインダストリーズ社製のサイメル232,235,236,238,285,300,301,303,350,370等が挙げられる。
【0275】
これらの中でもメラミン環1個当たりのメチロ-ル基、及び/または、エーテル基数が平均5.0以上である、三和ケミカル社製の二カラックMW-30HM、MW-390、MW-100LM、MX-750LM、MW-30M、MW-30、MW-22、MS-21、MS-11、MW-24X、MX-45、日本サイテックインダストリ-ズ社製のサイメル232,235,236,238,300,301,303,350等は、架橋密度を高められる面で好ましい。
【0276】
熱硬化性化合物(H)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0277】
[硬化剤(硬化促進剤)]
本発明の感光性組成物は、熱硬化性化合物(H)の硬化を補助するため、硬化剤(硬化促進剤)を併用できる。硬化剤は、例えば、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。硬化剤は、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
【0278】
硬化剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0279】
硬化剤の含有量は、熱硬化性化合物(H)100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましい。
【0280】
[チオール系連鎖移動剤(I)]
本発明の感光性組成物は、チオール系連鎖移動剤(I)を含有できる。チオール系連鎖移動剤(I)は、光重合開始剤(D)と併用すると光照射後のラジカル重合の際、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し、感光性組成物の光感度が向上する。
【0281】
チオール系連鎖移動剤(I)は、チオール基(SH基)を2以上有する多官能チオールが好ましく、4以上有する多官能チオールがより好ましい。官能基数が増えると膜の表面から最深部まで光硬化し易くなる。
【0282】
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオ-ルビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオ-ルビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオグリコレート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられる。
【0283】
チオール系連鎖移動剤(I)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0284】
チオール系連鎖移動剤(I)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましい。適量含有すると光感度が向上し、硬化膜の表面にシワが発生し難くなる。
【0285】
[重合禁止剤(J)]
本発明の感光性組成物は、重合禁止剤(J)を含有できる。
【0286】
重合禁止剤(J)は、例えば、カテコール、レゾールシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-t-ブチルカテコール、3-t-ブチルカテコール、4-t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾールシノール、4-メチルレゾールシノール、2-エチルレゾールシノール、4-エチルレゾールシノール、2-プロピルレゾールシノール、4-プロピルレゾールシノール、2-n-ブチルレゾールシノール、4-n-ブチルレゾールシノール、2-t-ブチルレゾールシノール、4-t-ブチルレゾールシノール等のアルキルレゾールシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノーン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシン等が挙げられる。
【0287】
重合禁止剤(J)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.01~0.4質量%が好ましい。
【0288】
[紫外線吸収剤(K)]
本発明の感光性組成物は、紫外線吸収剤(K)を含有できる。
【0289】
紫外線吸収剤(K)は、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、及びサリシレート系化合物等が挙げられる。
【0290】
ベンゾトリアゾール系化合物は、例えば、2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル 3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。
【0291】
市販品は、例えば、BASFジャパン社製のTINUVIN P,PS,234,326,329,384-2,900,928,99-2,1130、ADEKA社製のアデカスタブLA-29,LA-31RG,LA-32,LA-36、ケミプロ化成社製のKEMISORB71,73,74,79,279、大塚化学社製のRUVA-93等が挙げられる。
【0292】
トリアジン系化合物は、例えば、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0293】
市販品は、例えば、ケミプロ化成社製のKEMISORB102、BASFジャパン社製のTINUVIN400,405,460,477,479,1577ED、ADEKA社のアデカスタブLA-46,LA-F70、サンケミカル社製のCYASORB UV-1164等が挙げられる。
【0294】
ベンゾフェノン系化合物は、例えば、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン5-スルホン酸-3水温、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノーン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0295】
市販品は、例えば、ケミプロ化成社製のKEMISORB 10,11,11S,12,111、シプロ化成社製のSEESORB 101,107、ADEKA社製のアデカスタブ1413、サンケミカル社製のUV-12等が挙げられる。
【0296】
サリチル酸エステル系化合物は、例えば、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。
【0297】
紫外線吸収剤(K)の含有量は、光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(K)との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。
【0298】
[酸化防止剤(L)]
本発明の感光性組成物は、酸化防止剤(L)を含有できる。
【0299】
酸化防止剤(L)は、感光性組成物に含まれる光重合開始剤(D)や熱硬化性化合物(H)が、熱硬化やITOアニ-ル時の熱工程によって酸化による黄変を防ぐ。特に、感光性組成物の着色剤(A)濃度が高い場合、相対的に重合性化合物(C)の含有量が減少するため、光重合開始剤(D)の増量や、熱硬化性化合物(H)の配合で対応すると硬化膜が黄変し易い。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による硬化膜の黄変を防止する。
【0300】
酸化防止剤(L)は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、およびヒドロキシルアミン系の化合物が挙げられる。なお、本明細書で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
【0301】
これらの中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
【0302】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス-(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-ブタン、4,4’-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-4-t-ブチル-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,2’-メチレンビス(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、i-オクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのカルシウム塩、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、ビス[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン、1,6-ヘキサンジオ-ルビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,2’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2’-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール等が挙げられる。
【0303】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-20,AO-30,AO-40,AO-50,AO-60,AO-80,AO-330、ケミプロ社製のKEMINOX101,179,76,9425、BASFジャパン社製のIRGANOX1010,1035,1076,1098,1135,1330,1726,1425WL,1520L,245,259,3114,5057,565、サンケミカル社製のサイアノックスCY-1790,CY-2777等が挙げられる。
【0304】
ヒンダードアミン系酸化防止剤は、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと3,5,5-トリメチルヘキサン酸のエステル、N,N’-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジル)[[3,5-ビス(1,1ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジルセバケート、ポリ[[6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-C12-21およびC18不飽和脂肪酸エステル、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
【0305】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブLA-52,LA-57,LA-63P,LA-68,LA-72,LA-77Y,LA-77G,LA-81,LA-82,LA-87,LA-402F,LA-502XP、ケミプロ化成社製のKAMISTAB29,62,77,94、BASFジャパン社製のTinuvin111FDL,123,144,249,292,5100、サンケミカル社製のサイアソ-ブUV-3346,UV-3529,UV-3853等が挙げられる。
【0306】
リン系酸化防止剤は、例えば、ジ(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニルジフォスホニト、トリス(トリデシル)ホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールアルキルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリスジノニルフェニルホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラトリデシル4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジt-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。
【0307】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブPEP-36,PEP-8,HP-10,2112,1178,1500,C,135A,3010,TPP、BASFジャパン社製のIRGAFOS168、クラリアントケミカルズ社製のHostanoxP-EPQ等が挙げられる。
【0308】
イオウ系酸化防止剤は、例えば、2,2-ビス{〔3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ〕メチル}プロパン-1,3-ジイルビス〔3-(ドデシルチオ)プロピオネート〕、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。
【0309】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-412S,AO-503、ケミプロ化成社製のKEMINOXPLS等が挙げられる。
【0310】
酸化防止剤(L)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0311】
酸化防止剤(L)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~5.0質量%が好ましい。適量含有すると透過率、分光特性、及び感度が向上する。
【0312】
[レベリング剤(M)]
本発明の感光性組成物は、レベリング剤(M)を含有できる。これにより、塗工時の基板に対する濡れ性、及び乾燥性がより向上する。
【0313】
レベリング剤(M)は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0314】
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0315】
さらに具体的には、ビックケミー社製BYK-300、306、310、313、315N、320、322、323、330、331、333、342、345/346、347、348、349、370、377、378、3455、UV3510、3570、東レ・ダウコーニング株式会社製FZ-7002、2110、2122、2123、2191、5609、信越化学工業株式会社製X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0316】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレべリング剤が挙げられる。
【0317】
さらに具体的には、AGCセイミケミカル株式会社製サーフロンS-242、S-243、S-420、S-611、S-651、S-386、DIC株式会社製メガファックF-253、F-477、F-551、F-552、F-555、F-558、F-560、F-570、F-575,F-576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム株式会社製FC-4430、FC-4432、三菱マテリアル電子化成株式会社製EF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、株式会社ネオス製フタージェント602A等が挙げられる。
【0318】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキイエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0319】
さらに具体的には、花王株式会社製エマルゲン103、104P、106、108、109P、120、123P、130K、147、150、210P、220、306P、320P、350、404、408、409PV、420、430、705、707、709、1108、1118S-70、1135S-70、1150S-60、2020G-HA、2025G、LS-106、LS-110、LS-114、MS-110、A-60、A-90、B-66、PP-290、ラテムルPD-420、PD-430、PD-430S、PD450、レオドールSP-L10、SP-P10、SP-S10V、SP-S20、SP-S30V、SP-O10V、SP-O30V、スーパーSP-L10、AS-10V、AO-10V、AO-15V、TW-L120、TW-L106、TW-P120、TW-S120V、TW-S320V、TW-O120V、TW-O106V、TW-IS399C、スーパーTW-L120、430V、440V、460V、MS-50、MS-60、MO-60、MS-165V、エマノーン1112、3199V、3299V、3299RV、4110、CH-25、CH-40、CH-60(K)、アミート102、105、105A、302、320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、株式会社ADEKA社製アデカプルロニック(登録商標)L-23、31、44、61、62、64、71、72、101、121、TR-701、702、704、913R、共栄社化学株式会社製(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95等が挙げられる。
【0320】
カチオン性界面活性剤としてはアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0321】
さらに具体的には、花王株式会社製アセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0322】
アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0323】
さらに具体的には、株式会社ネオス製フタージェント100、150、株式会社ADEKA社製アデカホープYES-25、アデカコールTS-230E、PS-440E、EC-8600等が挙げられる。
【0324】
両性界面活性剤としてはラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0325】
さらに具体的には、花王株式会社製アンヒトール20AB、20BS、24B、55AB、86B、20Y-B、20N等が挙げられる。
【0326】
レベリング剤(M)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0327】
レベリング剤(M)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。この範囲内であることで、感光性組成物の塗布性と密着性のバランスがより向上する。
【0328】
[貯蔵安定剤(N)]
本発明の感光性組成物は、貯蔵安定剤(N)を含有できる。これにより、感光性組成物の経時粘度が安定化する。
【0329】
貯蔵安定剤(N)は、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0330】
貯蔵安定剤(N)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0331】
貯蔵安定剤(N)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.1~10質量%が好ましい。
【0332】
[密着向上剤(O)]
本発明の感光性組成物は、密着向上剤(O)を含有できる。これにより被膜と基材の密着性が向上する。また、フォトリソグラフィー法で幅が狭いパターンを形成し易くなる。
【0333】
密着向上剤(O)は、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。
【0334】
密着向上剤(O)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0335】
密着向上剤(O)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.01~10質量%が好ましく、0.05~5質量%がより好ましい。
【0336】
[有機溶剤(P)]
本発明の感光性組成物は、有機溶剤(P)を含有できる。
【0337】
有機溶剤(P)は、例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、1,3-ブタンジオ-ル、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノーン、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオ-ル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノーン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、o-クロロトールエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトールエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、顔料の分散性、アルカリ可溶樹脂の溶解性の観点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類が好ましい。
【0338】
本発明の着色組成物は、環境面の観点から、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン等)である有機溶剤は、実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、着色組成物中、50質量ppm以下が好ましく、30質量ppm以下がより好ましく、10質量ppm以下がさらに好ましい。
【0339】
有機溶剤(P)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0340】
[特定金属元素の含有量]
本発明の着色組成物は、電気特性、低酸素環境下での耐光性の観点から、着色組成物に含まれるLi、Na、K、Mg、Ca、Fe及びCr(以下、単に特定金属元素ともいう)の金属の合計量が、300質量ppm以下であることが好ましい。
【0341】
特定金属元素の合計量が、上記範囲内の着色組成物であると、低酸素環境下での明度低下が少なく、電気特性に優れるカラーフィルタを形成できる。
【0342】
着色組成物に含まれる特定金属元素の合計量は、200質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が特に好ましい。また、特定金属元素の合計量の下限は、特に限定されないが、1質量ppm以上が好ましく、5質量ppm以上がより好ましい。
【0343】
着色組成物に含まれる各特定金属元素の量は、各々40質量ppm以下が好ましく、各々20質量ppm以下であることがより好ましい。
【0344】
着色組成物に含まれる特定金属元素を低減させる方法は、特に限定されないが、特定金属元素は、着色剤(A)に多く含まれることから、着色剤(A)の特定金属元素を除去することが好ましい。また、着色組成物を製造する装置からも混入するため、装置からの混入を抑えることも好ましい。
【0345】
着色剤(A)に含まれる特定金属元素の低減方法、除去方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、製造過程での装置からの混入を避ける方法としては、特開2010-83997号公報、特開2018-36521号公報等に記載の方法が挙げられる。また、例えば、着色剤(A)からの除去する方法としては、特開平7-198928号公報、特開平8-333521号公報、特開2009-7432号公報、特開2010-83997号公報等に記載の方法が挙げられる。これらの中でも、着色剤(A)を特定金属元素の含有量が少ない水、例えば、イオン交換水等で洗浄する方法が好ましい。
【0346】
着色剤(A)の洗浄の方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、合成後の着色剤(A)を、イオン交換水が入った容器に投入し、撹拌する。一定時間撹拌後、フィルタープレスにてろ過し、着色剤(A)とイオン交換水をと分離する。特定金属元素量が所望の値になるまで、この作業を繰り返し行う。洗浄は、加温しながら行うことが好ましい。その後、着色剤(A)を熱風乾燥及び粉砕する。
【0347】
特定金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって、測定できる。
【0348】
本発明の着色組成物は、特定金属元素以外の金属元素の含有量も低減することが好ましい。特定金属元素以外の金属は、例えば、Mn、Cs、Ti、Co、Si、Pd等が挙げられる。
【0349】
[水の含有量]
本発明の着色組成物は、着色組成物に含まれる水の含有量が2.0質量%以下であることが好ましい。
【0350】
着色組成物に含まれる水の含有量は、1.5質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。また、水の含有量の下限は、特に制限はない。
【0351】
水の含有量を制御する方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、上述した各成分について十分に乾燥等を行い、成分に含まれる水分量を減らしたもの使用する。また、乾燥した空気や不活性ガス、それらの混合ガスを吹き込みながら、着色組成物を製造する方法や、製造後、モレキュラーシーブを投入し脱水する方法等が挙げられる。
【0352】
水の含有量は、カールフィッシャー法などの公知の方法により測定することができる。
【0353】
[感光性組成物の製造方法]
本発明の感光性組成物は、例えば、着色剤(A)、分散樹脂(E)、色素誘導体(F)、及び有機溶剤(P)等を加えて分散処理を行うことで、分散体を製造する。その後、前記分散体に、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)等を配合し混合することで製造できる。なお、配合する材料及びその配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0354】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロ-ルミル、3本ロールミル、ボ-ルミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビ-ズミル、またはアトライター等が挙げられる。
【0355】
分散体中の着色剤の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると分散安定性が高い感光性組成物が得やすい。
【0356】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モ-ド、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0357】
感光性組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、および混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の感光性組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0358】
<光学フィルタ>
本発明の光学フィルタは、基板、及び本発明の感光性組成物から形成されるフィルタセグメントを備える。光学フィルタは、様々な用途に使用できる。本明細書で光学フィルタは、カラーフィルタが好ましい。
フィルタセグメントは、カラーフィルタの場合には、使用する着色剤(A)の種類を適宜選択することで、レッドフィルタセグメント、グリーフィルタセグメント、及びブルーフィルタセグメントを有する。前記フィルタセグメントに代えてまたは加え、マゼンタフィルタセグメント、シアンフィルタセグメント、イエローフィルタセグメント、ホワイトフィルタセグメント、グレーフィルタセグメント、ブラックフィルタセグメントを有することもできる。また、クリアのフィルタを有することもできる。
前記基板は、透明基板、及び反射基板が挙げられる。前記透明基板は、例えば、ガラス基板が挙げられる。前記反射基材は、例えばアルミ電極や金属薄膜を反射面として使用する基板が挙げられる。
【0359】
[光学フィルタの製造方法]
光学フィルタの製造方法は、例えば、基板上に感光性組成物を塗布し組成物の層(被膜)を形成する工程(1)、前記層に、マスクを介してパターン状に露光する工程(2)、未露光部分をアルカリ現像しパターン状の硬化膜を形成する工程(3)、前記パターンを加熱処理(ポストベーク)する工程(4)を行い作製できる。
【0360】
以下、光学フィルタの製造方法を詳細に説明する。
(工程(1))
組成物の層を形成する工程(1)は、感光性組成物を基板上に、例えば、回転塗布、ロ-ル塗布、スリット塗布、流延塗布、またはインクジェット塗布等の方法で塗布し、必要に応じてオーブン、ホットプレート等を用いて、50~120℃の温度で10~120秒乾燥(プリベーク)する。
前記基板は、例えば、ガラス基板、シリコン基板等が挙げられる。シリコン基板は、例えば、表面にCCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基板上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
層の膜厚は、0.05~10.0μmが好ましく、0.3~5μmがより好ましい。
【0361】
(工程(2))
露光工程は、工程(1)で得られた層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF(波長193nm)などが挙げられる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(パルス露光)してもよい。
【0362】
(工程(3))
工程(2)で得られた硬化膜は、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の組成物の層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の硬化膜が得られる。
現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。
アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
【0363】
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0364】
(工程(4))
加熱処理(ポストベーク)は、工程(3)で得られたパターン状の硬化膜を加熱により十分に硬化させる。温度は、80~300℃が好ましい。また、時間は、2分間~1時間程度が好ましい。基材に耐熱性の低い素材を用いた場合や、光源として有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた場合などは、温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
【0365】
(ドライエッチング法でパターンを形成する場合)
ドライエッチング法でパターンを形成する場合、例えば、基板上に本発明の樹脂組成物を塗工して形成した層を加熱し硬化させる。次いで、硬化膜上にパターニングされたフォトレジスト層を形成後、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化膜に対しエッチングガスを用いてドライエッチングを行う。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の記載された方法を参酌できる。
【0366】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルタを備える。画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。
画像表示装置に用いる形態は、画像表示装置として機能すればよく、特に制限されない。例えば、「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男著、(株)工業調査会、1994年発行)に記載されている構成等が挙げられる。
画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば、「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)、平成元年発行)」等に記載されている。
【0367】
<固体撮像素子>
本発明の膜は、固体撮像素子に使用できる。固体撮像素子に用いる形態は、特に制限されないが、例えば、基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、フィルタを有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であってフィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、撮像機能を有する電子機器(スマートフォン、タブレット端末等)、車載カメラ、監視カメラ、光センサ等様々な用途に使用できる。
【0368】
<赤外線センサ>
本発明の膜は、赤外線センサに使用できる。赤外線センサに用いる形態は、特に制限されない。
図1は、本発明の膜を備えた赤外線センサの構成例を示す概略断面図である。
図1に示す赤外線センサは100、固体撮像素子110を備える。
【0369】
固体撮像素子110上に設けられている撮像領域は、赤外線カットフィルタ111とカラーフィルタ112とを組み合せて構成されている。
【0370】
赤外線カットフィルタ111は、本発明の樹脂組成物を用いて形成することができ、可視光領域の光(例えば、波長400~700nmの光)を透過し、赤外領域の光を遮蔽する。
【0371】
カラーフィルタ112は、可視光領域における特定波長の光を透過及び吸収する画素が形成されたカラーフィルタであって、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素が形成されたカラーフィルタ等が用いられる。
【0372】
赤外線透過フィルタ113と固体撮像素子110との間には、赤外線透過フィルタ113を透過した波長の光を透過可能な樹脂膜114が配置されている。赤外線透過フィルタ313は、可視光領域の光を遮蔽し、かつ、特定波長の赤外線を透過させるフィルタであって、本発明の樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0373】
カラーフィルタ112、および赤外線透過フィルタ113の入射光h側には、マイクロレンズ115が配置されている。マイクロレンズ115を覆うように平坦化膜116が形成されている。
【0374】
図1に示す形態では、樹脂膜114が配置されているが、樹脂膜114に代えて赤外線透過フィルタ113を形成してもよい。
【0375】
この赤外線センサによれば、画像情報を同時に取り込めるため、動きを検知する対象を認識したモーションセンシング等が可能である。また、この赤外線センサによれば、距離情報を取得できるため、3D情報を含んだ画像の撮影等も可能である。更に、この赤外線センサは、生体認証センサとしても使用できる。
【実施例0376】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
また、本発明において、不揮発分もしくは不揮発分濃度は、230℃で30分間オーブン静置後の、質量残分をいう。
【0377】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、酸価(mgKOH/g)、アミン価(mgKOH/g)は、以下の通りである。
【0378】
(樹脂の平均分子量)
樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1質量%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットール注入した。平均分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0379】
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0380】
(樹脂のアミン価)
樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
【0381】
<着色剤(A)の製造>
【0382】
(微細化した赤色顔料(A-1))
C.I.ピグメントレッド254を100部、塩化ナトリウム1,200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で6時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間攪拌してスラリー状として、濾過・水洗をして塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化した赤色顔料(A-1)を得た。
【0383】
(微細化した赤色顔料(A-2))
C.I.ピグメントレッド177を100部、塩化ナトリウム1,200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で6時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間攪拌してスラリー状として、濾過・水洗をして塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化した赤色顔料(A-2)を得た。
【0384】
(微細化した青色顔料(A-3))
C.I.Pigment Blue15:6を100部、塩化ナトリウム1,000部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で24時間乾燥し、粉砕することにより微細化した青色顔料(A-3)を得た。
【0385】
(微細化した紫色顔料(A-4))
C.I.ピグメントバイオレット23を100部、塩化ナトリウム1,200部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8,000部の温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム、およびジエチレングリコールを除いた後、85℃で24時間乾燥し、粉砕することにより微細化した紫色顔料(A-4)を得た。
【0386】
(微細化した緑色顔料(A-5))
C.I.ピグメントグリーン58を100部、塩化ナトリウム1,200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した緑色顔料(A-5)を得た。
【0387】
(微細化した緑色顔料(A-6)
特開2017-111398号公報の実施例に従って、下記化学式(29)の緑色顔料(A-6)を得た。緑色顔料(A-6)を100部、塩化ナトリウム1,200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した緑色顔料(A-6)を得た。
【0388】
【0389】
(微細化した黄色顔料(A-7))
C.I.ピグメントイエロー150を100部、塩化ナトリウム700部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2,000部に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した黄色顔料(A-7)を得た。
【0390】
(微細化した黄色顔料(A-8))
C.I.ピグメントイエロー139(クラリアント社製「Novoperm Yellow P-M3R」)100部、粉砕した塩化ナトリウム800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した黄色顔料(A-8)を得た。
【0391】
(微細化した黄色顔料(A-9))
C.I.ピグメントイエロー185(BASFジャパン社製「Palitol Yellow D1155」)100部、粉砕した塩化ナトリウム700部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した黄色顔料(A-9)を得た。
【0392】
(微細化した黄色顔料(A-10)
特開2012-226110号公報の実施例に従って、下記化学式(30)の黄色顔料(A-10)を得た。黄色顔料(A-10)100部、粉砕した塩化ナトリウム700部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、粉砕することにより微細化した黄色顔料(A-10)を得た。
【化21】
【0393】
上記微細化された顔料の平均一次粒子径は、5~120nmの範囲内であった。
【0394】
(染料(A-11))
下記の手順でC.I.アシッドレッド52と側鎖にカチオン性基を有する樹脂1とからなる造塩化合物である染料(A-11)を製造した。
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン67.3 部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、メチルメタクリレート34.0部、n-ブチルメタクリレート28.0部、2-エチルヘキシルメタクリレート28.0部、ジメチルアミノエチルメタクリレート10.0部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を6.5部、およびメチルエチルケトン25.1部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、不揮発分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、6,830であることを確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化メチル3.2部、エタノール22.0 部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで加温し、更に、2時間反応させた。このようにして樹脂成分が47質量%のアンモニウム基を有する側鎖にカチオン性基を有する樹脂1を得た。得られた樹脂のアンモニウム塩価は34mgKOH/gであった。
次に、水2,000部に不揮発分換算で30部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂1を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱した。一方、90部の水に10部のC.I.アシッド レッド 52を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下した。滴下後、60℃で120分間攪拌し、十分に反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、32部のC.I.アシッドレッド52と側鎖にカチオン性基を有する樹脂1との造塩化合物である染料(A-11)を得た。このとき染料(A-11)中のC.I.アシッドレッド52に由来する成分の含有量は25質量%であった。
【0395】
<アルカリ可溶性樹脂(B)の製造>
(アルカリ可溶性樹脂(B1-1)溶液)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン65.0部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後 、滴下管より、グリセロールメタクリレート(GLM)57.0部、メタクリル酸8.6部、パラクミルフェノールEO変性(1モル)アクリレート (東亜合成社製
アロニックスM110) 15.0部、ベンジルメタクリレート(BzMA)19.4部および2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.9部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)10.0部、ラウリン酸ジブチル錫0.03部、シクロヘキサノン5部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、不揮発分が20質量%の所望のアルカリ可溶性樹脂(B1-1)溶液を得た。このアルカリ可溶性樹脂(B1-1)の重量平均分子量は42000、酸価56mgKOH/gであった。
【0396】
(アルカリ可溶性樹脂(B1-2)液の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後 、滴下管より、n-ブチルメタクリレート23.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート14.0部、メタクリル酸13.0部、パラクミルフェノールEO変性(1モル)アクリレート (東亜合成社製アロニックスM110) 25.0部、ベンジルメタクリレート25.0部および2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.9部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応を継続し、不揮発分が20質量%の所望のアルカリ可溶性樹脂(B1-2)溶液を得た。このアルカリ可溶性樹脂(B1-2)の重量平均分子量は39000、酸価85mgKOH/gであった。
【0397】
(アルカリ可溶性樹脂(B1-3)溶液)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン65.0部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後 、滴下管より、n-ブチルメタクリレート13.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート44.0部、メタクリル酸21.0部、パラクミルフェノールEO変性(1モル)アクリレート (東亜合成社製アロニックスM110) 22.0部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.9部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)10.0部、ラウリン酸ジブチル錫0.03部、シクロヘキサノン5部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、不揮発分が20質量%の所望のアルカリ可溶性樹脂(B1-3)溶液を得た。このアルカリ可溶性樹脂(B1-3)の重量平均分子量は14000、酸価137mgKOH/gであった。。
【0398】
(アルカリ可溶性樹脂(B1-4)液の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後 、滴下管より、n-ブチルメタクリレート23.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート14.0部、メタクリル酸13.0部、ノニルフェノールEO変性(1モル)アクリレート(東亜合成社製アロニックスM111) 50.0部および2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.9部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応を継続し、不揮発分が20質量%の所望のアルカリ可溶性樹脂(B1-4)溶液を得た。このアルカリ可溶性樹脂(B1-4)の重量平均分子量は33000、酸価79mgKOH/gであった。
【0399】
(アルカリ可溶性樹脂(B2-1)液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAcともいう)100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりグリシジルメタクリレート56.86部、ジシクロペンタニルメタクリレート66.09部、及びスチレン31.25部の混合物と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル5.0部のPGMAcに溶解させたものを2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
滴下終了後、120℃で更に2時間撹拌し前駆体を得た。次にフラスコ内を空気置換し、変性化合物としてアクリル酸28.82部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応させた。これにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基とアクリル酸のカルボキシル基を反応させ、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の開裂により水酸基を生じさせると同時に重合性不飽和基を導入した。
次いで、変性化合物としてテトラヒドロ無水フタル酸48.68部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させた。これにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の開裂により生じた水酸基の一部とテトラヒドロ無水フタル酸を反応させカルボキシル基を導入した。その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B2-1)溶液を調製した。アルカリ可溶性樹脂(B2-1)は重量平均分子量(Mw)10,000、酸価77mgKOH/gであった。
【0400】
(アルカリ可溶性樹脂(B2-2)液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc262.0部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管より2-エチルヘキシルアクリレート49.7部、グリシジルメタクリレート99.4部、ジシクロペンタニルメタクリレート6.6部と、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート19.0部、PGMAcの混合物を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、120℃で更に2時間撹拌し前駆体を得た。その後、フラスコ内を空気に置換し、変性化合物としてアクリル酸50.4部と、触媒であるトリフェニルホスフィン0.6部及びメチルハイドロキノン0.2部を投入し、110℃で10時間反応させた。これにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基とアクリル酸のカルボキシル基を反応させ、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の開裂により水酸基を生じさせると同時に重合性不飽和基を導入した。
次いで、変性化合物としてテトラヒドロ無水フタル酸21.3部を加え、110℃で4時間反応させた。これにより、これにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の開裂により生じた水酸基の一部とテトラヒドロ無水フタル酸を反応させカルボキシル基を導入した。その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B2-2)溶液を調製した。アルカリ可溶性樹脂(B2-2)は、酸価38mgKOH/g、重量平均分子量12,000であった。
【0401】
(アルカリ可溶性樹脂(B2-3)液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc182部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら、100℃に加熱して、同温度で滴下管よりベンジルメタクリレート70.5部、メタクリル酸43.0部、ジシクロペンタニルメタクリレート22.0部、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル3.6部、及びPGMAcの混合物を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート35.5部(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50モル%)、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9部およびハイドロキノン0.145部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続けた。これにより、メタクリル酸のカルボキシル基とグリシジルメタクリレートのエポキシ基とを反応させ、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の開裂により水酸基を生じさせると同時に重合性不飽和基を導入した。その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B2-3)溶液を調製した。アルカリ可溶性樹脂(B2-3)は、酸価79mgKOH/g、重量平均分子量13,000であった。
【0402】
(アルカリ可溶性樹脂(B2-4)液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc160部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりベンジルメタクリレート109.25部、メタクリル酸24.1部、ジシクロペンタニルメタクリレート22.03部と、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル1.0部、PGMAcとの混合物を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、120℃で更に2時間撹拌を行った。その後、不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B2-4)溶液を調製した。アルカリ可溶性樹脂(B2-4)は重量平均分子量17,500、酸価98mgKOH/gであった。
【0403】
<重合性化合物(C)の製造>
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C3-1))
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた5口フラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート400部、PGMAc100部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、70℃に昇温し、滴下管からトルエンジイソシアネート66部とPGMAc66部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。ついで、メルカプト酢酸35部、4-メトキシフェノール0.6部を仕込み、50~60℃の温度で6時間反応させた。不揮発分が50質量%となるように調整し、平均重合性不飽和基数9の酸性基及びウレタン結合を有する重合性化合物(C3-1)を得た。
【0404】
<分散剤(E)の製造>
(分散剤(E1a-1)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、tert-ブチルアクリレート(t-BA)50.0部、メチルメタクリレート(MMA)45.0部、メタクリル酸(MAA)5.0部、PGMAc25.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセロール)6.0部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1部をPGMAc45.7部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業社製、PMA)を14.5部、PGMAc38.0部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)0.2部を追加し、120℃で5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール(3MB)12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が50質量%になるようにPGMAcを添加して調製し、酸価110mgKOH/g、重量平均分子量9000の分散剤(E1a-1)の溶液を得た。
【0405】
(分散剤(E1a-2)、(E1a-3)の製造例)
表1に記載した原料と仕込み量を用いた以外は分散剤(E1a-1)の製造例と同様にして合成を行い、分散剤(E1a-2)、分散剤(E1a-3)の溶液を得た。
【0406】
【0407】
(分散剤(E1b-1)溶液)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、i-ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、PGMAc50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、PGMAc50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、不揮発分測定で不揮発分30%となるようPGMAcを加えて希釈し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8,500の分散剤(E1b-1)溶液を得た。
【0408】
(分散剤(E1b-2)溶液)
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート80部、エチルアクリレート120部、メトキシプロピルアセテート40部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール4.4部を添加した後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、トリメリット酸無水物12部、メトキシプロピルアセテート190部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.40部を追加し、120℃で2時間、80℃で5時間反応させた。90%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認し不揮発分当たりの酸価44mgKOH/gである分散剤(E1b-2)を得た。さらに、PGMAcで不揮発分調整することにより不揮発分30%の分散剤(E1b-2)溶液を得た。
【0409】
(分散剤(E1b-3)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、PGMAc650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を不揮発分換算で160部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、t-ブチルアクリレート150部、2-メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、PGMAc663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の不揮発分50%のPGMAc希釈溶液を500部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMAcで不揮発分調整することにより不揮発分30%の分散剤(E1b-3)溶液を得た。得られた分散剤(E1b-3)の酸価は68mgKOH/g、不飽和二重結合当量は1,593、重量平均分子量は13,000であった。
【0410】
(分散剤(E1b-4)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ピロメリット酸無水物6.5部、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール4部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.01部、PGMAc59.6部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、メチルメタクリレート25部、n-ブチルメタクリレート25部、メタクリル酸5部、t-ブチルアクリレート10部、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート15部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)20部、PGMAc51.1部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、AIBN0.12部を加え、10時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。PGMAcを加えて不揮発分30%分散剤(E1b-4)溶液を得た。得られた分散剤(E1b-4)の酸価は59.7mgKOH/g、重量平均分子量は13,000であった。
【0411】
(分散剤(E2-1)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート30部、nーブチルメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート20部(日立化成工業社製、ファンクリルFA-711MM)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。不揮発分測定で不揮発分30%となるようPGMAcを加えて分散剤(E2-1)溶液を得た。得られた分散剤(E2-1)はアミン価が57mgKOH/g、数平均分子量4,500(Mn)であった。
【0412】
<分散体の製造>
(分散体1)
直径0.5mmのジルコニアビ-ズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で、3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、以下の組成の分散体1を作製した。有機溶剤(P-1)は、PGMAcである。
微細化した青色顔料(A-3) : 9.05質量部
微細化した紫色顔料(A-4) : 0.31質量部
染料(A-11) : 4.16質量部
色素誘導体(F-1) : 1.04質量部
分散剤(E1a-1)溶液 : 3.47質量部
アルカリ可溶性樹脂(B1-2)溶液 :10.00質量部
有機溶剤(P-1) :71.97質量部
【0413】
色素誘導体(F-1):下記構造
【化22】
pcは、フタロシアニン骨格を表す。
【0414】
(分散体2~17)
表2-1及び表2-2に記載した原料、量を変えた以外は、分散体1と同様に分散体2~17を作成した。
【0415】
【0416】
【0417】
表2-1及び表2-2の色素誘導体(F-2):下記構造
【化23】
【0418】
表2-1及び表2-2の色素誘導体(F-3):下記構造
【化24】
【0419】
<感光性組成物の製造>
[実施例1]
(感光性組成物1)
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して感光性組成物1を得た。
分散体1 :14.43質量部
アルカリ可溶性樹脂(B1-2)溶液 :20.23質量部
アルカリ可溶性樹脂(B2-1)溶液 :30.00質量部
重合性化合物(C1-1) : 1.0質量部
重合性化合物(C2-1) : 1.0質量部
重合性化合物(C3-1) : 2.0質量部
重合性化合物(C4-1) : 1.0質量部
重合性化合物(C5-1) : 2.0質量部
一般式(2)で表される化合物(D1-1) : 1.20質量部
増感剤(G1-1) : 0.80質量部
熱硬化性化合物(H1-1) : 0.06質量部
酸化防止剤(L) : 0.02質量部
レベリング剤(M) : 1.00質量部
密着向上剤(O) : 0.02質量部
有機溶剤(P) :25.27質量部
【0420】
[実施例2~53、比較例1~3]
(感光性組成物2~56)
実施例1の感光性組成物1を、表3-1~表3-6に記載した原料、量に変えた以外は、実施例1と同様にして感光性組成物2~56を作製した。
【0421】
【0422】
【0423】
【0424】
【0425】
【0426】
【0427】
表3-1~表3-6に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0428】
[重合性化合物(C)]
(ラクトン変性された重合性化合物(C1))
C1-1:KAYARAD DPCA-30(日本化薬社製)
C1-2:KAYARAD DPCA-20(日本化薬社製)
【0429】
(酸基を有する重合性化合物(C2))
C2-1:アロニックスM-520(東亞合成社製)
【0430】
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C3))
C3-1:ウレタン結合を有する重合性化合物(C3-1)
【0431】
(水酸基を有する重合性化合物(C4))
C4-1:アロニックスM-306(東亞合成社製)
【0432】
(その他重合性化合物(C5))
C5-1:KAYARAD DPHA(日本化薬社製、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物)
【0433】
[光重合開始剤(D)]
(一般式(2)で表される化合物(D1))
D1-1:上述の化学式(7)の化合物
D1-2:上述の化学式(8)の化合物
D1-3:上述の化学式(9)の化合物
【0434】
(オキシム系光重合開始剤(D2))
D2a-1:TRONLY TR-PBG-3057(常州強力新材料社製、1分子中にオキシム基を1つ含有する化合物)
D2a-2:上述の化学式(10)の化合物
D2a-3:上述の化学式(11)の化合物
D2a-4:上述の化学式(12)の化合物
D2a-5:上述の化学式(13)の化合物
D2b-1:上述の化学式(15)の化合物
【0435】
(その他光重合開始剤(D3))
D3-1:Omnirad 907(IGM Resins社製、アセトフェノン系化合物)
D3-2:Omnirad 369(IGM Resins社製、アセトフェノン系化合物)
【0436】
[増感剤(G)]
(チオキサントン系化合物(G1))
G1-1:2,4-ジエチルチオキサントン
(ベンゾフェノン系化合物(G2))
G2-1:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
【0437】
[熱硬化性化合物(H)]
(エポキシ化合物(H1))
H1-1:EHPE-3150(ダイセル社製)
【0438】
[酸化防止剤(L)]
L-1:IRGANOX1010(BASFジャパン社製)
L-2:アデカスタブLA-52(ADEKA社製)
以上、(L-1)及び(L-2)をそれぞれ同量にて混合し、酸化防止剤(L)とした。
【0439】
[レベリング剤(M)]
M-1:BYK-330(ビックケミー社製)
M-2:メガファックF-551(DIC社製)
以上、(M-1)及び(M-2)をそれぞれ1部混合し、PGMAc98部に溶解させた混合溶液をレベリング剤(M)とした。
【0440】
[密着向上剤(O)]
O-1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
O-2:X-12-1048(信越シリコーン社製)
以上、(O-1)及び(O-2)をそれぞれ同量にて混合し、密着向上剤(O)とした。
【0441】
[有機溶剤(P)]
P-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 30部
P-2:シクロヘキサノン 30部
P-3:3-エトキシプロピオン酸エチル 10部
P-4:プロピレングリコールモノメチルエーテル 10部
P-5:シクロヘキサノールアセテート 10部
P-6:ジプロプレングリコールメチルエーテルアセテート 10部
以上、(P-1)~(P-6)をそれぞれ上記質量部にて混合し、有機溶剤(P)とした。
【0442】
<感光性組成物の評価>
得られた感光性組成物1~56(実施例1~53、比較例1~3)について、現像性(現像液溶解性、現像時間)、断面形状、密着性、耐熱性及び耐溶剤性の評価を下記の方法で行った。評価結果を表4に示す。
【0443】
[現像液溶解性]
得られた感光性組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。その後、この基板をシャーレに入れ、23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液20gを投入した。基板から感光性組成物の被膜が溶けていく様子を目視で観察した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:感光性組成物の被膜がひび割れることなく、現像液に溶解する。
4:感光性組成物の被膜が現像液に溶解しているが、被膜に僅かにひび割れが発生し、粉状になった被膜が速やかに溶解する。
3:感光性組成物の被膜が僅かに現像液に溶解しているが、被膜にひび割れが発生し、基板から剥離した小さな被膜が溶解する。
2:感光性組成物の被膜がひび割れた後、基板から剥離した大きな被膜が少しずつ溶解する。
1:感光性組成物の被膜がひび割れた後、基板から剥離した大きな被膜が全く溶解しない。
【0444】
[現像時間]
得られた感光性組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。その後、この基板をシャーレに入れ、23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液20gを投入した。現像液を投入した時間を0秒として、感光性組成物の被膜が完全に溶解するまでの時間を計測した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:100秒未満。
4:100秒以上150秒未満。
3:150秒以上200秒未満。
2:200秒以上300秒未満。
1:300秒以上。
【0445】
[断面形状]
得られた感光性組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯ランプを用い、100μm幅のストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm2、50mJ/cm2で露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱した。スプレー現像は、それぞれの感光性組成物での被膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行った。
走査型電子顕微鏡(日立ハイテック社製「S-3000H」)を用いて、パターンの断面形状を確認した。評価は、幅100μmのストライプ型パターンの断面のSEM画像を取り込み、基材とパターン断面の端部とのテーパー角度を測定することで断面形状評価を行った。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:テーパー角度40度以上50度未満
4:テーパー角度50度以上60度未満
3:テーパー角度30度以上40度未満、もしくは60度以上70度未満
2:テーパー角度20度以上30度未満、もしくは70度以上90度未満
1:テーパー角度20度未満、もしくは90度以上
【0446】
[密着性]
得られた感光性組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯ランプを用い、幅5~25μmまで5μm幅刻みのストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm2、50mJ/cm2で露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱した。スプレー現像は、それぞれの感光性組成物での被膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行った。
得られた基板の幅5、10、15、20、及び25μmのパターンについて、光学顕微鏡で観察し、残存したパターンの最小線幅を確認した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:10μm以下の細線が残存している。
4:15μmの細線が残存している。
3:20μmの細線が残存している。
2:25μmの細線が残存している。
1:細線が残存していない。
【0447】
[耐熱性評価]
得られた感光性組成物について、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mmのガラス基板(コーニング社製イーグル2000)上に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯を用いて照度30mW/cm2、50mJ/cm2で露光を行った。その後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液に、23℃で40秒間浸漬して現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱した。
得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性評価として230℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求めた。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
ΔEab*=((L*(2)-L*(1))2+(a*(2)-a*(1))2+(b*(2)-b*(1))2)1/2
5:ΔEab*が1未満
4:ΔEab*が1以上2未満
3:ΔEab*が2以上3未満
2:ΔEab*が3以上5未満
1:ΔEab*が5以上
【0448】
[耐溶剤性評価]
得られた感光性組成物について、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mmのガラス基板(コーニング社製イーグル2000)上に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯を用いて照度30mW/cm2、50mJ/cm2で露光を行った。その後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液に、23℃で40秒間浸漬して現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱した。
得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐溶剤性評価として23℃のN―メチル-2-ピロリドンに30分間浸漬し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求めた。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
ΔEab*=((L*(2)-L*(1))2+(a*(2)-a*(1))2+(b*(2)-b*(1))2)1/2
5:ΔEab*が1未満
4:ΔEab*が1以上2未満
3:ΔEab*が2以上3未満
2:ΔEab*が3以上5未満
1:ΔEab*が5以上
【0449】